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JP3290686B2 - 窒化アルミニウム粉末の製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム粉末の製造方法

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Publication number
JP3290686B2
JP3290686B2 JP02518192A JP2518192A JP3290686B2 JP 3290686 B2 JP3290686 B2 JP 3290686B2 JP 02518192 A JP02518192 A JP 02518192A JP 2518192 A JP2518192 A JP 2518192A JP 3290686 B2 JP3290686 B2 JP 3290686B2
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aluminum nitride
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compound
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勝利 米屋
竹司 目黒
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勝利 米屋
竹司 目黒
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B21/00Nitrogen; Compounds thereof
    • C01B21/06Binary compounds of nitrogen with metals, with silicon, or with boron, or with carbon, i.e. nitrides; Compounds of nitrogen with more than one metal, silicon or boron
    • C01B21/072Binary compounds of nitrogen with metals, with silicon, or with boron, or with carbon, i.e. nitrides; Compounds of nitrogen with more than one metal, silicon or boron with aluminium
    • C01B21/0726Preparation by carboreductive nitridation

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、還元窒化法による窒化
アルミニウム粉末の製造方法に係り、特に易焼結性を示
す窒化アルミニウム粉末の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化アルミニウム(AlN) は、優れた熱伝
導性と電気絶縁性に特徴付けられる非酸化物系セラミッ
クスであり、IC、LSI等の基板やパッケージへの応
用が期待され、既に実用化が開始されている、新しいセ
ラミックス材料である。また、耐食性も優れることか
ら、幾つかの腐食性の強い環境の中で使用できることも
見出されている。
【0003】しかし、窒化アルミニウムは共有結合性が
強く、融点を持たない物質であり、1気圧下で2200℃〜2
400℃で分解するため、難焼結性物質として位置付けら
れている。このため、通常は高純度微細粉末を用いると
共に、イットリアやカルシアのようなアルカリ土類金属
化合物や希土類元素化合物を焼結助剤として混合した原
料粉末を用いて、微密化焼結させることが行われてい
る。また、上記したような焼結助剤を用いると、助剤が
窒化アルミニウム中の不純物酸素を捕獲するため、高熱
伝導化が容易に達成されるという効果も得られている。
【0004】窒化アルミニウム焼結体を作製する上で、
原料粉末特性の管理が重要であることは、上記した高熱
伝導化機構からみても明らかであり、種々の研究が実施
されている。このようなことを踏まえて、窒化アルミニ
ウムの原料粉末には、例えば、 (a)高純度で微粉末状、
(b)酸素不純物が少なく制御されている、 (c)粒径分布
が狭くその形が等軸状に揃っている、 (d)易焼結性であ
る、 (e)経済性に優れている、 (f)再現性に優れている
等を満足させることが求められている。
【0005】ところで、窒化アルミニウム粉末の合成方
法としては、一般に アルミニウムの直接窒化法、 アルミナの還元窒化法、 有機アルミニウムとアンモニアの気相反応法、 の 3種類の方法が知られており、それぞれ実施されてい
