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JP3210672U - 積層体 - Google Patents

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JP3210672U
JP3210672U JP2017001158U JP2017001158U JP3210672U JP 3210672 U JP3210672 U JP 3210672U JP 2017001158 U JP2017001158 U JP 2017001158U JP 2017001158 U JP2017001158 U JP 2017001158U JP 3210672 U JP3210672 U JP 3210672U
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Abstract

【課題】建築物、土木構造物等の表面被覆に適用することができる、天然石のような美観性を有する積層体を提供する。【解決手段】基材4の上に、第1模様層1と第2模様層2が順に積層され、第1模様層1と第2模様層2が、それぞれ特定の着色粒子による模様を有するものとする。第1模様層1の模様は粒状着色無機質粒子Aによって形成され、第2模様層2の模様は扁平状着色樹脂粒子Cによって形成される。【選択図】図1

Description

本考案は、新規な積層体に関する。本考案積層体は、建築物、土木構造物等の表面被覆に適用することができ、具体的には建築物壁面の模様仕上げ等に適用することができる。
建築物壁面等においては、景観上の観点から美観性が求められている。近年、このような観点から、例えば天然石をイメージした模様仕上げ等が注目されている。
このような模様仕上げとして、例えば、特許文献1には、基材上に下地塗膜を設け、その上に模様転写シートを押しつけて模様を転写する方法が記載されている。この特許文献1で得られる模様仕上げは、スパッタリングによって形成されたスポット状の塗膜である。また、特許文献2には、被塗装面にベース色塗装を行った後、スパッタリングによって多数の塗料滴を吹き付ける方法が記載されている。
特開平11−290769号公報 特開2005−238138号公報
上記特許文献1、特許文献2のようなスパッタリングの場合、複数の異なる色の着色材を使用することができるため、多色模様を形成することは可能である。しかしながら、形成された多色模様は平面的であり、奥行き感を表現することは難しい。
本考案は、上記問題点を解決するためになされたものであり、天然石のような美観性を有する積層体を提供することを目的とするものである。
本考案者は、鋭意検討の結果、基材の上に、第1模様層と第2模様層が順に積層され、第1模様層と第2模様層が、それぞれ特定の着色粒子による模様を有する積層体に想到し、本考案を完成するに至った。
すなわち、本考案の積層体は、下記の特徴を有するものである。
1.基材の上に、第1模様層と第2模様層が順に積層された積層体であって、
上記基材は、建築物、土木構造物の表面を構成するものであり、
上記第1模様層と第2模様層は、着色粒子による模様を有し、
上記第1模様層の模様が粒状着色無機質粒子によって形成され、
上記第2模様層の模様が扁平状着色樹脂粒子によって形成されていることを特徴とする積層体。
2.上記第1模様層の模様が2色以上からなる1.記載の積層体。
3.上記第2模様層の模様が2色以上からなる1.記載の積層体。
4.上記第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が透光性を有する1.記載の積層体。
5.上記第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が、上記第1模様層の上に散在している1.記載の積層体。
6.上記第2模様層の扁平状着色樹脂粒子は、上記第1模様層の粒状着色無機質粒子よりも平均粒子径が大きいことを特徴とする1.記載の積層体。
7.上記第2模様層の上に、クリヤー層が積層された1.記載の積層体。
8.基材の上に、下塗層を介して、第1模様層と第2模様層が順に積層された1.記載の積層体。
上記1.に係る考案では、第1模様層の模様が粒状着色無機質粒子より形成され、第2模様層の模様が扁平状着色樹脂粒子より形成されていることによって、天然石のような美観性を付与することができる。
上記2.に係る考案では、第1模様層の模様が2色以上からなることにより、多色模様が形成される。また、上記3.に係る考案では、第2模様層の模様が2色以上からなることにより、多色模様が形成さる。このような積層体では、本考案の意匠的効果を高めることができる。
