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JP3221019B2 - ポリスチレン系樹脂発泡粒子の低密度融着発泡樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂発泡粒子の低密度融着発泡樹脂成形体及びその製造方法

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JP3221019B2
JP3221019B2 JP30833891A JP30833891A JP3221019B2 JP 3221019 B2 JP3221019 B2 JP 3221019B2 JP 30833891 A JP30833891 A JP 30833891A JP 30833891 A JP30833891 A JP 30833891A JP 3221019 B2 JP3221019 B2 JP 3221019B2
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resin
polystyrene
foamed
rubber
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勲 木葉
学 田沼
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Asahi Kasei Corp
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Publication date
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴム変性ポリスチレン
系樹脂発泡粒子の低密度融着発泡樹脂成形体とその製造
方法に関する。本発明によれば電子部品,音響機器等が
著しく小型化、軽量化され、増々軽量物の緩衝包装材の
要求が高まる中で、特に軽量物に対する緩衝性能に優れ
て、かつ近年社会問題となっているプラスチックの産業
廃棄物への対応から従来品よりもはるかに低密度なるが
ゆえに従来の緩衝材料よりも大巾に使用重量を低減出来
る結果、産業廃棄物の発生量を削減出来る。
【0002】
【従来の技術】従来から軽量の被包装物を硬くて弾性に
乏しいポリスチレンン系樹脂発泡粒子の融着発泡成形体
(以下、発泡成形体と称す)による緩衝材で緩衝包装し
た場合、硬すぎて、十分なる緩衝吸収効果が得れないと
いう問題があった。その解決手段として従来より、通称
ハイインパクトポリスチレン樹脂と称されているポリス
チレンの連続相にポリスチレンが単数又は複数の小粒子
状に内包されたブタジエン系重合体ゴムが粒子状に分散
してなるゴム変性ポリスチレン樹脂を用いて発泡粒子を
得て発泡成形体を得ることは知られている。
【0003】例えば、特公昭51−46536号公報に
は、ポリスチレン樹脂に、ブタジエン成分が加わる事で
得られる発泡成形体の弾性を高められる事が、又、特開
昭56−67344号公報には、平均ゴム粒子径を0.
7μm以下に調整することでさらに耐衝撃性能を高める
ことが開示されている。しかしながら上記発明で言う
「耐衝撃破壊性能」とは主に発泡成形体が落下衝撃によ
って割れたり、折れたりすることを防止する性能であっ
て、本発明で言う、気泡膜が非常に薄膜状にある低密度
発泡成形体に特有な現象である気泡があたかもパンクす
るが如く破裂するのを防止する「耐気泡のパンク防止性
能」と明らかに異るものである。
【0004】又ブタジエン成分を加えることによって得
られる発泡成形体の弾性を改善出来たとは言え高発泡性
能が劣り、弾性を高める上で、ブタジエン成分を加える
事にも増して重要な要因である発泡成形体の低密度化の
達成が充分で無く、結果として得られる発泡成形体を軽
量物の緩衝包装材に用いた時、十分なる緩衝効果を得ら
れないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に電子部品や音響
機器等の軽量製品は、緩衝包装する際、緩衝材となる発
泡成形体に加わる受圧荷重が小さく(すなわち低応力)
