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JP3104565B2 - クラッチ装置 - Google Patents

クラッチ装置

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Publication number
JP3104565B2
JP3104565B2 JP07066252A JP6625295A JP3104565B2 JP 3104565 B2 JP3104565 B2 JP 3104565B2 JP 07066252 A JP07066252 A JP 07066252A JP 6625295 A JP6625295 A JP 6625295A JP 3104565 B2 JP3104565 B2 JP 3104565B2
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JP
Japan
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cam
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engagement element
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章吾 松本
清仁 村田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Priority to US08/618,894 priority patent/US5638933A/en
Priority to DE69602549T priority patent/DE69602549T2/de
Priority to EP96104629A priority patent/EP0733819B1/en
Priority to KR1019960008434A priority patent/KR0182817B1/ko
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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    • F16D25/02Fluid-actuated clutches with means for actuating or keeping engaged by a force derived at least partially from one of the shafts to be connected
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D55/00Brakes with substantially-radial braking surfaces pressed together in axial direction, e.g. disc brakes
    • F16D55/24Brakes with substantially-radial braking surfaces pressed together in axial direction, e.g. disc brakes with a plurality of axially-movable discs, lamellae, or pads, pressed from one side towards an axially-located member
    • F16D55/46Brakes with substantially-radial braking surfaces pressed together in axial direction, e.g. disc brakes with a plurality of axially-movable discs, lamellae, or pads, pressed from one side towards an axially-located member with self-tightening action
    • F16D55/48Brakes with substantially-radial braking surfaces pressed together in axial direction, e.g. disc brakes with a plurality of axially-movable discs, lamellae, or pads, pressed from one side towards an axially-located member with self-tightening action with discs or pads having a small free angular travel relative to their support, which produces the self-tightening action
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F16D2125/34Mechanical mechanisms converting rotation to linear movement or vice versa acting in the direction of the axis of rotation
    • F16D2125/36Helical cams, Ball-rotating ramps
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D2127/00Auxiliary mechanisms
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    • F16D2127/10Self-amplifying or de-amplifying mechanisms having wedging elements

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Mechanical Operated Clutches (AREA)
  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクラッチ装置、特に自動
変速機の内部に用いられるクラッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】本願出願人は先に特願平6−48806
および特願平6−69632において、円周方向に相対
回転する部材間にカム機構を設け、このカム機構により
