JP3351103B2 - 半導体発光素子 - Google Patents
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Description
イオードなどの半導体発光素子に関し、特に高出力、高
効率の半導体発光素子に関する。
どの半導体発光素子が求められている。発光素子の高出
力での動作は、動作電流の増大及び動作時の発熱の増大
を招き、発光素子の寿命及び信頼性に大きな影響を与え
ている。
面を示している。従来の半導体発光素子101は放熱特
性を向上させるため、ステム102上に銅ブロック10
3を設け半導体レーザチップ104をフェイスダウンで
銅ブロック103にダイボンドしている。銅ブロック1
03上に熱伝導特性の良いダイアモンドなどのサブマウ
ント(図示せず)を設け、サブマウント上に半導体レー
ザチップ104を実装する方法もとられている。
05を介してリード線106に接続されており、半導体
チップ104から出射された光はガラス板106の設け
られたキャップ108の開口部107から外部へ出射さ
れる。キャップ108の内部は、空気あるいは不活性ガ
スからなる気体109で満たされている。
される光の波長を変換するための波長変換素子が知られ
ている。特開昭63−128914には半導体レーザと
波長変換素子を用いた青色レーザ光源および光情報記録
装置が示されている。また、特開平1−237887及
び特開平1−63731には、半導体レーザと、半導体
レーザ光を集光するレンズと、波長変換素子と、波長変
換素子の劣化を防止するための不活性媒体からなる半導
体装置が示されている。
従来技術による半導体発光素子では、主として半導体レ
ーザチップ104と銅ブロック103の接触部分からの
み動作により生じた熱が放散されるため、放熱効率低
い。このため特に半導体発光素子101を高出力で動作
させると、低い放熱効率のために半導体レーザチップの
温度が非常に上昇し、半導体発光素子101の劣化が著
しいという問題が生じていた。
子とを有する半導体装置では、半導体チップから出射さ
れる光の出射角が広いために、半導体レーザチップから
出射した光をすべてレンズや波長変換素子へ導くことが
難しかった。その結果外部出射効率が悪くなっていた。
複数のレンズを用いて半導体チップから出射される光を
集光することも可能であるが、装置の構造が複雑にな
り、製造コストの上昇を招いたり、小型の装置に製造す
ることが難しかった。
れたものであり、その目的とするところは、簡単な構成
により、高出力、高信頼性、及び高効率を有する半導体
発光素子を提供することにある。
は発光面を有する半導体発光チップと、該半導体発光チ
ップを包むキャップと、該キャップの内部に空間を残す
ように満たされた絶縁性不活性液体とを備え、前記キャ
ップは底部に開口を有する凹部が設けられた面と、該開
口に設けられた該半導体発光素子が発光する光を透過す
る材質でできた透明板とを有し、前記発光面の全面と該
透明板の全面との間が前記絶縁性不活性液体で満たされ
ており、そのことにより上記目的が達成される。
また、前記半導体発光素子は更に前記キャップ内に封入
されたマイクロカプセルと、該マイクロカプセルが発光
面から出射される光を遮らないようにするための手段と
を有し、前記空間はマイクロカプセルに内包されていて
もよい。
光波長変換素子を有することが好ましい。前記絶縁性不
活性液体はフッ素系不活性液体であることが好ましい。
更に前記絶縁性不活性液体が塩素を含まないフッ素系不
活性液体であることが好ましい。
液体の体積との割合は、約1:9であることが好まし
い。
を有し、発光体の発光面や素子の光出射面と良好に光学
的接続が可能な光学媒体として半導体発光素子に用い
る。
銅ブロックからだけでなく、不活性液体を通じておこな
われるため、チップ全体を冷却することが可能となり、
半導体発光素子の温度特性のみならず信頼性向上がはか
れる。
を設けているため、温度変化による不活性液体の体積膨
