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JP3124373B2 - 免疫抑制物質 - Google Patents

免疫抑制物質

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Publication number
JP3124373B2
JP3124373B2 JP04136241A JP13624192A JP3124373B2 JP 3124373 B2 JP3124373 B2 JP 3124373B2 JP 04136241 A JP04136241 A JP 04136241A JP 13624192 A JP13624192 A JP 13624192A JP 3124373 B2 JP3124373 B2 JP 3124373B2
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compound
prunicolor
streptomyces
culture
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謙三 小泉
義巳 川村
浩一 松本
弘 板崎
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Shionogi and Co Ltd
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D309/00Heterocyclic compounds containing six-membered rings having one oxygen atom as the only ring hetero atom, not condensed with other rings
    • C07D309/32Heterocyclic compounds containing six-membered rings having one oxygen atom as the only ring hetero atom, not condensed with other rings having two double bonds between ring members or between ring members and non-ring members
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/10Antimycotics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Pyrane Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、式I:
【化2】 で示される化合物、該化合物を産生する微生物、該化合
物の製造法に関する。また、本発明は該化合物を有効成
分として含有する免疫抑制剤、抗腫瘍剤、および抗真菌
剤を提供する。
【0002】
【従来の技術】免疫抑制剤は、臓器あるいは組織の移植
に対する拒絶反応、骨髄移植によっておこる移植片宿主
反応の予防、慢性関節リウマチなどの数々の自己免疫疾
患の治療には欠かせないものである。現在、種々の免疫
抑制剤が開発・実用化されているが、効力や副作用など
の点で必ずしも満足できるものではなく、新しい免疫抑
制剤の創出が望まれている。現在までに、種々の抗腫瘍
剤が開発され、実用化されているが、これらの抗腫瘍剤
は毒性(副作用)を持つことから、その使用量が非常に
限られているため、治療成績も満足できる状態ではな
い。本発明の化合物と構造が類似した抗腫瘍剤として、
特開昭63-165323に記載されているものがある。真菌症
はカビや酵母に起因する病気で、年々増加の傾向にあ
り、近年、エイズ患者の発生で、特に深在性真菌症の患
者が増加している。従来、深在性真菌症の治療剤として
は、ナイスタチン、アンホテリシンB、ミコナゾ−ル、
5−フルオロサイトシン等が知られているが、抗真菌剤
の開発は抗生物質の開発に比べ遅れているのが現状であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、免疫
抑制作用、抗腫瘍細胞増殖作用、および抗真菌作用を有
する新規な化合物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上の事
柄を鑑み鋭意研究を重ねた結果、放線菌ストレプトミセ
ス プルニカラ− PA−48153株(Streptomyces
prunicolor PA-48153)の培養液中に抗腫瘍細胞増殖作
