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JP3128098B2 - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

自動変速機の油圧制御装置

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Publication number
JP3128098B2
JP3128098B2 JP04361563A JP36156392A JP3128098B2 JP 3128098 B2 JP3128098 B2 JP 3128098B2 JP 04361563 A JP04361563 A JP 04361563A JP 36156392 A JP36156392 A JP 36156392A JP 3128098 B2 JP3128098 B2 JP 3128098B2
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pressure
shift
valve
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実 栗山
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Mazda Motor Corp
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動変速機の油圧制
御装置、特にシフトアップ変速時に当該変速時における
慣性トルクに対応してライン圧を上昇させるようにした
自動変速機の油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に自動車に搭載される自動変速機
は、エンジン出力が入力されるトルクコンバータと、該
コンバータの出力によって駆動される変速機構とを組み
合わせ、この変速機構の動力伝達経路を複数の摩擦要素
の選択的締結によって切り換えることにより、所定の変
速段に自動的に変速するように構成されたものである
が、この種の自動変速機においては上記各摩擦要素の締
結力が油圧によって制御されるようになっている。その
場合に、摩擦要素に供給される油圧(ライン圧)が入力
トルクに対して相対的に低過ぎると、該摩擦要素のトル
ク伝達容量が不足して、所要のトルクを確実に伝達でき
ないことになる。逆に、摩擦要素に供給されるライン圧
が入力トルクに対して高すぎると、該摩擦要素の締結時
に所謂変速ショックが発生すると共に、オイルポンプを
駆動するためのトルクが必要以上に大きくなってエンジ
ン出力を徒に消費することになる。そのため、例えばエ
ンジン出力を代表するスロットル開度に応じてライン圧
を調整し、これによりライン圧を摩擦要素の入力トルク
に対応させるのが通例である。
【0003】ところで、変速時においてはギヤ比を目的
とする変速段に一致させるために変速機構の回転調整が
行われる。その場合に、例えばシフトアップ変速時にお
いては、変速機構の回転を低下させるためにトルクが放
出されることになる。つまり、変速動作に関与する摩擦
要素には、入力トルクに加えて回転調整のための慣性ト
ルクが付加されることになり、このため変速動作時間が
長くなって変速フィーリングを悪化させる可能性があ
る。
【0004】このような問題に対しては、変速時におい
て摩擦要素に供給されるライン圧ないし締結圧を、摩擦
要素のへの入力トルクに当該変速時における慣性トルク
を加味した圧力に設定する場合がある(例えば特公表5
8−501477号公報参照)。これによれば、例えば
シフトアップ変速時においては、摩擦要素に供給される
締結圧が当該変速時に放出される慣性トルクに対応する
分だけ上昇することになるので、上記の不都合が回避さ
れることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の自
動変速機においては、変速時における摩擦要素への締結
圧の供給時に、該摩擦要素が急激に締結されることによ
る変速ショックを防止するために、当該摩擦要素への締
結圧供給油路にアキュムレータが備えられることがあ
る。
【0006】このように締結圧供給油路にアキュムレー
タが設置された摩擦要素が変速動作に関与するシフトア
ップ変速時において、上記のようにライン圧を上昇させ
るようにすると次のような新たな問題を発生することに
なる。
【0007】つまり、従来においては、例えば図8に示
すように、変速条件が満たされて変速用のシフトフラグ
がセットされたときに、ライン圧が上昇制御されるよう
になっている。その場合に、ライン圧の上昇指令が出力
されてから実際にライン圧が上昇するまでに応答遅れが
あるため、図の矢印(a)で示すようにアキュムレータ
による棚圧の形成が著しく遅れることになる。この遅れ
により、変速動作初期のトルクフェーズが図の矢印
(b)で示すように長くなって、結果的に変速動作時間
が長くなって変速フィーリングを悪化させることになる
のである。
【0008】この発明は、摩擦要素への締結圧の供給を
制御する油圧回路に、該摩擦要素に供給する締結圧を制
御するアキュムレータを備え、かつシフトアップ変速時
に当該変速時における慣性トルクに対応してライン圧を
上昇させるようにした自動変速機における上記の問題に
対処するもので、シフトアップ変速時に摩擦要素にアキ
ュムレータを介して締結圧が供給される場合においても
変速動作を良好に行わせるようにすることを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本願の請求項
1の発明(以下、第1発明という)に係る自動変速機の
油圧制御装置は、摩擦要素への締結圧の供給を制御する
油圧回路に、該摩擦要素に供給する締結圧を制御するア
キュムレータを備え、かつシフトアップ変速時に当該変
速時における慣性トルクに対応してライン圧を上昇させ
るようにした自動変速機において、シフトアップ変速前
の変速段で、上記慣性トルクに対応してライン圧を上昇
させるライン圧上昇手段を設けたことを特徴とする。
【0010】また、本願の請求項2の発明(以下、第2
発明という)に係る自動変速機の油圧制御装置は、摩擦
要素への締結圧の供給を制御する油圧回路に、該摩擦要
素に供給する締結圧を制御するアキュムレータと、該ア
キュムレータに供給する背圧を制御する背圧制御手段と
を備え、かつシフトアップ変速時に当該変速時における