る。これらの中で、および方法は工業的に利用され
ており、コストの面ではの方法が最も好ましいもの
の、粒径や粒子形状等の品質面での方法よりは劣る。
また、の方法は上記した要求特性のかなりの部分を満
足し、ファインセラミックスを得るための合成方法とし
て期待されているものの、現有の基板やパッケージ材料
であるアルミナ(Al2 O 3 )と比較すると、特にコスト
面で不十分であると言わざるを得ない。すなわち、微粉
末化した上で粒径のばらつきを小さくし、かつ粒子形状
を焼結に有利な球状に揃えることは困難とされていた。
【0006】一方、窒化アルミニウム焼結体の特性は、
窒化アルミニウム粉末に添加、混合する焼結助剤の分散
状態等にも左右される。通常、窒化アルミニウム焼結体
の原料粉末は、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤粉末と
をボールミル等により混合することで作製しているが、
粉末同志の混合であるため、均質な混合状態を得るため
には長時間要したり、さらに長時間混合操作を行っても
理想的な混合状態が得られない等、種々の問題が存在し
ていた。
【0007】そこで、還元窒化法により窒化アルミニウ
ムを合成する際に、焼結助剤成分が既に含まれた状態
で、窒化アルミニウム粉末を作製する方法が、例えば特
開昭60-65768号公報や同 61-155209号公報等に記載され
ている。これらに記載された方法は、いずれもアルミナ
粉末、炭素粉末および焼結助剤として機能するアルカリ
土類元素や希土類元素の化合物粉末を単に混合し、窒化
アルミニウムの合成後に必要に応じて焼結助剤成分を残
留させようとするものである。また、上記したいずれの
方法においても、反応性の点から合成温度は1400℃以上
とされており、具体的には1550℃〜1800℃程度の高温で
合成を行っている。しかしながら、1550℃以上というよ
うな高温で焼成を行うと、アルカリ土類元素や希土類元
素の化合物が焼成過程で揮散し易く、合成後に焼結助剤
成分を十分に残留させることが困難となるという問題を
有していた。また、予め焼結助剤成分を多量に添加する
ことは、Al2 O3 -C-N2 系の還元窒化反応後に量的に不
必要な添加物を残すことになるため、窒化アルミニウム
の収率を低下させてしまう。さらに、高温焼成は経済的
に不利であると共に、結晶粒の成長が起こりやすくなる
ことから、粒子形状や粒径の制御が困難となるという問
題をも招いてしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の還元窒化法による窒化アルミニウムの製造方法におい
ては、易焼結性の窒化アルミニウム粉末を得る上で、合
成段階から焼結助剤成分を予め添加することが試みられ
てきたが、1550℃以上というような高温での焼成が必要
であるとされていたために、焼結助剤成分の揮散や粒成
長等を招き、十分な効果は得られていなかった。
【0009】このようなことから、焼結助剤成分を含有
すると共に、粒子形状や粒径が制御された窒化アルミニ
ウム粉末を得るために、窒化アルミニウム粉末の低温合
成を可能にすることが強く求められていた。
【0010】本発明はこのような課題に対処するために
なされたもので、窒化アルミニウムの低温合成を可能に
し、焼結助剤成分の揮散を極力防止すると共に、粒子形
状や粒径の制御性を向上させることによって、易焼結性
の窒化アルミニウム粉末を経済的にかつ再現性よく得る
ことを可能にした窒化アルミニウム粉末の製造方法を提
供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明における第1の窒
化アルミニウム粉末の製造方法は、酸化アルミニウム粉
末と、炭素粉末と、希土類元素化合物粉末との混合粉末
を出発原料とする、Al2O3-C-N2系の還元窒化反応に基づ
く窒化アルミニウム粉末の製造方法において、前記希土
類元素化合物粉末として、Al2O3との共融最低温度178
0℃以下のY 2 O 3 、Yb 2 O 3 、Eu 2 O 3 およびGd 2 O 3 から選ばれる
少なくとも1種を用いると共に、この希土類元素化合物
粉末を前記酸化アルミニウム粉末と炭素粉末との合計量
100重量部に対して0.5〜15重量部の範囲で添加して前記
出発原料を調製し、この出発原料を窒素を含む非酸化性
雰囲気中にて1000℃〜1500℃の範囲の温度で焼成する
共に、この焼成過程で中間生成物として前記希土類元素
化合物のアルミネートを合成し、このアルミネートから
窒化アルミニウムを生成すること特徴としている。
【0012】また、第2の窒化アルミニウム粉末の製造
方法は、酸化アルミニウム粉末と、炭素粉末と、aAl2O3
