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JP3343079B2 - 光ファイバコア部材と光ファイバ母材およびそれらの製造方法 - Google Patents

光ファイバコア部材と光ファイバ母材およびそれらの製造方法

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JP3343079B2
JP3343079B2 JP23799898A JP23799898A JP3343079B2 JP 3343079 B2 JP3343079 B2 JP 3343079B2 JP 23799898 A JP23799898 A JP 23799898A JP 23799898 A JP23799898 A JP 23799898A JP 3343079 B2 JP3343079 B2 JP 3343079B2
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core member
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core
chlorine
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大 井上
浩 小山田
忠克 島田
秀夫 平沢
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Publication date
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバのコア
部材、光ファイバ母材(プリフォーム)、特には塩素を
ドープした分散特性の高いシングルモード光ファイバ用
コア部材、光ファイバ母材に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバを通過する光が基底モードの
みになる波長をカットオフ波長という。カットオフ波長
より長い波長の光がこの光ファイバに入射すると、高次
モードが消滅し、基底モードのみが伝播する。一方、シ
ングルモード光ファイバにおいては、分散により信号劣
化が生じる。分散がなくなる波長をゼロ分散波長とい
う。使用波長が決まっていることから市場で要求される
ゼロ分散波長の上限が決まる。
【0003】光ファイバを接続する際に、光が伝播する
領域が狭いと、この接続ポイントにおける光信号の損失
が大きくなり易い。この光が伝播する領域はモードフィ
ールド径(MFD)で表される。一般にシステムは複数
の接続ポイントを持つため、光ファイバは損失が許容範
囲以下に収まる程度のMFDを持つ必要がある。このよ
うにして市場で要求されるMFDの最小値が決定され
る。
【0004】光ファイバ内を伝播する光は、光ファイバ
が曲がっていることにより外に漏れ出し、従って信号が
劣化する。これを曲げ損失と呼ぶ。この曲げ損失は光フ
ァイバのカットオフ波長λC とMFDの比と相関がある
ことが判っている。この曲げ損失を許容範囲以下に抑え
る必要性からカットオフ波長の下限とモードフィールド
径の上限が限定されることになる。
【0005】光ファイバを通過する光は、厳密には単一
波長ではないため、その波長の差により伝送速度に差が
生じ信号が広がる。この現象は分散と呼ばれている。前
述のように分散が0となる波長をゼロ分散波長と呼ぶ。
理想的にはシステム全体で使用波長における分散が0で
あることが望ましい。つまり、分散補償ファイバを用い
ない通常のシステムにおいては、使用波長とゼロ分散波
長が一致することが望ましい。このようにして市場で要
求されるゼロ分散波長の範囲が決定される。
【0006】以上のような制約から、図2(a)に示す
ような光ファイバの設計エリアが決定される。ここで、
図2は、カットオフ波長λC とMFDとの関係を表した
図で、曲げ損失の許容範囲に対応するλC とMFDを決
めることができる。通常、このような設計エリアに収ま
るようにコアの屈折率分布およびクラッドの厚みが決定
される。ここで、ある屈折率分布を持ったコア部材が在
る時にクラッド厚みを決定する作業を「設計する」と言
う。
【0007】例えば、1310nmを使用波長とする一
般的な光ファイバでは、公知のとおり理想的な屈折率分
布は完全な矩形であるが、VAD法(気相軸付け法)や
OVD法(外付け化学気相蒸着法)といった現実の製造
方法で矩形にするのは非常に困難である。なぜなら、一
般にこれらの製造方法では、外周から中心に近い程高く
なるなだらかな屈折率の上昇がクラッドに現れるためで
ある。この屈折率の上昇は脱水・ガラス化の工程におい
て加熱されることによりコアからクラッドへドーパント
であるGeが拡散することによって起こっている。
【0008】通常はこのようになだらかな屈折率の上昇
があるプロファイルでしか製造できないために、図2
(c)に示すように、従来の実際に設計できる「設計可
能エリア」は、市場の要求で決まる図2(a)の「設計
エリア」の内非常に狭い部分のみとなってしまう。ま
