JP3259893B2 - 3,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オンの製造法 - Google Patents
3,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オンの製造法Info
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Description
導入するための中間体として有用な3,3−ジクロロ−
1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オンの製造法
である。
オロ−プロパン−2−オンの製造法としてはDokl.
Chem.(Engl.Transl.),307,2
41(1989)に、無水溶媒中で3,3,3−トリク
ロロ−1,1,1−トリフルオロ−プロパン−2−オン
からアルミニウムエノラートを経て製造する方法が記載
されているが、触媒として水銀化合物を使用するなど工
業化には余り好ましいとはいえない。
ロ−1,1,1−トリフルオロ−プロパン−2−オンの
製造法を提供する。
一般式CF3COCH2CO2R(式中、Rは低級アルキ
ル基を表す。)を塩素化し、次いで硫酸で脱炭酸するこ
とからなる3,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオ
ロプロパン−2−オンの製造法である。
ステルの低級アルキル基は特に限定されないが、炭素数
1〜10程度のものであり余り炭素数の大きいものを使
用することに特に有利な点はない。好適な低級アルキル
基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基などが挙げられる。このような
トリフルオロアセト酢酸エステルの製造方法としては、
例えば、J.Am.Chem.Soc.,69巻,18
19頁(1947年)にはトリフルオロ酢酸エチルとナ
トリウムエトキシド存在下酢酸エチルと反応させる方法
が記載されている。
は低級アルキル基を表す。)で表されるトリフルオロア
セト酢酸エステルを塩素化する方法は、特に限定されな
いが単体または塩素化に不活性な溶媒に溶解または分散
されたトリフルオロアセト酢酸エステルに塩素ガスを吹
き込む方法を例示することができる。このとき生成する
塩素化物はCF3COCCl2CO2R(式中、Rは低級
アルキル基を表す。)で表されるトリフルオロアセトジ
クロロ酢酸エステルである。また、同時に低級アルキル
基が塩素化されたエステルが生成することがあるが、本
発明の方法においてはこれらのハロゲン化アルキル基を
有するトリフルオロアセトジクロロ酢酸エステルも中間
体として扱える。
どの塩素化に不活性なものであればよく、例えば、四塩
化炭素、四塩化エタン、1,1−ジクロロ−1−フルオ
ロエタン、1、1、1−トリフルオロ−2,2−ジクロ
ロエタン、1,1,1,2,2−ペンタクロロ−3,3
−ジクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフル
オロ−1,3−ジクロロプロパン、2,4−ジクロロト
リフルオロトルエン、1,4−ビストリフルオロメチル
ベンゼン、ヘキサクロロアセトンなどを挙げることがで
きる。
媒または光を使用することもできるが通常特に必要はな
いが、少量の水または酸を存在させることは有効であ
る。この酸は塩酸、臭化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢
酸、硫酸、リン酸などのプロトン酸である。反応温度は
0〜150℃であり、20〜120℃程度が好ましい。
0℃未満では反応が遅く、150℃を越えると生成物の
分解がおこり反応収率を下げるので好ましくない。
式、半連続式またはバッチ式反応の何れの形式をもとり
うるが反応形式により反応条件の相違は当業者にとって
周知であり、容易に変更しうる。例として本発明の方法
をバッチ式において実施する場合について詳述する。バ
ッチ式反応の場合、あらかじめ反応器に仕込まれたトリ
フルオロアセト酢酸エステルに20℃程度の低温で塩素
を吹く込むことで開始し、反応に伴う発熱による反応液
の温度上昇を塩素供給量、窒素などの不活性ガスによる
希釈度または装置を使った冷却によりコントロールす
る。最終的に100℃程度の温度となるように反応器を
加熱または冷却してもよい。反応の終了は発熱が認めら
れなくなるか、または反応器内容物をガスクロマトグラ
フで分析して原料がなくなった時点である。
性水溶液および/または水で洗浄し次いで乾燥し、蒸留
することで高純度のトリフルオロアセトジクロロ酢酸エ
ステルとすることができる。
生成物として利用する場合には、反応終了後の反応器に
窒素ガスなどを吹き込んで塩素、塩化水素などの酸性成
分をパージするのみで十分である。溶媒を使用した場合
は蒸留などにより除去することが好ましい。
ロアセトジクロロ酢酸エステルを加熱することで行う。
この際、反応系に酸または塩基を存在させることが好ま
しい。酸としては、特に限定されないが、濃硫酸、硫
酸、リン酸、ポリリン酸などを使用する。また塩基とし
ては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどであり水溶
液として使用することが好ましい。この際、硫酸または
リン酸が特に好適であり、任意の濃度のものを使用でき
るが、濃度の高い酸を使用する方が収率が高くなるので
通常の場合濃硫酸または高濃度のリン酸を使うのが好ま
しい。硫酸を使用する場合、トリフルオロアセトジクロ
ロ酢酸エステル100重量部に対して硫酸は10〜10
00重量部使用する。10重量部未満では反応が十分進
行せず、1000重量部を越えても反応の点からは問題
はないが、特に利点はない。反応温度は80〜250℃
であり、100〜200℃が好ましい。80℃未満では
脱炭酸反応が起こらず、250℃では生成物が分解して
収率を下げるので好ましくない。
式、半連続式またはバッチ式反応の何れの形式をもとり
うるが反応形式により反応条件の相違は当業者にとって
周知であり、容易に変更しうる。例として本発明の方法
をバッチ式において実施する場合について詳述する。バ
