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JP3362522B2 - タイヤ空気圧検知装置 - Google Patents

タイヤ空気圧検知装置

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Publication number
JP3362522B2
JP3362522B2 JP24074694A JP24074694A JP3362522B2 JP 3362522 B2 JP3362522 B2 JP 3362522B2 JP 24074694 A JP24074694 A JP 24074694A JP 24074694 A JP24074694 A JP 24074694A JP 3362522 B2 JP3362522 B2 JP 3362522B2
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JP
Japan
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signal
tire
air pressure
resonance frequency
frequency component
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JP24074694A
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基司 鈴木
祐一 井上
伸次郎 深田
健治 冨板
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Denso Corp
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Denso Corp
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は誤判定することのないタ
イヤ空気圧検知装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開昭63−305011号公報には、
空気圧に応じてタイヤの負荷半径が変わると車輪速度が
変動するため、各車輪の車輪速度を検出して間接的にタ
イヤ空気圧を検知するタイヤ空気圧検知装置が開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記タ
イヤの負荷半径はタイヤの摩耗やコーナリング、制動等
の走行状況により微妙に変化する。このため、タイヤの
負荷半径を空気圧検知のパラメータとすると、検知精度
が十分に確保できないという問題がある。本願発明者は
上記問題を解決するため、ばね下の上下方向あるいは前
後方向の共振周波数を抽出して、予め電子制御装置(以
下ECUという)に記憶した空気圧判定基準値(タイヤの
許容最低空気圧に対応した共振周波数)と比較すること
により、タイヤの空気圧の状態を検知する装置を発明し
て出願した(特願平3−294622号)。
【0004】上記出願に係るタイヤ空気圧検出検出装置
は、タイヤの空気圧の判定を確実に行うことができる点
で優れているが、以下に述べるような問題点を包含して
いる。 (1)入力される路面状態が左右の輪で異なりそれぞれ
のばね下振動レベルが大きく違う場合には、振動レベル
大きい側の輪の振動が、ドライブシャフト、ステアリン
グアーム、サスペンションメンバ等を介して振動レベル
の小さい側の輪に伝わり、該振動の小さい側の輪の振動
現象が検出できなくなる。このため、その輪のタイヤの
共振周波数或いはタイヤばね定数の推定が困難となり、
その輪のタイヤ空気圧判定において誤判定を生じること
がある。
【0005】(2)横加速度が大きく作用するような旋
回をした場合には、旋回時の荷重移動により旋回内輪の
接地荷重が減少する。このため、その輪の振動レベルが
減少して共振周波数或いはタイヤばね定数の推定が困難
となり、その輪のタイヤ空気圧判定において誤判定を生
じることがある。
【0006】(3)アンチロックブレーキシステム(以
下ABSという)あるいはトラクションコントロールシ
ステム(以下TRCという)が作動した場合には、その
制御に伴う制御トルク変動や駆動トルク変動の振動によ
り、ばね下の共振振動現象が検出できなくなる。このた
め、タイヤの共振周波数或いはタイヤばね定数の推定が
困難となり、タイヤ空気圧判定において誤判定を生じる
ことがある。
【0007】(4)車輪速変動には、タイヤの空気圧に
依存する振動現象の他に、例えば、サスペンションメン
