JP3374144B2 - 新規な練乳およびその製造方法 - Google Patents
新規な練乳およびその製造方法Info
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Description
味、濃いキャラメル色調及び滑らかなテクスチャーを有
し、生理活性物質をも含有する保存性良好な新規な練
乳、およびその製造方法に関する。
てのキャラメルと、砂糖を煮て焦がした着色用の焦げ蜜
とがある。前者は砂糖、水飴、乳糖、油脂、デンプン等
多くの原料を配合して加熱し、水分を蒸発させ、118
〜125℃まで加熱し煮詰めて、次いでバター、香料を
添加して飴状にし、切断、冷却、包装して製造する。こ
れは、水分を蒸発させて煮詰め、バター等の風味剤や、
香りを付与するための香料を加えて最終製品として仕上
げた極めて粘度が高くて、硬いキャラメル菓子であり、
しかもこれは油脂や香料等の風味付与剤を添加したもの
である。
して用いられる風味付与材ではあるが、砂糖を焦がして
できたものであるため香り、色、苦みは付与することが
できても、その色調は単一調で、香りもまた単調であっ
て、味は苦み系統の味しか有しなかった。さらに調製に
長時間を要し、水分も殆ど含有せず粘度の調整もできな
いもので、食品に好ましいテクスチャーを付与すること
もできなかった。したがって、このようなキャラメル
は、前者では、食品素材として利用されることはほとん
どなく、後者でも、食品の素材としての利用が限定され
ており、プリンや他の食品の着色剤としての利用にとど
まっていた。このように、両者とも製菓・製パン用トッ
ピング、フィリング材、練り込み材等の原料として利用
されることはなかった。
04号『新規な食品素材およびその製造方法』におい
て、加熱前の練乳に単糖類あるいは、二糖類を添加して
気密状態下、例えばレトルト用アルミパウチに充填する
などして、大気圧もしくは大気圧を超える圧力下で加熱
して、褐変かつ増粘させて得られるキャラメル風味を有
する新規な食品素材を提案したが、これは、加熱前にわ
ざわざ糖類を加えなければならないこと、また短期間の
保存では問題ないが長期間保存すると乳糖の結晶が生じ
たりして長期保存性や、充填し加熱する際の容器の容量
に限界があるなどの点があった。
て、乳糖を分解し、その後、糖類等を添加し混合、濃縮
したものを缶に充填し、レトルト工程を経て得られる食
品が提案されているが、これは原料牛乳中のカゼインの
沈殿を防止する必要から、中和剤を添加しなければなら
ないこと、グルコースの添加が必要であること、また澱
粉やカルボキシメチルセルロースなど安定剤の添加、さ
らに保存性がないためソルビン酸カリウム等の防腐剤添
加を必須とすること、又レトルト用に供するための容器
が必要で、容器の大きさに限界があるなど配慮しなけれ
ばならない点が多くあった。
点を解決するためになされたものであって、食品に優れ
た風味や色調やボディーを付与でき、水分の変化、褐変
による着色のムラもなく、しかも製造時間が短縮でき、
取り扱いが容易でキャラメル風味に富み、保存中の乳糖
の結晶化を防止でき、さらにガラクトオリゴ糖を含有
し、その上、褐変化による抗酸化効果、微生物の発育阻
止効果もあわせ有する、保存性の良好な新規な練乳、お
よびそれを製造する方法を提供することを課題とする。
は、褐変も増粘もさせてはならないものとされていた。
その褐変や増粘をいかに防止するかという面で種々研究
がされてきたが、本発明者らはこの従来の考え方を逆に
利用し、意図的に褐変、増粘させると従来になかった極
めて好ましい食品素材が得られるとの知見を得、その特
徴を生かして食品の原料として利用したり、そのまま食
品とすることが可能であることを見い出した。さらに研
究を進めて、単糖類や二糖類を添加することなく、練乳
に乳糖分解酵素を作用させることにより新たな食品素材
を得るに至った。
は、スプレッド類、食品の原料としては、特に製菓・製
