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JP3267862B2 - ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒およびそれを用いた排ガス浄化方法 - Google Patents

ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒およびそれを用いた排ガス浄化方法

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Publication number
JP3267862B2
JP3267862B2 JP12516196A JP12516196A JP3267862B2 JP 3267862 B2 JP3267862 B2 JP 3267862B2 JP 12516196 A JP12516196 A JP 12516196A JP 12516196 A JP12516196 A JP 12516196A JP 3267862 B2 JP3267862 B2 JP 3267862B2
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JP
Japan
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exhaust gas
diesel engine
catalyst
weight
gas purifying
Prior art date
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Application number
JP12516196A
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真 川並
真 堀内
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ICT Co Ltd
International Catalyst Technology Inc
Original Assignee
ICT Co Ltd
International Catalyst Technology Inc
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Publication date
Application filed by ICT Co Ltd, International Catalyst Technology Inc filed Critical ICT Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジ
ン排ガス中に含まれる有害成分の内、特にNOX(窒素
酸化物)を低温から分解低減すると同時に、炭素系微粒
子、未燃炭化水素、および一酸化炭素を燃焼除去しうる
ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒およびそれを用いた
排ガス浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大気中のNOX は、光化学スモッグや酸
性雨の原因となる。そのため、NOX発生源のひとつで
あるガソリン車やディーゼル車等の移動発生源からのN
X の排出量が社会的な問題となっており、今後、NO
X の排出量を抑制するため、上記NOX の排出量に関す
る法規制を厳しくする方向で検討が進められている。そ
こで、近年、NOX の排出量を抑制できる排ガス浄化触
媒の開発が進められている。
【0003】従来、ガソリンエンジンの排ガスを浄化す
る排ガス浄化触媒としては、NOX、未燃炭化水素、お
よび一酸化炭素を同時に低減しうる触媒、いわゆる三元
触媒が知られている。上記三元触媒は、通常のガソリン
エンジンに用いた場合には、排ガス中に酸素がほとんど
残留していないことから、還元剤となる未燃焼の炭化水
素や一酸化炭素によってNOX を効率良く還元してNO
X を低減できるものとなっている。
【0004】しかしながら、ディーゼルエンジンの排ガ
スは、そのエンジン特性から酸素が大幅に過剰な組成を
有し、また、還元剤となる炭化水素や一酸化炭素等の含
有量が、NOX の含有量と比較して化学量論的に少ない
ものである。このため、通常の三元触媒は、ディーゼル
エンジンの排ガスの処理に用いられた場合には上記排ガ
スのNOX をほとんど低減できないものとなっている。
【0005】さらに、ディーゼルエンジンの排ガスは、
カーボン、可溶性有機物質(SOF:Soluble Organic
Fraciton)、硫酸塩等からなる微粒子物質の排出量が多
く、法規制の対象となっている。このため、ディーゼル
エンジンの排ガスに対し、浄化処理を行う場合には、上
記排ガスから微粒子物質を低減することも必要である
が、通常の三元触媒を上記排ガスに対し用いた場合、上
記排ガスから微粒子物質をほとんど低減できない。
【0006】近年、ディーゼルエンジンの排ガスのよう
な酸素を多く含む排ガス中のNOXを除去するのに有効
な排ガス浄化触媒として、例えば特開昭63−100919号公
報に記載されているような、銅をゼオライト等の多孔質
担体に担持させてなる触媒が提案されている。
【0007】しかしながら、上記触媒は、耐熱性に劣
り、また、排ガス中のSO2 等の硫黄酸化物によってN
X 浄化能が経時的に劣化、すなわち被毒され易く、そ
の上、NOX 浄化が可能な温度領域が高いという問題点
を有している。
【0008】また、特開平5-137963号公報には、白金を
主成分として含有する排ガス浄化触媒が開示されてい
る。上記触媒は、排ガス中のSO2 を酸化する活性が高
いため、SO2 の酸化によって多量の硫酸塩類を生成
し、排ガス中の硫酸塩類の含有量を増加させるものであ
る。
【0009】このため、上記触媒では、容易に吸湿して
粘性物質となる硫酸塩類が微粒子物質に付着し、排ガス
中の微粒子物質の量を増加させてしまうという問題が生
じている。特に、ガソリンエンジンと比較して微粒子物
質を多く含むディーゼルエンジンの排ガスの場合には、
微粒子物質の排出量を法定基準以下に低く抑える必要が
あるため、より大きな問題となる。
【0010】さらに、特開平4-219149号公報には、特定
