JP3120557B2 - 高磁場発生装置及び永久電流スイッチ - Google Patents
高磁場発生装置及び永久電流スイッチInfo
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- Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高磁場発生装置及び永
久電流スイッチに係り、特に液体窒素を冷媒として作動
する高磁場発生装置及び永久電流スイッチに関する。
久電流スイッチに係り、特に液体窒素を冷媒として作動
する高磁場発生装置及び永久電流スイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、物質の磁気特性の測定,核磁気共
鳴を利用した物資の分析、あるいはMRI(Magnetic R
esonance Imaging)などでは高磁場発生装置が必要であ
る。この場合、該高磁場発生装置を超電導状態にした
り、常電導状態にしたりすることが必要であり、そのた
めに永久電流スイッチが使用される。従来、永久電流ス
イッチは、特開平1−117004 号のように該永久電流スイ
ッチと冷却材とが直接接触する構造であった。
鳴を利用した物資の分析、あるいはMRI(Magnetic R
esonance Imaging)などでは高磁場発生装置が必要であ
る。この場合、該高磁場発生装置を超電導状態にした
り、常電導状態にしたりすることが必要であり、そのた
めに永久電流スイッチが使用される。従来、永久電流ス
イッチは、特開平1−117004 号のように該永久電流スイ
ッチと冷却材とが直接接触する構造であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の永久電
流スイッチでは、高磁場発生装置を超電導状態から常電
導状態に切り替える際にヒータによって加熱するが、該
永久電流スイッチと冷却材とが直接接触しているために
は、ヒータによって加熱しても熱が冷却材に奪われるの
で、超電導状態から常電導状態に切り替えるために大電
流が必要であり、かつ加熱に長時間を要していた。更
に、常電導状態を維持するのにヒータによって加熱して
も熱が冷却材に奪われるので、大きなヒータ電力を必要
とするという問題があった。
流スイッチでは、高磁場発生装置を超電導状態から常電
導状態に切り替える際にヒータによって加熱するが、該
永久電流スイッチと冷却材とが直接接触しているために
は、ヒータによって加熱しても熱が冷却材に奪われるの
で、超電導状態から常電導状態に切り替えるために大電
流が必要であり、かつ加熱に長時間を要していた。更
に、常電導状態を維持するのにヒータによって加熱して
も熱が冷却材に奪われるので、大きなヒータ電力を必要
とするという問題があった。
【0004】本発明の目的は、電力消費が少ない磁場発
生装置を提供することにある。
生装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は、永久電流ス
イッチを断熱的にケースに納めることにより達成され
る。
イッチを断熱的にケースに納めることにより達成され
る。
【0006】本発明は、冷却材を収容する冷却容器と、
該冷却材中に浸漬された超電導コイル及び該超電導コイ
ルに接続された永久電流スイッチと、該超電導コイル及
び該永久電流スイッチに接続された励磁用電源を有する
高磁場発生装置において、該永久電流スイッチが断熱的
にケースに納められた高磁場発生装置を提供するもので
ある。本発明において用いられる冷却材としては例えば
液体ヘリウム,液体窒素をあげることができる。本発明
の構成を図1を用いて説明する。超電導コイル1は、磁
場を発生するためのものであり、超電導体を絶縁材とと
もに巻いてコイルとする。永久電流スイッチ2は、コイ
ル1の外側でコイル1の発生する磁場が最も弱い場所を
選んで配置してある。コイル1の巻き線端部と永久電流
スイッチ2とは超電導接続がなされている。保護抵抗3
として本実施例では1Ωの抵抗体を使用した。冷却容器
4にはステンレス製の断熱容器を用いた。励磁用電源5
には、定電流制御の直流電源を用いた。
該冷却材中に浸漬された超電導コイル及び該超電導コイ
ルに接続された永久電流スイッチと、該超電導コイル及
び該永久電流スイッチに接続された励磁用電源を有する
高磁場発生装置において、該永久電流スイッチが断熱的
にケースに納められた高磁場発生装置を提供するもので
ある。本発明において用いられる冷却材としては例えば
液体ヘリウム,液体窒素をあげることができる。本発明
