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JP3201399U - スクラップカッターを備えたトリミングプレス装置 - Google Patents

スクラップカッターを備えたトリミングプレス装置 Download PDF

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JP3201399U
JP3201399U JP2015004260U JP2015004260U JP3201399U JP 3201399 U JP3201399 U JP 3201399U JP 2015004260 U JP2015004260 U JP 2015004260U JP 2015004260 U JP2015004260 U JP 2015004260U JP 3201399 U JP3201399 U JP 3201399U
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辰司 宮崎
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Abstract

【課題】スクラップカッターを備えたトリミングプレス装置において、スクラップカッター部及びトリミングカッター部で発生する「2度切り現象」による切り粉の発生を防止し、これらに起因する不良品の発生を減少させ生産性の向上及び原価の低減に寄与するスクラップカッターを備えたトリミングプレス加工装置を提供する。【解決手段】スクラップカッター4aを備えたトリミングプレス装置の上型に設けたスクラップカッター刃先4cを、上型トリミングの刃基準ラインから下型側に突出するよう鋭角で構成する。これにより「2度切り現象」が抑制され、引きちぎり現象も鋭利な刃物による切断に近い現象に改善できることから切粉の発生が大幅に低減できる。【選択図】図14

Description

本考案は絞り成型後のトリミング工程において、製品となるパネル部のトリミングに続いて、周囲の枠状のスクラップを回収するために細かく裁断するためのスクラップカッターを備えたトリミングプレス加工装置に関する。
パネル状ワークの中央部の製品形状部からその周囲の枠状のスクラップ領域を上型および下型に設けたトリミングカッター切り刃によってトリミングし、上型および下型側に設けたスクラップカッターによりスクラップ細片に裁断するトリミング装置においては、トリミングカッター切り刃とスクラップカッターが交差する部分でトリミングカッター切り刃を一部上方へ迂回させ、上型スクラップカッター構成すると共に、下型スクラップカッターと係合してせん断によりトリミングするためのストロークを確保している。
図1に示すように、自動車用ドアアウターは1枚(または右左で1枚)単位に寸断されたシート状の材料で絞り成型されるが、その時、上型と下型で材料の周囲を保持し、絞り成形が行われる。よって、周囲に製品で無い領域が枠状に付帯する。その付帯領域は、絞り成型に続くトリミング工程においてせん断し、スクラップとして回収する。しかし、トリミング用の切り刃でのせん断だけではスクラップを回収するのが困難で、更にスクラップカッターにて複数に細分化(Sm)することで、効率よく回収することができる。
図2においてはトリムライン(TL)とスクラップカッターライン(SL)がほぼ直角に配置されていて、図に示す上型のスクラップカッター(4a)に対して下型のスクラップカッター(5a)を含めてひとつのユニットを構成する。図2−Aは図2についての下型ポンチ(1)及び下型スクラップカッター(5a)を示しており、点線の枠内で示した領域を図2で示している。又、図2−Bは図2についての上型のトリミングダイ(4)及び上型スクラップカッター(4a)を示しており、断面a1−a2及び断面b1−b2の位置を示す。
図3においては、断面a1−a2を示し、スクラップカッターラインに対応した上型スクラップカッター(4a)と下型スクラップカッター(5a)の噛み合いにおいて、空中切りが始まる寸前の状態を示しており、上型が更に下降して下死点に至った状態においては上型切り刃(4b)と下型切り刃(5b)が係合する部分を除いてはスクラップ(S)の板厚より大きい一定のスキを確保している。
図4においては、断面b1−b2を示し、下型スクラップカッター(5a)の切り刃の断面とトリミングの切り刃(点線)の位置の噛み合いから、上型トリミングの切り刃(3a)の一部が一段低く(3a2)なっており、上型スクラップカッター切り刃(4b)での空中切り、そしてトリムラインのせん断に遅れて、スクラップカッターでのせん断がおこなわれる。下死点時にはトリミングの切り刃(点線)が下型スクラップカッター(5a)と干渉しないようになっている。
更に図4において、上型スクラップカッター切り刃(4b)がポンチ(1)上にあるパネルに接する位置まで下降した段階でトリミング切り刃によるトリムラインのカットが始まる。しかし、下型スクラップカッター(5a)の上部に対応した上型のトリミングの切り刃(3a2)の位置は周辺部の切り刃より僅かに上にあり、未だトリムカットはされていない。更に下降すると3a2部のトリムカットが始まり、その後スクラップカッター切り刃(4b)によるスクラップのせん断が行われ、スクラップが細分化される。
この時、上型スクラップカッターがパネルに接した時点(T1)から更に下降して、スクラップカッターによるスクラップのせん断が始まる時点(T2)。このT1からT2の間に上型スクラップカッター切り刃(4b)により空中切りと称される現象が発生する。