のゼオライトに、コバルトと、および希土類金属と、並
びに白金および/またはマンガンを含む排ガス浄化触媒
が開示されている。
【0011】しかしながら、上記公報に記載の白金含有
触媒は、排ガス中のSO2 を酸化する活性が高いため、
ディーゼルエンジンの排ガスの処理に用いられると、S
2の酸化によって硫酸塩類の生成を増加させるため、
排ガス中の微粒子物質の量を前述と同様に増加させてし
まうという問題を有している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、ディー
ゼルエンジンの排ガスのような、酸素を多く含む排ガス
中のNOX を、排ガスが低温のときから効率的に除去で
きると共に、SO2 の酸化を抑制して微粒子物質の発生
を軽減することができ、かつ、微粒子物質、未燃炭化水
素および一酸化炭素を燃焼除去し得るディーゼルエンジ
ン排ガス浄化触媒およびそれを用いた排ガス浄化方法を
提供することにある。
【0013】本発明の他の目的は、低温でのNOX 分解
能が高く、かつ、耐久性に優れたディーゼルエンジン排
ガス浄化触媒を提供することにある。
【0014】本発明のさらに他の目的は、種々の排ガス
温度に対応し得るディーゼルエンジン排ガス浄化触媒を
提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記目
的を達成すべく、排ガス浄化触媒について鋭意検討した
結果、白金、ルテニウム、ロジウム、およびパラジウム
からなる群から選択された少なくとも一種の元素(以
下、白金等と略す)と、プラセオジムと、イットリウム
とを含む触媒成分を有するディーゼルエンジン排ガス浄
化触媒が、上記従来の排ガス浄化触媒が備えていない優
れた性能を備えていることを見い出し、本発明を完成す
るに至った。
【0016】即ち、本発明の請求項1に記載のディーゼ
ルエンジン排ガス浄化触媒は、上記の課題を解決するた
めに、白金等と、プラセオジムと、イットリウムとを含
む触媒成分を有することを特徴としている。
【0017】本発明の請求項2に記載のディーゼルエン
ジン排ガス浄化触媒は、上記の課題を解決するために、
請求項1に記載のディーゼルエンジン排ガス浄化触媒に
おいて、触媒成分に対し、さらに、コバルトおよびイリ
ジウムの少なくとも一方の元素が添加されていることを
特徴としている。
【0018】本発明の請求項3に記載のディーゼルエン
ジン排ガス浄化触媒は、上記の課題を解決するために、
請求項1または2に記載のディーゼルエンジン排ガス浄
化触媒において、触媒成分は、ジルコニアおよびゼオラ
イトの少なくとも一方からなる無機酸化物に担持されて
いることを特徴としている。
【0019】本発明の請求項4に記載のディーゼルエン
ジン排ガス浄化触媒は、上記の課題を解決するために、
請求項3に記載のディーゼルエンジン排ガス浄化触媒に
おいて、ジルコニアとゼオライトとの重量比は、ジルコ
ニア1重量部に対し、ゼオライトが0.1〜2重量部と
なるように設定されていることを特徴としている。
【0020】上記構成によれば、ディーゼルエンジン排
ガス浄化触媒は、酸素を多く含む排ガス中のNOX を、
上記排ガスが、例えば100〜500℃、特に150〜
400℃といった低温においても効率的に還元して分解
・除去することができる。
【0021】また、上記構成は、排ガス中の未燃炭化水
素や一酸化水素等の有害成分を燃焼させて除去できるだ
けでなく、微粒子物質も燃焼によって除去することが可
能となる。しかも、排ガス中のSO2 の酸化反応を抑制
することができるので、SO2 の酸化による硫酸塩の生
成量を低減できて、微粒子物質の発生の増加を回避でき
るようになっている。
【0022】これにより、上記構成は、酸素を多く含む
排ガス中のNOX を、特に排ガスの温度が低温において
も効率的に除去することができ、かつ、排ガス温度が広
い温度領域において排ガス中の微粒子物質の排出量を低
減することができる。
【0023】また、請求項5に記載の発明の排ガス浄化
方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし
4のいずれか1項に記載のディーゼルエンジン排ガス浄
化触媒を用い、上記ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒
に対し、排ガス中の炭化水素と窒素酸化物とのモル比
(炭化水素/窒素酸化物)が0.5〜20である排ガス
を接触させることを特徴としている。
【0024】上記方法によれば、排ガス中のNOX を効
率的に除去することができ、かつ、排ガス中のSO2
酸化を抑制できて広い温度領域下における排ガス中の微
粒子物質の量を低減することができる。
【0025】以下に本発明をさらに詳しく説明する。本
発明にかかるディーゼルエンジン排ガス浄化触媒は、白
金等と、プラセオジムと、イットリウムとを少なくとも
含む触媒成分を有している。なお、上記の白金等におい
ては、特に、白金を用いることが好ましい。
【0026】ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒に含ま
れる、白金等と、プラセオジムと、イットリウムとにお
ける相互間の重量比は、白金等1重量部に対し、プラセ
オジムが0.5〜20重量部、イットリウムが0.5〜
20重量部となるようにそれぞれ設定されていることが
好ましく、さらに好ましくは白金等1重量部に対し、プ
ラセオジムが1〜10重量部、イットリウムが1〜10
重量部である。
【0027】白金等に対するプラセオジムの重量比が、
白金等1重量部に対してプラセオジムが0.5重量部未
満となるような場合には、SO2 の酸化活性が大きくな
り、排ガス中の微粒子物質の量を抑制する効果が低下す
るので、好ましくない。
【0028】一方、白金等に対するプラセオジムの重量
比が、白金等1重量部に対してプラセオジムが20重量
部を超えるような場合には、もはや担持量の増量に見合
うだけのSO2 の酸化活性を抑制する効果の向上が観察
されず、経済的に不利であるばかりか、NOX 分解活性
が低下するので、好ましくない。
【0029】また、ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒
に含まれる白金等とイットリウムとの間の重量比は、白
