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JP3213338B2 - 薄膜半導体装置の製法 - Google Patents

薄膜半導体装置の製法

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JP3213338B2
JP3213338B2 JP13981491A JP13981491A JP3213338B2 JP 3213338 B2 JP3213338 B2 JP 3213338B2 JP 13981491 A JP13981491 A JP 13981491A JP 13981491 A JP13981491 A JP 13981491A JP 3213338 B2 JP3213338 B2 JP 3213338B2
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silicon
laser
laser light
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剛一 大高
威 日野
勝文 熊野
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    • H01L21/67121Apparatus for making assemblies not otherwise provided for, e.g. package constructions
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    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y10S117/903Dendrite or web or cage technique
    • Y10S117/904Laser beam
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、薄膜半導体装置の製法とそれを
用いて得られた新らしいタイプの薄膜半導体装置に関す
る。
【0002】
【従来技術】絶縁性基板上に単結晶シリコン薄膜を形成
する手法、いわゆるSOI形成法については従来より数
多く提案されている。これらの多くは絶縁性基板上に非
晶質あるいは多結晶シリコン薄膜を形成し、この非晶質
あるいは多結晶シリコン薄膜を種々の熱源により一度溶
融状態とし、その後冷却固化再結晶化させ、単結晶化と
するものである。この場合の熱源としては、レーザ光、
電子ビーム、種々のランプ光、ワイヤー状のカーボンヒ
ーター等がある。このような従来の溶融再結晶化法を用
いたSOI形成法によって得られる単結晶シリコンの結
晶配向面(基板表面に現われるシリコンの結晶面)は、
溶融再結晶化時に種結晶を用いる場合にはその種結晶の
配向面により決定される。前記の絶縁性基板が、シリコ
ンウエハー上にシリコン酸化膜あるいは種々の成膜手法
により絶縁膜が形成されているような構成の基板の場合
には種結晶としては、この基板上に非晶質あるいは多結
晶シリコンを形成する前にウエハー上の絶縁膜層に穴を
明け、この穴をおおうように非晶質あるいは多結晶シリ
コンを形成し、前述の溶融再結晶化をこの穴の上部から
行なうことにより、ウエハーの一部を種結晶として使用
できる。しかしながら前記の絶縁性基板が、石英ガラス
等のいわゆる無定形基板の場合、上述の手法による再結
晶膜の配向面の制御はできない。石英ガラス基板上で、
多結晶シリコン膜を形成し、この上に表面保護層として
酸化シリコン膜を形成し、石英ガラス基板と酸化シリコ
ン膜にはさまれた多結晶シリコン層を外部から供給する
熱により帯状に溶融し、再結晶化させた場合には(100)
面配向をした単結晶シリコン薄膜が得られることが知ら
れている。この手法は帯域溶融再結晶化法(Zone Melti
ng Recryslallization、すなわちZMR法)と呼ばれて
おり、種結晶を用いないSOI形成法として知られてい
る。さらには無定形基板上に種々の方法により核形成密
度が高い場所を形成し、基板上での核形成密度の差を利
用しこの上に選択的に単結晶シリコンを成長させる方法
も提案されている。これらのSOI形成手法において絶
縁性基板上に形成する単結晶シリコンの結晶配向面は、
種結晶を用いる場合には、その種結晶の結晶面で定めら
れてしまう。また上述のZMR法では(100)面以外の結
晶配向面は安定に得られないのが現状である。そのた
め、このような薄膜半導体部材を原料として半導体素子
を形成した場合、その特性は用いた薄膜半導体部材の結
晶配向面で定まり、半導体素子に適した結晶配向面を選
択すること、さらには、より高性能な半導体素子を形成
するために同一基板内で異なる配向性を持つSOI膜を
得ること等は極めて困難であった。このように従来の溶
融再結晶化法を用いたSOI形成法によって得られた単
結晶シリコン薄膜は、基板全面、あるいは比較的広い領
域にわたって連続的に存在しており、その薄膜半導体材
料としての利用法は、TFTの活性層としてデバイスの
駆動部に利用するなど限られたものであった。まして
や、同一基板内に多結晶シリコンや非晶質シリコン層を
もつものを製造することは容易なことではなかった。た
とえば、同一基板内に非晶質シリコンを利用してセンサ
部を形成しようとする場合、フォトリソグラフィにより
必要とする領域の単結晶シリコン薄膜をエッチング除去
し、残った単結晶シリコン薄膜部をマスクした状態で、
非晶質シリコンをCVD法等の手法により堆積させると
いった、単結晶薄膜を形成するプロセスに加えて新らた
に非晶質シリコンを形成するプロセスを行う必要があっ
た。
【0003】
【目的】本発明の目的は、SOIにおける半導体層が異
なった結晶配向面をもつ領域よりなる新しいタイプの多
目的用途に使用できる薄膜半導体装置の製法を提供する
点にある。
【0004】
【構成】本発明は、絶縁性基板上に形成された非晶質ま
たは多結晶半導体層に帯域溶融再結晶化法を適用して単
結晶層に変換することにより、薄膜半導体装置を製造す
る方法において、前記帯域溶融再結晶化の加熱手段とし
て半導体層に吸収されるレーザ光と絶縁性基板に吸収さ
れるレーザ光を併用して同時に照射するに当り、第1の
レーザ光発生手段としてシリコンの吸収帯域にある波長
を出すレーザ光であって、シリコンを溶融させるエネル
ギーを発生するものを用い、第2のレーザ光発生手段と
して、溶融シリコンの冷却固化再結晶化過程を制御する
ことができるエネルギーを発生するものを用い、それぞ
れのレーザ光発生手段は、レーザ光が照射している場所
の温度変化に応じて変調できるものであることを特徴と
する薄膜半導体装置の製法に関する。
