JP3218529B2 - 制振構造物 - Google Patents
制振構造物Info
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- JP3218529B2 JP3218529B2 JP10568694A JP10568694A JP3218529B2 JP 3218529 B2 JP3218529 B2 JP 3218529B2 JP 10568694 A JP10568694 A JP 10568694A JP 10568694 A JP10568694 A JP 10568694A JP 3218529 B2 JP3218529 B2 JP 3218529B2
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- main structure
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高層建物、特に超高層
建物の制振に用いて好適な制振構造物に関する。
建物の制振に用いて好適な制振構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より提案されている受動的な制振構
造物は、その多くが剪断変形が卓越する構造物の変形ま
たは応答を抑制しようとするものであった。具体的に
は、剪断変形を生ずる部分に、建物の振動エネルギーを
吸収するための制振装置を取り付ける制振構造物であっ
た。しかし、このような機構では、超高層ビルに代表さ
れるような曲げが卓越する構造物の振動抑制にはほとん
ど効かない。なぜなら、層間変形がほとんどなく、柱の
微小な軸変形の積み重ねによって構造物全体の曲げ変形
が生ずるので、制振装置をかりに設置しても、制振装置
にはほとんど変形が生じず、エネルギー吸収がほとんど
なされないからである。
造物は、その多くが剪断変形が卓越する構造物の変形ま
たは応答を抑制しようとするものであった。具体的に
は、剪断変形を生ずる部分に、建物の振動エネルギーを
吸収するための制振装置を取り付ける制振構造物であっ
た。しかし、このような機構では、超高層ビルに代表さ
れるような曲げが卓越する構造物の振動抑制にはほとん
ど効かない。なぜなら、層間変形がほとんどなく、柱の
微小な軸変形の積み重ねによって構造物全体の曲げ変形
が生ずるので、制振装置をかりに設置しても、制振装置
にはほとんど変形が生じず、エネルギー吸収がほとんど
なされないからである。
【0003】このため、このような曲げ変形が卓越する
ような構造物では、TMD(チューンド・マス・ダン
パ)に代表されるように、曲げ変形によって生じた水平
変位を二次系で増幅する制振手段がとられていた。しか
し、構造物に小さな付加的質量を付け加えただけの制振
装置であるTMDには以下の問題点があった。すなわ
ち、制振装置のストロークに限界があり、大地震時用に
は無理がある。二次系の周期のチューニングを慎重に行
なわなければ効果がうまく発揮されない。二次系があく
までも付加的で、中途半端な物量であるために有効利用
しにくいという問題点である。なお、このような問題点
は、構造物の剛性が大きいほど顕著となる。
ような構造物では、TMD(チューンド・マス・ダン
パ)に代表されるように、曲げ変形によって生じた水平
変位を二次系で増幅する制振手段がとられていた。しか
し、構造物に小さな付加的質量を付け加えただけの制振
装置であるTMDには以下の問題点があった。すなわ
ち、制振装置のストロークに限界があり、大地震時用に
は無理がある。二次系の周期のチューニングを慎重に行
なわなければ効果がうまく発揮されない。二次系があく
までも付加的で、中途半端な物量であるために有効利用
しにくいという問題点である。なお、このような問題点
は、構造物の剛性が大きいほど顕著となる。
【0004】そこで、曲げが卓越する構造物の制振用と
して、次のようなメガーサブ機構を有する制振構造物が
開発された。このメガーサブ機構を有する制振構造物
は、図8に示すように、自重や地震力に抵抗する主構造
体1と、主構造体1に生じた変形を適度に増幅するため
の二次系の役割を果たすべく、主構造体1の梁1aから
延びる吊り材2によって吊り支持された副構造体3によ
って構成され、副構造体3の重量は主構造体1の重量に
比べて同等若しくは大きいものとされ、副構造体3と主
構造体1の間には制振装置4が設けられるものである
(特公平5ー2073号公報、特開平2ー194279
号公報参照)。そして、このようなメガーサブ機構を有
