JP3206628B2 - すず−鉛合金無電解めっき方法 - Google Patents
すず−鉛合金無電解めっき方法Info
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Description
組成のバラツキが少ないすず−鉛合金析出皮膜を形成す
るためのすず−鉛合金無電解めっき方法に関するもので
ある。
使用される銅又は銅合金材(銅系基材)ではその表面上
に多くの部品がはんだ付けによって装着されるが、その
ため前記銅系基材には良好なはんだ付け性を付与すべく
すず−鉛合金(はんだ)の薄膜をコ−ティングすること
が一般的に行われている。ところが、近年、電子機器部
品の小型化,高性能化が著しく進んだこともあって、
0.3mm以下の狭ピッチのラインを持つ銅系材料製のプリ
ント基板に部品を実装することが必要になり、このよう
な狭ピッチのライン上へ適切にはんだをコ−ティングす
る技術が要求されるようになった。即ち、プリント基板
等に部品を実装する場合、従来は印刷により部品装着部
にはんだペ−ストをコ−ティングすることによってはん
だの供給を行ってきたが、ラインのピッチが更に小さく
なってくるとこの方法では対応することができず、従っ
て印刷に代わってより精密なはんだコ−ティングをなし
得る代替法の検討が進められていた。
“代替法”として注目されている技術であるが、従来の
技術では解決すべき幾つかの問題点があり、未だ幅広い
実用の域には達していない。例えば、大きな問題点の1
つに、無電解はんだめっきでは実装に必要なはんだ量を
確保するための膜厚の厚いはんだ層を得るのが困難なこ
とが挙げられる。また、実装に対して好ましいはんだの
組成は「すず/鉛=62/38(重量%)」の共晶の組成で
あるが、無電解はんだめっきではこの組成の析出物を安
定して得にくいとの問題や、得られる析出物と基材との
密着性が悪くて剥離しやすいとの問題もあった。ただ、
これらの問題は、「無電解めっき処理を2段階に分け、
第1段階ではすず分の高い析出物の得られるめっき液に
よる処理を行い、 続く第2段階では鉛分の高い析出物の
得られるめっき液による処理を行う」という、本発明者
等が先に提案したすず−鉛合金の無電解めっき法(特願
平5−120905号)によってほぼ解決できる見通し
がついている。
と、「無電解めっき(置換めっき)で得られるはんだ皮
膜の“膜厚”と“組成”は部位によってバラツキを生じ
がちである」という問題が多少とも未解決であり、実装
作業性や製品品質の更なる改善のためにはその解決が重
要なポイントになるとの認識を強めた。即ち、形成され
たはんだ皮膜の膜厚や組成にバラツキがあると、はんだ
層を加熱して溶融する際に“溶融される場所”と“され
ない場所”が生じるという不都合となって現れる。例え
ば、230℃でリフロ−(再溶融)処理を行う場合、組
成が重量比で「すず/鉛=60/40」の場合は溶融する
が、同一基板で「すず/鉛=30/70」の組成の部分があ
ればここは溶融されない。また、このリフロ−の可否は
はんだ層の膜厚にも依存し、膜厚が薄い(<2μm)場
合には溶融されないことがある。これは、プリント基板
等への実装作業や製品品質に大きな悪影響を与えるもの
であった。
のは、前述した置換型無電解はんだめっきに指摘される
問題点を解消し、銅系基材上に膜厚,組成のバラツキが
極力少ない析出皮膜の安定形成が可能な置換型の無電解
すず−鉛合金めっき方法を提供することである。
を達成すべく、特に置換型無電解めっきでのめっき皮膜
の析出挙動につき更に詳細な解析を加えつつ研究を行っ
た結果、次のような知見を得ることができた。即ち、良
く知られているように、置換めっきの反応では“基材金
属の溶解”と“めっき液中金属イオンの電子の受け取り
による析出”が起こっているが、基材表面を析出金属が