となるため落下衝撃に対し発泡成形体の圧縮変形が小さ
くとどまり、衝撃吸収効果が充分得られにくいという問
題があり、軽量物に対する緩衝性能、いわゆる「低応力
衝撃吸収性能」に優れて、かつポリスチレン系樹脂発泡
成形体による経済性の高い軽量物用緩衝包装材の完成が
強く望まれている。
【0006】本発明者らは、ポリスチレン樹脂にゴム成
分を加える事によって、基本的な緩衝性能である、衝撃
吸収性能の持続性を示すところの「圧縮歪の回復性能」
と、通称「パンク現象」と言われる、落下衝撃によって
発生する発泡成形体を構成する気泡膜の破裂を防止する
ところの「耐気泡のパンク防止性能」を備えることに加
え、ゴム成分を加える事で、著しく高発泡性能が低下す
る性状を改善し、従来品より高度に低密度の発泡成形体
を得る事を可能にして、これまでポリスチレンン系樹脂
発泡成形体では不可能と思われたレベルの、高い弾性を
もった発泡成形体を完成しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリスチレン
の連続相に、内部にポリスチレンが小粒子状に内包され
たブタジエン系重合体ゴムが粒子状に分散しており、全
体に占めるブタジエン成分の含有量が5〜15重量
あり、かつブタジエン系重合体ゴム粒子の重量平均粒子
径が0.05〜1.0μmでその粒子径分布が1.5以
下であるゴム変性ポリスチレン樹脂の発泡粒子からなる
成形体であって、その密度が0.009〜0.014g
/cm3 であり、かつその気泡の80%以上が独立気泡
構造を有するポリスチレン系樹脂発泡粒子の低密度融着
発泡樹脂成形体、及びポリスチレンの連続相に内部にポ
リスレンが小粒子状に内包されたブタジエン系重合体ゴ
ムが粒子状に分散しており、全体に占めるブタジエン成
分の含有量が5〜15重量%であり、かつブタジエン系
重合体ゴム粒子の重量平均粒子径が0.05〜1.0μ
mでその粒子径分布が1.5以下であるゴム変性ポリス
チレン樹脂100グラム量について揮発性有機発泡剤を
0.07〜0.25グラムモル量を含浸し、発泡性樹脂
粒子を得て後、該発泡性樹脂粒子を発泡機内でスチーム
によって発泡し1回の発泡で嵩密度が0.009〜0.
014g/ccの発泡粒子を得、ついで該発泡粒子を成
形型に導入しスチームで加熱し発泡粒子相互を融着成形
して、その密度が0.009〜0.014g/cm
3 で、かつその気泡の80%以上が独立気泡構造を有す
るポリスチレン系樹脂発泡粒子の低密度融着発泡樹脂成
形体の製造方法であり、本発明によって前記課題は容易
に達成出来る。
【0008】本発明で言うゴム変性ポリスチレンは、ブ
タジエン系重合体としてのポリブタジン又はブタジエ
ン−スチレン共重合体をスチレンモノマーに溶解し、重
合液となす、次いで該重合液を加熱し撹拌しつつ重合し
ブタジエン系重合体をポリスチレンの連続相に分散ゴム
粒子となして得られる。
【0009】重合反応時に溶媒を加えることも出来、そ
の溶剤は芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレ
ン、エチルベンゼンの単独又は2種以上の混合物が使用
出来る。前記重合液は100〜180℃の温度で重合し
うるが、品質を高めるために重合開始剤が使用される。
【0010】使用出来る重合開始剤として1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン等のパーオキシケタール類、ジ−t−プチ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキ
サイド類、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイル
パーオキサイド等のジアルパーオキサイド類、ジミリス
チルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボ
ネート類、t−ブチルパーオキシイソブロビルカーボネ
ート等のパーオキシエステル類、シクロヘキサノンパー
オキサイド等のケトンパーオキサイド類、p−メンタハ
イドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類が
