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JP3115021B2 - 原子間力顕微鏡/走査型トンネル顕微鏡およびその制御方法 - Google Patents

原子間力顕微鏡/走査型トンネル顕微鏡およびその制御方法

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Publication number
JP3115021B2
JP3115021B2 JP03136213A JP13621391A JP3115021B2 JP 3115021 B2 JP3115021 B2 JP 3115021B2 JP 03136213 A JP03136213 A JP 03136213A JP 13621391 A JP13621391 A JP 13621391A JP 3115021 B2 JP3115021 B2 JP 3115021B2
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probe
atomic force
microscope
signal
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JP03136213A
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謙治 山▲崎▼
康弘 鳥居
信行 竹内
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Publication date
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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01QSCANNING-PROBE TECHNIQUES OR APPARATUS; APPLICATIONS OF SCANNING-PROBE TECHNIQUES, e.g. SCANNING PROBE MICROSCOPY [SPM]
    • G01Q60/00Particular types of SPM [Scanning Probe Microscopy] or microscopes; Essential components thereof
    • G01Q60/02Multiple-type SPM, i.e. involving more than one SPM techniques
    • G01Q60/04STM [Scanning Tunnelling Microscopy] combined with AFM [Atomic Force Microscopy]
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01QSCANNING-PROBE TECHNIQUES OR APPARATUS; APPLICATIONS OF SCANNING-PROBE TECHNIQUES, e.g. SCANNING PROBE MICROSCOPY [SPM]
    • G01Q10/00Scanning or positioning arrangements, i.e. arrangements for actively controlling the movement or position of the probe
    • G01Q10/04Fine scanning or positioning
    • G01Q10/06Circuits or algorithms therefor

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  • Health & Medical Sciences (AREA)
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  • Radiology & Medical Imaging (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋭く尖らせた探針を試
料表面に接近させ、探針先端と試料表面との距離に依存
する物理量を検出することにより、表面形状の測定や材
料分析などを高い空間分解能で行う走査型プローブ顕微
鏡に関するもののうち、探針先端と試料表面に働く原子
間力等の力を検出して表面形状を測定する原子間力顕微
鏡と、探針先端と試料表面の間に流れるトンネル電流を
検出して表面形状や電子的特性を測定する走査型トンネ