【0005】以下、本発明の半導体薄膜層としては、シ
リコンについて詳述するが、本発明はシリコンに限ら
ず、周期率IV族、III-V族、II-VI族の単体、あるいは
化合物半導体であって、その結晶構造がダイヤモンド構
造、あるいはジンクブレンド構造を持つすべての材料に
適用可能であり、具体的には、Siの他Ge,SiC,
BN,BP,BAs,AlP,AlSb,GaP,Ga
As,GaSb,InP,InAs,InSb,Zn
S,ZnSe,ZnTe,CdS,CdSe,CdT
e,CdHg等である。
【0006】本発明に開示される薄膜半導体装置の製法
は絶縁性基板上に帯域溶融再結晶化法で単結晶シリコン
薄膜を形成する場合にシリコンに吸収されるレーザ光と
絶縁性基板に吸収されるレーザ光を同時に照射してシリ
コンを溶融して再結晶させることに特徴がある。さらに
は二つのレーザ光を照射してシリコン層を溶融再結晶化
させるときに二つのレーザ光の出力、ビーム形状、照射
位置等の照射条件を変えてシリコン層の溶融再結晶化領
域の温度プロファイルを制御して得られる単結晶シリコ
ンの結晶配向性を(100)面あるいは(111)面に制御するこ
とに特徴がある。
【0007】絶縁性基板上に形成された非晶質あるいは
多結晶シリコンの溶融再結晶化法による単結晶シリコン
の形成の様子については以下のように説明できる。種々
の熱源により絶縁性基板上に形成された非晶質あるいは
多結晶シリコンを加熱溶融し(シリコンの融点1412
℃)、その加熱個所をシリコン層上で相対的に走査した
場合、溶融したシリコンはその熱源の移動に伴い冷却固
化し、再結晶化する。この時加熱により溶融している部
分の温度分布が図1に示すごとく中央部が高くて周辺部
が低くなっている状況では溶融シリコンの再結晶化は溶
融部の周辺から多数同時に開始し、その結果再結晶化シ
リコンは多結晶体となってしまう。そのような多結晶化
を防いで再結晶化を行なうためには、溶融領域における
温度プロファイル(本発明の中で述べられる温度プロフ
ァイルとはシリコンの溶融再結晶化過程、即ち加熱、溶
融、冷却、固化の一連の現象における温度の変化を表わ
し、具体的には前記の一つあるいは複数の状態における
温度、あるいは温度を表わす物理量を計測することで表
わされる。)を中央部が周辺より低い状態にすれば良い
ことが知られている。こうすることにより図2に示すご
とく再結晶化は常に中央部より始まることになり、再結
晶化シリコンは単結晶として得られることになる。これ
らの加熱源としてはレーザ光が主に用いられ、熱源の走
査速度は概ね数10cm/sec程度である。さらに絶縁性基
板上で溶融再結晶化法により単結晶シリコン薄膜を形成
するもう一つの方法としては帯域溶融再結晶化法(Zone
Melting Recrystallization)がある。この方法に単結
晶シリコンの形成の様子は以下のように述べられてい
る。図3にその概略を示したが溶融再結晶化を行なうシ
リコン層を帯状に加熱溶融するときに、帯状に溶融して
いる領域8以外のシリコン層はシリコンの融点近傍の温
度まで加熱しておいて、その溶融領域を移動させること
によりシリコンを固化再結晶させて単結晶シリコンを得
るものである。この時溶融シリコンの凝固の固液界面に
は図4に示すようにシリコンの融点1412℃を過ぎても液
体の状態を保っている過冷却状態の領域が存在し、シリ
コンの再結晶化の固液界面はこの過冷却領域の中でシリ
コンの結晶面の中で一番成長が遅い(111)面のファセ
ット(小さな結晶面)の集まりにより形成されるといわ
れている。単結晶シリコンの形成は帯状の溶融領域8の
移動に伴い、過冷却領域が移動しこの過冷却領域の中で
シリコンの(111)面で構成されるファセット面が連続
的に成長することによりなされるものである。この帯状
の溶融領域を形成する手法としては基板上に近接して置
かれた線状のカーボンヒータで加熱する方法、あるいは
RF誘導加熱法等がある。この手法における帯状の溶融
領域の移動速度は概ね数mm/sec程度であり、再結晶化
の固液界面においては熱平衡に近い状態が実現されてい
ることがこの手法の特徴であるといえる。このような帯
域溶融再結晶化法により形成された再結晶単結晶シリコ
ン薄膜で絶縁性基板が石英ガラスで(あるいはSiO2
層)、かつ再結晶化時の表面保護膜として熱CVDで形
成したSiO2の場合には種結晶を使用しないのにもか
かわらず再結晶化膜の結晶配向面は(100)面であるこ
とが知られている。
【0008】本発明者らはこの帯域溶融再結晶化法に着
目し、従来の加熱法とは異なった機能を持った加熱手段
を用いた帯域溶融再結晶化法を発明した。その結果、本
発明方法を用いて従来の帯域溶融再結晶化法においては
困難であった、得られる再結晶化単結晶シリコン膜の配
向面を(100)面あるいは(111)面に制御することを可
能ならしめたものである。本発明の技術的背景について
述べる。本発明においては加熱源としてシリコンに吸収
されるレーザ光(以下第1のレーザ光)と絶縁性基板に
吸収されるレーザ光(以下第2のレーザ光)の2種類の
レーザ光を用いている。これはこれらのレーザ光が絶縁
性基板上に帯域溶融再結晶化法で単結晶シリコンを形成
するのに極めて適した熱源であることによる。最初に帯
域溶融再結晶化法においてレーザ加熱法が他の加熱法に
比べて有利な点について述べる。図20は従来法による帯
域溶融再結晶化で加熱源として一般的に使用される線状
のヒータによる加熱の様子を示したものである。シリコ
ンの溶融点に近い温度領域においては熱源の線状ヒータ
からの加熱は輻射加熱が主体であり、このような場合基
板上の任意の点の熱源から受ける熱量は下記の式(1)に
より算出される。
【数1】 式(1)の記述からも明らかなように熱源と基板との距離
が2乗の重みで影響する。即ち輻射加熱により帯域溶融
再結晶を安定に行なうための温度プロファイルを実現す
る場合には熱源と基板との距離を精緻にコントロールし
なければならない。この熱源に対する要求は線状ヒータ
の場合に留まらず、他の熱源の場合でもその加熱の様式
が輻射加熱による限り必然的なものである。これに対し
て加熱源をレーザ光とする場合には熱の発生はレーザ光
の吸収によりなされるので、基板上の温度プロファイル
が基板とレーザ光源との距離に影響を受けず、またレー
ザ光の優れた平行性を考慮するならば光源を任意の位置
から基板上まで導くことが可能である。また従来の加熱
法を用いた帯域溶融再結晶化法では再結晶化の固液界面
において過冷却領域を形成する必要から冷却速度を小さ
くしなければならない。従って固液界面の熱勾配を小さ
くするために基板全体をシリコンの融点近傍まで加熱す
る必要があった。そのために帯域溶融再結晶化を行なっ
た後の基板は長時間にわたる高温の加熱のため熱変形を
引き起こすことがしばしばあった。また加熱装置が大が