上記4.に係る考案では、第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が、透光性を有することによって、奥行き感が付与され、本考案の意匠的効果を高めることができる。
上記5.に係る考案では、第1模様層の粒状着色無機質粒子と、第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が、表面から十分に視認される形態となり、本考案の意匠的効果を高めることができる。
上記6.に係る考案では、第2模様層の扁平状着色樹脂粒子の平均粒子径が、第1模様層の粒状着色無機質粒子の平均粒子径よりも大きいことにより、天然石のような美観性を一層高めることができる。
上記7.に係る考案では、クリヤー層の作用によって、第1模様層と第2模様層の質感が均一化され、仕上り性が向上する。
上記8.に係る考案では、下塗層を設けることによって、密着性、仕上り性等を高めることができる。
本考案積層体の一例を示す断面模式図である。 本考案積層体の一例を示す断面模式図である。 本考案積層体の一例を示す断面模式図である。 本考案積層体の一例を示す断面模式図である。
(1)第1模様層
(2)第2模様層
(3)クリヤー層
(4)基材
(5)下塗層
(6)支持層
(7)接着剤層
(A)、(A1)、(A2)粒状着色無機質粒子
(C)、(C1)、(C2)扁平状着色樹脂粒子
以下、本考案を実施するための形態について説明する。
本考案は、基材の上に、第1模様層と第2模様層が順に積層された積層体に関するものであり、特に、第1模様層と第2模様層が特定の着色粒子による模様を有することを特徴とするものである。
図1は、本考案積層体の一例を示す断面模式図である。図1では、基材(4)の上に、第1模様層(1)と、第2模様層(2)が順に積層されている。このような積層体は、例えば、基材(4)に対し、各層の構成材料を順に塗装することによって形成できる。
基材(4)は、建築物、土木構造物等の表面を構成するものである。このような基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、煉瓦、プラスチック板、金属板、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。これら基材は、その表面に、既に被膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。
本考案積層体では、図3に示すように、基材(4)の上に下塗層(5)を設けることができる。このような下塗層(5)を設けることで、本考案では密着性、仕上り性等を高めることができる。下塗層(5)は、基材(4)に対し下塗材を塗装することで形成できる。下塗材としては、例えばフィラー、シーラー、サーフェーサー等のいずれか1種または2種以上を好ましく使用することができる。このような下塗材は、基材全面に塗装すればよい。下塗材の塗付け量(固形分換算)は、シーラーの場合、好ましくは0.01〜1kg/m、より好ましくは0.02〜0.5kg/mであり、サーフェーサーまたはフィラーの場合は、好ましくは0.1〜10kg/m、より好ましくは0.2〜5kg/mである。
本考案の第1模様層(1)は、粒状着色無機質粒子(A)を有するものである。第1模様層(1)の模様は、粒状着色無機質粒子(A)により形成される。第1模様層(1)の模様は2色以上からなることが好ましい。このような多色模様は、2色以上の粒状着色無機質粒子(例えば、図中(A1)、(A2)等)を用いることによって形成できる。
第1模様層(1)は、例えば、粒状着色無機質粒子(A)、及び樹脂成分を含む組成物(以下、「無機質粒子組成物」ともいう)により形成することができる。このような無機質粒子組成物を用いることにより、粒状着色無機質粒子(A)が樹脂により固定化された層が得られる。
粒状着色無機質粒子(A)の色調は、第1模様層(1)の模様に寄与するものである。粒状着色無機質粒子(A)は、第1模様層(1)の表面に微細な凹凸を付与し、陰影感を有する立体的な意匠表現に寄与することもできる。第1模様層(1)では、複数の粒状着色無機質粒子の組合せ等によって、意匠性を調整することもできる。
本考案に好適な粒状着色無機質粒子(A)としては、有色であり、材質が無機質であれば、天然品、人工品のいずれも使用することができる。このような粒状着色無機質粒子(A)としては、特に、光透過率が3%未満の不透明なものが好適であり、光透過率が2%以下のものがより好適である。このような(A)成分として、具体的には、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、砂岩、粘板岩、玄武岩、斑れい岩、閃緑岩、安山岩、石灰岩及びこれらの粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、金属粒等が挙げられる。また、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂、及びこれらの粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ等を、上記条件を満たすように着色したもの等も使用できる。