・bMxXy ただし、Mはアルカリ土類元素および希土類元
素から選ばれた少なくとも1種の元素を、MxXyはAl2O3
の共融最低温度が、Mとしてアルカリ土類元素を含む化
合物であれば1450℃以下、Mとして希土類元素を含む化
合物であれば1780℃以下である化合物を示し、a、b、x
およびyは自然数を示す)で表されるアルミネート粉末
との混合粉末を出発原料とし、この出発原料を窒素を含
む非酸化性雰囲気中にて1000℃〜1500℃の範囲の温度で
焼成することを特徴としている。
【0013】本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法
は、Al2 O 3 -C-N2 系の還元窒化反応に基づくものであ
り、アルミナ粉末と炭素粉末とを主原料とするものであ
る。これらアルミナ粉末と炭素粉末との混合比は、モル
比でAl2 O 3 /Cの値を0.25〜0.33の範囲とすることが好
ましい。Al2 O 3 /C(モル比)の値が0.33より大きい
と、すなわち炭素量があまり少ないと、窒化アルミニウ
ムの低温での合成を十分に促進することができない。ま
た、Al2 O 3 /C(モル比)の値が0.25より小さいと、す
なわち炭素量を多くし過ぎると、不要の炭素を残存させ
ることになり、窒化アルミニウムの収率の低下を招くこ
ととなる。
【0014】これらアルミナ粉末および炭素粉末は、平
均粒径が 1μm 以下のものを用いることが好ましい。平
均粒径が 1μm を超えると、低温での反応速度が低下し
て好ましくない。アルミナ粉末のより好ましい平均粒径
は 0.2μm 以下であり、また炭素粉末のより好ましい平
均粒径は 0.1μm 以下である。これらの平均粒径は、後
述する反応段階での中間生成物を比較的容易に得る上で
重要である。また、アルミナ粉末および炭素粉末の不純
物量は、金属元素量として 1重量%以下とする必要があ
り、特に好ましくは 0.2重量%以下である。
【0015】本発明の製造方法における出発原料は、上
記アルミナと炭素との混合粉末に、さらに希土類元素化
合物から選ばれた少なくとも1種の化合物粉末を添加、
混合したもの、あるいはアルミナとアルカリ土類元素お
よび希土類元素から選ばれた少なくとも1種の元素を含
む化合物との複合化合物(アルミネート)を添加、混合
したものである。そして、このような出発原料を所定の
容器に入れ、窒素を含む非酸化性雰囲気中にて1000℃〜
1500℃の範囲の温度で焼成し、さらに酸化雰囲気中で熱
処理して残留する炭素を酸化除去して、所望の窒化アル
ミニウム粉末を作製する。
【0016】ここで、上記アルカリ土類元素や希土類元
素を含む化合物は、アルミナの還元窒化以前にアルミナ
と反応してアルミネートを形成し、窒化アルミニウムの
低温での合成を促進する成分である。このような反応促
進効果を得るためには、アルミナとの反応性に優れるこ
とが必須要件となる。
【0017】そこで、本発明においては、用いるアルカ
リ土類元素や希土類元素を含む化合物のAl2 O 3 との共
融最低温度を以下に示すように規定することによって、
上記反応促進効果を再現性よく得ることを可能にしてい
る。
【0018】 (1) アルカリ土類金属化合物:1450℃以下 (2) アルカリ土類金属化合物+希土類元素化合物:145
0℃以下 (3) 希土類元素化合物:1780℃以下 Al2 O3 との共融最低温度が上記規定温度を超える化合
物では、Al2 O 3 -C-N2 系の還元窒化反応の触媒的作用
が十分に得られず、1500℃以下という低温で効率よく反
応させることができない。すなわち、上記したような条
件を満足する化合物を添加することによって、初めて15
00℃以下という低温での合成が可能となる。なお、希土
類元素化合物における上記規定温度を、アルカリ土類元
素を含む化合物より高く設定した理由については、反応
の機構は明らかではないが、焼結の助剤として用いられ
た際と同じように、この選択条件で好ましい結果が得ら
れる。
【0019】上記したような条件を満足する化合物とし
ては、 CaO(Al2 O 3 との共融最低温度:1390℃)、 B
aO(同1425℃)等のアルカリ土類元素の酸化物、 CaF2
(同1395℃)等のアルカリ土類元素の弗化物、 CaO-CaF
2 (同1200℃〜1400℃)、CaO-Fe2 O 3 (同1200℃)等
のアルカリ土類元素を含む複合化合物、 Y2 O 3 (同17
60℃)、Yb2 O 3 (同1750℃)、Eu2 O 3 (同1630
℃)、Gd2 O 3 (同1750℃)等の希土類元素の酸化物等
が例示される。これらの中でも、特にアルカリ土類元素
や希土類元素の弗化物は、より低温で活性なアルミネー
トを形成することから、本発明に好適である。これらア