慣性トルクに対応してライン圧を上昇させるようにした
自動変速機において、シフトアップ変速前の変速段で、
上記慣性トルクに対応してライン圧を上昇させるライン
圧上昇手段を設けたことを特徴とする。
【0011】そして、本願の請求項3の発明(以下、第
3発明という)に係る自動変速機の油圧制御装置は、上
記第1、第2発明におけるライン圧上昇手段を、変速パ
ターンを構成するシフトアップ変速ラインの近傍領域で
ライン圧を上昇させるように構成したことを特徴とす
る。
【0012】
【作用】上記の構成によれば、次のような作用が得られ
る。
【0013】すなわち、第1、第2発明の構成のいずれ
においても、シフトアップ前の変速段においても当該変
速時に放出される慣性トルクに応じてライン圧が増圧さ
れることになるので、変速指令が出力されたときには増
圧されたライン圧がアキュムレータを介して摩擦要素に
供給され、これにより変速動作初期においても該アキュ
ムレータによって適切な棚圧が形成されることになっ
て、変速動作が良好に行われることになる。
【0014】特に、第2発明によれば、摩擦要素への締
結圧の供給を制御する油圧回路に、該摩擦要素に供給す
る締結圧を制御するアキュムレータと、該アキュムレー
タに供給する背圧を制御する背圧制御手段とが備えられ
たものにおいて、変速指令が出力された時点においてラ
イン圧が上昇していることになるので、背圧制御手段に
よる圧力上昇方向の応答性が向上することになる。
【0015】また、第3発明によれば、変速パターンを
構成するシフトアップ変速ラインの近傍でライン圧が上
昇されるだけなので、オイルポンプによるポンプロスが
大幅に低減されることになる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0017】図1に示すように、この実施例に係る自動
変速機1は、トルクコンバータ10と、該トルクコンバ
ータ10と同一軸線上に配置された主変速機20と、こ
れらの軸線と平行な軸線上に配置された副変速機30と
を有する。
【0018】上記トルクコンバータ10は、エンジン出
力軸2に連結されたケース11に一体のポンプ12と、
該ポンプ12に対向配置されて該ポンプ12により作動
油を介して駆動されるタービン13と、該ポンプ12と
タービン13との間に配置され、かつワンウェイクラッ
チ14を介して変速機ケース3に支持されたステータ1
5と、上記タービン13に連結されたコンバータ出力軸
16と、上記ケース11を介して該出力軸16をエンジ
ン出力軸2に直結するロックアップクラッチ17とで構
成されている。
【0019】なお、トルクコンバータ10と主変速機2
0との間には、該トルクコンバータ10を介してエンジ
ン出力軸2に駆動されるオイルポンプ4が配置されてい
る。
【0020】上記主変速機20は、コンバータ出力軸1
6上におけるトルクコンバータ側に配置されたフロント
遊星歯車機構21と、反トルクコンバータ側に配置され
たリヤ遊星歯車機構22とを有する。そして、上記コン
バータ出力軸16が、前進クラッチ23を介してフロン
ト遊星歯車機構21のサンギヤ21aに、また、直結ク
ラッチ24を介してリヤ遊星歯車機構22のサンギヤ2
2aにそれぞれ結合されるようになっていると共に、フ
ロント遊星歯車機構21のサンギヤ21aとリヤ遊星歯
車機構22のリングギヤ22bとが結合されている。
【0021】また、フロント遊星歯車機構21のリング
ギヤ21bと変速機ケース3との間には、第1ワンウェ
イクラッチ25とローリバースブレーキ26とが並列に
配置されていると共に、リヤ遊星歯車機構22のサンギ
ヤ22aと変速機ケース3との間には、第2ワンウェイ
クラッチ27と3−4ブレーキ28とが直列に配置さ
れ、かつ、これらに並列にエンジンブレーキ用のコース
トブレーキ29が配置されている。そして、フロント遊
星歯車機構21及びリヤ遊星歯車機構22のピニオンキ
ャリヤ21c,22cが結合され、これらに主変速機2
0から副変速機30へ動力を伝達する中間ギヤ5が連結
されている。
【0022】このような構成により、この主変速機20
によれば、上記前進クラッチ23、直結クラッチ24、
3−4ブレーキ28及びローリバースブレーキ26を選
択的に締結させることにより、前進の低速段、中速段及
び高速段と後退段とが得られることになる。
【0023】一方、副変速機30は単一の遊星歯車機構
31を有し、上記主変速機20における中間ギヤ5に常
時噛み合った中間ギヤ6が該遊星歯車機構31のリング
ギヤ31aに連結されていると共に、該リングギヤ31
aとサンギヤ31bとの間には直結クラッチ32が配置
され、かつ、サンギヤ31bと変速機ケース3との間に
は、第3ワンウェイクラッチ33と減速ブレーキ34と
が並列に配置されている。そして、該遊星歯車機構31
のピニオンキャリヤ31cに出力ギヤ7が連結され、該
ギヤ7から差動装置を介して左右の駆動輪(図示せず)
に動力が伝達されるようになっている。
【0024】この副変速機30は、主変速機20から中
間ギヤ5,6を介して入力される動力を低速段と高速段
の前進2段に変速して出力ギヤ7に出力することができ
るようになっている。
【0025】つまり、直結クラッチ32が解放されてい
る状態では、第3ワンウェイクラッチ33もしくは減速
ブレーキ34によって遊星歯車機構31のサンギヤ31
bが固定されることにより、該遊星歯車機構31のリン
グギヤ31aに入力される中間ギヤ6からの動力が減速
されてピニオンキャリヤ31cから出力ギヤ7に出力さ
れ、これにより低速段が得られる。その場合に、上記減
速ブレーキ34が締結されておれば、この副変速機30
の単体として、エンジンブレーキが作動することにな
る。
【0026】また、上記直結クラッチ32が締結され、
かつ減速ブレーキ34が解放されておれば、該遊星歯車
機構31のリングギヤ31aとサンギヤ31bとが結合
されることにより、上記中間ギヤ6からの動力がピニオ
ンキャリヤ31cからそのまま出力ギヤ7に出力され、
これにより高速段(直結段)が得られることになる。
【0027】このようにして、主変速機20によって前
進3段、後退1段の変速段が得られ、また、副変速機3
0によって、主変速機20の出力に対して高低2段の変
速段が得られるから、自動変速機1の全体としては前進
については6段の変速段が得られ、また、後退について
は、主変速機20の後退段と副変速機30の減速ブレー
キ34が締結された低速段との組合せで全体としての後