た、このような「設計可能エリア」内のもののみである
と、図3(b)に示すように、ゼロ分散波長の分布の中
心が使用波長よりも大きい値となり、ゼロ分散波長の大
きいファイバとゼロ分散波長の小さい波長のファイバを
組合せてシステム全体でのゼロ分散波長を使用波長に合
わせることが困難となる。
【0009】クラッドの屈折率分布を調節する方法とし
ては、例えば、特許第2659066号公報に記載され
ているように、フッ素化合物をドープして屈折率を下げ
る方法が知られているが、この方法によると屈折率の高
いコア近辺にフッ素を多くドープする必要がある。しか
しながら、光が伝播する領域でのドーパントの増加は損
失を招くため好ましくない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、こ
のような問題点に鑑みなされたもので、光ファイバコア
部材および光ファイバ母材のクラッドの屈折率分布を平
坦化する方法と平坦化されたコア部材および母材を提供
し、ファイバの設計可能エリアを拡げて、品質の向上と
歩留りの向上を図ると共に操業の安定化と生産性の向上
を図ることを主たる目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の請求項1に記載した発明は、石英系光ファ
イバのコア部材において、塩素によるクラッドの径方向
の屈折率分布が外周において高く、中心に向かって低く
なる分布であり、コアのドーパントがクラッドへ外方拡
散したことによるクラッドの径方向の屈折率上昇分布と
均衡していることを特徴とする光ファイバのコア部材で
ある。
【0012】このように、本発明では塩素によるクラッ
ドの径方向の外から内へ傾斜する屈折率分布とコアのド
ーパントによるクラッドにおける逆傾斜の屈折率分布と
が均衡しているので、クラッドの屈折率分布が極めて平
坦になったコア部材であり、使用波長からずれていたゼ
ロ分散波長がほぼ一致するようになり、従来狭くなって
いた光ファイバの設計可能範囲を大きく拡大することが
可能である。
【0013】また、本発明の請求項2に記載した発明
は、コア直径の2倍以上のクラッド領域における、比屈
折率の変動が5×10-5以下であることを特徴とする光
ファイバのコア部材である。このように、クラッドにお
ける比屈折率の変動を5×10-5以下に抑えたものとす
れば、ゼロ分散波長λ0 は使用波長と許容範囲内でほぼ
一致するようになり、分散特性が向上して、光ファイバ
の設計可能範囲を拡大することができる。
【0014】そして、請求項3に記載したように、前記
コアにドープされたドーパントをGeとすることができ
る。このように、コアのドーパントがGeである場合、
コアからクラッドに外方拡散して屈折率分布がコア側が
高いものになるのを、本発明により修正することが可能
となる。
【0015】本発明の請求項4に記載した発明は、前記
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の光ファ
イバのコア部材から作製される光ファイバ母材である。
このように前記特性を有するコア部材に残りのクラッド
を堆積させ、塩素で脱水し、塩素をドープして透明ガラ
ス化して製造した光ファイバ母材であるから、コア部材
と同様、所望の特性を有する光ファイバ母材となる。
【0016】さらに、本発明の請求項5に記載した発明
は、前記請求項4に記載した光ファイバ母材から作製さ
れることを特徴とする光ファイバである。このように前
記特性を有する光ファイバ母材を延伸して製造した光フ
ァイバとすれば、光ファイバ母材と同様、所望の特性を
有する光ファイバとなる。
【0017】次に本発明の請求項6に記載した発明は、
出発部材にドーパントをドープしたSiO2 から成るコ
アおよびこれにSiO2 から成るクラッドの一部を堆積
させてスート堆積体を製造し、これを塩素により脱水
し、透明ガラス化して光ファイバコア部材を製造する方
法において、該スート堆積体に残留する塩素濃度が外周
に近い程高くなるように制御して、塩素によるクラッド
の径方向の屈折率分布が外周において高く、中心に向か
って低くなる分布とし、コアのドーパントがクラッドへ
外方拡散したことによるクラッドの径方向の屈折率上昇
分布と均衡するように作製することを特徴とする光ファ
イバコア部材の製造方法である。
【0018】このようにしてコア部材を製造すれば、ク
ラッドにおける屈折率分布は極めて平坦化され、使用波
長からずれていたゼロ分散波長がほぼ一致するようにな
り、分散特性が向上するので、従来狭くなっていた光フ
ァイバの設計可能範囲を大きく拡大することが可能とな
り、歩留りと生産性の向上を図ることができる。
【0019】この場合、請求項7に記載したように、コ
ア直径の2倍以上のクラッド領域における比屈折率の変
動を、5×10-5以下に抑えることが望ましい。このよ
うに、クラッドにおける比屈折率の変動範囲を決めれ
ば、ゼロ分散波長λ0 は使用波長と許容範囲内でほぼ一
致するようになり、分散特性が向上し、光ファイバの設
計可能範囲を拡大することができる。
【0020】そしてこの場合、請求項8に記載したよう