用、免疫抑制作用、および抗真菌作用を合わせ持つ新規
な化合物を見出し、発酵、抽出、分離精製を行ない本発
明を完成するに至った。すなわち本発明は、式I:
【化3】 で示される化合物に関する。本発明化合物の立体構造
は、X線結晶解析などから、(5R*,6R*)-5-エチル-5,6-
ジヒドロ-6-[(E)-(2R*,3S*,4R*,5S*)-2-ヒドロキシ-4-
メトキシ-3,5-ジメチル-7-ノネニル]-2H-ピラン-2-オン
であると確認された。本発明化合物は、側鎖ノネニル基
の2位ヒドロキシル基がカルボン酸やリン酸のなどの酸
とエステルを形成していてもよく、さらにはエ−テルを
形成していてもよい。
【0005】また本発明は、ストレプトミセス プルニ
カラ−(Streptomyces prunicolor)種に属し本発明化
合物を産生する微生物を提供する。本発明のストレプト
ミセス プルニカラ−(Streptomyces prunicolor)種
に属するPA−48153株は以下のような性状を有し
ていた。
【0006】(1) 形態学的性状: 本菌株はイ−スト・麦
芽寒天、チロシン寒天、ベンネット寒天培地などで良好
な成育を示す。またこれらの培地上で気中菌糸を豊富に
形成し、胞子着生も良好である。分枝は単純分枝で輪生
分枝は認められない。胞子鎖は比較的長く、一胞子鎖当
りの胞子数は50個以上である。電子顕微鏡による観察
の結果、胞子は長円筒形で、幅0.4〜0.5μm、長さ
1.2〜1.4μmであり、その表面は平滑である。胞子
のう、鞭毛胞子、菌核はいずれも認められない。
【0007】(2) 培養上の諸性状(28℃,14日間培
養):色名の表示は「色の標準」日本色彩研究所版によ
る。
【表1】 (W)、(R)は ISP カラ−シリ−ズのwhite series,red s
eriesを表す。 成育温度: 本菌株は14〜35℃で成育し、至適成育温
度は24〜28℃である。
【0008】(3) 生理学的性状: メラノイド色素産生能 陰性 チロシナ−ゼ反応 陰性 ミルクの凝固 陰性 ミルクのペプトン化 陽性 澱粉水解能 陽性
【0009】 (4) 糖の利用能(対照区 −): L−アラビノ−ス D−キシロ−ス D−グルコ−ス ++ ++ ++ D−フラクト−ス シュ−クロ−ス イノシト−ル ++ ++ ++ L−ラムノ−ス ラフィノ−ス D−マニト−ル ++ ++ ++
【0010】(5) 細胞壁組成: 細胞壁組成成分のジアミ
ノピメリン酸を分析した結果、LL−型であった。
【0011】以上の諸性状から本菌株はストレプトミセ
ス(Streptomyces)属に属する株であると判断できる。
ワックスマン著、ジアクチノミセテス(The Actinomyce
tes)第2巻(1961年)、シャ−リング及びゴットリ−プ
のISP(International Streptomyces Project)報告
[インタ−ナショナル ジャ−ナル オブ バクテリオ
ロジ−(International Journal of Systematic Bacter
iology)第18巻 69〜189 ペ−ジ、279〜392 ペ−ジ(19
68年)、同第19巻 391〜512 ペ−ジ(1969年)、同第22
巻 265〜394 ペ−ジ(1972年)]、バ−ジ−ズ マニュ
アル オブ ディタ−ミネイティブバクテリオロジ−
(Bergey’s Manual of Determinative Bacteriology)
第8版(1974年)及びバ−ジ−ズ マニュアル オブ
システマティック バクテリオロジ−(Bergey’s Manu
al of Systematic Bacteriology Vol.4)第4巻(1989年
)、その他の放線菌関連の文献から本菌株の近縁種を
検索した結果、Streptomyces prunicolor Ryabova and
Preobrazhenskayaに最も類似することがわかった。そこ
で本菌株とStreptomyces prunicolor ATCC 25487と同時
比較実験を行った結果、成育、胞子形成の良否、シュク
ロ−スの利用能に相違が認められたが、その他の主要な
諸性状はよく一致したので本菌株をStreptomyces pruni
colorと同種 と同定し、ストレプトミセス プルニカラ
− PA−48153(Streptomyces prunicolor PA-4
8153)と命名した。
【0012】なお、本菌株は、茨城県つくば市東1−1
−3(郵便番号305)にある工業技術院微生物工業技
術研究所に、平成4年(1992年)2月20日よりブ
ダペスト条約に基づき「Streptomyces prunicolor PA-4
