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JP3101072B2 - Nc工作機械における刃先の経時変位補正装置 - Google Patents

Nc工作機械における刃先の経時変位補正装置

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Publication number
JP3101072B2
JP3101072B2 JP04094918A JP9491892A JP3101072B2 JP 3101072 B2 JP3101072 B2 JP 3101072B2 JP 04094918 A JP04094918 A JP 04094918A JP 9491892 A JP9491892 A JP 9491892A JP 3101072 B2 JP3101072 B2 JP 3101072B2
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JP
Japan
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cutting edge
tool
cutting
headstock
displacement
Prior art date
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JP04094918A
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毅 藤岡
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Seibu Electric and Machinery Co Ltd
Original Assignee
Seibu Electric and Machinery Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,NC旋盤等の数
値情報で制御されるNC工作機械に適用される切削工具
の刃先の位置補正を行うものであり,特に,主軸台の熱
等による位置変位に起因する刃物台からの経時的位置変
位分を検出して座標補正を行うNC工作機械における刃
先の経時変位補正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】NC旋盤は,ある座標に対するバイトの
移動量とその移動速度を数値情報として予め記憶させ,
その数値情報に基づいてNC装置の働きでバイト即ち切
削工具を移動させ,自動的に工作物を切削加工すること
ができるように構成したものである。従って,NC旋盤
等のNC工作機械においては,加工を開始する前に,座
標軸に対して切削工具の刃先位置を正確にセットしてお
くことが工作物の加工精度を向上させる上で必要不可欠
である。
【0003】ところで,座標軸に対するバイト,ドリ
ル,リーマ等の切削工具の刃先位置を補正する方法とし
ては,種々の方法があるが,中でも刃先位置を直接測定
することによって刃先位置を補正する方法としては,接
触測定方式による補正方法と非接触測定方式による補正
方法がある。接触測定方式による補正方法とは,NC工
作機械の機内にタッチセンサ等の接触式測定器を設け,
切削工具の刃先位置を測定してその値を座標の原点に対
する補正値としてNC装置に反映させる方法である。こ
の接触測定方式による補正方法の場合,工作物の長手方
向(Z方向)と径方向(X方向)の寸法を確保するた
め,切削工具の刃先を二度にわたって接触させねばなら
ない上に,切削工具の刃先にダイヤモンドを使用した
り,あるいは切削工具の刃先が極めて鋭利な形状をして
いる場合に,刃先を測定器に接触させることは刃先のダ
メージにつながる恐れがあり,切削加工上,精度上好ま
しくない現象である。
【0004】これに対して,非接触測定方式による補正
方法は,切削工具の刃先位置を非接触状態で測定し,座
標軸に対する切削工具の刃先位置を補正する方法であ
り。例えば,本出願人が先に出願した切削工具刃先検出
装置〔特願平3−37812号(特開平4−25655
0号公報参照)〕がある。この切削工具刃先検出装置に
おける補正方法は,NC工作機械内に設置したCCDカ
メラ等の測定器を用いて,切削工具の刃先位置を測定
し,切削工具の刃先位置を自動的に補正することができ
るものである。
【0005】上記の刃先位置を補正する方法は,接触測
定方式であれ,非接触測定方式であれ,いずれも主軸台
等に設定した座標軸を基準にして,切削工具の刃先の主
軸台の基準に対する相対位置をずらすことによって補正
を行うものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで,刃先位置の
補正のみでも,ある程度の加工精度を得ることができる
が,それ以上の加工精度が要求される場合には,主軸台
と刃物台間の熱による剛体の熱膨張或いは熱収縮に起因
する座標軸の相対変位が問題となる。
【0007】前記座標軸の変位は,工作物を試し削りし
た後に,実際にその工作物の寸法測定を行って,その値
から補正作業を行う必要があった。このように,刃物台
から主軸台までの距離を直接測定するわけではないか
ら,誤差を修正するための補正作業を伴うという問題点
がある。従って,主軸台と刃物台の位置関係を直接測定
することができるように構成すると共に,座標軸の変位
を自動的に補正することができるように構成するという
課題を解決する必要がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は,上記
の課題を解決することであり,NC工作機械の機内で主
軸台の変位を非接触状態で測定する方法によって正確に
検出し,且つ座標軸に取り付けた工作物と刃先台の座標
