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JP3209231B2 - フランジ付き多層薄肉容器及びその容器の製造方法 - Google Patents

フランジ付き多層薄肉容器及びその容器の製造方法

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Publication number
JP3209231B2
JP3209231B2 JP26821291A JP26821291A JP3209231B2 JP 3209231 B2 JP3209231 B2 JP 3209231B2 JP 26821291 A JP26821291 A JP 26821291A JP 26821291 A JP26821291 A JP 26821291A JP 3209231 B2 JP3209231 B2 JP 3209231B2
Authority
JP
Japan
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container
preform
flange
molding
sheet material
Prior art date
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Expired - Lifetime
Application number
JP26821291A
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English (en)
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JPH0577334A (ja
Inventor
哲雄 綿田
公志 影山
潔 和田
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Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Inc
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Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Inc filed Critical Toppan Inc
Priority to JP26821291A priority Critical patent/JP3209231B2/ja
Priority to EP19920308390 priority patent/EP0533437A3/en
Publication of JPH0577334A publication Critical patent/JPH0577334A/ja
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Publication of JP3209231B2 publication Critical patent/JP3209231B2/ja
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  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、容器壁の上端にフラン
ジを備えた薄肉容器及びその容器の製造方法に関する。
特に、複数の樹脂層を有する樹脂材料によって形成され
る多層薄肉容器及びその容器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】食料品等を包装するための容器には、次
のような各性質、すなわち、機械強度性、ガスバリヤ
性、防湿性、耐熱性、そして保香性等のうちのいくつか
又は全てが要求される。これらの各性質は、それぞれ特
定の樹脂材料によって達成されることが知られている。
必要に応じて希望する性質が複数ある場合には、それら
の性質を達成する個々の樹脂材料を積層することによっ
て1つの容器を形成するようにしている。
【0003】また、上記のような多層構造の容器におい
て、容器壁の上端にフランジを備えたものがある。その
ような容器として、例えば図7に示すような、いわゆる
巻締め用カップ容器1が知られている。この容器1は、
容器壁3の上端に、密封用の金属製蓋(図示せず)を巻
き締めするための巻締め用フランジ2を有している。こ
のフランジ2に上記金属製蓋が巻き締められて、容器内