ルカリ土類元素や希土類元素を含む化合物の粉末として
は、アルミナ粉末等と同様な理由から、平均粒径が 1μ
m 以下のものを用いることが好ましい。より好ましい平
均粒径は 0.8μm 以下である。また、その不純物量は、
金属元素量として 1重量%以下とする必要があり、特に
好ましくは 0.2重量%以下である。
【0020】本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法
においては、上述したように、添加した希土類元素を含
む化合物が、アルミナの還元窒化以前にアルミナと反応
してアルミネートを形成し、このアルミネート化合物が
炭素と窒素とによる還元窒化作用を受けるため、1500℃
以下という低温で、かつ速い速度で反応(AlNの合成反
応)を進行させることが可能となる。
【0021】また、本発明におけるアルカリ土類元素や
希土類元素を含む化合物は、窒化アルミニウムの合成反
応を促進する触媒的作用を果たすと共に、焼成後に窒化
アルミニウム粉末中にアルカリ土類元素や希土類元素の
酸化物あるいは複酸化物の形で残存させることも可能で
あり、焼結助剤として機能するものである。
【0022】本発明は上記したような添加化合物を用い
ることにより、1500℃以下という低温での合成を可能に
したものであるが、言い換えると、低温焼成を可能にし
たことによって、上記焼結助剤として機能する化合物を
窒化アルミニウム粉末中に十分に残存させることを可能
としている。本発明においては、上記化合物を添加した
金属元素量で50重量%以上も残存させることができる。
このような目的を考えた場合、焼成時の設定温度は極め
て重要であり、焼成温度が1500℃を超えると、添加した
化合物中のアルカリ土類元素や希土類元素が焼成時に蒸
発し、焼結助剤として必要な量の化合物を残存させるこ
とができなくなる。より好ましい焼成温度は1450℃以下
であり、さらに好ましくは1400℃未満である。
【0023】本発明における添加化合物は、アルミナ粉
末と炭素粉末との合計量 100重量部に対して 0.5〜15重
量部の範囲で添加するものとする。上記添加化合物は反
応促進剤の機能と焼結助剤の機能を合せ持つことから、
添加量が 0.5重量部未満では、合成促進効果が十分に得
られないと共に、得られる窒化アルミニウム粉末に十分
に易焼結性を付与することができない。また、15重量部
を超えて添加しても、それ以上の効果が得られないばか
りでなく、余分な量として残り、窒化アルミニウム粉末
の収率低下をも招くこととなる。より好ましい添加量
は、 3〜10重量部の範囲である。
【0024】本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法
においては、 aAl2 O 3 ・bMx X yで表されるアルミネ
ートを出発物質として用いることによっても、上記した
化合物を添加した場合と同様な効果を得ることができ
る。上記アルミネート中の MxXy としては、前述したア
ルミナとの共融最低温度条件を満足するアルカリ土類元
素や希土類元素を含む化合物と同様なものが用いられ、
またその具体例としては、前述した化合物とアルミナと
の複合化合物等が例示される。
【0025】上記アルミネートの添加量は、 Mx X y /
(Al2 O 3 +Mx X y )の値がモル比で10%以下となるよう
に設定する。上記モル比が 10%を超えると、前述した化
合物の場合と同様に、窒化アルミニウム粉末の収率低下
を招くこととなる。また、アルミネートの添加量があま
り少なくとも合成反応の促進効果が十分に得られないた
め、上記モル比は1%以上に設定することが好ましい。上
記アルミネートは平均粒径が 5μm 以下の粉末として用
いることが好ましい。
【0026】このようなアルミネートを含む出発原料を
用いることにより、1500℃以下という低温焼成で、より
一層効率よく反応させることができ、また Mx X y を金
属元素量で50重量%以上も残存させることができる。な
お、これら以外の条件は、前述したアルカリ土類元素や
希土類元素を含む化合物を添加する場合に準ずるものと
する。なお、この系に別途本発明で示す希土類元素やア
ルカリ土類元素の化合物を加えることも好ましい結果を
もたらす。
【0027】
【作用】例えば、アルカリ土類金属化合物の 1つである
弗化カルシウムを例として説明する。Al2 O 3 -C-CaF2
系を窒素ガス気流中で所定の条件下で焼成すると、Al2O
3 の還元窒化反応が進行する前に、Al2 O 3 と CaF2
反応して、例えば CaF2 ・ 5Al2 O 3 が生成する(Al2
O 3 +CaF2 =CaF2 ・ 5Al2 O 3 )。この CaF2・ 5Al2 O
3 は融点が1395℃であり、Al2 O 3 に比べて反応性に
