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JP3103404B2 - インクジェット記録ヘッドの製造方法、インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドの製造方法、インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置

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Publication number
JP3103404B2
JP3103404B2 JP03274207A JP27420791A JP3103404B2 JP 3103404 B2 JP3103404 B2 JP 3103404B2 JP 03274207 A JP03274207 A JP 03274207A JP 27420791 A JP27420791 A JP 27420791A JP 3103404 B2 JP3103404 B2 JP 3103404B2
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liquid
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敏夫 鈴木
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寿 山本
幸雄 川尻
学 末岡
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Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インク液滴を吐出して
記録を行なうインクジェット記録装置に用いられるイン
クジェット記録ヘッドの製造方法に関し、特に、インク
が供給されるインク供給口とインクが吐出される吐出口
と前記インク供給口および前記吐出口に連通するインク
流路とが一体的に設けられた吐出エレメントを有するイ
ンクジェット記録ヘッドと、その製造方法と、そのイン
クジェット記録ヘッドを利用したインクジェット記録装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録ヘッドでは、吐出口
とインク供給口とインク流路とを基板上に一体的に設け
た吐出エレメントを使用することが一般的である。そし
て基板表面の前記インク流路に対応する部分には、イン
クに吐出エネルギーを付与するインク吐出エネルギー発
生手段が設けられる。また、吐出エレメント内部に一時
的にインクを貯留できるように、インク流路のインク供
給口側に液室が設けられる。インク吐出エネルギー発生
手段としては、通常、熱によってインクの一部を発泡さ
せこの発泡の作用力によってインクを吐出させる場合に
は電気熱変換体が、インクに機械的圧力を与えてインク
を吐出させる場合にはピエゾ素子が用いられる。基板と
しては、例えばシリコンウェハなどが使用される。
【0003】この吐出エレメントの形成方法としては、
大別して2通りの方法が従来よりある。その第1の方法
では、予めインク吐出エネルギー発生手段を設けた基板
を用い、まず、基板上にネガタイプの感光性樹脂を塗布
し、液室、インク流路、吐出口となるべき位置に露光し
現像する。その結果、インク流路間の隔壁に相当する部
分の感光性樹脂が残り、インク流路、液室、吐出口に相
当する部位の感光性樹脂は除去される。そののち、液室
に対応する位置にインク供給口を有する天板を残った感
光性樹脂の上に接着し、最後にダイサーを用いて、切削
水をかけながら、吐出口の形成されるべき位置で天板、
基板を切断し、それによって吐出口および吐出口面(吐
出口が並んでいる面)を形成する。このダイサーとは、
通常、半導体製造工程においてシリコンウェハの切断に
使用されるものである。
【0004】第2の方法では、予めインク吐出エネルギ
ー発生手段を設けた基板を用い、まず、基板上にポジタ
イプの感光性樹脂を塗布し、液室、インク流路、吐出口
となるべき位置に露光し現像する。その結果、インク流
路間の隔壁に相当する部分の感光性樹脂が除去され、イ
ンク流路、液室、吐出口に相当する部位には感光性樹脂
が残ることになる。続いて、インク供給口を形成しつつ
モールド樹脂を流し込んで硬化させ、硬化後、吐出口の
形成されるべき位置でモールド樹脂、基板を切断して吐
出口面を形成し、残っている感光性樹脂を流し出して吐
出口やインク流路を形成する。
【0005】これら方法で吐出エレメントを形成した場
合、切削粉がインク流路内に侵入したり、残っている感
光性樹脂を流し出す工程で一部の樹脂がインク流路内に
残ったりするので、インク流路および吐出口を洗浄する
工程が必要となる。この洗浄は、加圧した洗浄液をイン
ク供給口から吐出エレメント内に導入することによって
行なわれる。洗浄液としては、アセトン、イソプロピル
アルコールなどの有機溶剤、水酸化ナトリウム水溶液な
どのアルカリ溶液、洗剤、二酸化炭素をバブルさせた純
水などが使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の吐出エ
レメントの形成方法では以下のような問題点がある。
【0007】上述の第1の方法では、切断によって吐
出口が開口すると、すでにインク流路が開通しているの
で切削粉を含んだ切削水が開口部より流入し、インク流
路や液室内さらにはインク吐出エネルギー発生手段表面
に切削粉が沈殿する。この沈殿物は、洗浄工程で取り除
かれることになっているが、実際は完全には除去でき
ず、特に、インク流路などがいったん乾燥状態になって
沈殿物が固まってしまうと除去が困難である。沈殿物が
残っていると、インクジェット記録ヘッドの使用中に剥
離して吐出口に目詰まりし吐出不良を引き起こしたり、
インク吐出エネルギー発生手段の表面に付着している場
合には、インクの吐出が不安定になったりする。
【0008】上述の第2の方法では、洗浄工程を実施
しても、感光性樹脂の残渣がインク流路内、特にインク
流路の角部に残ることを防ぐことは困難であり、使用中
にこのような残渣が剥離し、吐出口の目詰まりを引き起
こすことがある。なお、吐出エレメントの洗浄が完全に
は行なえないのは、インク流路や吐出口が微細であって