前記部材間の相対回転によって生ずる円周方向の力を軸
方向の推力に変換し、これをクラッチ係合力として用い
るクラッチ装置を出願している。上記装置は、カム機構
の倍力機能や一方向性を利用することで、クラッチディ
スクの枚数の低減、ワンウェイクラッチの廃止によって
クラッチ装置全体の小型化を可能としている。そして、
カム角をθとし、クラッチディスクとそれを押圧するカ
ム部材との間の摩擦係数をμとした場合、μ>tanθ
の時に回転トルクに対応して係合力の増す自縛作用が得
られ、μ<tanθの時にカム機構を押圧するピストン
の押圧力に対応して係合力の増す倍力作用が得られるこ
とに着目し、カム面を双方向とし、一方のカム面を自縛
作用を得るためのものとし、他方のカム面を倍力作用を
得るためのものとし、すなわち、自縛カムと倍力カムと
を設け、前記相対回転する部材の相対回転の方向がある
方向の時には自縛作用を得、逆転方向では倍力作用をえ
ることが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のクラ
ッチ装置では、逆転方向においてクラッチ装置を解放さ
せる場合クラッチディスクとそれを押圧するカム部材を
離間しておかないと倍力カムの作用により不要な推力が
発生し、引きずり損失が増大する。そのため、両部材を
離間するための付勢力を与えるリターンスプリングを設
けているが、自縛カムは、このリターンスプリングの付
勢力により推力が低下し、その結果、正転方向での係合
状態から伝達トルクが抜ける場合に、伝達トルクの方向
が逆転する前に当該クラッチ装置が滑ってしまい、エン
ジン負荷が急減することによりエンジンが吹き上がると
いった運転フィーリングの悪化を招くという問題があっ
た。
【0004】本発明は上記問題に鑑み、相対回転する一
対の部材がある方向に相対回転した時には確実な自縛係
合が可能で、逆方向に回転した時には確実に空転せしめ
ることの可能なクラッチ装置を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1によれば、共通
の軸線上に離間配置され相対的に回転する一対の部材
と、互いに係合可能な第1摩擦係合要素と第2摩擦係合
要素であって、一対の部材の一方に係合され反第2摩擦
係合要素側への軸方向移動が制限される第1摩擦係合要
素、と、一対の部材の他方に係合され第1摩擦係合要素
と隣接配置された第2摩擦係合要素とを備え、第1およ
び第2摩擦係合要素を摩擦係合して相対的に回転する一
対の部材を係合するクラッチ装置であって、共通の軸線
上一対の部材間に配置される第1カム機構と第2カム機
構から成るカム機構であって、第1カム機構が、互いに
対向するカム面を有し、それぞれ軸方向に移動可能な第
1および第2カム部材であって、カム面と反対側の背面
がカム面と反対側の背面が第1部材の一方に対向せしめ
られている第1カム部材と、カム面と反対側の背面が、
直接または間接に、第2摩擦係合要素に当接せしめられ
る第2カム部材とを含み、第2カム機構が、互いに対向
するカム面を有し、それぞれ軸方向に移動可能な第1お
よび第2カム部材であって、カム面と反対側の背面が直
接または間接に、第1部材の一方に当接せしめられる第
1カム部材と、カム面と反対側の背面が第2摩擦係合要
素に対向せしめられている第2カム部材とを含む、カム
機構と、第1カム機構の第2カム部材を反第1カム部材
側に向けて押圧し、それにより、第2カム機構の第2カ
ム部材を第2摩擦係合要素に向けて押しつける押圧手段
と、カム機構の一部に軸方向の付勢力を与える付勢手段
を備え、第2摩擦係合要素とそれに係合される第1カム
機構のカム部材の背面との間の摩擦係数をμとし、第1
カム機構のカム面の軸に垂直な面に対する傾斜角をβ、
第2カム機構のカム面の軸に垂直な面に対する傾斜角を
αとした時に、第1カム機構はカム面の傾斜角βがta
nβ>μとされ、第2カム機構はカム面が第1カム面の
傾斜角とは反対側に傾斜し、傾斜角αがtanα<μと
されていて、第2摩擦係合要素が結合された一対の部材
の他方が回転しているときに、ピストン手段によって第
2カム機構の第2カム部材が第2摩擦係合要素に押しつ
けられると、第1カム機構は作動せず、第2カム機構の
第2カム部材は背面が第2摩擦係合要素と摩擦係合して
第2摩擦係合要素に引きずられ、第2カム機構の対向す
る一対のカム部材は相対回転して、互いに離反方向に押
圧され、第2カム機構の第1カム部材が一対の部材の一
方に、直接または間接に当接し、第2カム部材により第
2摩擦係合要素が押しつけられる第1摩擦係合要素が軸
方向の移動が制限され、第2摩擦係合要素と第1摩擦係
合要素が伝達トルクに対応した押圧力で摩擦係合され、
前記摩擦係合後に、第2摩擦係合要素が結合された一対
の部材の他方の回転方向が逆転すると、第2カム機構の
第1カム部材と第2カム部材に離反が解消され、第1カ
ム機構の第2カム部材は直接または間接に一対の部材の
他方に引きずられ、第1カム機構の対向する一対のカム
部材は相対回転して、互いに離反方向に押圧され、第1
カム機構の第2カム部材の背面により直接または間接に
第2摩擦係合要素を第1摩擦係合要素に押しつけて第2
摩擦係合要素と第1摩擦係合要素が押圧手段の押圧力に
対応した力で摩擦係合され、付勢手段が第1カム機構の
第2カム部材を第1カム部材に向けて押圧する付勢力を
与えることを特徴とするクラッチ装置が提供される。
【0006】請求項2によれば、請求項1において、第
2カム機構が作動するように一対の部材の他方が回転し
ているときに、押圧手段が付勢手段の付勢力を打ち消す
押圧力を与えることを特徴とするクラッチ装置が提供さ
れる。
【0007】請求項3によれば、請求項1において、第
1カム機構が作動するように一対の部材の他方が回転し
ているときの付勢手段の付勢力を、第2カム機構が作動
するように一対の部材の他方が回転しているときの付勢
手段の付勢力よりも小さくすることを特徴とするクラッ
チ装置が提供される。
【0008】請求項4によれば、請求項3において、付
勢手段は、バネ部材およびバネ部材と第1カム機構の第
1カム部材との間に配設されてバネ部材を支持する支持
部材とから構成され、第1カム機構が作動するように一
対の部材の他方が回転しているときに、バネ部材のバネ
力を支持部材で受けて、付勢力を与えないようにするこ
とを特徴とするクラッチ装置が提供される。
【0009】請求項5によれば、請求項3において、付
勢手段は、カム部材の相対回転により姿勢が変わるバネ
部材から構成され、第1カム機構が作動するように一対
の部材の他方が回転しているときに、バネ部材を自然長
にならしめて、付勢力を与えないようにすることを特徴
とするクラッチ装置が提供される。
【0010】請求項6によれば、請求項3において、付
勢手段は、カム部材の相対回転により姿勢が変わるバネ