の構成を図1を用いて説明する。超電導コイル1は、磁
場を発生するためのものであり、超電導体を絶縁材とと
もに巻いてコイルとする。永久電流スイッチ2は、コイ
ル1の外側でコイル1の発生する磁場が最も弱い場所を
選んで配置してある。コイル1の巻き線端部と永久電流
スイッチ2とは超電導接続がなされている。保護抵抗3
として本実施例では1Ωの抵抗体を使用した。冷却容器
4にはステンレス製の断熱容器を用いた。励磁用電源5
には、定電流制御の直流電源を用いた。
【0007】また、本発明は、冷却材を収容する冷却容
器と、該冷却材で強制循環冷却される超電導コイル及び
該超電導コイルに接続された永久電流スイッチと、該超
電導コイル及び該永久電流スイッチに接続された励磁用
電源を有する高磁場発生装置において、該永久電流スイ
ッチが断熱的にケースに納められた高磁場発生装置を提
供するものである。本発明における強制循環冷却は、冷
却材をポンプ等によって加圧して強制的に循環させる方
法である。本発明の構成を図7を用いて説明する。超電
導コイル1は、磁場を発生するためのものであり、超電
導体を絶縁材とともに巻いてコイルとする。永久電流ス
イッチ2は、コイル1の外側でコイル1の発生する磁場
が最も弱い場所を選んで配置してある。コイル1の巻き
線端部と永久電流スイッチ2とは超電導接続がなされて
いる。保護抵抗3として本実施例では1Ωの抵抗体を使
用した。冷却容器4には強制循環冷却方式を用いた。励
磁用電源5には、定電流制御の直流電源を用いた。
器と、該冷却材で強制循環冷却される超電導コイル及び
該超電導コイルに接続された永久電流スイッチと、該超
電導コイル及び該永久電流スイッチに接続された励磁用
電源を有する高磁場発生装置において、該永久電流スイ
ッチが断熱的にケースに納められた高磁場発生装置を提
供するものである。本発明における強制循環冷却は、冷
却材をポンプ等によって加圧して強制的に循環させる方
法である。本発明の構成を図7を用いて説明する。超電
導コイル1は、磁場を発生するためのものであり、超電
導体を絶縁材とともに巻いてコイルとする。永久電流ス
イッチ2は、コイル1の外側でコイル1の発生する磁場
が最も弱い場所を選んで配置してある。コイル1の巻き
線端部と永久電流スイッチ2とは超電導接続がなされて
いる。保護抵抗3として本実施例では1Ωの抵抗体を使
用した。冷却容器4には強制循環冷却方式を用いた。励
磁用電源5には、定電流制御の直流電源を用いた。
【0008】さらに、本発明は、絶縁性基板に形成した
電流路と、該電流路に接続されたヒータを有する永久電
流スイッチにおいて、該電流路と該ヒータを取り囲むケ
ースを有する永久電流スイッチを提供するものである。
基板の材質はAl2O3,TiSrO3,MgO 等からな
る。電流路とは電気の流れる線又は膜であり、材質とし
ては高温超電導体であることが好ましい。ケースは断熱
性の高いことが好ましい。
電流路と、該電流路に接続されたヒータを有する永久電
流スイッチにおいて、該電流路と該ヒータを取り囲むケ
ースを有する永久電流スイッチを提供するものである。
基板の材質はAl2O3,TiSrO3,MgO 等からな
る。電流路とは電気の流れる線又は膜であり、材質とし
ては高温超電導体であることが好ましい。ケースは断熱
性の高いことが好ましい。
【0009】本発明による永久電流スイッチを図2及び
3を用いて説明する。永久電流スイッチ2は、基板11
の上面に電流路12としてTl−(1223)系酸化物超
電導体の膜をレーザアブレーション法で形成し、ヒータ
13としてマンガニンの薄膜ヒータを基板の下面に接着
した。用いた基板は厚さ0.5mm ,幅20mm,長さ30
mmのMgO単結晶で、電流路は幅4mm,厚さ2μm,長
さが80mmである。ケース15はポリイミドの絶縁シー
トとエポキシ樹脂とで形成した。直径約1mmの穴16を
2箇所に設けてある。該電流路と該ヒータを電気絶縁性
物質を介して接続しても良い。
3を用いて説明する。永久電流スイッチ2は、基板11
の上面に電流路12としてTl−(1223)系酸化物超
電導体の膜をレーザアブレーション法で形成し、ヒータ
13としてマンガニンの薄膜ヒータを基板の下面に接着
した。用いた基板は厚さ0.5mm ,幅20mm,長さ30
mmのMgO単結晶で、電流路は幅4mm,厚さ2μm,長
さが80mmである。ケース15はポリイミドの絶縁シー
トとエポキシ樹脂とで形成した。直径約1mmの穴16を
2箇所に設けてある。該電流路と該ヒータを電気絶縁性
物質を介して接続しても良い。
【0010】