粒状着色無機質粒子(A)の平均粒子径は、好ましくは、0.01mm〜5mm、より好ましくは0.02mm〜2mm、さらに好ましくは0.03〜0.8mmである。粒子径が異なる粒状着色無機質粒子(A)を種々組み合せることによって、意匠性の幅を広げることもできる。なお粒状着色無機質粒子の平均粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い、その重量分布の平均値を算出することによって得られる値である。
なお、本考案における「粒状」とは、球形、または球形に近い形を有するものであり、後述の「扁平状」とは異なる形状を有するものである。また、光透過率とは、濁度計による全光線透過率の値である。この測定では、粒状着色無機質粒子(A)の試料を内厚5mmの透明ガラス製セル中に充填し、次いで徐々に水を充填した後、セル中の気泡を振動によって取り除いたものを用いる。但し試料としては、粒子径が0.5〜1.0mmのものを選別して用いる。
本考案の第1模様層(1)は、上記粒状着色無機質粒子(A)に加えて、粒状透明性無機質粒子(B)を含む形態が好適である。このような透明性を有する無機質粒子を使用すれば、より一層、天然石のような美観と奥行き感を高めることができる。
このような粒状透明性無機質粒子(B)としては、光透過率が3%以上(より好ましくは3〜50%、さらに好ましくは10〜30%)であるものが好適である。なお、ここに言う光透過率は、上記粒状着色無機質粒子(A)と同様の方法で測定されたものである。
このような粒状透明性無機質粒子(B)としては、具体例には、例えばシリカ、寒水石、長石、珪石等及びこれらの粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ等が挙げられ、上記の光透過率を満たすものであれば、無色、有色のいずれのタイプも使用できる。また、粒状透明性無機質粒子(B)の平均粒子径は、好ましくは0.1〜5.0mmである。
本考案の第1模様層(1)における樹脂成分は、上記粒状着色無機質粒子(A)、粒状透明性無機質粒子(B)を固定化する役割を担う。このような樹脂成分としては、各種の樹脂成分が使用できる。樹脂成分としては、例えば、溶剤可溶型樹脂、非水分散型樹脂、無溶剤型樹脂、水分散型樹脂、水溶性樹脂等が挙げられる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体等、あるいはこれらの複合物等が挙げられる。このような樹脂成分は、架橋反応を生じる性質を有するものであってもよい。
樹脂成分の比率は、固形分換算で、粒状着色無機質粒子(A)と粒状透明性無機質粒子(B)の合計量100重量部に対し、好ましくは3重量部以上50重量部以下、より好ましくは4重量部以上30重量部以下、さらに好ましくは5重量部以上20重量部未満、最も好ましくは6重量部以上19重量部以下である。このような比率であれば、粒状着色無機質粒子の美観を活かした意匠性が付与される。
本考案の第1模様層(1)は、上記成分に加え、無機酸化物微粒子を含むことができる。このような無機酸化物微粒子を使用すれば、耐久性、耐汚染性等が高まり、美観性の長期保持の点で有利である。
無機酸化物微粒子としては、例えば、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン、マグネシウム等の酸化物微粒子が挙げられる。この中でも、二酸化珪素が好適である。無機酸化物微粒子の粒子径は、好ましくは1〜200nmである。このような無機酸化物微粒子は、樹脂成分と複合化されたものであってもよい。
無機酸化物微粒子の比率は、固形分換算で、粒状着色無機質粒子(A)と粒状透明性無機質粒子(B)の合計量100重量部に対し、好ましくは0.01重量部以上20重量部以下である。
また、第1模様層(1)には、本考案の効果を著しく損なわない限り、必要に応じ、その他の成分を含むことができる。このような成分としては、例えば、可塑剤、防藻剤、抗菌剤、消臭剤、吸着剤、難燃剤、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、蓄光顔料、蛍光顔料、骨材、繊維、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。