する制振構造物では、大地震時の制振にも有効に用いる
ことができる。副構造体3と主構造体1の間の変位を現
実的な範囲まで低減できる。副構造体3の振動自体も低
減されて二次系である副構造体3を居住空間として有効
に利用できる等の利点を持つ。
して、次のようなメガーサブ機構を有する制振構造物が
開発された。このメガーサブ機構を有する制振構造物
は、図8に示すように、自重や地震力に抵抗する主構造
体1と、主構造体1に生じた変形を適度に増幅するため
の二次系の役割を果たすべく、主構造体1の梁1aから
延びる吊り材2によって吊り支持された副構造体3によ
って構成され、副構造体3の重量は主構造体1の重量に
比べて同等若しくは大きいものとされ、副構造体3と主
構造体1の間には制振装置4が設けられるものである
(特公平5ー2073号公報、特開平2ー194279
号公報参照)。そして、このようなメガーサブ機構を有
する制振構造物では、大地震時の制振にも有効に用いる
ことができる。副構造体3と主構造体1の間の変位を現
実的な範囲まで低減できる。副構造体3の振動自体も低
減されて二次系である副構造体3を居住空間として有効
に利用できる等の利点を持つ。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したメガ
ーサブ機構を有する制振構造物にあっても、以下の問題
点があった。 すなわち、各副構造体3の周期をそれよりも大きな構
造体である主構造体1の周期よりも長くすることが必要
であるために、副構造体3の支持方法が問題となる。現
実では、主架構のメガビームから吊り下げることが考え
られているが、制振装置4が十分でなく、その能力が十
分でない場合には、制振効果が副構造体3の周期に鋭敏
に依存してしまい、ロバスト性が乏しくなる。 また、副構造体3を吊り支持する吊り材2の長さがそ
れぞれ一様であるため副構造体3の固有振動数がある値
に決定され、制振対象となる振動の振動数が上記した副
構造体3の固有振動数からずれる場合、良好な制振効果
が得られないという問題点があった。
ーサブ機構を有する制振構造物にあっても、以下の問題
点があった。 すなわち、各副構造体3の周期をそれよりも大きな構
造体である主構造体1の周期よりも長くすることが必要
であるために、副構造体3の支持方法が問題となる。現
実では、主架構のメガビームから吊り下げることが考え
られているが、制振装置4が十分でなく、その能力が十
分でない場合には、制振効果が副構造体3の周期に鋭敏
に依存してしまい、ロバスト性が乏しくなる。 また、副構造体3を吊り支持する吊り材2の長さがそ
れぞれ一様であるため副構造体3の固有振動数がある値
に決定され、制振対象となる振動の振動数が上記した副
構造体3の固有振動数からずれる場合、良好な制振効果
が得られないという問題点があった。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、制振機構としてのロバスト性を向上させることがで
き、しかも、副構造体がある特定の振動数に対し共振す
るのを回避することができる制振構造物を提供すること
を目的とする。
で、制振機構としてのロバスト性を向上させることがで
き、しかも、副構造体がある特定の振動数に対し共振す
るのを回避することができる制振構造物を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、主架構からなる主構造体の内部に形成される空間
に、居室・居住区空間を画成する副構造体が、その上部
を前記主構造体の梁から延びる複数本の吊り材によって
吊り下げられるとともにその下部を前記主構造体との間
に介装された制振装置によって側方への移動を抑制され
て収納され、前記一つの副構造体を吊り下げる複数本の
吊り材として、長さが異なる複数種類の吊り材が用いら
れ、前記副構造体は複数の柱と上下方向に間隔をあけて
配される複数の梁とを備える多層構造とされ、前記副構
造体の柱の上端は前記主構造体の梁に連結されて前記吊
り材が構成され、前記副構造体の柱と梁との節点は、両
者が一体的に接合された剛構造と、柱が梁の水平方向の
移動を許容しながら梁の鉛直荷重を支持するローラ支持
構造との2種類設けられて、前記吊り材の実質的な長さ
が決定されていることを特徴とする。
は、主架構からなる主構造体の内部に形成される空間
に、居室・居住区空間を画成する副構造体が、その上部
を前記主構造体の梁から延びる複数本の吊り材によって
吊り下げられるとともにその下部を前記主構造体との間