部材から構成され、第1カム機構が作動するように一対
の部材の他方が回転している時のバネ部材の縮み量が、
第2カム機構が作動するように一対の部材の他方が回転
しているとき時の縮み量よりも小さくなるようにされ、
第1カム機構が作動するように一対の部材の他方が回転
しているときの付勢手段の付勢力を、第2カム機構が作
動するように一対の部材の他方が回転しているときの付
勢手段の付勢力よりも小さくすることを特徴とするクラ
ッチ装置が提供される。
【0011】
【作用】請求項1では、第1カム機構の第1カム部材と
第2カム部材を離反して、一対の部材が押圧手段の押圧
力に対応した力で係合しているときには、付勢手段は第
1カム機構の第1カム部材と第2カム部材を接近させる
方向に作用するので、押圧力を解除すると確実に係合が
解放される。
【0012】請求項2では、第2カム機構の第1カム部
材と第2カム部材を離反して一対の部材が係合している
時には、押圧手段は付勢力を打ち消すので、前記係合が
弱められない。一方、第1カム機構の第1カム部材と第
2カム部材を離反して、一対の部材が押圧手段の押圧力
に対応した力で係合しているときには、付勢手段は第1
カム機構の第1カム部材と第2カム部材を接近させる方
向に作用するので、押圧力を解除すると確実に係合が解
放される。
【0013】請求項3では、第2カム機構の第1カム部
材と第2カム部材を離反して一対の部材が係合している
時には、付勢力はなくすか、小さくされるので、前記係
合は、全く、あるいは、少ししか、弱められない。一
方、第1カム機構の第1カム部材と第2カム部材を離反
して、一対の部材が押圧手段の押圧力に対応した力で係
合しているときには、付勢手段は第1カム機構の第1カ
ム部材と第2カム部材を接近させる方向に作用するの
で、押圧力を解除すると確実に係合が解放される。
【0014】請求項4では、第2カム機構の第1カム部
材と第2カム部材を離反して一対の部材が係合している
時、すなわち、そのように一対の部材の他方が回転して
いる時には、付勢手段のバネ力は支持部材に受けられ、
第2カム機構には作用しないので前記係合は弱められな
い。一方、第1カム機構の第1カム部材と第2カム部材
を離反して、一対の部材が押圧手段の押圧力に対応した
力で係合しているときには、すなわち、そのように一対
の部材の他方が回転が逆転したときには、バネ力が第1
カム機構の第1カム部材と第2カム部材を接近させる方
向に作用するので、押圧力を解除すると確実に係合が解
放される。
【0015】請求項5では、第2カム機構の第1カム部
材と第2カム部材を離反して一対の部材が係合している
時、すなわち、そのように一対の部材の他方が回転して
いる時には、付勢手段のバネはバネ力を発生しない状態
となるので、前記係合は弱められない。一方、第1カム
機構の第1カム部材と第2カム部材を離反して、一対の
部材が押圧手段の押圧力に対応した力で係合していると
きには、すなわち、そのように一対の部材の他方が回転
が逆転したときには、バネ力が第1カム機構の第1カム
部材と第2カム部材を接近させる方向に作用するので、
押圧力を解除すると確実に係合が解放される。
【0016】請求項6では、第2カム機構の第1カム部
材と第2カム部材を離反して一対の部材が係合している
時、すなわち、そのように一対の部材の他方が回転して
いる時には、付勢手段のバネ力が小さい状態となるの
で、前記係合は少ししか弱められない。一方、第1カム
機構の第1カム部材と第2カム部材を離反して、一対の
部材が押圧手段の押圧力に対応した力で係合していると
きには、すなわち、そのように一対の部材の他方が回転
が逆転したときには、大きなバネ力が第1カム機構の第
1カム部材と第2カム部材を接近させる方向に作用する
ので、押圧力を解除すると確実に係合が解放される。
【0017】
【実施例】以下、添付図面を用いて本発明の実施例を説
明する。まず、図1は本発明の実施例が従来の自動変速
機の全体の中のどの部位に適用されるのかを説明するた
めのに従来の自動変速機の全体を模式的に現したもので
ある。図1において、ATは従来の自動変速機の変速機
構の全体を示すが、変速機構ATは、基本的には、3個
のプラネタリギヤユニットと、それらのリングギヤ、サ
ンギヤ、キャリヤ等の各要素の断接を行う摩擦係合要素
から成る。その詳細は以下の通りである。Xi はインプ
ットシャフトであって、トルクコンバータ(図示しな
い)のアウトプットシャフト(図示しない)と結合され
ている。PG1 、PG2 、PG3 はそれぞれフロントプ
ラネタリギヤユニット、リヤプラネタリギヤユニット、
O/Dプラネタリギヤユニットである。
【0018】R1 、R2 、R3 はそれぞれフロントプラ
ネタリリングギヤ、リヤプラネタリリングギヤ、O/D
プラネタリリングギヤである。K1 、K2 、K3 はそれ
ぞれフロントプラネタリキャリヤ、リヤプラネタリキャ
リヤ、O/Dプラネタリキャリヤである。S12は前記フ
ロントプラネタリギヤユニット、リヤプラネタリギヤユ
ニットに共通のフロント&リヤプラネタリサンギヤであ
り、S3 は、O/Dプラネタリサンギヤである。C1
第1クラッチであって、インプットシャフトXi とフロ
ントプラネタリリングギヤR1 を断接する。C2 は第2
クラッチであって、インプットシャフトXi とフロント
&リヤプラネタリサンギヤS12を断接する。C3 は第3
クラッチであって、O/DプラネタリキャリヤK3 とO
/DプラネタリサンギヤS3 を断接する。
【0019】B1 は第1ブレーキであって、フロント&
リヤプラネタリサンギヤS12をロックする。B2 は第2
ブレーキであって、後述する第1ワンウェイクラッチF
1 を介してフロント&リヤプラネタリサンギヤS12の逆
回転(左回転)をロックする。B3 は第3ブレーキであ
って、リヤプラネタリキャリヤK2 の回転をロックす
る。B4 は第4ブレーキであって、O/Dプラネタリサ
ンギヤS3 の回転をロックする。
【0020】F1 は第1ワンウェイクラッチであって、
第2ブレーキB2 が作用している時フロント&リヤプラ
ネタリサンギヤS12の逆回転(左回転)をロックする。
2 は第2ワンウェイクラッチであって、リヤプラネタ
リキャリヤK2 の逆回転(左回転)をロックする。F3
は第3ワンウェイクラッチであって、O/Dプラネタリ
サンギヤS3 に対するO/DプラネタリキャリヤK3
逆回転(左回転)をロックする。なお、CG1 はカウン
タドライブギヤ、CG2 はカウンタドリブンギヤであっ
てエンジン出力を後段の機構に導くためのものであっ
て、変速そのものには関係ない。
【0021】以下に示す各実施例は上記の内の第3ブレ
ーキB3 と第2ワンウェイクラッチF2 の役をおこなわ
せるものである。したがって、図2に示される様に、D
レンジ、2レンジ、Lレンジの第1速度段の駆動走行中