かりになり、あるいは装置上の制約から基板の寸法が制
約される場合もある。これに対してレーザ光を熱源とす
る場合にはレーザ光が他の加熱法に比べて充分に高いエ
ネルギー密度を持っているために、レーザ照射領域は周
囲への熱の逃げに抗して、充分に高い温度に保つことが
可能である。よって基板全体をシリコンの融点近傍まで
高温に加熱する必要はなく、従来の帯域溶融再結晶化法
に見られた高温加熱による基板の変形の問題はなく、ま
た基板加熱のための装置上の制限もない。以上のような
レーザ光を加熱源とする場合の特徴に加え、レーザ光は
レンズ、ミラーといった種々の光学部品の組合せにより
その大きさを任意に変えることができ、また任意の場所
に導くことができるので従来の加熱法では実現が困難で
あった基板内の一部分のみを選択的に帯域溶融再結晶化
のプロセスを行なうことが可能である。更には材料への
レーザ光の吸収は概ね材料の表面より数10μmの深さで
留まるのでレーザを加熱源とする場合には基板のごく表
面のみを加熱しているのに過ぎない。このことにより基
板表面に適切な耐熱層を形成することにより従来の帯域
溶融再結晶化法では実現できなかったシリコンの融点よ
り低い融点あるいは軟化点を持つ基板を支持体基板とし
て使用することも可能である。
【0009】本発明は以上のような帯域溶融再結晶化に
おいてレーザ光を加熱源とすることの利点に加えて上述
の2種類のレーザ光を使用したことから新たな特徴を有
している。図8に本発明が開示するような方法による帯
域溶融再結晶化の様子を示した。絶縁性基板1上に形成
されたシリコン層(半導体層)2に上述の第1のレーザ
光4および第2のレーザ光5を同時に照射すると第1の
レーザ光4はシリコン層2で吸収されここで発熱が生ず
る。また第2のレーザ光5は基板1内で吸収され発熱を
生ずる。即ちシリコン層2は第2のレーザ光5による予
備加熱を受けた状態で第1のレーザ光4により加熱され
ることになる。この時の2種類のレーザ光での加熱領域
の温度プロファイルは図9に示すように第2のレーザ光
のビーム径(α2)を大きく、第1のレーザビーム径
(α1)を狭くし、2種類のレーザ光の出力を最適化す
ることによりシリコンの溶融領域を形成することができ
る。このような温度プロファイルはレーザ光で加熱され
る領域においては先の図3に示したような帯域溶融再結
晶化を実現する温度プロファイルと本質的に同じであ
り、このような温度プロファイルを保持しつつビームを
基板と相対的に走査することにより前述の帯域溶融再結
晶化のメカニズムにより再結晶化単結晶シリコンが得ら
れる。さらに本手法では第1のレーザ光の照射による熱
の発生はシリコン薄膜層内で起こり、第2のレーザ光の
照射による熱の発生は絶縁性基板内で起こるというよう
な異なる場所での熱の発生を起こさせることが可能であ
る点に大きな特徴がある。本発明者らはこの2波長レー
ザ帯域溶融再結晶化法の特徴に着目し本手法による絶縁
性基板上にシリコン薄膜の帯域溶融再結晶化法を詳細に
検討し、本手法で無定形の絶縁性基板上で種結晶を使用
することなしに帯域溶融再結晶化法により(100)面配向
及び(111)面配向の単結晶シリコンを得ることが可能で
あるという結論に達した。以下にその詳細について述べ
る。無定形基板上で帯域溶融再結晶化法により単結晶シ
リコンを得るためには基板上で加熱溶融したシリコン融
液が冷却固化再結晶を行なう再結晶の固液界面に過冷却
状態の融液が存在し、この過冷却状態の中で固液界面が
シリコンの(111)面で構成されるファセット面であるこ
とが必要であることは既に述べた。図10は絶縁性基板上
に多結晶シリコンを形成しこの多結晶シリコンを加熱溶
融後、再結晶化させる時に溶融シリコンの温度を種々変
化させて再結晶化させたときの再結晶化シリコンの結晶
配向性の変化を再結晶化膜のX線ピークで示したもので
ある。図に示すようにシリコン融液の温度の違いにより
再結晶化シリコンの結晶配向面が(100)面の場合と(111)
面の場合がある。このようにシリコンの融液時の温度が
再結晶化シリコンの配向性を決定する一つの要因になっ
ている。つぎに結晶配向面が(100)面と(111)面と異なる
単結晶シリコン薄膜が溶融再結晶化により得られる場合
の再結晶化の固液界面のファセット構造がどのようにな
るかを図で示すと、図11のように結晶配向面が(100)面
あるいは(111)面に決まると、その結晶学的制限から固
液界面のファセット面は異なる角度で傾くことが要求さ
れる。すなわち、(100)面配向のときは(a)で示すように
ファセット面は55°であり、(111)面配向のときは(b)で
示すようにファセット面は70°である。この傾き以外の
条件では(100)面あるいは(111)面は安定に得られない。
熱シュミレーション等によりこのようなファセット面の
傾きには深さ方向での温度勾配が必要であること、また
望ましい温度勾配の実現には基板内で発生する熱の効果
が大きいこともわかった。本発明は以上のような背景の
もとに絶縁基板上でシリコンの帯域溶融再結晶化を行な
う場合、再結晶化膜の結晶配向性を(100)面あるいは(11
1)面に制御することを目的として深さ方向で異なる場所
に熱の発生を行なうためにシリコンに吸収されるレーザ
光(第1のレーザ光)と絶縁性基板に吸収されるレーザ
光(第2のレーザ光)を同時に照射し、帯域溶融再結晶
化における温度プロファイルを制御するものである。
【0010】以下図13を用いて本発明における薄膜半導
体部材の構成要素について述べる。支持体基板1は絶縁
性材料で構成される。単体材料としては石英ガラス、セ
ラミック等の耐熱性の有する絶縁性材料が用いられる
が、金属、あるいは半導体の上に適当な絶縁膜を形成し
た基板もまた本発明の支持体基板として用いることがで
きる。具体的にはシリコンウエハー上に絶縁性材料とし
てSiO2,Si34等を形成したものである。あるい
はFe,Al,Cu等の金属の上にSiO2,Si34
等の絶縁性材料を形成したものもまた支持体基板として
使用可能である。さらには耐熱層を形成することにより
シリコンの融点より低い材料も支持体基板として用いる
ことができる。耐熱層を構成する材料としては絶縁性の
ものではSiO2,Al23,TiO2,ZrO2,Si3
4,BN等、また導電性のものではTiC,SiC等
がある。耐熱層を導電性のもので構成する場合には上記
の絶縁性材料と組み合わせて用いる必要がある。また場
合によっては耐熱性材料を複数組み合わせて使用するこ
ともできる。これらの材料をプラズマCVD法、熱CV
D法、光CVD法、LP-CVD法、MO-CVD法、ス
パッタ法、真空蒸着法、イオンビームクラスタ成膜法等
の各種成膜法や、イオン注入法等の各種材料改質のため
の手法を用いて形成する。半導体あるいは金属材料上に
絶縁性材料を形成して支持体基板として用いる場合、あ