流体力学的抵抗が高く、洗浄液の流速を大きくできない
ためと考えられる。
【0009】本発明の目的は、切断時の切削粉のインク
流路内への侵入を防止しさらにはインク流路内の異物を
良好に排除して、吐出口の目詰まりがなく、高信頼性、
高品質である吐出エレメントを有するインクジェット記
録ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の発明のインクジェ
ット記録ヘッドの製造方法は、前記吐出エレメントに、
前記インク流路と、前記インク供給口と、前記インク流
路の前記インク供給口側に設けられる液室とを形成し
後、前記吐出エレメントを前記吐出口が形成されるべき
位置で切断することにより前記吐出口を形成する際に、
前記液室を介して前記インク流路から前記吐出口へ向け
て流体で加圧状態とする。
【0011】第2の発明のインクジェット記録ヘッドの
製造方法は、第1の発明のインクジェット記録ヘッドの
製造方法において、前記流体を音波を重畳させた液体と
して、吐出エレメントの形成後、前記音波を重畳させた
液体をインク供給口より前記吐出エレメント内に導入し
て前記吐出エレメント内部の洗浄を行なう。
【0012】第3の発明のインクジェット記録ヘッドの
製造方法は、吐出エレメントの形成後、液体と気体とを
交互にインク供給口より前記吐出エレメント内に導入し
て前記吐出エレメント内部の洗浄を行なう。
【0013】
【作用】第1の発明のインクジェット記録ヘッドの製造
方法では、吐出口を形成するための切断を行なっている
ときに、液室内を流体で満たして加圧状態としておくの
で、切断によって吐出口が開口したとき、吐出口側から
の切削粉を含んだ切削水の侵入を防ぐことができる。
【0014】液室内の加圧状態は、吐出口が開口したと
きに液室内の流体が吐出口から噴出し得る程度のものと
することが望ましく、吐出口から噴出してもなお加圧状
態を維持するために、インク供給口から流体を供給する
ことが望ましい。この液室内を加圧状態に維持しながら
インク供給口より流体を供給する方法としては、インク
供給口から離れた位置にあるいはインク供給口に接して
ノズルを設け、このノズルから流体を噴射するようにす
ればよい。また、研磨材を混入した液体を前記流体とし
て使用し、インク供給口から液室に供給するようにする
と、吐出口が開口したときにこの研磨材を混入した液体
が吐出口から噴出することになり、この研磨材によって
吐出口面の研磨が行なわれるようになる。
【0015】第2の発明のインクジェット記録ヘッドの
製造方法では、吐出エレメントの形成ののち、音波を重
畳させた液体をインク供給口から導入して洗浄を行なう
ので、音波を重畳していることによって液体の流速が実
質的に大きくなり、良好に洗浄を行なうことができる。
【0016】第3の発明のインクジェット記録ヘッドの
製造方法では、吐出エレメントの形成ののち、気体と液
体とを交互に導入して吐出エレメント内の洗浄を行なう
ので、粘性抵抗の極めて小さい気体が介在していること
により、実質的に液体すなわち洗浄液の流速を大きくす
ることができ、良好に洗浄を行なえるようになる。この
場合、気体は洗浄に直接関与するわけではないので、通
常の気体を使用することができ、例えば、窒素、酸素、
空気、アルゴンなどを使用できる。
【0017】第2および第3の発明において、液体すな
わち洗浄液は特に限定されるものではなく、通常の洗浄
工程に使用されるものを使用することができる。このよ
うな液体の例としては、純水、洗剤溶液、アルカリ溶
液、アセトンなどを挙げることができる。ただし、吐出
エレメント内に洗浄液成分が固化したりすることを防ぐ
ため、洗浄に用いられる液体は、洗浄の最終段階で純水
に置き換えられるべきである。さらに、洗浄終了後、気
体を導入して吐出エレメント内を乾燥させることが望ま
しい。洗浄時に、洗浄効果を高めるため、吐出口より吐
出エレメント内の真空吸引を行なってもよい。
【0018】
【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照して
説明する。まず、本発明のインクジェット記録ヘッドの
製造方法で製造されるインクジェット記録ヘッドにおけ
る吐出エレメント10について、図1によって説明す
る。
【0019】図1は、熱エネルギーを加えてインクを吐
出する方式のインクジェット記録ヘッドで使用される吐
出エレメント10の要部破断斜視図である。この吐出エ
レメント10は、インクを吐出するための多数の微細な
吐出口7、吐出口7ごとに設けられて吐出口7に連通す
るインク流路6、各インク流路6にインクを供給するた
め各インク流路6に共通に設けられた液室8、液室8に
インクを供給するため液室8の天井部分に設けられたイ
ンク供給口5、そしてインクに熱エネルギーを加えるた
めの電気熱変換体2を各インク流路6に対応して有する
基板1とから構成されている。基板1の表面には、電気
熱変換体2に通電するための電極3がさらに設けられて
いる。この吐出エレメント10では、インク流路6、吐
出口7、インク供給口5、液室8は、一体的に構成部材
4に形成され、構成部材4が基板1の電気熱変換体2の
設けられた面上に固着されているようになっている。構
成部材4の代わりに、隣接するインク流路6を隔てる壁
部と液室8とをまず基板1上に形成し、そののちインク
供給口5に相当する天板を貼り合わせるようにしてもよ
い。
【0020】インク流路6および吐出口7は一般に微細
であるので、インク流路6や吐出口7はフォトリソグラ
フィ技術を用いて形成される。この場合、インク流路6
を予め長めに形成しておき、そののち、吐出口6を形成
すべき位置で、基板1と構成部材4とを同時に切断して
吐出口6および吐出口面を形成するのが一般的である。
予め2個の吐出エレメントを対向配置したような基板を
用い、2個分の構成部材をこの基板の上に一体として形
成し、そののち吐出口を形成するための切断を行なうこ
とにより2個の吐出エレメント10を得るようにするこ
と(いわゆる2個取り)もできる。上述の従来技術で示
したように、吐出口10を開口する時点で、インク流路
6内に除去可能な樹脂(感光性樹脂など)が詰まってい
る場合と、インク流路6が開通している場合の2通りの
場合がある。
【0021】この吐出エレメント10は、インクタンク
(不図示)に連通するインク供給管(不図示)をインク
供給口5に接続し、記録信号を伝送する配線を電極3に