覆って基材の溶解反応が抑制されるとその速度は低下す
る。ただ、この場合、基材上に析出しためっき皮膜がポ
−ラス(多孔)であればその後も前記速度の低下は少な
いが、析出めっき皮膜が孔の少ない緻密な層であれば析
出反応は停止し、膜厚は増加しなくなる。
めっき液に浸漬する基材の表面に前工程(洗浄工程等)
での水洗水が付着していることが一般的であり、そのた
め基材をめっき液に浸漬した直後には液の局部的希釈や
冷却が起きる。そして、このようなめっき液の希釈や冷
却の影響を強く受けた基材部分では初期に孔の少ないめ
っき層が析出し、その後もめっき反応が進行しにくくな
って該部分の膜厚は薄くなる。なお、このような現象
は、基材面を覆っていた水層(水洗水等の層)の部位的
な厚さのバラツキに影響を受け、この影響がめっき皮膜
の膜厚や組成のバラツキとなって現れる傾向が強い。そ
の結果、この後で実装等のためにめっき皮膜のリフロ−
処理(再溶融)を行うと、溶融する部分,溶融されない
部分の違いが生じ、溶融されない部分は実質的に欠陥と
なる。
るいはpHを調整する等の手立てを講じて析出する皮膜
組成の調節を図ると基材面を覆う水層(水洗水等の層)
のバラツキ如何によらず多孔質の析出薄膜を形成させる
ことが可能であり、また所望する置換型無電解めっきを
施すに際して、予め基材上にこのような多孔質のめっき
層を薄く析出させておいてから所望の置換型無電解めっ
き処理を行うと、前述した「めっき液の局部的希釈や冷
却により緻密な析出物を形成して膜厚が増加しなくな
る」という現象を生じることなく反応が円滑に進行して
めっきの成長は容易に停止せず、形成される膜厚の部位
的なバラツキは生じにくくなる。
されたものであり、「銅系基材上にすず−鉛合金の無電
解めっき層を形成するに当たり、 予め銅系基材上に多孔
質のすず−鉛合金皮膜を析出させる予備めっき処理を行
い、 その後に置換型のすず−鉛合金無電解めっき析出処
理を行うことによって、 部位的な膜厚や組成のバラツキ
が少ないすず−鉛合金析出皮膜を安定形成できるように
した点」に大きな特徴を有している。
る「置換型のすず−鉛合金無電解めっき析出処理」とし
て、“すず分の高い析出物が得られるめっき液によるす
ず−鉛合金無電解めっき析出処理”とこれに続く“鉛分
の高い析出物が得られるめっき液によるすず−鉛合金無
電解めっき析出処理”との2段階の置換型すず−鉛合金
無電解めっき析出処理法を適用すれば、緻密性,リフロ
−性及び密着性が良好でしかも十分な膜厚のすず−鉛合
金めっき析出皮膜を、組成の制御容易により一層安定し
て形成できるようになるので好ましい。
鉛合金の無電解めっき析出を行うに当たり、予めすず−
鉛合金の予備めっきを無電解めっきの方法により行って
多孔質下地皮膜を設けておく点を特徴としているが、こ
のような予備めっき処理を施したことによって、その後
の無電解めっき処理でめっき液の局部的希釈や冷却のた
め緻密な析出物を形成して膜厚増加が停止するという前
述した現象は懸念する必要がなくなる。そして、その後
の無電解めっき処理では、予備めっき皮膜に存在する孔
を通して反応が進行するため無電解めっきの成長は容易
に停止せず、膜厚のバラツキは生じにくくなる。
孔質とするためには、該析出皮膜の組成が「すず含有割
合:50重量%未満(好ましくは30重量%未満、 より
好ましくは20重量%未満)」となるように条件調整す
るのが最も実際的である。そして、“すず含有割合が5
0重量%未満である鉛リッチな析出皮膜”はめっき液中
のすずや鉛の濃度,めっき液温等を調整することによっ
て得られるが、安定的に上記皮膜を得るにはめっき液の
pHを2以上に調整するのが最も効果的である。
のすず−鉛合金めっき皮膜は凹凸が大きいために膜厚を
測定するのが難しいが、平均膜厚で1μm未満に止まる
ように処理時間等を調整することが望ましい。なぜな