図5は上型スクラップカッター切り刃(4b)がパネルに接する位置よりさらに1〜2mm食い込んだ空中切りの状態を示している。切り刃がパネルに当たり、トリムラインからスクラップカッターの切り刃に沿って空中切りが発生する。
この空中切りは上型スクラップカッター切り刃と下型スクラップカッター切り刃との係合によるせん断作用による切断ではなく、上型スクラップカッター切り刃による破断と言う現象により発生する。
図6は断面b1-b2を表し、図5と同様に上型スクラップカッター切り刃(4b)がパネルに接する位置よりさらに1〜2mm食い込んだ状態を示している。上型スクラップカッター切り刃による空中切りの箇所は5〜8mm程破断しており、最終的に上型が下死点に到達した段階での上型スクラップカッターと下型スクラップカッターのせん断作用による2度切りにおいて切り粉発生の要因となっている。
図7は図5より更に上型スクラップカッター切り刃が下がり、上型スクラップカッターと下型スクラップカッターによるせん断作用が開始される直前の状態を示している。この状態で上型トリミングカッターの当たり部(図7及び図2−Bの円内参照)がスクラップと干渉し、下に押し下げることで、空中切りの破断面が下型スクラップカッター方向にずれて、空中切り部の一部がスクラップカッター上に乗り上げる現象が発生する。
図8は2度切りにより糸状の切り粉等が発生する状況を示す。
下死点においては、上型スクラップカッター切り刃と下型スクラップカッター切り刃の係合によるスクラップのせん断が行われ、複数に細分化される。この時に図7の説明にあるように、空中切りによる破断面がスクラップカッター方向にずれ、一部がスクラップカッター上に乗り上げた部分が、続くせん断作用(2度切り)により糸状の切り粉や切り粉が発生する。
いわゆる2度切りにより発生する糸状の切り粉や切り粉は主にスクラップカッター周辺に散乱するが、一部は上型に付着したり、あるいはトリミング金型よりのパネル取り出しにおいてパネルに付着したまま次工程に運ばれたりして、キズ発生等の原因となる。
図9は上型スクラップカッターが空中切りを行う段階におけるパネルの状況を示している。トリムライン(TL)とスクラップカッターライン(SL)が交差する部位のパネルは上型スクラップカッター切り刃の部分で一部空中切りがされている(図9内斜線部)。これにより下死点において二度切りが発生し、糸状の細長い切り粉や切り粉が発生する。
上型スクラップカッター(4a)による空中切りの段階において、空中切りが進まない状況の段階において、下型スクラップカッター(5a)側のパネルトリム面は下に引っ張られるが空中切りされずTL側に引きちぎられる。その後はトリムせん断の切り刃が入ってきて2度切りに伴う切り粉が発生する。
以上説明したように従来構成では、上型スクラップカッターの刃先が下型側クラップカッターに係合する前に前記刃先がワークに作用してワークをいわゆる「空中切り」により切断(破断)した後、下型側スクラップカッターに係合して再度切断するいわゆる「2度切り」という現象が生ずるため切り粉が発生するという問題があった。
これの問題を解決するため例えば特開2002−66649(日産)では下型側クラップカッターの上型スクラップカッターと係合する部位の近傍に逃がしを設け、上型スクラップカッターの切り刃がワークを引きちぎった後、再度上型スクラップカッターと係合して「2度切り」により切り粉が発生することを防止する構造が提案されている。
しかしこの構造によれば上型スクラップカッターの切り刃がトリムラインに沿ってワークを引きちぎる際に生じる切粉の発生は防止することはできない。
本考案は以上のような課題に着目してなされたもので、いわゆる空中切り現象で発生する切断面での2度切りによる切り粉の発生を防止できるようにしたスクラップカッターを提供しようとするものである。
請求項1に記載の考案では、パネル状ワークの中央部の製品形状部からその周囲の枠状のスクラップ領域を、上型および下型に各々設けたトリミング切り刃相互のせん断作用によってトリミングするとともに、そのスクラップ領域を上型および下型に各々設けたスクラップカッター相互のせん断作用により複数のスクラップ部材に切断するようにしたトリミングプレス加工装置において、前記上型に設けたスクラップカッター刃先を前記上型トリミングカッター切り刃の基準ラインから下型側に突出するよう鋭角で構成したことを特徴とする。
トリミングカッター切り刃の刃先を鋭利に構成することで、上型スクラップカッターが最初にワークに押付けられワークを切断する「空中切り」及び「引きちぎり」と言う状況から、確実に下型スクラップカッター方向に「空中切り」させることが出来ることで切り粉の発生が抑制できる。また上型側スクラップカッターが下型側スクラップカッターに係合する際に刃先が下側に突出することで、空中切りされたワーク(スクラップ領域)が下方向に迂回し、端部が刃先より突出しない状態になるため2度切りが発生することなく切り粉発生が防止できる。
またこの構造によれば上型側スクラップカッターと下型側クラップカッターの係合によるスクラップカッターのせん断機能は確保されているため、何らかの原因で「空中切り」でスクラップが切断されなかった場合でも本来のせん断機能により確実にスクラップが切断され、ラインが停止したりする不具合が防止できる。
請求項2に記載の考案では、請求項1の特徴に加え更に前記下型側に突出するスクラップカッター刃先の鋭角を刃先部分において70°で構成されることを特徴とする。