ル顕微鏡とを複合した原子間力顕微鏡/走査型トンネル
顕微鏡およびその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】走査型トンネル顕微鏡(以下STMと略
記する)は導電性物質の表面を原子オーダーの高分解能
で観察や分析ができ、また原子間力顕微鏡(以下AFM
と略記する)は導電性とは無関係に表面を原子オーダー
の高分解能で観察できるということで注目されている。
これらの複合装置である原子間力顕微鏡/走査型トンネ
ル顕微鏡(以下AFM/STMと略記する)は導電性物
質と非導電性物質が混在する表面について表面形状の観
察と電子的特性の分析が高い空間分解能で同時にできる
ということで注目されており、例えば日本金属学会会報
第29巻第5号(1990)349頁から357頁に解
説されている。
【0003】従来のAFM/STMの構成および動作は
以下の通りである。すなわち、先端が鋭く尖った探針を
取り付けた柔らかい板バネを試料表面に接近させると、
探針先端と試料表面の間に原子間力により斥力又は引力
が働き、板バネがたわむ。このたわみの量は板バネ背面
の別の探針と板バネ背面間に流れるトンネル電流量や光
てこの原理による光検出器の検出量により、非常に高い
感度で検出することが可能である。また、導電性の探針
・板バネを用い、試料と探針の間にバイアス電圧を印加
することにより、試料が導電性である場合、トンネル現
象によるトンネル電流が試料・探針間に流れる。この原
子間力やトンネル電流は試料・探針間距離に大きく依存
するので、試料をXY方向(面内方向)にラスタースキ
ャンさせながらこの物理量を検出し、これが一定になる
ように試料をZ方向(試料表面に垂直な方向)にフィー
ドバック制御することにより、原子オーダーで試料の表
面形状が観察できる。例えば、導電性物質と非導電性物
質が混在する表面で、原子間力が一定になるようにフィ
ードバック制御してトンネル電流をラスタースキャンに
対応させながらマッピングすることにより、表面形状と
導電性物質の分布が高い空間分解能で観察できる。ま
た、トンネル電流が一定になるようにフィードバック制
御しながら原子間力を検出することにより、STM観察
中に試料・探針間に働く力を測定することができる。
【0004】ところで、STMの方法に分光機能を付加
した走査型トンネル分光法(以下STSと略記する)と
いう技術がある。これは、各XY走査点で試料・探針間
の相対位置を一旦固定した状態で、バイアス電圧を掃引
しながらトンネル電流信号を入力し、I(トンネル電
流)−V(バイアス電圧)特性を測定することにより、
各XY走査点での電子的特性を高い分解能で分析できる
方法として注目されている。例えば日本物理学会誌vo
l.46,No.4(1991)293頁から295頁
に解説されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術によるAFM/STMでは、原子間力を一定の
条件で、ある値に設定したバイアス電圧を試料・探針間
に印加した際に流れるトンネル電流値の空間分布、つま
り特定のバイアス電圧での導電性の空間分布の像および
試料表面の凹凸像が得られるのみで、分光機構がない。
従って、特定のバイアス電圧での導電性が同じであって
も試料・探針間のI−V特性等の電気的特性の異なる複
数の物質が混在する試料表面を観察したい場合や、表面
状態密度等の詳しい電子的特性を得たい場合には、これ
ができないという問題があった。
【0006】また、非導電性物質を含む表面を観察する
場合には、トンネル電流が一定になるようにフィードバ
ック制御する方法は使えず、原子間力が一定になるよう
にフィードバック制御することになるが、この場合、原
子間力よりトンネル電流の方が垂直方向の分解能が高い
(距離依存性が大きい)ので、フィードバック制御の誤
差によるトンネル電流の変動が大きく、異なる導電性物
質を区別することが難しいという問題があった。
【0007】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、その一つの目的は非導電性物質を含
む表面を観察する場合に、フィードバック制御の誤差に
よるトンネル電流の変動を小さくし、異なる導電性物質
を区別しそれらの物質分布を観察することが可能なAF
M/STMを提供することにある。
【0008】また、本発明のもう一つの目的は上記に加
え更に電気的特性は異なるが特定のバイアス電圧での導
電性が同じである複数の物質が混在する試料表面の観察
や、表面状態密度等の詳しい電子的特性の測定が可能な
AFM/STMを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の原子間力顕微鏡/走査型トンネル顕微鏡
