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JP3296289B2 - はんだ合金 - Google Patents

はんだ合金

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JP3296289B2
JP3296289B2 JP16993798A JP16993798A JP3296289B2 JP 3296289 B2 JP3296289 B2 JP 3296289B2 JP 16993798 A JP16993798 A JP 16993798A JP 16993798 A JP16993798 A JP 16993798A JP 3296289 B2 JP3296289 B2 JP 3296289B2
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満男 山下
慎司 多田
国夫 塩川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は電子機器における
金属接合において使用される「はんだ合金」に係り、特
に鉛を含有しないで公害のない「はんだ合金」に関す
る。
【0002】
【従来の技術】はんだ接合を行う際には「はんだ合金」
の接合性,耐食性が良好であることが必要であり、さら
に「はんだ合金」はその熱疲労強度が高い上に所望の接
合温度を有し、また環境上の配慮から鉛を含有しないこ
とが望まれる。半導体装置のチップはパワー通電時に熱
が発生すること、チップの金属導体を接合する「はんだ
接合部」は面接合であることのためにチップのはんだ接
合部には大きな熱ひずが発生し、はんだ接合部を構成す
る「はんだ合金」は過酷な使用環境下に置かれるので、
「はんだ合金」は熱疲労強度の高いことが必要である。
【0003】従来の「はんだ合金」としては、スズ‐鉛
Sn-Pb 合金、スズ‐アンチモンSn-Sb 合金,スズ‐銀Sn
-Ag 合金があげられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】スズ‐鉛Sn-Pb 合金
は、引張り強度が低く、延性に富むため、発生ひずみ量
が大きく疲労強度が低い。そのために下記に記述するよ
うに耐熱性が低い点と合わせ熱疲労強度が低い。スズ‐
鉛Sn-Pb 合金は183 ℃を共晶温度とする合金であり、Pb
の増加により溶融温度を183 ℃から300 ℃付近まで上げ
ることはできるが、液相温度と固相温度(183 ℃)間の
固液共存領域が広くなる上に、共晶温度が183 ℃である
ので、耐熱性が低く比較的低温域で材質劣化が生じやす
いという問題がある。さらに「はんだ合金」として、Pb
を含有するので対環境性の点で望ましくない。スズ‐鉛
Sn-Pb 合金に代わる「はんだ合金」でPbを含有せず且つ
耐熱性の高い「はんだ合金」としては、溶融温度232-24
5 ℃を有するスズ‐アンチモンSn-Sb 合金、あるいは共
晶温度221 ℃を有するスズ‐銀Sn-Ag 合金が広く知られ
ている。
【0005】スズ‐アンチモンSn-Sb 合金は、スズ‐鉛
Sn-Pb 合金より強度が比較的高く優れている。Sn-Sb 合
金は、Sb 8.5重量%、温度245 ℃に包晶点を有してお
り、Sbは通常8 重量%以下で使用される。溶融はSnの溶
融温度232 ℃と包晶温度245 ℃の間で生じるので固液共
存領域が狭く、耐熱性も良好であり、Sb量を増加するこ
とにより強度的に優れたものが得られる。しかしながら
Sn-Sb 合金は、Sb量を多くすると加工性が悪くなり、さ
らに「はんだ接合」時のぬれ性が低くなるという問題が
ある。
【0006】スズ−銀Sn−Ag合金は、共晶温度221℃を
有し、熱疲労特性が良好であるが、実用的観点からさら
に熱疲労特性の改善が望まれる上に、溶融時にSnの酸化
による接合性の悪化や被接合金属によるはんだ接合部へ
の材質的影響などの問題があった。この発明は、上述の
点に鑑みてなされ、その目的は、スズ−銀Sn−Ag合金を
改良して、優れた強度を有するとともに、熱的に安定で
あり、接合性も良好なスズ−銀Sn−Ag系の電子機器の金
属接合に用いられるはんだ合金を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、第1の発
明によれば、銀を1.0〜4.0重量%、銅を2.0重量%以下
(範囲下限値の零を含まず)、ニッケルを0.5重量%以
下(範囲下限値の零を含まず)、リンを0.2重量%以下
(範囲下限値の零を含まず)含有し、残部はスズ及び不
可避的不純物からなることにより達成される。
【0008】第2の発明によれば、銀を1.0〜4.0重量
%、銅を2.0重量%以下(範囲下限値の零を含まず)、
ニッケルを0.5重量%以下(範囲下限値の零を含ま
ず)、ゲルマニウムを0.1重量%以下(範囲下限値の零
を含まず)含有し、残部はスズ及び不可避的不純物から
なることにより達成される。第3の発明によれば、銀を
1.0〜4.0重量%、銅を2.0重量%以下(範囲下限値の零
を含まず)、ニッケルを0.5重量%以下(範囲下限値の
零を含まず)、リンを0.2重量%以下(範囲下限値の零
を含まず)、ゲルマニウムを0.1重量%以下(範囲下限
値の零を含まず)含有し、残部はスズ及び不可避的不純
物からなることにより達成される。
【0009】この発明のスズ‐銀Sn-Ag 合金は Cu, Ni
を添加して耐熱性、熱疲労強度を向上させる。またP,Ge
を添加することによりSnの酸化を抑え接合性を改善す
る。SnにAgを添加すると合金の耐熱性,疲労強度,ぬれ
性が向上する。Agは結晶粒界に高濃度に存在し、結晶粒
界の移動を抑えるため合金の疲労強度が向上する。さら
にAgは溶融温度が980 ℃であるため合金の耐熱性が良く
なるため熱疲労強度が向上する。Sn-Ag 合金は、Ag 3.5
重量%、温度221 ℃に共晶点を有する。Agの添加量が3.