【作用】本発明の高磁場発生装置における永久電流スイ
ッチのヒータに通電すると電流路は、温度が上がり臨界
温度以上になると、超電導状態が破れ、抵抗が急激に上
昇する。このとき空間14内に蒸発した冷却材はガス状
であり断熱性が高いので、少ないヒータ電力でスイッチ
を動作させることができる。常電導状態を維持するため
に、臨界温度よりもわずかに高い温度となるようにヒー
タを調節する。この時、空間内15の蒸発した冷却材の
圧力は液体冷却材の圧力と平衡になるため液体冷却材は
空間内15に侵入しない。空間14が無い場合には、ヒ
ータによって加熱しても熱が冷却材に奪われるので、常
電導状態を維持するのに大きなヒータ電力を必要とす
る。
ッチのヒータに通電すると電流路は、温度が上がり臨界
温度以上になると、超電導状態が破れ、抵抗が急激に上
昇する。このとき空間14内に蒸発した冷却材はガス状
であり断熱性が高いので、少ないヒータ電力でスイッチ
を動作させることができる。常電導状態を維持するため
に、臨界温度よりもわずかに高い温度となるようにヒー
タを調節する。この時、空間内15の蒸発した冷却材の
圧力は液体冷却材の圧力と平衡になるため液体冷却材は
空間内15に侵入しない。空間14が無い場合には、ヒ
ータによって加熱しても熱が冷却材に奪われるので、常
電導状態を維持するのに大きなヒータ電力を必要とす
る。
【0011】ヒータをOFFすると空間内15の圧力が
減少するため、穴16から空間内15に再び液体冷却材
が流入し、電流路は速やかに冷却され、超電導状態に復
帰する。すなわち、本発明の永久電流スイッチは少ない
ヒータ電力で常電導状態を保持できるとともにスイッチ
速度が早いという特徴を有する。
減少するため、穴16から空間内15に再び液体冷却材
が流入し、電流路は速やかに冷却され、超電導状態に復
帰する。すなわち、本発明の永久電流スイッチは少ない
ヒータ電力で常電導状態を保持できるとともにスイッチ
速度が早いという特徴を有する。
【0012】本発明において、「永久電流スイッチが断
熱的にケースに納められる」とはケースが断熱性の高い
材質で構成するか、永久電流スイッチとケースとの間に
空間を形成して断熱性を高めるかあるいは両者の組合せ
を意味している。
熱的にケースに納められる」とはケースが断熱性の高い
材質で構成するか、永久電流スイッチとケースとの間に
空間を形成して断熱性を高めるかあるいは両者の組合せ
を意味している。
【0013】本発明として用いられる冷却材としては、
たとえば液体ヘリウム,液体窒素等をあげることができ
るが、液体窒素がより好ましい。超電導電磁石にNb−
Ti合金やNb−Sn金属間化合物などの金属系超電導
体を使用する場合は液体ヘリウムを用いる。液体ヘリウ
ムは沸点が絶対温度4.2K と極低温のため真空断熱構
造を有する冷媒容器が必要であった。超電導電磁石のコ
イル線材及び永久電流スイッチの電流線輪として酸化物
超電導体を使用する場合は液体窒素を用いることができ
る。液体窒素は沸点が絶対温度77.3K であり、冷却
構造が大幅に簡略化できる。しかも、液体窒素は液体ヘ
リウムに比べて1/10以下と安価である。
たとえば液体ヘリウム,液体窒素等をあげることができ
るが、液体窒素がより好ましい。超電導電磁石にNb−
Ti合金やNb−Sn金属間化合物などの金属系超電導
体を使用する場合は液体ヘリウムを用いる。液体ヘリウ
ムは沸点が絶対温度4.2K と極低温のため真空断熱構
造を有する冷媒容器が必要であった。超電導電磁石のコ
イル線材及び永久電流スイッチの電流線輪として酸化物
超電導体を使用する場合は液体窒素を用いることができ
る。液体窒素は沸点が絶対温度77.3K であり、冷却
構造が大幅に簡略化できる。しかも、液体窒素は液体ヘ
リウムに比べて1/10以下と安価である。
【0014】液体窒素は大気圧下では、沸点が77.3
K であるが、減圧にするとその沸点は下る。例えば1
0Torrの圧力下では沸点が54Kになるので、この条件
下で本発明の高磁場発生装置を使用することも好まし
い。一般に、超電導物質の臨界電流密度,臨界磁場は、
低温ほど向上する。臨界温度が80Kを超える高温超電
導体、例えばタリウム系Tl−(1223),Tl−(1
212),Tl−(2223),Tl−(2212),Y−
(123),Bi−(2212),Bi−(2223)では、
77K近辺で温度を下げてゆくと図9に示すように臨界
電流密度は急激に向上する。したがって、高温超電導体
を用いたマグネットでは、77Kから54Kの間で使用
するのも好ましいものである。減圧して温度を下げるに
は、ポンプで吸引するなどで達成できる。