8153」微工研条寄第3754号(FERM BP-3754)として
寄託されている。
【0013】さらに本発明は、ストレプトミセス(Stre
ptomyces)属に属し本発明化合物を産生する微生物を培
養し、該培養培地から該化合物を採取することを特徴と
する該化合物の製造法を提供する。以下に、本発明化合
物の一般的製造法を記載する。ストレプトミセス(Stre
ptomyces)属に属する菌株、例えば上記のStreptomyces
prunicolor PA-48153を、通常の発酵生産に用いる培地
組成、培地条件で培養する。培地は原則として、炭素
源、窒素源、無機塩などを含む。必要に応じて、ビタミ
ン類、先駆物質などを加えてもよい。炭素源としては、
例えば、グルコ−ス、可溶性澱粉、デキストリン、グリ
セリン、糖類、有機酸などが単独または混合物として用
いられる。窒素源としては、例えば、大豆粉、コ−ンス
チ−プリカ−、肉エキス、酵母エキス、綿実粉、ペプト
ン、小麦麦芽、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムな
どが単独または混合物として用いられる。無機塩として
は、例えば、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カ
リウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、塩化マンガン、硫
酸亜鉛、塩化コバルト、各種リン酸塩などが挙げられ、
必要に応じて培地に添加する。
【0014】培養温度は約14〜35℃で行なうと良
く、特に20〜28℃が好ましい。培養時間は発酵の規
模に大きく左右されるが、約3〜5日が大量生産を行な
う場合に要する培養時間である。培養中に激しい発泡が
起こる場合には、培養前または培養中に例えば、植物
油、ラ−ド、ポリプロピレングリコ−ルなどの消泡剤を
適宜添加するとよい。培養終了後、培養物から本発明化
合物を分離採取するには、通常の発酵生産物を分離採取
する方法を適宜用いる。例えば、濾過、遠心分離、各種
イオン交換樹脂やその他の活性吸着剤による吸脱着やク
ロマトグラフィ−、各種有機溶媒による抽出などを適当
に組み合わせるとよい。
【0015】以下に上記製造法で得られた化合物PA−
48153Cの物理化学的特性および構造式を示す。 1)溶解性:可溶;n−ヘキサン,酢酸エチル,クロロホ
ルム,メタノ−ル 不溶;水 2)性状:無色の針状結晶 3)融点:78〜79℃ 4)分子式:C19H32O4(分子量324) 5)SIMS:m/z 325 (M+H)+ 6)元素分析:C19H32O4として 理論値;C:70.33,H:9.94 実測値;C:70.08 %,H:9.86 % 7) [α]D 23.5:−148.7±3.7゜ (C=0.5, CHCl3) 8) UV:λmax MeOH nm:末端吸収(end absorption) 9) IR:νmax KBr cm-1:3505, 1728, 1620, 1460, 13
85, 1319, 1286, 1269,1142, 1095, 1075, 1030, 987,
964, 938, 843, 818 10a) 1H NMR in CDCl3 ppm (J=Hz):7.01 (1H, dd,
J=6.0, J=9.8), 6.03(1H, dd, J=1.0, J=9.6), 5.54〜
5.29 (2H, m), 4.78〜4.70 (1H, m), 4.25〜4.16 (1H,
m), 3.48 (3H, s), 3.45 (1H, d, J=2.6), 2.99 (1H, d
d, J=4.4, J=6.2), 2.35〜2.23 (1H, m), 2.15〜2.03
(1H, m), 1.95〜1.38 (10H, m), 1.02〜0.93 (9H, m). 10b) 1H NMR in C6D6 ppm (J=Hz):6.14 (1H, dd,
J=5.8, J=9.8), 5.80 (1H, dd, J=1, J=9.8), 5.52〜5.
27 (2H, m), 4.68〜4.60 (1H, m), 4.44〜4.36(1H, m),
3.17 (1H, d, J=2.6), 3.11 (3H, s), 2.76 (1H, dd,
J=4.4, J=6.4),2.10〜1.98 (1H, m), 1.90〜1.74 (2H,
m), 1.74〜1.55 (7H, m), 1.34〜1.07(2H, m), 0.96 (3
H, t, J=4.4), 0.92 (3H, t, J=4), 0.60(3H, t, J=7.
4) 11) 13C NMR in CDCl3 ppm:165.22, 151.21, 129.