およびその制御方法においては、試料と、探針と、該試
料・探針間の該試料表面の面内方向の相対的位置を走査
制御する走査制御部と、該試料・探針間の該試料表面に
垂直な方向の相対的位置をフィードバック制御するフィ
ードバック制御部と、該試料又は該探針にバイアス電圧
を印加するバイアス電圧制御部と、該試料・探針間に働
く力を検出する原子間力検出部と、該試料・探針間に流
れる電流を検出するトンネル電流検出部から構成されて
いる原子間力顕微鏡/走査型トンネル顕微鏡において、
前記フィードバック制御部が、前記原子間力検出部から
出力される原子間力の信号およびトンネル電流検出部か
ら出力されるトンネル電流の信号の双方を同時に入力
し、これらをパラメータとする関数を帰還信号として
試料表面の導電性/非導電性の性質に応じてフィードバ
ック制御することを特徴としている。
【0010】また、同じく上記の目的を達成するため、
本発明の原子間力顕微鏡/走査型トンネル顕微鏡および
その制御方法においては、上記の原子間力顕微鏡/走査
型トンネル顕微鏡において、前記バイアス電圧制御部
が、所定の電圧波形でバイアス電圧を変化させる電圧発
生器から成り、前記フィードバック制御部が、試料・探
針間の該試料表面の面内方向の相対的位置を走査制御す
る過程で、前記試料・探針間に働く原子間力の値および
前記バイアス電圧により該試料・探針間に流れるトンネ
ル電流の値の双方をパラメータとした関数を帰還信号と
して該試料表面の導電性/非導電性の性質に応じて該試
料・探針間の該試料表面に垂直な方向の相対的位置をフ
ィードバック制御し、前記バイアス電圧を特定の範囲内
で高速に掃引させながらトンネル電流信号を入力する
とを特徴としている。
【0011】
【作用】本発明の原子間力顕微鏡/走査型トンネル顕微
鏡(AFM/STM)では、フィードバック制御部が、
トンネル電流の信号と試料・探針間に働く原子間力の信
号の双方を同時に入力し、これらをパラメータとする関
数を帰還信号としてフィードバック制御する。例えば、
トンネル電流が流れる部分は導電性であると判断し、ト
ンネル電流を一定にすることを優先したフィードバック
制御を行い、トンネル電流が流れない部分は非導電性で
あると判断し、原子間力を一定にしてフィードバック制
御を行う。このようにフィードバック制御部がトンネル
電流と原子間力の複数信号を入力してフィードバック制
御を行うことにより、非導電性物質を含む表面を観察す
る場合に、フィードバック制御の誤差によるトンネル電
流の変動を小さくし、異なる導電性物質を区別すること
可能にる。
【0012】また、本発明の原子間力顕微鏡/走査型ト
ンネル顕微鏡(AFM/STM)においては、上記のA
FM/STMに走査型トンネル分光法(STS)の方法
による分光機能を付加することにより、つまり試料・探
針間の相対的位置の走査制御における各走査点で、バイ
アス電圧を所定波形の高周波で変化させると同時に、複
数のトンネル電流信号を測定し、バイアス電圧と時間対
応させることにより、各走査点でのI−V特性が得られ
るようにする。これにより、電気的特性は異なるが特定
のバイアス電圧での導電性が同じである複数の物質が混
在する試料表面の物質分布観察や、表面状態密度等の詳
しい電子的特性の測定を高い空間分解能で可能にる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳
細に説明する。
【0014】図1は本発明の第1の実施例を示すAFM
/STMの構成図である。ただし、簡単化のため、フィ
ードバック制御に関しては、原子間力の信号の値のみを
パラメータとした関数を帰還信号とする場合を例とす
る。本実施例におけるAFM/STMを構成する部分と
して、図中の1は試料、2aは探針、2bは板バネ、2
cはレーザー発信器、2dは光検出器、2eはXYZ軸
圧電素子、2fはトンネル電流検出器、3はフィードバ
ック制御回路、4は走査波形発生回路、5は所定の波形
でバイアス電圧を発生するバイアス電圧制御回路、6
a,6bはストレージオシロスコープである。板バネ2
b,レーザー発信器2c,光検出器2dは試料1・探針
2a間に働く力(原子間力)を検出する原子間力検出部
に相当する試料1はXYZ軸圧電素子2e上に載置さ
れ、試料1表面に平行な平面上(面内方向)の直交軸を
XY軸として、また試料1表面に垂直な方向をZ軸とし
て探針2aとの相対的位置が制御される。
【0015】上記各部の接続構成と各部の機能は次の通
りである。探針2aは板バネ2bの先端に固着され、試
料1表面に近接して配置される。ここで、試料1の表面
と探針2aの先端の間に原子間力が働くと、探針2aと