るいは低融点材料上に耐熱層あるいは絶縁層を形成して
支持体基板として用いる場合には絶縁層、耐熱層の厚さ
は用いる材料の第2のレーザ光の吸収を考慮にいれて定
めることが望ましく、例えば第2のレーザ光に炭酸ガス
レーザ光を用い、絶縁層あるいは耐熱層材料としてSi
2を形成する場合にはその膜厚は50μm程度である。石
英ガラス基板のような絶縁性材料を単体で支持体基板と
して用いる場合にはその機械的強度を保つ要求から通例
レーザの吸収厚さに比べて充分に厚い寸法が選ばれる。
その値は通常0.3mm〜5.0mmであり、望ましくは0.5mm〜
2.0mmである。支持体基板1上で2波長レーザ帯域溶融
再結晶化法により単結晶化されるシリコン層2は多結晶
シリコンあるいは非晶質シリコンで構成される。このシ
リコン層2はプラズマCVD法、熱CVD法、光CVD
法、LP-CVD法、MO-CVD法、スパッタ法、真空
蒸着法、イオンビームクラスタ成膜法等の各種成膜法
や、イオン注入法等の各種材料改質のための手法を用い
て形成する。またこのシリコン層2は帯域溶融再結晶化
過程において必要と判断される場合には通常のフォトリ
ソグラフィーの手法を用いて任意の形状に加工される場
合もある。具体的には図5、図6、図7のようなストラ
イプ状あるいは島状、あるいは連結島状であるが、これ
らの目的はいずれも支持体基板1上でシリコン融液の移
動を制限し、よってファセット成長の安定性の向上を目
的としたものであり、従来より帯域溶融再結晶化法によ
ってしばしば用いられる手法である。このようなシリコ
ン層2の加工は再結晶化により得られる単結晶シリコン
層の膜厚の均一性の向上には寄与するが、配向性を決定
するものではない。シリコン層2の膜厚は0.1μm〜5.0
μmの範囲で再結晶化に使用でき、望ましくは0.3μm〜
1.0μmの範囲である。表面保護膜3は帯域溶融再結晶化
手法による単結晶シリコン薄膜の形成において不可欠な
ものである。これは帯域溶融再結晶化過程において溶融
シリコンの蒸発あるいは表面張力による丸まり現象(ビ
ードアップ現象)を防ぐ目的で形成される。この表面保
護層3は絶縁性材料により構成され、望ましい材料とし
てはSiO2,SiO,Si34,SiNであり、これ
らを単独にあるいは複数組み合わせてシリコン層2に形
成する。表面保護膜3の形成方法としてはプラズマCV
D法、熱CVD法、光CVD法、LP-CVD法、MO-
CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンビームクラ
スタ成膜法等の各種成膜法や、イオン注入法等の各種材
料改質のための手法等である。膜厚は概ね0.5μm〜5.0
μmの範囲で最適化されて形成されるが、望ましくは1.0
μm〜2.0μmである。この表面保護層3は本発明による
薄膜半導体装置を原料として半導体素子を形成する工程
において除去される場合もある。
【0011】本発明の2波長レーザ帯域溶融再結晶化法
における第1のレーザ光としてはシリコンの吸収帯域
(おおよそ1.2μmより短波長側)にある波長の光を出す
レーザ光を広く使用できる。具体的には短波長領域の各
種のエキシマレーザ、He-Cdレーザ、Arレーザ、
He-Neレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライト
レーザ、YAGレーザ、あるいは半導体レーザ等が使用
可能である。帯域溶融再結晶化に必要な温度プロファイ
ルを形成する熱源とするという観点からは取りだし可能
な出力が比較的大きいこと、また連続発振が可能なレー
ザであることが望ましく、Arレーザ、YAGレーザ、
あるいは高出力の半導体レーザから選ぶことが望まし
い。これらのレーザ光はその照射領域を広くするためビ
ームの途中にレーザビームエクスパンダを挿入しビーム
を拡大することも可能であり、さらにはレーザビームを
複数本用いてビームを合成して使用することも可能であ
る。シリコン層に照射する場合のビーム形状としては帯
域溶融再結晶化法の実現に好適なように均一な線状ビー
ムが好ましい。種々の光学機械を用いてビーム形状を線
状で均一にすることが可能である。また前述のごとく複
数本のビームにより均一で線状のビームを形成すること
が可能である。さらにはビームの高速走査により擬似的
に線状のビームを形成することも可能である。基板の予
備加熱に用いられる第2のレーザ光としては絶縁性材料
に吸収のあるレーザ光を広く使用することができる。赤
外領域のレーザ光は広く絶縁性材料に吸収されるので第
2のレーザ光としては好適である。具体的には炭酸ガス
レーザあるいは一酸化炭素ガスレーザ等が使用できる。
第2のレーザビームのビーム形状としては必ずしも線状
である必要はない。前述の第1のレーザビームに重ねて
照射する場合において、第1のレーザの加熱により溶融
してシリコンの再結晶化の熱プロファイルを制御するの
に充分な大きさのビーム形状であれば良く図14のごとく
線状に形成した第1のレーザビームの長さをL1とする
と第2のレーザのこの方向での長さL2はL2>L1が必
要であり、望ましくはL2>1.2L1である。なお、レー
ザビームは通常は丸形で得られるが、種々の手段により
細長い楕円状や実質長方形の形状にしたりして使用する
ことができる。
【0012】第2のレーザは第1のレーザ光と共にシリ
コン層の帯域溶融再結晶化の熱源として用いられるが、
第1のレーザ光での加熱が主としてシリコンを溶融する
ことを目的として用いられるのに対して第2のレーザ光
での加熱は溶融シリコンの冷却固化再結晶化過程を制御
するために用いられる。そのため第2のレーザ光で加熱
される領域は均一な温度プロファイルを示すようにしな
ければならない。そのために第2のレーザ光のビームは
第1のレーザ光のビームに比べて広い領域で均一なパワ
ー密度であることが必要である。カライドスコープ、セ
グメントミラー等の種々の光学機器を用いてビーム出力
を平坦化することが可能である。また前述の第1のレー
ザ光の場合と同様に複数のレーザビームを合成して平坦
な合成ビームを形成しても良い。またビームを走査する
ことで加熱部の温度プロファイルを平坦化することも可
能である。またこれらのレーザ光としては連続発振型の
他にパルス発振型のレーザ光を使用することも可能であ
る。このようにして第2のレーザ光のビームは概ね第1
のレーザ光のビームを囲うような配置で基板上に照射さ
れるが、第2のレーザ光のビームの外周近傍においては
ビーム内部とビーム外部の大きな温度差によりたとえビ
ーム強度が均一であっても温度勾配が生ずる場合があ
る。このような場合にはビームの外周部を強調したビー
ムプロファイルを用いて温度の平坦化を図ることもでき
る。
【0013】2波長レーザ帯域溶融再結晶化法において
用いられる第1のレーザ光と第2のレーザ光は前述の構