本考案の第1模様層(1)は、その表面に、粒状着色無機質粒子(A)に由来する微視的な凹凸形状を有する。この微視的な凹凸は、粒状着色無機質粒子(A)の粒子径や凝集具合等に起因するもので、好ましくは1.5mm以下(より好ましくは0.005mm以上1.2mm以下、さらに好ましくは0.01mm以上1mm以下、最も好ましくは0.02mm以上0.8mm以下)の高低差を有するものである。
本考案の第1模様層(1)としては、上述の微視的な凹凸に加え、さらに巨視的な凹凸模様を有するものが使用できる。
巨視的な凹凸模様は、第1模様層(1)に立体感を付与する。この巨視的な凹凸模様は、上述の微視的な凹凸よりも大きく、好ましくは1mm以上10mm(より好ましくは1.5mm以上8mm以下)の高低差を有するものである。このような高低差を有する凹凸模様としては、例えば、ゆず肌模様、さざ波模様、スタッコ模様、砂壁模様、石材模様、岩肌模様、砂岩模様、吹放し模様、月面模様、櫛引模様、虫喰模様、等が挙げられる。
本考案の第1模様層(1)の厚みは、目的に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは0.5mm〜10mm、より好ましくは1mm〜8mmである。
このような第1模様層(1)は、公知の塗装器具を用いて、無機質粒子組成物を塗付することで形成できる。塗装器具としては、例えば、スプレー、ローラー、鏝、レシプロ、コーター等が使用できる。無機質粒子組成物の塗付け量(固形分換算)は、好ましくは0.3〜10kg/m、より好ましくは0.5〜8kg/mである。
本考案の第2模様層(2)は、扁平状着色樹脂粒子(C)を有するものである。第2模様層(2)の模様は、扁平状着色樹脂粒子(C)によって形成される。第2模様層(2)の模様は2色以上からなることが好ましい。このような多色模様は、2色以上の扁平状着色樹脂粒子(例えば、図中(C1)、(C2)等)を用いることによって形成できる。このような扁平状着色樹脂粒子(C)は、例えば、樹脂成分及び顔料を含む着色材によって形成できる。なお、本考案で言う扁平状とは、厚さに対する短径の比が2より大きい状態を意味するものである。
扁平状着色樹脂粒子(C)の平均粒子径は、好ましくは0.5〜20mm、より好ましくは1〜15mm、さらに好ましくは2〜12mmである。第2模様層の扁平状着色樹脂粒子(C)の平均粒子径が、第1模様層の粒状着色無機質粒子(A)の平均粒子径よりも大きい場合、天然石のような美観性を一層高めることができ、意匠性向上の点で好適である。また、粒子径が異なる扁平状着色樹脂粒子(C)を種々組み合せることによって、意匠性の幅を広げることもできる。なお、扁平状着色樹脂粒子(C)の粒子径とは、その長径のことである。
着色材における樹脂成分としては、上記の第1模様層(1)と同様の樹脂成分が使用できる。
着色材における顔料としては、着色顔料が使用できる。具体的に、着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、カーボンブラック、酸化第二鉄(弁柄)、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、群青、コバルトグリーン等の無機着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機着色顔料、パール顔料、アルミニウム顔料、光輝性顔料、蓄光顔料、蛍光顔料等が挙げられる。このような着色顔料の1種または2種以上を組み合わせることにより、扁平状着色樹脂粒子(C)を所望の色調に調製することができる。着色材の着色顔料の濃度は、好ましくは40重量%以下に設定すればよい。
着色材においては、このような着色顔料に加え、体質顔料を使用することもできる。体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、カオリン、陶土、タルク、珪石粉、珪藻土等が挙げられる。
第2模様層(2)の扁平状着色樹脂粒子(C)においては、透光性を有するものを含むことが好適である。透光性を有する扁平状着色樹脂粒子は、透明着色材により形成されるものである。このような透明着色材を使用すれば、より一層、天然石のような美観と奥行き感を高めることができる。
透明着色材の透明性は、着色顔料の濃度を低く設定することにより付与することができる。透明着色材における着色顔料の濃度は、好ましくは5重量%以下(より好ましくは0.001重量%以上4重量%以下、さらに好ましくは0.01重量%以上3重量%以下)に設定すればよい。
