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JP3132462B2 - 低密度ポリエチレンフィルム、ポリエチレン混合物およびそのフィルム - Google Patents

低密度ポリエチレンフィルム、ポリエチレン混合物およびそのフィルム

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Publication number
JP3132462B2
JP3132462B2 JP10088862A JP8886298A JP3132462B2 JP 3132462 B2 JP3132462 B2 JP 3132462B2 JP 10088862 A JP10088862 A JP 10088862A JP 8886298 A JP8886298 A JP 8886298A JP 3132462 B2 JP3132462 B2 JP 3132462B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
temperature
density
polyethylene
thermogram
Prior art date
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Expired - Lifetime
Application number
JP10088862A
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English (en)
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JPH10237192A (ja
Inventor
幸雄 内藤
耕造 宮崎
裕嗣 後藤
雅志 半場
昭夫 今井
清行 杉森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=13954821&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP3132462(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP10088862A priority Critical patent/JP3132462B2/ja
Publication of JPH10237192A publication Critical patent/JPH10237192A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3132462B2 publication Critical patent/JP3132462B2/ja
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Expired - Lifetime legal-status Critical Current

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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた物性を有す
る低密度ポリエチレンフィルム、ポリエチレン混合物お
よびそのフィルムに関する。さらに詳しくは、ヒートシ
ール特性、透明性、光沢、腰の強さ、衝撃強度、引裂強
度など、包装用途に必要な性質を高度に満足する低密度
ポリエチレンフィルム、ポリエチレン混合物およびその
フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】低密度ポリエチレンは、防水性・防湿性
に富み、適度に柔軟で、比較的透明性が良く、強度も比
較的よいのでフィルム状で広範囲に用いられている。さ
らに、ヒートシールが比較的低温から可能で、しかもシ
ール強度も良好なので、単層あるいは他の薄膜状素材と
の多層形態の包装用フィルムとしても多用されている。
【0003】近年、充填速度の高速化の可能な包装用フ
ィルムが強く要請されるようになっている。充填速度の
高速化は、フィルム繰り出し速度の高速化、ヒートシー
ルの短時間化、ヒートシール直後シール面に内容物の荷
重のかかるまで時間の短縮化を意味しており、このため
には、腰があって、低温でヒートシール性が発現し、ヒ
ートシール直後のまだシール部分が熱い間に内容物の荷
重が加わってもシールの剥離が起こらない(ホットタッ
ク性の良好な)フィルムであることが必要である。ま
た、複合フィルムは種々の方法で製造されるが、広範囲
の素材の組み合わせができ、かつ印刷の美麗な複合フィ
ルムが製造できるので多用されている貼合わせ(ラミネ
ート)法では、低密度ポリエチレンフィルムに腰がない
としわも発生しやすく、高速加工のためには腰の強さも
重要である。さらに、透明性や光沢は包装された内容物
のディスプレイ価値を高め、衝撃やどの方向の引き裂き
にも強いことは物品の保護という包装本来の機能を高め
るので、同じく重要である。
【0004】低密度ポリエチレンは、その製造法または
分子構造によって、次の2種類に大別される。1つは、
高圧高温下ラジカル重合法によって製造され、短鎖分岐
と長鎖分岐とを本質的に有するエチレンの重合体であ
る。生長中のポリマーラジカルの分子内転移反応によっ
て短鎖分岐が、分子間転移反応によって長鎖分岐が生成
すると考えられている。ラジカル重合においてα−オレ
フィンは大きな連鎖移動定数を有するので、合成樹脂と
して用いられる高分子量の低密度ポリエチレンには、存
在しても極く少量のα−オレフィンしか共重合されてい
ない。
【0005】もう1つは、チーグラー触媒重合法に代表
される遷移金属触媒重合法によるエチレンとα−オレフ
ィンとの共重合体である。α−オレフィンの共重合によ
り、その炭素数より2個少ない炭素数の短鎖分岐が生成
し、ポリマーの密度が低下する。後者は、通常長鎖分岐
を持たないので、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)と
も呼称されている。前者は、後者よりも歴史的に早く発
明されたため、従来単に低密度ポリエチレンと呼ばれて
いたが、L-LDPEと明確に区別するために、分岐状低密度
ポリエチレン(B-LDPE)と呼ぶことにする。
【0006】一般に高分子物質は種々の分子の混合物で
あり、その分布様式によって諸物性が変化することは一
般論として広く認められていることである。分布様式の
解析、分布様式と諸物性の関係の定量的・機構的解明、
新規な分布様式による改良された物性を有する高分子物
質の発明等は、学問的にも、工業的にも、高分子科学の
中心課題の1つとなっている。
【0007】低密度ポリエチレンについては、分子量に
関する分布(分子量分布)と短鎖分岐度に関する分布
(短鎖分岐度分布)が物性的に重要である。B-LDPEが広
い分子量分布と比較的狭い短鎖分岐度分布を有するのに
対し、L-LDPEは一般に比較的広い短鎖分岐度分布を有す
ることが知られている(例えば、S. Hosoda:Polymer
J., 20, 383(1988))。なお、L-LDPE分子中の短鎖分岐は
コモノマーとしてのα−オレフィンが共重合されること