退段が得られることになる。そして、この実施例では、
前進変速段としては上記6段のうちの所定の5段を採用
するようになっている。
【0028】ここで、この前進5段、後退1段の各変速
段における各クラッチやブレーキの作動状態をまとめる
と、表1のようになる。なお、表1中、(○)は、エン
ジンブレーキ用のレンジのみで締結されることを示す。
【0029】
【表1】 次に、上記表1に従って各クラッチ及びブレーキを選択
的に締結させることにより、運転状態もしくは運転者の
要求に応じた変速段を形成する油圧回路について説明す
る。
【0030】図2に示すように、この油圧回路40に
は、まず、オイルポンプ4から吐出される作動油の圧力
を所定圧力のライン圧に調整するレギュレータバルブ4
1が備えられ、該レギュレータバルブ41によって調整
されたライン圧が、メインライン42により、運転者に
よって操作されるマニュアルバルブ43と、各種制御用
元圧を生成する第1〜第3レデューシングバルブ44,
45,46とに供給されるようになっている。
【0031】これらのレデューシングバルブ44〜46
のうち、第1レデューシングバルブ44によって一定圧
に減圧された制御用元圧はライン47を介してモデュレ
ータバルブ48に供給されるようになっている。そし
て、このモデュレータバルブ48の制御ポート48aに
はデューティソレノイドバルブ49によって調整された
制御圧が供給され、このデューティソレノイドバルブ4
9のデューティ率(1ON,OFFサイクル中のON時
間の比率)に応じて上記制御元圧からモデュレータ圧が
生成されると共に、このモデュレータ圧がライン50を
介して上記レギュレータバルブ41の第1増圧ポート4
1aに供給され、これにより、ライン圧が上記デューテ
ィ率に応じて増圧されるようになっている。その場合
に、上記デューティ率はエンジン出力に基づいて設定さ
れることにより、ライン圧がエンジン出力に応じた値に
調整されることになる。
【0032】なお、上記モデュレータ圧をレギュレータ
バルブ41の第1増圧ポート41aに供給するライン5
0には、デューティソレノイドバルブ49の周期的O
N,OFF動作に起因する油圧の脈動を抑制するための
第1アキュムレータ51が設置されている。
【0033】また、上記マニュアルバルブ43は、D,
3,2,1の各前進レンジと、R(後退)レンジと、N
(中立)レンジと、P(駐車)レンジの設定が可能とさ
れており、前進レンジでは、上記メインライン42を前
進ライン52に、Rレンジでは後退ライン53にそれぞ
れ接続させるようになっている。
【0034】上記前進ライン52は、作動油の供給時と
排出時とで絞り量を異ならせたオリフィス54を介して
前進クラッチ23に導かれており、したがって、D,
3,2,1の各前進レンジでは、前進クラッチ23が常
時締結されることになる。その場合に、この前進ライン
52には、前進クラッチ23への締結圧の供給時におけ
るショックを緩和するための第2アキュムレータ55が
設置され、このアキュムレータ55に上記メインライン
42からライン56を介して背圧が供給されるようにな
っている。
【0035】ここで、副変速機30における直結クラッ
チ32の油圧室として受圧面積の異なる第1、第2油圧
室32a,32bが設けられており、これらの油圧室3
2a,32bに同一の締結圧が導入された場合に、受圧
面積の大きい第1油圧室32aに締結圧が導入された場
合の方が、受圧面積の小さい第2油圧室32bに締結圧
が導入される場合よりも大きな締結力が得られるように
なっている。
【0036】また、減速ブレーキ34についても、受圧
面積の異なる第1、第2油圧室34a,34bが設けら
れており、これらの油圧室34a,34bに同一の締結
圧が導入された場合に、受圧面積の大きい第1油圧室3
4aに締結圧が導入された場合の方が、受圧面積の小さ
い第2油圧室34bに締結圧が導入される場合よりも大
きな締結力が得られるようになっている。
【0037】そして、副変速機30における減速ブレー
キ34の受圧面積の大きな第1油圧室34aには、上記
後退ライン53が直接導かれており、したがって、Rレ
ンジでは、この第1油圧室34aに導入されるライン圧
により、減速ブレーキ34が大きな締結力で締結される
ことになる。なお、この後退ライン53からはレギュレ
ータバルブ41の第2増圧ポート41bに通じるライン
57が分岐され、Rレンジでライン圧の調整値を高くす
るようになっている。
【0038】一方、上記メインライン42、前進ライン
52及び後退ライン53からは、主変速機20における
変速用の第1、第2、第3シフトバルブ61,62,6
3と、副変速機30における変速用の第4、第5シフト
バルブ64,65とにライン圧が供給されるようになっ
ている。
【0039】これらのシフトバルブ61〜65は、いず
れも一端に制御ポート61a〜65aが設けられ、上記
第2レデューシングバルブ45から導かれた制御用元圧
ライン66が主変速機用の第1〜第3シフトバルブ61
〜63の各制御ポート61a〜63aに、また、第3レ
デューシングバルブ46から導かれた制御用元圧ライン
67が副変速機用の第4、第5シフトバルブ64,65
の各制御ポート64a,65aにそれぞれ接続されてい
る。
【0040】上記制御用元圧ライン66,67には、第
1〜第5シフトバルブ61〜65に対応させて第1〜第
5ON−OFFソレノイドバルブ71〜75が設置され
ている。これらのON−OFFソレノイドバルブ71〜
75は、ON時に当該シフトバルブ61〜65の制御ポ
ート61a〜65a内をドレンさせるようになってお
り、したがって、各シフトバルブ61〜65のスプール
は、対応するON−OFFソレノイドバルブ71〜75
がONのときに図面上、左側に位置し、OFFのときに
右側に位置することになる。
【0041】そして、これらのソレノイドバルブ71〜
75のON,OFFの組合せ、即ち各シフトバルブ61
〜65のスプールの位置の組合せに応じて、上記メイン
ライン42、前進ライン52もしくは後退ライン53か
ら各クラッチ及びブレーキに通じるラインが選択的に連
通され、これにより、前記表1に示すところに従って各
クラッチ及びブレーキが締結されて、1〜5速と後退速
とが得られることになる。その場合に、各クラッチ及び
ブレーキに供給される締結圧は、それぞれ次のようにし
て適正値に制御されるようになっている。
【0042】つまり、主変速機20における直結クラッ
チ24、コーストブレーキ29、ローリバースブレーキ