張を吸収しうる。また、半導体レーザもしくは光波長変
換素子から出射したレーザ光の出射角の広がりを抑え、
効率よく集光レンズもしくは光波長変換素子に入射させ
ることが可能となる。したがって、集光レンズなどの光
学レンズの開口径NAを小さくでき、またレーザ光源装
置の小型化、低コスト化が可能となる。
による半導体発光素子1の断面図を示している。半導体
発光素子1は、ステム2、ステム2上に設けられた銅ブ
ロック3、及び銅ブロック3の一部にダイボンディング
された半導体レーザチップ4を有している。ステム2に
はリード線5が設けられており、半導体発光チップ4と
ワイヤ6を介して接続されている。半導体発光素子1
は、半導体レーザチップ4及び銅ブロック3を包み込む
ように設けられたキャップ7を有している。キャップ7
には開口部8が設けられており、開口部8にガラス板9
がとりつけられている。半導体発光チップ4から出射さ
れた光はガラス板9を通過して半導体素子1の外部へ出
射される。ガラス板9は、半導体レーザチップ4から出
射される光を透過する材料でできている。キャップ7
は、ステム2に溶接されている。ステム2及びキャップ
7によって形成される空間には空間11を残すように、
絶縁性不活性液体10が封入されている。
であり、かつ半導体発光チップ4の材料と反応しない液
体であることが必要である。更に絶縁性不活性液体10
は、半導体発光チップ4から発光される光を吸収しない
ことが必要である。具体的には、エーテル、アルコー
ル、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、エチレングリコー
ル、フッ素不活性液体などが適している。特に、フッ素
系不活性液体は1×10 14Ωcm以上の比抵抗を有し、
また、1μm以下の波長の光を吸収しないので本発明に
用いる絶縁性不活性液体として適している。
活性液体との熱伝導率の比較を示す。フッ素系不活性液
体は、空気および窒素ガスと比べ約一桁高い熱伝導率を
有しており、この値は、水とほぼ同等である。したがっ
て、半導体レーザチップ4が発生する熱は、銅ブロック
3と半導体レーザチップ4との接続面から放熱されるだ
けではなく、半導体レーザチップ4の表面全体から絶縁
性不活性液体10へ放熱される。また、半導体レーザチ
ップ4の表面に対して絶縁性不活性液体10は不活性な
ため、特にアルミニウムを含む半導体からなる半導体レ
ーザチップ4の発光端面が酸化し、劣化するのを防止で
きる。フッ素系絶縁性不活性液体として例えば、商品名
フレオン、商品名フロリナートなどのフッ素系炭化水素
が適している。本実施例では、フッ素系不活性液体とし
て徳山曹達(株)製IL270を用いるが、他の種類の
フッ素系不活性液体であってもよいことは容易に理解さ
れる。
の温度依存性を示す。0℃から50℃の間に約10%密
度が減少している。したがって、キャップ7及びステム
2内に封入された絶縁性不活性液体が、温度上昇ととも
に熱膨張をおこし、パッケージの形状が変形、もしくは
破損しないように、空間11の設ける必要があることが
わかる。半導体レーザの保存温度範囲は、通常、ー20
℃から80℃、組立実装時の温度は約25℃であるか
ら、キャップ4及びステム2によって形成される全空間
の体積に対し空間11の体積が約10%以上残るように
絶縁性不活性液体10を封入することが好ましい。
造方法を説明する。ステム2、リード線5、銅ブロック
3、及び半導体レーザチップ4をダイボンディングなど
従来の方法で相互に接続した後、リード線5と半導体レ
ーザチップ4をワイヤ6で接続する。ガラス板9が開口
部8に取り付けられたキャップ7を用意し、ガラス板9
が底部となるようにキャップ7を保持し、キャップ7の
容量に対し90%程度のフッ素系不活性液体10をキャ
ップ7に満たす。
キャップ7の開口部に合わせキャップ7とステム4を溶
接し、密封する。
ーザチップ4を有するステム2とキャップ7とをフッ素
系不活性液体10を中に注入しないで、まず溶接する。
このとき、ステム2とキャップ7とを完全には溶接しな