に介装された制振装置によって側方への移動を抑制され
て収納され、前記一つの副構造体を吊り下げる複数本の
吊り材として、長さが異なる複数種類の吊り材が用いら
れ、前記副構造体は複数の柱と上下方向に間隔をあけて
配される複数の梁とを備える多層構造とされ、前記副構
造体の柱の上端は前記主構造体の梁に連結されて前記吊
り材が構成され、前記副構造体の柱と梁との節点は、両
者が一体的に接合された剛構造と、柱が梁の水平方向の
移動を許容しながら梁の鉛直荷重を支持するローラ支持
構造との2種類設けられて、前記吊り材の実質的な長さ
が決定されていることを特徴とする。
【0008】
【0009】
【作用】請求項1記載の発明では、副構造体を吊り下げ
る吊り材を複数本とし、それら吊り材の長さを適当にば
らつかせることによって、副構造体各部分の固有周期を
適当にばらつかせることができる。ここで、吊られた部
分の固有振動数fは吊り長さLによって定まる。 f=(1/2π)(g/L)
る吊り材を複数本とし、それら吊り材の長さを適当にば
らつかせることによって、副構造体各部分の固有周期を
適当にばらつかせることができる。ここで、吊られた部
分の固有振動数fは吊り長さLによって定まる。 f=(1/2π)(g/L)
【0010】そこで、副構造体各部分の固有振動数f
を、応答を低減する振動数付近に適当に分布するように
吊り長さを定める。図5では、中央のMcを応答を低減
する振動数f0に一致させ、それよりも短い吊り長さと
されたMa及びMbを振動数f0より大きい固有振動数
に設定させ、Mcよりも長い吊り長さとされたMd及び
Meを振動数f0より小さい固有振動数に設定させてい
る。
を、応答を低減する振動数付近に適当に分布するように
吊り長さを定める。図5では、中央のMcを応答を低減
する振動数f0に一致させ、それよりも短い吊り長さと
されたMa及びMbを振動数f0より大きい固有振動数
に設定させ、Mcよりも長い吊り長さとされたMd及び
Meを振動数f0より小さい固有振動数に設定させてい
る。
【0011】このように、副構造体各部分の固有周期を
ある値を中心として適当にばらつかせることにより、副
構造体のある特定の振動数に対する共振を回避でき、し
かも、制振効果の副構造体の周期に対する鋭敏性を和ら
げることができる。
ある値を中心として適当にばらつかせることにより、副
構造体のある特定の振動数に対する共振を回避でき、し
かも、制振効果の副構造体の周期に対する鋭敏性を和ら
げることができる。
【0012】また、上記のように吊り材の長さをばらつ
かせるに当たって、全体系の固有振動数の各次に同調す
るように吊り長さを定めるようにしてもよい。図6では
副構造体内の各部分の固有振動数を、1次固有振動数
用、2次固有振動数用、及び3次固有振動数用等にそれ
ぞれ設定している。これにより、構造物全体系の各次の
振動モードを低減させることができる。
かせるに当たって、全体系の固有振動数の各次に同調す
るように吊り長さを定めるようにしてもよい。図6では
副構造体内の各部分の固有振動数を、1次固有振動数
用、2次固有振動数用、及び3次固有振動数用等にそれ
ぞれ設定している。これにより、構造物全体系の各次の
振動モードを低減させることができる。
【0013】また、副構造体を多層構造とし、副構造体
の柱によって吊り材を構成し、副構造体の柱と梁との節
点を剛構造とローラ支持構造との2種類設けることによ
り、吊り材の実質的な長さを所望値に決定するものであ
り、簡単な構成によって吊り材の実質的な長さを変える
ことができる。
の柱によって吊り材を構成し、副構造体の柱と梁との節
点を剛構造とローラ支持構造との2種類設けることによ
り、吊り材の実質的な長さを所望値に決定するものであ
り、簡単な構成によって吊り材の実質的な長さを変える
ことができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1〜図3は本発明にかかる制振構造物の概略構
成を示す。図において、符号10は主構造体である。主
構造体10は、長期・短期荷重に対して設計された柱1
0a及び梁10bを備える主架構からなる。主構造体1
0の内部に形成される上下分割された各空間には居室・
居住区空間を画成する副構造体12A,12B,…が、
主構造体の梁10bから下方に延びる複数本の吊り材1
3、…により吊り下げられ、主構造体10との間にクリ
アランスをあけて収納されている。一つの副構造体12
A,12B,…を吊り下げる複数本の吊り材13,…