部が密封される。この巻締めに際しては、容器フランジ
の厚さが所定の薄さにないと、十分な密封状態が得られ
ないことが知られており、好適な厚さは、0.4〜0.
6mm好ましくは0.4〜0.5mmである。後述する
シート成形により製造されたフランジ付き容器を巻締め
により密封する場合、その多くはフランジが厚すぎるた
め、フランジ部を熱プレスしたり、あるいはフランジ部
を削るなどの二次加工を行なって、所定の薄さにしてい
る。
【0004】上記のようなフランジ付き多層構造容器を
製造する方法として以下に述べるような種々の方法が既
に提案されている。
【0005】第1の方法は、真空成形、圧空成形、プラ
グアシスト成形等の、いわゆるシ−ト成形法である。こ
のシ−ト成形法は、図8に示すように、多層構造の1枚
の帯状シ−ト51を矢印A方向へ所定の送りピッチで搬
送しながらそれをヒータ52によって加熱し、その後、
互いに対向して配置された金型53,54によって容器
55を形成するものである。
【0006】このシート成形法においては、シートの送
りピッチに応じて個々の容器55の間に大きな余白部分
ができ、また金型53,54の構造上、シートの送り方
向Aと直角方向において個々の容器55の間に大きな余
白部分が形成される。これらの余白部分は、製品として
寄与しない、いわゆるスクラップとなるので非常に不経
済である。
【0007】スクラップを回収し、シート51の層構成
の一部に再利用してシート51を再生し、その再生シー
トから容器55を製作するということも行なわれてい
る。しかしながらこの方法においては、シート51を形
成する樹脂が、再生時の粉砕やシート押し出し時の熱等
により次第に劣化し、着色、異臭、強度劣化等といった
問題が発生する。すなわち、スクラップを再生しようと
する場合、シート51の層の一部をスクラップ層または
スクラップ混在層により構成することになる。このよう
な樹脂を再利用したシート51は、再生のたびにスクラ
ップの組成が変化するため、シート51の全体としての
特性が変化し、成形される容器ごとの性能にバラツキが
生じる恐れがある。
【0008】また、シート51を均一の厚さに製造する
ことはきわめて困難であり、どうしても厚さが不均一と
なる。すなわち、一般にフィルムはインフレーション
法、押し出し法、共押し出し法等により製膜されるが、
その厚みはある程度のバラツキを有しており、これらを
多層に積層したシートの厚みを均一化することはきわめ
て困難である。シート51の厚さが不均一であると、金
型53,54によって成形される容器55に関し、1つ
の容器55において肉厚分布が不均一となり、また各容
器55間においても肉厚が不均一となる。さらに、シー
ト成形にあたってはシート51を加熱、軟化させて容器
を成形するが、ヒータの加熱温度がシート51の幅方向
で不均一であったり、金型の冷却条件が各キャビティご
とに不均一であったりすると、同様に容器内、容器間で
の厚さが不均一になる。このような肉厚のバラツキ、特
に容器に所定寸法よりも薄肉の部分が形成された場合、
容器の機械的強度(例えば座屈強度)が十分に得られな
かったり、内容物充填後の加熱殺菌時に容器が変形する
といった不良が発生する。
【0009】フランジ付き多層構造容器の製造方法の第
2の例として、特公昭57−1415号公報に開示され
た方法がある。この方法は、四角形状の多層シート素材
を加熱し、さらにプレス成形して円盤状のプリフォーム
を製造し、さらにその円盤状プリフォームを真空成形等
により成形して製品容器を製造するというものである。
【0010】この方法によれば、上述したシート成形に
比べてスクラップをかなり減少させることができる。し
かしながら、多層シート素材をプレス成形してプリフォ
ームを作成するときにシート素材を高温に加熱してその
粘度を下げる必要がある。このようにすると、多層シー
ト素材の層構成が崩れ易い。すなわち、部分的に層が薄
くなったり、あるいは分断し易い。層構成が崩れた多層
シート素材から形成された製品容器については、ガスバ
リヤ性等目標とする特定機能が得られない。
【0011】また、プリフォームを成形するための金型
に接する樹脂として、流動性のよい樹脂を用いないと良
好なプリフォームが得られない。すなわち、多層シート
素材として用いることのできる樹脂が狭い範囲に限定さ
れる。
【0012】また、プリフォームを利用した容器の製造
方法としては、特開昭60−178020号、同60−
244518号、同63−130330号及び同63−
296921号の各公報に開示された、いわゆるインジ
ェクションブロー法がある。このインジェクションブロ