パンのフィリング材、トッピング材、練り込み材等の原
料に適する。練乳もしくは練乳類似品に乳糖分解酵素を
作用させて練乳もしくは練乳類似品中の乳糖を分解し
て、褐変を促進させ、又オリゴ糖を生成させて乳糖の結
晶化を防止する等の技術は、いまだ報告されていない。
ク)、全脂加糖練乳および/または脱脂加糖練乳、また
はこのような練乳の成分組成および物理的性質に類似し
た構成をなすようなもので乳糖及びタンパク質を含有す
るものをさす。タンパク質としては、乳タンパク質や植
物タンパク質が例示できる。乳タンパク質としては、カ
ゼインタンパク質、ホエータンパク質、またはこれを濃
縮、分離したものが例示できる。植物性タンパク質とし
ては、大豆タンパク質、小麦タンパク質が例示できる。
らなる液を濃縮したものおよび無糖練乳を原料に用いた
場合は、練乳に相当する程度の量のショ糖を加える。こ
れらの原料を本発明の出発原料として用いる。以下本発
明において、これらの出発原料を練乳という。
上の圧力下で加熱してガラクトオリゴ糖を含有してなる
キャラメル風味を有する新規な練乳である。本発明はま
た上記により得られたキャラメル風味を有する新規な練
乳である。さらに本発明は練乳に乳糖分解酵素を加え
て、乳糖を分解させた後、大気圧以上の圧力下で加熱、
褐変させることを特徴とするキャラメル風味を有する新
規な練乳の製造方法である。
素を添加し、練乳中の乳糖を分解させた後、大気圧を超
える圧力下で加熱し、褐変させることにより得られる。
なお、練乳の製造過程において通常乳糖がシーディング
される。本発明においては乳糖を分解して得られるグル
コースやガラクトースの単糖類、とくにグルコースが、
褐変促進の働きをする。また、乳糖分解酵素以外の、防
腐剤等の人工の添加物はもちろん、グルコース等の単糖
類、褐変促進剤、増粘剤、安定剤等を何ら使用する必要
はない。
で、しかも短時間に製造でき、乳糖分解の量を調節する
ことにより、甘味を変えることができ、褐変による着色
のムラもなく、風味が豊かで、充填の際の容器の大きさ
に制限がなく、長期保存の可能なキャラメル風味、およ
び特有のテクスチャーを有するスプレッドなどの食品な
らびに、製菓・製パン用トッピング材、フィリング材、
練り込み材等の練乳およびその製造方法である。
に乳糖分解酵素を加えて、練乳中の乳糖を分解した後、
加熱して褐変させる。本発明の原料としては乳を濃縮し
たものか、もしくはタンパクに乳糖を加え濃縮したもの
に、ショ糖を加えた練乳類似品、全脂または脱脂の加糖
練乳、または無糖練乳(エバミルク)を用いる。無糖練
乳を使用する場合は、練乳に相当する程度の量のショ糖
を加えることが好ましい。これらの原料を単独又は混合
して用いてもよい。全脂加糖練乳や脱脂加糖練乳に添加
されている糖はショ糖であり、乳由来の糖は乳糖であ
る。このようなショ糖や乳糖は、いずれも二糖類で単糖
類に比べて、褐変化が遅い。しかし本発明は、練乳に乳
糖分解酵素を加えて、乳糖をグルコースとガラクトース
の単糖類に分解するので、短時間で褐変化が可能とな
る。
販されている通常のものが使用できる。例えば、ビオラ
クタFN5(大和化成(株)製)、マキシラクトLX5
000(Gist-brocades nv製)などが例示できる。乳糖
分解酵素の添加量の好ましい範囲は0.001〜1.0
重量%で、さらに好ましい範囲は0.05〜0.1重量
%である。また、反応温度は10℃以上で酵素が失活し
ない75〜80℃以下の温度範囲であればよい。この範
囲の中でも比較的好ましい温度としては10〜65℃の
範囲がよく、さらに好ましい範囲としては、15〜25
℃である。また、反応時間は30分以上あれば充分であ
り、比較的短時間で酵素反応が行われるが、さらに酵素
の添加量や反応温度を調節することによって前日に、一
日の製造量に見合うだけの量の練乳に酵素を添加し、一
夜(17時間程度)作用させ、翌日順次加熱を行い、褐
変させたものを充填することもできる。これにより、作
業性が上がり、コストを低減させることができる。な