バやサスペンションアームの振動現象の成分も含まれ
る。このため、路面状態の入力等によりタイヤ空気圧に
依存する振動レベルよりも、上記したタイヤ空気圧に依
存しない振動現象が際立つ場合がある。この場合、その
輪のタイヤの共振周波数或いはタイヤばね定数の推定が
困難となり、タイヤ空気圧の判定において誤判定を生じ
ることがある。
【0008】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、左右輪の振動レベルに大きな差があ
ったり、横加速度の大きな旋回をした場合でも、ABS
或いはTRCを作動させた場合でも、路面状態の入力等
により、ばね下振動の中でタイヤの振動現象に比べて、
それ以外の部分の共振現象の方が大きくなるような場合
でも、誤判定することのないタイヤ空気圧検知装置を提
供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めの請求項1記載の本発明のタイヤ空気圧検知装置は、
車両の走行時にタイヤの振動周波数成分を含む信号を出
力する出力手段と、前記信号から共振周波数成分の信号
を抽出する抽出手段と、左右輪の振動レベルの差を求め
る手段と、前記求められた左右輪の振動レベルの差を予
め設定された値と比較して、前記抽出された共振周波数
成分の信号から共振周波数の演算に用いる共振周波数成
分の信号を選別する信号選別手段と、選別された共振周
波数成分の信号から共振周波数を演算する演算手段と、
共振周波数に基づいてタイヤの空気圧の状態を検知する
検知手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】上記問題点を解決するための請求項2記載
の本発明のタイヤ空気圧検知装置は、請求項1記載のタ
イヤ空気圧検知装置において、旋回レベルを検出する検
出手段を備え、前記信号選別手段は、さらに前記検出さ
れた旋回レベルの大きさを予め設定された値と比較して
前記信号の選別を行うことを特徴とする。
【0011】上記問題点を解決するための請求項3記載
の本発明のタイヤ空気圧検知装置は、請求項1または2
に記載のタイヤ空気圧検知装置において、アンチロック
ブレーキシステムとトラクションコントロールシステム
の作動を検出する検出手段を備え、前記信号選別手段
は、さらに前記アンチロックブレーキシステム若しくは
トラクションコントロールシステムの作動の有無から
記信号の選別を行うことを特徴とする。
【0012】上記問題点を解決するための請求項4記載
の本発明のタイヤ空気圧検知装置は、請求項1ないし3
のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検知装置におい
て、前記抽出手段は、前記信号からタイヤの共振周波数
成分の信号を抽出する第1抽出手段と、前記信号からタ
イヤの共振周波数成分以外の周波数成分の信号を抽出す
る第2抽出手段とからなり、前記信号選別手段は、さら
前記第1抽出手段で抽出された信号と前記第2抽出で
抽出された信号の割合の大きさを予め設定された値と比
較して前記信号の選別を行うことを特徴とする。
【0013】上記問題点を解決するための請求項5記載
の本発明のタイヤ空気圧検知装置は、車両の走行時にタ
イヤの振動周波数成分を含む信号を出力する出力手段
と、前記信号の左右輪の振動レベルの差を求める手段
と、前記求められた左右輪の振動レベルの差を予め設定
された値と比較して、前記信号からタイヤばね定数の推
定に用いる信号を選別する信号選別手段と、選別された
信号からタイヤばね定数を推定する推定手段と、タイヤ
ばね定数に基づいてタイヤの空気圧の状態を検知する検
知手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】上記問題点を解決するための請求項6記載
の本発明のタイヤ空気圧検知装置は、請求項5に記載の
タイヤ空気圧検知装置において、旋回レベルを検出する
検出手段を備え、前記信号選別手段は、さらに前記旋回
レベルの大きさを予め設定された値と比較して前記信号
の選別を行うことを特徴とする。
【0015】上記問題点を解決するための請求項7記載
の本発明のタイヤ空気圧検知装置は、請求項5または6
に記載のタイヤ空気圧検知装置において、アンチロック
ブレーキシステムとトラクションコントロールシステム
の作動を検出する検出手段を備え、前記信号選別手段
は、さらに前記アンチロックブレーキシステム若しくは
トラクションコントロールシステムの作動の有無から
記信号の選別を行うことを特徴とする。
【0016】上記問題点を解決するための請求項8記載
の本発明のタイヤ空気圧検知装置は、請求項5ないし7