富むため、1500℃以下という低温下においても還元窒化
反応が進行し( CaF2 ・ 5Al2 O 3 +C+N2 = AlN+Ca化合
物+CO)、効率よく窒化アルミニウム粉末が合成される。
【0028】また、1500℃以下という低温で焼成してい
るため、 CaF2 等の添加物は蒸発することなく循環反応
を繰り返し、最終的には酸化物や複酸化物の形で窒化ア
ルミニウム粉末中に残存する。この残存した酸化物や複
酸化物は、焼結助剤として機能するため、得られる窒化
アルミニウム粉末は新に焼結助剤を加えることなく、緻
密化焼結させることができる。さらに、低温焼成によっ
て効率よく窒化アルミニウムが合成されるため、結晶粒
の成長等を招くことなく、粒子形状や粒径が揃った窒化
アルミニウム粉末が得られる。また、得られる窒化アル
ミニウム粉末は、焼結性の高い球状となる。球状粉は、
焼結体作製時における充填率の向上が図れ、よって緻密
化焼結を容易にする。
【0029】アルミネートを使用した場合においても、
同様な作用が得られる。弗化カルシウムアルミネートを
例として説明すると、以下に示すような反応に基いて、
低温で窒化アルミニウム粉末を製造することが可能とな
る。
【0030】CaF2 ・ 5Al2 O 3 = AlN+Ca化合物+CO Al2 O 3 + Ca化合物 =(例えば) CaF2 ・ 5Al2 O 3
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0032】実施例1 平均粒径が 0.2μm のアルミナ粉末と、平均粒径が0.02
μm のカーボンブラックとを、Al2 O 3 /C(モル比)=0.
29の比率で配合したものを200g用意し、これに平均粒径
0.8μm の弗化カルシウム粉末を 3重量%(全粉末中)
となるように添加した。この CaF2 を配合した粉末をエ
タノールを分散媒としてボールミルで20時間混合した。
【0033】このようにして調製された混合粉末(出発
原料)をカーボン容器に入れ、窒素ガスを 500cc/minで
流通しつつ昇温して焼成した。焼成条件は、常温から10
00℃までの昇温速度を 500℃/hr 、1000℃から1350℃ま
でを 250℃/hr とし、1350℃で所定時間保持した。1350
℃による保持時間は、 1時間および 2時間でそれぞれ実
施した。さらに、これらを空気中、 700℃で 4時間熱処
理して、残留する炭素を酸化除去し、生成物を回収し
た。
【0034】このようにして得た反応生成物の AlNへの
変換率を求めたところ、 1時間の焼成で 45%、 2時間の
焼成では100%反応しており、1350℃という低温焼成で、
Al2O3 を効率よく AlNに変換できることを確認した。こ
の値は、弗化カルシウムを添加しない、平均粒径が 0.2
μm のアルミナ粉末と平均粒径が0.02μm のカーボンブ
ラックとをAl2 O 3 /C(モル比)=0.29の比率で配合した
もののみを用い、同一温度条件で焼成した場合(比較例
1)が、 2時間の焼成でわずか5%の反応率であったこと
からみて、添加化合物が極めて有効な反応促進効果を示
したことが分かる。
【0035】また、上記 1時間および 2時間の焼成条件
で得られた反応生成物の粉末形状測定および成分分析を
行った。それらの結果を、上記比較例1、比較例1と同
組成の出発原料を用いて1500℃× 2時間の条件で焼成し
た反応生成物(比較例2)、および実施例1と同組成の
出発原料を用いて1550℃× 2時間の条件で焼成した反応
生成物(比較例3)の測定結果と併せて表1に示す。
【0036】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1により得られた窒化
アルミニウム粉末中には添加物が残存していることが認
められるのに対し、1550℃で焼成した場合には添加した
Ca成分が蒸発してほとんど残らず、また結果として反応
も遅れて粒成長が進む等、いずれも焼結性の低下を招く
要因が重なっていた。また、アルカリ土類元素の化合物
等を添加せずに1500℃で焼成した窒化アルミニウム粉末
は、粒子形状から見て充填性に劣るものであった。
【0037】また、上記実施例1おいて、1350℃で30分
間保持した段階での反応物、および2時間保持した後の
反応生成物のそれぞれの状態を、走査型電子顕微鏡によ
って観察したところ、1350℃で30分間保持した段階でア
ルミネートの生成が認められ、また 2時間保持した後に
はアルミネートは認められず、ほぼ球状の窒化アルミニ
ウム粉末が粒径の揃った状態で生成されていた。
【0038】実施例2 平均粒径が 0.2μm のアルミナ粉末と、平均粒径が0.02
μm のカーボンブラックとを、Al2 O 3 /C(モル比)=0.