18, 127.38, 121.24, 91.53, 78.11, 67.81, 62.06, 3
9.53, 39.35, 37.70, 37.15, 36.56, 21.23, 18.45, 1
5.69, 12.65, 11.47 12)TLC*:Rf=0.51 13)HPLC**:保持時間=11.6分 *TLC:Merck KGF,検出;UV (弱い),ヨウ素,硫酸/
加熱,溶媒;クロロホルム/メタノ−ル(97:3) Rf=
0.51,またはn−ヘキサン/エタノ−ル(1:1)Rf=0.25 **HPLC:カラム;COSMOSIL 5C18-AR 4.6φ×150mm,検
出;UV (220nm),溶媒;50% アセトニトリル/1% ト
リフロロ酢酸,溶出速度;1ml/min.
【0016】本発明はさらに、本発明化合物を有効成分
として含有する抗腫瘍剤、免疫抑制剤、および抗真菌剤
を提供する。本発明の抗腫瘍剤、免疫抑制剤、および抗
真菌剤は、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シ
ロップ剤などによる経口投与、注射剤による静脈注射、
筋肉注射、皮下注射のような投与方法、あるいは軟膏剤
などによる経皮投与の方法で投与することができる。
【0017】錠剤の場合は活性成分の外に補助成分と一
緒に圧縮成型して作られる。この補助成分としては薬学
的に許容される賦形剤、例えば結合剤(例:トウモロコ
シでん粉)、充填剤(例:ラクトース、微結晶性セルロ
ース)、崩壊剤(例:でん粉グリコール酸ナトリウム)
または滑沢剤(例:ステアリン酸マグネシウム)を用い
ることができる。また、錠剤をコーティングしてもよ
い。シロップ剤、液剤、懸濁剤などの液体製剤の場合、
例えば懸濁化剤(例:メチルセルロース)、乳化剤
(例:レシチン)、保存剤などを用いて慣用の方法によ
り調製することができる。注射用に調製する場合、溶
液、懸濁液、油性または水性乳濁液の形態でもよく、懸
濁液安定剤または分散剤などを含有してもよい。
【0018】有効成分の投与量は、投与形態、患者の症
状、年齢、体重、性別により異なるが、抗腫瘍剤として
用いる場合、体重1kgあたり、1日0.01〜50m
g、好ましくは0.1〜10mgを投与する。免疫抑制
剤として用いる場合は、0.1〜50mg、好ましくは
2〜25mg、抗真菌剤として用いる場合は、10〜1
00mgを投与する。ただし、これら投与量は範囲に限
定されるものではない。
【0019】以下に実施例で本発明を詳細に説明する。
【実施例】
1.発酵 可溶性澱粉0.5%、グルコ−ス0.5%、ポリペプトン
(日本製薬製)0.5%、牛肉エキス(ディフコ製)0.
25%、酵母エキス(ディフコ製)0.5%、食塩0.2
5%、および水道水よりなる培地800ml(2N 水
酸化ナトリウムでpH7に調整)を含む2L容三角フラ
スコにStreptomyces prunicolor PA-48153の種培養スラ
ントから接種し、振幅70mm、毎分180回転で、2
8℃、48時間振盪培養を行なった。この培養液800
mlずつを、上記と同一組成を有する培地16Lを入れ
た30L容ジャ−ファメンタ−に植菌し、通気量12.
8L/min.、内圧0.35kg/cm2、撹拌回転数
200rpmで、28℃、24時間培養した。次いでこ
の培養液8Lを、グルコ−ス2.0%、馬鈴薯澱粉2.0
%、脱脂大豆粉2.0%、酵母エキス(ディフコ製)0.