一体となっている板バネ2bがたわむ。このたわみ量
は、レーザー発信器2cから発信されたレーザー光の進
路を変え、これが光検出器2dにより検出されて原子間
力信号として出力される。つまり、光検出器2dを構成
する左右2つの光検出部分の各光検出量の差信号が、板
バネ2bのたわみを高感度で検出する。フィードバック
制御回路3は、光検出器2dから原子間力信号を入力
し、この信号が一定になるようにフィードバック制御
し、その結果をZ印加電圧信号として出力する。例え
ば、原子間力信号から一定の設定基準値を差し引いた帰
還信号について、この帰還信号が常にゼロに近づくよう
に、帰還信号を予め設定した時定数で積分し、これに帰
還信号に比例する信号を加えるなどした信号を増幅し、
Z印加電圧信号として出力する。Z印加電圧信号はXY
Z軸圧電素子2eのZ印加端子に入力され、試料1のZ
軸方向の位置を変化させることにより、試料1・探針2
a間距離が常に一定に制御される。走査波形発生回路4
は、試料1をX,Y方向にラスタースキャンの方法で走
査制御するためのX,Y掃引信号をXYZ軸圧電素子2
bのX,Y印加端子に出力する。ストレージオシロスコ
ープ6aはフィードバック制御回路3からZ印加電圧信
号を入力し、走査波形発生回路4からX,Y掃引信号を
入力して、これらを関連付け、試料1の凹凸を示すAF
M像を3次元図形や濃淡図として表示する。バイアス電
圧制御回路5は高周波の三角波を試料1に出力する。試
料1・探針2a間に流れており、バイアス電圧や試料1
の電気的特性に従って変化するトンネル電流は、板バネ
2bに接続されたトンネル電流検出器2fによって検出
され、ストレージオシロスコープ6bに出力される。ス
トレージオシロスコープ6bはトンネル電流検出器2f
からトンネル電流の信号を入力し、バイアス電圧制御回
路5からバイアス電圧信号を入力し、さらに走査波発生
回路4からX,Y掃引信号を入力して、これらを関連付
け、試料1の電気的特性の分布や表面状態密度等の電子
的特性を示すSTS像を3次元図形や濃淡図として表示
する。
【0016】以上のように構成した第1の実施例の作用
を述べる本実施例では、バイアス電圧制御回路5が所定
の電圧波形でバイアス電圧を掃引することにより、従来
のAFM/STMにSTS(走査型トンネル分光法)に
よる分光機能を付加したものである。本実施例でのX掃
引信号と試料表面の物質分布、各物質の電気的特性、バ
イアス電圧、トンネル電流の関係の例を図2(a),
(b−1),(b−2),(c),(d)に示す。試料
が図2(a)に示すようにX掃引信号の値に対応する部
分で物質A,物質Bと物質Cからなっており、物質Cは
非導電性物質であり、物質Aと物質Bの電気的特性が順
に図2(b−1),(b−2)に示したトンネル電流の
バイアス電圧依存性を持つものとする。例えば、順にp
型半導体およびn型半導体である場合にはこのような電
気的特性を持つものがある。所定の電圧波形のバイアス
電圧としては図2(c)に示すような高周波の三角波と
するのが適当であり、この場合、トンネル電流は図2
(d)に示したようになる。このトンネル電流の波形と
X,Y掃引信号を関連付けることにより、試料表面の各
物質の分布を観察することができる。また、導電性の各
部分について、STSの方法に従って表面状態密度等の
電子的特性の情報を得ることも可能である。これに対し
て従来例の様にバイアス電圧が直流である場合、正バイ
アス電圧では物質Bと物質Cの各部分で共にトンネル電
流が流れないので区別ができず、負バイアス電圧では同
様に物質Aと物質Cの区別ができない。
【0017】このように従来のAFM/STMにSTS
の方法による分光機能を付加することにより、導電性物
質と非導電性物質が混在する表面で、例えば、上記物質
A,物質B,物質Cの試料・探針間のI−V特性が示す
ような電気的特性は異なるが特のバイアス電圧での導
電性が同じである複数の導電性物質の分布観察や、表面
状態密度等の詳しい電子的特性の測定が高い空間分解能
で可能となる。
【0018】次に、本発明の第2の実施例を説明する。
【0019】図3はその第2の実施例を示すディジタル
制御のAFM/STMの構成図であって、1は試料、2
aは探針、2bは板バネ、2cはレーザー発信器、2d
は光検出器、2eはXYZ軸圧電素子、12a,12b
はA/D変換器、12c,12d,12e,12fはD
/A変換器、13はDSP部(ディジタルシグナルプロ
セッサ部)、14は制御用コンピュータである。
【0020】試料1,探針2a,板バネ2b,レーザー
発信器2c,光検出器2d,XYZ軸圧電素子2eの構
成は第1の実施例と同様である。A/D変換器12a
は、試料1・探針2a間に流れるトンネル電流を検出