ある。
【0011】重合反応は、温度50〜150℃、好まし
くは90〜135℃の範囲で、一定温度あるいは漸次昇
温して行う本発明に特定される、ゴム粒子径が0.0
5〜1.0μmでその粒子径の分布が1.5以下という
均一微細な特殊なゴム粒子は、用いるブタジエン系重合
体のポリスチレンに対する親和性を高める、重合液の粘
度を調整する、撹拌の速度と時間を調整する、均質な撹
拌装置を用いる等多く製造要件によって得られる(例え
ば特開昭60−130613号公報)。
【0012】かくの如きゴム粒子の構造は図4,図5に
示すように、ポリブタジエン粒子の内部に単数のポリス
チレン小粒子が内包された、いわゆるコアーシェル構
造、あるいは、図6,図7に示すようにポリブタジエン
粒子の内部に複数のポリスチレン小粒子が内包された、
いわゆるサラミ構造に形成される。上記コアーシェル構
造粒子を有するゴム変性ポリスチレンは、ブタジエン系
重合体としてポリブタジエンブロック1個とポリスチレ
ンブロック1個又は2個よりなる2型又は3型ブロック
共重合体を用いることにより効率よく得ることが出来
る。
【0013】又ブロック共重合体中のポリスチレンブロ
ックの含量は20−45重量%の範囲にあることが好ま
しく、このようなブタジエン系重合体の例は、例えば特
開昭64−74208号公報に開示されている。又上記
ゴム粒子の構造は、樹脂組成物の超薄切片法により撮影
した透過型電子顕微鏡写真により確認する事が出来る。
【0014】又本発明の発泡成形体を得る方法は次の様
である。ゴム変性ポリスチレン樹脂を連続的に押出機に
供給し、押出機内で加熱溶融しながら押出機のダイに設
けられた細孔より糸状に押出した後、直ちに水を貯えた
冷却バスで冷却しつつ上下2本の駆動ロールで挟み引取
りながら回転式カッターで長さ方向にカットし樹脂粒子
を得る。
【0015】次に当該樹脂粒子100g量についてイソ
ペンタン,ノルマルペンタン,イソブタン、ノルマルブ
タン,ヘキサン等の揮発性有機発泡剤を0.07〜0.
25グラムモル量含浸して発泡性樹脂粒子を得る。尚揮
発性有機発泡剤を含浸する方法は、例えば、オートクレ
ーブ内に当該樹脂粒子を入れて、これに揮発性有機発泡
剤を加えて満して密閉した後、加温加圧して含浸する方
法又は当該樹脂粒子を押出機内で加圧溶融した後別途押
出機に通じる発泡剤供給ラインを通して揮発性有機発泡
剤を圧入して、溶融状態にある樹脂と十分混合し、その
後押出機のダイ部に設けられた細孔より糸状に押出し、
直に水を貯えた冷却バスで冷却しつつ、上下2本の駆動
ロールで挟み引取りながら回転式カッターで長さ方向に
カットし発泡性樹脂粒子を得る方法が用いられる。
【0016】つぎにこれら発泡性樹脂粒子を公知のポリ
スチレン発泡ビーズ用成形機でスチームによって高発泡
し、目標とする嵩密度が0.009〜0.014g/c
cの発泡粒子となす。当該発泡粒子を用いて本発明の目
標とする性能を備えた独立気泡構造に富んだところの低
密度発泡成形体を得ようとする観点からは、1回で目標
の嵩密度に発泡するいわゆる一段発泡方法にすることが
望ましい。
【0017】その理由は、かならずしも明らかでない
が、数回の発泡によって目標の嵩密に発泡する、いわゆ
る多段発泡方法によれば、高度に低密度なるがゆえに、
極めて薄膜状である発泡粒子の気泡膜が、繰返されるス
チーム加熱によって損傷が大きくなるためと考えられて
いる。この様にして得た発泡樹脂粒子をこれも公知のポ
リスチレン発泡ビーズ用自動成形機で融着1体化して発
泡成形体を得ることが出来る。
【0018】
【作用】図1は、本発明のゴム変性ポリスチレン樹脂の
ブタジエン成分の占める量の意義を示す実験図である。
即ち図1の横軸は、ブタジエン成分の含量を重量%で示
し、縦軸は〔気泡膜のパンク発生荷重〕と〔低応力緩衝
係数〕の2つの観点からの評価を示す。
【0019】即ち、発泡成形体の密度を0.011g/
cm3 に揃えて評価した時に〔気泡膜のパンク発生荷
重〕は、成分量の減少と共に低下しかつブタジエン成分
量が5重量%未満では著しく悪化することが示される。
反面〔低応力緩衝係数〕はブタジエン成分の含量が7.