ら、このめっき皮膜厚が平均膜厚で1μm以上になると
部分的に大きな粉状の結晶が析出した状態となり、この
後に所望する置換型のすず−鉛合金無電解めっきを行っ
た場合に局部的な膜厚バラツキの原因となることが懸念
されるからである。
ための無電解すず−鉛合金めっき液は次の組成のものが
良い。 ポリオキシカルボン酸又はその塩 0.1 〜2 mol/L(リットル) , 2価のすずイオン 0.01〜0.5 mol/L , 2価の鉛イオン 0.01〜0.5 mol/L , チオ尿素又はその誘導体 0.05〜2 mol/L , ハロゲンイオン 0.001 〜1.0 mol/L 。
ルコン酸あるいはテトロン酸等が好ましく、またこれら
の酸に代えてそのナトリウム塩等のアルカリ金属塩を用
いることもできる。2価のすずイオン源や2価の鉛イオ
ン源としては、水可溶性の種々のすず塩あるいは鉛塩を
使用することができる。なお、このすずイオン,鉛イオ
ンの組成比を適当に制御することで得られる析出物のす
ず/鉛の組成比を任意に変化させることができる。チオ
尿素またはその誘導体は、置換反応に伴い液中に溶出す
る銅イオンの錯化剤として用いられる。チオ尿素の誘導
体としては、ジメチルチオ尿素,ジエチルチオ尿素,ア
リルチオ尿素等を挙げられる。
するめっき皮膜を多孔質にし、続く置換型のすず−鉛合
金無電解めっきで析出させるめっき皮膜の膜厚を増加さ
せるために添加されるものであり、その濃度は 1.0mol/
L 以下で適当かつ十分であってこれ以上に濃度を高める
必要がない。なお、ハロゲンイオンとしては塩素イオン
又は臭素イオンが実際的である。塩素イオン源として
は、例えば塩酸,塩化ナトリウム,塩化カリウム,塩化
リチウム,塩化アルミニウム,塩化アンモニウム等の水
可溶性の化合物を用いることができる。また、臭素イオ
ン源としては、臭化水素酸,臭化ナトリウム,臭化カリ
ウム,臭化リチウム,臭化アルミニウム,臭化アンモニ
ウム等の水可溶性の化合物を用いるのが良い。
塩化物又は臭化物の形で添加するのであれば、更に別の
形でのハロゲンイオンの添加は必要ない。また、陽イオ
ンとしてすずあるいは鉛よりも析出電位が貴な金属イオ
ンを含むものは、めっき皮膜への不必要な共析が起こる
ため好ましくない。
や界面活性剤を添加することもできる。還元剤として
は、次亜リン酸塩,ヒドロキシルアミン塩酸塩,ヒドラ
ジン等が使用でき、2価のすずイオンの酸化を防止す
る。界面活性剤は、基材面に対するめっき液のぬれ性を
向上し、めっきムラを無くするために用いられるが、特
に非イオン界面活性剤が良い。例えば、ノニポ−ル(商
品名:三洋化成株式会社),ノイゲン(商品名:第一工
業製薬株式会社),エマルゲン(商品名:花王株式会
社),ノニオン(商品名:日本油脂株式会社)等がこれ
に該当する。
は、pHを2以上とすることが多孔質な析出物皮膜を形
成させる上で好ましく、これによりその後の無電解めっ
きでの析出バラツキが効果的に抑えられる。なお、通
常、前述のような組成の予備めっき液ではそのpHは低
下の方向にあるので、水酸化アルカリを加えて調整する
と良い。そして、この予備めっき液は、液中成分の溶解
度と析出物のポロシティ−が小さくならないことを考慮
すれば温度40℃以上で使用され得る。また、液成分の
蒸発や揮発等の兼ね合いから90℃以下で使用するのが
望ましい。なお、液の攪拌を均一に行うことは、得られ
るめっき皮膜の均一性のために重要であるが、空気吹き
込みによる攪拌は液中のすずイオンの酸化が起こるため
に避けなければならず、スタ−ラや機械揺動による攪拌
とすべきである。この予備めっきは、多孔質の薄めっき
層を形成するためのものであるから、処理時間は極く短
時間で良く、通常は1分以下とされる。
所望する置換型無電解すず−鉛合金めっき処理が実施さ
れる。この置換型無電解すず−鉛合金めっき処理には公