K であるが、減圧にするとその沸点は下る。例えば1
0Torrの圧力下では沸点が54Kになるので、この条件
下で本発明の高磁場発生装置を使用することも好まし
い。一般に、超電導物質の臨界電流密度,臨界磁場は、
低温ほど向上する。臨界温度が80Kを超える高温超電
導体、例えばタリウム系Tl−(1223),Tl−(1
212),Tl−(2223),Tl−(2212),Y−
(123),Bi−(2212),Bi−(2223)では、
77K近辺で温度を下げてゆくと図9に示すように臨界
電流密度は急激に向上する。したがって、高温超電導体
を用いたマグネットでは、77Kから54Kの間で使用
するのも好ましいものである。減圧して温度を下げるに
は、ポンプで吸引するなどで達成できる。
【0015】本発明における永久電流スイッチ及び超電
導コイルには酸化物超電導体を用いるのが好ましい。
導コイルには酸化物超電導体を用いるのが好ましい。
【0016】本発明の高磁場発生装置では、超電導コイ
ルおよび永久電流スイッチに従来の金属超電導体、又は
化合物超電導体を使用しても良いが、LnBa2Cu3O
7-δ(ここでLnはY,Ho,Erなどの希土類元素),
Bi2Sr2CaCu2O8-δ,Bi2Sr2Ca2Cu3O9-δ,
Tl2Ba2CaCu2O8-δ,Tl2Ba2Ca2Cu3O9-δ,Tl
Br2CaCu2O8-δ,TlSr2Ca2Cu3O9-δ の
基本式で示される酸化物超電導物質、あるいはその誘導
体が使用できる。
ルおよび永久電流スイッチに従来の金属超電導体、又は
化合物超電導体を使用しても良いが、LnBa2Cu3O
7-δ(ここでLnはY,Ho,Erなどの希土類元素),
Bi2Sr2CaCu2O8-δ,Bi2Sr2Ca2Cu3O9-δ,
Tl2Ba2CaCu2O8-δ,Tl2Ba2Ca2Cu3O9-δ,Tl
Br2CaCu2O8-δ,TlSr2Ca2Cu3O9-δ の
基本式で示される酸化物超電導物質、あるいはその誘導
体が使用できる。
【0017】これらの酸化物超電導体の臨界温度はいず
れも冷却材温度以上である。これらの中で好ましくは、
タリウム,アルカリ土類金属,銅の酸化物を含み、層状
ペロブスカイト構造を有し、その結晶構造中にTl−O
面が一面である酸化物超電導物質が臨界温度および磁場
中での超電導特性に優れているので望ましい。
れも冷却材温度以上である。これらの中で好ましくは、
タリウム,アルカリ土類金属,銅の酸化物を含み、層状
ペロブスカイト構造を有し、その結晶構造中にTl−O
面が一面である酸化物超電導物質が臨界温度および磁場
中での超電導特性に優れているので望ましい。
【0018】その一般式は、 (Tl1-xAx)i(Sr1-yBay)jCakCu1−O ここに A=Pb,Biから選ばれた少なくとも1種以
上であり、各添字は次の値を示す。
上であり、各添字は次の値を示す。
【0019】x=0.01〜0.7 y=0.01〜0.7 i=0.7〜1.3 j=1.5〜2.5 k=0.8〜4.0 l=1.5〜5.0
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
する。
【0021】(実施例1)本発明による永久電流スイッ
チの一実施例を図2及び図3に示す。
チの一実施例を図2及び図3に示す。
【0022】永久電流スイッチ2は、基板11の上面に
電流路12としてTl−(1223)系酸化物超電導体の
膜をレーザアブレーション法で形成し、ヒータ13とし
てマンガニンの薄膜ヒータを基板の下面に接着した。用
いた基板は厚さ0.5mm ,幅20mm,長さ30mmのMg
O単結晶で、電流路は幅4mm,厚さ2μm,長さが80
mmである。ケース15はポリイミドの絶縁シートとエポ
キシ樹脂とで形成した。ケースには直径約1mmの穴16
を2箇所に設けてある。
電流路12としてTl−(1223)系酸化物超電導体の
膜をレーザアブレーション法で形成し、ヒータ13とし
てマンガニンの薄膜ヒータを基板の下面に接着した。用
いた基板は厚さ0.5mm ,幅20mm,長さ30mmのMg
O単結晶で、電流路は幅4mm,厚さ2μm,長さが80
mmである。ケース15はポリイミドの絶縁シートとエポ
キシ樹脂とで形成した。ケースには直径約1mmの穴16
を2箇所に設けてある。
【0023】この永久電流スイッチを液体窒素中に浸漬
し試験したところ、臨界電流は25Aで、ヒータをON
して超電導状態を破ったときの常電導状態での抵抗値は
60Ωであった。ヒータ電力を1W投入としたとき20
秒後に超電導状態から常電導状態に転移し、その後0.