5重量%付近で最も良好な値を示しさらにブタジエン成
分量が15重量%を越えると著しく悪化することが示さ
れ目標に応じて特性の改善された組成が得られることが
分る。そしてこの様にブタジエン成分量との関係におい
て相反する性質を示す〔気泡膜のパンク発生荷重〕と
〔低応力緩衝係数〕の2つを同時に満足させようとする
観点からは、図1に示す点線の範囲すなわちブタジエン
成分量が5〜15重量%の範囲の組成を選ぶことが望ま
しい。
【0020】図2は本発明のゴム変性ポリスチレン樹脂
のブタジエン系重合体ゴム粒子の意義を示す実験図であ
る。即ち図2の横軸は、平均ゴム粒子径(μm)を示し
縦軸は〔独立気泡率〕の評価を示す。又図2中の複数の
線図は各々ゴム粒子径の分布を示す。
【0021】第一に平均ゴム粒子径が大きくなると得ら
れる発泡成形体の独立気泡率は低下し、さらに平均ゴム
粒子径が1.0μmを越えると著しく悪化することが示
される。第二に平均ゴム粒子径が1.0μm未満であっ
てもゴム粒子径分布が1.5の値を越えるとやはり得ら
れる発泡成形体の独立気泡率は著しく低下することが示
されている。即ち得られる発泡成形体の特性を高める観
点から最も重要となる高い独立気泡構造の発泡成形体を
得るためには、重量平均値で表すゴム粒子径が1.0μ
m以下であって、さらに言えば実質工業的に得ることが
可能であるところの0.05〜1.0μmであり、かつ
そのゴム粒子の分布が1.5以下、望ましくば、ゴム粒
子径が0.05〜0.7μmでかつその分布が1.2以
下の範囲であることを示している。
【0022】図3は、本発明の発泡成形体の密度の意義
を示す実験図である。即ち図3の横軸は、発泡成形体の
密度(g/cm3 )を示し縦軸は〔低応力緩衝係数〕と
〔圧縮歪の回復量〕の2つの観点からの評価を示す。
【0023】図3によれば、発泡成形体の密度が大きく
なると共に「圧縮歪の回復量」が低下し、さらに発泡成
形体の密度が0.014g/cm3 を越えると急激に悪
化することが示される。反面〔低応力緩衝係数〕は発泡
成形体の密度が小さくなると悪化し、さらに発泡成形体
の密度が0.009g/cm3 未満では著しく悪化する
事が示され目標に応じて特性の改善された発泡成形体が
得られる事が分る。
【0024】そしてこの様に、発泡成形体の密度との関
係に於いて相反する性質を示す〔低応力緩衝係数〕と
〔圧縮歪の回復量〕を同時に満足させようとする観点か
らは、図3に示す点線の範囲すなわち発泡成形体の密度
が0.009〜0.014g/cm3 の範囲を選ぶこと
が望ましい。ついで表2は、各々の実験の結果を集約
し、性能の評価結果を総合的にまとめて表示したもので
ある。
【0025】すなわち本発明の発泡成形体によれば、全
ての評価項目に於いて劣るという評価は(表中×及び△
印で記載)されるものは見られず優れた性能を示すもの
であることが分る。上記から、用いるゴム変性ポリスチ
レン樹脂のブタジエン成分の含量とそのゴム粒子径その
分布及び得られる発泡成形体の密度と独立気泡率の全て
を特定することで、初めて本発明の目的とする〔低応力
緩衝吸収性能〕と〔圧縮歪の回復性能〕と〔耐気泡のパ
ンク防止性能〕の3つを同時に満足出来る緩衝包装材料
が得られることが分る。
【0026】前述したように、本発明のゴム変性ポリス
チレン樹脂による発泡成形体によれば、高度に低密度化
が達成出来、軽量物の緩衝包装材に必要な「低応力緩衝
性能」に優れ、且つ基本的な緩衝性能である「圧縮歪の
回復性能」と「耐気泡のパンク防止性能」を兼備した軽
量物用の緩衝包装材が得られるという効果が究明され
た。
【0027】この様な効果が生じる作用機構は、かなら
ずしも明らかで無いが以下の様に考えられている。すな
わち本発明に用いるゴム変性ポリスチレンン樹脂に於い
て、 (イ)発泡成形体を形成する気泡膜の内部に粒子状に分
散し存在するゴム成分が落下衝撃を受けることによって