知の種々のめっき液を使用することができるが、例えば 有機スルホン酸(メタンスルホン酸等) 0.01〜1 mol/L , 2価のすずイオン 0.01〜0.5 mol/L , 2価の鉛イオン 0.01〜0.5 mol/L , チオ尿素又はその誘導体 0.05 mol/L以上, ハロゲンイオン 0.001 〜1.0 mol/L なる組成のものを使用すると皮膜密着性,均一性,環境
問題等の面で有利であると言える。
型の無電解すず−鉛合金めっき処理として、まず“すず
分の高い析出物が得られるめっき液”、例えば有機スル
ホン酸又はポリオキシカルボン酸あるいはそれらの塩,
2価のすずイオン,2価の鉛イオン,チオ尿素又はその
誘導体,ハロゲンイオンを含む溶液、あるいは塩酸又は
ほうふっ酸あるいはそれらの塩,2価のすずイオン,2
価の鉛イオン,チオ尿素又はその誘導体を含む溶液によ
るすず−鉛合金無電解めっき析出処理と、これに続く
“鉛分の高い析出物が得られるめっき液”、例えばポリ
オキシカルボン酸又はその塩,2価のすずイオン,2価
の鉛イオン,チオ尿素又はその誘導体,ハロゲンイオン
を含む溶液によるすず−鉛合金無電解めっき析出処理と
の2段階の置換型すず−鉛合金無電解めっき析出処理法
(特願平5−120905号として提案された方法)を
適用すれば、得られるめっき皮膜特性の点で一層好まし
い。ところで、ここで言う「すず分,鉛分が高い」と言
う記述は、単独の液で銅素材上に無電解めっきを行った
場合の析出物の成分が、2段の工程を経て得られるべき
狙いの組成に対してすず分,鉛分が高いものであるとい
うことを示すものである。
っき析出処理法を適用する場合は、この第1段目と第2
段目のめっき処理の間に「水洗工程を入れる」又は「水
洗工程を入れない」の2通りの手法を選択することがで
きる。そして、水洗工程の有無によって得られるすず−
鉛合金析出物の組成が調整できる。なお、第1段目のめ
っきから水洗無しで直接的に第2段目のめっき液に浸漬
する場合には、第1段目のめっき液の成分を第2段目の
めっき液に持ち込むことになるが、この場合には、両方
のめっき液の成分を類似なものにしておくことにより、
持込みの影響は殆ど無視できるようになる。更に、先に
例示した“2段階の置換型すず−鉛合金無電解めっき析
出処理法での第2段目で使用するめっき液”は“本発明
に係る予備めっき処理で使用するめっき液”に類似する
ので、この場合にはめっき液を別々に調整せずに同じ組
成のものを基本液として使用することができ、めっき液
の調整を省力化できる。
的に説明する。
ず−鉛合金めっき液(水溶液)を調合した。 〔A液〕 グルコン酸ナトリウム 0.1 mol/L , メタンスルホン酸すず 0.05 mol/L , メタンスルホン酸鉛 0.05 mol/L , チオ尿素 1.0 mol/L , 塩化カリウム 0.05 mol/L , 非イオン界面活性剤 0.5 g/L , *グルコン酸によりpH2.6 に調整。 〔B液〕 メタンスルホン酸 0.2 mol/L , メタンスルホン酸すず 0.1 mol/L , メタンスルホン酸鉛 0.06 mol/L , チオ尿素 0.65 mol/L , 塩化カリウム 0.05 mol/L , 非イオン界面活性剤 0.5 g/L 。 そして、A液,B液とも60℃に加温し、マグネチック
スタ−ラでゆるやかに攪拌した。
ズ:150mm×75mm)にエッチングで回路パタ−ンを形成し
た。そして、これの2枚を酸性脱脂剤CP−140(商
品名:株式会社ジャパンエナジ−)を用いて脱脂し、C
P−2040(商品名:株式会社ジャパンエナジ−)で
ソフトエッチングを行い、更に10%硫酸に浸漬した
後、水洗した。
層板の1枚を無電解すず−鉛合金めっき液〔B液〕に直
接浸漬し、30分間めっき処理を行った。一方、もう1