のリヤプラネタリキャリヤK2 の左回転をロックし、L
レンジの第1速度段の被駆動走行(エンジンブレーキ状
態)中のリヤプラネタリキャリヤK2 の右回転をロック
し、また、Rレンジの駆動走行中のリヤプラネタリキャ
リヤK2 の右回転をロックし、被駆動走行中の左回転を
ロックすることが必要であり、また、Dレンジ、2レン
ジ、Lレンジの第1速度段から第2速度段への変速時に
は、リヤプラネタリキャリヤK2 の分担トルクの方向が
反転すると同時にリヤプラネタリキャリヤK2 を左回転
ロック状態から右回転空転状態に直ちに移行させ、第2
速度段から第1速度段への変速時には、リヤプラネタリ
キャリヤK2が右回転から左回転へ反転したと同時にリ
ヤプラネタリキャリヤK2 をロックする必要である。
【0022】図3は本発明の第1実施例を組み込んだ部
分の自動変速機の断面図であるが、本発明のクラッチ装
置1を受容する環状の凹部を有するクラッチケーシング
100がミッションケース200に一体的に形成され、
クラッチケーシング100の環状の凹部内には第1カム
部材2とピストン3と第2カム部材4が配設されてい
る。第1カム部材2とピストン3の間には第1カムロー
ラ5が、ピストン3と第2カム部材4の間には第2カム
ローラ6が配設されて、ピストン3はリターンスプリン
グ7によって常時図中左方に付勢されている。なお、第
1カム部材2は本実施例においてはクラッチケーシング
100と別体に形成されたものをクラッチケーシング1
00に固定しているが、クラッチケーシング100に一
体的に形成することも可能である。また、ミッションケ
ース200には、ピストン3に油圧を供給するための油
通路200aが配設されている。
【0023】一方、クラッチディスク8がリヤプラネタ
リギヤPG2 のリヤプラネタリキャリヤK2 と一体に回
転する連結部材Kaに軸方向摺動自在に取り付けられ、
また、セパレータプレート9がミッションケース200
に対して軸方向摺動自在に取り付けられている。クラッ
チディスク8とセパレータプレート9はクラッチ装置1
が軸方向に伸長せしめられ右端のセパレータプレート9
に押しつけられた時に互いに係合し、クラッチディスク
8は停止しリヤプラネタリキャリヤK2 の回転をロック
する。
【0024】図4は図3のクラッチ装置1を半径方向か
ら見た断面図であって、第1カム部材2とピストン3の
対向する面には一対のカム面2Lおよび3Lが設けら
れ、また、ピストン3と第2カム部材4の対向する面に
は一対のカム面3Rおよび4Rが設けられている。した
がってピストン3は両端面にカム面を有している。カム
面3Rおよび4Rのカム角α、また、カム面2Lおよび
3Lのカム角βは、第2カム部材4とクラッチディスク
8の間の摩擦係数をμとした時に、それぞれ、tanα
<μ、tanβ>μとなる様にされている。なお、クラ
ッチディスク8はクラッチ装置1が作用しない場合は上
記のようにリヤプラネタリキャリヤK2 と一体的に回転
し、図においては左右に移動する様に示されるが、左に
移動する様に回転する場合を正転、図中右に移動する様
に回転する場合を逆転とする。
【0025】ところで図4は油圧が供給されておらずク
ラッチ装置1は軸方向の長さが最も短い状態を示してお
り、クラッチディスク8と第2カム部材4は離間してお
りクラッチディスク8は正転、逆転にかかわらずその回
転をとめられることはない。次に、クラッチディスク8
が正転中に油圧を供給すると、第1カム部材2とピスト
ン3の間の隙間が増大し、図5に示される様にピストン
3と第2カム部材4が第カムローラを挟んで一体的
にクラッチディスク8に押しつけられる。
【0026】その結果、第2カム部材4とクラッチディ
スク8が摩擦係合し、第2カム部材4もクラッチディス
ク8に引きずられて正転方向に回転を始め、tanα<
μとされていることにより第2カム部材4のカム面4R
が、第2カムローラ6を介して、ピストン3のカム面3
Rを上り、カム推力が発生し、ピストン3は図中下方向
に押し戻され、一旦広がった第1カム部材2とピストン
3の間の隙間は最小の状態になり、前記カム推力の反力
を第1カム部材2が受ける状態になり、その結果第2カ
ム部材4とクラッチディスク8は自縛的に係合される。
この自縛的な係合、以下自縛係合という、はクラッチデ
ィスク8の回転トルクが大くなればそれに応じて係合力
が大きくなる。図6はこの様に自縛係合した状態を示
す。この結果、クラッチディスク8が正転しようとする
ときにリヤプラネタリキャリヤK2 をロックすることが
できる。
【0027】一方、クラッチディスク8が逆転中に油圧
を供給すると、前記図5に示された状態の後、第2カム
部材4とクラッチディスク8が摩擦係合し、第2カム部
材4もクラッチディスク8に引きずられて逆転方向に回
転を始め、それに伴い、ピストン3も第2カムローラ6
を介して逆転方向に回転を始め、ピストン3のカム面3
Lが第1カムローラ5を介して第1カム部材2のカム面
2Lを上り、カム推力が発生し、このカム推力によって
第2カム部材4とクラッチディスク8はクラッチディス
ク8は係合される。図7はこの様に係合した状態を示
す。この結果、クラッチディスク8が逆転しようとする
ときにリヤプラネタリキャリヤK2 をロックすることが
できる。この係合は以下に示すように、油圧による推力
を倍力するので以下倍力係合という。
【0028】この時のクラッチ装置1の係合力Fは、前
記カムによるカム推力と油圧による推力の和であって油
圧に比例して増減し、油圧による推力をFp、リターン
スプリング7の付勢力をFsとすると下記の式(1)で
現される。 F=a(Fp−Fs)…(1) ここで、aはtanβ>μとなる様に決められたカム角
βの大きさによって決まる定数である。したがって、油
圧による推力Fpをリターンスプリング7の付勢力Fs
よりも小さくすれば係合力は消滅し、係合は解除され
る。上記の様に第1実施例は、第2カム部材4にはリタ
ーンスプリング7の付勢力が作用せず正転方向の自縛係
合を確実なものとすることができ、またピストン3には
リターンスプリング7の付勢力が作用して逆転方向の空
転を引きずりを発生することがなくおこなうことを可能
とし、従来技術において、B3 とF2 が担っていた役割
を確実におこなうことができる。
【0029】図8は本発明の第2実施例のカム部分の構
造を示したものであり、第1実施例に対して、第1カム
部材2とピストン3の間のカムを平面カム2P,3Pで
構成したものであって、その他の構成は第1実施例と同
じである。この結果、第1カムローラ5が不要となり、
カム面の面圧も下がるので、軸方向寸法を短縮すること
が可能である。なお、基本的な作用と効果も第1実施例
と同じであるのでその説明は省略する。
【0030】図9は本発明の第3実施例の構造を示す図
であって、図9に示される様に、正転時に係合力を発生