生じる内部応力を緩和して「パンク現象」といわれる気
泡膜の破壊を効果的に防止していること。
【0028】(ロ)発泡剤を非常に透過して逸散しやす
いゴム成分を、高度に高発泡化されて極めて薄膜状にあ
る気泡膜の厚みよりも十分に小さい値である平均粒子径
で1.0μm以下の粒子状で分散し、存在させることで
気泡膜の厚み方向に対しゴム粒子を充分にポリスチレン
相で覆うことが出来、ポリスチレン樹脂のもつ発泡剤を
逸散しにくい性質を活用出来ていること。
【0029】(ハ)ゴム粒子径の分布が大きい事は、極
めて薄い気泡膜の厚み断面の組成,構造等を非常に不均
質にし気泡が膨張して気泡膜が平面方向に伸びて生長し
ようとする時、不均一に生長したり部分的に生長しにく
かったりする現象を誘発し気泡膜が破壊しやすくなるた
めと考えられている。したがって、本発明でいうゴム粒
子径の分布を1.5以下、望ましくは1.2以下の調整
した均一ゴム粒子を用いることが、得られる発泡成形体
の独立気泡構造の形成を高めていると考えられている。
上記の作用機構が相乗的な効果を生んで、本発明の目標
とする性能が得られるものと考えられている。
【0030】〔測定方法〕 1)平均粒子径 ゴム変性ポリスチレン樹脂を超薄切片法により撮影した
透過型電子顕微鏡写真中のブタジエンゴム粒子500〜
1000個の粒子径を測定し、次式により算出する。
【0031】
【数1】
【0032】
【数2】
【0033】2)粒子径分布 次式により算出する。
【0034】
【数3】
【0035】3)嵩密度 内容積が1000ccである計量容器によって正確に嵩
容積が1000ccになる様に発泡粒子を秤量する。つ
いで秤量した発泡粒子全量の重量を測定し、次式により
算出する。
【0036】
【数4】
【0037】4)密度 重量(Wg)既知の発泡体の容積(Vcm3 )を水没法
で測定し、その重量を容積で除した値を密度(g/cm
3 )とする。
【0038】5)独立気泡率 密度(g/cm3 )が既知の発泡体約24cm3 の真の
容積を東芝・ベックマン社製空気比較式比重計930形
を用いて測定し、次式より独立気泡率〔S,(%)〕を
算出する。
【0039】
【数5】
【0040】6)低応力緩衝係数 JIS−Z−0235に準じ、落下高さ80cm、試験
体の厚み5cm、静的応力値0.03kg/cm2 の条
件で落下衝撃試験を行い、最大加(減)速度を求める、
データは落下回数1回目のものとし、このデータを基に
以下の様に求めた。
【0041】
【数6】
【0042】7)圧縮歪の回復量 JIS K−6767繰返圧縮永久歪試験法に準じ縦×
横×厚さ寸法が各々50mm×50mm×50mmの試
験体を25%圧縮試験を行い以下の様に求めた。
【0043】
【数7】R :圧縮永久歪の回復量(mm) R1 :25%圧縮時の厚み寸法(mm) R2 :回復後の厚み寸法(mm) R=R2 −R1
【0044】8)気泡のパンク発生重量 JIS−Z−0235、落下衝撃試験法に準じ縦×横×
厚さ寸法が各々100mm×100mm×50mmの試
験体の縦×横の上面の全面に上面から80cmの高さか
ら重量が50g単位で異る平板状の錘りを順次落下し衝
撃と圧縮歪を与え試験体である発泡成形体の気泡膜に破
裂が生じ初める時の錘りの重量を求め、気泡のパンク発
生重量とする。尚一度落下衝撃試験を行った試験体は再
び使用せず新しい試験体に交換し次の落下衝撃試験を行
うものとする。
【0045】〔評価方法〕 (1)低応力衝撃吸収性能 前記低応力緩衝係数の項で求めた値によって以下の評価
尺度で求める。
【0046】
【表1】
【0047】(2)圧縮歪の回復性能 前記圧縮歪の回復量の測定方法の項で求めた圧縮歪の回
復量(mm)の値によって、以下の評価尺度で求めた。
【0048】
【表2】
【0049】(3)耐気泡のパンク防止性能 前記気泡のパンク発生重量の測定方法の項で求めた気泡