ー法は、円盤状のプリフォームを射出成形によって成形
し、そのプリフォームをプラグアシスト成形等といった
成形加工をすることにより、容器を成形するものであ
る。
【0013】このインジェクションブロー法において
は、プリフォームを成形する工程でインジェクション成
形法、すなわち射出成形法を用いているので、プリフォ
ームを多層構造にすることがきわめて困難であり、通常
は、単層のプリフォームが作られるだけである。従っ
て、ガスバリヤ性等といった特定機能を持った容器を製
造することができないという問題があった。
【0014】インジェクション成形を利用してプリフォ
ームを成形する場合、例えば特開平3−176126号
公報に示されるように、複数の射出装置および多層成形
射出ノズルを用いて成形すれば、多層構造のプリフォー
ムを製造することができる。この場合、層構成は対称形
となり、例えばガスバリヤ性樹脂を中間層として有する
カップ状容器やボトルなどの実用化へ向けての研究が進
められている。しかしながら、この技術による場合、各
樹脂層の層厚を均一にすることがきわめて困難であるば
かりでなく、流動した樹脂が最後に到達するキャビティ
端付近では、多層構造そのものが成り立たなくなること
が多い。従って、プリフォーム全体に渡って均一な多層
構造を与えることは不可能である。さらに、本発明のよ
うに多数の樹脂を非対称形の層構成に積層する必要があ
る場合には、この方法は適用できない。
【0015】フランジ付き多層構造容器の製造方法の別
の例として、特開平2−45352号及び実開平2−8
0519号の各公報に開示された方法がある。この方法
は、シート成形によってカップ状容器をプレ成形し、そ
の外周に射出成形によって外層を形成して容器を製造す
るというものである。
【0016】射出成形は、金型の隙間内に樹脂を流し込
むものであり、その隙間が一定以上の厚さを有していな
いと、十分な成形ができない。従って、上記従来方法に
おいては、完成した容器の容器壁の厚さが厚くなり過ぎ
るという問題が有った。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した各
種の問題点を解消するためになされたものであって、多
層構造であって、しかも薄肉の容器を、その層構成を崩
すことなく、しかもスクラップの発生を極力削減して経
済的に製造できるようにすることを第1の目的とする。
【0018】また、本発明は、容器壁(例えば、図7の
符号3)の上端に設けられるフランジ(例えば、図7の
符号2)の厚さを薄く形成することにより、十分な締付
強度で金属製蓋を巻き締めることを可能とするフランジ
付き薄肉容器及びその容器の製造方法を提供することを
第2の目的とする。
【0019】さらに、本発明は、特定機能を持った樹脂
層が確実にフランジ内にも存在するようなフランジ付き
薄肉容器及びその容器の製造方法を提供することを第3
の目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係るフランジ付き多層薄肉容器において、
容器壁及びフランジは周縁支持部を支持された状態のプ
リフォームに成形加工を施すことによって一体に形成さ
れており、プリフォームは特定機能を持った樹脂層を含
むシート素材の表面に射出成形により射出樹脂層を重ね
ることによって形成されており、成形された状態のプリ
フォームはその周縁支持部以外の箇所にフランジ形成用
の段部を有しており、上記フランジはそのフランジ形成
用段部を切断することによって形成される。
【0021】また、本発明に係るフランジ付き多層薄肉
容器の製造方法は、特定機能を持った樹脂層を含むシー
ト素材を金型内に装着するシート装着工程と、シート素
材が装着された金型内に樹脂を射出してプリフォームを
形成する射出成形工程と、プリフォームの周縁支持部を
支持した状態で該プリフォームに成形を施して、周縁支
持部と一体に製品容器を成形する容器成形工程と、プリ
フォームの周縁支持部から製品容器を切断する容器切断
工程とを有しており、そして、上記容器成形工程におい
て、製品容器はフランジ形成用の段部を有するように成
形され、さらに、上記容器切断工程において、製品容器
はフランジ形成用段部を境として周縁支持部から切断さ
れることを特徴としている。
【0022】上記の構成において、特定機能を持った樹
脂層とは、ガスバリヤ性、防湿性、耐熱性、保香性(非
吸着性)等の各機能をもった樹脂層のことをいう。接着
性の悪い樹脂同志を積層する際にそれら各層の間に設け
られて接着剤として働く接着剤層も特定機能を持った樹