この構成によりスクラップを確実に「空中切り」させるに十分な鋭利な刃先とすると共に、容易に刃先が磨耗・損傷することの無い十分な強度を持った刃先とすること出来る。
本考案の構成によりクラップカッターに起因する糸切り粉・切り粉の発生が大幅に低減できる。これら糸切り粉や切り粉は主にスクラップカッター周辺に散乱するが、一部は上型に付着したり、トリミング金型よりパネル取り出しの段階において次工程に運ばれたりして金型やパネルに付着し、キズ発生等の原因となる。本考案はスクラップカッターによる切り粉の発生を大幅に抑制できるので、これらに起因する不良品の発生を大幅に減少させることが出来、生産性の向上及び原価の低減に寄与できる。
トリミング工程におけるトリムラインとスクラップカットラインを示す。 上型と下型のスクラップカッターの平面図で、断面a1−a2、断面b1−b2を示す。 下型ポンチ及びスクラップカッターのユニットを示す。点線枠で図2の範囲を示す。 上型のトリミングダイ及びスクラップカッターを示す。上型における図2の断面を示す。 断面a1−a2における上型スクラップカッターと下型スクラップカッターで、上型の切り刃(4b)がスクラップ(S)に接していない空中切り直前の状態を示す。 断面b1−b2における上型スクラップカッター(4a)と下型スクラップカッター(5a)で図3と同じ空中切り直前のタイミングにおける状態を示す。 上型が下降し、上型スクラップカッター(4a)において空中切りが発生している状態を示す。 図5における空中切りを、断面b1−b2における破断状況として示す。 断面a1−a2において、上型スクラップカッターの当り部領域がスクラップに干渉し、スクラップがずれる状態を示す。 下死点における断面a1−a2において、上型スクラップカッターの切り刃でのせん断作用により糸切り粉が発生する状態を示す。 以前の金型における上型スクラップカッター切り刃がパネルに1〜2mm食い込んだ状態(空中切り)におけるスクラップカッター切り刃部・トリムカット部の製品パネル及びスクラップの破断状況を示す。 断面a1−a2における上型スクラップカッター(4a)が70度の鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部(4c)を持つ構造を示し、スクラップに接していない状態を示す。 断面b1−b2における上型スクラップカッターが70度の鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部を持つ構造(4c)を示し、スクラップに接していない状態を示す。 上型スクラップカッターが70度の鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部の詳細を示す。 上型スクラップカッターにおいて70度の鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部の斜視図を示す。 上型スクラップカッターが70度の鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部を持つ構造によりスクラップカッター側に空中切りされたパネルが2度切りされない状況を示す。又、確実にスクラップカッター側に空中切りさせることでトリムライン側に引きちぎれる現象も無くなる。 本考案での空中切りの状態を示す。図9と異なりトリムライン部の破断が無い。
以下、本考案の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。またスクラップカッター刃先の形状以外は従来技術と同様なので、背景技術の説明で用いた図を流用しつつ説明する。
本考案はパネル状ワークの中央部の製品形状部からその周囲の枠状のスクラップ領域を上型および下型に設けたトリミングカッター切り刃によってトリミングし、上型および下型側に設けたスクラップカッターによりスクラップ細片に裁断するトリミング装置に適用される。
例えば図1に示すように、自動車用ドアアウターは1枚(または右左で1枚)単位に寸断されたシート状の材料で絞り成型されるが、その時、上型と下型のブランクホルダーと呼ばれる部位で構成材料の周囲を保持し、絞り成形が行われる。よって、周囲に製品で無い領域が枠状に付帯する。その付帯領域は、絞り成型に続くトリミング工程においてせん断し、スクラップとして回収する。しかし、この環状につながったスクラップは更にスクラップカッターにて複数に細分化(Sm)することで、効率よく回収するようにしている。
先ず本考案に係るスクラップカッターの構成を説明する。
図2に示すようにトリムライン(TL)とスクラップカッターライン(SL)がほぼ直角に配置されていて、図に示す下型のスクラップカッター(4a)に対して上型のスクラップカッター(5a)を含めてひとつのユニットを構成する。図2−Aは図2についての下型ポンチ(1)及び下型スクラップカッター(5a)全体の斜視図を示しており、点線の枠内で示した領域を図2で示している。又、図2−Bは図2についての上型のトリミングダイ(4)及び上型スクラップカッター(4a)を示しており、断面a1−a2及び断面b1−b2の位置を示す。
また本考案に係る上型に設けたスクラップカッター切り刃については、図10に示すように先端が上型トリミングカッター切り刃基準ラインから2〜3mm程スクラップカッター切り刃に沿って70度の鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部(4c)を持つよう構成する。