金等1重量部に対し、イットリウムが0.5〜20重量
部となるように設定されているのが好ましく、さらに好
ましくは白金等1重量部に対し、イットリウムが1〜1
0重量部である。
【0030】白金等に対するイットリウムの重量比が、
白金等1重量部に対してイットリウムが0.5重量部未
満となるような場合には、NOX 分解活性が低下するの
で、好ましくない。
【0031】一方、白金等に対するイットリウムの重量
比が、白金等1重量部に対してイットリウムが20重量
部を超えるような場合には、もはや担持量の増量に見合
うだけのNOX 分解活性の向上が見られず、経済的に不
利であるばかりか、SO2 の酸化活性が高くなり、SO
2 の酸化による硫酸塩類の生成によって排ガス中の微粒
子物質の生成量が増加するので、好ましくない。
【0032】ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒が有す
る触媒成分は、白金等、プラセオジム、およびイットリ
ウムを含むとともに、さらに、コバルトおよびイリジウ
ムの少なくとも一方の元素を含んでいてもよい。
【0033】上記ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒
は、通常、上記触媒成分以外に、ジルコニア等の多孔質
な耐火性無機酸化物を備えており、上記触媒成分を耐火
性無機酸化物に対する担持により有している。すなわ
ち、触媒成分は耐火性無機酸化物中に分散された状態と
なっている。
【0034】また、上記ディーゼルエンジン排ガス浄化
触媒は、さらに、触媒成分を、耐火性無機酸化物ととも
に担持するための耐火性担体を備えている。これによ
り、触媒成分は、耐火性無機酸化物中に分散された状態
で耐火性担体に担持されていることにより、排ガスと効
率的に接触できるようになっている。
【0035】白金等を耐火性担体に担持させるのに使用
する白金等の化合物としては、硝酸白金、塩化白金塩、
テトラアンミンジクロロ白金塩等の水溶性の白金等化合
物が挙げられる。上記例示のうち、硝酸白金が、特に好
適に使用可能である。
【0036】耐火性担体に対する白金等の担持量は、白
金に換算して耐火性担体1リットル当たり0.1〜8g
の範囲内であるのが好ましく、0.5〜6gの範囲内で
あるのがさらに好ましい。
【0037】白金等の担持量が0.1g未満である場合
には、NOX 分解活性が低下するので、好ましくない。
一方、白金等の担持量が8gを超えると、もはや担持量
の増量に見合うだけのNOX 分解活性の向上が見られ
ず、経済的に不利である。そればかりか、白金等の担持
量が8gを超えると、SO2 の酸化活性が高くなり、排
ガス中においてSO2 の酸化による硫酸塩類の生成が促
進されることから、排ガス中の微粒子物質の生成量が増
加するので、好ましくない。
【0038】プラセオジムを耐火性担体に担持させるの
に使用するプラセオジム化合物としては、硝酸プラセオ
ジム、フッ化プラセオジム等のプラセオジムの無機塩;
酢酸プラセオジム、シュウ酸プラセオジム等のプラセオ
ジムの有機塩;酸化プラセオジム等が挙げられる。上記
例示のうち、具体的には、硝酸プラセオジム、フッ化プ
ラセオジム、酢酸プラセオジムが、特に好適に使用可能
である。
【0039】耐火性担体に対するプラセオジムの担持量
は、酸化プラセオジムに換算して耐火性担体1リットル
当たり1〜20gの範囲内であるのが好ましく、1〜1
0gの範囲内であるのがさらに好ましい。
【0040】プラセオジムの担持量が1g未満である場
合には、SO2 の酸化活性を抑制する効果が低下するの
で、好ましくない。一方、プラセオジムの担持量が20
gを超えると、もはや担持量の増量に見合うだけのSO
2 の酸化活性を抑制する効果の向上が見られず、経済的
に不利である。そればかりか、プラセオジムの担持量が
20gを超えると、NOX 分解活性が低下するので、好
ましくない。
【0041】イットリウムを耐火性担体に担持させるの
に使用するイットリウム化合物としては、硝酸イットリ
ウム、炭酸イットリウム、塩化イットリウム、フッ化イ
ットリウム等の無機塩;酢酸イットリウム、シュウ酸イ
ットリウム等の有機塩;酸化イットリウム等が挙げられ
る。上記例示のうち、具体的には、硝酸イットリウム、
フッ化イットリウム、酢酸イットリウム、炭酸イットリ
ウムが、特に好適に使用可能である。
【0042】耐火性担体に対するイットリウムの担持量
は、酸化イットリウムに換算して耐火性担体1リットル
当たり1〜20gの範囲内であるのが好ましく、1〜1
0gの範囲内であるのがさらに好ましい。
【0043】イットリウムの担持量が1g未満である場
合には、NOX 分解活性が低下するので、好ましくな
い。一方、イットリウムの担持量が20gを超えると、
もはや担持量の増量に見合うだけのNOX 分解活性の向
上が見られず、経済的に不利である。そればかりか、イ
ットリウムの担持量が20gを超えると、SO2 の酸化
活性が高くなり、SO2 の酸化による硫酸塩類の生成に
よって、排ガス中の微粒子物質の量が増加するので、好
ましくない。
【0044】コバルトを耐火性担体に担持させるのに使
用する金属化合物(以下、他の金属化合物と称する)と
しては、コバルトの硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩、
塩化物、フッ化物等の無機塩;酢酸塩、シュウ酸塩、ク
エン酸塩等の有機塩;酸化物等が挙げられる。他の金属
化合物としては、具体的には、硝酸コバルト、塩化コバ
ルト、酢酸コバルト等を使用することができる。
【0045】耐火性担体に対するコバルトの担持量は、
酸化物に換算して耐火性担体1リットル当たり1〜20
gの範囲内であるのが好ましく、1〜10gの範囲内で
あるのがさらに好ましい。
【0046】コバルトの担持量が1g未満である場合に
は、NOX 分解活性の向上が見られないので、好ましく
ない。一方、コバルトの担持量が20gを超えると、も
はや担持量の増量に見合うだけのNOX 分解活性の向上
が見られず、経済的に不利である。そればかりか、コバ
ルトの担持量が20gを超えると、SO2 の酸化活性が
高くなり、SO2 の酸化による硫酸塩類の生成によっ
て、排ガス中の微粒子物質の量が増加するので、好まし
くない。
【0047】イリジウムを耐火性担体に担持させるのに
使用する金属化合物(以下、他の金属化合物と称する)