1W にヒータ電力を下げても常電導状態は持続した。
また、ヒータ電力をOFFしたとき5秒後に超電導状態
に復帰した。
し試験したところ、臨界電流は25Aで、ヒータをON
して超電導状態を破ったときの常電導状態での抵抗値は
60Ωであった。ヒータ電力を1W投入としたとき20
秒後に超電導状態から常電導状態に転移し、その後0.
1W にヒータ電力を下げても常電導状態は持続した。
また、ヒータ電力をOFFしたとき5秒後に超電導状態
に復帰した。
【0024】一方、空間14を形成させないスイッチの
場合には、超電導状態を常電導状態に転移させるのに必
要な最低ヒータ電力は0.5W であったが、ヒータ電力
をそれより低下させると常電導状態を維持することがで
きなかった。即ち、本実施例の永久電流スイッチでは空
間14を形成させないスイッチにくらべ1/5のヒータ
電力で常電導状態が維持できることが示された。
場合には、超電導状態を常電導状態に転移させるのに必
要な最低ヒータ電力は0.5W であったが、ヒータ電力
をそれより低下させると常電導状態を維持することがで
きなかった。即ち、本実施例の永久電流スイッチでは空
間14を形成させないスイッチにくらべ1/5のヒータ
電力で常電導状態が維持できることが示された。
【0025】前記永久電流スイッチを組み込んだ高磁場
発生装置を図1に示す。
発生装置を図1に示す。
【0026】超電導コイル1は、磁場を発生するための
ものである。Tcが122KのTl−(1223)酸化物
超電導体を用いて幅3mm,厚み0.1mm の銀シーステー
プ状線材を作り、アルミナ不織布とともに巻いてパンケ
ーキコイルとし、これを12段積層してコイルとした。
コイル1の巻き線寸法は巻き線内径が20mm,巻き線外
径が60mm,軸長が40mmである。永久電流スイッチ2
は図1及び図2で示したものを、コイル1の外側でコイ
ル1の発生する磁場が最も弱い場所を選んで配置してあ
る。コイル1の巻き線端部と永久電流スイッチ2とは超
電導接続がなされている。
ものである。Tcが122KのTl−(1223)酸化物
超電導体を用いて幅3mm,厚み0.1mm の銀シーステー
プ状線材を作り、アルミナ不織布とともに巻いてパンケ
ーキコイルとし、これを12段積層してコイルとした。
コイル1の巻き線寸法は巻き線内径が20mm,巻き線外
径が60mm,軸長が40mmである。永久電流スイッチ2
は図1及び図2で示したものを、コイル1の外側でコイ
ル1の発生する磁場が最も弱い場所を選んで配置してあ
る。コイル1の巻き線端部と永久電流スイッチ2とは超
電導接続がなされている。
【0027】保護抵抗3として本実施例では1Ωの抵抗
体を使用した。冷却容器4にはステンレス製の断熱容器
を用いた。励磁用電源5には、定電流制御の直流電源を
用いた。
体を使用した。冷却容器4にはステンレス製の断熱容器
を用いた。励磁用電源5には、定電流制御の直流電源を
用いた。
【0028】液体窒素を冷却容器4に充填し超電導コイ
ル1を冷却し、次いで、永久電流スイッチ2のヒータに
1Wの電力を加えてスイッチをOFF状態にし、励磁用
電源5により超電導コイルを励磁して磁場を発生させ
た。20A通電したときコイル中心に1Tの磁場を発生
した。その後にヒータをOFFし永久電流スイッチをO
N状態すなわち永久電流モードにした。電源を切り離し
て、コイルの発生磁場の減衰状態を調べたところ1時間
後の減衰量は5%と実用上は差しつかえない結果が得ら
れた。
ル1を冷却し、次いで、永久電流スイッチ2のヒータに
1Wの電力を加えてスイッチをOFF状態にし、励磁用
電源5により超電導コイルを励磁して磁場を発生させ
た。20A通電したときコイル中心に1Tの磁場を発生
した。その後にヒータをOFFし永久電流スイッチをO
N状態すなわち永久電流モードにした。電源を切り離し
て、コイルの発生磁場の減衰状態を調べたところ1時間
後の減衰量は5%と実用上は差しつかえない結果が得ら
れた。
【0029】また、従来の鉄芯電磁石,液体ヘリウム冷
却超電導電磁石,本実施例の電磁石の場合における,1
テスラ,単位重量当りの電力はそれぞれ4.7W/kg・
T,3.3W/kg・T,1W/kg・Tであった。
却超電導電磁石,本実施例の電磁石の場合における,1
テスラ,単位重量当りの電力はそれぞれ4.7W/kg・
T,3.3W/kg・T,1W/kg・Tであった。
【0030】また、電源を含めない全重量は約5kgで容
易に持ち運びできた。