5%、食塩0.25%、硫酸亜鉛7水和物0.0005
%、塩化マンガン4水和物0.0005%、硫酸銅5水
和物0.0005%、炭酸カルシウム0.35%、消泡剤
P-2000(大日本インキ製)0.003%、および水道水
よりなる培地150L(2N 水酸化ナトリウムでpH
7.0に調整)を含む250L容タンクに植菌し、通気量
120L/min.、内圧0.35kg/cm2、撹拌回
転数280rpmで、28℃、90時間培養した。
【0020】2.分離精製 (1)分離 (a)上記工程で得られた培養液98Lから、S型超遠心
分離機(No.6-P 関西遠心分離機製作所株式会社)(1
5000rpm)によって上清液83Lを得た。この上
清液を、2N塩酸でpH7.0に調整し、酢酸エチル4
6Lで抽出した。抽出液40Lを減圧濃縮し、粗物質
(crude-1)18.91gを得た。一方、上記遠心で沈殿
として得られた湿菌体8kgは、アセトン28Lで抽出
した。溶媒を減圧留去して、水層6Lを得た。2N塩酸
でpH7.0に調整し、酢酸エチル13Lで抽出した。
抽出液12Lを減圧濃縮し、粗物質(crude-2)22.8
6gを得た。
【0021】(b)濾液抽出エキスである粗物質(crude-
1)(18.91g)をn−ヘキサン300mlで洗浄し
た。洗浄後のヘキサンを減圧留去し、残渣(residue-
1)5.1gを得た。一方、ヘキサンで洗浄された粗物質
(residue-2)を酢酸エチル20mlで懸濁し、ヘキサ
ン300mlで抽出した。ヘキサン層は減圧留去し残渣
(residue-3)3.1gを得た。ヘキサン層を除去した残
りの沈殿物(residue-4)は粗物質(residue-2)と同様
に処理し、ヘキサン層からの残渣(residue-5)と沈殿
物(residue-6)を得た。
【0022】(c)菌体抽出エキスである粗物質(crude-
2)(22.86g)をn−ヘキサン300mlで洗浄し
た。洗浄後のヘキサンを減圧留去し残渣(residue-11)
18.2gを得た。一方、ヘキサンで洗浄された粗物質
(residue-12)を酢酸エチル20mlで懸濁した後ヘキ
サン300mlで抽出し、ヘキサン層からの残渣(resi
due-13)0.65gと沈殿物(residue-14)2.1gを得
た。
【0023】(2)精製 (a)粗物質(crude-1)から分離したPA−4815
3C含有分画(residue-1, 3, 5(計10.4g))をカラム
クロマトグラフィー(カラム;SiO2,120ml(メルク社
, 溶媒;クロロホルム, 1分画;20g)で精製
し、9〜17番目の分画からPA−48153Cの粗精
製物4.2gを得た。これをカラムクロマトグラフィー
(カラム;Lobar SiO2 60 B size(メルク社製),溶
媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1,1分画;10
g)にかけ、38〜90番目の分画から得られたPA−
48153Cの精製物1.6gをさらにカラムクロマト
グラフィー(カラム;Lobar SiO2 60 B size(メルク社
製),溶媒;クロロホルム:メタノール=98:2,1
分画;10g)で精製して15〜21番目の分画からP
A−48153Cの精製物1.39gを得た。これをn
−ヘキサン4mlで再結晶し、PA−48153Cの結
晶965mgを得た。HPLCにおける純度は98%で
あった。
【0024】(b)粗物質(crude-2)から分離したPA−
48153C含有分画(residue-11, 13 (計18.8g))を
カラムクロマトグラフィ−(カラム;SiO2, 150ml (メ
ルク社製),溶媒;クロロホルム,1分画;20g)で
精製し、15〜57番目の分画からPA−48153C
の粗精製物4.14gを得た。これをカラムクロマトグ
ラフィ−(カラム;Lobar SiO2 60 B size (メルク社
製),溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=3:1,1分画;
10g)にかけ、33〜57番目の分画から得られたP
A−48153Cの精製物920mgをさらにカラムク
ロマトグラフィ−(カラム;Lobar SiO2 60 B size
(メルク社製),溶媒;クロロホルム:メタノ−ル=9
8:2,1分画;15g)で精製して9〜11番目の分
画からPA−48153Cの精製物750mgを得た。
これをヘキサンで再結晶し、PA−48153Cの結晶
530mgを得た。HPLCにおける純度は98%であ
った。以上の工程より、合計1495mgのPA−48