によって生成するので、L-LDPEの短鎖分岐度分布はコモ
ノマー分布または(共重合)組成分布とも呼ばれる。
【0008】L-LDPEの組成分布と物性の関係について、
いろいろの文献が公表されている。特公昭46-21212号公
報は、部分的結晶性エチレン−α−オレフィン共重合体
におけるコモノマー分布の重要性を指摘した最も早い文
献の1つである。ここで、分子間のコモノマー分布が均
一な共重合体は、不均一な共重合体に比べて、「押出し
フィルムの低いくもり度、高い衝撃強さ、機械加工方向
とその横方向における物性の優れた均衡を発揮する」こ
とが、2付近のメルトインデックスと0.919付近の密度
を持つ均一および不均一共重合体を吹込み成形したフィ
ルムの物理的性質についての実施例も含め、開示されて
いる。ここで、コモノマー分布が均一な共重合体は、特
定の有機アルミニウム化合物と特定のバナジウム化合物
を混合することによって調製せる触媒の存在下に、エチ
レンとα−オレフィンとを共重合することによって得ら
れている。これはまた、コモノマー分布の均一性が共重
合体の密度と融点の関係によって識別されることも、図
をもって開示している。すなわち、均一共重合体の密度
は、同じコモノマー含量の不均一共重合体の密度より低
い。
【0009】しかしながら、ここには、低密度ポリエチ
レンフィルムの重要な性質であるヒートシール性やホッ
トタック性についての記述がなく、複合フィルムとして
の用途についても言及されていない。後に、本明細書の
比較例にも示すように、このような均一共重合体は、良
好なホットタック性を示すヒートシール温度域が極めて
狭く(また低い剛性にも拘らず低温ヒートシール性も不
十分である)、上記の比較的優れた他の性質を有するも
のの、包装用フィルムとしては事実上実用性がないもの
である。
【0010】特開昭59-66405号公報には、複数個の融点
を示すエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共
重合体フィルムが、低温ヒートシール性が優れ、しかも
耐熱性が高いことが示されている。実施例に記載された
共重合体は全て3個の融点を示すが、最高融点は124℃
を越えず、最低融点は104〜106℃に位置している。しか
しながら、ここには、ホットタック性についての記述が
なく、複合フィルムとしての用途についても言及されて
いない。
【0011】特開昭60-88016号公報には、エチレン・α
−オレフィンランダム共重合体において、その組成分布
特性、分岐度特性、ランダム性特性、DSC融点特性、結
晶化度、分子量分布などの組み合わせによって特定され
た共重合体が、機械的特性、光学的特性、耐ブロッキン
グ性、耐熱特性、低温ヒートシール性などの性質に優
れ、かつこれらの諸特性をバランスよく兼備することが
開示されている。組成分布特性については、特定の手法
によって導出された組成分布パラメーターが特定値以下
であることを必須としており、これは組成分布が十分狭
くなければならないことを意味している。DSC特性につ
いては、最高融点が125℃以下の特定の温度範囲にある
こと、最高融点と最低融点との温度差が特定の範囲にあ
ること、最高融点と第二番目に高い融点との温度差が特
定の範囲にあること、そして最高融点の結晶融解熱量が
全結晶融解熱量に対して特定の比以下であることを必須
としており、これらの必須条件は、共重合体が前記特公
昭46-21212号公報でいう不均一共重合体ではあるが均一
共重合体に近いものでなければならないことを意味して
いる。また、最高融点が125℃を越えて高すぎたり、最
高融点の結晶融解熱量の割合が大きすぎると、低温ヒー
トシール性等のフィルム物性が劣るとされている。しか
も、ここには、ホットタック性についての記述がなく、
複合フィルムとしての用途についても言及されていな
い。後に、本明細書の比較例に示すように、このような
エチレン共重合体は、低温ヒートシール性やホットタッ
ク性等フィルム物性が不満足なものである。
【0012】組成分布は、異なったコモノマー含有量を
有するエチレン共重合体(エチレン単独重合体も含まれ
得る)を均一に混合することによっても変化させること
ができる。特に、複数の均一共重合体を混合することに
よって、原理的には任意の組成分布を作ることができ
る。
【0013】特公昭57-37616号公報には、0.94〜0.97g
/cm3の密度の高密度ポリエチレン95〜50重量部、好ま
しくは90〜70重量部と、0.86〜0.91g/cm3、好ましくは
0.88〜0.90g /cm3の密度のバナジウム系触媒により重
合された特定のエチレン・1−ブテンランダム共重合体
5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部との混合物を素
材とする包装用ポリオレフィンフィルムが開示されてい
る。しかしながら、ここで開示されているフィルムは、
B-LDPEからなるフィルムより腰(剛性)が著しく高く、
低密度ポリエチレンフィルムとは呼べないものである。
エチレン・1−ブテンランダム共重合体(具体的には0.
889g/cm3の密度を有する)の割合を上記範囲外以上に
増加して、剛性をB-LDPEフィルムと同程度にした混合物
のフィルムについても記載があるが、測定不能なほどブ
ロッキングが激しくなる。また、ヒートシール性につい
て具体的記述がなく、ホットタック性について言及され
ていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】包装用フィルムにおい
て、近年強く要請されるようになっている充填速度の高
速化を達成するためには、ヒートシール特性、特にホッ
トタック性が優れていることが不可欠であり、さらに包
装用フィルムとして内容物のディスプレイ価値を高める
ために透明性や光沢が、物品の保護という包装本来の機
能を高めるために高い衝撃強度やいずれの方向にも大き
な引裂強度が必要であることは、既に述べた通りであ
る。しかしながら、従来知られている低密度ポリエチレ
ン系フィルムは、これらの総合的な物性が不満足であっ
た。したがって、本発明の目的は、上記の全ての物性を
高度に満足する包装用途に最適な低密度ポリエチレン系
フィルムおよびその材料を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、包装フィ
ルム用低密度ポリエチレンにおいて重要な特性であるヒ
ートシール特性、特にホットタック性について、その発
現機構を詳細に検討した。ヒートシール過程が、予め定
められた温度に加熱されたシールバーからの熱によりフ
ィルムの温度が上昇し、シールバーの離脱後放冷される
過程であることから、低密度ポリエチレンの熱転移挙動
とヒートシール性、ホットタック性との係わりを中心に
検討した結果、高度に優れたヒートシール特性を得るた
めには、熱転移挙動が特定のものであることが必要であ
ることを見出した。さらに、このような特定の熱転移挙
動を有する低密度ポリエチレンが、意外なことに、包装
用フィルムとして必要な透明性、光沢、腰の強さ(剛
性)、衝撃強度、引裂き強度の方向性等の他の性質も高
度に満足することを見出した。
【0016】すなわち、本発明は、 (1)密度が0.895ないし0.915g/cm3であり、完全融解