5 重量%を越えると液相温度が高くなり、接合温度をぬ
れ性確保のためにも高くする必要があり、さらに固液共
存領域が大きくなる。 Ag 添加量が3重量%と、6 重量
%含有する合金では強度は同レベルである。
【0010】Cuを添加すると、CuはSn中に固溶し、ぬれ
性を損なうことなく合金の強度と耐熱性が向上する。接
合金属がCuの場合には、接合金属からCuが「はんだ合
金」へ溶出することを抑制する。Cuを3 重量%以上添加
すると、溶融温度(液相温度)が急激に上昇する。また
特開平5-50286 号公報にはこの場合に金属間化合物(Cu3
Sn) の形成量が多くなり、熱疲労特性が損なわれること
が指摘されている。本発明では金属間化合物の過多形成
による疲労強度低下を防ぐために0.1 〜2.0重量%の
範囲で実施した。
【0011】Niを添加するとNiの溶融温度が高い(1450
℃)ために合金の熱的安定性が増す。また、Niを添加す
ると結晶組織が微細化し、あるいはNi−Sn化合物が生成
して強度や熱疲労特性が向上する。また、Cu基板を接合
する際には、接合強度を低下させる要因となる金属間化
合物(Cu3Sn)の生成を抑制する。Ni量が5重量%以上
となると、合金溶製が困難となり、また、はんだ接合時
における粘度が大きくなり広がり性が低下する。圧延加
工性を良くするためにNi量を0.5重量%以下の範囲につ
いて実施した。
【0012】P およびGeを添加するとはんだ溶融時に薄
い酸化皮膜を形成し、Snなどのはんだ成分の酸化が抑制
される。添加量が過多であると、P,Geによる酸化皮膜が
厚くなりすぎて接合性に悪影響を及ぼす。本発明では、
0.05-0.20 重量%の添加量で実施した。Sn-Ag 合金に、
Cu,Ni,P,Geを上記に示した添加量加えると強度、接合性
の良好な「はんだ合金」が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】「はんだ合金」は、Sn,Ag,Cu,
Ni,Ge,Sn−P母合金の各原料を電気炉中で溶解して調
整することができる。Sn−P母合金はSnとPを予め溶製し
たものが用いられる。各原料は純度99.99重量%以上の
ものが使用される。Snは主成分である。Agは1.0〜4.0重
量%、Cuは2.0重量%以下(範囲下限値の零を含ま
ず)、Niは0.5重量%以下(範囲下限値の零を含まず)
の量が添加される。Ag,Cu,Niの他にPもしくはGeまた
はP,Geの両者が添加される。Pの添加量は0.2重量%以
下(範囲下限値の零を含まず)であり、Geの添加量は0.