としては、イリジウムの硝酸塩などの水溶性のイリジウ
ム化合物を使用することができる。
【0048】耐火性担体に対するイリジウムの担持量
は、耐火性担体1リットル当たり0.5〜10gの範囲
内であるのが好ましく、1〜8gの範囲内であるのがさ
らに好ましい。
【0049】イリジウムの担持量が0.5g未満である
場合には、NOX 分解活性の向上が見られないので、好
ましくない。一方、イリジウムの担持量が10gを超え
ると、もはや担持量の増量に見合うだけのNOX 分解活
性の向上が見られず、経済的に不利である。そればかり
か、イリジウムの担持量が10gを超えると、SO2
酸化活性が高くなり、SO2 の酸化による硫酸塩類の生
成によって、排ガス中の微粒子物質の量が増加するの
で、好ましくない。
【0050】触媒成分を分散させて保持するための耐火
性無機酸化物としては、γ−アルミナ、δ−アルミナ、
η−アルミナ、θ−アルミナ等の活性アルミナ、α−ア
ルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、ガリア、ゼオ
ライト;これらの複合酸化物、即ち例えばシリカ−アル
ミナ、アルミナ−チタニア、アルミナ−ジルコニア、チ
タニア−ジルコニア等が挙げられる。これらは、一種類
のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して
用いてもよい。
【0051】また、ディーゼルエンジンの排ガスに適用
する際には、上記例示の酸化物のうち、硫黄酸化物に対
して優れた耐久性を示すジルコニア、または、ジルコニ
アとゼオライトとの混合物が、特に好ましい。上記混合
物における配合比は、重量比において、ジルコニア1重
量部に対しゼオライト0.1重量部〜2重量部が望まし
い。
【0052】上記耐火性無機酸化物の形状は、特に限定
されないが、粉末状であるのが好ましい。また、上記耐
火性無機酸化物のBrunauer-Emmett-Teller表面積(以
下、BET表面積と記す)は、好ましくは5〜400m2
/g、より好ましくは10〜300m2/gである。上記耐火
性無機酸化物の平均粒径は、好ましくは0.1〜150
μm、より好ましくは0.2〜100μmである。
【0053】上記耐火性無機酸化物の使用量は、耐火性
担体1リットル当たり、50〜250gの範囲内である
のが好ましい。耐火性無機酸化物の使用量が、耐火性担
体1リットル当たり50g未満である場合には、十分な
触媒性能が得られなくなるので好ましくない。また、耐
火性無機酸化物の使用量が、耐火性担体1リットル当た
り250gを超える場合には、使用量に見合った触媒性
能の向上が得られないので、好ましくない。
【0054】触媒成分を担持させる耐火性担体として
は、ペレット状、モノリス担体等が挙げられるが、モノ
リス担体がより好ましい。モノリス担体としては、オー
プンフロータイプのセラミックハニカム担体、オープン
フロータイプのメタルハニカム担体;ウォールフロータ
イプのハニカムモノリス担体;セラミックフォーム、金
属発泡体;メタルメッシュ等が挙げられる。これらのう
ち、オープンフロータイプのセラミックハニカム担体、
オープンフロータイプのメタルハニカム担体が特に好適
に使用される。
【0055】上記セラミックハニカム担体の材質として
は、コージライト、ムライト、α−アルミナ、ジルコニ
ア、チタニア、燐酸チタン、アルミニウムチタネート、
ペタライト、スポジュメン、アルミノシリケート、マグ
ネシウムシリケートが好ましい。これらの材質のセラミ
ックハニカム担体のうちでも、コージライトが特に好ま
しい。一方、メタルハニカム担体としては、ステンレス
鋼、Fe−Cr−Al合金等の抗酸化性および耐熱性を
有する金属からなる担体が特に好適に使用される。
【0056】これらのモノリス担体は、押出成形法やシ
ート状材料を巻き固める方法等で製造される。モノリス
担体のセル(ガス通過口)の形状は、特に限定されず、
6角形、4角形、3角形、コルゲーション形等のいずれ
であってもよい。また、モノリス担体のセル密度(単位
断面積当たりのセルの数)は、150〜600セル/平
方インチの範囲内であれば使用可能であり、好ましくは
200〜500セル/平方インチである。
【0057】本発明にかかるディーゼルエンジン排ガス
浄化触媒の製造方法は、特に限定されないが、例えば、
(1)耐火性担体上に耐火性無機酸化物を担持させた
後、さらに触媒成分を担持させる方法、または、(2)
耐火性無機酸化物と触媒成分との混合物を耐火性担体上
に担持させる方法によって製造することができる。
【0058】具体的には、上記(1)の製造方法では、
まず粉末状の耐火性無機酸化物を湿式粉砕してスラリー
とする。そして、得られたスラリーに耐火性担体を浸漬
し、余分なスラリーを除去した後、乾燥、焼成する。こ
れにより、耐火性無機酸化物を担持した耐火性担体が得
られる。
【0059】上記乾燥温度は、好ましくは80〜250
℃、より好ましくは100〜150℃である。また、上
記焼成温度は、好ましくは300〜850℃、より好ま
しくは400〜700℃である。さらに、上記焼成時間
は、好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは1〜2
時間である。
【0060】次に、(1)の製造方法では、上記の耐火
性無機酸化物を担持した耐火性担体を、所定量の触媒成
分を含有する溶液に浸漬し、余分な溶液を除去した後、
乾燥、焼成する。これにより、触媒成分は、耐火性担体
上に担持された耐火性無機酸化物中に含まれるように、
耐火性担体上に担持され、本発明にかかる排ガス浄化触
媒が得られる。
【0061】上記乾燥温度は、好ましくは80〜250
℃、より好ましくは100〜150℃である。また、上
記焼成温度は、好ましくは300〜850℃、より好ま
しくは400〜700℃である。さらに、上記焼成時間
は、好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは1〜2
時間である。
【0062】一方、上記(2)の製造方法では、まず所
定量の触媒成分を含有する溶液中に耐火性無機酸化物を
投入して、触媒成分を耐火性無機酸化物に含浸させた
後、乾燥、焼成する。これにより、触媒成分が耐火性無
機酸化物に含まれてなる混合物が得られる。
【0063】上記乾燥温度は、好ましくは80〜250