26及び3−4ブレーキ28については、ライン圧を減
圧して所定の締結圧に調整するためのコントロールバル
ブ76,77,78,79がそれぞれ備えられ、これら
のうち、コーストブレーキ用、ローリバースブレーキ用
及び3−4ブレーキ用のコントロールバルブ77,7
8,79については、制御ポート77a,78a,79
aに第1リニアソレノイドバルブ80によって調整され
た制御圧がライン81を介して供給されて、該制御圧に
応じて締結圧がそれぞれ制御されるようになっている。
【0043】また、直結クラッチ用コントロールバルブ
76の制御ポート76aには、ライン82によって直結
クラッチ24に供給される締結圧自体がワンウェイオリ
フィス83と第3アキュムレータ84とが設けられたラ
イン85を介して制御圧として供給され、このアキュム
レータ84の作動により該締結圧の立ち上がりが制御さ
れるようになっている。
【0044】なお、上記第1リニアソレノイドバルブ8
0は、上記第1レデューシングバルブ44からライン4
7を介して供給される制御元圧をコントローラ(図3参
照)からの制御信号に応じて調整して、そのときの変速
段や運転状態に応じた制御圧を生成するようになってい
る。また、上記直結クラッチ用コントロールバルブ76
と、上記ローリバースブレーキ用コントロールバルブ7
8の一端に設けられたポート76b,78bには、上記
後退ライン53から分岐された調圧動作禁止用ライン8
6がそれぞれ接続され、Rレンジで、これらのポート7
6b,78bにライン圧が供給されてスプールが図面上
の左側の位置に固定されることにより、該直結クラッチ
用及びローリバースブレーキ用コントロールバルブ7
6,78の調圧動作が阻止されるようになっている。さ
らに、3−4ブレーキ用コントロールバルブ79の一端
のポート79bには、コーストブレーキ29に締結圧が
供給されるときに、該締結圧がライン87を介して供給
されて、該コントロールバルブ79の調圧動作が制限さ
れるようになっている。
【0045】また、上記第1リニアソレノイドバルブ8
0によって生成された制御圧は、ライン81を介してア
キュムレータ用コントロールバルブ88の制御ポート8
8aにも供給されるようになっている。このコントロー
ルバルブ88は、メインライン42からライン89を介
して供給されるライン圧を上記第1リニアソレノイドバ
ルブ80からの制御圧に応じて調整して、上記第3アキ
ュムレータ84及び第4アキュムレータ90用の背圧を
生成し、これをライン91によって両アキュムレータ8
4,90の背圧ポート84a,90aに供給するように
なっている。
【0046】一方、副変速機30における締結圧の制御
用としては、直結クラッチ32の受圧面積の大きな第1
油圧室32a及び受圧面積の小さな第2油圧室32bに
供給される締結圧を調整する直結クラッチ用コントロー
ルバルブ101と、減速ブレーキ34の受圧面積の小さ
な第2油圧室34bに供給される締結圧を調整する減速
ブレーキ用コントロールバルブ102と、第2リニアソ
レノイドバルブ103とが備えられている。なお、減速
ブレーキ34の受圧面積の大きな第1油圧室34aに
は、前述のように、Rレンジでマニュアルバルブ43か
ら後退ライン53を介してライン圧が直接供給される。
【0047】上記第2リニアソレノイドバルブ103
は、メインライン42からライン圧が制御元圧として供
給され、これをコントローラからの制御信号に応じて調
整した上で、ライン104及び第5シフトバルブ65か
ら、ライン105もしくはライン106を介して、減速
ブレーキ用コントロールバルブ102の制御ポート10
2aに供給し、もしくは直結クラッチ32の第1油圧室
32aに連通して該油圧室32 aの油圧を調整する。そ
して、上記減速ブレーキ用コントロールバルブ102
は、上記のようにして第2リニアソレノイドバルブ10
3で生成された制御圧が制御ポート102aに供給され
ているときに、メインライン42からライン107、第
4シフトバルブ64、ライン108、第5シフトバルブ
65及びライン109を介して供給されるライン圧を上
記制御圧に応じて調整し、これをライン110を介して
減速ブレーキ34の第2油圧室34bに供給する。
【0048】一方、直結クラッチ用コントロールバルブ
101には、メインライン42からライン107、第4
シフトバルブ64、ライン111を介してライン圧が供
給され、これを調整した上で、ワンウェイオリフィス1
12、ライン113及び第5シフトバルブ65から、上
記ライン106もしくはライン114を介して直結クラ
ッチ32の第1油圧室32aもしくは第2油圧室32b
に選択的に供給するようになっている。
【0049】そして、この直結クラッチ用コントロール
バルブ101の制御ポート101aには、上記直結クラ
ッチ32の第1油圧室32aもしくは第2油圧室32b
に供給される締結圧自体が、ワンウェイオリフィス11
5及び第5アキュムレータ116が設けられたライン1
17を介して制御圧として供給されるようになってお
り、したがって、上記締結圧は、第5アキュムレータ1
16の作動により一定の棚圧状態を経て立ち上がること
になる。なお、このアキュムレータ116の背圧ポート
116aには、メインライン42からライン118を介
して背圧が供給されるようになっている。
【0050】そして、以上の構成の油圧回路40におい
て、第1〜第5ON−OFFソレノイドバルブ71〜7
5のON,OFFの組合せパターンは表2に示すように
なっており、これにより前進の1〜5速と後退速とが得
られるようになっている。ここで、表2中、(1)、
(2)はエンジンブレーキ用レンジでの1速及び2速を
示す。
【0051】
【表2】 次に、この表2に従って各ON−OFFソレノイドバル
ブ71〜75のON,OFFの組合せと変速段との関係
を具体的に説明する。
【0052】まず、Dレンジなどで採用されるエンジン
ブレーキの作動しない1速では、主変速機20側では、
第1〜第3ON−OFFソレノイドバルブ71〜73が
ON,OFF,OFFの状態にあって、第1〜第3シフ
トバルブ61〜63のスプールが左側、右側、右側にそ
れぞれ位置している。この状態では、前進ライン52か
ら分岐されたライン121が第1シフトバルブ61を介
してライン122に連通し、さらに第2シフトバルブ6
2を介してライン123に連通するが、このライン12
3は第3シフトバルブ63で遮断される。また、同じく
前進ライン52から分岐された他のライン124は第2