するカム機構と、逆転時に係合力を発生するカム機構と
を分離して設けたものである。したがって、ピストン3
aの第1カム部材2に面する端面には第1実施例のカム
面3Lと同様のカム面が配設されているが、クラッチデ
ィスク8に面する端面にはクラッチディスク8と係合す
る面が形成されているのみである。そして、クラッチデ
ィスク8およびセパレータプレート9をはさんでピスト
ン3aの反対側に第2カム部材3bと、第3カム部材4
aが配設され、この第2カム部材3bと、第3カム部材
4aの対向面にそれぞれ第1実施例のカム面3R、4R
と同様なカム面が形成されその間に第2カムローラ6が
配置されている。なお、油圧が供給されるとピストン3
aが図中右方向に移動し、クラッチディスク8を押圧す
るがクラッチディスク8とセパレータプレート9はいず
れも軸方向には移動自在とされているのでカム推力が発
生するまでは係合しない。
【0031】図10は図4と同様に係合部分を半径方向
から見た断面図であるが、クラッチディスク8が第2カ
ム部材3bの背面側に係合するので、第2カム部材3b
と第3カム部材4aに設けられたカム面3bRと4aR
は、第1実施例のピストン3と第2カム部材4に設けら
れたカム面3Rと4Rとは逆の傾きとされている。な
お、基本的な、作用と効果は第1実施例と同じであるの
で省略するが、クラッチケーシング100とクラッチデ
ィスク8の間が狭くてカム機構を配設できない様な場合
にもカム機構を配設することができるという利点があ
る。
【0032】図11は第4実施例の構成を示す図であっ
て、自縛係合時にはピストンにリターンスプリングの付
勢力を打ち消すのに必要な油圧をかけるものである。油
圧源(図示しない)からミッションケース200の油通
路200aに至る油路300の途中にはシフトバルブ1
0が配設されていて、このシフトバルブ10をONにす
ることによってクラッチ装置1に油圧が供給されるが、
本第4実施例においては、このシフトバルブ10と油通
路200aの途中からチェックバルブ11に作動油を導
く油路400が配設され、さらに油路400の途中にド
レーンコントロールバルブ12が直列に配設されてい
る。したがって、ドレーンコントロールバルブ12がO
Nの状態でシフトバルブ10から作動油が供給されると
チェックバルブ11の設定圧に調圧された油圧がクラッ
チ装置1に供給されそれ以上の油圧は供給されない。な
お、13はオリフィスであって作動油の流量を制御す
る。なお、カム機構は、図12に示される様な構造にさ
れていて、第1カム部材2aとピストン3cの対向面に
は、第1実施例と同様な、それぞれ正転時の係合用の第
2カム機構としてのカム面2Lと3Lと、逆転時の係合
用の第1カム機構としてのカム面2Rと3Rが連続的に
形成されている。
【0033】ここでチェックバルブ11の設定圧を、初
期の摩擦係合を誘起するまでリターンスプリング7が縮
んだ時のリターンスプリング7の付勢力をピストンの受
圧面積で除した値となるように設定しておく。上記の様
に設定しておいて、正転方向にクラッチディスク8が回
転している時に、シフトバルブ10をONにして、油圧
を供給すると、初期の摩擦係合が誘起され、第1実施例
と同様に、カム推力が発生し自縛係合がおこなわれる。
この時、リターンスプリング7の付勢力は打ち消される
ので係合は確実なものとなる。次に、油圧を供給したま
まクラッチディスク8が逆転するとリターンスプリング
7の付勢力分しか油圧がかかっていないので、前述の式
(1)より係合のための推力は発生せず空転する。上記
の様に第4実施例は、正転方向の自縛係合を確実なもの
とすることができ、また逆転方向の空転を引きずりを発
生することがなくおこなうことを可能とし、従来技術に
おいて、B3 とF2 が担っていた役割を確実におこなう
ことができる。
【0034】図13は、本発明の第5実施例の構造を示
すものであるが、これは第4実施例におけるチェックバ
ルブ11の代わりにアキュムレータ14を設けたもので
ある。アキュムレータ14は油圧源の発生した油圧を所
定の時間だけ低下させる作用をおこなう。そこで、アキ
ュムレータ14が作用している間はリターンスプリング
7の荷重分しか油圧がかからないようにしておく。アキ
ュムレータ14が作用しない時にはシフトバルブ10の
出口圧がそのまま作用する。
【0035】例えば、第2速度段から第1速度段への変
速時には、リヤプラネタリキャリヤK2 が右回転から左
回転へ移行すると同時にクラッチを係合させる必要があ
る。シフトバルブ10をONにすると油圧の供給が開始
されるが、この時、上記の様に設定されたアキュムレー
タ14の作用により所定の時間だけリターンスプリング
7の付勢力分しか油圧がかからないので、逆転方向での
係合は発生しない。したがって、逆転方向の動きが残っ
ていてもそれによって逆転方向での係合が発生すること
はない。そして、このアキュムレータ14の作用が持続
している間に、正転方向にクラッチディスク8の回転が
切り換わるようにしておくことにより、クラッチディス
ク8の回転が切り換わると第1実施例と同様にカム力が
発生し、自縛係合が確実におこなわれる。したがって、
第5実施例では、自縛係合を確実におこなうとともに逆
転方向から正転方向に回転が替わった時に正転方向の回
転をロックする作動を逆転方向での引きずりなくおこな
うことができ、従来技術において、B3 とF2 が担って
いた役割を確実におこなうことができる。
【0036】次に、第6実施例について説明するが、第
6実施例は、ピストンとリターンスプリングの間にスプ
リング座を設け、ピストンがクラッチケーシングに対し
て相対回転した時に、このスプリング座が軸方向に移動
し、自縛状態ではリターンスプリングの付勢力がピスト
ンにかからないようにしたものである。図14は第6実
施例の構造を示す断面図であって、図15は図14のI-
I 面にそって見た図である。カム、クラッチディスク、
セパレータプレートについては、第4、5実施例と同じ
であるので、同じ番号でしめしてある。そして、スプリ
ング座15がリターンスプリング7aとピストン3dの
間に配設されているが、このスプリング座15は外周側
の端部に設けた溝16がピストン3dに設けた突起17
に軸方向移動自在に嵌合し、また内周側の端部に設けた
突起18がクラッチケーシング100に設けたガイド穴
19に合う様にされていて、その動きが規制されてい
る。
【0037】図16はピストン3dに油圧が供給されて
おらずクラッチディスク8が正転方向に空転している時
のピストン3dとスプリング座15の位置を示す断面図
であり、図17はスプリング座15の突起18とクラッ
チケーシング100のガイド穴19の位置関係をクラッ
チケーシング100外側から中心に向かって見た図であ
る。
【0038】次に、図18、19に示すのは上記の状態
から油圧をかけて、ピストン3dが図中右方向に移動