し、これをディジタル信号に変換し、DSP部13に出
力する。A/D変換器12bは、光検出器2dから原子
間力信号を入力し、これをディジタル信号に変換し、D
SP部13に出力する。D/A変換器12cはDSP部
13から入力したディジタルのバイアス電圧信号をアナ
ログ信号に変換し、試料1に出力する。D/A変換器1
2d,12eはDSP部13から入力したディジタルの
X,Y掃引信号をアナログ信号に変換し、XYZ軸圧電
素子2eのX,Y印加端子に出力する。D/A変換器1
2fはDSP部13から入力したディジタルのZ印加電
圧信号をアナログ信号に変換し、XYZ軸圧電素子2e
のZ印加端子に出力する。DSP部13は予め制御用コ
ンピュータ14から指示された方法に従って、A/D変
換器12a,12bから順にトンネル電流信号と原子間
力信号を入力し、D/A変換器12c,12d,12
e,12fに順にバイアス電圧信号,X掃引信号,Y掃
引信号,Z印加電圧信号を出力することにより、試料1
・探針2a間距離を一定にするためのフィードバック
御およびXY方向に試料1を走査するための走査制御、
バイアス電圧制御を行う。制御用コンピュータ14は、
DSP部13にフィードバック制御,走査制御,バイア
ス電圧制御の方法を指示し、DSP部13から得られた
データを入力し、これを表示,記憶,処理する。具体的
には、X,Y掃引信号に対するZ印加電圧信号による凹
凸を示す像またはトンネル電流信号による導電性などの
電気的特性を示す像などが得られる。
【0021】以上のように構成した第2の実施例の動作
および作用を述べる。
【0022】まず、DSP部13が行うフィードバック
制御、走査制御およびバイアス電圧制御の動作について
説明する。図4はその制御方法を示すフローチャートで
あって、Vはバイアス電圧値、Iはトンネル電流信号
値、Fは原子間力信号値、Zは印加電圧信号値である。
IBはトンネル電流の絶対値がこの値以下の場合は原子
間力のみをフィードバック制御の対象とする境界値、F
Bは原子間力がこの値以下かつトンネル電流の絶対値が
IB以上の場合はトンネル電流のみをフィードバック制
御の対象とする境界値で、FSは原子間力がこの値とな
る様に探針をZ方向にフィードバック制御する設定基準
値、ISはトンネル電流の絶対値がこの値に一定となる
様に探針をZ方向にフィードバック制御する設定基準値
で、(F−FS)または(│I│−IS)はフィードバ
ック制御の帰還信号となる。ZF,ZI,ZFIは各々
の場合に、帰還信号からZ印加電圧信号値を求めるフィ
ードバック制御関数である。
【0023】DSP部13は、まずバイアス電圧Vを出
力し、次にトンネル電流信号Iと原子間力信号Fを入力
する。トンネル電流信号の絶対値│I│が境界値IBよ
り小さい場合には、そこは非導電性物質である可能性が
高いと判断して原子間力のみをフィードバック制御の対
象とし、(F−FS)を帰還信号とするZFのフィード
バック制御関数を計算する。トンネル電流信号の絶対値
│I│が境界値IB以上でかつ原子間力信号Fが境界値
FBより小さい場合には、そこは導電性の高い物質であ
ると判断してZ方向分解能の高いトンネル電流のみをフ
ィードバック制御の対象とし、(│I│ーIS)を帰還
信号とするZIのフィードバック制御関数を計算する。
それ以外の場合は、そこは導電性はあるものの十分では
ない可能性が高いと判断して原子間力とトンネル電流の
双方をフィードバック制御の対象としたり、あるいは導
電性が十分ではない理由や測定の目的によっては、後で
述べるようにZFIの制御関数中の係数の値を選ぶこと
により、事実上トンネル電流のみあるいは原子間力のみ
をフィードバック制御の対象として、ZFIのフィード
バック制御関数を計算する。次に、このようにしてフィ
ードバック関数から求めたZ印加電圧信号Zを出力し、
最後に、XY走査点を次の走査点に進めて以上の制御を
繰り返す。
【0024】次に各フィードバック制御関数について具
体的に説明する。1変数のフィードバック制御関数Z
F,ZIはディジタルPIDフィードバックの方法を用
いる場合、次の様になる。つまり、帰還信号の時間列を
nとするとフィードバック制御関数Znは、 Zn=−pXn−iX′n−d(Xn−Xn-1) X′n=X′n-1+Xn(X′oの値は状況による) p:比例利得係数 i:積分利得係数 d:微分利得係数 (n−1とは1回前のフィードバック制御の際の値を示
す。Xoはゼロとしてもよい。)となる。
【0025】2変数のフィードバック制御関数ZFIに
ついては、2つの帰還信号の時間列(│In│−I
S),(Fn−FS)の一次結合の時間列Xnを用いて、
上記の1変数のフィードバック制御関数に代入すればよ