第2模様層(2)の扁平状着色樹脂粒子(C)は、上記第1模様層(1)の上に散在した形態が望ましく、特に2色以上(より好ましくは3〜8色)の扁平状着色樹脂粒子(C)が散在した形態が望ましい。このような形態では、(C)が非連続的な層を形成し、第1模様層の粒状着色無機質粒子(A)と第2模様層の扁平状着色樹脂粒子(C)が表面に露出した形態となる。すなわち、第1模様層と第2模様層によるそれぞれの模様が、十分に視認される状態となる。これによって、より一層、本考案の効果を高めることができる。扁平状着色樹脂粒子(C)の色調は、最終的に形成される模様に応じて適宜設定すればよい。
このような第2模様層(2)は、以下の(I)または(II)の方法によって形成できる。
(I)着色材をカプセル化またはゲル化して得られる液状またはゲル状の着色樹脂粒子(好ましくは2色以上の着色樹脂粒子)が、分散媒中に分散した組成物(以下、「着色樹脂粒子分散体」ともいう)を塗装する。
(II)着色材(好ましくは2色以上の着色材)を粒状に塗装する。
上記(I)の着色樹脂粒子分散体の分散媒としては、特に限定されないが、上記着色材で述べた水分散型樹脂及び/または水溶性樹脂と、水を主成分とするものが好ましく、必要に応じゲル化剤、その他添加剤等を含むこともできる。
上記(I)では、1回の塗装で効率的に模様層が形成できる。着色樹脂粒子分散体の塗装においては、種々の塗装方法を採用することができるが、吹付け塗装が好適である。着色樹脂粒子分散体の塗付け量(固形分換算)は、好ましくは0.01〜1kg/m、より好ましくは0.05〜0.5kg/mである。
上記(I)において、扁平状着色樹脂粒子(C)を形成する方法としては、
・予め扁平状の着色樹脂粒子を分散媒中に分散させた着色樹脂粒子分散体を塗装する方法、
・塗装時の圧力等により、着色樹脂粒子を扁平状にする方法、
・塗装後、押圧等によって、着色樹脂粒子を扁平状にする方法、
等が挙げられる。
上記(II)では、粒状となった着色材が、扁平状着色樹脂粒子(C)を形成する塗装方法を採用することができる。上記(II)では、特に吹付け塗装が好適である。2種以上の着色材を使用する場合、これら着色材は同時に、または順に塗装すればよい。複数種の着色材を同時に塗装する場合には、塗装器具として多頭型吹付け塗装機等を使用することができる。着色材の塗付け量(固形分換算)は、好ましくは0.01〜1kg/m(より好ましくは0.05〜0.5kg/m)である。
本考案の積層体は、例えば、基材(4)に、第1模様層(1)を形成し、次いで、第2模様層(2)を形成する方法によって得られる。
本考案では、第2模様層(2)の上に、クリヤー層(3)を形成することができる。このようなクリヤー層(3)を設けることにより、第1模様層と第2模様層の質感が均一化され、全体的な仕上り性が向上する。また、耐候性が要求される構造物外部等に本考案積層体を適用する場合には、模様層の保護を図ることもできる。
クリヤー層(3)は、例えば、樹脂成分等を含むクリヤー組成物を塗付することによって形成できる。樹脂成分としては、上記の第1模様層(1)と同様の樹脂成分が使用でき、特に水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂が好ましい。
クリヤー層(3)の好適な形態としては、積層体の最表面にシリカ微粒子が固着した形態が挙げられる。このような形態では、シリカ微粒子が樹脂成分で固定化されたものが、より好ましい。このようなクリヤー層は、樹脂成分及びシリカ微粒子を含むクリヤー組成物によって形成できる。シリカ微粒子は、粒子自体の硬度が高く、さらに粒子表面にシラノール基を多く有する等によって、優れた汚染防止効果を発揮することができる。
上記シリカ微粒子の平均一次粒子径は、好ましくは1〜200nm(より好ましくは3〜100nm、さらに好ましくは5〜60nm)である。この範囲内であれば、平均一次粒子径が異なる複数のシリカ微粒子を併用することもできる。
シリカ微粒子と樹脂成分の比率は、シリカ微粒子の固形分100重量部に対し、固形分重量比率で、好ましくは5〜500重量部(より好ましくは10〜100重量部、さらに好ましくは20〜80重量部)である。
クリヤー層(3)の形成は、種々の塗装方法を採用することができるが、特に吹き付け塗装が好適である。クリヤー層(3)は、積層体の最表面全体を被覆することが好ましい。また、クリヤー層(3)の塗付け量(固形分換算)は、好ましくは0.1〜300g/m(より好ましくは1〜200g/m)である。このようなクリヤー層(3)は、積層体表面への密着性に優れると共に、十分な汚染防止効果も発揮する。
本考案では、第1模様層(1)、第2模様層(2)、必要に応じクリヤー層(3)等を、予めシート状物に成形しておくこともできる。このようなシート状物を得る方法としては、公知の方法を採用すればよい。例えば、支持層(6)に対し、第1模様層(1)、第2模様層(2)、必要に応じクリヤー層(3)等を上述の方法によって塗装すればよい。各層においては、上述の各材料が使用できる。