お、乳糖分解処理を行った後、加熱褐変処理までに時間
を要するときは、乳糖分解酵素を失活させておく。その
加熱温度と時間は、酵素により異なるが約75〜80℃
以上で、約1分以上である。
熱は、たとえば加圧飴練り機(品川工業所製)で密閉し
て2kg/cm2 で加圧しながら容量200〜500kg/釜
で加熱する。これにより、加熱中の攪拌が可能でしかも
加熱時間が短く、水分の変化もなく、褐変による着色の
ムラのない製品が得られる。本発明は乳糖分解酵素を添
加して乳糖を分解した練乳等を、釜単位で加熱するので
加熱のために充填する容器の大きさ(容量)に制限がな
く、需要に応じて適宜、大包装から小包装まで種々もの
が選択できる。
める必要はないが大気圧に相当する温度以上で加熱する
と効果的である。好適な着色度合はL値(色彩色差計で
測定したL、a、bのLの値で「L」とは明るさ(Ligh
tness)を意味し、L=100が最も明るく、L=0が
最も暗いことを表す。)で示し、L値としては、ほぼ4
0〜34の範囲であればよい。好ましい範囲としては、
39〜36である。L値がこれらの範囲に達した時点で
加熱を止める。しかしながら、大気圧以上の温度すなわ
ち100℃以上の温度で加熱すると短時間でできるので
効率がよい。またこの加熱処理により抗酸化作用、微生
物の発育阻止効果も有するものが得られる。
めには、乳糖を分解前の量の約50重量%程度の量(乳
糖分解率50%)になるまで分解するとよい。乳糖分解
の割合は本発明品の保存期間の長短や生成されるガラク
トオリゴ糖の含有量により適宜調節する。乳糖分解によ
り、生成されたグルコース等の単糖類により褐変化が促
進され、同時にガラクトオリゴ糖が生成される。なお、
原料乳に乳糖分解酵素を作用させても、乳糖濃度が低い
のでガラクトオリゴ糖を生成させることができない。本
発明で生成されるガラクトオリゴ糖は人の腸内に棲息す
る有用細菌の増殖促進や、整腸作用などに効果があり、
さらに、牛、豚、鶏などの家畜の体重増加促進にも効果
を有する。
食品素材は短時間で加熱して褐変、増粘させることが
でき、褐変のさいの着色のムラがなく、乳糖を分解し
ているため乳糖の粗大結晶化が起こらず、練乳は原料
乳を濃縮した後、さらに乳糖をシーディングするため、
ガラクトオリゴ糖が多く生成され、乳糖分解酵素以外
の添加物を一切使用しないで豊かなキャラメル風味と特
有のテクスチャーを有したものを製造することができ、
褐変処理により抗酸化作用および、たとえ微生物に
汚染されても微生物の発育を阻止する作用を有する食品
素材およびそれを用いた食品が得られるという利点を有
する。
の例) 加熱釜(品川工業所製;500XPC)に全脂加糖練乳
を200kg入れ、品温を30℃に調整した。その中に乳
糖分解酵素(Gist-brocades nv製;マキシラクトLX5
000) をそれぞれ、0.01、0.05、0.1、
0.5、1.0重量%添加し、低速で攪拌しながら、そ
れぞれ30、60分間反応させ、分解させた。その後加
圧しながら、約130℃の温度で、30分間加熱した。
これを約80℃まで冷却した後1kgの袋に充填密封し、
冷却水槽にて、20℃以下にして本発明品として保存し
た。
熱処理し、対照品として乳糖分解酵素無添加品を得た。
得られたこれらのものの品質を評価した。キャラメルの
色調は、ミノルタ株式会社製色差計、CR−200を用
いて、そのL値を測定し、L値が40〜34の範囲にあ
るものを合格とした。乳糖の含量は、HPLC(高速液
体クロマトグラフィー)によって測定し、乳糖結晶は、
保存後3ヵ月経過したものを目視及び食感により結晶の
認められないものを「−」、認められるものを「+」、
多く認められるものを「++」とし、「−」のみを合格
とした。乳糖結晶の有無の確認は、製造後3カ月間の判
定で充分であり、3カ月で「−」であったものは、4カ
月以上保存しても「+」になることはなかった。風味は
パネラー15名で官能検査により、キャラメル風味が弱