シフトバルブ62で、メインライン42から分岐された
ライン125は第1シフトバルブ61でそれぞれ遮断さ
れる。したがって、この場合は、前述のように、前進レ
ンジで常時締結される前進クラッチ23のみが締結され
た状態となり、主変速機20においてエンジンブレーキ
が作動しない低速段が得られる。
【0053】そして、副変速機30においては、第4、
第5ON−OFFソレノイドバルブ74,75が共にO
FFの状態にあって、第4、第5シフトバルブ64,6
5のスプールが共に右側に位置することにより、メイン
ライン42がライン107及び第4シフトバルブ64を
介してライン108に連通し、さらに、第5シフトバル
ブ65を介して減速ブレーキ用コントロールバルブ10
2に至るライン109に連通して、該コントロールバル
ブ102にライン圧が供給される。このとき、第2リニ
アソレノイドバルブ103で生成された制御圧がライン
104、第5シフトバルブ65及びライン105を介し
て減速ブレーキ用コントロールバルブ102の制御ポー
ト102aに供給されることにより、上記ライン圧が該
制御圧に応じて調整され、所定の締結圧とされた上で、
ライン110を介して減速ブレーキ34の第2油圧室3
4bに供給され、該減速ブレーキ34が締結される。
【0054】また、直結クラッチ32は、第1油圧室3
2aがライン106、第5シフトバルブ65、ライン1
13、直結クラッチ用コントロールバルブ101及びラ
イン111を介して第4シフトバルブ64のドレンポー
トに連通し、また、第2油圧室32bが、ライン114
を介して第5シフトバルブ65のドレンポートに連通す
ることにより解放された状態にある。その結果、副変速
機30の変速段はエンジンブレーキが作動する低速段と
なり、自動変速機全体としては、エンジンブレーキの作
動しない1速となる。
【0055】また、1レンジや2レンジなどで採用され
るエンジンブレーキが作動する1速では、上記のエンジ
ンブレーキ非作動の1速に対して主変速機20における
第3ソレノイドバルブ73がONとなり、これに伴っ
て、第3シフトバルブ63のスプールが左側に位置す
る。したがって、この場合は、上記前進ライン52が、
その分岐ライン121、第1シフトバルブ61、ライン
122、第2シフトバルブ62、ライン123及び第3
シフトバルブ63を介してローリバースブレーキ用コン
トロールバルブ78に通じるライン126に連通し、該
コントロールバルブ78にライン圧が供給されることに
なる。
【0056】そして、このコントロールバルブ78に供
給されたライン圧は、第1リニアソレノイドバルブ80
からライン81を介して制御ポート78aに供給されて
いる制御圧に応じた締結圧に調整され、これがライン1
27を介してローリバースブレーキ26に供給される。
これにより、前進クラッチ23に加えて、ローリバース
ブレーキ26が締結され、主変速機20において、エン
ジンブレーキが作動する低速段が得られることになる。
そして、副変速機30においては、前述のエンジンブレ
ーキ非作動の1速の場合と同様に減速ブレーキ34が締
結されているから、自動変速機全体として、エンジンブ
レーキが作動する1速が得られる。
【0057】次に、Dレンジなどで採用されるエンジン
ブレーキ非作動の2速、及び1レンジや2レンジなどで
採用されるエンジンブレーキ作動の2速では、上記のエ
ンジンブレーキ非作動の1速及びエンジンブレーキ作動
の1速の状態に対して副変速機30の変速段のみが変化
する。
【0058】つまり、副変速機30における第4ON−
OFFソレノイドバルブ74がONとなり、これに伴っ
て第4シフトバルブ64のスプールが左側に位置する。
したがって、メインライン42からライン107を介し
て第4シフトバルブ64に供給されているライン圧が該
第4シフトバルブ64からライン111を介して直結ク
ラッチ用コントロールバルブ101に供給されると共
に、該コントロールバルブ101で立ち上がりを調整さ
れた上で、ライン113、第5シフトバルブ65及びラ
イン106を介して直結クラッチ32の第1油圧室32
aに供給されることになる。これにより、副変速機30
の変速段が高速段となり、その結果、自動変速機の全体
として、エンジンブレーキが作動しない2速あるいはエ
ンジンブレーキが作動する2速が得られることになる。
【0059】さらに、3速では、主変速機20におい
て、第1〜第3ON−OFFソレノイドバルブ71〜7
3がOFF,ON,ONとなり、これに伴って第1〜第
3シフトバルブ61〜63のスプールが、右側、左側、
左側に位置することになる。この場合、まず、前進ライ
ン52からの一方の分岐ライン121が、第1シフトバ
ルブ61を介してライン128に連通し、さらに第3シ
フトバルブ63を介してコーストブレーキ用コントロー
ルバルブ77に通じるライン129に連通する。したが
って、該コントロールバルブ77にライン圧が供給さ
れ、これが第1リニアソレノイドバルブ80からライン
81を介して供給される制御圧に応じて所定の締結圧に
調整された上で、ライン130を介してコーストブレー
キ29に供給され、これにより該コーストブレーキ29
が締結される。
【0060】また、前進ライン52からの他方の分岐ラ
イン124が第2シフトバルブ62を介して3−4ブレ
ーキ用コントロールバルブ79に通じるライン131に
連通し、該コントロールバルブ79にライン圧を供給す
る。このコントロールバルブ79には、上記第1リニア
ソレノイドバルブ80からライン81を介して制御圧が
供給されると共に、上記コーストブレーキ29に供給さ
れている締結圧がライン87を介して制御圧として供給
され、これらの制御圧に応じて調整された締結圧がライ
ン132を介して3−4ブレーキ28に供給されること
になる。
【0061】その結果、主変速機20においては、前進
クラッチ23に加えて3−4ブレーキ28が締結され、
しかも上記コーストブレーキ29も締結されることによ
り、エンジンブレーキが作動する中速段が得られること
になる。
【0062】一方、副変速機30においては、第4、第
5ON−OFFソレノイドバルブ74,75が共にOF
Fの状態にあって、前述の1速の場合と同様にして、変
速段がエンジンブレーキの作動する低速段に設定されて
いる。したがって、自動変速機の全体としては、所定の
減速比を有し、かつ、エンジンブレーキが作動する3速
が得られることになる。
【0063】そして、4速では、この3速の状態から副
変速機30における第4、第5ON−OFFソレノイド