に、前記コアのドーパントをGeとすることができる。
このようにすれば、コアからクラッドに外方拡散したG
eによる屈折率の上昇と、外からクラッドに拡散する塩
素による屈折率の上昇とを均衡させ、クラッドの屈折率
を平坦化できる。
【0021】本発明の請求項9に記載した発明は、請求
項6ないし請求項8で製造された光ファイバコア部材か
ら光ファイバ母材を形成する光ファイバ母材を製造する
方法である。このように前記コア部材を出発材として残
りの多孔質クラッド(以下、第2クラッドということが
ある)を堆積させて、塩素で脱水し、塩素をドープして
透明ガラス化し、良好な特性を有する光ファイバ母材を
形成することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。本発明者らは、クラッドの屈折率分布を平
坦化するに当たり、脱水に使用する塩素がGeと同様に
シリカ(SiO2 )の屈折率を上昇させると共に、屈折
率の分布の方向が逆になることに着目し、諸条件を確認
して本発明を完成させた。
【0023】すなわち、コアにドープしたGeは、クラ
ッドの方に外方拡散してクラッドの屈折率を高めると共
に、屈折率の分布はコア側から外周にかけてなだらかに
低下するように傾斜している。これに反して塩素は、ク
ラッドの屈折率を高めると共に、屈折率の分布は外周か
らコアの中心に向けてなだらかに低下するように傾斜し
ている。つまり、クラッドでのGeによる屈折率上昇と
全く等価で傾斜のみが反対となる塩素による屈折率上昇
を与えることにより、Geによる屈折率上昇は塩素によ
る屈折率上昇と均衡し、その結果、クラッドの屈折率分
布は平坦なものとすることが出来るのである。
【0024】ここで、実際に与え得る塩素による屈折率
の上昇は、なだらかなものであるため、コア近傍におけ
るGeの拡散による急激な屈折率の上昇を完全に打ち消
すことは極めて困難である。ここで言うコア近傍とは、
コア直径の2倍程度の領域である。このコア近傍におけ
る屈折率の上昇が従来どうりである時の、コア近傍以外
のコア直径の2倍以上のクラッド領域における屈折率の
変動と「設計可能範囲」との関係を調べた。その結果、
図4に示すように実用的には、使用波長(ゼロ分散波長
λ0 )1310±1nmに対して比屈折率の変動は、5
×10-5 以下であればよいことが判った。
【0025】具体的にはコア部材用スート堆積体の脱
水、ガラス化工程における処理温度範囲である1000
〜1400℃に対応した塩素/ヘリウム混合ガス中塩素
濃度を、上記比屈折率の変動範囲内に収まるように設定
すればよい。
【0026】このような本発明によれば、クラッドの屈
折率を調節するためのドーパントである塩素の量は、コ
アに近くなるほど、少なくなるため、従来のフッ素化合
物を添加する調整方法に比べて損失増加の危険性が極め
て少ない。
【0027】ここで、添付した図面に基づき、さらに詳
細に本発明を説明する。図6(a)はコア部材製造装
置、図6(b)は焼結反応炉、図6(c)はクラッド製
造装置の構成例を示す概要図である。
【0028】本発明のような所望のファイバ特性を有す
る光ファイバコア部材の製造装置としては、例えばVA
D法(気相軸付け法)によるコア部材の製造装置によっ
て製造することができる。この装置は、例えば図6
(a)に示すように、基材としての石英基材(コア)3
が挿入されるチャンバ4と、排気管と、該石英基材3の
下端のターゲット部に先端を向けて配置されるコア用バ
ーナ1を備えており、このバーナ1に、光ファイバコア
部材の原料となる四塩化ケイ素(SiCl4 )、屈折率
を制御するためのドーパントとしての四塩化ゲルマニウ
ム(GeCl4 )等の原料ライン、酸水素火炎用のH2
ガス、O2 ガス等のガスラインが接続されている。ま
た、石英基材3の側面に向けて配置される第1クラッド
用バーナ2を備え、四塩化ケイ素ガスと酸水素ガスライ
ンに接続されている。
【0029】そしてこのような装置により、石英基材3
を回転させつつターゲット部に向けてバーナ1とバーナ
2から原料とガスを吹き付け、火炎加水分解反応を起こ
させてターゲット部の表面にすす状の反応生成物(Si
2 )を軸方向に堆積させて行くと共に、石英基材3を
引上げて、屈折率の高いコアと屈折率の低い第1クラッ
ドから成るスート堆積体である多孔質コア部材5を製造
する。
【0030】次に、図6(b)に示したように、この多
孔質コア部材5をヘリウムガス、塩素ガスの混合ガス導
入管および排気管と加熱装置6を備えた焼結反応炉7内
に入れ、塩素ガス濃度を調整しつつ1100℃に加熱し
て脱水し、塩素をドープし、さらに焼結して透明ガラス
化し、コア部材を作製する。この時、本発明において
は、雰囲気の塩素ガス濃度を、コア近傍のGeによる屈
折率の上昇分と均衡させるように制御することが重要で
ある。これは、コアのドーパント濃度、焼結温度等によ
る外方拡散量とから、これと均衡するように塩素濃度を
決定する。
【0031】次いで、このコア部材8を、SiCl4
スと酸水素火炎が供給される第2クラッド用バーナ9と
排気管を有する図6(c)に示したクラッド製造装置1