易に持ち運びできた。
【0031】さらに、実施例1の高磁場発生装置に磁気
シールドを設けて漏れ磁場を低減することも可能であ
る。
シールドを設けて漏れ磁場を低減することも可能であ
る。
【0032】(実施例2)本発明による高磁場発生装置
を図4に示す。
を図4に示す。
【0033】実施例1と同様、高磁場発生装置は超電導
コイル1,永久電流スイッチ2,保護抵抗3,冷却容器
4,励磁用電源5から構成されているが、本実施例の高
磁場発生装置では、磁場発生空間6が大気開放された構
造となっている。
コイル1,永久電流スイッチ2,保護抵抗3,冷却容器
4,励磁用電源5から構成されているが、本実施例の高
磁場発生装置では、磁場発生空間6が大気開放された構
造となっている。
【0034】実施例2の超電導コイルを90°回転させ
た高磁場発生装置とすることも可能である。
た高磁場発生装置とすることも可能である。
【0035】(実施例3)実施例1の高磁場発生装置に
直流電源を設けた例を図5に示す。
直流電源を設けた例を図5に示す。
【0036】実施例1と同様、高磁場発生装置は超電導
コイル1,永久電流スイッチ2,保護抵抗3,冷却容器
4及び励磁用電源5から構成されているが、本実施例の
高磁場発生装置では、励磁用電源5として直流電源を用
いる構成とした。可変抵抗器52を直流電源51と直列
に接続し、励磁電流の制御をした。所定の磁場を発生し
たら、永久電流モードにし励磁回路を遮断した。直流電
源として、乾電池,蓄電池,自動車などの電源を用いれ
ば、携帯用の高磁場発生装置として利用できる。
コイル1,永久電流スイッチ2,保護抵抗3,冷却容器
4及び励磁用電源5から構成されているが、本実施例の
高磁場発生装置では、励磁用電源5として直流電源を用
いる構成とした。可変抵抗器52を直流電源51と直列
に接続し、励磁電流の制御をした。所定の磁場を発生し
たら、永久電流モードにし励磁回路を遮断した。直流電
源として、乾電池,蓄電池,自動車などの電源を用いれ
ば、携帯用の高磁場発生装置として利用できる。
【0037】(実施例4)実施例4の高磁場発生装置を
対向させる例を図6に示す。
対向させる例を図6に示す。
【0038】実施例1と同様、高磁場発生装置は超電導
コイル1,永久電流スイッチ2,保護抵抗3,冷却容器
4,励磁用電源5から構成されているが、本実施例では
2対の高磁場発生装置を対向させる構成とした。この場
合、コイル中心軸に対して直交する空間が大きく取れる
利点がある。
コイル1,永久電流スイッチ2,保護抵抗3,冷却容器
4,励磁用電源5から構成されているが、本実施例では
2対の高磁場発生装置を対向させる構成とした。この場
合、コイル中心軸に対して直交する空間が大きく取れる
利点がある。
【0039】(実施例5)実施例3の高磁場発生装置を
強制循環冷却型とした例を図7に示す。
強制循環冷却型とした例を図7に示す。
【0040】実施例1と同様、高磁場発生装置は超電導
コイル1,永久電流スイッチ2,保護抵抗3,冷却容器
4及び励磁用電源5から構成されているが、本実施例で
は冷却材を強制循環して超電導コイルを冷却する構造と
なっている。すなわち、冷却材を供給口91から導入
し、排出口92から戻す構造となっている。強制循環冷
却方式では冷却容器4を小型化できる。
コイル1,永久電流スイッチ2,保護抵抗3,冷却容器
4及び励磁用電源5から構成されているが、本実施例で
は冷却材を強制循環して超電導コイルを冷却する構造と
なっている。すなわち、冷却材を供給口91から導入
し、排出口92から戻す構造となっている。強制循環冷
却方式では冷却容器4を小型化できる。
【0041】(実施例6)実施例4の高磁場発生装置に
鉄芯を用いた例を図8に示す。
鉄芯を用いた例を図8に示す。
【0042】実施例1と同様、高磁場発生装置は超電導
コイル1,永久電流スイッチ2,保護抵抗3,冷却容器
4及び励磁用電源5から構成されているが、本実施例で
は磁場発生空間中に鉄芯を設けて磁気回路を構成してい
る。すなわち、超電導コイル1の中心空間を貫通しコイ
ル外部で磁気的に閉じるに鉄芯31を設けて、ポールギ
ャップ32を有する磁気回路を構成する。磁場発生空間
としてポールギャップ32を利用する。本構造にする
と、利用できる磁場発生空間を超電導コイルから離れた
場所に設定できる利点がある。本発明では鉄芯を用いた
が、磁性体であれば他のものでも良い。
コイル1,永久電流スイッチ2,保護抵抗3,冷却容器