後徐冷した後示差走査熱量計により測定される昇温サー
モグラムにおいて、80ないし100℃の範囲内に吸熱ピー
クが観測され、該吸熱ピークの吸熱量が全熱量に対して
0.8以上である、αオレフィン含有量が2.0 ないし10mol
%であるエチレンと炭素数3ないし10のαオレフィン
とのランダム共重合体(I)60ないし99重量部および密度
が0.945g/cm3以上であって、完全融解後徐冷した後示
差走査熱量計により測定される昇温サーモグラムにおい
て、125℃以上に吸熱ピークが観測される高密度ポリエ
チレン(II)40ないし1重量部からなり、密度が0.900な
いし0.930g/cm3、メルトフローレートが0.1ないし100g
/10分であることを特徴とするポリエチレン混合物(た
だし、ここでランダム共重合体(I)と高密度ポリエチレ
ン(II)との合計量は100重量部である)、 (2)請求項2記載のポリエチレン混合物からなること
を特徴とするフィルム、および (3)少なくとも片側の表面層が請求項3記載のフィル
ムからなる層であることを特徴とする複合フィルムに関
するものである。
【0017】従来の技術の項で述べたように、従来は、
組成分布が狭く、均一組成に近いかもしくは均一組成の
直鎖状低密度ポリエチレンが透明性、衝撃強度、低温ヒ
ートシール性等に優れたフィルムを与えると考えられて
きた。また、DSCにおいて複数の融点を示す場合には、
最高融点は高すぎず、その結晶融解熱量は小さい方が、
上記フィルム物性の点で好ましいと考えられてきた。一
方、本発明で用いる低密度ポリエチレンは、上記の考え
方とは異なり、組成分布は不均一であり、最高融点はポ
リエチレンとして許される範囲内で高い方が好ましいも
のである。従来の考え方に基づいた直鎖状ポリエチレン
を用いたフィルムと比較して、本発明のフィルムは、腰
が強く(剛性が高く)、透明性、光沢に優れ、衝撃強度
が大きく、引き裂き強度が加工方向、その直角方向とも
大きく、ヒートシール性の発現する温度が低く、ホット
タック性の発現する温度が低くかつその温度域が広いと
いう特徴を有しており、これら包装用フィルムとして重
要な性質全てが優れている。以下、各項目について説明
する。
【0018】
【発明の実施の形態】
(1)密度およびメルトフローレート 本発明によるポリエチレンの密度は、JIS K6760に従っ
て100℃で1時間アニール後測定され、0.900ないし0.93
0g/cm3 、好ましくは0.905ないし0.925g/cm3である。
本発明のフィルムは、用いるポリエチレンの密度の割り
に腰が強い(弾性率が高い)が、密度がこれより低い
と、フィルムの腰が弱くなり、ラミネート工程でしわが
発生しやすくなるなどの点で好ましくない。一方、密度
がこれより高いと、ヒートシール性やホットタック性の
発現する温度が高くなりすぎ、包装・充填の高速化の達
成が困難になる。本発明によるポリエチレンのメルトフ
ローレート(MFR)は、JIS K6760に従って測定され、
0.1ないし100g/10分の範囲内にある。好適なMFR
は、フィルムの製造法の選択によって異なり、インフレ
ーション法では0.1ないし10g/10分、さらに好ましくは
0.2ないし5g/10分、Tダイ法では0.5ないし50g/10
分、さらに好ましくは1ないし10g/10分、押出ラミネ
ーション法では、1ないし100g/10分、さらに好ましく
は2ないし50g/10分である。一般に、MFRが低いほど、
フィルムの強度は増すが、フィルム加工時の押出負荷が
増し、MFRが高いほど、フィルムの強度は低下するが、
高速で厚みの小さいフィルムを加工しやすくなる。
【0019】(2)αオレフィン 本発明でエチレンと共重合されるαオレフィンは炭素数
3ないし10で、一般式R−CH=CH2(式中Rは炭素数1〜8
のアルキル基を示す)で表される化合物で、その具体例
としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘ
キセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−
1、デセン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチル
ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等があげ
られる。これらのαオレフィンのうち、プロピレン系は
本発明の改良効果が比較的少なく、炭素数4以上のαオ
レフィンが好ましく、特にブテン−1、ペンテン−1、
ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1
等がモノマー入手や共重合性や得られる共重合体の品質
の点で好ましい。なお、これらのαオレフィンは2種以
上併用して用いることも可能である。
【0020】(3)熱転移挙動 本発明において最も重要な要件は、以下に詳述する熱転
移挙動である。ポリマーの熱転移挙動は、示差走査熱量
計(DSC)によって測定するのが今や通例となっており、
その発熱あるいは吸熱速度と温度の関係図はサーモグラ
ムと呼ばれている。このサーモグラムはポリマーのラメ
ラ厚さ分布を反映しており、そのラメラ厚さ分布はポリ
マーの組成分布および熱履歴に影響されることが知られ
ている(例えば、S. Hosoda:Polymer J., 20, 383(198
8))。本発明での熱転移挙動の測定はポリマー本来の
持つ組成分布についての知見を得たい場合と、成形さ
れたフィルムの持つラメラ厚さ分布についての知見を得
たい場合とに分けられる。以下、その方法について説明
する。 ポリマー本来の持つ組成分布についての知見を得たい
場合 この場合は完全融解後徐冷した後昇温サーモグラムを測
定する。ポリマーの熱転移挙動は、その熱履歴によって
変化するので、予めそれを消去して測定されなければな
らない。また実施例および図面に示すように、冷却速度
が十分小さくないと、その後の昇温過程において見掛け
上ピークが分裂することがある。これは、急速な冷却下
で十分成長できなかったラメラ晶が昇温過程で融解−再
結晶化するためであると考えられる。そのため本発明で
は、DSC中150℃で5分間保持(プレメルト)した後、1
℃/分の降温速度で40℃まで冷却して降温サーモグラム
を得、しかる後10℃/分の昇温速度で150℃まで加熱し
て昇温サーモグラムを得る。各サーモグラム上、最初の
発熱が開始した温度と50℃との間、あるいは50℃と全て
の吸熱が終了した温度との間を、直線で結んで熱量を求
めるためのベースラインとする。本発明において「ピー
ク」とは、明瞭に吸熱側に極大を示すものであって、単
に変曲点によって識別されるようなショルダー(肩)状
のものや、サーモグラムにおける最大ピーク強度の1/
10未満の小さな変化によってピーク状に見えるものは
「ピーク」とはしない。これは、下記のように本発明が
サーモグラムの微小な変化を問題にするものではないか
らである。本発明での吸熱ピークはその半値幅(Wa1/2)
が30℃以下、さらに27℃以下、特に25℃以下が好まし
い。Wa1/2はピークからベースラインへ下ろした垂線の
中点からベースラインに平行に引いた線と融解サーモグ
ラムとが交わる2点間の温度差とする。ここで該線がサ