29の比率で配合したものを200g用意し、これに平均粒径
1.0μm の酸化イットリウム粉末を 3重量%(全粉末
中)となるように添加した。この Y2 O 3 を配合した粉
末をエタノールを分散媒としてボールミルで20時間混合
した。
【0039】このようにして調製された混合粉末(出発
原料)をカーボン容器に入れ、窒素ガスを 500cc/minで
流通しつつ昇温して焼成した。焼成条件は、常温から10
00℃までの昇温速度を 500℃/hr 、1000℃から1450℃ま
でを 250℃/hr とし、1450℃で所定時間保持した。1450
℃による保持時間は、 1時間および 2時間でそれぞれ実
施した。さらに、これらを空気中、 700℃で 4時間熱処
理して、残留する炭素を酸化除去し、生成物を回収し
た。
【0040】このようにして得た反応生成物の AlNへの
変換率を求めたところ、 1時間の焼成で 52%、 2時間の
焼成では100%反応していた。この値は、酸化イットリウ
ムを添加しない、平均粒径が 0.2μm のアルミナ粉末と
平均粒径が0.02μm のカーボンブラックとをAl2 O 3 /C
(モル比)=0.29の比率で配合したもののみを用い、同一
温度条件で焼成した場合(比較例4)が、 1時間の焼成
で 60%の反応率であったことからみて、添加化合物が極
めて有効な反応促進効果を示したことが分かる。また、
1時間および 2時間で焼成して得られた反応生成物につ
いて、成分分析を行ったところ、いずれも添加物が十分
残留していることが認められた。
【0041】実施例3〜12 上記実施例1および実施例2に準じて、表1に組成を示
す出発原料および焼成条件で、それぞれ窒化アルミニウ
ム粉末を作製した。これらについても、実施例1と同様
に特性を評価した。それらの結果を併せて表2に示す。
【0042】
【表2】 実施例13 平均粒径が 0.2μm のアルミナ粉末90重量部と、平均粒
径が 2μm の CaF2 ・5Al2 O 3 アルミネート粉末10重
量部とを混合したものを用意し、この混合粉末にさらに
平均粒径が0.02μm のカーボンブラックを、Al2 O 3 /C
(モル比)=0.29の比率となるように配合した。このアル
ミネート粉末を配合した粉末(全量200g)をエタノール
を分散媒としてボールミルで20時間混合した。
【0043】このようにして調製された混合粉末(出発
原料)をカーボン容器に入れ、窒素ガスを 500cc/minで
流通しつつ昇温して焼成した。焼成条件は、常温から10
00℃までの昇温速度を 500℃/hr 、1000℃から1400℃ま
でを 250℃/hr とし、1400℃で所定時間保持した。1400
℃による保持時間は、 1時間および 2時間でそれぞれ実
施した。さらに、これらを空気中、 700℃で 4時間熱処
理して、残留する炭素を酸化除去し、生成物を回収し
た。
【0044】このようにして得た反応生成物の AlNへの
変換率を求めたところ、 1時間焼成および 2時間焼成の
いずれも100%反応していた。この値は、アルミネートを
添加しない、平均粒径が 0.2μm のアルミナ粉末と平均
粒径が0.02μm のカーボンブラックとをAl2 O 3 /C(モ
ル比)=0.29の比率で配合したもののみを用い、同一温度
条件で焼成した場合(比較例5)が、 2時間の焼成でわ
ずか 28%の反応率であったことからみて、添加化合物が
極めて有効な反応促進効果を示したことが分かる。ま
た、 1時間および 2時間で焼成して得られた反応生成物
について、成分分析を行ったところ、いずれも添加物が
残留していることが認められた。
【0045】実施例14〜16 上記実施例13に準じて、表3に組成を示す出発原料お
よび焼成条件で、それぞれ窒化アルミニウム粉末を作製
した。これらについても、実施例13と同様に特性を評
価した。それらの結果を併せて表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の窒化アル