153C結晶が得られた。
【0025】(参考)小量培養の時は,培養濾液からの酢
酸エチルエステル抽出残渣をTLCで分離精製し再結晶
した。すなわち、培養液6Lを濾過し、その濾液4.8
Lを酢酸エチル2L(pH7.0)で抽出して残渣43
7mgを得た。それをTLC(KGF(メルク社製),溶
媒;3%メタノ−ル/クロロホルム)で分離精製してP
A−48153Cの精製物57mgを得た。これをn−
ヘキサンで再結晶してPA−48153Cの結晶45m
gを得た。
【0026】3.生物学的活性 本発明の PA−48153Cは、以下の実験例に記載
した試験で明らかにされる生物学的活性、即ち、免疫抑
制作用、抗腫瘍細胞増殖作用、並びに抗真菌作用等の生
物学的活性を有していた。従って、この物質は、臓器あ
るいは、組織の移植に対する拒絶反応、骨髄移植により
起こる移植片対宿主反応、各種自己免疫病、血液系腫
瘍、固形癌等の腫瘍疾病、真菌感染症等の治療及び予防
に有用である。以下に実験例を示す。
【0027】1)マウス脾細胞の試験管内マイトジェン反
応におけるPA−48153Cの抑制効果 96ウェルマイクロタイタ−プレ−トの各ウェルにC3H/
HeNマウス脾細胞5×105個を0.1mlの10%牛胎
仔血清加RPMI 1640培地(炭酸水素ナトリウム
2mM,ペニシリン50単位/ml,ストレプトマイシ
ン50μg/ml,及び2−メルカプトエタノ−ル5×
10-5Mを添加)に浮遊したものを加え、その各ウェル
にマイトジェンとしてコンカナバリンA(ConA)5μg
/mlと、PA−48153Cを種々の濃度で加え、各
ウェルの最終容量を0.2mlとした。PA−4815
3Cはジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し,上記R
PMI 1640培地にて希釈し最終濃度100ng/
ml以下になるように添加した。96ウェルマイクロタ
イタ−プレ−トは、湿度100%、二酸化炭素5%、空
気95%に保持された培養器内で37℃、72時間培養
し、ハ−ベストする18時間前に3H-チミジン(0.5μ
Ci/ウェル)でパルスラベルし、培養終了後、セルハ
−ベスタ−にて細胞を回収し細胞に取り込まれた放射能
の量を測定した。結果を表2に示す。
【0028】
【表2】 表2:PA−48153Cのマウス脾細胞のコンカナバ
リンA反応に対する効果 表2に示すように、PA−48153Cはマウス脾細胞
のConA反応を抑制した。
【0029】2)試験管内アロ混合リンパ球反応(アロ
MLR)におけるPA−48153Cの抑制効果 96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに、C3
H/HeNマウス脾細胞(H-2k,応答細胞)5×105個と、
マイトマイシンC処理(50μg/ml,37℃,30
分処理後、RPMI1640培地(上記1)と同様)で
3回洗浄する)したC57BL/6マウス脾細胞(H-2 b ,刺激
細胞)5×105個を0.2mlのRPMI1640培
地に浮遊したものを加えた。更に、PA−48153C
を100ng/ml以下になるように添加した。96ウ
ェルマイクロタイタープレートは、上記1)と同じ条件
下の培養器内で6日間培養し、ハーベストする18時間
前に3H-チミジン(0.5μCi/ウェル)でパルスラ
ベルした。培養終了後、セルハーベスターにて細胞を回
収し細胞に取り囲まれた放射線の量を測定した。その結
果、PA−48153CのIC50値は3.1ng/ml
で、アロ MLRに対する抑制効果を示した。
【0030】3)PA−48153Cの抗細胞増殖効果 96ウェルマイクロタイタ−プレ−トの各ウェルに下記
の表3で示した各細胞の細胞数を0.1mlのスケ−ル
で加え、上記1)と同じ培養条件下で1日前培養し、0〜
5000ng/mlとなるようにPA−48153Cを
0.1ml添加した。そして3〜4日間培養を続け、培
養終了後、6mg/mlのMTT[3-(4,5-ジメチルチ
アゾ−ル-2イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマ
イド](シグマ製)溶液25μlを各ウェルに加え、3
7℃にて4時間同一条件下で培養した。培養終了後、生
成したホルマザンを、20%ドデシルナトリウムスルホ
ン酸(SDS)の0.02N塩酸溶液を50μl加え3
7℃で24時間放置して溶解させた。生細胞数に比例し
て生成したホルマザンを570nmのフィルタ−を装着
したイムノリ−ダ−(三光純薬)で吸光強度(OD)を
測定した。(ザ.ジャ−ナル.オブ.イムノロジカル.