接続するなどして、インクジェット記録ヘッドとして組
み立てられる。そして、電気熱変換体2に通電すること
により、電気熱変換体2の近傍のインクが加熱されて発
泡し、発泡の作用力によってインク液路6内のインクが
吐出口7から吐出することになる。インクに吐出エネル
ギーを付与するためのインク吐出エネルギー発生素子と
しては、ここで述べた電気熱変換体のほか、インクに瞬
間的に吐出圧力を加える機械的エネルギーを発生するピ
エゾ素子などを用いてもよい。また、吐出口7は、16
個/mmといった高密度で128個もしくは256個形成
することができ、さらに被記録媒体の記録領域の全幅に
わたるだけの数を形成してフルラインタイプとすること
もできる。
【0022】[実施例1]次に、本発明のインクジェッ
ト記録ヘッドの製造方法の第1の実施例について説明す
る。この実施例は、2個取りで吐出エレメントを形成す
るときに、液室内を加圧状態にしながら、吐出口を形成
するための切断を行なう例である。図2はこの実施例を
説明する図である。
【0023】この実施例は、吐出口を共有して2個の吐
出エレメントを対向配置した大きさの基板21の上に2
個の吐出エレメント分の構成部材22を一体的に形成し
たものを用い、これを吐出口相当位置で切断することに
より、2個の吐出エレメント10を得ようとするもので
ある。2個の吐出エレメントのそれぞれについてのイン
ク供給口5、インク流路6、液室8はすでに形成されて
いる。なお、インク流路6は、一方の液室8から他方の
液室8まで直線的に形成されており、このインク流路6
をその中間点で切断することにより、吐出口が形成され
ることになる。また、基板21のインク流路6に対応す
る部位には、一方の液室8から他方の液室8に延びる1
本のインク流路あたり2個のインク吐出エネルギー発生
素子(不図示)がすでに形成されており、吐出口を形成
した時点でこの2個のインク吐出エネルギー発生素子が
それぞれの吐出エレメントに分配されることになる。
【0024】まず、液室8内への異物の侵入を防ぐた
め、各インク供給口5に網目状のフィルタ32を取り付
け、構成部材22が形成された基板21の裏面を切断ダ
イサーのテーブル31に真空チャッキングする。次に、
インク供給口5の上方のやや離れた位置に設けられたノ
ズル33から、二酸化炭素をバブリングした純水をイン
ク供給口5にめがけて噴射する。すると液室8内は、バ
ブリングした純水で満たされ、かつ噴射の作用力により
加圧状態に保たれる。そして、切断ブレード34が構成
部材22あるいは基板21を切断する部位に、切削液ノ
ズル34から切削液を噴射しつつ切断ブレード35を高
速回転(例えば毎分10000〜30000回転)さ
せ、テーブル31を図面に垂直な方向に往復運動させ、
切断を行なう。切断の進行とともに吐出口面が形成さ
れ、吐出口が開口する。このとき、液室8内がバブリン
グした純水で加圧状態となっているから、吐出口が開口
したとき、この純水が吐出口から噴出し、したがって切
削液が吐出口からインク流路6内に侵入することがな
く、高品質の吐出エレメントを得ることができる。
【0025】テーブル31の移動によってノズル33の
位置がインク供給口5からそれては困るので、ノズル3
3はテーブル31に併設し、またノズル33から帯状に
純水を噴射することが望ましい。ノズル33から噴射す
るのに二酸化炭素をバブリングした純水を用いるのは、
高速で純水を噴射したときの被加工物の帯電を防止する
ためである。これは、基板21上にすでにインク吐出エ
ネルギー発生素子が設けられている場合、帯電が起きる
とこの素子の絶縁破壊が起き、また帯電した水が流れる
ことによって、この素子表面の耐キャビテーション層に
汎用されるタンタルが酸化されたりするので、こうした
不都合を防ぐためである。さらに、切断ブレード35の
高速回転によっても静電気が発生し、吐出エレメント内
で絶縁破壊が起ることがあるので、切削水にも導電性を
持たせることが望ましい。
【0026】以上、実施例1について説明したが、ノズ
ル33から噴射させるものとして、二酸化炭素をバブリ
ングした純水のほか、洗剤溶液や、空気、窒素ガスなど
の気体を用いても同様に切削粉のインク流路6内への侵
入を防ぐことができ、高品質の吐出エレメントを得るこ
とができた。
【0027】[実施例2]実施例1では、ノズル33か
ら噴射させるものとして二酸化炭素をバブリングした純
水を用いているが、ここでは研磨材の砥粒を混入した純
水を噴射した。そして実施例1と同様に切断を行なった
ところ、吐出口面が鏡面に近い状態になり、また吐出口
周囲のチッピングやキズなども激減した。研磨材を切削
水と同時に切削ブレード35にかけることも考えられる
が、それと比べ、本実施例では研磨材のまわり込みが良
く、効果が顕著であった。
【0028】研磨材としては、Al23系,SiC系,Z
rO2系,CeO2系,ダイヤモンド系のものなど、一般に
研磨材、ポリシング材として使用されているものが利用
可能であり、その平均粒径としては、0.05〜5μm
程度のものが効果が大きかった。なお、切断終了後、吐
出エレメント内に残留する研磨材を除去するために、吐
出エレメント内に純水を導入することが必要である。
【0029】[実施例3]実施例1においては、ノズル
33はインク供給口5より離れた位置に設けられていた
が、ノズルをインク供給口5に接して設けることも可能
である。図3はこの実施例3を説明する図である。
【0030】この実施例では実施例1のノズル33の代
わりに供給管36が設けられ、ノズルである供給管36
は、Oリング37を介してインク供給口5に接してして
いる。供給管36は、実施例1のノズル33と同様に加
圧供給物(二酸化炭素をバブリングした純水、洗剤溶
液、空気、窒素ガスなど)を液室8に供給し、液室8内
を加圧状態に保つためのものである。Oリング37は、
加圧供給物の洩れを減らし、供給管36が構成部材22
に直接接触することによるキズの発生を防ぐためのもの
であるが、多少の加圧供給物のもれは問題ない。供給管
36はテーブル31に固定され、切断時にはテーブル3
1と一緒に移動するようになっている。
【0031】このように構成すると、実施例1の場合と
比べ、液室8内への加圧力をさらに大きくすることがで
き、切断時における切削液のインク流路6内への侵入を
防ぐ効果がより顕著になる。また、実施例2と同様に研