脂層として考えられる。これらの各機能を達成するため
の樹脂層としては、それぞれ次のような樹脂層を適用す
ることができる。 ガスバリヤ性:エチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物
(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ
ビニルアルコール(PVA) 防湿性:ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレン、乾
燥剤練り込みポリオレフィン 耐熱性:ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピ
レン 保香性:ポリエステル(PET)、エチレンー酢酸ビニ
ル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリアクリロニトリ
ル(PAN) 接着剤層:アイオノマー、エチレンー酢酸ビニル共重合
体(EVA)
【0023】また、成形方法としては、真空成形、圧空
成形、プラグアシスト成形等が考えられる。真空成形と
は、キャビテイ内を真空引きしてシート材を金型に密着
するように変形させて成形する成形方法である。圧空成
形とは、シート材を空気によって押圧して金型に密着さ
せて該シート材を成形する成形方法である。プラグアシ
スト成形とは、上記真空成形あるいは圧空成形におい
て、シート材をプラグによって補助的に押圧して該シー
ト材を成形する成形方法である。
【0024】シート素材の上に射出成形によって積層さ
れる樹脂層は、主として容器に機械的強度を持たせるも
のであって、例えばポリプロピレン(PP)、スチロー
ル、ポリエステル、塩化ビニル等が用いられる。
【0025】
【作用】多層薄肉容器の製造にあたっては、まず、1以
上の層樹脂を含んだ1枚のシート素材を用意して、打ち
抜き等により所定の形状にした後、それを射出成形金型
に装着する。次いで、そのシート素材の上に射出成形に
よってポリプロピレン(PP)等の単層樹脂が積層され
てプリフォームが作成される。そして、プリフォームを
成形することによって製品容器の部分が成形される。成
形された製品容器部分は、フランジ形成用段部において
プリフォーム周縁支持部から切断されて製品容器とされ
る。
【0026】プリフォームを成形するに際してプレス成
形を用いていないので、シート素材の層構造、すなわち
プリフォームの層構造が崩れることがない。また、予め
形成されたシート素材と射出成形の組合せによりプリフ
ォームが形成されるので、シート素材に多少の肉厚のバ
ラツキがあっても、射出工程によりそのバラツキが吸収
され、プリフォーム全体としての厚さはきわめて精度良
く均一化することができる。従って、肉厚の均一な容器
を製造することができる。その場合にも、容器壁内部の
層構造は崩れない。
【0027】1枚1枚プリフォームを作成してそれを製
品容器に成形するので、従来のシート成形法のようにス
クラップが発生せず、従って、非常に経済的である。こ
の場合、金型に装着されるシート素材そのものは、1枚
の大きなシートを、例えば打ち抜き、あるいは断裁する
ことによって多数枚作成される。このとき、シートの打
ち抜きはきわめて高密度に行なうことができるので、多
量のスクラップが生じることがなく、また、射出成形に
よる樹脂層の積層に際しては、スクラップは殆ど生成さ
れないので、プリフォームの製造にあたってのスクラッ
プの発生は、きわめて少ないものとなる。
【0028】製品容器としてのフランジ付き多層薄肉容
器は、成形が終了した状態のプリフォーム、すなわち周
縁支持部と製品容器部分とが未だ一体である半製品容器
において、フランジ形成用段部を切断することによって
得られる。フランジ形成用段部は、成形によって延ばさ
れた部分であるから、その肉厚が薄い。また、成形時に
前記段部を押圧した場合、フランジはより薄く、均一な
厚さとなる。従ってこの部分を多層薄肉容器のフランジ
として使用すれば、金属製蓋を十分な巻締強度で巻き締
めることができる。なお、前記周縁支持部は、得られる
製品容器の肉厚には影響を与えないので、成形時にプリ
フォームを十分に支持できるよう、必要な厚さとするこ
とができる。
【0029】
【実施例】以下、図7に例示した形状の多層薄肉容器1
を製造する場合を例にあげて実施例について説明する。
【0030】上記容器1は次の各工程、すなわち、図4
に示すような単層又は多層構造の円盤状シート素材5を
用意するシート素材準備工程と、図5に示すように円盤