いで、キャップ7内の空気が排気できる程度の未溶接部
分が残るようにする。ついで、ステム2がとりつけられ
たキャップ7を真空容器(図示せず)に入れ、真空容器
を1Torr以下に排気する。これによってキャップ7
内の空気が排気され、キャップ7内が減圧状態になる。
その後、ステム2のとりつけられたキャップ7をフッ素
系不活性液体内に浸す。キャップ7とステム2との未溶
接部分から不活性液体が流入するので、適当な量のフッ
素系不活性液体がキャップ7に流入するのをガラス板9
を通して観察しながら、所定の量の不活性液体でキャッ
プ7が満たされたあと、ステム2のとりつけられたキャ
ップ7をフッ素系不活性液体から引き上げる。その後、
キャップ7内が完全に大気圧に戻るまで放置した後、未
溶接部分を溶接する。
に適用した例を示しながら本発明をさらに具体的に説明
する。
式的断面を示している。光ファイバ結合モジュール21
は、ステム22、ステム22の一面上に設けられた銅ブ
ロック23、及び銅ブロック23の一部にダイボンディ
ングされた半導体レーザチップ24を有している。ステ
ム22にはリード線25が設けられており、半導体発光
チップ24とワイヤ26を介して接続されている。光フ
ァイバ結合モジュール21は、半導体発光チップ24及
び銅ブロック23を包み込むように設けられたキャップ
28を有している。キャップ28は開口27を有してお
り、開口27に光ファイバ35が挿入されている。光フ
ァイバ35は、フェルール36及びフェルール受け37
によって、キャップ27に固定されている。キャップ2
7とステム23によって形成される空間には、空間31
を残すように絶縁性不活性液体30が封入されている。
多重量子井戸型ストライプ構造の半導体レーザを用いた
光ファイバー結合モジュール21の動作特性を示すグラ
フである。半導体発光チップ24はInGaP/AlG
aInPからなる多重量子井戸構造の活性層とAlGa
InPからなるクラッド層とを有しており、室温で67
0nmの波長を有する赤色光を発光する。実線で示され
るカーブは、光ファイバ結合モジュール21の動作特性
を示している。破線で示されるカーブは、比較のための
絶縁性不活性液体を封入せずに作製した光ファイバ結合
モジュールの動作特性を示している。図から明らかなよ
うに、絶縁性不活性液体を封入することにより、高出力
が達成されている。具体的には、800mAの電流を光
ファイバ結合モジュールに流した場合、絶縁性不活性液
体封入しないモジュールでは200mWの出力が得られ
るが、光ファイバ結合モジュール21では270mWの
出力が得られる。このような出力の改善は、以下に示す
理由によって説明される。
縁性不活性液体30によって効率よく冷却されるために
半導体レーザチップ28の温度が上昇することが抑えら
れる。これによって、CODレベル(Catastrophic Opti
cal Damage)が向上し、また半導体レーザチップ28の
端面の劣化が防げる。また、再結合効率が改善されるの
で、スロープ効率(図示されているグラフの傾き)が向
上する。
絶縁性不活性液体と接するために、端面での反射率が改
善される。このことにより、閾値電流が低減される。具
体的には、閾値電流が450mAから400mAに低減
されている。
寿命試験の結果を示している。比較のために絶縁性不活
性液体封入しないモジュールの試験結果を破線で示して
いる。図から明らかなように、本発明の光ファイバ結合
モジュール21では100時間経過後も出力が低下して
いない。また、CODレベルが向上しているので、絶縁
性不活性液体封入しないモジュールに較べ高い出力が得
られていることが分かる。一方、従来のモジュールは、
高出力を得ることができないし、劣化する速度が速いこ
とが分かる。
による半導体発光素子41の断面を示している。半導体
発光素子41において、実施例1の半導体発光素子1と
キャップ42の構造が異なっている。キャップ42の上
面43に、凹部46が設けられており、凹部46の開口