のパンク発生重量(kg)の値によって以下の評価尺度
で求めた。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【実施例】以下本発明の内容を実施例を用いて詳述す
る。 〔ゴム変性ポリスチレンの調整〕表5,6,7に示すと
ころの配合比でスチレンモノマーにブタジエン系重合体
を溶解し、溶解した溶液100部にエチルベンゼン5
部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキ
サン0.05部を添加し重合原料液を調整する。各々の
原料液を各々別に連続3段式重合器に送入し重合を行っ
た。各重合機は、1.2リットルの容積を有し撹拌翼が
付いている。
【0053】重合温度は105〜145℃の間で変化さ
せ、最終重合器出で固型分が約80%となるまで重合さ
せた後、加熱真空下の脱揮装置に送り未反応スチレンモ
ノマー及びエチルベンゼンを除去し、ダイスからストラ
ンドを引き水冷後ペレット状に切断する。ペレット中の
ブタジエン成分の含有量を測定後、必要であればポリス
チレン樹脂(旭化成工業社製スタイロン683)にて3
0mmφ単軸押出機を用いて希釈し表5,6,7に示す
ところの各々のブタジエン成分量に調整した。又重合の
過程で、重合の温度条件,撹拌の条件等を調整し、最終
的に表5、6,7に示すところのゴム変性ポリスチレン
樹脂(HIPS1〜20)を得た。
【0054】実施例、比較例1 上記ゴム変性ポリスチレン樹脂を各々別に発泡剤の加圧
供給装置をもち、かつその加圧供給装置からの接続ライ
ンが押出機のシリンダー内の溶融混練部に通じるように
連結され、さらに前頭部に樹脂の冷却装置と多数の樹脂
への流出孔をもつダイ装置を備えた押出含浸装置に供給
し、押出機内で溶融混練しつつ、発泡剤の加圧供給装置
からイソペンタンを樹脂100g量について0.15グ
ラムモル量の比率にポンプで一定量づつ加圧供給し、樹
脂と混練混合しつつ冷却装置で適温に冷却しダイ装置に
設けられた多数の細孔より糸状に押出して、直ちに冷却
水を貯えた冷却バスを介して引取りながら回転式カッタ
ーで長さ方向にカットし、各々の発泡性樹脂粒子を得
た。
【0055】実験例1 ゴム変性ポリスチレン、HIPS−1より前述の方法で
得た発泡性樹脂粒子をスチーム発泡機で、いわゆる1段
発泡法といわれる1回の発泡で嵩密度が目標であるとこ
ろの0.011g/cm3 の発泡樹脂粒子を得た。つい
でこの発泡樹脂粒子を20℃の室内で24時間熟成した
後、発泡スチロール用成形機(笠原工業社製;PION
Y−75型)で成形し厚さ,長さ,巾の各々の寸法が5
0mm×300mm×300mmの板状発泡樹脂成形体
を得た。次にこの板状発泡樹脂成形体を湿度が50℃の
乾燥室で3時間乾燥後取出しさらに20℃の室内で24
時間熟成した後、嵩密度を測定したところ0.011g
/cm3であることを確認して評価した結果を表8、表
9に示す。
【0056】実験例2〜22 表8,表9に示す実験番号に対応するところのゴム変性
ポリスチレン樹脂(表5、6、7に詳述している)によ
り各々実験例1と同様の方法で得た発泡性樹脂粒子を、
やはり実験例1と同様に発泡し成形して実験番号に対応
する発泡成形体を得て評価した結果をまとめて表8、表
9に表す。
【0057】比較例2 前記の方法で得たゴム変性ポリスチレン、HIPS−2
に、イソペンタンを樹脂100g量について0.05グ
ラムモル量の比率にポンプで一定量づつ加圧供給したこ
とを変えた意外は全く実施例1と同様の方法で発泡性樹
脂粒子を得た。ついでこの発泡樹脂をスチーム発泡機で
発泡し嵩密度が0.033g/ccの発泡樹脂粒子を得
た。つぎに当該発泡樹脂粒子を室内に24時間放置し熟
成後再び前記スチーム発泡機で発泡し目標の嵩密度が
0.011g/ccの発泡樹脂粒子を得て20℃の室内