図10は断面a1−a2方向、図11は断面b1−b2方向における構造を示す。又、図11は断面b1−b2における上型スクラップカッター切り刃の傾斜部(4c)を斜線で示している。
図12は鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部(4c)の詳細をしめしている。スクラップカッター切り刃(4b)は2〜3mm突出しており、70度の鋭角での傾斜部を有し、以前の面と接するところはR17の丸みを持たせてある。図13は実際の上型スクラップカッターにおける鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部(4c)を示しており、トリムライン側からの傾斜部の長さ(4c−1)は、空中切りによって破断する5〜8mm以上とし、それに続く傾斜部(4c−2)は徐々に傾斜の無い形に変わっていく。
次にトリム工程における本考案に係るスクラップカッターの作動を説明する。
上型及び下型は図示しない上型ホルダー及び下型ホルダーを介してプレス装置のスライド及びボルスターに各々固定される。また上型及び下型は中央の製品領域と周囲のスクラップ領域を各々分離して構成されており、このうち製品領域に係る上型はクッションを介して上型ホルダーに可動式に固定されている。このクッションの作用によりこの製品領域に係る上型はトリム作動を行う際に、ワークの製品部分を一定の把持力で把持するパッドとしての機能を有する。また必要に応じ製品領域に係る上型及び下型にはピアス機能が付加されている。
また下型製品領域の周縁部、すなわち下型トリムラインには下型トリミングカッター切り刃が構成されており、上型スクラップ領域の内縁部には上型トリミングカッター切り刃が構成されている。両トリミングカッター切り刃同士のクリアランスは切粉の発生を最小にするようクリアランス管理され、両トリミングカッター切り刃同士のせん断により製品外縁部のトリミングが行われる。
プレス装置の作動に従って説明すると、先ず型が開いた上死点付近の状態で、図示しないマテハン装置により前工程でドロー加工を施工された自動車用ドアアウターパネル材が下型上に配置される。次いでプレス装置の下降を始めると、まず製品領域に係る上型が製品領域に係る下型に当接し、ピアス機能が付加されている場合はピアス加工を行うと共に、クッションの作用でワークに一定の把持力を発生する。
ワークが把持された状態で、その後上型トリミングカッター切り刃が下降により、製品外縁部に当接しせん断を開始する。スクラップカッター切り刃(4b)が突出し、70度の鋭角での傾斜部を有しているため先ず最初に傾斜部の先端が製品外縁部に当接する。
図14は、図2で示すスクラップカッターの断面a1−a2部を示す。断面a1−a2は上型スクラップカッター切り刃が下降しパネルに当たり、いわゆる空中切りが始まった状態から更にスクラップカッターの上刃と下刃でのせん断切りが始まる寸前の状態を示す。
上型スクラップカッター切り刃により空中切りされたスクラップ部位は、上型が下降するにつれ上型スクラップカッター切り刃の鋭角部により下向きにカールされた状態になる。これにより下型スクラップカッター切り刃の位置からカールされたスクラップの端部は離れ、スキ(SS)を生じる。これにより、上型スクラップカッター切り刃の鋭角部で空中切りされた破断面について2度切りを避けることができる。
更に上型スクラップカッター切り刃における空中切りのタイミングが切り刃を鋭角にすることで2〜3mmの喰いこみ量分早くなり、その分上型トリミングカッター当たり部がスクラップに当たるタイミングが遅れることになり、結果的にスクラップが図14に示す矢印の方向にずれにくくなっている。また、空中切りのカール部が上型スクラップカッター切り刃の鋭角部で抑えられ、更にずれにくい構造となっている。
図15は上型スクラップカッター切り刃における空中切り状態における製品パネル部(Pa)とスクラップ部(S)のせん断及び破断の状況を示す。トリムライン(TL)は下型スクラップカッター(5a)に対向する部位を除きせん断が進んでいる。
鋭角で構成された上型スクラップカッター切り刃により確実にスクラップカッター方向に5〜8mm空中切りさせることができるため、以前の上型スクラップカッター切り刃において空中切りされない時に発生する製品パネルのトリムライン側に沿って引きちぎる(破断)現象が無くなり、トリムラインのせん断時による2度切りも避けることができる。
図12に示すように、下型側に突出する下型スクラップカッター切り刃の刃先部分において70度で構成されることを特徴とする。
刃先の角度は小さいほど鋭角の度合いが大きく、空中切りが容易で、かつ上型トリミングカッターの当たりによるずれが少なくなる。
その反面、切り刃(4b)の損傷による修理・メンテナンスが増える傾向にあり、さまざまな条件でのテスト実施により70度が最適値であることを導き出している。
以上の作動により、トリミングカッター切り刃の作用と前後して上型・下型スクラップカッター切り刃が作用することで、ワークの製品部分と環状のスクラップが先ず分離され、次いで環状のスクラップが複数個に分離される。
プレス装置の作動が下死点を過ぎて型が開くと、環状のスクラップが複数個に分離された効果によりスクラップの排出が円滑に行われる。また図示しないマテハン装置により加工の終わった製品が次工程に搬送され、次のパネル材が同じくマテハン装置により配置され次のサイクルの加工が開始する。
1 ポンチ(下型)
2 ダイ(下型)
2a トリミング切り刃(下型)
3 パッド(上型)
3a トリミングカッター(上型)
3b トリミングカッター切り刃(上型)