のいずれか1つに記載のタイヤ空気圧検知装置におい
て、前記振動周波数成分を含む信号からタイヤの共振周
波数成分とそれ以外の周波数成分の信号レベルの割合を
抽出する抽出手段を備え、前記信号選別手段は、さらに
前記信号レベルの割合の大きさを予め設定された値と比
較して前記信号の選別を行うことを特徴とする。
【0017】
【作用及び発明の効果】上記請求項1記載のタイヤ空気
圧検出装置は、抽出手段が抽出した共振周波数成分の信
号から、信号選別手段が左右輪の振動レベルの差を予め
設定した値と比較して共振周波数の演算に用いる信号を
選別し、選別された信号に基づいて、演算手段が演算す
る共振周波数から空気圧の状態を検知する。従って、誤
検知するような信号を選択除去できるから、正確にタイ
ヤ空気圧を検知できる。
【0018】上記請求項2記載のタイヤ空気圧検出装置
は、抽出手段が抽出した共振周波数成分の信号から、信
号選別手段が検出された旋回レベルの大きさ予め設定
した値と比較して共振周波数の演算に用いる信号を選別
し、選別された信号に基づいて、演算手段が演算する共
振周波数から空気圧の状態を検知する。従って、急旋回
時にはタイヤ空気圧の検知を行うことがないから、誤検
知を防止できる。
【0019】上記請求項3記載のタイヤ空気圧検出装置
は、検出手段が検出したABS若しくはTRCの作動の
有無により、抽出手段が抽出した共振周波数成分の信号
から、信号選別手段が共振周波数の演算に用いる信号を
選別し、選別された信号に基づいて演算手段が演算する
共振周波数から空気圧の状態を検知する。従って、AB
S又はTRCが作動しているときは、タイヤ空気圧の検
知を行うことがないから、誤検知を防止できる。
【0020】上記請求項4記載のタイヤ空気圧検出装置
は、第1抽出手段が抽出したタイヤの共振周波数成分の
信号と、第2抽出手段が抽出したタイヤ以外の共振周波
数成分の信号の割合の大きさを予め設定された値と比較
して、信号選別手段が共振周波数の演算に用いる信号を
選別手段により選別し、選別された信号に基づいて演算
手段が演算する共振周波数から空気圧の状態を検知す
る。従って、タイヤの振動に比べて他の振動成分による
ノイズの量が多くなる場合でも、誤検知することがな
い。
【0021】上記請求項5記載のタイヤ空気圧検出装置
は、検出された左右輪の振動レベルの差を予め設定した
値と比較し、出力手段が出力する信号から、信号選別手
段がタイヤばね定数の推定に用いる信号を選別し、選別
された信号から推定手段が推定するタイヤばね定数に基
づいて空気圧の状態を検知する。従って、誤検知するよ
うな信号を選択除去できるから、正確にタイヤ空気圧を
検知できる。
【0022】上記請求項6記載のタイヤ空気圧検出装置
は、検出された旋回レベルを予め設定した値として比較
し、出力手段が出力する信号から、信号選別手段がタイ
ヤばね定数の推定に用いる信号を選別し、選別された信
号から推定手段が推定するタイヤばね定数に基づいて空
気圧の状態を検知する。従って、急旋回時にはタイヤ空
気圧の検知を行うことがないから、誤検知を防止でき
る。
【0023】上記請求項7記載のタイヤ空気圧検出装置
は、検出されたABS若しくはTRCの作動の有無によ
り、信号選別手段がタイヤばね定数の推定に用いる信号
を選別し、選別された信号から推定手段が推定するタイ
ヤばね定数に基づいて空気圧の状態を検知する。従っ
て、ABS又はTRCが作動しているときは、タイヤ空
気圧の検知を行うことがないから、誤検知を防止でき
る。
【0024】上記請求項8記載のタイヤ空気圧検出装置
は、抽出されたタイヤの共振周波数成分とそれ以外の周
波数成分の信号レベルの割合の大きさ予め設定した値
と比較して、信号選別手段がタイヤばね定数の推定に用
いる信号を選別し、選別された信号から推定手段が推定
するタイヤばね定数に基づいて空気圧の状態を検知す
る。従って、タイヤの振動に比べて他の振動成分による
ノイズの量が多くなる場合でも、誤検知することがな
い。
【0025】
【実施例】本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1はタイヤ空気圧検知装置の概略構成図である。車両
に装着される前後左右の4個のタイヤ1a〜1dに対応
してそれぞれ車輪速度センサが設置される。車輪速度セ
ンサは、磁性体よりなる歯車形状のパルサ2a〜2d及
びピックアップコイル3a〜3dにより構成される。パ
ルサ2a〜2dは、各タイヤ1a〜1dの回転車軸(図
示せず)に固定される。ピックアップコイル3a〜3d
は、パルサ2a〜2dと所定の間隔を置いて取り付けら
れ、パルサ2a〜2dの回転、即ち前記各タイヤ1a〜
1dの回転速度に応じた周期を有する交流信号を出力す