状シート素材5の一方の面(図の下面)に射出成形によ
って射出樹脂6を積層してプリフォーム7を形成する射
出成形工程と、形成されたプリフォーム7に成形を施し
て鎖線で示すような製品容器としてのカップ状容器1を
形成する容器成形工程と、X−X線で示す位置において
カップ状容器1を切断する容器切断工程から成る容器製
造工程によって製造される。
【0031】後で詳しく説明するが、プリフォーム7の
うち周縁部Cは、上記プリフォームの容器成形工程及び
容器切断工程においてプリフォーム7をクランプ等によ
って支持するための周縁支持部である。また、段部Eは
上記の容器切断工程終了後、図7の巻き締め用フランジ
2として残る部分である。
【0032】上記の容器製造工程において、必要に応じ
て、射出成形工程によって形成されたプリフォーム7を
予備加熱するためのプリフォーム加熱工程を射出成形工
程と容器成形工程との間に加えることもできる。
【0033】図4のシート素材5は、目標とする特定機
能、例えばガスバリヤ性、防湿性、耐熱性、保香性(非
吸着性)等を得るために特定の単層構造又は多層構造に
形成される。例えば2層構造として、容器の内側に相当
する方向から PET/EVOH、PET/PVDC等、 3層構造として、 PET/EVOH/PP、PP/PVDC/PP等 が考えられる。なお、 PETは、ポリエステル EVOHは、エチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物 PPは、ポリプロピレン PVDCは、ポリ塩化ビニリデン である。また、上記シート素材5の各層間には、必要に
応じて接着剤ないしは接着性樹脂層が存在する。
【0034】シート素材5を製造する方法は特別の方法
に限定されず、任意の方法を用いることができる。例え
ば、目標とする層構成を有する1枚の大きなシートを任
意のシート成形方法、例えば、接着剤積層法、共押出し
法等によって作成し、打抜き加工によってその1枚のシ
ートから多数枚の円盤状シート素材5を製造できる。打
抜き加工は高密度に、すなわち個々の円盤状シート素材
5をごく隣接した位置から打抜きできるので、打抜き加
工後に原材シートに多量のスクラップが残る心配がな
い。
【0035】射出成形工程においてシート素材5の上に
積層される樹脂は、容器に希望の形状を付与可能な機械
的強度を持った熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン
(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(P
VC)、ポリカーボネート(PC)等が用いられる。
【0036】本明細書にいう成形とは、プリフォーム7
を引き延ばして希望の形状、例えばカップ状に加工する
加工方法のことである。例えば、真空成形、圧空成形、
プラグアシスト成形等を採用することができる。
【0037】必要に応じて射出成形工程と容器成形工程
との間に挿入されるプリフォーム加熱工程は、容器成形
される前にプリフォーム7を予備的に加熱するための工
程である。この工程は、円盤状シート素材5とそれに積
層される射出成形層とを確実に融着させるため及びプリ
フォーム7を容易に成形加工できる温度まで昇温させる
ために行なわれる。射出成形によるプリフォームの作成
後、直ちに容器成形工程に入る場合は、このプリフォー
ム加熱工程は設けなくても良い場合がある。射出された
高温樹脂によってシート素材5が加熱されるからであ
る。射出成形から容器成形までの間の時間が比較的短い
場合は、プリフォーム7のうちシート素材5のみを加熱
すれば良い。一方、射出成形から容器成形までの間の時
間が長くてプリフォーム7が完全に冷却される場合は、
シート素材5と射出樹脂層の両方を加熱する。
【0038】以下、容器製造装置の具体例をあげて、多
層薄肉容器1(図7)の製造方法を詳細に説明する。図
1(A)は、射出成形工程を実施するための装置の一実
施例を示している。この射出成形装置24は最上部に固
定板8を有していて、その固定板8の下面にコア9が固
定されている。コア9の内部には、冷却液通路10及び
エア吸引路22が設けられている。コア9の下部周囲に
はリップキャビテイ11及びリップ板12が配設されて
いる。さらに、コア9の下方位置に、保持板14に保持
されたキャビテイ13が設けられ、そのキャビテイ13
の内部にホットランナ15の先端が臨出してゲート16
に接触している。
【0039】コア9は固定板8と共に矢印AーA’のよ
うに上下方向へ往復直線移動できるようになっており、