0に装着し、OVD法によりバーナ9を左右に移動させ
ながら、このコア部材8の上に、所望のファイバ特性が
得られように第2クラッドを形成させる。その後この第
2クラッド付きガラスロッド11を再度図6(b)に示
した焼結反応炉7に装着し、ヘリウムガス、塩素ガスの
混合ガス雰囲気下に1100℃で脱水し、塩素をドープ
し、さらに焼結して透明ガラス化し光ファイバ母材を製
造する。
【0032】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施の形態を実施例
を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。 (実施例)図6(a)に示したコア部材製造装置を用い
て、SiCl4 ガスとドーパントとしてGeCl4 ガス
を酸水素火炎で燃焼させて、石英基材にスートを堆積さ
せて多孔質コアを形成し、同時にその上にSiCl4
スを酸水素火炎分解してスートを堆積させて多孔質クラ
ッドを形成し、多孔質コア部材を製造する。
【0033】次いで図6(b)に示した焼結反応炉に導
入した5モル%の塩素を含むヘリウムガス中にこの多孔
質コア部材を5mm/minの引下げ速度で、1100
℃の焼結炉を通過させて脱水し、塩素をドープし、透明
ガラス化して光ファイバコア部材を作製した。
【0034】このコア部材を分析したところ、図1
(c)に示したように、コア直径の2倍以上のクラッド
領域における比屈折率の変動が1×10-5以下である平
坦な屈折率分布を持つクラッドを形成することができ
た。この値は図4で明らかなように、ゼロ分散波長λ0
=1309.4nmに相当し、使用波長1310nmの
許容範囲(±1nm)内に収まっているものであった。
【0035】ここで、図1(a)はコアにドープしたド
ーパントGeのみによる屈折率分布を表している。図1
(b)はクラッドに拡散した塩素のみによる屈折率分布
を表している。そして、図1(c)ではクラッド領域に
おいて、(a)と(b)の分布が相殺され、平坦な分布
となり、屈折率そのものはドーパント濃度(Ge+C
l)にほぼ比例して上昇しているのが判る。
【0036】また、光ファイバのゼロ分散波長λ0 の分
布を求めたところ、図3(a)に示したように分布の中
心が、使用波長とほぼ一致したものとなり、システム全
体で使用波長における分散をゼロとするファイバの構成
が極めて容易であることが判る。さらに、この条件で造
したコア部材を用いると、下記比較例(図2(c)参
照)に比べて光ファイバの設計可能範囲は大きく拡大し
た(図2(b)参照)。
【0037】(比較例)実施例で製造した多孔質コア部
材を1モル%の塩素を含むヘリウムガス中に5mm/m
inの引下げ速度で、1100℃の焼結炉を通過させて
脱水し、塩素をドープし、焼結して透明ガラス化し、光
ファイバコア部材を作製した。このコア部材を分析した
ところ、図5(c)に示したように、コアに近い程屈折
率が高くなるなだらかな屈折率の上昇が見られた。この
場合、コア直径の2倍以上のクラッド領域における比屈
折率の変動は8×10-5と大きいものであり、図4のゼ
ロ分散波長の許容範囲から大きく外れてしまった。図3
(b)にゼロ分散波長の分布を示したが、使用波長とは
全く一致することなく大きい方へズレてしまった。
【0038】図5(a)はコアにドープしたドーパント
Geのみによる屈折率分布を表している。図5(b)は
クラッドに拡散した塩素のみによる屈折率分布を表して
いる。このように、図5(c)ではクラッド領域におけ
る(a)と(b)の分布が相殺しきれないでコアから外
周にかけてゆるい下り傾斜となっている。
【0039】尚、本発明は、上記実施形態に限定される
ものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の
特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一
な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかな
るものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、コ
アから外方拡散したドーパントにより傾斜したクラッド
の屈折率分布を平坦化することができるので、使用波長
からずれていたゼロ分散波長がほぼ一致するようにな
り、分散特性が向上し、従来狭くなっていた光ファイバ
の設計可能範囲を大きく拡大することが可能となり、歩
留りと生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバコア部材における径方向屈
折率分布を示す図である。 (a)コアにドープしたGeによる屈折率分布、(b)
クラッドに拡散した塩素による屈折率分布、(c):
(a)と(b)で合成された屈折率分布。
【図2】光ファイバを設計する際の、カットオフ波長λ
C とMFDとの相関関係から決まる設計可能エリアを示
す図である。 (a)市場の要求で決まる設計エリア、(b)本発明の
設計可能エリア、(c)従来技術による設計可能エリ