バルブ74,75が共にONとなって、第4、第5シフ
トバルブ64,65のスプールが左側に位置し、これに
より、まず、前記の2速の場合と同様に、メインライン
42からライン107、第4シフトバルブ64、及びラ
イン111を介してライン圧が直結クラッチ用コントロ
ールバルブ101に供給され、該コントロールバルブ1
01で立ち上がりを調整され、所定の締結圧となって、
ライン113及び第5シフトバルブ65から、今度はラ
イン114を介して直結クラッチ32の第2油圧室32
bに供給されることになる。その結果、直結クラッチ3
2が締結されて副変速機30の変速段が高速段となる。
そして、主変速機20は上記の3速の場合と同様に中速
段に設定されているから、自動変速機全体としての変速
段は4速となる。
【0064】さらに、5速においては、主変速機20に
おける第1〜第3ON−OFFソレノイドバルブ71〜
73がOFF,ON,OFFとなって、第1〜第3シフ
トバルブ61〜63のスプールが右側、左側、右側に位
置する。そのため、メインライン42から分岐されたラ
イン125が第1シフトバルブ61を介してライン13
3に連通すると共に、さらに、第3シフトバルブ63を
介して直結クラッチ用コントロールバルブ76に通じる
ライン134に連通し、したがって、該コントロールバ
ルブ76にライン圧が供給されることになる。そして、
このコントロールバルブ76によって調整された締結圧
がライン82によって直結クラッチ24に供給され、該
クラッチ24を締結させる。これにより、主変速機20
においては、前進クラッチ23と直結クラッチ24とが
締結されて、変速段が高速段となる。なお、この直結ク
ラッチ24の締結時には、第3アキュムレータ84の作
用により、締結圧が所定の棚圧状態を経て供給される。
【0065】一方、副変速機30は、前述の4速の場合
と同様に、第4、第5ON−OFFソレノイドバルブ7
4,75が共にONの状態にあって、変速段は高速段に
設定されており、その結果、自動変速機の全体としては
5速が得られることになる。
【0066】さらに、上記マニュアルバルブ43がRレ
ンジに操作された後退速においては、該マニュアルバル
ブ43を介して後退ライン53がメインライン42に連
通されると共に、第1〜第3ON−OFFソレノイドバ
ルブ71〜73がOFF,OFF,OFFの状態となっ
て、第1〜第3シフトバルブ61〜63のスプールがい
ずれも右側に位置することになる。
【0067】そのため、まず、メインライン42から分
岐されたライン125が、前述の5速の場合と同様に、
第1シフトバルブ61を介してライン133に連通する
と共に、さらに、第3シフトバルブ63を介して直結ク
ラッチ用コントロールバルブ76に通じるライン134
に連通し、したがって、該コントロールバルブ76にラ
イン圧が供給されることになる。この場合は、該コント
ロールバルブ76の一端のポート76bに、上記後退ラ
イン53からライン86を介してライン圧が供給され
て、該コントロールバルブ76のスプールが図面上の左
側に固定されることにより、上記ライン134から供給
されたライン圧は、減圧されることなくライン82を介
してそのまま直結クラッチ24に供給され、該直結クラ
ッチ24を高い締結圧で締結させる。
【0068】また、上記後退ライン53は、作動油の供
給方向と排出方向とで絞り量が異なるオリフィス135
を有するライン136、第3シフトバルブ63及び前述
のライン126を介してローリバースブレーキ用コント
ロールバルブ78に連通して、上記のエンジンブレーキ
作動の1速の場合と同様に、該コントロールバルブ78
にライン圧を供給する。この場合、該コントロールバル
ブ78の一端のポート78bには、上記後退ライン53
から分岐されたライン86によってライン圧が導入され
ることにより、該コントロールバルブ78のスプールが
図面上の左側に固定される。そのため、上記ライン12
6によって供給されているライン圧は、該コントロール
バルブ78で調整されることなく、そのままローリバー
スブレーキ26に供給され、該ローリバースブレーキ2
6を高い締結圧で締結することになる。
【0069】これにより、主変速機20においては、直
結クラッチ24及びローリバースブレーキ26が締結さ
れ、後退段が得られる。そして、副変速機30において
は、第4,第5ON−OFFソレノイドバルブ74,7
5が共にOFFで、変速段がエンジンブレーキの作動す
る低速段に設定された状態にあり、減速比の大きな後退
速が得られる。
【0070】なお、上記ローリバースブレーキ26に締
結圧が供給される際には、上記ライン136からライン
137を介して第4アキュムレータ90に作動油が導入
されることにより、該締結圧が所定の棚圧状態を経て徐
々に立ち上がることになる。
【0071】以上の構成に加えて、この油圧回路40に
は、トルクコンバータ10内のロックアップクラッチ1
7を制御するためのロックアップ第1、第2シフトバル
ブ141,142と、ロックアップコントロールバルブ
143と、ロックアップ制御用のON−OFFソレノイ
ドバルブ144と、デューティソレノイドバルブ145
とが備えられて、ロックアップクラッチ17の締結、解
放制御と、該クラッチ17をスリップさせるスリップ制
御とが行われるようになっている。
【0072】そして、この油圧回路40に備えられたラ
イン圧調整用のデューティソレノイドバルブ49、変速
用の第1〜第5ON−OFFソレノイドバルブ71〜7
5、締結圧調整用の第1、第2リニアソレノイドバルブ
80,103、ロックアップ制御用のON−OFFソレ
ノイドバルブ144及びデューティソレノイドバルブ1
45は、図3に示すように、コントローラ160からの
制御信号によって制御されるようになっている。そし
て、このコントローラ160には、車速を検出する車速
センサ161からの信号、エンジンのスロットル開度を
検出するスロットル開度センサ162からの信号、運転
者によって選択されたシフト位置(レンジ)を検出する
シフト位置センサ163からの信号、エンジンの吸入空
気量を検出するエアフローセンサ164からの信号、エ
ンジン回転数を検出するエンジン回転センサ165から
の信号、主変速機20の入力側の回転数(タービン回転
数)を検出するタービン回転センサ166からの信号、
主変速機20の出力側(副変速機30の入力側)の回転
数を検出する中間回転センサ167からの信号及び副変
速機30の出力側の回転数を検出する出力回転センサ1