℃、より好ましくは100〜150℃である。また、上
記焼成温度は、好ましくは300〜850℃、より好ま
しくは400〜700℃である。さらに、上記焼成時間
は、好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは1〜2
時間である。
【0064】次に、(2)の製造方法では、粉末状の混
合物を湿式粉砕してスラリーとする。そして、得られた
スラリーに耐火性担体を浸漬し、余分なスラリーを除去
した後、乾燥、焼成する。これにより、上記混合物が耐
火性担体上に担持され、本発明にかかる排ガス浄化触媒
が得られる。
【0065】上記乾燥温度は、好ましくは80〜250
℃、より好ましくは100〜150℃である。また、上
記焼成温度は、好ましくは300〜850℃、より好ま
しくは400〜700℃である。さらに、上記焼成時間
は、好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは1〜2
時間である。
【0066】本発明にかかるディーゼルエンジン排ガス
浄化触媒は、多様な炭化水素量(メタン換算のモル数)
/NOX 量(モル数)比(以下、HC/NOX 比と記
す)の排ガスを接触させて浄化することができる。具体
的には、ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒は、HC/
NOX 比が0.5〜20の排ガスを好適に浄化すること
ができ、HC/NOX 比が1〜10の排ガスをさらに好
適に浄化することができる。HC/NOX 比が上記の範
囲内の排ガスを、排ガス浄化触媒に接触させて浄化する
ことにより、NOX を十分に分解・除去することがで
き、かつ炭化水素をほぼ完全に燃焼して除去することが
できる。
【0067】また、本発明にかかるディーゼルエンジン
排ガス浄化触媒は、HC/NOX 比が0.5〜20の排
ガスのうちでも、特に微粒子物質の排出量が多いディー
ゼルエンジンの排ガスを好適に浄化することができる。
ディーゼルエンジンの排ガスをディーゼルエンジン排ガ
ス浄化触媒に接触させて浄化することにより、NOX
十分に分解することができ、かつ炭化水素をほぼ完全に
燃焼することができ、しかも、SO2 から酸化による硫
酸塩の生成を抑制して、上記硫酸塩の増加による微粒子
物質の排出量の増加を低減することができる。
【0068】なお、HC/NOX 比が低い場合、NOX
の還元剤として作用する炭化水素の量が少ないので、そ
のままではNOX の還元によるNOX の分解が不充分と
なることがある。そこで、このような場合には、ディー
ゼルエンジン排ガス浄化触媒に接触させる前に、排ガス
中に還元剤を注入して、接触時のHC/NOX 比を適切
な値に調節すればよい。上記還元剤を注入する際の排ガ
スの温度は、100〜500℃が好ましく、150〜4
00℃がより好ましい。
【0069】排ガス中に供給する還元剤は、特に限定さ
れないが、例えば、水素、飽和炭化水素、脂肪族不飽和
炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール等が挙げられ
る。
【0070】上記飽和炭化水素としては、例えば、メタ
ン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、
ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭素数1〜2
0のアルカン;シクロヘキサン等のシクロアルカン等が
挙げられる。なお、アルカンは、直鎖状であってもよ
く、分岐状であってもよい。
【0071】上記脂肪族不飽和炭化水素としては、例え
ば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジ
エン、ペンテン、ペンタジエン、ヘキサン、ヘキサジエ
ン、ヘプテン、ヘプタジエン、ヘプタトリエン、オクテ
ン、オクタジエン、オクタトリエン等の炭素数1〜20
のアルケン等が挙げられる。なお、上記のアルケンは、
直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。上記芳
香族不飽和炭化水素としては、例えばベンゼン、トルエ
ン、キシレン、トリメチルベンゼン等が挙げられる。
【0072】上記アルコールとしては、例えば、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタ
ノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、
ノナノール、デカノール等の炭素数1〜20のアルコー
ルが挙げられる。なお、アルコールは、直鎖状であって
もよく、分岐状であってもよい。
【0073】上記還元剤は、常温において液体または気
体である化合物が、排ガスへの供給が容易であるので好
ましい。また、内燃機関には、軽油、天然ガス、LPG
(液化プロパンガス)、ガソリン、メタノール等の燃料
が収容された燃料タンクが搭載されているので、これら
の燃料を還元剤として排ガスに供給すれば、還元剤を収
容する容器を新たに設ける必要がないので、経済的に有
利である。還元剤の注入方法としては、特に限定される
ものではないが、例えば単管を用いて注入する方法や空
気とともに噴霧する方法が、好適に用いられる。
【0074】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。本発明のディーゼルエンジン排
ガス浄化触媒の排ガス浄化性能は、以下に示す試験方法
を実施することにより評価した。
【0075】この試験方法においては、内燃機関として
過給直噴式ディーゼルエンジン(4気筒、2800c
c)を用い、内燃機関の燃料として硫黄含有量が0.0
5重量%である軽油を用いた。
【0076】まず、試験する各排ガス浄化触媒を、上記
ディーゼルエンジンに接続された排ガス管内に取り付
け、エンジン回転数2500rpm全負荷、排ガス浄化
触媒の上流側の端部の温度(以下、触媒入口温度と称す
る)700℃の条件下で、100時間、排ガスをそれぞ
れ流通させた。
【0077】次に、トルクを設定して、エンジン回転数
2000rpm、触媒入口温度300℃となるように排
ガスを流通させた。なお、NOX の還元剤となる軽油
を、排ガス中のHC/NOX 比が5となるように、ディ