4 ダイ(上型)
4a 上型スクラップカッター
4b 上型スクラップカッター切り刃
4c 70度の鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部
5a 下型スクラップカッター
5b 下型スクラップカッター切り刃
Pa 製品パネル、パネル、パネル状ワーク
S スクラップ(非製品部領域)
Sm スクラップ細片
SL スクラップカットライン
TL トリムライン
SS スクラップカッター切り刃と空中切りされたスクラップ端面とのスキ
 

本考案は絞り成型後のトリミング工程において、製品となるパネル部のトリミングに続いて、周囲の枠状のスクラップを回収するために細かく裁断するためのスクラップカッターを備えたトリミングプレス加工装置に関する。
パネル状ワークの中央部の製品形状部からその周囲の枠状のスクラップ領域を上型および下型に設けたトリミングカッター切り刃によってトリミングし、上型および下型側に設けたスクラップカッターによりスクラップ細片に裁断するトリミング装置においては、トリミングカッター切り刃とスクラップカッターが交差する部分でトリミングカッター切り刃を一部上方へ迂回させ、上型スクラップカッター構成すると共に、下型スクラップカッターと係合してせん断によりトリミングするためのストロークを確保している。
図1に示すように、自動車用ドアアウターは1枚(または右左で1枚)単位に寸断されたシート状の材料で絞り成型されるが、その時、上型と下型で材料の周囲を保持し、絞り成形が行われる。よって、周囲に製品で無い領域が枠状に付帯する。その付帯領域は、絞り成型に続くトリミング工程においてせん断し、スクラップとして回収する。しかし、トリミング用の切り刃でのせん断だけではスクラップを回収するのが困難で、更にスクラップカッターにて複数に細分化(Sm)することで、効率よく回収することができる。
図2においてはトリムライン(TL)とスクラップカッターライン(SL)がほぼ直角に配置されていて、図に示す上型のスクラップカッター(4a)に対して下型のスクラップカッター(5a)を含めてひとつのユニットを構成する。図2−Aは図2についての下型ポンチ(1)及び下型スクラップカッター(5a)を示しており、点線の枠内で示した領域を図2で示している。又、図2−Bは図2についての上型のトリミングダイ(4)及び上型スクラップカッター(4a)を示しており、断面a1−a2及び断面b1−b2の位置を示す。
図3においては、断面a1−a2を示し、スクラップカッターラインに対応した上型スクラップカッター(4a)と下型スクラップカッター(5a)の噛み合いにおいて、空中切りが始まる寸前の状態を示しており、上型が更に下降して下死点に至った状態においては上型切り刃(4b)と下型切り刃(5b)が係合する部分を除いてはスクラップ(S)の板厚より大きい一定のスキを確保している。
図4においては、断面b1−b2を示し、下型スクラップカッター(5a)の切り刃の断面とトリミングの切り刃(点線)の位置の噛み合いから、上型トリミングの切り刃(3a)の一部が一段低く(3a2)なっており、上型スクラップカッター切り刃(4b)での空中切り、そしてトリムラインのせん断に遅れて、スクラップカッターでのせん断がおこなわれる。下死点時にはトリミングの切り刃(点線)が下型スクラップカッター(5a)と干渉しないようになっている。
更に図4において、上型スクラップカッター切り刃(4b)がポンチ(1)上にあるパネルに接する位置まで下降した段階でトリミング切り刃によるトリムラインのカットが始まる。しかし、下型スクラップカッター(5a)の上部に対応した上型のトリミングの切り刃(3a2)の位置は周辺部の切り刃より僅かに上にあり、未だトリムカットはされていない。更に下降すると3a2部のトリムカットが始まり、その後スクラップカッター切り刃(4b)によるスクラップのせん断が行われ、スクラップが細分化される。
この時、上型スクラップカッターがパネルに接した時点(T1)から更に下降して、スクラップカッターによるスクラップのせん断が始まる時点(T2)。このT1からT2の間に上型スクラップカッター切り刃(4b)により空中切りと称される現象が発生する。
図5は上型スクラップカッター切り刃(4b)がパネルに接する位置よりさらに1〜2mm食い込んだ空中切りの状態を示している。切り刃がパネルに当たり、トリムラインからスクラップカッターの切り刃に沿って空中切りが発生する。
この空中切りは上型スクラップカッター切り刃と下型スクラップカッター切り刃との係合によるせん断作用による切断ではなく、上型スクラップカッター切り刃による破断と言う現象により発生する。
図6は断面b1-b2を表し、図5と同様に上型スクラップカッター切り刃(4b)がパネルに接する位置よりさらに1〜2mm食い込んだ状態を示している。上型スクラップカッター切り刃による空中切りの箇所は5〜8mm程破断しており、最終的に上型が下死点に到達した段階での上型スクラップカッターと下型スクラップカッターのせん断作用による2度切りにおいて切り粉発生の要因となっている。
図7は図5より更に上型スクラップカッター切り刃が下がり、上型スクラップカッターと下型スクラップカッターによるせん断作用が開始される直前の状態を示している。この状態で上型トリミングカッターの当たり部(図7及び図2−Bの円内参照)がスクラップと干渉し、下に押し下げることで、空中切りの破断面が下型スクラップカッター方向にずれて、空中切り部の一部がスクラップカッター上に乗り上げる現象が発生する。
図8は2度切りにより糸状の切り粉等が発生する状況を示す。