68からの信号などが入力され、これらの信号によって
示される運転状態や運転者の要求に応じて上記各ソレノ
イドバルブを制御するようになっている。
【0073】本実施例に係る自動変速機は以上のような
構成であるが、この自動変速機においては、前述の説明
から明らかなように、例えば1−2シフトアップ変速時
には、副変速機30における直結クラッチ32の第1油
圧室32aにアキュムレータ116を介して締結圧が供
給されるようになっている。
【0074】つまり、1速では、前述のように副変速機
30においては、第4、第5ON−OFFソレノイドバ
ルブ74,75が共にOFFの状態にあって、第4、第
5シフトバルブ64,65のスプールが右側に位置する
ことにより、メインライン42からライン107、第4
シフトバルブ64、ライン108、第5シフトバルブ6
5及びライン109を介して減速ブレーキ用コントロー
ルバルブ102にライン圧が供給され、これが該コント
ロールバルブ102で第2リニアソレノイドバルブ10
3からの制御圧に応じて調整された上で、ライン110
を介して減速ブレーキ34の第2油圧室34bに供給さ
れることにより、該減速ブレーキ34が締結された状
態、即ち低速段の状態にある。
【0075】このとき、直結クラッチ32の第1油圧室
32aは、ライン106、第5シフトバルブ65、ライ
ン113、直結クラッチ用コントロールバルブ101及
びライン111を介して第4シフトバルブ64の第1ド
レンポート64bに連通しており、また、第2油圧室3
2bは、ライン114を介して第5シフトバルブ65の
第1ドレンポート65bに連通している。
【0076】そして、この状態から、2速への変速に際
して、副変速機30における第4、第5ON−OFFソ
レノイドバルブ74,75がON,OFFとなれば、第
4シフトバルブ64のスプールが左側に、第5シフトバ
ルブ65のスプールが右側に位置することになる。
【0077】この状態は図4に示す通りであって、この
場合、メインライン42からライン107を介して第4
シフトバルブ64に供給されるライン圧は、該第4シフ
トバルブ64からライン111を介して直結クラッチ用
コントロールバルブ101に供給されることになり、さ
らに、該コントロールバルブ101からワンウェイオリ
フィス112、ライン113、第5シフトバルブ65及
びライン106を介して直結クラッチ32の第1油圧室
32aに供給され、該直結クラッチ32が締結される。
また、このとき、減速ブレーキ34の第2油圧室34b
は、ライン110、減速ブレーキ用コントロールバルブ
102、ライン109、第5シフトバルブ65及びライ
ン108を介して第4シフトバルブ64の第2ドレンポ
ート64cに連通する。
【0078】これにより、副変速機30の変速段が高速
段となり、1−2変速が完了することになるが、この1
−2変速時における上記直結クラッチ32の第1油圧室
32aに対する締結圧の供給に際しては、その立上がり
が次のようにして制御される。
【0079】つまり、第4シフトバルブ64から直結ク
ラッチ用コントロールバルブ101に供給されたライン
圧は、該コントロールバルブ101の制御ポート101
a内の制御圧に応じて調整されるのであるが、この制御
ポート101aには、該コントロールバルブ101自身
から出力される作動油がライン117によりワンウェイ
オリフィス112,115を経て、かつ、アキュムレー
タ116を作動させた上で、制御圧として供給されるこ
とになる。
【0080】その場合に、1−2変速指令と同時にライ
ン圧を上昇させるようにすると、その応答遅れによって
変速動作初期の棚圧が良好に形成されないことになるの
である。
【0081】そこで、この実施例においては、例えば図
5に示すようなフローチャートに従ってライン圧を制御
することにより、上記の不都合を回避するようにしてい
る。
【0082】つまり、コントローラ160はステップS
1を実行して各種信号を読み込んだ上で、ステップS2
を実行して、エンジン回転数とスロットル開度を示す運
転状態が所定の増圧ゾーンに属するか否かを判定する。
なお、増圧ゾーンは、図6のハッチングで示すように、
変速パターンを構成するシフトアップ用変速ラインL1
2,L23,L34,L45よりも低車速側に設定され
ている。
【0083】コントローラ160は上記運転領域が増圧
ゾーンに属すると判定したときには、ステップS3に進
んでタービントルクに基づいて目標ライン圧を設定す
る。ここで、タービントルクは次のようにして求められ
る。
【0084】つまり、コントローラ160はエアフロー
センサ164及びエンジン回転センサ165からの信号
をそれぞれ取り込んで充填効率を算出した上で、この充
填効率と上記センサ165からの信号が示すエンジン回
転数とに基づいてエンジン出力を代表するエンジントル
クを推定する。また、コントローラ160は、タービン
回転センサ166からの信号を取り込み、その信号が示
すタービン回転数と上記エンジン回転数とに基づいてト
ルクコンバータ10の速度比を算出した上で、該速度比
に基づいてトルク増大比を算出する。そして、そのトル
ク増大比を上記エンジントルクに乗算することにより最
終的にタービントルクを決定するのである。
【0085】次いで、コントローラ160は、ステップ
S4を実行して増加ライン圧を設定する。この増加ライ
ン圧は、次のようにして設定される。つまり、コントロ
ーラ160は、その時点における変速段のギヤ比とアッ
プシフト後の変速段のギヤ比とに基づいて、慣性トルク
の代用特性としての目標タービン回転数変化量を決定す
る。そして、この目標タービン回転数変化量を予め設定
された増加ライン圧のマップと照合することにより、該
変化量に対応する増加ライン圧を設定するのである。そ
の場合に、上記マップは上記目標タービン回転数変化量
が大きくなるほど増加ライン圧が増大するように設定さ
れている。
【0086】そして、コントローラ160はステップS
5を実行して、目標ライン圧と増加ライン圧とから最終
目標ライン圧を決定した上で、ステップS6で該目標ラ
イン圧が得られるようにライン圧制御用のデューティソ
レノイドバルブ49に制御信号を出力する。
【0087】一方、コントローラ160は上記ステップ
S2において運転状態が像圧ゾーンに属しないと判定し
たときには、ステップS7に移って変速用のシフトフラ
グFsが変速状態を示す1にセットされているか否かを
判定して、YESと判定すると上記ステップS3に復帰
し、以下の各ステップを実行する。