成の他にそれぞれのレーザ光の強度が照射している場所
の温度の変化に応じて変調できなければならない。本発
明は帯域溶融再結晶化法により(100)面と(111)面の異な
る配向面を有する単結晶シリコンの再結晶化膜を制御し
て得ることである。2波長レーザ帯域溶融再結晶化法に
おいて異なる配向面の再結晶化膜が得られる機構につい
ては前に述べた。このような溶融シリコンの温度の範囲
あるいは固液界面のファセット面の傾きを決定する温度
勾配のような溶融再結晶化温度プロファイルを実現する
ためには照射するレーザ光の出力をフィードバックによ
り制御することが必要である。何故なら第1のレーザ光
あるいは第2のレーザ光の吸収により発生する熱量は吸
収する層の膜厚、表面の反射率等様々な要因により変化
する。従って帯域溶融再結晶化過程を通じて温度プロフ
ァイルを安定に制御するためには光強度のフィードバッ
ク制御が必要である。更には前に述べた理由により配向
性の制御のためには温度プロファイルのコントロールが
必要である。このようなレーザの光強度のフィードバッ
ク制御としては図15のごとく照射部の温度情報を帰還信
号としてレーザ電源回路に取り込みレーザ出力を制御す
る方法がある。あるいはレーザ発振器と試料との間に光
の強度を外部信号により連続的に変化させる機構を置き
照射部の温度変化に応じてこの機構を制御する方法も可
能である。光の強度を連続的に変化させる機構としては
例えば2枚の偏向板の組合せを利用しても良い。このよ
うな光出力のフィードバック制御機構を備えた第1及び
第2のレーザ光の照射の方法は基板上で二つのレーザ光
の照射で図9に示したような熱プロファイルが形成され
帯域溶融再結晶化法が実現できる照射の方法であれば特
に制限はない。更には図9に示す熱プロファイルに関し
ても帯域溶融再結晶化について重要なのは溶融状態から
固化にいたる過程であるので、熱プロファイルがビーム
の走査方向について対称形である必要もない。以下に本
発明の具体的な実施例について述べる。
【0014】
【実施例】実施例1(異った結晶配向面をもつ領域を含
む単結晶層をもつTFT) 本実施例では第1のレーザ光としてArレーザ光、第2
のレーザ光として炭酸ガスレーザ光を用いた。図17に示
すようにArレーザ発振器22より発射されたArレーザ
光51はビーム径1.9mmのものをマルチラインの発振状態
で用い、線状のビーム形状を形成するために凸レンズ26
を試料21上で焦点を結ぶように配置し更に振動機構27を
備えたミラー28を凸レンズ26と試料21の中間に配し、試
料21上でビームスポットをレーザ光の走査方向と直交す
る方向に振動させて試料21上で線状の熱プロファイルを
形成する。炭酸ガスレーザ光は4台の炭酸ガスレーザ発
振器35,36,37,38を用いてそれぞれミラー31,32,33,34を
介して試料21上に導いた。炭酸ガスレーザ光のビーム径
はそれぞれ5mmのものを用いた。Arレーザ光51は放射
温度計からなる温度検出部29とフィードバック制御部24
よりレーザ電源23を制御し、ビームの走査を通じて測定
部の温度が一定になるようにその出力を制御されてい
る。また炭酸ガスレーザ光52,53,54,55もArレーザ光5
1と同様に放射温度計からなる温度検出部30とフィード
バック制御部43を通じて各々のレーザ電源39,40,41,42
が制御される。再結晶化膜を形成する基板は以下のよう
にして作成する。図13において支持体基板1は厚さ1.0m
mの透明石英ガラス基板を用いた。このガラス支持体基
板1を常法により洗浄し減圧化学気相成長装置(LPC
VD装置)を用い帯域溶融再結晶化法により単結晶化さ
れるシリコン層2として多結晶シリコン薄膜を形成し
た。その膜厚は3500Åである。つぎにこの多結晶シリコ
ン薄膜2をフォトリソグラフィーの手法により図5のよ
うに巾100μmのストライプでストライプ間隔100μmに加
工した。ついでこのストライプ状の多結晶シリコンの上
にLPCVD装置を用いて帯域溶融再結晶化の時の表面
保護層としてSiO2薄膜3を厚さ1.2μmに形成した。
このように形成した多結晶シリコン薄膜試料を前述のA
rレーザ光(第1のレーザ光)と炭酸ガスレーザ光(第
2のレーザ光)で同時に照射加熱溶融し帯域溶融再結晶
化法により単結晶化する。第1のレーザ光と第2のレー
ザ光の配置は次のようである。多結晶シリコンストライ
プに直交するようにArレーザ光51はミラー28を用いて
振動させた。この時のミラーの振動周波数は1kHzに設
定した。またミラーの振幅はシリコン層上でArレーザ
光51のビームの振れ幅が1mmになるように設定した。4
つの炭酸ガスレーザ発振器35,36,37,38より発射された
4本の炭酸ガスレーザ光52,53,54,55は図18に示すごと
く線状のArレーザ光51の照射位置を囲うように対峙す
るビーム間隔3mmで配置した(図18は図14の関係を満し
た具体例である)。Arレーザ光51の出力を2.0W一定
とし、ビームを振動させながら4本の炭酸ガスレーザ光
52,53,54,55の出力を上昇していくと振動するArレー
ザ光51のビームの照射する位置のシリコン層が溶融す
る。この状態において図9に示したような帯域溶融再結
晶化のための熱プロファイルが基板1上で実現されてい
る。ついでステージ25に備えた試料移動機構により試料
21を線状のArレーザビームが多結晶シリコンストライ
プ9に直交するように移動させるとArレーザ光51の照
射部のシリコンの溶融領域8は試料21上でのレーザビー
ムの相対的な走査に伴い、走査方向の下流側まで伸びて
いき、4本の炭酸ガスレーザ光52,53,54,55で熱的にガ
ードされている周囲に熱を放出しながら冷却固化再結晶
を行ない、幅100μmの単結晶ストライプとなる。この時
のシリコン溶融部の下流側への伸びは試料の移動速度、
炭酸ガスレーザ光の出力等により異なるが、試料21の移
動速度1mm/s、4本の炭酸ガスレーザ光52,53,54,55
の出力が各々30Wのとき、溶融シリコンの下流側への伸
びはおおよそ1mmであった。ついで温度検出部29でAr
レーザ光51の照射部のシリコンの融液の温度を検知し
(測温部A)、前述の制御法により温度が一定になるよ
うにArレーザ光51の出力を制御し、更にもう一つの温
度検出部30で試料21の走査に伴って下流側に伸びてくる
シリコン融液の固化部より更に下流側500μmの位置の温
度を検知し(測温部B)、同様に前述の制御法により温
度が一定になるように4本の炭酸ガスレーザ光52,53,5
4,55の出力を制御した。このように測温部A、Bの2カ
所の温度を一定に制御することによりレーザ光の基板上
の走査全般に渡って安定な再結晶化膜を得ることができ
た。更に測温部A、Bの2カ所の温度を表1に示す範囲
に設定すると同一基板上でレーザビームの走査により得