は、後述するように一定の長さのものではなく、長さが
異なる複数種類のものが用いられる。
する。図1〜図3は本発明にかかる制振構造物の概略構
成を示す。図において、符号10は主構造体である。主
構造体10は、長期・短期荷重に対して設計された柱1
0a及び梁10bを備える主架構からなる。主構造体1
0の内部に形成される上下分割された各空間には居室・
居住区空間を画成する副構造体12A,12B,…が、
主構造体の梁10bから下方に延びる複数本の吊り材1
3、…により吊り下げられ、主構造体10との間にクリ
アランスをあけて収納されている。一つの副構造体12
A,12B,…を吊り下げる複数本の吊り材13,…
は、後述するように一定の長さのものではなく、長さが
異なる複数種類のものが用いられる。
【0015】副構造体12A,12B,…の下端と主構
造体10の柱10a及び梁10bの節点の近傍との間に
は制振装置14が設けられ、これにより、副構造体12
A,12B,…と主構造体10との間の相対変位は抑制
される。制振装置14は、主構造体10と副構造体12
A,12B,…との間の相対変位に基づく振動エネルギ
ーを熱エネルギー等に変換して吸収するものであり、例
えば高減衰ゴム等の弾塑性材や、粘性流体等を利用して
構成された粘性ダンパ等が利用される。また、副構造体
12A,12B,…の重量は、主構造体10の重量に比
べて同等もしくはそれよりも大きく設定される。
造体10の柱10a及び梁10bの節点の近傍との間に
は制振装置14が設けられ、これにより、副構造体12
A,12B,…と主構造体10との間の相対変位は抑制
される。制振装置14は、主構造体10と副構造体12
A,12B,…との間の相対変位に基づく振動エネルギ
ーを熱エネルギー等に変換して吸収するものであり、例
えば高減衰ゴム等の弾塑性材や、粘性流体等を利用して
構成された粘性ダンパ等が利用される。また、副構造体
12A,12B,…の重量は、主構造体10の重量に比
べて同等もしくはそれよりも大きく設定される。
【0016】前記副構造体12A,12B,…は、複数
の柱16と上下方向に間隔をあけて配される複数の梁1
7とを備える多層構造とされている。副構造体12A,
12B,…の柱16は、その上端が主構造体10の梁1
0bに連結され、前記吊り材13が構成されている。そ
して、柱16,…により構成される吊り材13,…は、
以下の手段によってその実質的な長さを設定されてい
る。
の柱16と上下方向に間隔をあけて配される複数の梁1
7とを備える多層構造とされている。副構造体12A,
12B,…の柱16は、その上端が主構造体10の梁1
0bに連結され、前記吊り材13が構成されている。そ
して、柱16,…により構成される吊り材13,…は、
以下の手段によってその実質的な長さを設定されてい
る。
【0017】すなわち、前記副構造体12A,12B,
…の柱16と梁17との節点は、図3に示すように両者
が一体的に接合された剛構造18Aと、図2に示すよう
に柱16が梁17の水平方向の移動を許容しながら梁1
7の鉛直荷重を支持するローラ支持構造18Bとの2種
類設けられている。そして、主構造体10の梁10bか
ら下方に向かい最初に存する剛構造18Aまでの長さが
吊り材13の実質的な長さとなる。図1において、最上
部の副構造体12Aの吊り材13を例にとって説明すれ
ば、図1中最も左端にある吊り材13の実質的な長さは
La、左端から2番目にある吊り材13の実質的な長さ
はLb、左端から3番目にある吊り材13の実質的な長
さはLcになる。
…の柱16と梁17との節点は、図3に示すように両者
が一体的に接合された剛構造18Aと、図2に示すよう
に柱16が梁17の水平方向の移動を許容しながら梁1
7の鉛直荷重を支持するローラ支持構造18Bとの2種
類設けられている。そして、主構造体10の梁10bか
ら下方に向かい最初に存する剛構造18Aまでの長さが
吊り材13の実質的な長さとなる。図1において、最上
部の副構造体12Aの吊り材13を例にとって説明すれ
ば、図1中最も左端にある吊り材13の実質的な長さは
La、左端から2番目にある吊り材13の実質的な長さ
はLb、左端から3番目にある吊り材13の実質的な長
さはLcになる。
【0018】なお、ローラ支持構造18Bについて補足
説明すると、梁17の端部には補強リング20が設けら
れている。柱16を挟んで左右の補強リング20,20
どうしはエクスパンションジョイント21によって互い
に若干の自由をもって連結されている。柱16には床受
け部分22が四方へ突出して設けられ、この床受け部分