磨材を混入した純水を、供給管36から液室8に供給す
るようにしてもよい。また、液体と気体とを交互に液室
8に供給するようなことも可能である。
【0032】以上説明した実施例1〜3では、対向配置
した1対の吐出エレメントから個々の吐出エレメントを
切断によって得る場合の例で説明したが、本発明はこれ
に限られるものではなく、例えば、対向配置でない場合
であっても、ウェハ状の基板に3個以上の吐出エレメン
トを同時に形成する場合であっても有効である。
【0033】[実施例4]次に、本発明のインクジェッ
ト記録ヘッドの製造方法の別の実施例について説明す
る。この実施例は、吐出エレメントの洗浄を行なう際
に、音波を重畳させた洗浄用の液体をインク供給口から
吐出エレメント内に導入して洗浄を行なう例である。図
4はこの実施例4における吐出エレメント10と各治具
との関係を示す斜視図、図5は吐出エレメント10と洗
浄液供給管44との関係を示す断面図、図6は配管系統
を示す図である。
【0034】まず、この実施例における洗浄システムに
ついて説明する。最初に吐出エレメント10の固定方法
について、図4と図5を用いて説明する。図1に示した
のと同じ吐出エレメント10(ただし吐出口7の数をこ
こでは簡単にするため5個とする)は、この吐出エレメ
ント10がちょうど嵌合する溝部を有する保持治具41
に嵌合保持され、さらに上から固定治具42で押えられ
て固定されるようになっている。固定治具42は、固定
ネジ43によって保持治具41に着脱でき、さらに固定
治具42には洗浄液供給管44に一端が取り付けられ、
洗浄液供給管44から送られてきた流体が固定治具42
を貫流してインク供給口5から吐出エレメント10内部
に流れ込むようになっている。なお、洗浄液供給管44
からの流体がもれないように、固定治具42の吐出エレ
メント10側の面には、インク供給口5を取り囲むよう
にしてOリング40が設けられている。
【0035】洗浄液供給管44の他端は、図6に示すよ
うに、切換弁46に接続され、洗浄液供給管44の中間
部には、洗浄液供給管44を流れる液体に音波を重畳さ
せるための音波発振子45が設けられている。切換弁4
6には、さらに、純水供給系48、気体供給系49、洗
浄液供給系50の各配管の一端が接続されている。切換
弁46は、これら各供給系48〜50のうちの1つを選
択して洗浄液供給管44と連通させるためのものであ
る。各供給系48〜50には圧力レギュレータ47が設
けられている。純水供給系48の他端は純水を供給する
純水供給源51に、気体供給系49の他端は気体を供給
する気体供給源52に、洗浄液供給系50の他端は洗浄
液を供給する洗浄液供給源51に、それぞれ接続されて
いる。
【0036】次に、この洗浄システムを使用した吐出エ
レメント10の洗浄について説明する。
【0037】吐出エレメント10を保持治具41と固定
治具42とで固定した後、まず、切換弁46を洗浄液供
給系50に切り換え、圧力レギュレータ47で圧力を調
整しながら、洗浄液を洗浄液供給管44を介してインク
供給口5から吐出エレメント10内に導入する。このと
き音波発振子45を作動させ、音波を洗浄液に重畳させ
る。インク供給口5から吐出エレメント10内に導入さ
れた洗浄液は、液室8、インク流路6を通過して吐出口
7から吐出エレメント10外に流れ出る。
【0038】所定の時間、音波発振子45で音波を重畳
させた洗浄液を吐出エレメント10内に流したら、切換
弁46を操作し、純水供給系48からの純水が洗浄液供
給管44を経て吐出エレメント10内に導入されるよう
にする。純水を流すのは、洗浄後に洗浄液が吐出エレメ
ント10内に残らないようにするためである。純水も圧
力レギュレータ47で圧力を調整され、また音波の重畳
されたままとする。
【0039】純水による吐出エレメント10内のすすぎ
が終ったら、音波発振子45の作動を終らせ、そののち
切換弁46を操作して気体供給系52からの気体が吐出
エレメント10内に導入する。これは吐出エレメント1
0内を乾燥させるための動作であり、この気体も圧力レ
ギュレータ47によって圧力を調節されている。気体に
よる乾燥が終ったら、全ての供給源51〜53の動作を
終了させ、固定治具42を保持治具41から取外し、吐
出エレメント10を取り出せば良い。
【0040】洗浄液としては、中性洗剤などを使用で
き、ポジ型フォトレジストの残渣を除去するためには、
アルカリ溶液やアセトンなどを使用すると良い。また、
洗浄液供給系50を設けず、純水だけで洗浄するように
してもよい。乾燥用の気体としては、空気、酸素、窒
素、アルゴンなどが使用できる。
【0041】ここで、この実施例による実験結果につい
て説明する。音波発振子45に接続される音波発振器
(不図示)として、プレテック社製ファインジェット
(商品名)を用い、搬送周波数を1.8MHzとし、こ
れに40Hz〜10kHzの可変バースト波をのせた場
合、あるい音波発振器として本多電子社製パルスジェッ
ト(商品名)を用い、搬送周波数を1.3MHzとし、
これに40Hz〜10kHzの可変バースト波をのせた
場合、のいずれの場合においても、通常の加圧洗浄では
除去不可能である吐出エレメント10内の汚れをほぼ完
全に除去できた。
【0042】[実施例5]一度に多数の吐出エレメント
10に対して上述の実施例4による洗浄方法を実施する
場合、配管の長さの差などにより各吐出エレメント10
に加わる圧力がばらつき、洗浄効果にムラが生じる。そ
こでこの実施例は、吐出口7からの真空吸引を行なっ
て、このような洗浄効果のムラをなくそうとしたもので
ある。
【0043】図7はこの実施例における配管系統を示す
ものである。実施例4と比べて異なるところは、保持治
具41(図4)と固定治具42(図4,5)ごと吐出エ
レメント10が真空チャンバ54内に格納されているこ
とである。真空チャンバ54は、排気管55を介して真
空ポンプ56で排気されるようになっている。
【0044】実施例4で説明したように、固定治具42
と吐出エレメント10のインク供給口5とはOリング4
0を介して接しているので、真空チャンバ54内を排気
しても、固定治具42とインク供給口5との接している
ところから洗浄液や純水、気体が洩れることはない。ま
た、吐出エレメント10の開口部は、インク供給口5の
他には吐出口7のみであるから、結局、吐出口7から真
空吸引を行なっているのと同じことになる。各供給系4