ーモグラムと交わる前に隣ピークとの境界線と交わった
場合この温度ともう一方の交点との温度差を取るものと
する。Wa1/2が30℃を超えると低温側でのヒートシール
強度やホットタック時の剥離距離が大きくなり好ましく
ない。
【0021】成形されたフィルムの持つラメラ厚さ分
布についての知見を得たい場合 本発明の低密度ポリエチレンフィルムではフィルム状態
から直接昇温サーモグラムを測定する。成形品の結晶融
解挙動は、ポリマー自体が持つ組成分布と加工中やその
後に被る種々の熱履歴により決定される。従ってフィル
ム自身の熱融解挙動を知りたい場合、測定前に該フィル
ムに熱的処理を施さず直接測定する必要がある。このた
め本発明ではフィルムをDSC測定パン内にいれ40℃から1
0℃/分の昇温速度で加熱して昇温サーモグラムを得
る。このサーモグラムについて、前述の場合と同様に
融解ピーク温度、融解ピーク熱量、およびピークの半値
幅を計算する。ただしこの場合には、それまでに受けた
熱履歴によるラメラ厚さ分布を重視する必要性があるた
め、最大ピーク強度の5%以上の変化があればピークと
認めることとする。従来のL-LDPEを用いて、後で述べる
加工法によって製造されたフィルムは、その昇温サーモ
グラムにおいて、本質的に単一の幅広い吸熱ピークを示
す。これに対して本発明のフィルムは、その昇温サーモ
グラムにおいて、下記のように複数の明瞭な吸熱ピーク
を示すことにより特徴づけられる。本発明で用いる低密
度ポリエチレンフィルムの昇温サーモグラムにおいて、
まず75ないし100℃の範囲内に、好ましくは80ないし95
℃の範囲内に吸熱ピーク(a)が観測されることが必要で
ある。吸熱ピーク(a)は上記温度範囲内に複数個観測さ
れてもよい。吸熱ピーク(a)のピーク温度がこの範囲よ
り高いと、十分低温からヒートシール性やホットタック
性が発現しない。
【0022】本発明で用いるポリエチレンフィルムの昇
温サーモグラムにおいて、さらに120℃以上に吸熱ピー
ク(b)が観測されることが必要である。吸熱ピーク(a)が
存在するだけでは、ホットタック性やヒートシール性の
発現する温度が十分低温にならず、しかもホットタック
性が発現する温度域が事実上実用性がない程極めて狭
い。吸熱ピーク(b)の吸熱量ΔHbが吸熱ピーク(a)の吸熱
量ΔHaに対する比、すなわちΔHb/ΔHaが0.03以上、好
ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.10以上であると
ヒートシール性やホットタック性が十分低温から発現す
るようになる。一方、ΔHb/ΔHaが2.0より大きいと、
ホットタック性やヒートシール性の発現する温度が高く
なり好ましくない。したがって、ΔHb/ΔHaは2.0以
下、好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.0以下であ
る。吸熱ピーク(b)の温度が120℃より低いと、ホットタ
ック性の発現する温度域が狭くなる。吸熱ピーク(b)は1
22℃以上に存在することが好ましい。しかしながら、ポ
リエチレンの融点は140℃を越えることはないから、吸
熱ピーク(b)のピーク温度はこれ以下である。吸熱ピー
ク(b)は上記温度範囲内に複数個観測されてもよい。
【0023】本発明は、本発明のポリエチレンフィルム
の昇温サーモグラムに上記の吸熱ピーク(a)および(b)以
外の吸熱ピークが存在することを妨げるものではない
が、本発明の効果を十分に発揮させるためには、ΔHaと
ΔHbとの和の全吸熱量ΔHtに対する比、すなわち(ΔHa
+ΔHb)/ΔHtは、0.6以上、さらに0.7以上、特に0.75
以上であることが好ましい。本発明のポリエチレンフィ
ルムでの吸熱ピーク(a)はその半値幅(Wa1/2)が27℃以
下、さらに25℃以下、特に23℃以下が好ましい。Wa1/2
はピーク(a)からベースラインへ下ろした垂線の中点か
らベースラインに平行に引いた線と融解サーモグラムと
が交わる2点間の温度差とする。ここで該線がサーモグ
ラムと交わる前に隣ピークとの境界線と交わった場合こ
の温度ともう一方の交点との温度差を取るものとする。
Wa1/2が27℃を越えると低温側でのヒートシール強度や
ホットタック時の剥離距離が大きくなり好ましくない。
【0024】(4)ポリエチレン混合物 本発明のポリエチレン混合物は、密度が0.895ないし0.9
15g/cm3、好ましくは0.900ないし0.910g/cm3であり、
α−オレフィン含有量が2.0ないし10.0mol%であるエチ
レンと炭素数3ないし10のα−オレフィンとの共重合体
であり、DSC昇温サーモグラムにおいて80〜100℃、好ま
しくは85ないし95℃の範囲内に吸熱ピークが観測され、
該吸熱ピークの吸熱量が全吸熱量に対して0.8以上であ
るエチレンと炭素数3ないし10のα−オレフィンとのラ
ンダム共重合体(I)99ないし60重量部と、密度が0.945以
上であって、DSC昇温サーモグラムにおいて125℃以上、
好ましくは130℃以上に吸熱ピークが観測される高密度
ポリエチレン(II)1ないし40重量部とを混合して得るこ
とができる。ただし、ここでランダム共重合体(I)と高
密度ポリエチレン(II)の合計量は100重量部である。
【0025】ランダム共重合体(I)は、本出願人が昭和6
3年6月8日に出願した「エチレン−α−オレフィン共
重合体の製造方法」なる発明の名称を有する特願昭63-1
42522号明細書に記載された方法によって得ることがで
きる。すなわち、炭化水素溶媒中、(a)遷移金属成分と
してVO(OR)nX3-n(ただし、Rは炭化水素基、Xはハロ
ゲン、0<n<3)なる式で示されるバナジウム化合物
および(b)有機金属成分としてR'mAlX3-m(ただし、R'は
炭化水素基、Xはハロゲン、1<m<3)で示される有
機アルミニウム化合物および(c)第三成分として下記一
般式R"(C=O)OR'''(ただし、R"は炭素数1〜20で、部分
的あるいは全てハロゲン置換された有機基、R'''は炭素
数1〜20の炭化水素基)で示されるエステル化合物(M
と略す)とから形成される触媒系を用いて、エチレンと
炭素数3ないし10のα−オレフィンを共重合するに際
し、Al/V(モル比)が2.5以上、M/V(モル比)が
1.5以上となる触媒条件下、エチレンとα−オレフィン
とのモル比を35/65ないし60/40として、重合温度40℃
ないし80℃において、炭化水素溶媒不溶ポリマー(スラ
リー部)および炭化水素溶媒可溶ポリマー(溶液部)共
存状態で共重合して得られる。又ランダム共重合体(I)
は本出願人が出願した特開昭60-226514号公報「エチレ
ン共重合体の製造方法」に記載された、三塩化バナジウ
ムとアルコールとを反応して得られるバナジウム化合物
を前記(a)遷移金属成分として用いて同様に重合するこ
とによっても得ることができる。ランダム共重合体(I)
は、その他特公昭46-21212号公報等に記載された方法に
よっても得ることができる。α−オレフィンとしては、
炭素数4ないし10のものが好ましい。炭素数6以上のα
−オレフィンを用いる場合には、特開昭60-226514 号公
報に記載されたバナジウム化合物を用いることが好まし
い。
【0026】高密度ポリエチレン(II)は、エチレンの単