メソッド,vol 65, p 55〜63 (1983) 参照)。そして、
PA−48153Cの濃度と吸光強度との相関より50
%の細胞増殖阻止濃度(IC50)を算出した。結果を表
3に示す。
【0031】
【表3】 培地1):MEMはイ−グル MEMに10%牛胎仔血清を加え
た培地であり、RPMI 1640は、実験例1で示した培地で
あるが、ヒト由来の細胞には2−メルカプトエタノ−ル
は含まれていない。上記デ−タより、(1)PA−481
53Cは、腫瘍細胞に対して強い細胞増殖抑制効果を示
した。(2)PA−48153Cは、正常肺細胞CCD-19Lu
に対するIC50値と大細胞肺癌Lu99細胞に対するIC50値と
の間に約25000倍以上の差を示した。(3)多剤耐性腫
瘍株P388/ADM細胞にも強い細胞増殖抑制効果がみられ
た。等のことが特徴づけられる。
【0032】4)PA−48153Cの抗真菌活性 PA−48153Cの抗真菌活性は、サブロ−又はYN
B液体培地を用いた液体倍々希釈法により測定した。3
7℃、24時間又は48時間培養後、最小生育阻止濃度
(MIC,μg/ml)を求めた。PA−48153Cは、
真菌、例えばアスペルギルス・フミガ−タス IFO 8866
株、カンジダ・アルビカンスKE-2株に対して下記の表4
に示したような抗真菌活性を有していた。
【0033】
【表4】
【0034】
【発明の効果】本発明化合物は免疫抑制作用、抗腫瘍細
胞増殖作用、並びに抗真菌作用等の生物学的活性を有し
ていることから、臓器あるいは組織の移植に対する拒絶
反応、骨髄移植により起こる移植片対宿主反応、各種自
己免疫病、血液系腫瘍、固形癌等の腫瘍疾病、真菌感染
症等の治療および予防に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12P 17/06 C12P 17/06 // C07D 309/32 C07D 309/32 (C12P 17/06 C12R 1:465) (72)発明者 板崎 弘 兵庫県宝塚市清荒神3−9−4 (56)参考文献 特開 平5−25189(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/20 C12P 17/00 - 17/18 C07D 309/32 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ストレプトミセス プルニカラー(Stre
    ptomyces prunicolor)種に属し、式I: 【化1】 で示される化合物を産生する微生物
  2. 【請求項2】式Iで示される化合物が(5R*,6R*
    −5−エチル−5,6−ジヒドロ−6−[(E)−(2
    *,3S*,4R*,5S*)−2−ヒドロキシ−4−メ
    トキシ−3,5−ジメチル−7−ノネニル]−2H−ピ
    ラン−2−オンである請求項1記載の微生物
  3. 【請求項3】 ストレプトミセス プルニカラー PA
    −48153(Streptomyces prunicolor PA-48153)
    (FERM BP-3754)である請求項記載の微生物
  4. 【請求項4】 ストレプトミセス プルニカラー(Stre
    ptomyces prunicolorに属し、請求項1に記載の
    Iで示される化合物を産生する微生物を培養し、該培養
    培地から該化合物を採取することを特徴とする該化合物
    の製造法。
  5. 【請求項5】 式I: 【化2】 で示される化合物を有効成分として含有する免疫抑制
    剤。
  6. 【請求項6】 請求項に記載の式Iで示される化合物
    を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
  7. 【請求項7】 請求項に記載の式Iで示される化合物
    を有効成分として含有する抗アスペルギルス剤
  8. 【請求項8】 請求項5に記載の式Iで示される化合物
    を有効成分として含有する抗カンジダ剤。
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