られた単結晶シリコンの配向面は(100)面配向と(111)面
配向であった。以上の操作の繰返しにより2波長レーザ
帯域溶融再結晶化法により配向性を制御しつつ基板1上
の多結晶シリコンストライプを単結晶化した。この後、
表面保護層3のSiO2薄膜3を緩衝フッ酸溶液にてエ
ッチング除去した。以上により本発明の薄膜半導体装置
が完成した。
【表1】
【0015】実施例2 さらに実施例の薄膜半導体装置を用いた応用実施例を示
す。透明石英ガラス基板上に本発明が開示する手法を用
いて、(111)面配向を有する再結晶化膜と(100)面配向を
有する再結晶化膜を近接して形成した。(111)面配向を
有する再結晶化膜上には、光取り込み部の面積(画素面
積)100μ×100μのPINフォトダイオードの列を125
μピッチで形成した。また(100)面配向を有する再結晶
化膜上には上記のPINフォトダイオードの列に個々に
対応して信号を取り出すためのMOS型の電界効果トラ
ンジスタからなるスイッチを形成した。このスイッチ列
は外部からのクロック信号により順次、開閉動作を行な
うことにより上記PINフォトダイオードの光信号を経
時的な電気信号に変換する。このようにして、本発明の
薄膜半導体装置を用いて1次元の光センサアレー(密度
8本/mm)が完成した。
【0016】実施例3(単結晶領域と多結晶領域をもつ
TFT)本発明の実施例を図17を用いて説明する。本実
施例では第1のレーザ光としてArレーザ光を、第2の
レーザ光として炭酸ガスレーザ光を用いた。Arレーザ
光51はビーム径1.9mmのものをマルチラインの発振状態
で用い、線状のビーム形状を形成するために凸レンズ26
を試料21上で焦点を結ぶように配置し、更に振動機構27
を備えたミラー28を凸レンズ26と試料21の中間に配置し
試料21上でビームスポツトをレーザ光の走査方向と直交
する方向に振動させて試料21上で線状の熱プロファイル
を形成する。炭酸ガスレーザ光52,53,54,55は4台の炭
酸ガスレーザ発振器35,36,37,38を用いてそれぞれミラ
ー31,32,33,34を介して試料21上に導いた。炭酸ガスレ
ーザ光のビーム径はそれぞれ5mmのものを用いた。Ar
レーザ光51は放射温度計からなる温度検出部29とフィー
ドバック制御部24よりレーザ電源23を制御し、ビームの
走査を通じて測定部の温度が一定になるようにその出力
は制御されている。また炭酸ガスレーザ光もArレーザ
光と同様に放射温度計からなる温度検出部29とフィード
バック制御部24を通じて各々のレーザ電源39,40,41,42
が制御される。再結晶化膜を形成する基板は以下のよう
にして作成する。図13において支持体基板1は厚さ1.0m
mの透明石英ガラス基板を用いた。このガラス支持体基
板を常法により洗浄し減圧化学気相成長装置(LPCV
D装置)を用い帯域溶融再結晶化法により単結晶化され
るシリコン層2として多結晶シリコン薄膜を形成した。
その膜厚は4000Åである。多結晶シリコンの上にLPC
VD装置を用いて帯域溶融再結晶化時の表面保護層3と
してSiO2薄膜3を厚さ2.0μmに形成した。このよう
に形成した多結晶シリコン薄膜試料を前述のArレーザ
光(第1のレーザ光)と炭酸ガスレーザ光(第2のレー
ザ光)で同時に照射し、加熱溶融し帯域溶融再結晶化法
により単結晶化する。又、多結晶の要求される領域にお
いてはArレーザ光と炭酸ガスレーザ光のビームの照射
が起こらないようにアライメントする。これより単結晶
の領域と多結晶の領域を選択的に形成することができ
る。第1のレーザ光と第2のレーザ光の配置は次のよう
にする。走査方向に直交するようにArレーザ光51はミ
ラー28を用いて振動させた。この時のミラーの振動周波
数は1kHzに設定した。またミラーの振れ幅はシリコン
層上でArレーザ光51のビームの振れ幅が1mmになるよ
うに設定した。4本の炭酸ガスレーザ光52,53,54,55は
図18に示すように線状のArレーザ光51の照射位置を囲
うように対峙するビーム間隔3mmで配置した。Arレー
ザ光51の出力を2.0W一定とし、ビームを振動させなが
ら4本の炭酸ガスレーザ光52,53,54,55の出力を上昇し
ていくと振動するArレーザ光51のビームの照射する位
置のシリコン層が溶融する。この状態において図9に示
したような帯域溶融再結晶化のための熱プロファイルが
基板1上で実現されている。ついでステージ25に備えた
試料移動機構により試料21を移動させるとArレーザ光
51の照射部のシリコンの溶融領域は試料21上でのレーザ
ビームの相対的な走査に伴い、走査方向の下流側まで伸
びていき、4本の炭酸ガスレーザ光52,53,54,55で熱的
にガードされている周囲に熱を放出しながら冷却固化再
結晶を行ない単結晶化する。この時のシリコン溶融部の
下流側へののびは試料の移動速度、炭酸ガスレーザ光5
2,53,54,55の出力が各々30Wのとき溶融シリコンの下流
側へののびは約1mmであった。ついで温度検出部29でA
rレーザ光51の照射部のシリコンの融液の温度を検知し
(図19の測温部A44)、前述の制御法により温度が一定
になるようにArレーザ光51の出力を制御し、更には、
もう一つの温度検出部30で試料21の走査に伴って下流側
にのびてくるシリコン融液の固化部より更に下流側500
μmの位置の温度を検知し(図19の測温部B45)、同様
に前述の制御法により温度が一定になるように4本の炭
酸ガスレーザ光52,53,54,55の出力を制御した。このよ
うに測温部A、B44,45の2カ所の温度を一定に制御す
ることによりレーザ光の基板上の走査全般にわたり、安
定な再結晶化膜を得ることができた。更に測温部A、B
44,45の2カ所の温度を表1に示す範囲に設定すると同
一基板上でレーザビームの走査により得られた単結晶シ
リコンの配向面は(100)面配向と(111)面配向であった。
又、多結晶の要求される領域においてはArレーザ51及
び、4台のCO2レーザ発振器を用いてCO2レーザ52,5
3,54,55の照射を行なわないようにした。以上の操作の
繰返しにより2波長レーザ帯域溶融再結晶化法により配
向性を制御しつつ基板1上に(100)面と(111)面に制御さ
れた配向面を持つ単結晶シリコンと多結晶シリコンを形
成した。なお、図19は図18のようなレーザ光の配置で本
発明の薄膜半導体装置を形成する場合に、シリコンの溶
融領域が第1のレーザ光の照射が過ぎた後も溶融状態を
保持して後方に伸びることを模擬的に示すものである。
この後、表面保護層3のSiO2薄膜を緩衝フッ酸溶液
にてエッチング除去した。以上により本発明の薄膜半導
体装置が完成した。
【0017】実施例4(単結晶領域と多結晶領域をもつ
TFT)図21を用いて説明する。本実施例は実施例3の
薄膜半導体装置を用いた応用実施例である。透明石英ガ