8〜50での圧力をそれぞれ圧力レギュレータ47によ
って1〜2kg/cm2にし、真空チャンバ53内を真
空にし、他は実施例4と同様にしたところ、多数の吐出
エレメント10を同時に洗浄した場合でも、吐出エレメ
ント10ごとの洗浄効果のばらつきはほとんどなくなっ
た。
【0045】[実施例6]次に、本発明のさらに別の実
施例について説明する。この実施例は、気体と液体とを
交互に吐出エレメント内に導入して吐出エレメント内の
洗浄を行なうものである。図8はこの実施例における洗
浄システムの配管系統を示している。
【0046】この実施例の洗浄システムは、上述の実施
例4のものと同様であるが、洗浄液供給管44の中間部
に音波発振器が設けられていない点と、切換弁46を高
速で操作するための切換弁駆動装置57が取り付けられ
ている点で異なっている。
【0047】次に、この洗浄システムを使用した吐出エ
レメント10の洗浄について説明する。吐出エレメント
10を保持治具41と固定治具42とで固定した後、切
換弁駆動装置57を作動させ、一定時間間隔で切換弁4
6が洗浄液供給系50と気体供給系49を交互に選択す
るようにする。気体供給系49、洗浄液供給系50の圧
力は予め圧力レギュレータ47で調節しておき、交互に
切換弁46を切り換えたことによって逆流などが起らな
いようにしておく。このようにすると、洗浄液と気体と
が吐出エレメント10内を流れて洗浄が行なわれ、これ
ら洗浄液と気体は吐出口7から排出される。洗浄液と気
体とを交互に流すので、気体が介在することにより洗浄
液の見かけの粘性抵抗が減少して洗浄液の流速が向上
し、洗浄効果が高まる。所定の時間の洗浄が終ったら、
切換弁駆動装置57によって切換弁46を純水供給系4
8側にし、吐出エレメント10をすすいで吐出エレメン
ト10内の洗浄液を除去する。そののち、切換弁駆動装
置57によって切換弁46を気体供給系49側にし、吐
出エレメント10内に気体のみを流して吐出エレメント
10内の乾燥を行なえばよい。
【0048】洗浄液としては、中性洗剤などを使用で
き、ポジ型フォトレジストの残渣を除去するためには、
アルカリ溶液やアセトンなどを使用すると良い。また、
洗浄液供給系50を設けず、純水だけで洗浄するように
してもよい。乾燥用の気体としては、空気、酸素、窒
素、アルゴンなどが使用できる。
【0049】ここで、この実施例による実験結果につい
て説明する。洗浄すべき吐出エレメント10としては、
吐出口7を形成するための切断を従来技術で行ない、切
削粉がインク流路6や液室8内に付着しているものを使
用した。この切削粉は、純水のみを使用して洗浄した場
合には、洗浄時間をいくら長くしても除去できなかった
ものである。ここでは、特定の洗浄液を使用せず、純水
と窒素ガスとを0.5秒間隔で交互に吐出エレメント1
0内に導入するようにした。このとき、純水と窒素ガス
の圧力は、それぞれ4kg/cm2とした。その結果、
約3分間の洗浄で完全に切削粉を除去することができ
た。さらに、洗浄液供給系50を設けて純水の代わりに
洗浄液として中性洗剤を使用した場合には、さらに短時
間での洗浄が可能となったが、洗浄後の純水によるすす
ぎが必要となった。窒素ガスのかわりに空気を用いた場
合でも、同様の効果が得られた。
【0050】インク流路6内にポジ型フォトレジストの
残渣がある吐出エレメント10について、同様の実験を
行なった。有機アルカリ系溶液あるいはアセトンなどの
洗浄液を用い、この洗浄液と気体とを交互に吐出エレメ
ント10内に導入して洗浄を行なったところ、加圧した
洗浄液のみを用いた場合に比べ、約半分の時間で残渣を
除去できた。なおこの場合は、純水でのすすぎが必要で
ある。
【0051】[実施例7]一度に多数の吐出エレメント
10に対して上述の実施例6による洗浄方法を実施する
場合、配管の長さの差などにより、各吐出エレメント1
0に加わる圧力がばらつき、洗浄効果にムラが生じる。
そこでこの実施例は、吐出口7からの真空吸引を行なっ
て、このような洗浄効果のムラをなくそうとしたもので
ある。
【0052】図9はこの実施例における配管系統を示す
ものであり、上述の実施例4から実施例5への変更点を
そのまま実施例6に適用したような構成となっている。
各供給系48〜50での圧力をそれぞれ圧力レギュレー
タ47によって1〜2kg/cm2にし、真空チャンバ
53内を真空にし、他は実施例6と同様にしたところ、
多数の吐出エレメント10を同時に洗浄した場合でも、
吐出エレメント10ごとの洗浄効果のばらつきはほとん
どなくなった。
【0053】次に、本発明のインクジェット記録ヘッド
の製造方法によって製造されたインクジェット記録ヘッ
ドを有するインクジェット記録装置について説明する。
図10は本発明により得られた記録ヘッドをインクジェ
ットヘッドカートリッジ(IJC)として装着したイン
クジェット記録装置(IJRA)の一例を示す外観斜視
図である。
【0054】図10において、120はプラテン124
上に送紙されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐
出を行うノズル群を具えたインクジェットヘッドカート
リッジ(IJC)である。116はIJC120を保持
するキャリッジHCであり、駆動モータ117の駆動力
を伝達する駆動ベルト118の一部と連結し、互いに平
行に配設された2本のガイドシャフト119Aおよび1
19Bと摺動可能とすることにより、IJC120の記
録紙の全幅にわたる往復移動が可能となる。
【0055】126はヘッド回復装置であり、IJC1
20の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向
する位置に配設される。伝動機構123を介したモータ
122の駆動力によって、ヘッド回復装置126を動作
せしめ、IJC120のキャッピングを行う。このヘッ
ド回復装置126のキャップ部126AによるIJC1
20へのキャッピングに関連させて、ヘッド回復装置1
26内に設けた適宜の吸引手段によるインク吸引もしく
はIJC120へのインク供給経路に設けた適宜の加圧
手段によるインク圧送を行い、インクを吐出口より強制
的に排出させることによりノズル内の増粘インクを除去
する等の吐出回復処理を行う。また、記録終了時等にキ
ャッピングを施すことによりIJCが保護される。