支持層(6)としては、例えば、織布、不織布、セラミックペーパー、合成紙、メッシュ、クロス、石膏ボード、合板、スレート板、金属板等が挙げられる。支持層(6)は、上記2種以上の材料からなるものでもよい。本考案では特に、可とう性、水蒸気透過性等を有するものが好ましい。このような材料としては、織布、不織布、メッシュ、クロス等の繊維質材料が挙げられる。具体的に、繊維質材料としては、厚さ0.05〜1.5mm(より好ましくは0.1〜1.2mm、さらに好ましくは0.2〜1mm)、坪量5〜300g/m、(より好ましくは10〜250g/m、さらに好ましくは20〜200g/m)の無機繊維を含むもの等が挙げられる。このような繊維質材料を用いることにより、積層体の割れ防止性等を高めることができる。また、積層体を建築物壁面等へ施工した際、積層体を安定的に支えることができる。
このようなシート状物は、公知の方法によって各種基材(4)に固定化すればよい。シート状物を基材(4)に固定化する際には、例えば、接着剤、粘着剤、粘着テープ、釘、鋲、ピン、ファスナー、レール等が使用できる。本考案では、シート状物を用いることにより、施工現場での作業が軽減される。また、予めシート化することで、厚み等の管理が容易となり、安定した被膜性能が発揮できる。シート状物の厚みは特に限定されないが、好ましくは0.5〜8mm程度である。図4は、支持層(6)、第1模様層(1)及び第2模様層(2)からなるシート状物を、接着剤層(7)を介して、基材(4)に貼り付けた適用例を示すものである。
以下に実施例を示し、本考案の特徴をより明確にする。
実施例に使用した原料を以下に示す。
・粒状着色無機質粒子1:着色珪砂(黒色、平均粒子径160μm、光透過率1%未満)
・粒状着色無機質粒子2:着色珪砂(灰色、平均粒子径160μm、光透過率1%未満)
・粒状着色無機質粒子3:着色珪砂(白色、平均粒子径140μm、光透過率1%未満)
・粒状着色無機質粒子4:着色珪砂(茶色、平均粒子径170μm、光透過率1%未満)
・粒状着色無機質粒子5:着色珪砂(淡黄色、平均粒子径100μm、光透過率1%未満)
・粒状透明性無機質粒子1:寒水石(平均粒子径0.3mm、光透過率16%)
・無機酸化物微粒子1:水分散性シリカゾル(粒子径25〜30nm、pH9.7、固形分20重量%)
・樹脂成分1:アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度0℃)
(無機質粒子組成物1)
粒状着色無機質粒子1を100重量部、樹脂成分1を16重量部(固形分)用意し、これらを常法により混合・攪拌することによって無機質粒子組成物1を製造した。
(無機質粒子組成物2)
粒状着色無機質粒子2を100重量部、樹脂成分1を16重量部(固形分)用意し、これらを常法により混合・攪拌することによって無機質粒子組成物2を製造した。
(無機質粒子組成物3)
粒状着色無機質粒子3を100重量部、樹脂成分1を16重量部(固形分)用意し、これらを常法により混合・攪拌することによって無機質粒子組成物3を製造した。
(無機質粒子組成物4)
粒状着色無機質粒子3を80重量部、粒状透明性無機質粒子1を20重量部、樹脂成分1を16重量部(固形分)用意し、これらを常法により混合・攪拌することによって無機質粒子組成物4を製造した。
(無機質粒子組成物5)
粒状着色無機質粒子1を28重量部、粒状着色無機質粒子5を20重量部、粒状着色無機質粒子4を52重量部、樹脂成分1を16重量部(固形分)用意し、これらを常法により混合・攪拌することによって無機質粒子組成物5を製造した。
(無機質粒子組成物6)
粒状着色無機質粒子1を28重量部、粒状着色無機質粒子5を20重量部、粒状着色無機質粒子4を52重量部、樹脂成分1を16重量部(固形分)、無機酸化物微粒子1を2重量部(固形分)用意し、これらを常法により混合・攪拌することによって無機質粒子組成物6を製造した。
(着色樹脂粒子分散体1)
扁平状黒色樹脂粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、水を主成分とする着色材の粒状化物、着色顔料濃度3重量%、平均粒子径6mm)と、扁平状濃灰色樹脂粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、酸化チタン、水を主成分とする着色材の粒状化物、着色顔料濃度2重量%、平均粒子径8mm)と、扁平状淡灰色樹脂粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、酸化チタン、水を主成分とする着色材の粒状化物、着色顔料濃度2重量%、平均粒子径7mm)が水性媒体中(アクリル樹脂エマルション、水を主成分とする水性媒体)に分散した水中水型の着色樹脂粒子分散体1を製造した。扁平状黒色樹脂粒子:扁平状濃灰色樹脂粒子:扁平状淡灰色樹脂粒子=30:35:35(重量比率)。