し、クラッチディスク8とピストン3dが接触して、摩
擦係合が始まる直前の状態である。図示される様に、ピ
ストン3dとスプリング座15は密接し、一方、スプリ
ング座15の突起18とクラッチケーシング100のガ
イド穴の位置関係は図19に示す様な状態でスプリング
座15はガイド穴によって拘束された状態ではない。
【0039】そして、クラッチディスク8とピストン3
dが摩擦係合すると、ピストン3dはクラッチディスク
8に引きずられてクラッチディスク8と同じ正転方向に
回転するが、このときスプリング座15もピストン3d
に引きずられて同じ正転方向に回転する。したがって、
前の状態で図19に示される位置にあったスプリング座
15の突起18は、クラッチケーシング100のガイド
穴19の内部を図中上方に移動するが、ガイド穴19の
ガイド縁は図示される様に上方にいくにつれて右側にず
れているので、突起18はこれに沿って図中右方に移動
する、したがって、スプリング座15はピストン3dと
離間し、ピストン3dにはリターンスプリング7aの付
勢力が作用しなくなり、リターンスプリング7aの付勢
力の影響を受けることなく係合がおこなわれる。なお、
この状態を図20、21に示す。一方、逆転して倍力係
合している時は、スプリング座15の突起18は図19
において18’で示されるようにガイド穴19のガイド
縁が軸方向に延びている部分に接しているので、それ以
上軸方向の位置をかえることができず、ピストン3dと
スプリング座15は接した状態が保たれる。したがっ
て、その状態から油圧を抜けばピストン3dは中立位置
に押しやられるので引きずりを発生することがなく逆転
方向に空転する。上記の様に第6実施例は、正転方向の
自縛係合を確実なものとすることができ、また逆転方向
の空転を引きずりを発生することがなくおこなうことを
可能とし、従来技術において、B3 とF2 が担っていた
役割を確実におこなうことができる。
【0040】次に、図22、23を参照して、第7実施
例に付いて説明するが、第7実施例は、ピストンとクラ
ッチディスクが自縛係合した時に、リターンスプリング
が倒れる様にして、自縛状態では、リターンスプリング
7の付勢力がピストンに作用しないようにしたものであ
る。図22において、7bはリターンスプリングであっ
て、リターンスプリング7bの図中上方の端部はクラッ
チケーシング100(図示されていない)に固定された
スプリング支持板20に、軸に直角かつ、軸の周りの円
周の半径方向に取り付けられたスプリング取り付けピン
21に回転自在に取り付けられていて、反対のピストン
側の端部には、ボール22が取り付けられている。一
方、第4、5、6実施例と同じ、カム面を有するピスト
ン3eには、前記リターンスプリング7bのボール22
を受ける受け穴23が形成されている。なお、リターン
スプリング7bはカム機構が配設されている部分よりも
半径方向内側に配設されている。
【0041】そして、図22に示されているのは、ピス
トン3eとクラッチディスク8が非係合の状態であっ
て、リターンスプリング7bのピストン側の端部のボー
ル22はピストン3eの受け穴23に受容されていて、
リターンスプリング7bの長さはその自然長よりも短い
状態にされており、ピストン3eはリターンスプリング
7bの付勢力を受けている。
【0042】次に、ピストン3eとクラッチディスク8
が自縛係合すると、ピストン3eはクラッチディスク8
に引きずられて図中左方に移動する。この時、リターン
スプリング7bのピストン側の端部は、ピストン3eの
受け穴に引きずられてあるところまではピストン3eと
一緒に図中左方に移動するが、スプリング取り付けピン
21と受け穴23の距離が、リターンスプリング7bの
自然長よりも長くなったところでピストン3eに対する
付勢力が無くなり、やがて、受け穴を離脱し図23に示
す様な状態となる。一方、クラッチディスク8が逆回転
して倍力係合した時に、ボール22がボール受け23に
はまった状態になり、かつリターンスプリング7bが自
然長より短くなる様にしておけば、リターンスプリング
7bが伸びようとする力が作用するので油圧を抜けばピ
ストン3eは中立位置に押しやられるので引きずりを発
生することがなく逆転方向に空転する。したがって、上
記のように諸元を決めることによって、第7実施例は、
正転方向の自縛係合を確実なものとすることができ、ま
た逆転方向の空転を引きずりを発生することがなくおこ
なうことを可能とし、従来技術において、B3 とF2
担っていた役割を確実におこなうことができる。
【0043】次に、第8実施例について説明するが、第
8実施例はリターンスプリングをスプリング支持板とピ
ストンの両方に回転可能に取り付け、自縛係合時にはピ
ストンを自縛方向へ移動させる推力を発生せしめ、か
つ、ピストンへの軸方向の付勢力を小さくせしめ、倍力
係合時にはピストンを中立位置に押し戻す推力を発生せ
しめるものである。図24は第8実施例の構造を示すも
のであるが、20、21は第7実施例と同じく、それぞ
れ、スプリング支持板とスプリング取り付けピンであ
る、24はピストン3fに取り付けられたスプリング取
り付けピンであって、リターンスプリング7cの両端
は、スプリング取り付けピン21、24にそれぞれ回転
自在に取り付けられている。
【0044】図25は自縛係合時、倍力係合時、中立位
置でのスプリング取り付け点の位置関係を模式的に現し
た図である。図中、L0 はピストン3fが第1カム部材
2a側に完全に戻った中立状態におけるスプリング取り
付けピン24が取り付けられているピストン3fの面の
位置、L1 はピストン3fがクラッチディスク8を押圧
している時のスプリング取り付けピン24が取り付けら
れているピストン3fの面の位置である。
【0045】点Oはスプリング支持板20側のスプリン
グ取り付けピン21の位置、点P0、P1 、P2 は、そ
れぞれ、中立状態、自縛係合状態、倍力係合状態にある
時のスプリング取り付けピン24の位置を示し、P3
リターンスプリング7cがカム角αだけ自縛係合側に傾
いた時のスプリング取り付けピン24の位置、P4 はリ
ターンスプリング7cがカム角βだけ倍力係合側に傾い
た時のスプリング取り付けピン24の仮想位置を示して
いる。θ1 、θ2 はスプリング取り付けピン24が
1 、P2 の位置にある時のリターンスプリング7cの
中立状態からの傾きである。そして、図示される様に中
立状態ではリターンスプリング7cとピストン3fの面
が垂直となるようにされている。
【0046】 また、Q0 ,Q1 ,Q2 ,Q3 ,Q4 は、
スプリング取り付けピン24が前記P0 、P1 、P2
3 、P4 にある時のリターンスプリング7cの仮想自
然長の点である。ここで、カム角A のカム面を持つピ
ストンが回転しスプリングがθ傾いた時にスプリングの