【0056】130はヘッド回復装置126の側面に配
設され、シリコンゴムで形成されるワイピング部材とし
てのブレードである。ブレード130はブレード保持部
材130Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復
装置126と同様、モータ122および伝動機構123
によって動作し、IJC120の吐出面との係合が可能
となる。これにより、IJC120の記録動作における
適切なタイミングで、あるいはヘッド回復装置126を
用いた吐出回復処理後に、ブレード130をIJC12
0の移動経路中に突出させ、IJC120の移動動作に
伴ってIJC120の吐出面における結露、濡れあるい
は塵埃等をふきとるものである。
【0057】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装
置において、優れた効果をもたらすものである。
【0058】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書
に開示されており、本発明はこれらの基本的な原理を用
いて行うものが好ましい。この記録方式はいわゆるオン
デマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能
である。
【0059】この記録方式を簡単に説明すると、液体
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている電気熱変換体に、記録情報に対応して液体
(インク)に核沸騰現象を越え、膜沸騰現象を生じるよ
うな急速な温度上昇を与えるための少なくとも一つの駆
動信号を印加することによって、熱エネルギーを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせる。こ
のように液体(インク)から電気熱変換体に付与する駆
動信号に一対一対応した気泡を形成できるため、特にオ
ンデマンド型の記録法には有効である。この気泡の成
長、収縮により吐出孔を介して液体(インク)を吐出さ
せて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号を
パルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行わ
れるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が
達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号と
しては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明
細書に記載されているようなものが適している。なお、
上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第43
13124号明細書に記載されている条件を採用すると、さ
らに優れた記録を行うことができる。
【0060】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出孔、液流路、電気熱変換
体を組み合わせた構成(直線状液流路または直角液流
路)の他に、米国特許第4558333号明細書、米国特許第4
459600号明細書に開示されているように、熱作用部が屈
曲する領域に配置された構成を持つものも本発明に含ま
れる。
【0061】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出孔とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギーの圧力
波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する
特開昭59年第138461号公報に基づいた構成においても本
発明は有効である。
【0062】さらに、本発明が有効に利用される記録ヘ
ッドとしては、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅
に対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがあ
る。このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示さ
れているような記録ヘッドを複数組み合わせることによ
ってフルライン構成にしたものや、一体的に形成された
一個のフルライン記録ヘッドであっても良い。
【0063】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0064】また、本発明の記録装置に、記録ヘッドに
対する回復手段や、予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の記録装置を一層安定にすることができるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニング
手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこ
れとは別の加熱素子、あるいはこれらの組み合わせによ
る予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モー
ドを行う手段を付加することも安定した記録を行うため
に有効である。
【0065】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録
ヘッドを一体的に構成したものか、複数個を組み合わせ
て構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色
カラーまたは、混色によるフルカラーの少なくとも一つ
を備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0066】以上説明した本発明実施例においては、液
体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固
体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイ
ンクであっても用いることができる。上述のインクジェ