部49にガラス板44が設けられている。キャップ42
の上面43の位置はガラス板44の位置より距離45だ
け高くなっており、絶縁性不活性液体10の液面が窓4
4よりも高くなっている。ガラス板44は、半導体発光
チップ4側の面48を有しており、面48の全体が絶縁
性不活性液体10に接している。その結果、絶縁性不活
性液体10は半導体レーザチップ3の光出射端面47の
全面とガラス板44の面48の全面の間を光学的に連続
的に接続している。空間12は、ウインド44よりも高
い位置に設けられるため、半導体発光素子41が多少傾
いても絶縁性不活性液体10の液面の移動により光出射
端面47とウインド44との間に空間12が移動するこ
とはない。
1は、半導体レーザチップ4から出射された光が、直
接、絶縁性不活性液体10を通って、ガラス板44に達
するために、空間12と絶縁性不活性液体10との界面
で光が屈折したり散乱することがない。特に、半導体発
光素子41が動作中に振動し、絶縁性不活性液体10の
液面が乱れる場合にも、液面の乱れによる光の散乱など
の影響を受けずに安定して光を発光することができる。
レンズを有するレーザモジュールにおいて集光効率の改
善をもたらす。図8は、光学レンズ52を有する半導体
発光素子51の断面を示している。半導体発光素子51
は、図7に示される半導体発光素子41のガラス窓44
の代わりに光学レンズ52を有している。
2の上面43に、凹部46が設けられており、凹部46
の低部に光学レンズ52が設けられている。キャップ4
2の上面43の位置は光学レンズの位置より距離45だ
け高くなっており、絶縁性不活性液体10の液面が光学
レンズ52よりも高くなっている。光学レンズ52は、
半導体発光チップ4側の面53を有しており、面53の
全体が絶縁性不活性液体10に接している。その結果、
絶縁性不活性液体10は半導体レーザチップ3の光出射
端面47の全面と光学レンズ52の面53の全面の間を
光学的に連続的に接続している。絶縁性不活性液体10
は半導体レーザチップ3の光出射端面47の全面と光学
レンズ52との間を光学的に連続的に接続している。
及び水平方向に10度の角度で780nmの光を出射す
るとき、レーザ光強度が1/e2になるときのいわゆる
出射レーザ光量の95%を受けることが可能な光学レン
ズ52のNAを求めた。用いた計算式は出射角度をθと
したとき、NA=2sin(θ/2)である。
及び1.4の時レンズのNAはそれぞれ0.42及び
0.36であれば半導体レーザチップ4から出射される
光が95%集光されることがわかる。一方、絶縁性不活
性液体10の代わりに空気で満たされている場合、屈折
率は1となるので0.52のNAを有する光学レンズが
必要なことがわかる。これは、半導体レーザチップ4を
構成する半導体が空気よりも屈折率の大きな絶縁性不活
性液体10に接することによって半導体レーザチップ4
からの実質的な出射角が小さくなるからである。
て、小さな口径を有するレンズを用いることができ、半
導体発光素子51を小型化することができる。また、N
Aの大きなレンズは一般に高価であるが、本発明によれ
ば、NAの小さな安価なレンズを用いることができるの
で、低コストで半導体発光素子を製造するこができる。
体発光素子の特徴のひとつはキャップに形成された窓と
半導体レーザチップの間を連続的に絶縁性不活性液体が
満たしていることにある。このような本実施例の特徴は
以下に示すような別の構造によっても実現される。
を示している。図9(b)は図9(a)に垂直な方向の
断面を示している。半導体発光素子61は、キャップ7
の内側に内筒62を有している。内筒62は、半導体レ
ーザチップ4から出射される光を遮らないような内空間
を有する。キャップ7と内筒62との間にはマイクロカ
プセル64が満たされている。キャップ7及びステム2
で形成される空間内には、絶縁性不活性液体63で完全
に満たされている。
性を有している。具体的には、内部に空気あるいは不活
性ガスを含む風船、あるいは微小孔を有する発泡性樹脂