いものものを「淡」、やや弱いものを「僅淡」、ちょう
どよく適するものを「良」、やや濃いものを「僅濃」、
濃いものを「濃」と判定し、「良」、「僅濃」および
「濃」とされたものを本発明の合格品とした。なお、総
合は総合的に判定した結果で不良を「×」、やや不良を
「△」、良を「○」、最適のものを「◎」として、
「◎」及び「○」と判定したものを本発明の合格品とし
た。これらの結果を表1に示した。
反応時間が30分のときは、酵素の添加率が0.1重量
%のものが総合的に最良で、それより少ないと着色度合
い、風味の点で不足し、多いと着色度合いや風味が濃い
めになる。さらに、反応時間が60分のときは酵素の添
加率が0.05〜0.1%が最良で、それより少ないと
着色度合い、風味の点で不足し、多いと着色度合いや風
味が濃いめになる。乳糖分解酵素添加のものには、いず
れも乳糖結晶は認められなかった。また、乳糖分解酵素
無添加のものは、着色度合い、キャラメル風味が、完全
に不足し製造後1週間で乳糖結晶が認められ不適であっ
た。
の反応時間および60分の反応時間のいずれのときでも
大きな変化はなく、前者は乳糖分解酵素の添加量が0.
1重量%以上、後者は乳糖分解酵素の添加量が0.05
〜0.1重量%において着色度合い、風味、総合判定と
もに良好な結果が得られた。
応温度の例) 300リットルのフォードラタンクに全脂加糖練乳を2
00kg入れ、品温をそれぞれ10、20、30℃に調整
した。その中に、乳糖分解酵素(大和化成(株)製;ビ
オラクタFN5)をそれぞれ0.001、0.05、
0.1重量%添加し、低速(約20rpm)で攪拌しな
がら、17時間(一夜) 反応分解させた。乳糖分解酵素
を添加せずに同様の操作で対照品を製造した。翌日、加
圧釜(品川工業所製;500XPC)に移し、加圧しな
がら、約130℃で、30分間加熱した。これを、約8
0℃まで冷却した後、5kgの大きさの小袋(パウチ)に
充填密封し、冷却水槽に20℃以下に冷却して保存し
た。実施例1〜10と同様に、本発明品および対照品を
得た。得られた本発明品及び対照品の品質を評価した。
その結果を表2に示した。
10℃では、乳糖分解酵素の添加率が、0.05〜0.
1重量%のものが、総合評価で最も良かった。反応温度
が20℃では、酵素の添加率が、0.001〜0.05
重量%のものが、総合評価で最も良かった。反応時間が
30℃では、酵素の添加率が、0.001重量%のもの
が総合評価で最も良かった。
解酵素の添加率が、0.05重量%以上であればよく、
また反応温度が20℃以上では酵素添加率が0.001
重量%以上であれば着色度合いや、風味の点で良好であ
った。また、乳糖分解酵素を添加したものは反応温度が
10℃、酵素添加率が0.001重量%以外は乳糖結晶
が認められず、乳糖分解酵素の添加率は0.001重量
%以上であればよいと推定された。これに対して、乳糖
分解酵素無添加のものは、着色度合いおよびキャラメル
化の度合いが、全く不足しており、製造後1週間で乳糖
結晶が認められ不適であった。
量) 乳糖分解酵素の添加量とガラクトオリゴ糖の生成量の関
係を調べるために以下に示す実験を行った。全脂練乳2
00g をビーカーに入れ、35℃の水槽で、品温を35
℃まで上昇させ、乳糖分解酵素(大和化成(株)製;ビ
オラクタFN5)を0.005重量%と0.2重量%を
添加したものをそれぞれ攪拌しながら30分間反応させ
た。その後直ちに85℃で3分間加熱し、酵素を失活さ
せ20℃まで冷却して冷蔵下で保管した。この2種類の
試料と同時に酵素を添加しない対照品も同時に行った。
各試料のラクトース、グルコース、ガラクトース含量お
よびガラクトオリゴ糖の生成量を測定した。その結果を
表3に示す。
添加し、30分間反応させた場合は、乳糖分解酵素の添
加量が多いと乳糖の分解が進み、グルコースとラクトー
スの含量が増加し、ガラクトオリゴ糖の生成量も多くな
ることがわかった。これにより乳糖分解酵素により乳糖
が分解され、グルコースとガラクトースにわかれ、さら