ミニウム粉末の製造方法によれば、窒化アルミニウムの
低温合成が可能となるため、合成時に添加したアルカリ
土類元素や希土類元素の揮散を極力防止でき、よって焼
結助剤成分の残存も可能となる。また、粒成長等が抑制
されるため、粒子形状や粒径の制御性が向上し、特に充
填率が高く、信頼性に優れた球形もしくはそれ近似した
形状の窒化アルミニウム粉末を安定して得ることが可能
となる。さらに、低温焼成による窒化アルミニウムの合
成は、経済性の向上にも寄与する。このように、本発明
によれば、無添加焼結が可能な易焼結性の窒化アルミニ
ウム粉末を経済的にかつ再現性よく得ることが可能とな
る。
【0048】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−155209(JP,A) 特開 平2−160610(JP,A) 特開 昭62−265106(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 21/072 C04B 35/581 C04B 35/626

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化アルミニウム粉末と、炭素粉末と
    土類元素化合物粉末との混合粉末を出発原料とする、
    Al2O3-C-N2系の還元窒化反応に基づく窒化アルミニウム
    粉末の製造方法において、 前記希土類元素化合物粉末として、Al2O3との共融最低
    温度1780℃以下のY 2 O 3 、Yb 2 O 3 、Eu 2 O 3 およびGd 2 O 3
    ら選ばれる少なくとも1種を用いると共に、この希土類
    元素化合物粉末を前記酸化アルミニウム粉末と炭素粉末
    との合計量100重量部に対して0.5〜15重量部の範囲で添
    加して前記出発原料を調製し、この出発原料を窒素を含
    む非酸化性雰囲気中にて1000℃〜1500℃の範囲の温度で
    焼成すると共に、この焼成過程で中間生成物として前記
    希土類元素化合物のアルミネートを合成し、このアルミ
    ネートから窒化アルミニウムを生成すること特徴とする
    窒化アルミニウム粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の窒化アルミニウム粉末の
    製造方法において、 前記酸化アルミニウム粉末と炭素粉末とを、モル比でAl
    2O3/Cの値が0.25〜0.33の範囲となるように混合するこ
    と特徴とする窒化アルミニウム粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 酸化アルミニウム粉末と、炭素粉末と、
    aAl2O3・bMxXy ただし、Mはアルカリ土類元素および希
    土類元素から選ばれた少なくとも1種の元素を、MxXyはA
    l2O3との共融最低温度が、Mとしてアルカリ土類元素を
    含む化合物であれば1450℃以下、Mとして希土類元素を
    含む化合物であれば1780℃以下である化合物を示し、
    a、b、xおよびyは自然数を示す)で表されるアルミネー
    ト粉末との混合粉末を出発原料とし、この出発原料を窒
    素を含む非酸化性雰囲気中にて1000℃〜1500℃の範囲の
    温度で焼成することを特徴とする窒化アルミニウム粉末
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項記載の窒化アルミニウム粉末の
    製造方法において、 前記酸化アルミニウム(Al2O3 前記aAl2O3・bMxXy
    表されるアルミネートとを、モル比でMxXy/(Al2O3+M
    xXy)の値が10%以下となるように混合すること特徴と
    する窒化アルミニウム粉末の製造方法。
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