【0088】また、コントローラ160は、上記ステッ
プS7においてシフトフラグFsが1にセットされてい
ないと判定したときには、ステップS8を実行して上記
ステップS3と同様にタービントルクに基づいて目標ラ
イン圧を設定した上で、上記ステップS6に移り該目標
ライン圧が得られるようにデューティソレノイドバルブ
49に制御信号を出力する。
【0089】次に、実施例の作用を説明する。
【0090】今、変速段が1速であるとする。そして、
例えば車速が上昇することにより、運転状態が1−2シ
フトアップラインL12の低車速側に設定された増圧ゾ
ーンに移行したとすると、その時点で図7(c)に示す
ようにライン圧が上記増加ライン圧に対応して上昇する
ことになる。
【0091】そして、更に車速が上昇して1−2シフト
アップラインL12を通過すると、シフトフラグFsが
1にセットされて1−2変速動作が開始するのである
が、その場合には矢印(ア)で示すようにライン圧が既
に増圧されていることになる。したがって、図の矢印
(イ)で示すようにアキュムレータ116などの作用に
より締結圧が速やかに棚圧状態に移行することになる。
これにより、変速初期のトルクフェーズにおける出力軸
トルクが、矢印(ウ)で示すように一旦小さく落ち込ん
だ後可及的速やかに上昇することになり、その分短時間
で変速動作が完了することになる。
【0092】なお、シフトフラグFsは変速動作の完了
に合わせて0にリセットされ、それに伴ってライン圧が
通常のライン圧に復帰されることになる。
【0093】ところで、図2に示すように、主変速機2
0における直結クラッチ24に締結圧を供給する際に使
用されるアキュムレータ84の背圧は、アキュムレータ
用コントロールバルブ88の制御ポート88aに供給す
る制御圧を第1リニアソレノイドバルブ80によって制
御することにより調整されるようになっている。したが
って、該直結クラッチ24が締結される4−5シフトア
ップ変速時に、上記のように実際の変速動作が行われる
前にライン圧を予め増圧しておくことにより、圧力上昇
方向の応答性が向上することになる。
【0094】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、摩擦要素
への締結圧の供給を制御する油圧回路に、該摩擦要素に
供給する締結圧を制御するアキュムレータを備え、かつ
シフトアップ変速時に当該変速時における慣性トルクに
対応してライン圧を上昇させるようにした自動変速機に
おいて、シフトアップ前の変速段においても当該変速時
に放出される慣性トルクに応じてライン圧が増圧される
ことになるので、変速指令が出力されたときには増圧さ
れたライン圧がアキュムレータを介して摩擦要素に供給
され、これにより変速動作初期においても該アキュムレ
ータによって適切な棚圧が形成されることになって、変
速動作が良好に行われることになる。
【0095】特に、第2発明によれば、摩擦要素への締
結圧の供給を制御する油圧回路に、該摩擦要素に供給す
る締結圧を制御するアキュムレータと、該アキュムレー
タに供給する背圧を制御する背圧制御手段とが備えられ
たものにおいて、変速指令が出力された時点においてラ
イン圧が増圧していることになるので、背圧制御手段に
よる圧力上昇方向の応答性が向上することになる。
【0096】そして、実施例のように、変速パターンを
構成するシフトアップ変速ラインの近傍でライン圧を増
加させるようにすることにより、オイルポンプによるポ
ンプロスが大幅に低減されるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る自動変速機の骨子図で
ある。
【図2】 同自動変速機の油圧回路を示す回路図であ
る。
【図3】 図2の油圧回路における各ソレノイドバルブ
に対する制御システム図である。
【図4】 同油圧回路における副変速機制御部分の1−
2変速時の状態を示す回路図である。
【図5】 実施例に係るライン圧制御を示すフローチャ
ート図である。
【図6】 シフトアップ用変速パターンを示す運転領域
図である。
【図7】 実施例の作用を示すタイムチャート図であ
る。
【図8】 従来の問題点を示すタイムチャート図であ
る。
【符号の説明】
1 自動変速機 20 主変速機 24 直結クラッチ 30 副変速機 32 直結クラッチ 41 レギュレータバルブ 48 モデュレータバルブ 49 デューティソレノイドバルブ 80 第1リニアソレノイドバルブ 84 第3アキュムレータ 88 アキュムレータ用コントロールバルブ 116 アキュムレータ 160 コントローラ 161 車速センサ 162 スロットル開度センサ 164 エアフローセンサ 165 エンジン回転センサ 166 タービン回転センサ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 摩擦要素への締結圧の供給を制御する油
    圧回路に、該摩擦要素に供給する締結圧を制御するアキ
    ュムレータを備え、かつシフトアップ変速時に当該変速
    時における慣性トルクに対応してライン圧を上昇させる
    ようにした自動変速機の油圧制御装置であって、シフト
    アップ変速前の変速段で、上記慣性トルクに対応してラ
    イン圧を上昇させるライン圧上昇手段が設けられている
    ことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
  2. 【請求項2】 摩擦要素への締結圧の供給を制御する油
    圧回路に、該摩擦要素に供給する締結圧を制御するアキ
    ュムレータと、該アキュムレータに供給する背圧を制御
    する背圧制御手段とを備え、かつシフトアップ変速時に
    当該変速時における慣性トルクに対応してライン圧を上
    昇させるようにした自動変速機の油圧制御装置であっ
    て、シフトアップ変速前の変速段で、上記慣性トルクに
    対応してライン圧を上昇させるライン圧上昇手段が設け
    られていることを特徴とする自動変速機の油圧制御装
    置。
  3. 【請求項3】 ライン圧上昇手段は、変速パターンを構
    成するシフトアップ変速ラインの近傍領域でライン圧を
    上昇させるように構成されていることを特徴とする請求
    項1もしくは請求項2のいずれかに記載の自動変速機の
    油圧制御装置。
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