図示の型締め位置と、キャビテイ13から大きく離れる
開放位置(図示せず)との間で移動する。型締め位置と
いうのは、コア9とキャビテイ13との間に所望のプリ
フォーム形状に相当する間隙Gが形成される位置であ
る。
【0040】リップキャビテイ11は、いわゆる分割型
となっており、中心軸線Lを境として左右の両型がそれ
ぞれ、矢印BーB’のように左右方向へ往復直線移動で
きるようになっている。この移動によりリップキャビテ
イ11は、図示の型締め位置と、互いに大きく離れる開
放位置(図示せず)との間で移動する。
【0041】図2は、プリフォーム加熱工程を実施する
ための装置の一実施例を示している。このプリフォーム
加熱装置25は、前工程である射出成形工程(図1A)
によって形成されたプリフォーム7の上方に臨出可能な
ヒータ17を有している。また、プリフォーム7の下方
には、射出樹脂層6を加熱するためのヒータ30を有し
ている。このヒータ30は、射出樹脂層6を積層後直ち
に容器の成形工程に移る場合には省略が可能である。
【0042】図1(B)は、容器成形工程及び容器切断
工程を実施するための装置の一実施例である、プラグア
シスト成形装置26を示している。この装置は、リップ
キャビテイ11の下に連結される下型18と、上下方向
へ移動可能なコア19と、コア19を貫通していて上下
方向へ移動可能なプラグ20とを有している。下型18
には製品容器1(図7)の形状に合致した内壁面を有す
る凹部21が設けられている。
【0043】図6に拡大して示すように、コア19の下
端には円盤状(中心線Lを中心とした円盤状)の押圧部
材40が設けられ、さらに押圧部材40の外周にリング
状(中心線Lを中心としたリング状)のカッタ41が設
けられている。押圧部材40は図示しない駆動機構によ
って駆動されて、コア19から独立して図の上下方向へ
往復移動できる。また、リング状カッタ41は、図示し
ない駆動機構によって駆動されて、コア19及び押圧部
材40から独立して図の上下方向へ往復移動できる。
【0044】下型18のうちリング状カッタ41に対向
する位置には、リング状(中心線Lを中心としたリング
状)の溝42が設けられ、その溝42の中にリング状の
受け部材43が設けられている。このリング状受け部材
43は通常は、バネその他の弾性付勢手段によって付勢
されて図示の位置に置かれている。リング状カッタ41
が下方へ降下して受け部材43を押圧すると、受け部材
43は溝42の中で下方へ降下する。
【0045】コア19及び押圧部材40にはエア導入穴
23が開けられている。以下、各工程について説明す
る。
【0046】(射出成形工程)図1(A)において、コ
ア9及びリップキャビテイ11を共に、キャビテイ13
から大きく離れる開放位置(図示せず)に移動させる。
これにより、キャビテイ13の上面が大きく開放され
る。この状態で、図3に示すように、コア9の下端に円
盤状シート素材5(図4参照)を装着する。シート素材
5は、エア吸引路22を流れるエアによってコア下端に
吸着固定される。装着されたシート素材5は、その上面
すなわちコア9に接触する面が容器内壁面になる。
【0047】シート素材5がコア9の下端に装着される
と、図1(A)に示すように、コア9及びリップキャビ
テイ11が型締め位置にセットされる。この状態で、ホ
ットランナ15を介して樹脂がキャビテイ凹部G内へ流
し込まれる。これにより、シート素材5の下面に射出樹
脂層6(図5)が積層されて図5に実線で示すようなプ
リフォーム7が形成される。プリフォーム7が形成され
ると、次のプリフォーム加熱工程へ移行する。
【0048】(プリフォーム加熱工程)射出成形が終了
すると、図1(A)においてコア9が型締め位置から開
放位置へと移動する。リップキャビテイ11は型締め位
置に残ったままでプリフォーム7の周縁支持部C(図
5)を保持し続ける。その後、プリフォーム7がリップ
キャビテイ11に保持されたまま、図2に示す加熱ステ
ージへ送り込まれる。この加熱ステージにおいて、ヒー
タ17がプリフォーム7の直上位置まで搬出され、該ヒ
ータ17から発散される熱により、プリフォーム7が加
熱される。この加熱により、シート素材5と射出樹脂層
6(図5)との融着が促進され、さらに次の工程である
容器成形工程のための予備加熱が行なわれる。この工程
は、場合によっては省略することも可能である。
【0049】(容器成形工程)プリフォーム加熱工程を
終了したプリフォーム7は、次いで、リップキャビテイ
11によって周縁支持部Cを保持されたまま図1(B)
の容器成形ステージに送られる、この容器成形ステージ