・クリヤー組成物1
アクリルシリコンポリマー(メチルメタクリレート‐n‐ブチルアクリレート‐2‐エチルヘキシルアクリレート‐γ‐メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)の水分散液。
・クリヤー組成物2
シリカ(水分散性シリカゾル、pH7.6、平均一次粒子径27nm):アクリルシリコンポリマー(メチルメタクリレート‐n‐ブチルアクリレート‐2‐エチルヘキシルアクリレート‐γ‐メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)=100:60(固形分重量比)の水分散液。
(実施例1)
基材(スレート板)上に、シーラーを塗装後、無機質粒子組成物1、2、3を、1:1:1の重量比率で、それぞれ吹付けガンを用いて玉状に吹付け、乾燥厚み1〜3mm(高低差2mm)の凹凸模様を形成し、24時間乾燥した(微視的凹凸の高低差0.1mm)。次いで、着色樹脂粒子分散体1を、塗付け量(固形分換算)が0.2kg/mとなるようにスプレー塗装後、24時間乾燥し、積層体1を得た。積層体1は、第1模様層の粒状着色無機質粒子と、第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が表面に露出した状態であり、天然石のような優れた美観性と奥行き感を有するものであった。なお、塗装及び乾燥は、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下(以下「標準状態」という)で行った。
(実施例2)
基材(スレート板)上に、シーラーを塗装後、無機質粒子組成物1、2、4を、1:1:1の重量比率で、それぞれ吹付けガンを用いて玉状に吹付け、乾燥厚み1〜3mm(高低差2mm)の凹凸模様を形成し、24時間乾燥した(微視的凹凸の高低差0.1mm)。次いで、着色樹脂粒子分散体1を、塗付け量(固形分換算)が0.2kg/mとなるようにスプレー塗装後、24時間乾燥し、積層体2を得た。積層体2は、第1模様層の粒状着色無機質粒子と、第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が表面に露出した状態であり、より一層、天然石のような優れた美観性と奥行き感を有するものであった。なお、塗装及び乾燥は、標準状態で行った。
(実施例3)
基材(スレート板)上に、シーラーを塗装後、無機質粒子組成物5を、乾燥厚み1〜4mm(高低差3mm)となるように吹付けガンで塗付し、24時間乾燥した(微視的凹凸の高低差0.1mm)。次いで、着色樹脂粒子分散体1を、塗付け量(固形分換算)が0.2kg/mとなるようにスプレー塗装後、24時間乾燥し、積層体3を得た。積層体3は、第1模様層の粒状着色無機質粒子と、第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が表面に露出した状態であり、天然石のような優れた美観性と奥行き感を有するものであった。なお、塗装及び乾燥は、標準状態で行った。
(実施例4)
基材(スレート板)上に、シーラーを塗装後、無機質粒子組成物6を、乾燥厚み1〜4mm(高低差3mm)となるように吹付けガンで塗付し、24時間乾燥した(微視的凹凸の高低差0.1mm)。次いで、着色樹脂粒子分散体1を、塗付け量(固形分換算)が0.2kg/mとなるようにスプレー塗装後、24時間乾燥し、積層体4を得た。積層体4は、第1模様層の粒状着色無機質粒子と、第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が表面に露出した状態であり、天然石のような優れた美観性と奥行き感を有するものであった。なお、塗装及び乾燥は、標準状態で行った。
(実施例5)
実施例1で得られた積層体1の表面に、クリヤー組成物1を、塗付け量(固形分換算)が40g/mとなるようにスプレー塗装後、24時間乾燥し、積層体5を得た。積層体5は、第1模様層の粒状着色無機質粒子と、第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が表面から視認できる状態であり、天然石のような優れた美観性と奥行き感を有するものであった。しかも、全体的な質感が均一化されていた。なお、塗装及び乾燥は、標準状態で行った。
(実施例6)