枚の銅張り積層板については、本発明例として、まず無
電解すず−鉛合金めっき液〔A液〕に30秒間浸漬して
予備めっきした後に水洗し、次に無電解すず−鉛合金め
っき液〔B液〕に30分間浸漬して十分なめっき処理を
行った。なお、何れの場合も、めっき後は基板を水洗し
て乾燥した。次に、このようにめっき処理された銅張り
積層板面を観察したところ、そのパタ−ン上には何れに
も灰白色で無光沢の皮膜が析出していることが確認され
た。そこで、この析出皮膜の膜厚と組成を20点の部位
にわたって測定したところ、次の表1に示す結果が得ら
れた。
液を使った予備めっき工程を取り入れた本発明例による
と、得られたすず−鉛合金めっき皮膜の膜厚,組成の平
均値はB液のみでめっきを行った比較例のものと有為な
違いを認められなかったが、それらの標準偏差は何れも
小さくなり、本発明法がめっき皮膜の膜厚や組成のバラ
ツキを小さくするのに非常に有効であることを確認でき
る。
類の無電解すず−鉛合金めっき液(水溶液)を調合し
た。 〔A液〕 グルコン酸ナトリウム 0.05 mol/L , メタンスルホン酸すず 0.05 mol/L , メタンスルホン酸鉛 0.05 mol/L , チオ尿素 0.65 mol/L , 塩化カリウム 0.05 mol/L , 非イオン界面活性剤 0.5 g/L , *メタンスルホン酸によりpH2.5 に調整。 〔B液〕 メタンスルホン酸 0.2 mol/L , メタンスルホン酸すず 0.1 mol/L , メタンスルホン酸鉛 0.06 mol/L , チオ尿素 0.65 mol/L , 塩化カリウム 0.05 mol/L , 非イオン界面活性剤 0.5 g/L 。 〔C液〕 グルコン酸ナトリウム 0.1 mol/L , メタンスルホン酸すず 0.03 mol/L , メタンスルホン酸鉛 0.05 mol/L , チオ尿素 0.65 mol/L , 塩化カリウム 0.05 mol/L , 非イオン界面活性剤 0.5 g/L , *メタンスルホン酸によりpH2.5 に調整。 そして、A液,B液,C液とも60℃に加温し、マグネ
チックスタ−ラでゆるやかに攪拌した。
パタ−ンを形成した2枚の銅張り積層板(サイズ:15
0mm×75mm)の2枚に脱脂,ソフトエッチング,10
%硫酸浸漬の前処理を施した後、水洗した。
板の1枚を無電解すず−鉛合金めっき液〔B液〕と無電
解すず−鉛合金めっき液〔C液〕にそれぞれ30分,5
分の時間順次浸漬し、2段階のめっき処理を行った。一
方、もう1枚の銅張り積層板については、本発明例とし
て、まず無電解すず−鉛合金めっき液〔A液〕に30秒
間浸漬して予備めっきした後に水洗し、次に無電解すず
−鉛合金めっき液〔B液〕と無電解すず−鉛合金めっき
液〔C液〕にそれぞれ30分,5分の時間順次浸漬する
2段階のめっき処理を行った。なお、何れの場合も、め
っき後は基板を水洗して乾燥した。次に、このようにめ
っき処理された銅張り積層板面を観察したところ、その
パタ−ン上には何れにも灰白色で無光沢の皮膜が析出し
ていることが確認された。そこで、この析出皮膜の膜厚
と組成を20点の部位にわたって測定したところ、次の
表2に示す結果が得られた。
液を使った予備めっき工程を取り入れた本発明例による
と、得られたすず−鉛合金めっき皮膜の膜厚,組成の平
均値はB液及びC液のみで2段階めっきを行った比較例
のものと有為な違いを認められなかったが、それらの標
準偏差は何れも小さくなり、本発明法がめっき皮膜の膜
厚や組成のバラツキを小さくするのに非常に有効である
ことを確認できる。
枚のめっきサンプルにフラックスAGF−550(商品
名:旭化学研究所)を塗布して乾燥後、230℃に加熱
したシリコンオイル中に10秒浸漬することによりリフ
ロ−試験を行った。その結果、比較例に係るめっきサン
プルではめっき皮膜にリフロ−されずに無光沢のままで