1重量%以下(範囲下限値の零を含まず)である。
【0014】
【実施例】得られた「はんだ合金」の引張試験を室温で
行った。ぬれ性はメニスコグラフ法でフラックス(RM
Aタイプ)を使用して測定した。引張り強さ,破断伸
び,ぬれ力,はんだ溶解時の酸化膜の形成状況が表1に
示される。表1において△は酸化膜の形成が顕著であ
り、○は少なく、◎は極少であること示す。
【0015】
【表1】 Agの添加量を増加すると強度が向上する。Agを4.0 重量
%添加することにより強度は増加するが6 重量%に増加
してもほぼ同レベルである。Agは溶融温度を大きく低下
しないで、ぬれ性を改善するのに有効な添加元素である
が、4.0 重量%を越えると、溶融温度が上昇し作業温度
を高くする必要が生じ、固液共存温度域が広くなる。従
って強度を向上させ、ぬれ性を改善させる適切なAgの添
加量は1.0-4.0 重量%である。
【0016】CuとNiの添加によりぬれ性の向上が認めら
れる。実施例の引張り強度ではAgの添加により十分強化
されているため明瞭な増加はもたらしていないが、熱的
安定性に寄与する。P を0.05- 0.2 重量%添加すること
により、はんだ溶融時に液面上に形成される酸化膜は極
めてわずかである。Cu,Ni の添加効果もあり、ぬれ性も
安定した良好な結果が得られている。P の添加は、ディ
ップはんだ付けなどの場合に酸化皮膜の形成が抑えられ
て良好な接合性が得られるが、板などの接合時にも接合
性が改善される。
【0017】Geを0.05- 0.1 重量%添加することによ
り、はんだ溶融時に液面上に酸化膜の形成は明瞭に低減
し、さらに引張り強度の向上が得られた。良好なぬれ性
も得られている。Geの添加は、P の添加と同様に、ディ
ップ, 板いずれに対しても効果があり強度も向上する。
またGeはP に比べて酸化による消費速度が小さいので、
安定したSn酸化抑制効果が得られる。
【0018】P,Geの添加は、Snの酸化を抑制するので、
「はんだ接合」時ばかりでなく、「はんだ合金」を作製
する時にも表面酸化の少ない良質な「はんだ合金」をも
たらす。例えば「はんだ合金」粉末をクリームハンダ用
に作製する際に球形に作製することが望ましいが、球形
を得るためには表面の酸化を極力抑え、表面張力のみで
形状を支配することが必要である。P,Geの添加は球形粒
を作製する上でも効果がある。
【0019】このようにしてSn-Ag 合金にCuとNiさらに
P もしくはGeまたはP とGeの両者を添加することによ
り、強度に優れ、耐熱性を有し、ぬれ性が向上するとと
もに接合性の良好な「はんだ合金」が得られた。P に比
較し、Geは酸化速度が安定しており、低い添加量でも効
果を持続する。
【0020】
【発明の効果】この発明によれば、SnにAgを1.0〜4.0重
量%、銅を2.0重量%以下(範囲下限値の零を含ま
ず)、ニッケルを0.5重量%以下(範囲下限値の零を含
まず)添加し、さらに0.2重量%以下(範囲下限値の零
を含まず)のPもしくは0.1重量%以下(範囲下限値の零
を含まず)のGe、または0.2重量%以下(範囲下限値の
零を含まず)のPと0.1重量%以下(範囲下限値の零を含
まず)のGeの両者を添加するので、熱疲労強度と接合性
の良好な電子機器の金属接合用の「はんだ合金」が得ら
れる。また、この「はんだ合金」は、Pbを含まないので
公害のない「はんだ合金」である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−1373(JP,A) 特開 平10−144718(JP,A) 特開 平2−34295(JP,A) 特開 昭62−230493(JP,A) 特開 平10−193172(JP,A) 特開 平11−277290(JP,A) 特表2001−504760(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/26 C22C 13/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銀を1.0〜4.0重量%、銅を2.0重量%以下
    (範囲下限値の零を含まず)、ニッケルを0.5重量%以
    下(範囲下限値の零を含まず)、リンを0.2重量%以下
    (範囲下限値の零を含まず)含有し、残部はスズ及び不
    可避的不純物からなることを特徴とする電子機器の金属
    接合用のはんだ合金。
  2. 【請求項2】銀を1.0〜4.0重量%、銅を2.0重量%以下
    (範囲下限値の零を含まず)、ニッケルを0.5重量%以
    下(範囲下限値の零を含まず)、ゲルマニウムを0.1重
    量%以下(範囲下限値の零を含まず)含有し、残部はス
    ズ及び不可避的不純物からなることを特徴とする電子機
    器の金属接合用のはんだ合金。
  3. 【請求項3】銀を1.0〜4.0重量%、銅を2.0重量%以下
    (範囲下限値の零を含まず)、ニッケルを0.5重量%以
    下(範囲下限値の零を含まず)、リンを0.2重量%以下
    (範囲下限値の零を含まず)、ゲルマニウムを0.1重量
    %以下(範囲下限値の零を含まず)含有し、残部はスズ
    及び不可避的不純物からなることを特徴とする電子機器
    の金属接合用のはんだ合金。
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