ラス基板上に本発明の手法を用いて(111)面配向を有す
る再結晶化膜61と(100)面配向を有する再結晶化膜62を
近接して形成し、その間の領域には多結晶シリコン63を
形成した。その後、通常の半導体プロセスを用いて(11
1)面配向を有する再結晶化膜61上には光取り込み部の面
積(画素面積)100μ×100μのPINフォトダイオード
の列64を125μmピッチで形成した。また(100)面配向を
有する再結晶化膜62上には上記のPINフォトダイオー
ドの列に個々に対応して信号を取り出すためのMOS型
FETからなるスイッチ65を形成した。このMOS型F
ET65とPINフォトダイオード列64の電気的な接続に
は多結晶シリコンを用いて配線66を行った。この多結晶
シリコンは半導体プロセス中の不純物拡散工程において
十分に拡散されている。この拡散工程においてMOS型
トランジスタのゲート電極の多結晶シリコン67も同時に
拡散される。MOS型FETのスイッチ列は外部からの
クロック信号により順次、開閉動作を行い、上記PIN
フォトダイオードの光信号を経時的な電気信号に変換す
る。このようにして本発明の薄膜半導体装置を用いて金
属配線を少なくした1次元の光センサアレー(密度8本
/mm)が完成した。
【0018】実施例5 図17を用いて本実施例の構成を説明する。本実施例で
は、第1のレーザ光としてArレーザ光、第2のレーザ
光として炭酸ガスレーザ光を用いた。Arレーザ光51は
ビーム径1.9mmのものをマルチラインの発振状態で用
い、線状のビーム形状を形成するために凸レンズ26を試
料21上で焦点を結ぶように配置し更に振動機構27を備え
たミラー28を凸レンズ26と試料21の中間に配し試料21上
でビームスポットをレーザ光の走査方向と直交する方向
に振動させて試料21上で線状の熱プロファイルを形成す
る。炭酸ガスレーザ光は4台の炭酸ガスレーザ発振器5
2,53,54,55を用いてそれぞれミラー31,32,33,34を介し
て試料21上に導いた。炭酸ガスレーザ光のビーム径はそ
れぞれ5mmのものを用いた。Arレーザ光51は放射温度
計からなる温度検出部29とフィードバック制御部24より
レーザ電源23を制御し、ビームの走査を通じて測定部の
温度が一定になるようにその出力を制御されている。ま
た炭酸ガスレーザ光もArレーザ光と同様に放射温度計
からなる温度検出部30とフィードバック制御部43を通じ
て各々のレーザ電源39,40,41,42が制御される。再結晶
化膜を形成する基板は以下のようにして作成する。図13
において支持体基板1は厚さ1.6mmの透明石英ガラス基
板を用いた。このガラス支持体基板1を常法により洗浄
し、スパッタ装置を用い帯域溶融再結晶化法により単結
晶化されるシリコン層2として非晶質シリコン薄膜を形
成した。その膜厚は3500Åであり、水素含有率はIRス
ペクトル分析により0.8atom%であった。次に、この非
晶質シリコン層の上にLPCVD装置を用いて、帯域溶
融再結晶化の時の表面保護層3としてSiO2薄膜を厚
さ1.5μmに形成した。このように形成した非晶質シリコ
ン薄膜試料を前述のArレーザ光(第1のレーザ光)と
炭酸ガスレーザ光(第2のレーザ光)で同時に照射加熱
溶融し帯域溶融再結晶化法により単結晶化する。第1の
レーザ光と第2のレーザ光の配置は次のようである。試
料移動方向に直交するようにArレーザ光51はミラー28
を用いて振動させた。この時のミラーの振動周波数は1
kHzに設定した。またミラーの振幅はシリコン層上でA
rレーザ光51のビームの振れ幅が1mmになるように設定
した。4本の炭酸ガスレーザ光52,53,54,55は図18に示
すごとく線状のArレーザ光51の照射位置を囲うように
対峙するビーム間隔3mmで配置した。次に、Arレーザ
光51の出力を2.0W一定とし、ビームを振動させながら
4本の炭酸ガスレーザ光52,53,54,55の出力を上昇して
いくと、振動するArレーザ光51のビームの照射する位
置のシリコン層が溶融する。この状態において図9に示
したような帯域溶融再結晶化のための熱プロファイルが
基板1上で実現されている。さらに、ステージ25に備え
た試料移動機構により、試料21を線状のArレーザビー
ムに対して移動させると、Arレーザ光51の照射部のシ
リコンの溶融領域は、試料21上でのレーザビームの相対
的な走査に伴い走査方向の下流側まで伸びていき、4本
の炭酸ガスレーザ光52,53,54,55で熱的にガードされて
いる周囲に熱を放出しながら冷却固化再結晶を行ない、
幅500μmのストライプ状の単結晶シリコン領域が形成さ
れる。この時のシリコン溶融部の下流側への伸びは、試
料の移動速度、炭酸ガスレーザ光の出力等により異なる
が、試料21の移動速度1mm/s、4本の炭酸ガスレーザ
光52,53,54,55の出力が各々30Wのとき、溶融シリコン
の下流側への伸びはおおよそ1mmであった。このとき、
温度検出部29で、図19に示すようにArレーザ光51の照
射部のシリコンの融液の温度を検知し(44で示す測温部
A)、前述の制御法により温度が一定になるようにAr
レーザ光51の出力を制御し、更にもう一つの温度検出部
30で、試料21の走査に伴って下流側に伸びてくるシリコ
ン融液の固化部より更に下流側500μmの位置の温度を検
知し(45で示す測温部B)、同様に前述の制御法により
温度が一定になるように4本の炭酸ガスレーザ光52,53,
54,55の出力を制御した。このように測温部A、Bの2
カ所の温度を一定に制御することによりレーザ光の基板
上の走査全般に渡って安定な再結晶化膜を得ることがで
きた。更に測温部Aの温度範囲を1420℃〜1430℃とし、
測温部Bの温度範囲を1330℃〜1340℃と設定すると、図
12で示すサブグレインバンダリーの存在が極めて少ない
単結晶シリコン領域を形成することができた。この後、
表面保護層3のSiO2薄膜を緩衝フッ酸溶液にてエッ
チング除去することにより、本発明の薄膜半導体装置が
完成した。
【0019】実施例6 次に、実施例5の薄膜半導体装置を用いた応用実施例を
示す。透明石英ガラス基板上に本発明が開示する手法を
用いて、非晶質シリコン薄膜と単結晶シリコン薄膜を同
一面内に形成した。そして、非晶質シリコン薄膜上に
は、プラズマ水素化処理をした後、光取り込み部の面積
(画素面積)100μm×100μmのa-Si:Hフォトダイオ
ードの列を125μmピッチで形成した。また、単結晶シリ
コン薄膜上には、上記フォトダイオードの列に個々に対
応して、信号を取り出すためのMOS型の電界効果トラ
ンジスタからなるスイッチを形成した。このスイッチ列
は、外部からのクロック信号により順次、開閉動作を行
なうことにより、上記フォトダイオードの光信号を経時
的な電気信号に変換する。このようにして本発明の薄膜
半導体装置を用いた1次元の光センサアレー(密度8本