ーゼルエンジン排ガス浄化触媒より上流側の位置で排ガ
ス管に注入した。
【0078】触媒入口温度が300℃で十分安定した
後、軽油が添加される前の排ガス中のNOX 、炭化水
素、一酸化炭素、SO2 の濃度(モル)を連続式ガス分
析計によって測定した。すなわち、NOX は化学発光分
析計(CLD)で、炭化水素は水素炎イオン化分析計
(FID)で、一酸化炭素およびSO2 は非分散形赤外
線分析計(NDIR)で、それぞれ測定を行った。その
結果、軽油が添加される前の排ガスの組成は、NOX
90 ppm、炭化水素70 ppm、一酸化炭素230 ppm、
SO2 9 ppmであった。
【0079】また、軽油が添加される前の排ガスを所定
量サンプリングし、希釈トンネルに導入して空気で希釈
した後、市販のパティキュレートフィルタに通して、排
ガス中の微粒子物質を捕捉した。微粒子物質を捕捉した
後のパティキュレートフィルタの重量を測定し、その重
量の増加分と、サンプリングした排ガスの体積と、空気
による希釈比とから、排ガス中の微粒子物質の含有量を
求めた。なお、空気による希釈比は、排ガス中の二酸化
炭素の濃度を測定することによって求めた。
【0080】さらに、微粒子物質を捕捉した後のパティ
キュレートフィルタをジクロロメタンで抽出し、パティ
キュレートフィルタの重量の減少分を測定することによ
って、排ガス中のSOFの含有量を求めた。
【0081】また、上記各試験方法と同様にして、排ガ
ス浄化触媒と接触した後の排ガス中のNOX 、炭化水
素、一酸化炭素、SO2 、微粒子物質、およびSOF
(以下、これらを各排ガス成分と称する)の含有量につ
いても測定した。
【0082】このようにして得られた、還元剤としての
軽油が添加される前の各排ガス成分の含有量と、軽油が
添加された後における各排ガス浄化触媒と接触後の含有
量とを元にして、各排ガス成分の浄化率(転化率)、即
ち、NOX 浄化率、微粒子物質浄化率、SO2 転化率、
SOF浄化率、炭化水素浄化率、一酸化炭素浄化率を求
めた。軽油が添加される前の含有量をX0(モル)、軽油
が添加された後の排ガス浄化触媒と接触後の排ガス成分
の含有量をX1(モル)とすれば、 浄化率(転化率)(%)=(X0 −X1)/X0 ×100 となる。それらの結果を表2に合わせて示した。
【0083】また、触媒入口温度200℃および触媒入
口温度250℃においても、同様にして各排ガス成分の
含有量を測定し、各排ガス成分の浄化率(転化率)を求
めた。それらの結果を表2に合わせて示した。
【0084】なお、触媒入口温度200℃における軽油
が添加される前の排ガスの組成は、NOX 210 ppm、
炭化水素100 ppm、一酸化炭素260 ppm、SO2
ppmであった。また、触媒入口温度250℃における軽
油が添加される前の排ガスの組成は、NOX 250 pp
m、炭化水素90 ppm、一酸化炭素250 ppm、SO2
ppmであった。
【0085】〔実施例1〕耐火性無機酸化物としてのB
ET表面積110m2/gのジルコニア粉末3000gを、
白金40gを含有する硝酸白金、硝酸プラセオジム25
8g、硝酸イットリウム337g、および硝酸コバルト
410gを含有する水溶液中に投入し、十分混合した
後、150℃で2時間乾燥し、さらに500℃で1時間
焼成して触媒成分を分散担持したジルコニア粉末を得
た。
【0086】次に、得られたジルコニア粉末3000g
を湿式粉砕してスラリー化した。そして、得られたスラ
リーに対し、耐火性担体としてのコージライト製ハニカ
ム担体を浸漬した。上記ハニカム担体は、直径5.66
インチ×長さ6.00インチの円筒状であり、横断面1
平方インチ当たり約400個のオープンフロータイプの
ガス流通セルを有していた。
【0087】続いて、スラリーに浸漬したハニカム担体
から、余分なスラリーを除去した後、上記ハニカム担体
を150℃で2時間乾燥し、次いで500℃で1時間焼
成してディーゼルエンジン排ガス浄化触媒を得た。
【0088】このようにして得られたディーゼルエンジ
ン排ガス浄化触媒は、ハニカム担体1リットルに対し
て、白金(Pt)2g、酸化プラセオジム(Pr
6 11)5g、酸化イットリウム(Y2 3 )5g、酸
化コバルト(CoO)5g、およびジルコニア150g
が担持されていた。これらの担持量を表1に示した。
【0089】このような担持量を言い換えると、上記の
ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒では、白金1重量部
に対し、プラセオジムが2.1重量部、イットリウムが
2.0重量部、コバルトが2.0重量部含まれていた。
【0090】また、得られたディーゼルエンジン排ガス
浄化触媒の排ガス浄化性能を、前述の試験方法により評
価した。即ち、触媒入口温度200℃、250℃、およ
び300℃において、各成分の浄化率(転化率)を測定
した。これらの結果を表2に合わせて示した。
【0091】〔実施例2〕硝酸コバルト410gの代わ
りにイリジウム40gを含有する塩化イリジウムを用い
た以外は実施例1と同様にして、ディーゼルエンジン排
ガス浄化触媒を調製した。このようにして得られたディ
ーゼルエンジン排ガス浄化触媒は、担体1リットルに対
して、白金2g、酸化プラセオジム5g、酸化イットリ
ウム5g、イリジウム2g、およびジルコニア150g
が担持されていた。これらの担持量を表1に示した。
【0092】上記担持量を言い換えると、上記のディー
ゼルエンジン排ガス浄化触媒では、白金1重量部に対
し、プラセオジムが2.1重量部、イットリウムが2.
0重量部、イリジウムが1重量部含まれていた。上記デ
ィーゼルエンジン排ガス浄化触媒について、実施例1と
同様にして、各入口温度における各排ガス成分の浄化率
(転化率)を測定した。これらの結果を表2に合わせて
示した。
【0093】〔実施例3〕実施例1における硝酸コバル
トを省いた以外は実施例1と同様にして、ディーゼルエ
ンジン排ガス浄化触媒を調製した。得られたディーゼル
エンジン排ガス浄化触媒は、担体1リットルに対して、
白金2g、酸化プラセオジム5g、酸化イットリウム5
g、およびジルコニア150gが担持されていた。これ
らの担持量を表1に示した。
【0094】上記担持量を言い換えると、上記のディー
ゼルエンジン排ガス浄化触媒では、白金1重量部に対
し、プラセオジムが2.1重量部、イットリウムが2.