の部分が認められたが、本発明例に係るめっきサンプル
では全パタ−ンともリフロ−されており、めっき面は全
て光沢を呈していることが確認された。
及びC液を準備し、予備めっき処理でのめっき液として
もC液を用いた以外は実施例2の本発明例と全く同じ工
程・条件で無電解すず−鉛合金めっき試験を行った。そ
して、めっき処理された銅張り積層板面を観察したとこ
ろ、そのパタ−ン上には灰白色で無光沢の皮膜が析出し
ていることが確認された。そこで、この析出皮膜の膜厚
と組成を20点の部位にわたって測定したところ、次の
表3に示す結果が得られた。
段階めっきの2段目で使用するめっき液を予備めっき処
理時のめっき液として使用した場合でも、実施例2と同
様、めっき皮膜の膜厚や組成のバラツキを小さくできる
ことが分かる。
ば、銅系基材上に無電解めっきの手法により膜厚,組成
のバラツキが少ない高品位のすず−鉛合金めっき皮膜を
形成することが可能となり、従来のはんだペ−スト印刷
では対応できなかったプリント基板の狭ピッチライン上
へのはんだコ−ティングをも安定して行えるようになる
など、産業上極めて有用な効果がもたらされる。
Claims (17)
- 【請求項1】 銅系基材上にすず−鉛合金の無電解めっ
き層を形成するに当たり、予め銅系基材上に多孔質のす
ず−鉛合金皮膜を析出させる予備めっき処理を行い、そ
の後に置換型のすず−鉛合金無電解めっき析出処理を行
うことを特徴とする、すず−鉛合金無電解めっき方法。 - 【請求項2】 予備めっき処理にて析出させるすず−鉛
合金皮膜のすず含有割合を50重量%未満に調整するこ
とによって多孔質皮膜とすることを特徴とする、請求項
1に記載のすず−鉛合金無電解めっき方法。 - 【請求項3】 予備めっき処理にて析出させる多孔質す
ず−鉛合金皮膜の膜厚を平均膜厚で1μm未満に調整す
ることを特徴とする、請求項1又は2に記載のすず−鉛
合金無電解めっき方法。 - 【請求項4】 予備めっき処理に用いるめっき液がポリ
オキシカルボン酸又はその塩,2価のすずイオン,2価
の鉛イオン,チオ尿素又はその誘導体並びにハロゲンイ
オンを主成分として含むものであることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れかに記載のすず−鉛合金無電解め
っき方法。 - 【請求項5】 予備めっき処理に用いるめっき液の構成
成分たるハロゲンイオンが塩素イオン又は臭素イオンで
あることを特徴とする、請求項4に記載のすず−鉛合金
無電解めっき方法。 - 【請求項6】 予備めっき処理に用いるめっき液の構成
成分たるポリオキシカルボン酸がグルコン酸又はテトロ
ン酸であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の
すず−鉛合金無電解めっき方法。 - 【請求項7】 予備めっき処理に用いるめっき液のpH
を2以上に調整して予備めっきを行うことを特徴とす
る、請求項4乃至6の何れかに記載のすず−鉛合金無電
解めっき方法。 - 【請求項8】 予備めっき処理後の置換型すず−鉛合金
無電解めっきに用いるめっき液が、メタンスルホン酸又
はその塩,2価のすずイオン,2価の鉛イオン,チオ尿
素又はその誘導体並びにハロゲンイオンを主成分として
含むものであることを特徴とする、請求項1乃至7の何
れかに記載のすず−鉛合金無電解めっき方法。 - 【請求項9】 銅系基材上にすず−鉛合金の無電解めっ
き層を形成するに当たり、予め銅系基材上に多孔質のす
ず−鉛合金皮膜を析出させる予備めっき処理を行い、そ
の後に“すず分の高い析出物が得られるめっき液による
すず−鉛合金無電解めっき析出処理”とこれに続く“鉛
分の高い析出物が得られるめっき液によるすず−鉛合金
無電解めっき析出処理”との2段階の置換型すず−鉛合
金無電解めっき析出処理を行うことを特徴とする、すず