実施例2で得られた積層体2の表面に、クリヤー組成物1を、塗付け量(固形分換算)が40g/mとなるようにスプレー塗装後、24時間乾燥し、積層体6を得た。積層体6は、第1模様層の粒状着色無機質粒子と、第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が表面から視認できる状態であり、より一層、天然石のような優れた美観性と奥行き感を有するものであった。しかも、全体的な質感が均一化されていた。なお、塗装及び乾燥は、標準状態で行った。
(実施例7)
実施例3で得られた積層体3の表面に、クリヤー組成物1を、塗付け量(固形分換算)が40g/mとなるようにスプレー塗装後、24時間乾燥し、積層体7を得た。積層体7は、第1模様層の粒状着色無機質粒子と、第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が表面から視認できる状態であり、天然石のような優れた美観性と奥行き感を有するものであった。しかも、全体的な質感が均一化されていた。なお、塗装及び乾燥は、標準状態で行った。
(実施例8)
実施例1で得られた積層体1の表面に、クリヤー組成物2を、塗付け量(固形分換算)が5g/mとなるようにスプレー塗装後、24時間乾燥し、積層体8を得た。積層体8は、第1模様層の粒状着色無機質粒子と、第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が表面から視認できる状態であり、天然石のような優れた美観性と奥行き感を有するものであった。しかも、全体的な質感が均一化されていた。なお、塗装及び乾燥は、標準状態で行った。
上記方法で得られた積層体8と積層体1を、大阪府茨木市にて南向き45度の角度で屋外曝露し、3ヶ月後の外観を確認した。その結果、積層体8は、積層体1に比べ、天然石のような美観と奥行き感を維持していた。
(実施例9)
支持層(ガラス不織布:厚み0.4mm、坪量50g/m)上に、無機質粒子組成物1、2、4を、1:1:1の重量比率で、それぞれ吹付けガンを用いて玉状に吹付け、乾燥厚み1〜3mm(高低差2mm)の凹凸模様を形成し、60℃下で60分間乾燥した(微視的凹凸の高低差0.1mm)。次いで、着色樹脂粒子分散体1を、塗付け量(固形分換算)が0.2kg/mとなるようにスプレー塗装後、80℃下で60分間乾燥し、シート状物を得た。このシート状物を、アクリル系接着剤を用いて基材(スレート板)に貼り付け、積層体9を得た。積層体9は、第1模様層の粒状着色無機質粒子と、第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が表面に露出した状態であり、より一層、天然石のような優れた美観性と奥行き感を有するものであった。
(実施例10)
実施例9で得られたシート状物の表面に、クリヤー組成物2を、塗付け量(固形分換算)が5g/mとなるようにスプレー塗装後、60℃下で10分間乾燥し、シート状物を得た。このシート状物を、アクリル系接着剤を用いて基材(スレート板)に貼り付け、積層体10を得た。積層体10は、第1模様層の粒状着色無機質粒子と、第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が表面から視認できる状態であり、より一層、天然石のような優れた美観性と奥行き感を有するものであった。しかも、全体的な質感が均一化されていた。

Claims (8)

  1. 基材の上に、第1模様層と第2模様層が順に積層された積層体であって、
    上記基材は、建築物、土木構造物の表面を構成するものであり、
    上記第1模様層と第2模様層は、着色粒子による模様を有し、
    上記第1模様層の模様が、粒状着色無機質粒子によって形成され、
    上記第2模様層の模様が、扁平状着色樹脂粒子によって形成されていることを特徴とする積層体。
  2. 上記第1模様層の模様が2色以上からなる請求項1記載の積層体。
  3. 上記第2模様層の模様が2色以上からなる請求項1記載の積層体。
  4. 上記第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が透光性を有する請求項1記載の積層体。
  5. 上記第2模様層の扁平状着色樹脂粒子が、上記第1模様層の上に散在している請求項1記載の積層体。
  6. 上記第2模様層の扁平状着色樹脂粒子は、上記第1模様層の粒状着色無機質粒子よりも平均粒子径が大きいことを特徴とする請求項1記載の積層体。
  7. 上記第2模様層の上に、クリヤー層が積層された請求項1記載の積層体。
  8. 基材の上に、下塗層を介して、第1模様層と第2模様層が順に積層された請求項1記載の積層体。
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