ット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0067】加えて、熱エネルギーによるヘッドやイン
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に
防止するかまたは、インクの蒸発防止を目的として放置
状態で固化するインクを用いることもできる。いずれに
しても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイ
ンクが液化してインク液状として吐出するものや記録媒
体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質を
持つインクの使用も本発明には適用可能である。
【0068】このようなインクは、特開昭54-56847号公
報あるいは特開昭60-71260号公報に記載されるような、
多孔質シートの凹部または貫通孔に液状または固形物と
して保持された状態で、電気熱変換体に対して対向する
ような形態としても良い。
【0069】本発明において、上述した各インクに対し
て最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するも
のである。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように第1の発明のインク
ジェット記録ヘッドの製造方法は、吐出口を形成するた
めの切断を行なっているときに、液室内を流体で満たし
て加圧状態としておくことにより、切断によって吐出口
が開口したときの吐出口側からの切削粉を含んだ切削水
の侵入を防ぐことができ、高品質のインクジェット記録
ヘッドが得られるという効果がある。このとき、研磨材
を混入した液体を前記流体として使用し、インク供給口
から液室に供給するようにすれば、この研磨材によって
吐出口面の研磨が行なわれるようになって、さらに高品
質のインクジェット記録ヘッドが得られるという効果が
ある。
【0071】第2の発明のインクジェット記録ヘッドの
製造方法は、吐出エレメントの形成ののち、音波を重畳
させた液体をインク供給口から導入して洗浄を行なうこ
とにより、音波を重畳していることによって液体の洗浄
効果が大きくなり、良好に洗浄を行なうことができて、
高品質のインクジェット記録ヘッドが得られるという効
果がある。
【0072】第3の発明のインクジェット記録ヘッドの
製造方法は、吐出エレメントの形成ののち、気体と液体
とを交互に導入して吐出エレメント内の洗浄を行なうこ
とにより、実質的に液体すなわち洗浄液の流速を大きく
することができ、良好に洗浄を行なえるようになって、
高品質のインクジェット記録ヘッドが得られるという効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法
で製造されるインクジェット記録ヘッドに使用される吐
出エレメントの構成を示す斜視図である。
【図2】実施例1のインクジェット記録ヘッドの製造方
法を説明する図である。
【図3】実施例3のインクジェット記録ヘッドの製造方
法を説明する図である。
【図4】実施例4のインクジェット記録ヘッドの製造方
法における吐出エレメントと治具との関係を示す斜視図
である。
【図5】実施例4での吐出エレメントと洗浄液供給管と
の関係を示す断面図である。
【図6】実施例4における配管系統を示す図である。
【図7】実施例5における配管系統を示す図である。
【図8】実施例6における配管系統を示す図である。
【図9】実施例7における配管系統を示す図である。
【図10】本発明に係るインクジェット記録ヘッドを備
えたインクジェット記録装置の一例を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1,21 基板 2 電気熱変換体 3 電極 4,22 構成部材 5 インク供給口 6 インク流路 7 吐出口 10 吐出エレメント 31 テーブル 32 フィルタ 33 ノズル 34 切削液ノズル 35 切断ブレード 36 供給管 37,40 Oリング 41 保持治具 42 固定治具 43 固定ネジ 44 洗浄液供給管 45 音波発振子 46 切換弁 47 圧力レギュレータ 48 純水供給系 49 気体供給系 50 洗浄液供給系 51 純水供給源 52 気体供給源 53 洗浄液供給源 54 真空チャンバ 55 排気管 56 真空ポンプ 57 切換弁駆動装置 116 キャリッジ 117 駆動モータ 118 駆動ベルト 119A,119B ガイドシャフト 120 インクジェットヘッドカートリッジ 122 クリーニング用モータ 123 伝動機構 124 プラテン 126 ヘッド回復装置 126A キャップ部 130 ブレード 130A ブレード保持部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 寿 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 川尻 幸雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 末岡 学 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 小山 修司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−184853(JP,A) 特開 昭60−166463(JP,A) 特開 平2−184451(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/16

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクが供給されるインク供給口とイン
    クが吐出される吐出口と前記インク供給口および前記吐
    出口に連通するインク流路とが一体的に設けられた吐出
    エレメントを有するインクジェット記録ヘッドの製造方
    法において、前記吐出エレメント に、前記インク流路と、前記インク
    供給口と、前記インク流路の前記インク供給口側に設け
    られる液室とを形成した後、前記吐出エレメントを前記
    吐出口が形成されるべき位置で切断することにより前記