独重合体および/またはエチレンと炭素数3ないし10個
のα−オレフィンとの共重合体であって、高密度ポリエ
チレンとして市販されているものの内から選ぶことがで
きる。ランダム共重合体(I)および高密度ポリエチレン
(II)のMFRは、混合物のMFRが0.1ないし100g/10分にな
る限り、それぞれ0.01ないし1000g /10分の範囲で任意
に選ぶことができる。この際、MFRの対数についてほぼ
加成性が成立することを目安にできる。ランダム共重合
体(I)と高密度ポリエチレン(II)との混合割合(重量
部)は、好ましくは98〜70/2〜30、さらに好ましくは
97〜80/3〜20である。ランダム共重合体(I)と高密度
ポリエチレン(II)とをいずれの成分も融解する温度以上
で混練すれば均一な混合物が得られる。混練機として
は、バッチ式あるは連続式、単軸あるいは多軸スクリュ
ウ方式、いずれのものも使用できるが、フィルム製造機
中の押出機も使用できる。
【0027】(5)フィルムの製造 本発明の低密度ポリエチレンフィルムは、前記(3)、(4)
で述べたポリエチレン混合物を、原料樹脂が融解する温
度で、インフレーション法、Tダイ法など公知の技術に
よって製造できる。インフレーション法は、吹き込み成
形法とも呼ばれ、押出機で溶融混練された樹脂がダイの
円形のスリットを通ってチューブ状に押し出され、この
チューブ内に吹き込まれる気体(通常は空気)の圧力を
調整することによって広範囲の幅のフィルムが製造でき
る。フィルムの幅と円形スリットの直径との比は、ブロ
ー・アップ・レシオ(BUR)と呼ばれている。フィルムの
厚さは、樹脂の押出速度とBURの選択によって調整でき
る。押し出されたチューブは、その外側から気体(通常
は空気)および/または液体(通常は水)によって冷却
される。水による冷却を行う方法は、水冷インフレーシ
ョン法と呼ばれ、透明性の優れたフィルムを得るために
用いられるが、フィルムの幅の変更が面倒である。ま
た、空気による冷却を行う方法は、空冷インフレーショ
ン法と呼ばれ、種々の冷却装置や方法が提案されている
が、大別すると、空冷を1段で行う方法と多段で行う方
法がある。従来、L-LDPEの1段空冷インフレーション法
によるフィルムは透明性が不十分で、この改良のため多
段空冷方式が提案されたが、多段空冷方式ではフィルム
の幅の変更が簡単ではなく、水冷インフレーション法と
同様、1台の機械で多種類のフィルムを経済的に製造で
きるというインフレーション法の特徴が失われる。本発
明では、1段空冷インフレーション法でも透明性の非常
に優れたフィルムが得られる。本発明で、水冷インフレ
ーション法や多段空冷インフレーション法でも透明性の
優れたフィルムが得られることは勿論である。加工時の
樹脂温度は完全融解温度から250℃の範囲内で通常は選
ばれる。
【0028】Tダイ法は、キャスト法とも呼ばれ、押出
機で溶融混練された樹脂がダイの平行スリットを通って
押し出され、水等の冷媒を通したロールに接触させられ
ることによって冷却され、一般に透明性が良く、厚み精
度の良いフィルムが製造できる。フィルムの厚さは、樹
脂の押出速度とフィルムの引取速度の選択によって調整
できる。加工時の樹脂温度は完全融解温度から350℃の
範囲内で通常は選ばれる。本発明のポリエチレン混合物
からなる単層のフィルムの厚さは、5ないし500μm、特
に10ないし100μmであることが望ましい。厚さがこの範
囲より薄いと、加工が難しい上にラミネーションする場
合に取り扱いが難しくなり、厚いと、加工が難しい上に
ヒートシール性が発揮されにくくなる。
【0029】(6)複合フィルム 本発明のフィルムは、その卓越したヒートシール特性を
十分に発揮させるために、他の基材との複合フィルムの
形態であること、特に本発明のポリエチレンフィルムが
少なくとも片側の表面層として存在する形態であること
が望ましい。基材としては、フィルム形成の可能な任意
の重合体、セロハン、紙、板紙、織物、アルミニウム箔
等から選択できる。フィルム形成の可能な重合体として
は、たとえば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、
ナイロン12等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフテ
レート、ポリブチレンテレフテレート等のポリエステル
樹脂、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ−4−メ
チル−1−ペンテン、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合
体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン
・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸共重合
体、アイオノマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化
ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニ
ルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体等
から、各々のガスバリヤー性、印刷性、透明性、剛性、
接着性等を勘案して、複合フィルムとする目的に応じて
選択できる。基材が延伸可能である場合、特にポリアミ
ド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン等のように
延伸されることによってフィルムの特性が向上する場
合、基材は1軸あるいは2軸に延伸されていてもよい。
【0030】複合フィルムの形態である場合、本発明の
低密度ポリエチレンの層の厚さは、1ないし500μm、特
に10ないし100μmであることが好ましい。基材層の厚さ
は任意であって、目的に応じて選択できる。また、複数
の基材を種々の構成でもって複合することも、すでに広
く行われていることであって、本発明でも採用すること
ができる。本発明において2以上の層を有する複合フィ
ルムは、ドライラミネーション法、ウエットラミネーシ
ョン法、サンドイッチラミネーション法、ホットメルト
ラミネーション法などのラミネーション法、共押出法、
押出コーティング法(押出ラミネーション法とも呼ばれ
る)およびこれらの組み合わせなど公知の技術によって
製造できる。
【0031】ラミネーション法においては、前記単層フ
ィルムの説明で述べた方法によって得られた本発明のフ
ィルムやここで述べる複合フィルムと他の基材とを、溶
剤型接着剤、水性型接着剤、ホットメルト接着剤、溶融
重合体などによって貼り合わせる。共押出法において
は、溶融・押出された本発明によるポリエチレン混合物
と溶融・押出された他の重合体とをダイの内部および/
または外部で接触させる。押出コーティング法において
は、他の基材やここで述べる複合フィルムの少なくとも
片方の表面に、溶融・押出された本発明によるポリエチ
レン混合物膜または上記共押出法による溶融重合体膜を
コーティングする。これらのさらに詳細については、加
工技術研究会発行の「ラミネート加工便覧」に記載され