自然長Sからの縮み量ΔSは次式で現される。 ΔS=S〔1−{1/(tanA×sinθ+cosθ)}〕 この式は、θ=A の時に最大値S(1−cosA)と
なり、グラフ化すると図26の様になる。
【0047】したがって、0<θ<Aの時には、ΔSは
単調増加するのでリターンスプリングはθが小さくなる
方向、すなわち、ピストンを中立位置に戻す方向に作用
する。逆にA<θの時にはΔSは単調減少するのでリタ
ーンスプリングはθが大きくなる方、すなわち、ピスト
ンを中立位置から離す方向に作用する。したがって、図
25に示す様に、例えば、自縛係合時のスプリング取り
付けピン24の位置がP1 の様に、リターンスプリング
7cの傾きθがカム角αよりも大きくなるようにすれ
ば、リターンスプリング7cのバネ力はピストン3fを
自縛方向へ移動させる方向に作用し、かつ、ΔSは減少
するので、リターンスプリング7cの作用によって自縛
係合が弱められることがない。
【0048】一方、倍力係合時には、スプリング取り付
けピン24の位置がP2 の様に、リターンスプリング7
cの傾きθがカム角βよりも小さくなるようにすれば、
リターンスプリング7cはピストン3fを中立位置に戻
そうとするので油圧を抜けばピストン3fは中立位置に
押しやられ引きずりを発生することがなく逆転方向に空
転する。したがって、上記のように諸元を決めることに
よって、第8実施例は、正転方向の自縛係合を確実なも
のとすることができ、また逆転方向の空転を引きずりを
発生することがなくおこなうことを可能とし、従来技術
において、B3 とF2 が担っていた役割を確実におこな
うことができる。
【0049】次に、図27に示すのは、第9実施例の構
造であって、第8実施例に比べると中立位置においてリ
ターンスプリング7cが傾けられているところが異な
る。図28はその設定の様子を説明する図であって、図
25と同様に、P5 が中立状態におけるピストン3f側
のスプリング取り付けピン24の位置であり、その時の
リターンスプリング7cの垂直軸からの傾きをθ5 とす
ると、θ5 は自縛側のカムの傾きαよりも若干小さくな
る様に設定されている。またP6 は自縛係合時のスプリ
ング取り付けピン24の位置、θ6 はその時の傾きであ
りθ6 >αであり、P7 は倍力係合時のスプリング取り
付けピン24の位置、θ7 はその時の傾きでありθ7
βである。
【0050】この様にリターンスプリング7cを設定し
ておいて油圧を供給するとピストン3fは図中上方に移
動し、それにともないリターンスプリング7cの垂直軸
からの傾きは増加し、やがて、カム角αよりも大きくな
る。前述したようにリターンスプリング7cの垂直軸か
らの傾きがカム角αより大きくなれば、すなわち、P 5
から上方に延ばした線と線分OQ8 の交点P8 よりも上
方にくれば、リターンスプリング7cのバネ力はピスト
ン3fを自縛方向へ移動させる方向に作用するのでその
後は油圧を供給しなくてもピストン3fをクラッチディ
スク8に押しつけ摩擦係合を誘起し、カム力を発生せし
め、自縛係合させることができる。
【0051】一方、倍力係合している時には、第8実施
例と同様に、中立位置に戻ろうとする力が作用するので
油圧を抜くと、リターンスプリング7cの力で中立位置
までもどり、引きずりが発生することなく逆転方向に空
転する。したがって、上記のように諸元を決めることに
よって、第9実施例は、正転方向の自縛係合を確実なも
のとすることができ、また逆転方向の空転を引きずりを
発生することがなくおこなうことを可能とし、従来技術
において、B3 とF2 が担っていた役割を確実におこな
うことができ、さらに、第8実施例に比べると、自縛係
合を誘起させるために与える油圧が小さくて良いという
利点がある。
【0052】
【発明の効果】本発明の各請求項によれば、第1カム機
構によって相対回転する一対の部材が回転トルクに対応
した力で係合されている時には、この係合力を弱める力
は作用しないか、あるいは小さいので、この係合を確実
なものとすることができ、一方第2カム機構によって押
圧手段の押圧力に対応した力で係合されている時には付
勢手段は第2カム機構の間隔を狭める方向に作用するの
で確実に解放され引きずりがなくなり結果的に燃費の向
上に寄与することができる。特に、請求項1、2、4、
5のようにすれば、第1カム機構によって相対回転する
一対の部材が回転トルクに対応した力で係合されている
時には、この係合力を弱める力は全く作用しない。請求
項6のようにすれば、相対回転する一対の部材が回転ト
ルクに対応した力で係合せしめるために与える油圧を低
くすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による自動変速機の構造を模式的に現
した図である。
【図2】図1の自動変速機において各速度段を得るため
の各摩擦係合要素の作動の組み合わせを示す図である。
【図3】第1実施例の全体構造を示す図である。
【図4】第1実施例のカム部分の構造を示す図である。
【図5】第1実施例の作動を説明する図である。
【図6】第1実施例の作動を説明する図である。
【図7】第1実施例の作動を説明する図である。
【図8】第2実施例のカム部分の構造を示す図である。
【図9】第3実施例の全体構造を示す図である。
【図10】第3実施例のカム部分の構造を示す図であ
る。
【図11】第4実施例の全体構造を示す図である。
【図12】第4実施例のカム部分の構造を示す図であ
る。
【図13】第5実施例の全体構造を示す図である。
【図14】第6実施例の全体構造を示す図である。
【図15】図14のI-I 線に沿って見た図である。
【図16】第6実施例の作動を説明する図である。
【図17】図16のII-II 線に沿って見た図である。
【図18】第6実施例の作動を説明する図である。
【図19】図18のIII-III 線に沿って見た図である。
【図20】第6実施例の作動を説明する図である。
【図21】図20のIV-IV 線に沿って見た図である。
【図22】第7実施例のリターンスプリングの構造と作
動を説明する図である。
【図23】第7実施例のリターンスプリングの構造と作
動を説明する図である。
【図24】第8実施例のリターンスプリングの構造を説
明する図である。
【図25】第8実施例の作動原理を説明する図である。
【図26】第8実施例の作動原理を説明する図である。
【図27】第9実施例のリターンスプリングの構造を説
明する図である。
【図28】第9実施例の作動原理を説明する図である。
【符号の説明】