4及び励磁用電源5から構成されているが、本実施例で
は磁場発生空間中に鉄芯を設けて磁気回路を構成してい
る。すなわち、超電導コイル1の中心空間を貫通しコイ
ル外部で磁気的に閉じるに鉄芯31を設けて、ポールギ
ャップ32を有する磁気回路を構成する。磁場発生空間
としてポールギャップ32を利用する。本構造にする
と、利用できる磁場発生空間を超電導コイルから離れた
場所に設定できる利点がある。本発明では鉄芯を用いた
が、磁性体であれば他のものでも良い。
【0043】本発明による高磁場発生装置は、物質の磁
気特性の測定に用いられる振動試料型の磁気特性測定装
置やSQUIDを用いた磁場特性測定装置,核磁気や電
子スピンの共鳴を利用した物質の分析に用いられるNM
RやESR分析装置,質量分析計,電子顕微鏡などの理
化学機器、あるいは医療診断用のMRI(MagneticReso
nance Imaging)などに利用できる。将来的には磁気分離
装置,超電導電磁推進船,SQUIDを用いた原子炉配
管の検査装置,単結晶製造装置,MHD発電装置,超電
導発電機,核融合装置,高エネルギー粒子の加速器など
への応用が可能である。
気特性の測定に用いられる振動試料型の磁気特性測定装
置やSQUIDを用いた磁場特性測定装置,核磁気や電
子スピンの共鳴を利用した物質の分析に用いられるNM
RやESR分析装置,質量分析計,電子顕微鏡などの理
化学機器、あるいは医療診断用のMRI(MagneticReso
nance Imaging)などに利用できる。将来的には磁気分離
装置,超電導電磁推進船,SQUIDを用いた原子炉配
管の検査装置,単結晶製造装置,MHD発電装置,超電
導発電機,核融合装置,高エネルギー粒子の加速器など
への応用が可能である。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、少ないヒータ電力で永
久電流スイッチを制御できるので運転コストを安くでき
る。
久電流スイッチを制御できるので運転コストを安くでき
る。
【図1】本発明の実施例1における高磁場発生装置の断
面図。
面図。
【図2】本発明の実施例1における永久電流スイッチの
断面図。
断面図。
【図3】本発明の実施例1における永久電流スイッチの
概略図。
概略図。
【図4】本発明の実施例2における高磁場発生装置の断
面図。
面図。
【図5】本発明の実施例3における高磁場発生装置の断
面図。
面図。
【図6】本発明の実施例4における高磁場発生装置の断
面図。
面図。
【図7】本発明の実施例5における高磁場発生装置の断
面図。
面図。
【図8】本発明の実施例6における高磁場発生装置の断
面図。
面図。
【図9】本発明で使用した高温超電導体Tl−(122
3)の特性図。
3)の特性図。
1…超電導コイル、2…永久電流スイッチ、3…保護抵
抗、4…冷却容器、5…励磁用電源、6…磁場発生空
間、8…サービスポート、9…冷却供給排出口、11…
基板、12…電流路、13…ヒータ、14…空間、15
…ケース、16…穴、17…コイル口出し線、18…ヒ
ータ口出し線、31…鉄芯、32…ポールギャップ、5
1…直流電源、52…可変抵抗器、91…冷媒供給口、
92…冷媒排出口。
抗、4…冷却容器、5…励磁用電源、6…磁場発生空
間、8…サービスポート、9…冷却供給排出口、11…
基板、12…電流路、13…ヒータ、14…空間、15
…ケース、16…穴、17…コイル口出し線、18…ヒ
ータ口出し線、31…鉄芯、32…ポールギャップ、5
1…直流電源、52…可変抵抗器、91…冷媒供給口、
92…冷媒排出口。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 6/00 ZAA
Claims (3)
- 【請求項1】冷却材を収容する冷却容器と、該冷却材中
に浸漬された超電導コイル及び該超電導コイルに接続さ
れた永久電流スイッチと、該超電導コイル及び該永久電
流スイッチに接続された励磁用電源を有する高磁場発生
装置において、該永久電流スイッチが断熱的にケースに
納められたことを特徴とする高磁場発生装置。 - 【請求項2】冷却材を収容する冷却容器と、該冷却材で
強制循環冷却される超電導コイル及び該超電導コイルに
接続された永久電流スイッチと、該超電導コイル及び該
永久電流スイッチに接続された励磁用電源を有する高磁
場発生装置において、該永久電流スイッチが断熱的にケ