でできており、絶縁性不活性液体63が膨張したときに
マイクロカプセル64自身の体積が減少し、キャップ7
が絶縁性不活性液体63の膨張によって破裂するのを防
ぐ。絶縁性不活性液体63の膨張率を考慮し、キャップ
7とステム2によって閉じこめられる空間の1割以上収
縮し得るようマイクロカプセル64をキャップ7内に封
入する。また、図9(c)に示されるように、内筒62
はその内空間と外空間との間で絶縁性不活性液体63は
移動しうるが、マイクロカプセル64は内空間へ移動で
きないように、マイクロカプセル64の直径よりも小さ
な穴65を有している。実用上、マイクロカプセル64
は1〜2mm程度の直径を有していることが好ましく、
穴65はそれよりも小さければよい。あるいは、穴65
の代わりにマイクロカプセル64の直径よりも小さな幅
を有するスリット66を複数設けてもよい。
がないので半導体発光素子61をどのように激しく振動
させても半導体レーザチップ4の出射面12と窓7との
間は常に絶縁性不活性液体63で満たされる。従って、
半導体発光素子61は、絶縁性不活性液体63の液面の
乱れによる光の散乱などの影響を受けずに安定して光を
発光することができ、特に、振動の多い状態で用いられ
る場合に適している。
断面を示している。半導体発光素子71は、入口73及
び出口74を備えたキャップ72を有している。入口7
3及び出口74は、管76を介してそれぞれポンプ75
の吐出口及び吸入口に接続されている。キャップ72及
び管76内は、絶縁性不活性液体77で満たされてい
る。管76の途中に管76内を流れる絶縁性不活性液体
77を一定の温度に保つための冷却器78が挿入されて
いる。ポンプ75及び冷却器78によって、キャップ7
2内の絶縁性不活性液体77は一定の流速で所定の温度
に保たれながら循環ささせられる。半導体レーザチップ
4が十分冷却され、かつ絶縁性不活性液体77中にキャ
ビティが生じないように流速は決定される。半導体発光
素子71において、半導体レーザチップ4は常に一定温
度に保たれた絶縁性不活性液体77に接しており、光の
出射によって生じた熱は、絶縁性不活性液体77によっ
て放散される。従って、半導体レーザチップ4は動作
中、常に一定の温度に保たれる。絶縁性不活性液体77
も一定の温度に保たれており、熱膨張することがないの
で、キャップ72内に空間を設ける必要はない。
71の動作中、発光波長及び出力が非常に安定するとい
う利点が得られる。特に、この構造は、1W以上の出力
を有する大出力半導体発光素子に適している。
ガラス板9を有する半導体発光素子61及び71を説明
したが、ガラス板9の替わりに光学レンズを設けてもよ
い。また、上記実施例では、半導体レーザチップを有す
る半導体発光素子を説明したが、発光ダイオードにも適
用できることは理解される。
施例による半導体発光素子81の模式的断面を示してい
る。半導体発光素子81は、半導体レーザチップ83、
光波長変換素子84、及び光学レンズ85とを有してい
る。筐体86が半導体レーザチップ83及び光波長変換
素子84を備えたステム82を覆っており、筐体86の
側面に開口部92が設けられ、光学レンズ85が設けら
れている。筐体86内には、空間88を残して絶縁性不
活性液体87が満たされている。半導体発光チップ83
の出射端面88と光波長変換素子84の入射端面89及
び光波長変換素子の出射端面90と光学レンズの面91
との間は連続的に絶縁性不活性液体87で満たされてい
る。空間86は実施例1で説明されるように、絶縁性不
活性液体87が熱膨張したときに筐体86が破裂するの
を防ぐ働きをする。光波長変換素子84は、具体的に
は、二次高調波発生素子であり、半導体レーザチップ8
3から出射された光は光波長変換素子84によって、半
分の波長の光に変換される。このような光波長変換素子
は公知であり、例えば、日本国特許出願公開公報第平2
−167531号や、米国特許第5205904号に開
示されている。
変換素子84の斜視図を示している。この光波長変換素