で24時間熟成した後、実験例1と同様に成形してその
密度が0.011g/cm3 の発泡成形体を得て評価し
た結果を表8、表9に示す。
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【発明の効果】以上詳述して明らかにしてきた通り、本
発明の低密度発泡樹脂成形体は、上述の構成をもつこと
により、衝撃吸収性能、圧縮歪の回復性能、耐衝撃破壊
性能を兼備し、緩衝包装用途に優れた発泡成形体という
利点があり、例えば電子部品、音響機器又は通信機器等
の軽量で破損しやすい内容物の緩衝包装に用いることが
出来かつ、低密度なるがゆえに使用重量を削減し産業廃
棄物の発生量を大巾に低減出来る産業界に果す役割の高
い優れた発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゴム変性ポリスチレン樹脂のブタジエ
ン成分の占める量の意義を示す実験図
【図2】本発明のゴム変性ポリスチレン樹脂のブタジエ
ン系重合体ゴム粒子の意義を示す実験図
【図3】本発明の発泡成形体の密度の意義を示す実験図
【図4】本発明のゴム変性ポリスチレン樹脂のゴム粒子
の断面を拡大した写生図
【図5】本発明のゴム変性ポリスチレン樹脂のゴム粒子
の分散状態を示す断面拡大写生図
【図6】比較品のゴム粒子の断面を拡大した写生図
【図7】比較品のゴム粒子の分散状態を示す断面拡大写
生図
【符号の説明】
図1の1 緩衝係数 図1の2 衝撃破壊発生荷重 図2の1 粒子径分布が1.2 図2の2 粒子径分布が1.5 図2の3 粒子径分布が2 図3の1 低応力緩衝係数 図3の2 圧縮歪の回復量 図4の1 ポリブタジエン 図4の2 ポリスチレン 図6の1 ポリブタジエン 図6の2 ポリスチレン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/00 - 9/42 B29C 44/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリスチレンの連続相に、内部にポリス
    チレンが小粒子状に内包されたブタジエン系重合体ゴム
    が粒子状に分散しており、全体に占めるブタジエン成分
    の含有量が5〜15重量%であり、かつブタジエン系重
    合体ゴム粒子の重量平均粒子径が0.05〜1.0μ
    m、その粒子径分布が1.5以下であるゴム変性ポリス
    チレン樹脂の発泡粒子からなる成形体であって、その密
    度が0.009〜0.014g/cm3 であり、かつそ
    の気泡の80%以上が独立気泡構造を有するポリスチレ
    ン系樹脂発泡粒子の低密度融着発泡樹脂成形体。
  2. 【請求項2】 ポリスチレンの連続相に内部にポリスチ
    レンが小粒子状に内包されたブタジエン系重合体ゴムが
    粒子状に分散しており、全体に占めるブタジエン成分の
    含有量が5〜15重量%であり、かつブタジエン系重合
    体ゴム粒子の重量平均粒子径が0.05〜1.0μmで
    その粒子径分布が1.5以下であるゴム変性ポリスチレ
    ン樹脂100グラム量について揮発性有機発泡剤を0.
    07〜0.25グラムモル量を含浸し発泡性樹脂粒子を
    得て後、該発泡性樹脂粒子を発泡機内でスチームによっ
    て発泡し1回の発泡で嵩密度が0.009〜0.014
    g/ccの発泡粒子を得、ついで該発泡粒子を成形型に
    導入しスチームで加熱し発泡粒子相互を融着成形してそ
    の密度が0.009〜0.014g/cm3 で、かつそ
    の気泡の80%以上が独立気泡構造を有するポリスチレ
    ン系樹脂発泡粒子の低密度融着発泡樹脂成形体の製造方
    法。
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