い。つまり、時間列 Xn=a(Fn−FS−FC)+b(│In│−IS−IC)+c について上記の1変数のフィードバック制御関数を計算
すればよい。ここでa/b〜0とすれば、ほとんど原子
間力のみを対象としたフィードバック制御となり、b/
a〜0とすれば、ほとんどトンネル電流のみを対象とし
てフィードバック制御となる。フィードバック制御関数
ZF,ZI,ZFIの各利得係数p,i,dについて、
順にF,I,FIのサフィックスを付け、pF,iF,
…,dFIと表記すると、トンネル電流Iと原子間力F
の2変数について、フィードバック制御関数ZF,Z
I,ZFIが連続になるように、 1:a:b=pFI:pF:pI=iFI:iF:iI
=dFI:dF:dI=1:IC:FC、 IC=IB−IS、FC=FB−FS、c=bIC(=
aFC) と各係数を設定するのが適当である。
【0026】このように、トンネル電流信号と原子間力
信号の双方を同時に入力し、非導電性物質と導電性物質
が混在する試料表面について、非導電性物質の部分は原
子間力の関数をフィードバック制御の帰還信号とし、導
電性の高い物質の部分はZ方向分解能の高い(試料・探
針間距離依存性が大きい)トンネル電流の関数をフィー
ドバック制御の帰還信号とし、非常に薄い非導電性酸化
膜に覆われている導電性物質の様な、導電性はあるもの
の十分ではない部分は原子間力とトンネル電流の双方を
パラメータとする関数を帰還信号としてフィードバック
制御するという、フィードバック制御の対象とする帰還
信号の自動調節が可能となる。
【0027】原子間力信号とトンネル電流に対して、フ
ィードバック制御の対象とする帰還信号の自動調節が可
能となることの効果としては、導電性物質と非導電性物
質が混在する表面を観察する場合に、フィードバック制
御の誤差によるトンネル電流の変動を小さくし、安定化
することができる。これにより、異なる導電性物質を区
別し、それらの物質分布観察が可能となる。また、第1
の実施例の様なアナログ制御でなくディジタル制御の構
成とすることにより、信号の後処理が容易になり、また
各種の付加機構を加える際にハードウエアの変更の必要
がないという効果がある。
【0028】次に、本発明の第3の実施例を説明する。
本実施例は、前述の第2の実施例がバイアス電圧を常に
一定とした動作の実施例であったのに対し、第1の実施
例のようにSTSによる分光機能を付加したものであ
る。
【0029】図5は、その第3の実施例を示すディジタ
ル制御のAFM/STMのフィードバック制御、走査制
御およびバイアス電圧制御の方法を示すフローチャート
であって、図3に示したディジタル制御のAFM/ST
Mの構成で実現可能である。この場合、フィードバック
制御、走査制御、バイアス電圧制御の計算はDSP部1
3が行う。
【0030】図5で、V,I,F,Z,IB,FB,F
S,IS,ZF,ZI,ZFIの各記号は第2の実施例
の図4での説明で示した通りであり、Xは第2の実施例
でも説明した原子間力とトンネル電流の一次結合である
帰還信号で、X=a(F−FS−FC)+b(│I│−
IS−IC)+cと表される。△XはXの許容誤差、△
F,△Iは各々帰還信号(F−FS),(│I│−I
S)の許容誤差である。mは帰還信号が連続して許容誤
差以上であった回数、nは同一走査点でフィードバック
制御を繰り返す最大回数である。
【0031】DSP部13は、まずバイアス電圧Vを出
力し、次にトンネル電流信号Iと原子間力信号Fを入力
する。トンネル電流信号の絶対値│I│が境界値IBよ
り小さい場合には、そこは非導電性物質である可能性が
高いと判断して原子間力のみをフィードバック制御の対
象とし、(F−FS)を帰還信号とするZFのフィード
バック制御関数を計算する。トンネル電流信号の絶対値
│I│が境界値IB以上でかつ原子間力信号Fが境界値
FBより大きい場合には、そこは導電性の高い物質であ
ると判断してZ方向分解能の高いトンネル電流のみをフ
ィードバック制御の対象とし、(│I│−IS)を帰還
信号とするZIのフィードバック制御関数を計算する。
それ以外の場合は、そこは導電性はあるものの十分でな
い可能性が高いと判断して原子間力とトンネル電流の双
方をフィードバック制御の対象としたり、あるいは導電
性が十分ではない理由や測定の目的によっては、後で述
べるようにZFIの制御関数中の係数の値を選ぶことに
より、事実上トンネル電流のみあるいは原子間力のみを
フィードバック制御の対象として、ZFIのフィードバ
ック制御関数を計算する。このようにしてフィードバッ
ク関数から求めたZ印加電圧信号Zを出力した後、各場
合の帰還信号の絶対値│F−FS│,││I│−IS
│,│X│が各許容誤差△F,△I,△X以上であった