下死点においては、上型スクラップカッター切り刃と下型スクラップカッター切り刃の係合によるスクラップのせん断が行われ、複数に細分化される。この時に図7の説明にあるように、空中切りによる破断面がスクラップカッター方向にずれ、一部がスクラップカッター上に乗り上げた部分が、続くせん断作用(2度切り)により糸状の切り粉や切り粉が発生する。
いわゆる2度切りにより発生する糸状の切り粉や切り粉は主にスクラップカッター周辺に散乱するが、一部は上型に付着したり、あるいはトリミング金型よりのパネル取り出しにおいてパネルに付着したまま次工程に運ばれたりして、キズ発生等の原因となる。
図9は上型スクラップカッターが空中切りを行う段階におけるパネルの状況を示している。トリムライン(TL)とスクラップカッターライン(SL)が交差する部位のパネルは上型スクラップカッター切り刃の部分で一部空中切りがされている(図9内斜線部)。これにより下死点において二度切りが発生し、糸状の細長い切り粉や切り粉が発生する。
上型スクラップカッター(4a)による空中切りの段階において、空中切りが進まない状況の段階において、下型スクラップカッター(5a)側のパネルトリム面は下に引っ張られるが空中切りされずTL側に引きちぎられる。その後はトリムせん断の切り刃が入ってきて2度切りに伴う切り粉が発生する。
以上説明したように従来構成では、上型スクラップカッターの刃先が下型側クラップカッターに係合する前に前記刃先がワークに作用してワークをいわゆる「空中切り」により切断(破断)した後、下型側スクラップカッターに係合して再度切断するいわゆる「2度切り」という現象が生ずるため切り粉が発生するという問題があった。
これの問題を解決するため例えば特開2002−66649(日産)では下型側クラップカッターの上型スクラップカッターと係合する部位の近傍に逃がしを設け、上型スクラップカッターの切り刃がワークを引きちぎった後、再度上型スクラップカッターと係合して「2度切り」により切り粉が発生することを防止する構造が提案されている。
しかしこの構造によれば上型スクラップカッターの切り刃がトリムラインに沿ってワークを引きちぎる際に生じる切粉の発生は防止することはできない。
本考案は以上のような課題に着目してなされたもので、いわゆる空中切り現象で発生する切断面での2度切りによる切り粉の発生を防止できるようにしたスクラップカッターを提供しようとするものである。
請求項1に記載の考案では、パネル状ワークの中央部の製品形状部からその周囲の枠状のスクラップ領域を、上型および下型に各々設けたトリミング切り刃相互のせん断作用によってトリミングするとともに、そのスクラップ領域を上型および下型に各々設けたスクラップカッター相互のせん断作用により複数のスクラップ部材に切断するようにしたトリミングプレス加工装置において、前記上型に設けたスクラップカッター刃先を前記上型トリミングカッター切り刃の基準ラインから下型側に突出するよう鋭角で構成したことを特徴とする。
トリミングカッター切り刃の刃先を鋭利に構成することで、上型スクラップカッターが最初にワークに押付けられワークを切断する「空中切り」及び「引きちぎり」と言う状況から、確実に下型スクラップカッター方向に「空中切り」させることが出来ることで切り粉の発生が抑制できる。また上型側スクラップカッターが下型側スクラップカッターに係合する際に刃先が下側に突出することで、空中切りされたワーク(スクラップ領域)が下方向に迂回し、端部が刃先より突出しない状態になるため2度切りが発生することなく切り粉発生が防止できる。
またこの構造によれば上型側スクラップカッターと下型側クラップカッターの係合によるスクラップカッターのせん断機能は確保されているため、何らかの原因で「空中切り」でスクラップが切断されなかった場合でも本来のせん断機能により確実にスクラップが切断され、ラインが停止したりする不具合が防止できる。
請求項2に記載の考案では、請求項1の特徴に加え更に前記下型側に突出するスクラップカッター刃先の鋭角を刃先部分において70°で構成されることを特徴とする。
この構成によりスクラップを確実に「空中切り」させるに十分な鋭利な刃先とすると共に、容易に刃先が磨耗・損傷することの無い十分な強度を持った刃先とすること出来る。
本考案の構成によりクラップカッターに起因する糸切り粉・切り粉の発生が大幅に低減できる。これら糸切り粉や切り粉は主にスクラップカッター周辺に散乱するが、一部は上型に付着したり、トリミング金型よりパネル取り出しの段階において次工程に運ばれたりして金型やパネルに付着し、キズ発生等の原因となる。本考案はスクラップカッターによる切り粉の発生を大幅に抑制できるので、これらに起因する不良品の発生を大幅に減少させることが出来、生産性の向上及び原価の低減に寄与できる。