    吐出口を形成する際に、前記液室を介して前記インク流
    路から前記吐出口へ向けて流体で加圧状態とすることを
    特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 インク供給口から液室内に流体を供給す
    ることにより、前記液室内を加圧状態とする請求項1に
    記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 インク供給口から離れた位置にノズルを
    設け、前記ノズルから流体を噴射することにより、前記
    インク供給口から液室内に前記流体を供給する請求項2
    に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 インク供給口に接してノズルを設け、前
    記ノズルから流体を噴射することにより、前記インク供
    給口から液室内に前記流体を供給する請求項2に記載の
    インクジェット記録ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 流体が研磨材を混入した液体である請求
    項2ないし4いずれか1項に記載のインクジェット記録
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記吐出エレメントの切断は、複数の吐
    出エレメントを吐出口側でインク流路が連続するように
    対向配置させて形成した状態で行われる請求項1に記載
    のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 インク流路に対応する位置に予めインク
    吐出エネルギー発生素子が形成された基板を用いる、請
    求項1ないしいずれか1項記載のインクジェット記録
    ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記流体が音波を重畳させた液体であ
    り、吐出エレメントの形成後、前記音波を重畳させた液
    体をインク供給口より前記吐出エレメント内に導入して
    前記吐出エレメント内部の洗浄を行なう、請求項1に記
    載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 音波を重畳させた液体を加圧して吐出エ
    レメント内に導入する請求項に記載のインクジェット
    記録ヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 洗浄の最終段階において、液体として
    純水を使用する請求項またはに記載のインクジェッ
    ト記録ヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 インクが供給されるインク供給口とイ
    ンクが吐出される吐出口と前記インク供給口および前記
    吐出口に連通するインク流路とが一体的に設けられた吐
    出エレメントを有するインクジェット記録ヘッドの製造
    方法において、 前記吐出エレメントの形成後、液体と気体とを交互に前
    記インク供給口より前記吐出エレメント内に導入して前
    記吐出エレメント内部の洗浄を行なうことを特徴とする
    インクジェット記録ヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 液体と気体とを加圧して吐出エレメン
    ト内に導入する請求項11に記載のインクジェット記録
    ヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 液体として純水以外の液体を使用した
    場合、洗浄の最終段階において、前記純水以外の液体を
    吐出エレメントから除去し、前記吐出エレメント内に導
    入する液体として純水を使用する請求項11または12
    に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  14. 【請求項14】 気体が、窒素、酸素、空気、アルゴン
    の中から選ばれた1種以上のものである、請求項11
    いし13いずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッ
    ドの製造方法。
  15. 【請求項15】 液体が、純水、洗剤溶液、アルカリ溶
    液、アセトンの中から選ばれた1種以上のものである、
    請求項ないし14いずれか1項に記載のインクジェッ
    ト記録ヘッドの製造方法。
  16. 【請求項16】 吐出口より吐出エレメント内の真空吸
    引を行ないながら前記吐出エレメント内の洗浄を行なう
    請求項ないし15いずれか1項記載のインクジェット
    記録ヘッドの製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項1ないし16いずれか1項に記
    載の製造方法で製造されたインクジェット記録ヘッド。
  18. 【請求項18】 インク吐出エネルギー発生素子が電気
    エネルギーを与えることによって発熱し、インクに状態
    変化を生ぜしめて吐出を行なわせるための電気熱変換体
    である請求項17に記載のインクジェット記録ヘッド。
  19. 【請求項19】 インク吐出エネルギー発生素子が電気
    エネルギーを与えることによって変位し、前記変位に伴
    う圧力変化によって吐出を行なわせるためのピエゾ素子
    である請求項17に記載のインクジェット記録ヘッド。
  20. 【請求項20】 記録媒体の記録領域の全幅にわたって
    吐出口が複数設けられているフルラインタイプのもので
    あることを特徴とする請求項17に記載のインクジェッ
    ト記録ヘッド。
  21. 【請求項21】 記録媒体の被記録面に対向してインク
    を吐出する吐出口が設けられている請求項17に記載の
    インクジェット記録ヘッドと、該インクジェット記録ヘ
    ッドを載置するための部材とを少なくとも具備すること
    を特徴とするインクジェット記録装置。
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