ている。このように製造された複合フィルムのうち、基
材が1軸あるいは2軸に延伸が可能である場合はさらに
1軸あるいは2軸の延伸を加えることができ、この方法
によって本発明によるポリエチレン混合物の層の厚さを
1μm程度まで薄くした延伸複合フィルムを得ることが
できる。延伸は、テンター延伸方式、インフレーション
延伸方式、ロール延伸方式等公知の方法によって、基材
が延伸可能な温度範囲に複合フィルムを加熱することに
よってでき、必要とあらばさらにヒートセットされる。
【0032】(7)添加剤 本発明のフィルムおよび混合物は、酸化防止剤、耐候
剤、滑剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、無
滴剤、顔料、フィラー等の公知の添加剤を含有すること
ができる。 (8)用途 本発明のフィルムは、腰が強く(剛性が高く)、透明
性、光沢に優れ、衝撃強度が大きく、引き裂き強度の方
向間のバランスが良く、ヒートシール性の発現する温度
が低くかつその温度域が広いという包装用フィルムとし
て重要な性質全てが優れているので、単層フィルムある
いは複合フィルムの形態で、漬物等のように水とともに
包装される食品類、ミルク、スープ等の液体の食品類、
菓子等のような乾燥した食品類、ハム、ソーセージ等の
加工肉類の包装等々、種々の内容物の包装に用いること
ができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの
例になんら制約されるものではない。はじめに、以下の
実施例および比較例における物性値の測定方法を説明す
る。 (1)密度 JIS K6760 に規定された方法に従った。100 ℃の水中で
1時間アニールを行った後密度を測定した。 (2)メルトフローレート(MFR) JIS K6760に規定された方法に従った。 (3)示差走査熱量計(DSC) パーキエルマー社製DSC-7を用いた。 完全融解後徐冷した後昇温サーモグラムを測定する場
合 熱プレスにより作成した厚さ約0.5mmのシートから切り
出した約10mgの試片をDSC測定用サンプルパンに入れ、D
SC中で150℃で5分間プレメルトし、1℃/分で40℃ま
で降温し、5分間保持した後10℃/分の速度で150℃ま
で昇温しサーモグラムを得た。 フィルム状態から直接昇温サーモグラムを測定する場
合 数枚に重ねた約10mgのフィルムをDSC測定用サンプルパ
ンに入れ、DSC中で40℃で5分間保持した後10℃/分で1
50℃まで昇温しサーモグラムを得た。 (4)ヘイズ(曇り度) ASTM D1003に規定された方法に従った。この値が小さい
ほど、透明性が良いことを示す。 (5)グロス(光沢) JIS Z8741に規定された方法に従った。この値が大きい
ほど、光沢が良いことを示す。
【0034】(6)1%正割弾性率(Secant Modulus) フィルムの加工方向(MD)またはその直角方向(TD)に巾2
cmの試片を切り出し、引張り試験機にチャック間距離6
cmで取りつけ、5mm/分の速度で引っ張り、1%伸びた
時の応力から、100×(応力)/(断面積)の式で計算
した。 (7)ダート衝撃強度 ASTM D1709のA法に従った。 (8)エルメンドルフ引裂強度 JIS Z1702の規定された方法に従った。 (9)ヒートシール性 2枚の複合フィルムのポリエチレン層どうしを合わせ、
テスター産業社製ヒートシーラーを用いて、シール面圧
力1.0kg/cm2、シール時間1.0秒の条件でシール巾10mm
のヒートシールを行った。シールバーの温度(ヒートシ
ール温度)を5℃ずつ変えて同様にヒートシールを行っ
た。これから、シール面に直角方向に巾15mmの試片を切
り出し、ショッパー型引張り試験機を用いて、200mm/
分の速度で180°剥離強度を測定した。 (10)ホットタック性 15mm巾に切り出された複合フィルムのポリエチレン層ど
うしを合わせ、片方には滑車を介して30g の荷重をかけ
ておき、テスター産業社製ヒートシーラーを用いて、シ
ール面圧力1.3kg/cm2、シール時間0.3秒の条件でシー
ル巾20mmのヒートシールを行った。シール終了と同時に
荷重が落下し、シール終了から0.14秒後にシール面に荷
重による剥離力がかかることになるので、実際に剥離し
た長さを計測した。シールバーの温度(ヒートシール温
度)を5℃ずつ変えて同様の試験を行った。
【0035】実施例1〜11、比較例1、2、5、7 (1)ランダム共重合体(I) の製造 内容物200リットルの攪拌機付槽型反応器下部に、n−
ヘキサンに所定のエチレンとブテン−1を溶解させた溶
液を、n−ヘキサン80kg/時間、エチレンおよび1−ブ
テンをそれぞれ一定量/時間で連続的に供給した。別の
供給ラインから三塩化バナジル、エチルアルミニウムセ
スキクロリド、パークロルクロトン酸n−ブチルをそれ
ぞれ一定量/時間で連続的に供給した。反応器内温度
は、反応器外側に取り付けられたジャケットに冷却水を
循環することにより40℃又は50℃に制御した。反応器内
が常に満液状態になる様に反応器上部から重合液を連続
的に抜き出し、少量のメタノールを添加した重合反応を
停止させ、脱モノマーおよび水洗浄後、溶媒をスチーム
ストリッピングして、固形共重合体を取り出し、これを
80℃で減圧乾燥してエチレン−1−ブテンランダム共重
合体を得た。それぞれの共重合体の重合条件、共重合体
の生成速度および得られた共重合体の密度、MFRおよび
完全融解後徐冷した後測定したDSCサーモグラムにおけ
る吸熱ピークの値を表1に示す。
【0036】(2)ランダム共重合体(I)と高密度ポリ
エチレン(II)との混合物 上記(1)で得られた各ランダム共重合体I-A〜I-Eの各々
と、表2に示すニッサンポリエチレン(登録商標) 101
0(II-A) 、2010(II-B)、又は1070(II-C)とを表3、又は
表4に記載した割合で、日本ロール製造社製#0型イン
テンシブミキサー機を用い、回転数35rpm 、150℃で10
分間混練した。この際、上記樹脂の合計100重量部に対
して、ステアリン酸カルシウムを0.20重量部、イルガノ
ックス(登録商標) 1076 を0.15重量部、サンドスター
ブ(登録商標) P-EPQを0.10重量部、エルカ酸アミドを
0.08重量部、シリカ系抗ブロッキング剤を0.10重量部
(実施例1〜3、比較例1、3)又は0.40重量部(実施
例4〜11、比較例5、6、7)添加した。ここで用いた
ニッサンポリエチレンは赤外スペクトル分析からいずれ
もエチレン−1−ブテン系共重合体である。各高密度ポ
リエチレン(II)の密度、MFR、完全融解後徐冷した後測
定したDSC昇温サーモグラムにおける吸熱ピークの値お
よび該吸熱ピークの半値幅を表2に示す。この様にして
得られた均一混合物の密度、MFR、完全融解後徐冷した
後測定したDSCサーモグラムにおける吸熱ピーク温度、
ΔHb/ΔHa、(ΔHa+ΔHb)/ΔHt、Wa1/2を表3及び
表4に示す。
【0037】(3)フィルムの製造 インフレーション法 (実施例1〜10、比較例1、2、5、7)ダイ径125m
m、ダイリップ2.0mmのスパイラルダイおよびアイリス付
き1段エアーリングを備えたプラコー社製インフレーシ
ョン成形機K-40Rを用いて、24kg/時間の押出速度、170