場合は、フィードバック制御が十分に目標の値まで制御
できていないと判断し、フィードバック制御を繰り返
す。もし、同一の走査点で、帰還信号の絶対値が許容誤
差以上であることがn回以上続いた場合は、試料表面の
その部分は観察に適さない状態にあると判断し、その走
査点での観察をあきらめ、XY走査点を次の走査点に進
める。帰還信号の絶対値が許容誤差未満であった場合に
は、試料・探針間のZ方向相対位置が十分に制御されて
いると判断し、STSの方法に従って、バイアス電圧を
特定の範囲内で高速に掃引させながら、トンネル電流信
号を何度か入力する。最後に、XY走査点を次の走査点
に進めて以上の制御を繰り返す。
【0032】以上述べたように本実施例は、第2の実施
例に第1の実施例に示したSTSによる分光機能を付加
することにより、第1および第2の実施例の効果が同時
に現れる。具体的には、従来のAFM/STMの方法に
よる分光機能を付加することにより、導電性物質と非導
電性物質が混在する表面で、電気的特性は異なるが特定
のバイアス電圧での導電性が同じである複数の導電性物
質の分布観察や、表面状態密度等の詳しい電子的特性の
測定が高い空間分解能で可能となる。また、トンネル電
流信号と原子間力信号の双方を同時に入力し、非導電性
物質と導電性物質が混在する試料表面について、フィー
ドバック制御の対象とする帰還信号を自動調節すること
により、フィードバック制御の誤差によるトンネル電流
の変動を小さくし、安定化することができる。これによ
り、導電性物質の分布観察や電子的特性の測定が、高精
度で実現できる。
【0033】さらに上記に加えて、帰還信号の絶対値が
ある値以上の場合は、フィードバック制御を繰り返すと
いうことにより、各データは帰還信号の絶対値がある値
未満である際に収集されることが保証される。これは得
られたデータの正確度が高いことを意味する。
【0034】なお、以上に挙げた本発明の実施例は、本
発明により考え得る実施例の極一部であり、AFM,S
TM,STSに関する既存の方法や上に挙げた実施例中
に述べた方法の組み合わせにより本発明は多数の実施態
様を取り得るものである。例えば、 [a]AFMの原子間力の検出方法として(1)実施例
で示した光てこの方法、(2)板バネ背面の別の探針と
板バネ背面間に流れるトンネル電流量による方法、
(3)板バネ背面に照射したレーザー光の干渉による方
法、 [b]試料と探針の相対位置を制御するために(1)試
料の位置を動かすもの、(2)探針の位置を動かすも
の、 [c]測定環境として(1)大気の不活性ガスなど気体
中のもの、(2)電解溶液,純水,オイルなど液体中の
もの、(3)超高真空など真空中のもの、 [d]測定温度として(1)室温などの常温のもの、
(2)数百度から千度℃程度の高温のもの、(3)液体
ヘリウムから液体窒素温度程度の低温のもの、 [e]フィードバック制御の帰還信号がトンネル電流な
どの信号と(1)設定基準値との差であるもの、(2)
設定基準値との商の対数であるもの、 [f]フィードバック制御の帰還信号が原子間力と
(1)特定のバイアス電圧でのトンネル電流との2変数
関数であるもの、(2)2つ以上のバイアス電圧での2
つ以上のトンネル電流を変数とする3変数以上の関数で
あるもの [g]複数の変数から帰還信号を導く関数が(1)一次
結合で表されるもの、(2)2以上の非線形関数である
もの、 [h]フィードバック制御の方法が(1)PID制御で
あるもの、(2)ファジー制御であるもの、 [i]バイアス電圧を(1)試料に印加するもの、
(2)探針に印加するもの、等の組み合わせにより種々
の実施形態を取り得るものである。具体的な組み合わせ
の方法は観察する試料や目的に応じて、最適なものを選
択するべきであるが、適切な組み合わせにより同様の効
果が得られるものである。
【0035】このように本発明はその主旨に沿って種々
に応用され、種々の実施態様を取り得るものである。
【0036】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
AFM/STMによれば、フィードバック制御部が、ト
ンネル電流の信号と試料・探針に働く力の信号の双方を
同時に入力し、これらをパラメータとする関数を帰還信
号としてフィードバック制御することにより、導電性物
質と非導電性物質が混在する表面を観察する場合に、フ
ィードバック制御の誤差によるトンネル電流の変動を小
さくして、安定化することができる。これにより、導電
性物質の分布観察や電子的特性の測定が、高精度で実現
できる。
【0037】また、本発明のAFM/STMによれば、
上記のAFM/STMにSTSの方法による分光機能を
付加することにより、上記の効果に加えて、導電性物質