子84はLiTaO3からなる基板93中に形成され
る。基板93中に光導波路94が形成されている。さら
に光導波路94とは垂直な方向に疑似位相整合させるた
めに周期的に分極反転層95及び非分極反転層96が基
板93中に設けられている。光導波路94は基板93を
リン酸に浸しプロトン交換を行うことによって形成され
る。光導波路94の端面97から入射した基本波P1は
分極反転層95中で高調波P2に変換され、非分局極反
転層96で増幅される。光波長変換素子84によれば、
波長0.84μmの基本波P1を出力40mWで端面9
7に入射させると、端面98から波長0.42μmの高
調波P2が出力2mWで得られる。端面97及び98は
1.4μmx2μmの矩形である。
難な青色光を得ることができるが、変換効率は5%程度
である。従って、半導体レーザチップ83から出射され
たレーザ光をできるだけ効率よく光波長変換素子84に
入射させる必要がある。本発明の半導体発光素子81に
よれば、以下に示すように半導体レーザチップ83から
の光を効率よく波長変換素子84へ導きさらに、光学レ
ンズ85によって集光させることができる。
は、実施例2で説明されるように出射角度αを有してお
り、広がって進行する。これは、半導体レーザチップ8
3が半導体よりも屈折率の小さい空気などと接している
ため、スネルの法則射に基づいて出射される光が、端面
88で屈折するためである。従って、半導体レーザチッ
プ83からの光をできるだけ多く光波長変換素子84へ
入射させるためには、半導体レーザチップ83の出射端
面88と光波長変換素子84の入射端面89はできるだ
け近接している方が好ましい。
ーザ光が光波長変換素子84の入射面89に設けられた
導波路の端面97に入射する光量(結合効率)が50%
のとき、半導体レーザチップ10の端面88と光波長変
換素子84の入射端面89間の距離xと半導体レーザの
出射角αの関係を示している。図4に示されるように、
出射角αが小さければ距離xが大きくなっても50%の
結合効率を得ることができるのが分かる。
る媒体が空気(屈折率1)及び絶縁性不活性液体(屈折
率1.24及び1.4)であるとき、20度程度の出射
角αに対する距離xの関係を以下の表2に示す。
とによって半導体レーザチップ83が空気に接する場合
に較べ1.6〜2倍長い距離xをとることができること
が分かる。従来10μm以内の間隔で半導体レーザチッ
プ83と光波長変換素子84を配置することは困難であ
ったが、絶縁性不活性液体を用いることにより配置間隔
を長くすることができるので、半導体レーザチップ83
と光波長変換素子84とを効率良く配置できる。
84との位置合わせは筐体86内を絶縁性不活性液体8
7で満たさないで行う方が容易である。まず、絶縁性不
活性液体87で筐体86を満たした場合、半導体レーザ
チップ83と半導体レーザチップ83とが満たすべき配
置関係を計算によって求める。次に絶縁性不活性液体8
7で筐体86が満たされていない場合、その位置で得ら
れる光結合効率を求める。筐体86内を絶縁性不活性液
体87で満たさないで計算によって求めた光結合効率が
得られるように半導体レーザチップ83と半導体レーザ
チップ83とを実際に配置する。最後に筐体86内を絶
縁性不活性液体87で満たす。
実施例2で説明されるように、光学レンズ85へ入射す
る光の出射角θも小さくすることができる。
した光の強度の50%の強度が得られる半値角度をθ1
とし、光学レンズ85に光波長変換素子84の出射端面
90から出射された光の95%取り込むときの実効的な
角度をθ2としたとき、必要な光学レンズ85の開口径
NAの計算結果を以下の表3に示す。
射端面90からの光を実用上すべて光学レンズ85に入
射させる必要があるため、出射端面90から出射された
光の95%取り込むときの値を示している。
間が空気(屈折率n=1)で満たされているときは、
0.65のNAを有する光学レンズが必要となる。この
ような光学レンズは、量産が困難であるため非常に高価