にガラクトオリゴ糖が合成されることを確認した。
に、以下に示す実験を行った。酵素処理及び褐変化処理
をしない通常の無処理全脂練乳、全脂練乳に乳糖分解酵
素(Gist-brocades nv製;マキシラクト) を1重量%添
加して、30℃で4時間反応させた後、1.3Kg/cm2
の圧力で35分間加熱処理した練乳(L値32)、全脂
練乳を酵素処理しないで前者と同様の条件で加熱処理し
た練乳(L値43)、全脂練乳を酵素処理しないで加熱
処理したものにソルビン酸を添加した練乳の各々に、黄
色ブドウ球菌を3.3×103/g 接種し、混合後35
℃で保管し、3日後、7日後、11日後および180日
(3カ月)後の生菌数を測定した。
色ブドウ球菌が増殖したが、加熱して褐変処理した練乳
では、3日後には、黄色ブドウ球菌が検出されず死滅し
た。それ以後は180日後まで黄色ブドウ球菌は検出さ
れず、微生物に対する発育阻止効果を示し、微生物に対
する保存性は良好であることがわかった。
用) 褐変化練乳の抗酸化作用を調べるために以下に示す実験
を行った。リノール酸を75%含有するサフラワー油の
みのものを対照とし、実施例21で得られた酵素処理及
び加熱処理した本発明品(L値32)、及び参考として
酵素処理をしないで加熱処理をした練乳(L値43)
を、それぞれ30重量%、50重量%サフラワー油に添
加して、サフラワー油の酸化に要する時間を比較するこ
とにより、それぞれの練乳の抗酸化作用を調べた。
に、一般に行われている強制劣化法、すなわちランシマ
ット法(日本油化学会制定基準油脂分析試験法Cd.2.4.2
8.2-93)により行った。測定条件は、測定器Ranci
matE−679型(スイスメトローム社製)を用い、
100℃の温度に加熱して行った。その結果を表5に示
した。この結果によると、本発明品を添加した油脂(リ
ノール酸75重量%含有サフラワー油)は、添加しない
油脂に比べ、明らかに劣化を抑制している効果を有する
ことがわかる。そして、本発明品の添加量が多いほど、
その効果が増大することを示している。
は、試料が試験開始時から劣化を開始するまでの時間を
示し、この数値が大きいほど劣化しにくい、より安定な
試料であることをあらわす。
焼きプリン) 先ず、表6の原材料で次のようにプリンの生地を造っ
た。実施例17より得られた本発明の食品素材をペース
ト状に練り、全卵を少しずつ加え均一に混ぜ合わせた。
次いで、香料としてバニラエッセンスを加えた牛乳を沸
騰直前まで温め、これを卵液に少しずつ加えながら泡立
てないように混ぜ合わせ、漉し器で漉した。このように
して得られたもの100gを、予めバターを塗ったプリ
ン型に流し入れ、2分の1の深さまで熱湯を入れたバッ
トに入れ、160℃のオーブンで27分間焼成した。
のように調製した。篩にかけた上白糖とコーンスターチ
に牛乳を少しずつ加え混ぜ合わせた。次に生クリームを
加え攪拌しながら沸騰するまで火にかけた。これを火か
ら下ろしあら熱をとった時点でバニラエッセンス、グラ
ンマニエを加え、さらに冷却した。完全に冷却したプリ
ンを型から抜き、上からホワイトソースを5gかけ、ミ
ルクキャラメル焼きプリンを得た。得られたミルクキャ
ラメル焼きプリンを食したところ、濃厚なキャラメル風
味のプリンの食感とホワイトソースが見事に調和し、全
く新規なる風味のプリンを得た。
ット) 市販のプレーンビスケットあるいはクラッカーに実施例
2、3、5から得られた本発明品を適宜塗ってサンドし
サンドビスケットとした。実施例2のものを使用したも
のはミルク風味とキャラメル風味が程よく調和し、実施
例3のものを使用したものは芳酵なキャラメル香が感じ
られ、実施例5のものを使用したものは上品な苦味がポ
イントとなる、いずれの場合も新しいタイプの非常に美
味なビスケットが得られた。
た。ミキサーボールに実施例4により得られた本発明の
食品素材とバターを入れ、均一に練り合わせた。次いで
上白糖、食塩、全卵を順次加えながら練り合わせ、最後