る。
【0026】ピックアップコイル3a〜3dから出力さ
れる交流信号は、ECU4に入力される。ECU4は、
CPU、波形成形回路、ROM、RAM等から構成さ
れ、所定のプログラムに従い入力される各種信号を処理
する。そして、その処理結果は表示部5に入力され、該
表示部5は運転者に対して各タイヤ1a〜1dの空気圧
の状態を報知する。報知態様は、各タイヤ1a〜1dの
空気圧の状態を格別に表示するようにしてもよく、また
1個の警告ランプにより、いずれか1個のタイヤの空気
圧が基準空気圧よりも低下したとき、前記警告ランプを
点灯して警告するようにしてもよい。
【0027】ここで、本実施例におけるタイヤ空気圧の
検知原理について説明する。車両が舗装されたアスファ
ルト路面を走行した場合、その路面表面の微小な凹凸に
より上下及び前後方向の力を受け、その力によってタイ
ヤは上下及び前後方向に振動する。このタイヤ振動時の
車両のばね下の加速度の周波数特性は、図2に示すよう
にa点、b点でピーク値を示す。a点は車両のばね下に
おける上下方向の共振周波数であり、b点は車両のばね
下における前後方向の共振周波数である。
【0028】タイヤの空気圧が変化すると、タイヤゴム
部のばね定数も変化するため、上記の上下方向及び前後
方向の共振周波数がともに変化する。例えば、図3に示
すように、タイヤの空気圧が低下すると、タイヤゴム部
のばね定数も低下するので、上下方向及び前後方向の共
振周波数が全体的に低周波側に移行し、ピーク値a点は
a′点にピーク値b点はb′点に移行する。従って、タ
イヤの振動周波数より、車両のばね下における上下方向
及び前後方向の共振周波数の少なくとも一方を抽出すれ
ば、この共振周波数に基づいてタイヤの空気圧の状態を
検知することができる。
【0029】一方、本発明者らの詳細な検討の結果、車
輪速度センサの検出信号には、タイヤの振動周波数成分
が含まれていることが解明された。即ち、車輪速度セン
サの検出信号を周波数解析した結果は、図4に示すよう
に2点でピーク値を示すとともに、タイヤの空気圧の低
下に伴い、その2点のピーク値も低下することが明らか
となった。このため、本実施例では車輪速度センサの検
出信号から、車両のばね下における上下方向及び前後方
向の共振周波数を抽出することで、タイヤ空気圧を検知
しようとするものである。
【0030】上記により、本実施例によれば、近年搭載
車両の増加しているABSを備える車両等は、既に各タ
イヤに車輪速度センサが装備されているため、何ら新た
なセンサ類を追加しなくともタイヤ空気圧の検知が可能
となる。車両の実用範囲では、上記共振周波数の変化量
は殆どタイヤ空気圧の変化に起因するタイヤゴム部のば
ね定数の変化に基づくものであり、タイヤの摩耗等の他
の要因の影響を受けることなく安定した空気圧検知が可
能となる。
【0031】以下図5のフローチャートを参照して、タ
イヤの空気圧が所定空気圧以下に低下したことを検知し
て警報を発するECU4の信号処理について説明する。
尚、ECU4は各車輪について同様の処理を行うため、
前記フローチャートは一つの車輪に対しての信号処理の
みを示している。また、処理内容は、特にタイヤの空気
圧が基準値以下に低下したことを検知し、運転者に警告
する例について示す。
【0032】イグニッションスイッチオンによりECU
4による信号処理がスタートするとステップ100で
は、ピックアップコイル3から出力された交流信号(図
6)を波形整形してパルス信号とした後、そのパルス間
隔を所定の時間で除算することにより車輪速度vを演算
する。この車輪速度vは図7に示すように、通常タイヤ
の振動周波数成分を含む多くの高周波成分を含んでい
る。ステップ110では、演算された車輪速度vの変動
幅△vが基準値v0以上か否かを判定する路面状態判定
処理を行う。車輪速度vの変動幅△vが、基準値v0
上と判定されるとステップ120に進む。
【0033】ステップ120では、車輪速度vの変動幅
△vが基準値v0以上となっている時間△Tが、所定時
間t0以上か否かを判定する路面長判定処理を行う。前
記ステップ110の路面状態判定処理、及びステップ1
20の路面長判定処理は、車両が走行している路面が、
本実施例の検知手法によってタイヤ空気圧の検知が精度
よく可能な路面か否かを判定するために行うものであ
る。つまり、本実施例ではタイヤの空気圧の検知を、タ
イヤの振動周波数成分に含まれる共振周波数の変化に基
づいて行う。このため、車輪速度vがある程度変動しか
つそれが継続されなければ、上記共振周波数を精度よく
算出するための充分なデータを得ることができない。
尚、前記ステップ120における判定では、車輪速度v