トリミング工程におけるトリムラインとスクラップカットラインを示す。 上型と下型のスクラップカッターの平面図で、断面a1−a2、断面b1−b2を示す。 下型ポンチ及びスクラップカッターのユニットを示す。点線枠で図2の範囲を示す。 上型のトリミングダイ及びスクラップカッターを示す。上型における図2の断面を示す。 断面a1−a2における上型スクラップカッターと下型スクラップカッターで、上型の切り刃(4b)がスクラップ(S)に接していない空中切り直前の状態を示す。 断面b1−b2における上型スクラップカッター(4a)と下型スクラップカッター(5a)で図3と同じ空中切り直前のタイミングにおける状態を示す。 上型が下降し、上型スクラップカッター(4a)において空中切りが発生している状態を示す。 図5における空中切りを、断面b1−b2における破断状況として示す。 断面a1−a2において、上型スクラップカッターの当り部領域がスクラップに干渉し、スクラップがずれる状態を示す。 下死点における断面a1−a2において、上型スクラップカッターの切り刃でのせん断作用により糸切り粉が発生する状態を示す。 以前の金型における上型スクラップカッター切り刃がパネルに1〜2mm食い込んだ状態(空中切り)におけるスクラップカッター切り刃部・トリムカット部の製品パネル及びスクラップの破断状況を示す。 断面a1−a2における上型スクラップカッター(4a)が70度の鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部(4c)を持つ構造を示し、スクラップに接していない状態を示す。 断面b1−b2における上型スクラップカッターが70度の鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部を持つ構造(4c)を示し、スクラップに接していない状態を示す。 上型スクラップカッターが70度の鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部の詳細を示す。 上型スクラップカッターにおいて70度の鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部の斜視図を示す。 上型スクラップカッターが70度の鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部を持つ構造によりスクラップカッター側に空中切りされたパネルが2度切りされない状況を示す。又、確実にスクラップカッター側に空中切りさせることでトリムライン側に引きちぎれる現象も無くなる。 本考案での空中切りの状態を示す。図9と異なりトリムライン部の破断が無い。
以下、本考案の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。またスクラップカッター刃先の形状以外は従来技術と同様なので、背景技術の説明で用いた図を流用しつつ説明する。
本考案はパネル状ワークの中央部の製品形状部からその周囲の枠状のスクラップ領域を上型および下型に設けたトリミングカッター切り刃によってトリミングし、上型および下型側に設けたスクラップカッターによりスクラップ細片に裁断するトリミング装置に適用される。
例えば図1に示すように、自動車用ドアアウターは1枚(または右左で1枚)単位に寸断されたシート状の材料で絞り成型されるが、その時、上型と下型のブランクホルダーと呼ばれる部位で構成材料の周囲を保持し、絞り成形が行われる。よって、周囲に製品で無い領域が枠状に付帯する。その付帯領域は、絞り成型に続くトリミング工程においてせん断し、スクラップとして回収する。しかし、この環状につながったスクラップは更にスクラップカッターにて複数に細分化(Sm)することで、効率よく回収するようにしている。
先ず本考案に係るスクラップカッターの構成を説明する。
図2に示すようにトリムライン(TL)とスクラップカッターライン(SL)がほぼ直角に配置されていて、図に示す下型のスクラップカッター(4a)に対して上型のスクラップカッター(5a)を含めてひとつのユニットを構成する。図2−Aは図2についての下型ポンチ(1)及び下型スクラップカッター(5a)全体の斜視図を示しており、点線の枠内で示した領域を図2で示している。又、図2−Bは図2についての上型のトリミングダイ(4)及び上型スクラップカッター(4a)を示しており、断面a1−a2及び断面b1−b2の位置を示す。
また本考案に係る上型に設けたスクラップカッター切り刃については、図10に示すように先端が上型トリミングカッター切り刃基準ラインから2〜3mm程スクラップカッター切り刃に沿って70度の鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部(4c)を持つよう構成する。
図10は断面a1−a2方向、図11は断面b1−b2方向における構造を示す。又、図11は断面b1−b2における上型スクラップカッター切り刃の傾斜部(4c)を斜線で示している。
図12は鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部(4c)の詳細をしめしている。スクラップカッター切り刃(4b)は2〜3mm突出しており、70度の鋭角での傾斜部を有し、以前の面と接するところはR17の丸みを持たせてある。図13は実際の上型スクラップカッターにおける鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部(4c)を示しており、トリムライン側からの傾斜部の長さ(4c−1)は、空中切りによって破断する5〜8mm以上とし、それに続く傾斜部(4c−2)は徐々に傾斜の無い形に変わっていく。
次にトリム工程における本考案に係るスクラップカッターの作動を説明する。
上型及び下型は図示しない上型ホルダー及び下型ホルダーを介してプレス装置のスライド及びボルスターに各々固定される。また上型及び下型は中央の製品領域と周囲のスクラップ領域を各々分離して構成されており、このうち製品領域に係る上型はクッションを介して上型ホルダーに可動式に固定されている。このクッションの作用によりこの製品領域に係る上型はトリム作動を行う際に、ワークの製品部分を一定の把持力で把持するパッドとしての機能を有する。また必要に応じ製品領域に係る上型及び下型にはピアス機能が付加されている。