に、小麦粉として薄力粉とベーキングパウダーを一緒に
篩にかけたものを加え、軽く混ぜ合わせた。得られたも
のを30gの適量に分割してトッピングを得た。
地を造り、適量の50gに分割し、まるめて常温にてベ
ンチタイムを15分間とった。その後、まるめ直してそ
の上に上記トッピング材を被せる。更に、上部にグラニ
ュー糖を少量まぶして天板にのせ編み目の模様を付け
た。これを38℃で32分間の最終発酵を行った。この
時の湿度は73%RHであった。これを200℃のオー
ブンで9分間焼成し、常温にて冷却してキャラメルパン
を得た。これを食したところ、本発明品より得られた食
品素材が芳酵なキャラメル風味と特有のテクスチャーを
生み出し、今までにない新規なキャラメルパンが得られ
た。
クリームサンド) 先ず、表10の原材料をホイッパーでホイップし、キャ
ラメルクリーム(フィリング材)を得た。別に表11の
原材料でキャラメル風味スポンジケーキを次のように造
った。ミキサーボールに実施例14により得られた本発
明品を入れ、ペースト状に練った後、牛乳を少しずつ加
え混ぜ合わせた。別のボールに全卵をホイップし、泡立
ってきたら篩った上白糖と乳化脂を加え、さらにホイッ
パーから垂らしてリボン状に形が残るようになるまでホ
イップした。これを前記の牛乳、バニラエッセンスを加
え軽く混ぜ合わせ、スッポンジケーキ型に流し入れ、1
80℃のオーブンで32分焼成した。
チ程度にスライスした。スポンジの間にキャラメルクリ
ームをサンドし、ミルクキャラメルクリームサンドを得
た。得られたミルクキャラメルクリームサンドを食した
ところ、キャラメルの香りが芳酵で、また見た目もキャ
ラメル色の美しい、美味で新規なスポンジ菓子であっ
た。
乳や加糖練乳等に、乳糖分解酵素を加えて乳糖を分解
し、加熱処理を行うことにより、褐変化を促進させ、生
理効果を有するガラクトオリゴ糖を含有し、さらに抗酸
化効果、微生物の発育阻止効果を有し保存性が良好であ
るなど多くの効果を有するキャラメル風味と特有のテク
スチャーを有する天然の材料からなる食品素材やそれを
含有する食品が得られる。そしてフィリング材、練り込
み材、組織改良材、天然着色剤等、各種食品の製造原料
として、極めて有益である。その上、原料に乳糖分解酵
素を加え、加熱温度、加熱時間とを、種々設定するだけ
で、所望のキャラメル色調、風味、滑らかさおよびボデ
ィ等の特有のテクスチャーや粘度が得られる利点があ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】練乳中の乳糖を分解し、褐変に充分な大気
圧以上の圧力下で加熱して得られた、キャラメル風味を
有し、褐変化による抗酸化効果と微生物の発育阻止効果
を有する保存性の良好な新規な練乳。 - 【請求項2】乳糖の分解率が50%以上である、請求項
1記載の新規な練乳。 - 【請求項3】練乳に乳糖分解酵素を加えて、乳糖を分解
させた後、大気圧以上の圧力下で加熱、褐変させること
を特徴とする、請求項1記載の新規な練乳の製造方法。
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JP09202895A JP3374144B2 (ja) | 1995-03-27 | 1995-03-27 | 新規な練乳およびその製造方法 |
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JPH08256680A JPH08256680A (ja) | 1996-10-08 |
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CN102870883B (zh) * | 2012-05-10 | 2014-02-12 | 浙江熊猫乳业集团有限公司 | 一种焦糖炼乳及其制备方法和应用 |
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