0重量部含まれていた。また、得られたディーゼルエン
ジン排ガス浄化触媒について、実施例1と同様にして各
入口温度における各排ガス成分の浄化率(転化率)を測
定した。これらの結果を表2に合わせて示した。
【0095】〔実施例4〕実施例1における硝酸コバル
トを省き、BET表面積110m2/gのジルコニア粉末3
000gに代えてBET表面積150m2/gであるγ−ア
ルミナ粉末3000gを用いた以外は実施例1と同様に
して、ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒を調製した。
【0096】得られたディーゼルエンジン排ガス浄化触
媒は、担体1リットルに対して、白金2g、酸化プラセ
オジム5g、酸化イットリウム5g、およびアルミナ1
50gが担持されていた。これらの担持量を表1に示し
た。上記担持量を言い換えると、上記のディーゼルエン
ジン排ガス浄化触媒では、白金1重量部に対し、プラセ
オジムが2.1重量部、イットリウムが2.0重量部含
まれていた。
【0097】得られたディーゼルエンジン排ガス浄化触
媒について、実施例1と同様にして各入口温度における
各排ガス成分の浄化率(転化率)を測定した。これらの
結果を表2に示した。
【0098】〔実施例5〕実施例1における硝酸コバル
トを省き、BET表面積110m2/gのジルコニア粉末3
000gに代えてBET表面積100m2/gであるアナタ
ーゼ型チタニア粉末3000gを用いた以外は実施例1
と同様にして、ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒を調
製した。
【0099】得られたディーゼルエンジン排ガス浄化触
媒は、担体1リットルに対して、白金2g、酸化プラセ
オジム5g、酸化イットリウム5g、およびチタニア1
50gが担持されていた。これらの担持量を表1に示し
た。上記担持量を言い換えると、上記のディーゼルエン
ジン排ガス浄化触媒では、白金1重量部に対し、プラセ
オジムが2.1重量部、イットリウムが2.0重量部含
まれていた。
【0100】得られたディーゼルエンジン排ガス浄化触
媒について、実施例1と同様にして各入口温度における
各排ガス成分の浄化率(転化率)を測定した。これらの
結果を表2に示した。
【0101】〔実施例6〕実施例1における硝酸コバル
トを省き、白金40gに代えて白金100gを用いた以
外は実施例1と同様にして、ディーゼルエンジン排ガス
浄化触媒を調製した。得られたディーゼルエンジン排ガ
ス浄化触媒は、担体1リットルに対して、白金5g、酸
化プラセオジム5g、酸化イットリウム5g、およびジ
ルコニア150gが担持されていた。
【0102】これらの担持量を表1に示した。上記担持
量を言い換えると、上記のディーゼルエンジン排ガス浄
化触媒では、白金1重量部に対し、プラセオジムが0.
8重量部、イットリウムが0.8重量部含まれていた。
【0103】得られたディーゼルエンジン排ガス浄化触
媒について、実施例1と同様にして各入口温度における
各排ガス成分の浄化率(転化率)を測定した。これらの
結果を表2に示した。
【0104】〔実施例7〕実施例1における硝酸コバル
トを省き、硝酸イットリウム337gに代えて硝酸イッ
トリウム674gを用いた以外は実施例1と同様にし
て、ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒を調製した。
【0105】得られたディーゼルエンジン排ガス浄化触
媒は、担体1リットルに対して、白金2g、酸化プラセ
オジム5g、酸化イットリウム10g、およびジルコニ
ア150gが担持されていた。これらの担持量を表1に
示した。上記担持量を言い換えると、上記のディーゼル
エンジン排ガス浄化触媒では、白金1重量部に対し、プ
ラセオジムが2.1重量部、イットリウムが4.0重量
部含まれていた。
【0106】得られたディーゼルエンジン排ガス浄化触
媒について、実施例1と同様にして各入口温度における
各排ガス成分の浄化率(転化率)を測定した。これらの
結果を表2に示した。
【0107】〔実施例8〕実施例1におけるBET表面
積110m2/gのジルコニア粉末3000gに代えて、耐
火性無機酸化物として、BET表面積110m2/gのジル
コニア粉末2000gと、BET表面積430m2/gの市
販のZSM−5型ゼオライト1000gとの混合物を用
い、硝酸コバルトを省いた以外は実施例1と同様にし
て、ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒を調製した。
【0108】得られたディーゼルエンジン排ガス浄化触
媒は、担体1リットルに対して、白金2g、酸化プラセ
オジム5g、酸化イットリウム5g、ジルコニア100
g、およびゼオライト50gが担持されていた。これら
の担持量を表1に示した。上記担持量を言い換えると、
上記のディーゼルエンジン排ガス浄化触媒では、白金1
重量部に対し、プラセオジムが2.1重量部、イットリ
ウムが2.0重量部含まれていた。
【0109】得られたディーゼルエンジン排ガス浄化触
媒について、実施例1と同様にして各入口温度における
各排ガス成分の浄化率(転化率)を測定した。これらの
結果を表2に示した。
【0110】〔比較例1〕硝酸白金および硝酸コバルト
を省いた以外は実施例1と同様にして比較用排ガス浄化
触媒を調製した。得られた比較用排ガス浄化触媒では、
担体1リットルに対して、酸化プラセオジム5g、酸化
イットリウム5g、およびジルコニア150gが担持さ
れていた。これらの担持量を表1に示した。
【0111】得られた比較用排ガス浄化触媒について、
実施例1と同様にして各入口温度における各排ガス成分
の浄化率(転化率)を測定した。これらの結果を表2に
示した。
【0112】〔比較例2〕硝酸プラセオジムおよび硝酸
コバルトを省いた以外は実施例1と同様にして、比較用
排ガス浄化触媒を調製した。得られた比較用排ガス浄化
触媒では、担体1リットルに対して、白金2g、酸化イ
ットリウム5g、およびジルコニア150gが担持され
ていた。これらの担持量を表1に示した。上記の比較用
排ガス浄化触媒では、白金1重量部に対し、イットリウ
ムが2.0重量部含まれていた。
【0113】得られた比較用排ガス浄化触媒について、
実施例1と同様にして各入口温度における各排ガス成分
の浄化率(転化率)を測定した。これらの結果を表2に
示した。
【0114】〔比較例3〕硝酸イットリウムおよび硝酸
コバルトを省いた以外は実施例1と同様にして、比較用
排ガス浄化触媒を調製した。得られた比較用排ガス浄化
触媒には、担体1リットルに対して、白金2g、酸化プ
ラセオジム5g、およびジルコニア150gが担持され
ていた。これらの担持量を表1に示した。すなわち、上
記の比較用排ガス浄化触媒では、白金1重量部に対し、
プラセオジムが2.1重量部含まれていた。
【0115】得られた比較用排ガス浄化触媒について、
実施例1と同様にして各入口温度における各排ガス成分
の浄化率(転化率)を測定した。これらの結果を表2に
示した。
【0116】〔比較例4〕実施例1における白金の量を
40gから200gに変更し、硝酸コバルトを省いた以
外は実施例1と同様にして、比較用排ガス浄化触媒を調