また下型製品領域の周縁部、すなわち下型トリムラインには下型トリミングカッター切り刃が構成されており、上型スクラップ領域の内縁部には上型トリミングカッター切り刃が構成されている。両トリミングカッター切り刃同士のクリアランスは切粉の発生を最小にするようクリアランス管理され、両トリミングカッター切り刃同士のせん断により製品外縁部のトリミングが行われる。
プレス装置の作動に従って説明すると、先ず型が開いた上死点付近の状態で、図示しないマテハン装置により前工程でドロー加工を施工された自動車用ドアアウターパネル材が下型上に配置される。次いでプレス装置の下降を始めると、まず製品領域に係る上型が製品領域に係る下型に当接し、ピアス機能が付加されている場合はピアス加工を行うと共に、クッションの作用でワークに一定の把持力を発生する。
ワークが把持された状態で、その後上型トリミングカッター切り刃が下降により、製品外縁部に当接しせん断を開始する。スクラップカッター切り刃(4b)が突出し、70度の鋭角での傾斜部を有しているため先ず最初に傾斜部の先端が製品外縁部に当接する。
図14は、図2で示すスクラップカッターの断面a1−a2部を示す。断面a1−a2は上型スクラップカッター切り刃が下降しパネルに当たり、いわゆる空中切りが始まった状態から更にスクラップカッターの上刃と下刃でのせん断切りが始まる寸前の状態を示す。
上型スクラップカッター切り刃により空中切りされたスクラップ部位は、上型が下降するにつれ上型スクラップカッター切り刃の鋭角部により下向きにカールされた状態になる。これにより下型スクラップカッター切り刃の位置からカールされたスクラップの端部は離れ、スキ(SS)を生じる。これにより、上型スクラップカッター切り刃の鋭角部で空中切りされた破断面について2度切りを避けることができる。
更に上型スクラップカッター切り刃における空中切りのタイミングが切り刃を鋭角にすることで2〜3mmの喰いこみ量分早くなり、その分上型トリミングカッター当たり部がスクラップに当たるタイミングが遅れることになり、結果的にスクラップが図14に示す矢印の方向にずれにくくなっている。また、空中切りのカール部が上型スクラップカッター切り刃の鋭角部で抑えられ、更にずれにくい構造となっている。
図15は上型スクラップカッター切り刃における空中切り状態における製品パネル部(Pa)とスクラップ部(S)のせん断及び破断の状況を示す。トリムライン(TL)は下型スクラップカッター(5a)に対向する部位を除きせん断が進んでいる。
鋭角で構成された上型スクラップカッター切り刃により確実にスクラップカッター方向に5〜8mm空中切りさせることができるため、以前の上型スクラップカッター切り刃において空中切りされない時に発生する製品パネルのトリムライン側に沿って引きちぎる(破断)現象が無くなり、トリムラインのせん断時による2度切りも避けることができる。
図12に示すように、下型側に突出する下型スクラップカッター切り刃の刃先部分において70度で構成されることを特徴とする。
刃先の角度は小さいほど鋭角の度合いが大きく、空中切りが容易で、かつ上型トリミングカッターの当たりによるずれが少なくなる。
その反面、切り刃(4b)の損傷による修理・メンテナンスが増える傾向にあり、さまざまな条件でのテスト実施により70度が最適値であることを導き出している。
以上の作動により、トリミングカッター切り刃の作用と前後して上型・下型スクラップカッター切り刃が作用することで、ワークの製品部分と環状のスクラップが先ず分離され、次いで環状のスクラップが複数個に分離される。
プレス装置の作動が下死点を過ぎて型が開くと、環状のスクラップが複数個に分離された効果によりスクラップの排出が円滑に行われる。また図示しないマテハン装置により加工の終わった製品が次工程に搬送され、次のパネル材が同じくマテハン装置により配置され次のサイクルの加工が開始する。
1 ポンチ(下型)
2 ダイ(下型)
2a トリミング切り刃(下型)
3 パッド(上型)
3a トリミングカッター(上型)
3b トリミングカッター切り刃(上型)
4 ダイ(上型)
4a 上型スクラップカッター
4b 上型スクラップカッター切り刃
4c 70度の鋭角で下型側に突出するよう構成された傾斜部
5a 下型スクラップカッター
5b 下型スクラップカッター切り刃
Pa 製品パネル、パネル、パネル状ワーク
S スクラップ(非製品部領域)
Sm スクラップ細片
SL スクラップカットライン
TL トリムライン
SS スクラップカッター切り刃と空中切りされたスクラップ端面とのスキ

Claims (2)

  1. パネル状ワークの中央部の製品形状部からその周囲の枠状のスクラップ領域を、上型および下型に各々設けたトリミング切り刃相互のせん断作用によってトリミングするとともに、そのスクラップ領域を上型および下型に各々設けたスクラップカッター相互のせん断作用により複数のスクラップ部材に切断するようにしたトリミングプレス加工装置であって、
    前記上型に設けたスクラップカッター刃先が前記上型トリミングカッター切り刃の基準ラインから下型側に突出するよう鋭角で構成されたことを特徴とするスクラップカッターを備えたトリミングプレス加工装置。
  2. 前記下型側に突出するスクラップカッター刃先の鋭角が刃先部分において70°で構成されることを特徴とする、請求項1に記載のトリミングプレス加工装置。
     

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