ースに納められたことを特徴とする高磁場発生装置。 - 【請求項3】絶縁性基板に形成した電流路と、該電流路
に接続されたヒータを有する永久電流スイッチにおい
て、該電流路と該ヒータを取り囲むケースを有すること
を特徴とする永久電流スイッチ。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04109535A JP3120557B2 (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 高磁場発生装置及び永久電流スイッチ |
EP93301804A EP0561552B1 (en) | 1992-03-17 | 1993-03-10 | A magnetic field generator, a persistent current switch assembly for such a magnetic field generator, and the method of controlling such a magnetic field generator |
DE69314522T DE69314522T2 (de) | 1992-03-17 | 1993-03-10 | Magnetfeldgenerator, Dauerstromschalter für einen solchen Magnetfeldgenerator und Verfahren zum Steuern eines solchen Magnetfeldgenerators |
US08/462,762 US5680085A (en) | 1992-03-17 | 1995-06-05 | Magnetic field generator, a persistent current switch assembly for such a magnetic field generator, and the method of controlling such magnetic field generator |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04109535A JP3120557B2 (ja) | 1992-04-28 | 1992-04-28 | 高磁場発生装置及び永久電流スイッチ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05304025A JPH05304025A (ja) | 1993-11-16 |
JP3120557B2 true JP3120557B2 (ja) | 2000-12-25 |
Family
ID=14512717
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04109535A Expired - Fee Related JP3120557B2 (ja) | 1992-03-17 | 1992-04-28 | 高磁場発生装置及び永久電流スイッチ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3120557B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000277322A (ja) * | 1999-03-26 | 2000-10-06 | Toshiba Corp | 高温超電導コイル、これを用いた高温超電導マグネットおよび高温超電導マグネットシステム |
JP4592498B2 (ja) * | 2005-05-30 | 2010-12-01 | 株式会社東芝 | 永久電流超電導マグネットおよびこのマグネットに使用される永久電流スイッチ |
JP2006313924A (ja) * | 2006-06-26 | 2006-11-16 | Toshiba Corp | 高温超電導コイル、これを用いた高温超電導マグネットおよび高温超電導マグネットシステム |
-
1992
- 1992-04-28 JP JP04109535A patent/JP3120557B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05304025A (ja) | 1993-11-16 |
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