製した。得られた比較用排ガス浄化触媒では、担体1リ
ットルに対して、白金10g、酸化プラセオジム5g、
酸化イットリウム5g、およびジルコニア150gが担
持されていた。これらの担持量を表1に示した。
【0117】上記担持量を言い換えると、比較用排ガス
浄化触媒に含まれる酸化プラセオジムは、白金1重量部
に対し0.4重量部であり、排ガス浄化触媒に含まれる
酸化イットリウムは、0.4重量部であった。
【0118】得られた比較用排ガス浄化触媒について、
実施例1と同様にして各入口温度における各排ガス成分
の浄化率(転化率)を測定した。これらの結果を表2に
示した。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例4
の結果から明らかなように、本実施例にかかるディーゼ
ルエンジン排ガス浄化触媒は、700℃の条件下で、1
00時間、排ガスを流通させた後においても、耐熱性お
よび耐久性を有すると共に、各排ガス成分を有効に除去
する排ガス浄化性能に優れており、特にNOX 浄化率
が、排ガスの温度が200℃や250℃といった低温に
おいても優れ、かつ、排ガス中の微粒子物質の浄化率に
優れていることが分かる。
【0122】すなわち、本発明にかかるディーゼルエン
ジン排ガス浄化触媒は、比較例2および比較例4の排ガ
ス浄化触媒と比較して、SO2 転化率が大幅に抑制され
ており、これにより、微粒子物質の浄化率が大幅に向上
したものとなっている。
【0123】また、本発明のディーゼルエンジン排ガス
浄化触媒では、比較例1の結果から、NOX 、SOF、
HCおよびCO除去用の触媒として、白金等が触媒成分
として必須な構成であることが分かる。
【0124】本発明のディーゼルエンジン排ガス浄化触
媒では、比較例2の結果から、排ガス中のSO2 の酸化
能を抑制して微粒子物質の浄化率が大幅に向上した触媒
として、プラセオジムが触媒成分として必須な構成であ
ることが分かる。
【0125】さらに、本発明のディーゼルエンジン排ガ
ス浄化触媒では、実施例3ないし5と比較例3との比較
の結果から、排ガスが広い温度領域、特に低温域におい
ても、各排ガス成分としてのHC、CO、NOX の浄化
能を有するためにイットリウムが触媒成分として必須な
構成であることが分かる。
【0126】その上、本発明のディーゼルエンジン排ガ
ス浄化触媒では、比較例4の結果から、排ガス中のSO
2 の酸化能を抑制して微粒子物質の浄化率が大幅に向上
させるためには、白金等、プラセオジムおよびイットリ
ウムの各担持量が、白金等1重量部に対し、プラセオジ
ムおよびイットリウム0.5重量部以上であることが必
要なことが分かる。
【0127】また、本発明のディーゼルエンジン排ガス
浄化触媒では、実施例1および実施例2の結果から、さ
らにコバルトおよびイリジウムの少なくとも一方の元素
を添加することにより、排ガス中のSO2 の酸化能を抑
制して微粒子物質の浄化率を大幅に向上させながら、排
ガスが広い温度領域、特に低温域においても、大きなN
X 除去能を発揮させるために有効であることが分か
る。
【0128】さらに、本発明のディーゼルエンジン排ガ
ス浄化触媒では、実施例8の結果から、上記各排ガス成
分をバランスよく除去するために、各触媒成分を担持す
る耐火性無機酸化物として、ジルコニアおよびゼオライ
トの組合せが好ましいことが分かる。
【0129】このように本発明のディーゼルエンジン排
ガス浄化触媒は、燃費向上およびNOX の発生量の抑制
のためにA/F値が15以上、特に20以上といったデ
ィーゼルエンジンの排ガス浄化に好適に用いることがで
きるので、省エネや環境保全に有効なものとなってい
る。
【0130】
【発明の効果】本発明の構成によれば、ディーゼルエン
ジン排ガス浄化触媒は、酸素を多く含む排ガス中のNO
X を、特に排ガスが低温であっても効率的に除去するこ
とができ、かつ、特に広い温度領域下における排ガス中
の微粒子物質の発生量の増加を抑制することができると
いう効果を奏する。
【0131】また、本発明の排ガス浄化方法によれば、
炭化水素とNOX とのモル比が0.5〜20である排ガ
ス中のNOX を、排ガスが低温であっても効率的に除去
することができ、かつ、排ガス中の微粒子物質の排出量
の増加を低減することができるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 395016659 65 CHALLENGER ROAD RIDGEFIELD PARK,NE W JERSEY 07660 U.S.A. (72)発明者 川並 真 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 堀内 真 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1 株式会社日本触媒内 (56)参考文献 特開 平4−200637(JP,A) 特開 平4−114742(JP,A) 特開 平9−155193(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/94 B01J 21/00 - 38/74

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】白金、ルテニウム、ロジウム、およびパラ
    ジウムからなる群から選択された少なくとも一種の元素
    と、プラセオジムと、イットリウムとを含む触媒成分を
    有することを特徴とするディーゼルエンジン排ガス浄化
    触媒。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のディーゼルエンジン排ガ
    ス浄化触媒において、 触媒成分に対し、さらに、コバルトおよびイリジウムの
    少なくとも一方の元素が添加されていることを特徴とす
    るディーゼルエンジン排ガス浄化触媒。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載のディーゼルエン
    ジン排ガス浄化触媒において、 触媒成分は、ジルコニアおよびゼオライトの少なくとも
    一方からなる無機酸化物に担持されていることを特徴と
    するディーゼルエンジン排ガス浄化触媒。
  4. 【請求項4】請求項3に記載のディーゼルエンジン排ガ
    ス浄化触媒において、 ジルコニアとゼオライトとの重量比は、ジルコニア1重
    量部に対し、ゼオライトが0.1〜2重量部となるよう
    に設定されていることを特徴とするディーゼルエンジン
    排ガス浄化触媒。
  5. 【請求項5】請求項1ないし4の何れか1項に記載のデ
    ィーゼルエンジン排ガス浄化触媒を用い、 上記ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒に対し、排ガス
    中の炭化水素と窒素酸化物とのモル比(炭化水素/窒素
    酸化物)が0.5〜20である排ガスを接触させること
    を特徴とする排ガス浄化方法。
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