である。一方、本発明によれば、比較的安価なNAが
0.4から0.5程度の光学レンズを用いることができ
るため、低コストで青色を発光する光半導体素子を製造
することができる。また、半導体レーザチップ83に対
し光波長変換素子84を精度よくかつ容易に配置でき
る。
発光素子81において、半導体発光チップ83及び光波
長変換素子84は絶縁性不活性液体87で覆われている
ので、半導体発光チップ83が動作中に発する熱は、絶
縁性不活性液体87に効率よく放散される。また、絶縁
性不活性液体87は、保護膜としても機能するので半導
体発光チップ83及び光波長変換素子84の表面が酸化
し特性が劣化するのが防がれる。
プの中に絶縁性不活性液体、例えばフッ素系不活性液体
を封入することにより、半導体発光素子チップ全体を冷
却することが可能となり、半導体発光素子の光出力が増
大すると高出力で安定した動作が実現され素子の信頼性
が向上する。特に従来高出力半導体レーザではチップを
フェイスダウンに実装していたが、本発明ではフェイス
アップ実装も可能となる。
膨張してもパッケージのキャップ内には空間が設けられ
ているので、キャップが破裂するおそれがない。従って
広い温度範囲で本発明の半導体発光素子を使用すること
ができる。
ガラス板あるいは光学レンズを設けることによって、ガ
ラス板あるいは光学レンズと半導体発光素子チップとの
間が常に絶縁性不活性液体で満たされる。従って、半導
体発光素子チップから出射する光の広がりが抑えられ、
高効率で光をパッケージ外へ発光させることができる。
が可能となるので、コンパクトで低コストの発光素子を
得ることができる。また、振動の多い使用状態でも出射
光が乱れることなく安定した発光が得られる。
光学レンズとの間に設け場合、半導体レーザチップと光
波長変換素子間の光結合のアライメント実装が容易にな
り、さらに集光レンズのNAを小さくでき、光結合効率
の向上により従来に比べ大きな光出力が低コストで得ら
れる。
子の断面を示す図
対流による熱伝導率を示す図
度と温度との関係を示す図
の断面を示す図
す図
子の断面を示す図
子の断面を示す図
素子の断面を示す図
波長変換素子を示す斜視図
半導体発光チップから所定の強度で光波長変換素子が光
を受け取るために必要な距離との関係を示す図
Claims (7)
- 【請求項1】発光面を有する半導体発光チップと、 該半導体発光チップを包むキャップと、 該キャップの内部に空間を残すように満たされた絶縁性
不活性液体と、 を有し、前記キャップには底部に開口を有する凹部が設けられた
面と、 該開口に設けられた、該半導体発光素子が発光する光を
透過する材料でできた透明板とを有し、前記発光面の全面と該透明板の全面との間は前記絶縁性
不活性液体で満たされている 、半導体発光素子。 - 【請求項2】 透明板が光学レンズである請求項1記載
の半導体発光素子。 - 【請求項3】発光面を有する半導体発光チップと、 該半導体発光チップを包むキャップと、 該キャップの内部に空間を残すように満たされた絶縁性
不活性液体と、 を有し、前記半導体発光素子は更に前記キャップ内に封入された
マイクロカプセルと、該マイクロカプセルが発光面から
出射される光を遮らないようにするための手段とを有
し、前記空間はマイクロカプセルに内包されている 、半
導体発光素子。 - 【請求項4】 半導体発光チップからの光を波長変換す
る光波長変換素子を有する請求項1から3までのいずれ
かに記載の半導体発光素子。 - 【請求項5】 前記絶縁性不活性液体がフッ素系不活性
液体である、請求項1から3までのいずれかに記載の半
導体発光素子。 - 【請求項6】 前記絶縁性不活性液体が塩素を含まない
フッ素系不活性液体である、請求項5に記載の半導体発
光素子。 - 【請求項7】 前記空間の体積と前記絶縁性不活性液体
の体積との割合が約1:9である、請求項1から6まで
のいずれかに記載の半導体発光素子。
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