の変動幅△vが基準値v0以上となった時点で所定時間
△tが設定される。また、この所定時間△t内に再び車
輪速度vの変動幅△vがv0以上になると、時間△Tの
計測が継続される。
【0034】前記ステップ110及びステップ120の
どちらか一方において否定判断されると、ステップ10
0に戻る。また、ステップ110及びステップ120と
も肯定判定されるとステップ130に進み、演算された
車輪速度vに対して周波数解析(以下FFTという)演
算を行う。ステップ140では、ステップ130で算出
されたFFT結果を採用するか否かの判定を行う。
【0035】FFT結果を採用しない条件は以下のよう
な場合である。 (1)左右輪の振動レベルに大きな差がある場合。 (2)大きな横加速度を発生する旋回中。 (3)ABS或いはTRCの作動中。 (4)空気圧に依存するタイヤの振動レベル(以下信号
レベルという)に対し、それ以外の部分の振動レベル
(以下ノイズレベル)が一定以上の場合。
【0036】以上のような場合は、空気圧に依存するタ
イヤの共振現象がFFT演算結果に表れにくく、その結
果を用いて空気圧判定を行うと誤判定の原因になるため
FFT演算結果を採用しない。つまり、図5のフローチ
ャートに示すように上記(1)〜(4)の選別条件にす
べて該当しない場合のみステップ150に進み、(1)
〜(4)の選別条件のいずれか1つでも該当する場合
は、それ以降の処理は行なわずステップ100に戻る。
尚、ステップ140のデータ選択処理の内容について
は、後に詳細に説明する。
【0037】ステップ150では、車輪速度信号のゲイ
ン(大きさ)の調整を行う。このゲイン調整処理は、予
め定めた周波数範囲(f1〜f2)内の各ピーク値VP
値が、各FFT演算結果の波形に於いて、予め設定した
値VPK(同一値)に等しくなるように、ある係数K1
2,・・・をそれぞれFFT演算結果に乗ずる。この
ゲイン調整により、路面状態の入力の大きさがばらつい
てFFT結果のゲインの大きさが不揃いとなって、後述
するステップ180の平均化処理の効果が不安定になる
ことを防止することができる。
【0038】続くステップ160では、FFT演算回数
Nを積算する。実際に車両が一般道を走行して得られる
車輪速度に対してFFT演算を実施すると、図8に示す
ように非常にランダムな周波数特性となることが通常で
ある。これは、路面に存在する微妙な凹凸の形状(大き
さや高さ)が全く不規則なためであり、車輪速度データ
毎にその周波数特性は変動することとなる。従って、本
実施例では、この周波数特性の変動をできるだけ低減す
るために、複数回のFFT演算結果の平均値を求める。
【0039】そのため、ステップ170では、このFF
T演算の演算回数Nが所定回数n0に達したか否かを判
定する。達していない場合は、ステップ100〜ステッ
プ160の処理が繰り返される。演算回数Nが所定回数
0に達したときには、続くステップ180で平均化処
理を行う。この平均化処理は図9に示すように、各FF
T演算結果の平均値を求めるものであり、各周波数成分
のゲインの平均値が算出される。この平均化処理によっ
て、路面によるFFT演算結果の変動を低減することが
可能となる。
【0040】しかし、上述の平均化処理だけでは、ノイ
ズ等によって車両のばね下の上下方向及び前後方向の共
振周波数のゲインが、その近辺の周波数のゲインに比較
して必ずしも最大ピーク値になるとは限らないという問
題がある。そこで、上述の平均化処理に引き続き、ステ
ップ190において移動平均処理を実施する。この移動
平均処理は、n番目の周波数のゲインYを以下の演算
式によって求めることにより実施される。
【0041】
【数1】Yn=(yn+1+Yn-1)/2 つまり、移動平均処理では、n番目の周波数のゲインY
が、前回の演算結果におけるn+1番目のゲインy
n+1 と既に演算されたn−1番目の周波数のゲインY
n-1 との平均値とされる。これにより、FFT演算結果
は、滑らかに変化する波形を示すことになる。この移動
平均処理により求められた演算結果を図10に示す。
尚、ここでの波形処理は上記移動平均処理に限らず、前
記ステップ130のFFT演算を実施する前に、車輪速
度vの微分演算を行い、その微分演算結果に対してFF
T演算を実施してもよい。
【0042】続くステップ200では、上記移動平均処
理によりスムージングされたFFT演算結果に基づい
て、車両のばね下の前後方向の共振周波数fKを算出す
る。続くステップ210では、予め正常なタイヤ空気圧
に対応して設定されている初期共振周波数fK0と、逐次
演算される共振周波数fKとの低下偏差(fK0−fK)を求
め、前記fK0とタイヤ空気圧低下警告圧力(例えば1.