−鉛合金無電解めっき方法。 - 【請求項10】 予備めっき処理にて析出させるすず−
鉛合金皮膜のすず含有割合を50重量%未満に調整する
ことにより多孔質皮膜とすることを特徴とする、請求項
9に記載のすず−鉛合金無電解めっき方法。 - 【請求項11】 予備めっき処理にて析出させる多孔質
すず−鉛合金皮膜の膜厚を平均膜厚で1μm未満に調整
することを特徴とする、請求項9又は10に記載のすず−
鉛合金無電解めっき方法。 - 【請求項12】 予備めっき処理に用いるめっき液がポ
リオキシカルボン酸又はその塩,2価のすずイオン,2
価の鉛イオン,チオ尿素又はその誘導体並びにハロゲン
イオンを主成分として含むものであることを特徴とす
る、請求項9乃至11の何れかに記載のすず−鉛合金無電
解めっき方法。 - 【請求項13】 予備めっき処理に用いるめっき液の構
成成分たるハロゲンイオンが塩素イオン又は臭素イオン
であることを特徴とする、請求項12に記載のすず−鉛合
金無電解めっき方法。 - 【請求項14】 予備めっき処理に用いるめっき液の構
成成分たるポリオキシカルボン酸がグルコン酸又はテト
ロン酸であることを特徴とする、請求項12又は13に記載
のすず−鉛合金無電解めっき方法。 - 【請求項15】 予備めっき処理に用いるめっき液のp
Hを2以上に調整して予備めっきを行うことを特徴とす
る、請求項12乃至14の何れかに記載のすず−鉛合金無電
解めっき方法。 - 【請求項16】 予備めっき処理後の2段階の置換型す
ず−鉛合金無電解めっきに用いるめっき液のうち、1段
目で用いるめっき液がメタンスルホン酸又はその塩,2
価のすずイオン,2価の鉛イオン,チオ尿素又はその誘
導体並びにハロゲンイオンを主成分として含むものであ
り、2段目で用いるめっき液がポリオキシカルボン酸又
はその塩,2価のすずイオン,2価の鉛イオン,チオ尿
素又はその誘導体並びにハロゲンイオンを主成分として
含むものであることを特徴とする、請求項9乃至15に記
載のすず−鉛合金無電解めっき方法。 - 【請求項17】 予備めっき処理に用いるめっき液と2
段階の置換型すず−鉛合金無電解めっき処理における2
段目のめっき処理で用いるめっき液とを同じ組成のもの
とすることを特徴とする、請求項9〜16に記載のすず−
鉛合金無電解めっき方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP16301494A JP3206628B2 (ja) | 1994-06-22 | 1994-06-22 | すず−鉛合金無電解めっき方法 |
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JP16301494A JP3206628B2 (ja) | 1994-06-22 | 1994-06-22 | すず−鉛合金無電解めっき方法 |
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JPH083756A JPH083756A (ja) | 1996-01-09 |
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CN112251739B (zh) * | 2020-10-23 | 2021-09-03 | 哈尔滨工业大学 | 一种预镀铜膜的铝诱导化学镀方法 |
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1994
- 1994-06-22 JP JP16301494A patent/JP3206628B2/ja not_active Expired - Fee Related
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