ア。
【図3】ゼロ分散波長λ0 の度数分布を示す図である。 (a)本発明の光ファイバ、(b)従来の光ファイバ。
【図4】設計可能エリア内で設計した時のゼロ分散波長
λ0 の平均値とコア直径の2倍以上のクラッド領域にお
ける比屈折率の変化の関係を表す図である。
【図5】従来の光ファイバコア部材における径方向屈折
率分布を示す図である。 (a)コアにドープしたGeによる屈折率分布、 (b)クラッドに拡散した塩素による屈折率分布、
(c):(a)と(b)で合成された屈折率分布。
【図6】本発明で使用した光ファイバ母材製造装置の構
成例を示す概要図である。 (a)コア部材製造装置、(b)焼結反応炉、(c)ク
ラッド製造装置。
【符号の説明】
1…コア用バーナ、2…第1クラッド用バーナ、3…石
英基材(コア)、4…チャンバ、5…多孔質コア部材、
6…加熱装置、7…焼結反応炉、8…コア部材、9…第
2クラッド用バーナ、10…クラッド製造装置、11…
第2クラッド付きガラスロッド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小山田 浩 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越 化学工業株式会社 精密機能材料研究所 内 (72)発明者 島田 忠克 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越 化学工業株式会社 精密機能材料研究所 内 (72)発明者 平沢 秀夫 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越 化学工業株式会社 精密機能材料研究所 内 (56)参考文献 特開 昭62−297238(JP,A) 特開 昭64−65038(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 1/00 - 14/00 C03B 37/018

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石英系光ファイバのコア部材において、
    塩素によるクラッドの径方向の屈折率分布が外周におい
    て高く、中心に向かって低くなる分布であり、コアのド
    ーパントがクラッドへ外方拡散したことによるクラッド
    の径方向の屈折率上昇分布と均衡していることを特徴と
    する光ファイバのコア部材。
  2. 【請求項2】 コア直径の2倍以上のクラッド領域にお
    ける、比屈折率の変動が5×10-5以下であることを特
    徴とする請求項1に記載した光ファイバのコア部材。
  3. 【請求項3】 前記コアにドープされたドーパントがG
    eであることを特徴とする請求項1または請求項2に記
    載した光ファイバのコア部材。
  4. 【請求項4】 前記請求項1ないし請求項3のいずれか
    1項に記載の光ファイバのコア部材から作製されること
    を特徴とする光ファイバ母材。
  5. 【請求項5】 前記請求項4に記載した光ファイバ母材
    から作製されることを特徴とする光ファイバ。
  6. 【請求項6】 出発部材にドーパントをドープしたSi
    2 から成るコアおよびこれにSiO2 から成るクラッ
    ドの一部を堆積させてスート堆積体を製造し、これを塩
    素により脱水し、透明ガラス化して光ファイバコア部材
    を製造する方法において、該スート堆積体に残留する塩
    素濃度が外周に近い程高くなるように制御して、塩素に
    よるクラッドの径方向の屈折率分布が外周において高
    く、中心に向かって低くなる分布とし、コアのドーパン
    トがクラッドへ外方拡散したことによるクラッドの径方
    向の屈折率上昇分布と均衡するように作製することを特
    徴とする光ファイバコア部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 コア直径の2倍以上のクラッド領域にお
    ける比屈折率の変動が、5×10-5以下となるように作
    製することを特徴とする請求項6に記載の光ファイバコ
    ア部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記ドーパントをGeとすることを特徴
    とする請求項6または請求項7に記載の光ファイバコア
    部材の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項6ないし請求項8で製造された光
    ファイバコア部材から光ファイバ母材を形成することを
    特徴とする光ファイバ母材を製造する方法。
JP23799898A 1998-08-10 1998-08-10 光ファイバコア部材と光ファイバ母材およびそれらの製造方法 Expired - Fee Related JP3343079B2 (ja)

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