4kg/cm2)に対応する共振周波数fLとの判定偏差
△f=(fK0−fL)とを比較する。(fK0−fK)<△fで
あれば、前記ステップ100以下の処理を行う。また、
(fK0−fK)≧△fならばステップ220へ進んで、タ
イヤ空気圧の許容値を下回ったとして、表示部5により
運転者に対して警告表示を行う。
【0043】前記したステップ140のデータ選別処理
の具体的な方法について、図11のフローチャートを参
照して説明する。先ず、ステップ141では、左右輪の
振動レベルの差を求める。図12は、左右輪の振動レベ
ルの差のある場合のデータ例を示す。図12(a),
(b)は、右輪のみ路面の大きな荒れを走行した場合の
車輪速度時間波形とそのFFT波形を示している。この
データから判断されるように振動レベルの左右差は、以
下の3つの比較により区別することができる。 (1)車輪速信号の時間波形のピーク間の大きさv(p
−p)。 (2)FFT波形上の所定の周波数範囲でのゲインピー
ク値Gp。 (3)FFT波形上の所定の周波数範囲のゲインピーク
積算量Gf1〜f2
【0044】従って、上記v(p−p),Gp,Gf1
2のいずれかの値を用いて、その値の左右差が所定の
値以上になった場合は、ステップ142で左右輪の振動
レベル大と判断しデータを採用不可と判定しステップ1
00へ戻る。データ採用可の場合は、ステップ143へ
進んで横加速度を演算する。横加速度の大きさは、ステ
ップ100で算出された左右輪の車輪速度値(v)から
以下の式で演算することができる。
【0045】
【数2】G=(vO 2−vI 2)/2・T・g (G:横加速度、T:トレッド量、vO:旋回外輪車輪
速度、g:重量加速度、vI:旋回内輪車輪速度) 上式による横加速度の演算値が所定の値以上になった場
合は、ステップ144でデータを採用不可と判定してス
テップ100へ戻る。データ採用可の場合はステップ1
45へ進む。
【0045】尚、上式はABS技術における横加速度の
演算に用いられる式である。また、横加速度の大きさ
は、横加速度による左右輪間の荷重移動によって発生す
る左右輪の共振レベルの差から推定することもできる。
図13は旋回時の内外輪の車輪速信号のFFT波形であ
る。横加速度が大きくなるにつれて、旋回外輪では接地
荷重が増加する。このため、路面凹凸によりタイヤに入
力される加振力が大きくなり、図13(a)に示すよう
に所定周波数範囲のゲインピーク値Gp(0)或いはゲイ
ン積算量Gf1〜f2(O)が大きくなる。逆に旋回内輪で
は接地荷重が減少するため、外輪とは逆の理由で図13
(b)に示すように、ゲインピーク値Gp(I)或いはゲ
イン積算量Gf1〜f2(I)が小さくなる。この内外輪の
ゲインピーク値Gp或いはゲイン積算量Gf1〜f2は、
図14に示すように横加速度に応じて変化するので、こ
の値を横加速度の検出に用いることができる。
【0046】ステップ145では、図15に示すように
FFT演算結果の基になる車輪速信号の所定時間範囲内
でABS或いはTRCの作動が検出されると、ステップ
146でそのデータを採用不可とする。この場合はステ
ップ100へ戻り、ステップ147以降の処理は行わな
い。また、データ採用可の場合はステップ147に進
む。尚、ABS、TRCの作動の有無の信号は、ABS
及びTRCのECC(図示せず)と、本システムのEC
Cの間に信号通信線を設けることにより得ることができ
る。
【0047】ステップ147では、(信号レベル)/
(ノイズレベル)を演算する。ここで「信号」とは、タ
イヤ空気圧に依存して共振点が移動するタイヤ振動であ
り、「ノイズ」とはそれ以外の振動のことである。車輪
速信号には、「信号」成分であるタイヤの振動以外に
「ノイズ」であるタイヤ以外のサスペンションメンバ、
アーム等の振動成分も含まれている。従って、車輪速信
号のFFT演算結果には、「信号」成分と「ノイズ」成
分の両方が現れる。通常は、「信号」成分の方が大きい
ため問題は発生しないが、サスペンションのブッシュ等
の振動系の「ノイズ」成分が非線形であるため、路面状
態によっては、「ノイズ」成分の振動レベルが大きくな
り「信号」成分をマスクしてしまう。図16は(a)は
通常時のFFT波形、同図(b)は「ノイズ」成分が顕
著となった時のFFT波形である。図16(b)に示す
ような「ノイズ」成分の多いデータでは、「信号」成分
の共振点の判定が難しく、タイヤ空気圧判定を誤判定す
る原因となる。従って、ステップ147では、(信号レ
ベル)/(ノイズレベル)の大きさが所定値以下であれ