3 …第3ブレーキ K2 …リヤプラネタリキャリヤ 1…クラッチ装置 2…第1カム部材 3…ピストン(第1、第2実施例) 3a…ピストン(第3実施例) 3b…第2カム部材(第3実施例) 3c…ピストン(第3,第4、第5実施例) 3d…ピストン(第6実施例) 3e…ピストン(第7実施例) 3f…ピストン(第8,第9実施例) 4…第2カム部材 4a…第3カム部材 5…第1カムローラ 6…第2カムローラ 7…リターンスプリング 7a…リターンスプリング(第6実施例) 7b…リターンスプリング(第7実施例) 7c…リターンスプリング(第8,第9実施例) 8…クラッチディスク 9…セパレータプレート 10…シフトバルブ 11…チェックバルブ 12…ドレーンコントロールバルブ 13…オリフィス 14…アキュムレータ 15…スプリング座 16…溝 17…突起 18…突起 19…ガイド穴 20…スプリング支持板 21…スプリング取り付けピン 22…ボール 23…ボール受け 24…スプリング取り付けピン 100…クラッチケーシング 200…ハウジング 200a…油通路 300…油路

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共通の軸線上に離間配置され相対的に回
    転する一対の部材と、互いに係合可能な第1摩擦係合要
    素と第2摩擦係合要素であって、一対の部材の一方に係
    合され反第2摩擦係合要素側への軸方向移動が制限され
    る第1摩擦係合要素、と、一対の部材の他方に係合され
    第1摩擦係合要素と隣接配置された第2摩擦係合要素と
    を備え、第1および第2摩擦係合要素を摩擦係合して相
    対的に回転する一対の部材を係合するクラッチ装置であ
    って、 共通の軸線上一対の部材間に配置される第1カム機構と
    第2カム機構から成るカム機構であって、 第1カム機構が、互いに対向するカム面を有し、それぞ
    れ軸方向に移動可能な第1および第2カム部材であっ
    て、カム面と反対側の背面がカム面と反対側の背面が第
    1部材の一方に対向せしめられている第1カム部材と、
    カム面と反対側の背面が、直接または間接に、第2摩擦
    係合要素に当接せしめられる第2カム部材とを含み、 第2カム機構が、互いに対向するカム面を有し、それぞ
    れ軸方向に移動可能な第1および第2カム部材であっ
    て、カム面と反対側の背面が直接または間接に、第1部
    材の一方に当接せしめられる第1カム部材と、カム面と
    反対側の背面が第2摩擦係合要素に対向せしめられてい
    る第2カム部材とを含む、カム機構と、 第1カム機構の第2カム部材を反第1カム部材側に向け
    て押圧し、それにより、第2カム機構の第2カム部材を
    第2摩擦係合要素に向けて押しつける押圧手段と、 カム機構の一部に軸方向の付勢力を与える付勢手段を備
    え、 第2摩擦係合要素とそれに係合される第1カム機構のカ
    ム部材の背面との間の摩擦係数をμとし、第1カム機構
    のカム面の軸に垂直な面に対する傾斜角をβ、第2カム
    機構のカム面の軸に垂直な面に対する傾斜角をαとした
    時に、 第1カム機構はカム面の傾斜角βがtanβ>μとさ
    れ、 第2カム機構はカム面が第1カム面の傾斜角とは反対側
    に傾斜し、傾斜角αがtanα<μとされていて、 第2摩擦係合要素が結合された一対の部材の他方が回転
    しているときに、ピストン手段によって第2カム機構の
    第2カム部材が第2摩擦係合要素に押しつけられると、
    第1カム機構は作動せず、第2カム機構の第2カム部材
    は背面が第2摩擦係合要素と摩擦係合して第2摩擦係合
    要素に引きずられ、第2カム機構の対向する一対のカム
    部材は相対回転して、互いに離反方向に押圧され、第2
    カム機構の第1カム部材が一対の部材の一方に、直接ま
    たは間接に当接し、第2カム部材により第2摩擦係合要
    素が押しつけられる第1摩擦係合要素が軸方向の移動が
    制限され、第2摩擦係合要素と第1摩擦係合要素が伝達
    トルクに対応した押圧力で摩擦係合され、 前記摩擦係合後に、第2摩擦係合要素が結合された一対
    の部材の他方の回転方向が逆転すると、第2カム機構の
    第1カム部材と第2カム部材に離反が解消され、第1カ
    ム機構の第2カム部材は直接または間接に一対の部材の
    他方に引きずられ、第1カム機構の対向する一対のカム
    部材は相対回転して、互いに離反方向に押圧され、第1
    カム機構の第2カム部材の背面により直接または間接に
    第2摩擦係合要素を第1摩擦係合要素に押しつけて第2
    摩擦係合要素と第1摩擦係合要素が押圧手段の押圧力に
    対応した力で摩擦係合され、 付勢手段が第1カム機構の第2カム部材を第1カム部材
    に向けて押圧する付勢力を与えることを特徴とするクラ
    ッチ装置。
  2. 【請求項2】 第2カム機構が作動するように一対の部
    材の他方が回転しているときに、押圧手段が付勢手段の
    付勢力を打ち消す押圧力を与えることを特徴とする請求
    項1に記載のクラッチ装置。
  3. 【請求項3】 第2カム機構が作動するように一対の部
    材の他方が回転しているときの付勢手段の付勢力を、第
    2カム機構が作動するように一対の部材の他方が回転し
    ているときの付勢手段の付勢力よりも小さくすることを
    特徴とする請求項1に記載のクラッチ装置。
  4. 【請求項4】 付勢手段は、バネ部材およびバネ部材と
    第2カム機構の第1カム部材との間に配設されてバネ部
    材を支持する支持部材とから構成され、第2カム機構が
    作動するように一対の部材の他方が回転しているとき
    に、バネ部材のバネ力を支持部材で受けて、付勢力を与
    えないようにすることを特徴とする請求項3に記載のク
    ラッチ装置。
  5. 【請求項5】 付勢手段は、カム部材の相対回転により
    姿勢が変わるバネ部材から構成され、第2カム機構が作
    動するように一対の部材の他方が回転しているときに、
    バネ部材を自然長にならしめて、付勢力を与えないよう
    にすることを特徴とする請求項3に記載のクラッチ装
    置。
  6. 【請求項6】 付勢手段は、カム部材の相対回転により
    姿勢が変わるバネ部材から構成され、第2カム機構が作
    動するように一対の部材の他方が回転している時のバネ
    部材の縮み量が、第1カム機構が作動するように一対の
    部材の他方が回転しているとき時の縮み量よりも小さく
    なるようにされ、第2カム機構が作動するように一対の
    部材の他方が回転しているときの付勢手段の付勢力を、
    第1カム機構が作動するように一対の部材の他方が回転
    しているときの付勢手段の付勢力よりも小さくすること
    を特徴とする請求項3に記載のクラッチ装置。
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