22によって前記補強リング20がローラ23を介して
支持されている。
説明すると、梁17の端部には補強リング20が設けら
れている。柱16を挟んで左右の補強リング20,20
どうしはエクスパンションジョイント21によって互い
に若干の自由をもって連結されている。柱16には床受
け部分22が四方へ突出して設けられ、この床受け部分
22によって前記補強リング20がローラ23を介して
支持されている。
【0019】しかして、上記構成の制振構造物では、地
震あるいは風等によって当該制振構造物に振動が生じる
とき、主構造体10と副構造体12A,12B,…との
双方の固有周期を相違させることにより、その相違によ
る主構造体10と副構造体12A,12B,…との相互
の応答抑制効果をもたせ、短周期から長周期にわたる外
乱に伴う振動に対して共振を回避し、揺れの増大を抑さ
える。また、主構造体10と副構造体12A,12B,
…との設けた制振装置14によって、振動エネルギーを
吸収し、振動を早期に減衰させ得る。
震あるいは風等によって当該制振構造物に振動が生じる
とき、主構造体10と副構造体12A,12B,…との
双方の固有周期を相違させることにより、その相違によ
る主構造体10と副構造体12A,12B,…との相互
の応答抑制効果をもたせ、短周期から長周期にわたる外
乱に伴う振動に対して共振を回避し、揺れの増大を抑さ
える。また、主構造体10と副構造体12A,12B,
…との設けた制振装置14によって、振動エネルギーを
吸収し、振動を早期に減衰させ得る。
【0020】ここで、副構造体12A,12B,…を吊
り下げる吊り材13を複数本とし、しかも、それら吊り
材13の実質的な長さを異ならせているため、副構造体
各部分の固有周期を適当にばらつかせることができる。
り下げる吊り材13を複数本とし、しかも、それら吊り
材13の実質的な長さを異ならせているため、副構造体
各部分の固有周期を適当にばらつかせることができる。
【0021】したがって、例えば、前記吊り材13の実
質的な長さを異ならせることによって、副構造体各部分
の固有振動数を、図5に示すように応答を低減する振動
数(1次固有振動数)付近に適当に分布するように設定
すれば、図7(b)に示すように、副構造体12A,1
2B,…のある特定の振動数に対する共振を回避でき、
もって、見かけ上減衰定数を大きくすることができる。
また、制振効果の副構造体の周期に対する鋭敏性を和ら
げることができる。なお、図7(a)は、従来の制振構
造物の振動応答特性を示すものである。
質的な長さを異ならせることによって、副構造体各部分
の固有振動数を、図5に示すように応答を低減する振動
数(1次固有振動数)付近に適当に分布するように設定
すれば、図7(b)に示すように、副構造体12A,1
2B,…のある特定の振動数に対する共振を回避でき、
もって、見かけ上減衰定数を大きくすることができる。
また、制振効果の副構造体の周期に対する鋭敏性を和ら
げることができる。なお、図7(a)は、従来の制振構
造物の振動応答特性を示すものである。
【0022】また、上記のように吊り材13の長さをば
らつかせるに当たって、図6に示すように全体系の固有
振動数の各次に同調するように設定すれば、図7(c)
に示すように、例えば1次固有振動数及び2次固有振動
数双方の振動数に対する共振を回避できる。
らつかせるに当たって、図6に示すように全体系の固有
振動数の各次に同調するように設定すれば、図7(c)
に示すように、例えば1次固有振動数及び2次固有振動
数双方の振動数に対する共振を回避できる。
【0023】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、副構造体
を吊り下げる吊り材を複数本とし、それら吊り材の長さ
を適当にばらつかせることによって、副構造体各部分の
固有周期を適当にばらつかせることができ、例えば、副
構造体各部分の固有周期をある値を中心として適当にば
らつかせるようにすれば、副構造体のある特定の振動数
に対する共振を回避でき、もって、見かけ上減衰定数を
大きくすることができる。また、制振効果の副構造体の
周期に対する鋭敏性を和らげることができる。つまり、
制振機構としてのロバスト性を向上させることができ
る。また、上記のように吊り材の長さをばらつかせるに
当たって、全体系の固有振動数の各次に同調するように
吊り長さを定めるようにすれば、構造物全体系の各次の
振動モードを低減できる。
を吊り下げる吊り材を複数本とし、それら吊り材の長さ