ば、データを採用不可とする。
【0048】次に具体的なデータの判別方法を説明す
る。「ノイズ」成分は主にサスペンション部材の共振現
象であるため、所定の周波数域に発生する。従って、
「ノイズ」の発生する周波数域にゲイン量と「信号」の
発生する周波数域のゲイン量の比較で相対的に「ノイ
ズ」成分の多いデータを判別する。図17(a)に示す
ように、通常時のFFT演算結果では所定の「ノイズ」
周波数範囲のゲイン積算量Nと所定の「信号」周波数範
囲のゲイン積算量Sの比N/Sは小さい値を示す。ま
た、図17(b)に示すように、「ノイズ」成分が顕著
となった時のFFT演算結果ではN/Sは大きい値を示
す。従って、ステップ147では、上記N/Sの大きさ
でデータ中の「ノイズ」成分の割合の多さを判断し、所
定値以上のデータを採用不可として、ステップ100へ
戻り、ステップ150以降の処理は行わない。データ採
用可の場合はステップ150へ進む。
【0049】また、データ中の「ノイズ」成分と「信
号」成分の割合は、FFT演算結果を用いず、以下のよ
うな車輪速信号の時間波形から求めることもできる。図
18(a)は「ノイズ」成分の少ない状態の車輪速時間
波形で、図18(b)は「ノイズ」成分の多い状態の車
輪速時間波形を示す。それぞれのデータについて、所定
の「ノイズ」周波数域及び「信号」周波数域のバンドパ
スフィルタを通した後の車輪速時波形を、同図
(a2),(a3),(b2),(b3),に示す。「ノイ
ズ」成分が少ない場合、バンドパスフィルタ後の振幅比
N(P-P)/fS(P-P)は小さい値を示す。逆に「ノイズ」
成分が多い場合、バンドパスフィルタ後の振幅比f
N(P-P)/fS(P-P)は大きい値を示す。従ってこのf
N(P-P)/fS(P-P)の値を用いて「ノイズ」成分の割合の
多さの判断に使うこともできる。
【0050】以上説明したように、図5のステップ14
0(図2のステップ141〜148)のデータ選別処理
において、すべての条件でデータが不採用とならなかっ
た場合のみリターンして、前記したステップ150(図
5)以下の各処理を行う。
【0051】尚、上記図5のステップ140(図11の
ステップ141〜148)のデータ選別処理は、上記実
施例のようにFFT演算結果を用いる代わりに、直接ば
ね定数を演算してタイヤ空気圧を検知する方法にも用い
ることができる。また、上記実施例では、車両のばね下
の前後方向の共振周波数のみに基づいて、タイヤの空気
圧の低下を検知する例を示したが、これに代えて上下方
向の共振周波数のみに基づきタイヤ空気圧の低下を検知
することもできる。また、前後方向及び上下方向の共振
周波数の両者に基づいて検知することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るタイヤ空気圧検知装置の概略構成
図である。
【図2】車両のばね下の加速度の周波数特性を示す特性
図である。
【図3】タイヤ空気圧の変化に伴う車両のばね下の上下
方向及び前後方向の共振周波数の変化の様子を示す特性
図である。
【図4】タイヤ空気圧の検知原理を示す説明図である。
【図5】ECUの処理内容を示すフローチャートであ
る。
【図6】車輪速度センサの出力電圧波形を示す波形図で
ある。
【図7】車輪速度センサの検出信号に基づいて演算され
た車輪速度vの変動状態を示す波形図である。
【図8】車輪速度vの時間波形に対するFFT演算結果
を示す特性図である。
【図9】平均化処理を示した説明図である。
【図10】移動平均処理を行った後のFFT演算結果を
示す特性図である。
【図11】ステップ140のデータ選別処理の詳細を示
したフローチャートである。
【図12】左右輪の入力レベルの違う実走行時の車輪速
信号及びFFT演算結果を示す説明図である。
【図13】旋回走行時のFFT演算結果を示す説明図で
ある。
【図14】横加速度に対する左右輪の信号レベルの比を
示す特性図である。
【図15】ABS,TRC作動時のデータ選別処理を示
す説明図である。
【図16】ノイズ成分の振動レベルが多い場合のFFT
演算結果を示す説明図である。
【図17】信号レベル/ノイズレベルによるデータ選別
処理を示す説明図である。
【図18】車輪信号から信号レベル/ノイズレベルによ
るデータ選別処理を示す説明図である。
【符号の説明】
1a〜1d タイヤ 2a〜2d パルサ 3a〜3d ピックアップコイル 4 EUC