において、プラグ20を備えたコア19及び押圧部材4
0がプリフォーム7の上方から図示の成形位置にセット
され、容器成形加工が実施される。すなわち、プラグ2
0の下方移動によりプリフォーム7が下方へ押圧され、
同時にエア導入穴23を通って送り込まれるエアにより
プリフォーム7が延ばされる。こうして延ばされるプリ
フォーム7は、下型凹部21の壁面形状、すなわちカッ
プ形状に成形され、図5において鎖線で示すような製品
容器部分が成形される。
【0050】(容器切断工程)容器成形工程が終了する
と、図1(B)及び図6において、コア19は不動のま
まで押圧部材40及びカッタ41又は押圧部材40のみ
が下方へ動かされ、成形された状態のプリフォーム、す
なわち半製品としてのプリフォーム7’のフランジ用段
部E(図5参照)を上方から押圧する。これにより、該
段部Eは巻き締めのための適性厚さ、すなわち0.4〜
0.6mm、好ましくは0.4〜0.5mmの厚さに成
形される。
【0051】その後、押圧部材40は不動のまま、リン
グ状カッタ41のみが降下され、フランジ用段部Eを押
し切る。これにより、半製品プリフォーム7’のうちの
製品容器部分が周縁支持部Cから切断され、製品容器、
すなわち図7に示すカップ状容器1が完成する。
【0052】以上、好ましい実施例をあげて本発明を説
明したが、本発明はその実施例に限られるものではな
い。例えば、半製品プリフォーム7’を切断するための
装置は、図1(B)あるいは図6に示した装置に限られ
ず、他の任意の構成とすることができる。また、図示の
ように金型内に組み込むのではなくて、専用の装置を別
途、設けることもできる。また、製品容器の形状も、任
意の形状(例えば方形のトレー状)とすることができ
る。この場合、シート素材5の形状は、製品容器の形状
に見合った形状に準備されることは自明である。また、
必要であれば、射出成形工程を複数回繰り返して、射出
成形樹脂層を2層以上に形成することも可能である。
【0053】上記実施例では、シート素材側を容器の内
面側として容器を製造しているが、これとは逆に、射出
樹脂層側を容器の内面側としてもよい。なお、上記実施
例のような、シート素材側を容器の内面側とした構成と
すると、次のような利点がある。すなわち、シート素材
5に好適に使用できる材料は、ガスバリヤ性樹脂である
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物や非吸着性樹脂
であるポリエステル系樹脂のような、特定の機能を有す
る材料であり、他方、射出樹脂層の樹脂は、ポリプロピ
レンのごとき容器の主たる構造材料となる樹脂であるた
め、一般に射出樹脂層の樹脂のほうが、シート成形のよ
うな容器形状への成形適性が高い。従って、シート成形
に際して、シート素材5を容器の内面側に配置すること
により、シート素材5の成形不良(シート成形時におけ
る伸び不足による厚みのバラツキ、割れなど)を防ぐこ
とができるのである。また、シート素材5に非吸着性樹
脂を使用する場合、この樹脂は内容物に接する位置に配
置されて初めてその目的を達成できるので、上記実施例
のような位置関係で製造されることが好ましい。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、シート素材を金型内に
装着した状態で射出成形を行なうことによりプリフォー
ムを形成するようにしたので、射出成形を利用したにも
かかわらず、安定した品質の多層構造のプリフォームを
得ることができる。
【0055】射出成形によって1枚1枚プリフォームを
形成し、そのプリフォームから製品容器を形成するの
で、スクラップ等の不要成分が殆ど発生しない。従っ
て、非常に経済的である。
【0056】プレス成形でなく射出成形によってプリフ
ォームを作るので、プリフォーム内の層構成が崩れるこ
とがない。従って、ガスバリヤ性等の特定機能を確実に
得ることができる。
【0057】射出成形を利用したのでプリフォームはき
わめて厚みの精度がよく、この均一な厚さのプリフォー
ムを容器形状に成形することによって製品容器を作るの
で、薄肉でしかも容器内および容器間でバラツキがな
い、安定した厚さ精度を有する容器を作ることができ
る。
【0058】プリフォームのうち、製品容器(図7)に
おいてフランジ2となる部分は、成形によって延ばされ
るフランジ形成用段部(E:図5)である。従って、フ
ランジを均一で薄い厚さに成形することができる。この
ことは、該フランジを使って金属製蓋を巻き締める場合
に好都合である。
【0059】図3においてシート素材5をコア9に装着