を適当にばらつかせることによって、副構造体各部分の
固有周期を適当にばらつかせることができ、例えば、副
構造体各部分の固有周期をある値を中心として適当にば
らつかせるようにすれば、副構造体のある特定の振動数
に対する共振を回避でき、もって、見かけ上減衰定数を
大きくすることができる。また、制振効果の副構造体の
周期に対する鋭敏性を和らげることができる。つまり、
制振機構としてのロバスト性を向上させることができ
る。また、上記のように吊り材の長さをばらつかせるに
当たって、全体系の固有振動数の各次に同調するように
吊り長さを定めるようにすれば、構造物全体系の各次の
振動モードを低減できる。
【0024】また、副構造体を多層構造とし、副構造体
の柱によって吊り材を構成し、副構造体の柱と梁との節
点を剛構造とローラ支持構造との2種類設けることによ
り、吊り材の実質的な長さを所望値に決定するものであ
り、簡単な構成によって吊り材の実質的な長さを容易に
変えることができる。
の柱によって吊り材を構成し、副構造体の柱と梁との節
点を剛構造とローラ支持構造との2種類設けることによ
り、吊り材の実質的な長さを所望値に決定するものであ
り、簡単な構成によって吊り材の実質的な長さを容易に
変えることができる。
【図1】本発明の実施例の概略構成図。
【図2】同実施例の副構造体の柱と梁との節点のうち剛
構造部分を示す側面図。
構造部分を示す側面図。
【図3】同実施例の副構造体の柱と梁との節点のうちロ
ーラ支持部分を示す側面図。
ーラ支持部分を示す側面図。
【図4】本発明の作用説明図。
【図5】本発明の作用説明図。
【図6】本発明の作用説明図。
【図7】本発明の作用効果説明図。
【図8】従来の制振構造物の概略構成図。
10 主構造体 10a 柱 10b 梁 12A,12B,… 副構造体 13 吊り材 14 制振装置 16 柱 17 梁 18A 剛構造 18B ローラ支持構造 23 ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 9/02 E04B 1/34
Claims (1)
- 【請求項1】 主架構からなる主構造体の内部に形成さ
れる空間に、居室・居住区空間を画成する副構造体が、
その上部を前記主構造体の梁から延びる複数本の吊り材
によって吊り下げられるとともにその下部を前記主構造
体との間に介装された制振装置によって側方への移動を
抑制されて収納され、前記一つの副構造体を吊り下げる
複数本の吊り材として、長さが異なる複数種類の吊り材
が用いられ、前記副構造体は複数の柱と上下方向に間隔
をあけて配される複数の梁とを備える多層構造とされ、
前記副構造体の柱の上端は前記主構造体の梁に連結され
て前記吊り材が構成され、前記副構造体の柱と梁との節
点は、両者が一体的に接合された剛構造と、柱が梁の水
平方向の移動を許容しながら梁の鉛直荷重を支持するロ
ーラ支持構造との2種類設けられて、前記吊り材の実質
的な長さが決定されていることを特徴とする制振構造
物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP10568694A JP3218529B2 (ja) | 1994-05-19 | 1994-05-19 | 制振構造物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP10568694A JP3218529B2 (ja) | 1994-05-19 | 1994-05-19 | 制振構造物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH07310458A JPH07310458A (ja) | 1995-11-28 |
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JP (1) | JP3218529B2 (ja) |
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CN106948640B (zh) * | 2017-05-08 | 2023-06-23 | 山东大学 | 悬吊式多维多级碰撞耗能阻尼器 |
-
1994
- 1994-05-19 JP JP10568694A patent/JP3218529B2/ja not_active Expired - Fee Related
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