℃のダイ設定温度、1.8のブローアップ比なる条件で、
上記(2)で得られた均一混合物から30μmの厚さのフィル
ムを得た。こうして得られたフィルムの物性を表3、表
4に示す。次に示す複合フィルムの製造に供するフィル
ムは、装置に取り付けられたコロナ処理機により、表面
張力が42〜45dyne/cmとなるようにコロナ処理を施し
た。 Tダイ法(実施例11) 内径50mmの押し出し機、ダイ巾400mm、ダイギャップ0.7
mmのTダイとセミマットロールを備えた、田辺プラスチ
ック製Tダイフィルム成形機で、加工温度270℃、押出
量6.4kg/時間、チルロール温度75℃で30μmの厚さのフ
ィルムを得た。装置に取り付けられたコロナ処理機によ
り、表面張力が42〜45dyne/cmとなる様にコロナ処理を
施した。こうして得られたフィルムの物性を表4に示
す。
【0038】(4)複合フィルムの製造 サンドイッチラミネーション法 (実施例1〜3、比較例1、2)延伸ナイロン(厚さ15
μm)/LDPE(厚さ20μm)基材フィルムと上記(3)で得
られたフィルムとを、住友重機械製65mmφ押出機と田辺
プラスチックス機械製L550型ラミネーターを用い、樹脂
温度320℃のスミカセンL705を中間に押し出すことによ
り中間層の厚さが30μmのサンドイッチ・ラミネーショ
ン複合フィルムを得た。こうして得られた複合フィルム
のヒートシール性を表5に、ホットタック性を表6に示
す。 ドライラミネーション法 (実施例4〜11、比較例5、6、7)康井精機製卓上型
テストコーターを用いて、上記(3)で得られたフィルム
を、乾燥後2g/m2となる様にウレタン系接着剤を塗付
した厚さ15μmの延伸ナイロン基材フィルムに、40℃で
3g/cm2で圧着させた後、40℃で2日間加温熱成するこ
とによりドライラミネーション複合フィルムを得た。こ
うして得られた複合フィルムのヒートシール性を表7に
ホットタック性を表8に示す。
【0039】比較例3 住友化学工業株式会社製スミカセン−L(登録商標)の
試作品で、密度0.913、MFR1.9のもの(赤外吸収スペク
トル分析からエチレン−1−ブテン系共重合体である)
を実施例2の均一混合物の変わりに用いる外は実施例2
の(3)および(4)と同様に行った。上記試作品の完全融解
後徐冷した後測定したDSCサーモグラムにおける吸熱ピ
ークは103.0および120.4℃に観測され、両吸熱ピーク間
の112.0℃で昇温サーモグラムの極小値を示した。この1
12.0 ℃を境にした低温側の吸熱量に対する高温側の吸
熱量の比は0.42、低温側ピークの半値幅は34.2℃であっ
た。又こうして得られたフィルムを直接昇温して得られ
たDSCサーモグラムでは116.0 ℃のみにピークを持ちそ
の半値幅は29.8℃であった。こうして得られたフィルム
および複合フィルムの性質を表3及び表5、6に示す。
【0040】比較例4 三井石油化学工業株式会社製ウルトゼックス(登録商
標) 1520L(密度0.913、MFR2.5、赤外吸収スペクトル
分析から4−メチル−1−ペンテンが9.1重量%共重合
されているエチレン−4−メチル−1ペンテン系共重合
体である)を実施例2の均一混合物のかわりに用いる外
は実施例2の(3)および(4)と同様に行った。ただし、原
料ペレット100重量部あたり0.15重量部の抗ブロッキン
グ剤が分析されたので、抗ブロッキング剤をさらに添加
することはしなかった。上記試料の完全融解後徐冷した
後測定したDSCサーモグラムにおける吸熱ピークは102.3
および119.3℃に観測され、両吸熱ピーク間の115.4℃で
昇温サーモグラムの極小値を示した。この115.4℃を境
にした低温側の吸熱量に対する高温側の吸熱量の比は0.
19、低温側ピークの半値幅は31.0℃であった。又こうし
て得られたフィルムを直接昇温して得られたDSCサーモ
グラムでは109.4℃のみにピークを持つ幅広い分布を持
ちその半値幅は27.6℃であった。こうして得られたフィ
ルムおよび複合フィルムの性質を表3及び表5、6に示
す。
【0041】比較例6 住友化学工業株式会社製スミカセン−L(登録商標)の
試作品で、密度0.914、MFR2.7のもの(赤外吸収スペク
トル分析からエチレン−1−ブテン系共重合体である)
に対してシリカ系抗ブロッキング剤を0.40重量部溶融混
練した試料を実施例9の均一混合物の変わりに用いる外
は実施例9の(3)および(4)と同様に行った。上記試作品
の完全融解後徐冷した後測定したDSC サーモグラムにお
ける吸熱ピークは101.4℃および120.3℃に観測され、両
吸熱ピーク間の111.8℃で昇温サーモグラムの極小値を
示した。この111.8℃を境にした低温側の吸熱量に対す
る高温側の吸熱量の比は0.33、低温側ピークの半値幅は
31.6℃であった。又こうして得られたフィルムを直接昇
温して得られたDSC サーモグラムでは109.5 ℃のみにピ
ークを持ちその半値幅は27.8℃であった。こうして得ら
れたフィルムおよび複合フィルムの性質を表4及び表
7、8に示す。
【0042】実施例12、比較例8 (1)バナジウム系触媒(a)の合成 アルゴン置換された100mlフラスコ中に三塩化バナジウ
ム0.033モルとn−ヘプタン26mlを加えて50℃に昇温
し、メチルアルコール0.165モルを加えて、アルゴン気
流中で攪拌下、50℃で1時間反応させた。反応後、上澄
液をガラスフィルターで抜出し、25mlのn−ヘプタンで
3回洗浄し、減圧乾燥を行って、n−ヘプタンに不溶の
暗緑色固体粉末状バナジウム化合物を得た。このバナジ
ウム化合物の組成を分析するとバナジウム原子が21重量
%、塩素原子が42重量%、CH3OHが40重量%であった。
従って、このバナジウム化合物はVCl 3・3.0CH3OH(一般
式V(OR)mCl3-mnROHのmおよびnが0および3.0)で示
される化合物であった。また、この化合物のX線粉末ス
ペクトルは三塩化バナジウム特有のスペクトルは認めら
れなかった。 (2)ランダム共重合体I−Gの製造 内容積100 リットルの攪拌機付反応器にn−ヘキサン60
リットル、1−ヘキセン3.8kg 、エチルアルミニウムセ
スキクロリドの10wt%ヘキサン溶液を400ml 供給した。
反応器外にとりつけたジャケットに温水を循環すること
により反応器内部を30℃に昇温した。次に水素1.5kg /
cm2、エチレン4.5kg /cm2を供給し、これに前記バナジ
ウム系触媒(a)1.58gとエチルアルミニウムセスキクロリ
ドの10wt%ヘキサン溶液70mlの混合物を投入し重合を開
始した。20分毎5回に分けて1mmol/mlのパークロロク
ロトン酸n−ブチル溶液を1.25mlずつ投入した。反応途
中で全圧力が一定となる様にエチレンを供給した。又ジ
ャケットに冷却水を循環することにより、反応器中の温
度を30℃に保った。重合開始から2時間後に反応器中の
ガスをパージし、内容物を大量のメタノールに加えて沈
澱物を得た。これらをろ過し固形物を乾燥することによ
りエチレン−1−ヘキセンランダム共重合体を得た。こ
の様にして得られた共重合体のMFR、完全融解後徐冷し
た後に測定したDSCサーモグラムでの測定結果を表4に
示す。
【0043】(3)ランダム共重合体と高密度ポリエチ
レンとの混合物 上記(2)で得られたランダム共重合体I−Gを実施例9