ッチ式反応の場合、あらかじめトリフルオロアセトジク
ロロ酢酸エステルと硫酸を反応器に仕込み、撹拌しなが
ら反応器を昇温する。反応の開始により3,3−ジクロ
ロ−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オンが生
成し、反応温度が約100℃以上では反応器から生成物
がガスとして流出する。このガスを冷却して液化させ容
器に回収する。必要に応じこの生成物を蒸留して純度の
向上を図ることができる。
が、これらの実施態様に限られない。
l反応器に75gのトリフルオロアセト酢酸エチルを入
れ室温で塩素ガスを吹き込んだ。反応器内の温度は徐々
に上昇し約60℃に達した後、緩やかに加熱し、100
℃に昇温して反応を完結させた。反応器を室温まで冷却
した後窒素ガスを反応液に吹き込み未反応の塩素、生成
した塩化水素をパージした。反応液は113gであり、
これをガスクロマトグラフで分析したところ88%のト
リフルオロアセトジクロロ酢酸エチルと6%のトリフル
オロアセトジクロロ酢酸クロロエチルの混合物であっ
た。
の濃硫酸を加え140〜150℃に加熱し、1時間保っ
た後170℃まで上昇させてさらに1時間反応させた。
反応の進行とともに流出したガスを冷却して回収したと
ころ、62gの有機物が得られ、これをガスクロマトグ
ラフで分析したところ3,3−ジクロロ−1,1,1−
トリフルオロプロパン−2−オンの純度は91%であっ
た。
ス製300ml反応器に70gのトリフルオロアセト酢
酸メチルと70gの1,1,2,2−テトラクロロエタ
ンを入れ室温で塩素ガスを吹き込んだ。反応器内の温度
は徐々に上昇し約60℃に達した後、緩やかに加熱し、
100℃に昇温して反応を完結させた。反応器を室温ま
で冷却した後窒素ガスを反応液に吹き込み未反応の塩
素、生成した塩化水素をパージした。さらに反応液を減
圧して溶媒の1,1,2,2−テトラクロロエタンを留
去したところ反応液は116gでった。これをガスクロ
マトグラフで分析したところ80%のトリフルオロアセ
トジクロロ酢酸メチルと15%のトリフルオロアセトジ
クロロ酢酸クロロメチルの混合物であった。
の濃硫酸を加え140〜150℃に加熱し、1時間保っ
た後170℃まで上昇させてさらに1時間反応させた。
反応の進行とともに流出したガスを冷却して回収したと
ころ、52gの有機物が得られ、これをガスクロマトグ
ラフで分析したところ3,3−ジクロロ−1,1,1−
トリフルオロプロパン−2−オンの純度は90%であっ
た。
簡便な方法で3,3−ジクロロ−1,1,1−トリフル
オロプロパン−2−オンが得られるため、工業的製造法
として適するという効果を奏する。
Claims (5)
- 【請求項1】 一般式CF3COCH2CO2R(式中、
Rは低級アルキル基を表す。)で表されるトリフルオロ
アセト酢酸エステルを塩素化し、次いで脱炭酸反応する
ことからなる3,3−ジクロロ−1,1,1−トリフル
オロプロパン−2−オンの製造法。 - 【請求項2】トリフルオロアセト酢酸エステルがトリフ
ルオロアセト酢酸メチルまたはトリフルオロアセト酢酸
エチルである請求項1記載の3,3−ジクロロ−1,
1,1−トリフルオロプロパン−2−オンの製造法。 - 【請求項3】塩素化を塩素ガスにより0〜150℃で行
うことを特徴とする請求項1〜2記載の3,3−ジクロ
ロ−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オンの製
造法。 - 【請求項4】脱炭酸反応を酸の存在下80〜250℃で
行うことを特徴とする請求項1〜3記載の3,3−ジク
ロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オンの
製造法。 - 【請求項5】酸が硫酸またはリン酸であることを特徴と
する請求項4記載の3,3−ジクロロ−1,1,1−ト
リフルオロプロパン−2−オンの製造法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP03167096A JP3259893B2 (ja) | 1996-02-20 | 1996-02-20 | 3,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オンの製造法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03167096A JP3259893B2 (ja) | 1996-02-20 | 1996-02-20 | 3,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オンの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09227440A JPH09227440A (ja) | 1997-09-02 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP03167096A Expired - Fee Related JP3259893B2 (ja) | 1996-02-20 | 1996-02-20 | 3,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オンの製造法 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (2)
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JP6459709B2 (ja) * | 2015-03-27 | 2019-01-30 | セントラル硝子株式会社 | 3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸の実用的な製造方法 |
-
1996
- 1996-02-20 JP JP03167096A patent/JP3259893B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09227440A (ja) | 1997-09-02 |
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