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 冨板 健治 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−221208(JP,A) 特開 平6−183231(JP,A) 特開 平5−213019(JP,A) 特開 平6−92114(JP,A) 特開 昭63−305011(JP,A) 特許2836652(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60C 23/00 - 23/06 G01L 17/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の走行時にタイヤの振動周波数成分
    を含む信号を出力する出力手段と、前記信号から共振周
    波数成分の信号を抽出する抽出手段と、左右輪の振動
    ベルの差を求める手段と、前記求められた左右輪の振動
    レベルの差を予め設定された値と比較して、前記抽出さ
    れた共振周波数成分の信号から共振周波数の演算に用い
    る共振周波数成分の信号を選別する信号選別手段と、選
    別された共振周波数成分の信号から共振周波数を演算す
    る演算手段と、共振周波数に基づいてタイヤの空気圧の
    状態を検知する検知手段とを備えたことを特徴とするタ
    イヤ空気圧検知装置。
  2. 【請求項2】 回レベルを検出する検出手段を備え、
    前記信号選別手段は、さらに前記検出された旋回レベル
    の大きさを予め設定された値と比較して前記信号の選別
    を行うことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧
    検知装置。
  3. 【請求項3】 ンチロックブレーキシステムとトラク
    ションコントロールシステムの作動を検出する検出手段
    を備え、前記信号選別手段は、さらに前記アンチロック
    ブレーキシステム若しくはトラクションコントロールシ
    ステムの作動の有無から前記信号の選別を行うことを特
    徴とする請求項1または2に記載のタイヤ空気圧検知装
    置。
  4. 【請求項4】 前記抽出手段は、前記信号からタイヤの
    共振周波数成分の信号を抽出する第1抽出手段と、前記
    信号からタイヤの共振周波数成分以外の周波数成分の信
    号を抽出する第2抽出手段とからなり、前記信号選別手
    段は、さらに前記第1抽出手段で抽出された信号と前記
    第2抽出で抽出された信号の割合の大きさを予め設定さ
    れた値と比較して前記信号の選別を行うことを特徴とす
    請求項1ないし3のいずれか1つに記載のタイヤ空気
    圧検知装置。
  5. 【請求項5】 車両の走行時にタイヤの振動周波数成分
    を含む信号を出力する出力手段と、前記信号の左右輪の
    振動レベルの差を求める手段と、前記求められた左右輪
    の振動レベルの差を予め設定された値と比較して、前記
    信号からタイヤばね定数の推定に用いる信号を選別する
    信号選別手段と、選別された信号からタイヤばね定数を
    推定する推定手段と、タイヤばね定数に基づいてタイヤ
    の空気圧の状態を検知する検知手段とを備えたことを特
    徴とするタイヤ空気圧検知装置。
  6. 【請求項6】 回レベルを検出する検出手段を備え、
    前記信号選別手段は、さらに前記旋回レベルの大きさを
    予め設定された値と比較して前記信号の選別を行うこと
    を特徴とする請求項5に記載のタイヤ空気圧検知装置。
  7. 【請求項7】 ンチロックブレーキシステムとトラク
    ションコントロールシステムの作動を検出する検出手段
    を備え、前記信号選別手段は、さらに前記アンチロック
    ブレーキシステム若しくはトラクションコントロールシ
    ステムの作動の有無から前記信号の選別を行うことを特
    徴とする請求項5または6に記載のタイヤ空気圧検知装
    置。
  8. 【請求項8】 前記振動周波数成分を含む信号からタイ
    ヤの共振周波数成分とそれ以外の周波数成分の信号レベ
    ルの割合を抽出する抽出手段を備え、前記信号選別手段
    は、さらに前記信号レベルの割合の大きさを予め設定さ
    れた値と比較して前記信号の選別を行うことを特徴とす
    請求項5ないし7のいずれか1つに記載のタイヤ空気
    圧検知装置。
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