の(2)と全く同様の条件で日産ポリエチレン1010(II-A)
と混合した。この様にして得られた共重合体のMFR、完
全融解後徐冷した後に測定したDSCサーモグラムでの測
定結果を表4に示す。 (4)フィルムおよび複合フィルムの製造 上記(3)によって得られたポリエチレンペレットを用い
て実施例10の(3)、(4)と全く同様の方法で行った。得ら
れたフィルムから直接測定したDSCサーモグラムの各測
定値を表4に示す。こうして得られたフィルムおよび複
合フィルムの性質を表4および表7、8に示す。
【0044】比較例9 住友化学工業株式会社製スミカセンα(登録商標)の試
作品で、密度0.913、MFR2.0のもの(赤外吸収スペクト
ル分析からエチレン−1−ヘキセン系共重合体である)
に対してシリカ系抗ブロッキング剤を0.40重量部溶融混
練した試料を実施例12の均一混合物の変わりに用いる
外は実施例12の(3)と同様に行った。上記試作品の完
全融解後徐冷した後測定したDSCサーモグラムにおける
吸熱ピークは103.6℃および121.0℃に観測され、両吸熱
ピーク間の114.0℃で昇温サーモグラムの極小値を示し
た。この114.0 ℃を境にした低温側の吸熱量に対する高
温側の吸熱量の比は0.30、低温側ピークの半値幅は33.4
℃であった。又こうして得られたフィルムを直接昇温し
て得られたDSCサーモグラムでは109.4℃のみにピークを
持ちその半値幅は29.2℃であった。こうして得られたフ
ィルムおよび複合フィルムの性質を表4及び表7、8に
示す。
【0045】実施例1ないし3の均一混合物、比較例4
のウルトゼックス(登録商標)1502Lについて、DSC昇温
サーモグラム測定において降温過程の速度を1℃/分と
した時と10℃/分とした時の昇温サーモグラムにおける
吸熱ピークのピーク温度を表9に示す。また、図1ない
し図4に実施例2および比較例4の降温条件を変えた昇
温サーモグラムを示す。図において横軸は温度、縦軸は
ピーク高さ(吸熱)をあらわす。図1〜図2と図3〜図
4との対比から、1℃/分の降温速度の時には1本であ
った高温側の吸熱ピークが、10℃/分と降温速度を大き
くすると分裂する場合があることがわかる。この分裂
は、急速な冷却下に十分成長できなかったラメラ晶が昇
温過程で融解−再結晶化して生じたと考えられる。な
お、図1および図2における温度軸(横軸)にほぼ平行
な直線はベースラインを示し、また、垂直な直線は各吸
熱ピーク間においてサーモグラムが極小値を示す温度を
示し、この温度を境にして各ピークの吸熱量が算出され
る。又実施例2および比較例4のフィルムから得られる
DSC 昇温サーモグラムを図5および図6に示す。実施例
2のフィルムでは92.2℃および125.8℃に明確なピーク
をもつが、比較例4のフィルムでは、109.0℃にピーク
を持つ幅広い融解パターンを示す。表5、6での実施例
2は比較例3、4よりも、又は表7、8での実施例5〜
10は比較例6よりもさらに実施例12は比較例9よりも
低温からヒートシール、ホットタック性が発現し、なお
かつホットタック性の発現する温度域が顕著に広いこと
が分かる。更に表8では比較例5は同程度の密度を有す
る実施例4、5と比べてホットタックの最小剥離距離が
長くなっており強度が劣ることがわかる。又表3、4で
同じ密度で比較すると実施例は従来のL-LDPEからのフィ
ルムに比べて、透明性(ヘイズ)、光沢(グロス)、衝
撃強度が格段に優れ、腰(1%正割弾性率)も強い。こ
のように、本発明のフィルムは従来のフィルムに較べ
て、包装用フィルムとして格段に優れたものである。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】
【表8】
【0054】
【表9】
【0055】
【発明の効果】以上述べたように本発明により、ヒート
シール性、ホットタック性、透明性、光沢、腰、衝撃強
度、および引裂強度の全ての物性を高度に満足する包装
用用途に最適な低密度ポリエチレン系フィルムおよびそ
の材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1℃/分の速度での降温後10℃/分の速度にお
ける実施例2の昇温サーモグラムを示す図面である。
【図2】1℃/分の速度での降温後10℃/分の速度にお
ける比較例4の昇温サーモグラムを示す図面である。
【図3】10℃/分の速度での降温後10℃/分の速度に
おける実施例2の昇温サーモグラムを示す図面である。
【図4】10℃/分の速度での降温後10℃/分の速度に
おける比較例4の昇温サーモグラムを示す図面である。
【図5】フィルム状態から直接測定した10℃/分の速度
での実施例2の昇温サーモグラムを示す図面である。
【図6】フィルム状態から直接測定した10℃/分の速度
での比較例4の昇温サーモグラムを示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 半場 雅志 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学 工業株式会社内 (72)発明者 今井 昭夫 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学 工業株式会社内 (72)発明者 杉森 清行 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学 工業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18 CES B32B 27/32 103 C08L 23/06 C08L 23/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】密度が0.895ないし0.915g/cm3であり、完
    全融解後徐冷した後示差走査熱量計により測定される昇
    温サーモグラムにおいて、80ないし100℃の範囲内に吸
    熱ピークが観測され、該吸熱ピークの吸熱量が全熱量に
    対して0.8以上である、αオレフィン含有量が2.0ないし
    10.0mol%であるエチレンと炭素数3ないし10のαオレ
    フィンとのランダム共重合体(I)60ないし99重量部およ
    び密度が0.945g/cm3以上であって、完全融解後徐冷し
    た後示差走査熱量計により測定される昇温サーモグラム
    において125℃以上に吸熱ピークが観測される高密度ポ
    リエチレン(II)40ないし1重量部からなり、密度が0.90
    0ないし0.930g/cm3、メルトフローレートが0.1ないし1
    00g/10分であることを特徴とするポリエチレン混合物
    (ただし、ここでランダム共重合体(I)と高密度ポリエ
    チレン(II)との合計量は100重量部である。)。
  2. 【請求項2】請求項1記載のポリエチレン混合物からな
    ることを特徴とするフィルム。
  3. 【請求項3】少なくとも片側の表面層が請求項2記載の
    フィルムからなる層であることを特徴とする複合フィル
    ム。
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