/mm)が完成した。
【0020】比較例7 実施例5と同様の透明石英ガラス基板上にLP-CVD
法により非晶質シリコン層を形成したところ、その膜厚
は3400Åであり、また水素含有率をIRスペクトルによ
り分析したところ、5atom%であった。そして、この非
晶質シリコン層の上にLP-CVD法により、SiO2
膜を厚さ1.5μmに形成した。このようにして形成した非
晶質シリコン薄膜材料基板を実施例5と同様の方法で帯
域溶融再結晶化したところ、再結晶化膜中には無数のボ
イドが発生し、デバイス形成のための基板として使用可
能なものは得られなかった。
【0021】
【効果】本発明により、1つの半導体層上の特定領域毎
に異った結晶配向面をもつ、および/または異った結晶
状態をもつもので構成された新らしいタイプの薄膜半導
体装置を提供できた。本発明によれば、同一基板上に目
的、用途に適した結晶配向面、あるいは結晶性を有する
領域を任意に形成できるので、デバイス設計、製造プロ
セス等の面での自由度が広がるとともに、高性能のデバ
イスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融再結晶法における温度分布の具合によって
は多結晶化することを示す概略図である。
【図2】溶融再結晶法における温度分布の具合によって
は単結晶化することを示す概略図である。
【図3】(a)は、再結晶化の方向(矢印)におけるシリコ
ン薄膜の好ましい温度分布を示し、シリコンの融点1412
℃を上まわる温度の個所が溶融再結晶化が行われている
個所である。(b)は、シリコン薄膜の層を有する絶縁性
基板よりなる薄膜半導体装置の概略図であり、8はシリ
コンの溶融部分を示す。
【図4】溶融シリコンの固液界面の状態図である。
【図5】絶縁性基板上に設けられたシリコン層の形状が
ストライプ状の場合を示す薄膜半導体装置の平面図であ
る。
【図6】絶縁性基板上に設けられたシリコン層の形状が
島状の場合を示す薄膜半導体装置の平面図である。
【図7】絶縁性基板上に設けられたシリコン層の形状が
連結島状の場合を示す薄膜半導体装置の平面図である。
【図8】本発明の帯域溶融再結晶化の状態を示す薄膜半
導体の断面図である。
【図9】本発明の2種類のレーザ光による加熱領域の温
度プロファイルを示す。
【図10】本発明の再結晶化膜のX線ピークを示す。
【図11】(a)は(100)結晶配向面のファセット面角度を示
す。 (b)は(111)結晶配向面のファセット面角度を示す。
【図12】シリコン層の溶融再結晶化時の温度プロファイ
ルとサブグレインバンダリーの発生形態を模式的に示す
図である。
【図13】本発明の薄膜半導体装置の断面図である。
【図14】本発明の薄膜半導体装置に用いる2波長レーザ
帯域溶融再結晶法が可能な第1レーザ光と第2レーザ光
との好適な相対的位置関係を示した図である。
【図15】レーザの光強度のフィードバックシステムの1
例を示す。
【図16】レーザの光強度のフィードバックシステムの他
の1例を示す。
【図17】本発明実施例におけるレーザ照射システムを示
す。
【図18】第1レーザと第2レーザの組合せ照射例を示
す。
【図19】本発明実施例のレーザ光の配置で行われる帯域
溶融再結晶化の様子を模式的に示す図である。
【図20】線状ヒータを用いた帯域溶融法の概略図であ
る。
【図21】(a)は、本発明実施例4で用いた薄膜半導体装
置の平面図である。 (b)は、(a)を加工して得られた実施例4の光センサアレ
ーの概略図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2 半導体層(シリコン層) 3 表面保護層 4 第1のレーザ光 5 第2のレーザ光 8 溶融帯域 11 絶縁性基板 12 レーザ発振器 13 レーザ電源 14 フィードバック制御部 15 温度検知部 16 光変調部 21 試料 22 Arレーザ発振器 23 Arレーザ電源 24 Arレーザ用フィードバック制御部 25 ステージ 26 凸レンズ 27 ミラー振動機構 28 Arレーザ用ミラー 29 Arレーザ用温度検知部 30 炭酸ガスレーザ用温度検知部 31 炭酸ガスレーザ用ミラー検知部 32 炭酸ガスレーザ用ミラー検知部 33 炭酸ガスレーザ用ミラー検知部 34 炭酸ガスレーザ用ミラー検知部 35 炭酸ガスレーザ発振器 36 炭酸ガスレーザ発振器 37 炭酸ガスレーザ発振器 38 炭酸ガスレーザ発振器 39 炭酸ガスレーザ電源 40 炭酸ガスレーザ電源 41 炭酸ガスレーザ電源 42 炭酸ガスレーザ電源 43 炭酸ガスレーザ用フィードバツク制御部 44 測温部A 45 測温部B 46 溶融領域 51 Arレーザビーム 52 炭酸ガスレーザビーム 53 炭酸ガスレーザビーム 54 炭酸ガスレーザビーム 55 炭酸ガスレーザビーム 61 (111)面配向を有する再結晶化領域 62 (100)面配向を有する再結晶化領域 63 多結晶シリコン領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大高 剛一 宮城県名取市高舘熊野堂字余方上5番地 の10 リコー応用電子研究所株式会社内 (72)発明者 日野 威 宮城県名取市高舘熊野堂字余方上5番地 の10 リコー応用電子研究所株式会社内 (72)発明者 熊野 勝文 宮城県名取市高舘熊野堂字余方上5番地 の10 リコー応用電子研究所株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−121220(JP,A) 特開 昭59−82715(JP,A) 特開 昭58−52843(JP,A) 特開 昭61−141117(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性基板上に形成された非晶質または
    多結晶半導体層に帯域溶融再結晶化法を適用して単結晶
    層に変換することにより、薄膜半導体装置を製造する方
    法において、前記帯域溶融再結晶化の加熱手段として半
    導体層に吸収されるレーザ光と絶縁性基板に吸収される
    レーザ光を併用して同時に照射するに当り、第1のレー
    ザ光発生手段としてシリコンの吸収帯域にある波長を出
    すレーザ光であって、シリコンを溶融させるエネルギー
    を発生するものを用い、第2のレーザ光発生手段とし
    て、溶融シリコンの冷却固化再結晶化過程を制御するこ
    とができるエネルギーを発生するものを用い、それぞれ
    のレーザ光発生手段は、レーザ光が照射している場所の
    温度変化に応じて変調できるものであることを特徴とす
    る薄膜半導体装置の製法。
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