と非導電性物質が混在する表面で、電気的特性は異なる
が特定のバイアス電圧での導電性が同じである複数の導
電性物質の分布観察や、表面状態密度等の詳しい電子的
特性の測定が高い空間分解能で可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す原子間力顕微鏡/
走査型トンネル顕微鏡の構成図
【図2】(a),(b−1),(b−2),(c),
(d)は上記第1の実施例の動作を示すX掃引信号と試
料表面の物質分布、各物質の電気的特性、バイアス電
圧、トンネル電流の関係例を示す図
【図3】本発明の第2の実施例を示すディジタル制御原
子間力顕微鏡/走査型トンネル顕微鏡の構成図
【図4】上記第2の実施例の原子間力顕微鏡/走査型ト
ンネル顕微鏡の制御方法のフローチャート
【図5】本発明の第3の実施例を示す原子間力顕微鏡/
走査型トンネル顕微鏡の制御方法のフローチャート
【符号の説明】
1…試料、2a…探針、2b…板バネ、2c…レーザー
発信器、2d…光検出器、2e…XYZ軸圧電素子、2
f…トンネル電流検出器、3…フィードバック制御回
路、4…走査波形発生回路、5…バイアス電圧制御回
路、6a,6b…ストレージオシロスコープ、12a,
12b…A/D変換器、12c,12d,12e,12
f…D/A変換器、13…ディジタルシグナルプロセッ
サ部(DSP部)、14…制御用コンピュータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−110402(JP,A) 特開 平3−43944(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 21/00 - 21/32 G01B 7/00 - 7/34 G01N 37/00 G01N 13/12 G01N 13/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料と、探針と、該試料・探針間の該試
    料表面の面内方向の相対的位置を走査制御する走査制御
    部と、該試料・探針間の該試料表面に垂直な方向の相対
    的位置をフィードバック制御するフィードバック制御部
    と、該試料又は該探針にバイアス電圧を印加するバイア
    ス電圧制御部と、該試料・探針間に働く力を検出する原
    子間力検出部と、該試料・探針間に流れる電流を検出す
    るトンネル電流検出部から構成されている原子間力顕微
    鏡/走査型トンネル顕微鏡であって、 前記フィードバック制御部が、前記原子間力検出部から
    出力される原子間力の信号およびトンネル電流検出部か
    ら出力されるトンネル電流の信号の双方をパラメータと
    する関数を帰還信号としてフィードバック制御すること
    を特徴とする原子間力顕微鏡/走査型トンネル顕微鏡。
  2. 【請求項2】 試料・探針間の該試料表面の面内方向の
    相対的位置を走査制御する過程において、前記試料・探
    針間に働く原子間力の値および該試料・探針間に流れる
    トンネル電流の値の双方をパラメータとした関数を帰還
    信号として該試料表面の導電性/非導電性の性質に応じ
    て該試料・探針間の該試料表面に垂直な方向の相対的位
    置をフィードバック制御することを特徴とする原子間力
    顕微鏡/走査型トンネル顕微鏡の制御方法。
  3. 【請求項3】 前記バイアス電圧制御部が所定の電圧波
    形でバイアス電圧を変化させるものであり、前記トンネ
    ル電流検出部が走査制御における走査点でバイアス電圧
    の異なる複数のトンネル電流信号を入力するものである
    ことを特徴とする請求項1記載の原子間力顕微鏡/走査
    型トンネル顕微鏡。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の原子間力顕微鏡/走査型
    トンネル顕微鏡において、 試料・探針間の該試料表面の面内方向の相対的位置を走
    査制御する過程、前記試料・探針間に働く原子間力の
    値および前記バイアス電圧により該試料・探針間に流れ
    るトンネル電流の値の双方をパラメータとした関数を帰
    還信号として該試料表面の導電性/非導電性の性質に応
    じて該試料・探針間の該試料表面に垂直な方向の相対的
    位置をフィードバック制御し、前記バイアス電圧を特定
    の範囲内 で高速に掃引させながら複数のトンネル電流信
    号を入力することを特徴とする原子間力顕微鏡/走査型
    トンネル顕微鏡の制御方法。
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