する際、その装着位置がずれることがある。このように
シート素材5の装着位置がずれる場合でも、図5におい
て、フランジ形成用段部Eには常にシート素材5が存在
する。その結果、図7のカップ状容器1のフランジ2に
は、その全域に常にシート素材5が存在することにな
る。シート素材5にはガスバリヤ性等といった特定機能
を有する樹脂層が含まれている。従って、シート素材5
がフランジ2の全域に存在するということは、容器全体
としてガスバリヤ性等を確保できるということである。
【0060】請求項3記載の容器製造方法によれば、フ
ランジをより一層薄く、しかも均一な厚さに成形でき
る。
【0061】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多層薄肉容器を製造するための装
置の一例を示す側面断面図である。特に、(A)図は、
射出成形装置の一例を示す側面断面図である。また、
(B)図は容器成形装置及び容器切断装置の一例を示す
側面断面図である。
【図2】プリフォーム加熱装置の一実施例を示す側面断
面図である。
【図3】図1(A)の要部を拡大して示す断面図であ
る。
【図4】シート素材の一実施例を示す斜視図である。
【図5】プリフォーム及び製品容器を示す図である。
【図6】図1(B)の要部を拡大して示す図である。
【図7】本発明に係る多層薄肉容器の一実施例を示す斜
視図である。
【図8】従来の容器製造装置の一例を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
2 巻締め用フランジ 3 容器壁 5 シート素材 6 射出樹脂層 7 プリフォーム 9 コア 11 リップキャビテイ 13 キャビテイ 24 射出成形装置 26 容器成形装置 40 フランジ部押圧部材 41 カッタ 42 溝 43 カッタ受け部材 C プリフォームの周縁支持部 E プリフォームのフ
ランジ形成用段部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−358822(JP,A) 特開 昭53−83884(JP,A) 特開 昭60−178020(JP,A) 特開 昭63−99913(JP,A) 特開 昭60−244518(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 51/00 - 51/46 B29C 49/00 - 49/80 B29C 69/00 - 69/02 B29D 22/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器壁の上端にフランジを備えたフラン
    ジ付き薄肉容器において、 容器壁及びフランジは周縁支持部を支持された状態のプ
    リフォームに成形を施すことによって一体に形成され、 プリフォームは、特定機能を持った樹脂層を含むシート
    素材の表面に射出成形により射出樹脂層を重ねることに
    よって形成され、 成形された状態のプリフォームはその周縁支持部以外の
    箇所にフランジ形成用の段部を有しており、 上記フランジはそのフランジ形成用段部を切断すること
    によって形成されることを特徴とするフランジ付き多層
    薄肉容器。
  2. 【請求項2】 容器壁の上端にフランジを備えたフラン
    ジ付き多層薄肉容器の製造方法において、 特定機能を持った樹脂層を含むシート素材を金型内に装
    着するシート装着工程と、 シート素材が装着された金型内に樹脂を射出してプリフ
    ォームを形成する射出成形工程と、 プリフォームの周縁支持部を支持した状態で該プリフォ
    ームに成形加工を施して、周縁支持部と一体に製品容器
    を作る容器成形工程と、 プリフォームの周縁支持部から製品容器を切断する容器
    切断工程とを有しており、 上記容器成形工程において、製品容器はフランジ形成用
    の段部を有するように成形され、 上記容器切断工程において、製品容器はフランジ形成用
    段部を境として周縁支持部から切断されることを特徴と
    するフランジ付き多層薄肉容器の製造方法。
  3. 【請求項3】 容器成形工程によって形成されたフラン
    ジ形成用段部を押圧して該部の厚さを薄くする段部押圧
    工程を、容器成形工程と容器切断工程との間に設けたこ
    とを特徴とする請求項2記載のフランジ付き多層薄肉容
    器の製造方法。
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