関係を修正することができ,熱等の影響による座標軸の
相対変位を自動的に補正することができるNC工作機械
における刃先の経時変位補正装置を提供することであ
る。
【0009】この発明は,工作物を支持する主軸台と前
記工作物に対向して配置された刃物台に設置された切削
工具の刃先との熱等に起因して生じた相対位置関係の経
時変位を変位情報として非接触状態で検出する位置検出
装置と,前記変位情報に基づいて座標設定位置と前記切
削工具の前記刃先との相対位置の補正を行うNC装置と
を有し,前記位置検出装置は,前記主軸台に設置した光
ビームを発する発光体と,前記主軸台と前記刃物台とか
ら離れた熱影響の少ない固定部に前記切削工具の刃先に
対応した部位に設置され且つ前記発光体からの光ビーム
を受光して光スポット位置を計測する光スポット位置検
出装置と,前記固定部に設置し且つ前記切削工具の刃先
形状と刃先位置を画像情報として非接触状態で検出する
刃先検出装置とを有することから成るNC工作機械にお
ける刃先の経時変位補正装置に関する。ここで,光スポ
ット位置検出装置は,PSD(position sensitive ligh
tdetector) 即ち半導体位置検出素子によるものであ
る。
【0010】また,前記固定部は,前記主軸台と前記刃
物台とを有するNC工作機械の加工部を覆うカバーに設
けられている。
【0011】前記NC装置は,前記位置検出装置が出力
する前記主軸台と前記刃物台との相対位置の経時変位か
ら前記切削工具の刃先位置の補正値を算出する刃先位置
補正値算出手段,及び前記補正値に基づいてサーボモー
タを駆動するサーボモータ制御手段を有するものであ
る。
【0012】詳しくは,前記NC装置は,前記刃先検出
装置がとらえた前記切削工具の刃先形状と刃先位置を画
像情報として記憶する第一メモリ,該第一メモリに記憶
した画像情報と前記刃先検出装置で写しだした前記切削
工具の映像とを比較し,両者が合致しない場合に信号を
発する画像比較手段,該画像比較手段からの信号を入力
して切削工具刃先位置の補正値を算出する刃先位置補正
値算出手段,前記PSD光スポット位置検出装置が受光
した光ビームの光スポット位置を基準光スポット位置と
して記憶する第二メモリ,該第二メモリに記憶した前記
基準光スポット位置と前記PSD光スポット位置検出装
置が受光した光ビームに光スポット位置とを比較し,両
者が合致しない場合に信号を発する光スポット位置比較
手段,前記光スポット位置比較手段からの信号を入力し
て座標軸の補正値を算出し且つ座標軸を補正する座標補
正値算出手段,前記切削工具刃先位置の補正値又は前記
座標軸の補正値に基づいてサーボモータを駆動するサー
ボモータ制御手段を有している。更に,前記光スポット
位置比較手段が信号を出力した時に,第二メモリの基準
光スポット位置を修正するメモリ修正手段を設けてい
る。
【0013】このNC工作機械における刃先の経時変位
補正装置は,上記のように構成されているので,NC工
作機械の機内に切削工具の刃先の座標と工作物を取り付
けた主軸台の座標の位置関係を光学的に非接触の状態で
検出する検出装置を設けたので,主軸台と刃物台間の経
時変位を正確に高精度で測定することができる。
【0014】また,前記検出装置で検出した変位情報に
基づいて座標設定と切削工具の刃先との位置の補正を行
う機能をNC装置に付加したので,熱等に起因して生じ
た座標軸のずれを自動的に補正することができる。
【0015】具体的には,前記主軸台及び前記刃物台か
ら離れた熱影響の少ない固定部材に刃物検出装置を設置
したので,この刃物検出装置によって切削工具刃先位置
の変位分が正確に検出される。また,前記主軸台に発光
体を設置すると共に前記固定部材にPSD光スポット位
置検出装置を設置し,発光体から発せられた光ビームの
光スポット位置をPSDによる光スポット位置検出装置
で計測するようにしたので,熱影響等で主軸台の固定部
材に対する位置関係が変化しても,その変位分を正確に
高精度で計測することができる。
【0016】また,座標軸の変位分の補正は,具体的に
は以下のようにして行われる。まず最初に,検出された
切削工具刃先位置の基準刃先位置に対するずれ分につい
て補正値を算出し,サーボモータを駆動して切削工具刃
先位置を基準刃先位置に一致させる。次いで,予め前記
第二メモリに記憶しておいた前記基準光スポット位置と
前記光スポット位置検出装置が検出した光スポット位置
とのずれから,主軸台の変位分,即ち座標軸の補正値を
算出し,且つ座標軸を補正する。それと同時に,サーボ
モータ制御手段はサーボモータを駆動して刃物台テーブ
ルを補正値だけ移動させる。このようにして,熱等の影
響によって主軸台と刃物台との間の位置関係が変化して
も,自動的に正確な座標設定を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明
によるNC工作機械における刃先の経時変位補正装置の
一実施例について説明する。図1はNC工作機械(図1
では,NC旋盤)の一部を示す斜視図である。NC工作
機械の主ベット10には,主軸台11と刃物台テーブル
12が取り付けられている。主軸台11には,工作物W
を把持する工作物把持装置であるスクロールチャック1
3が設けられ,工作物Wが回転可能に支持されている。
刃物台テーブル12はX軸スライドテーブル14に組み
付けられ,更に,X軸スライドテーブル14はZ軸スラ
イドテーブル15に組み付けられている。X軸スライド
テーブル14はX軸送りねじ16と螺合し,Z軸スライ
ドテーブル15はZ軸送りねじ17に螺合している。刃
物台テーブル12は,Z軸送りサーボモータ(図示せ
ず)及びX軸送りサーボモータ18の働きで,X軸送り
ねじ16及びZ軸送りねじ17が回転し,Z軸方向及び
X軸方向に移動可能に構成されている。
【0018】図2はNC工作機械の一部を示す概略正面
図である。NC工作機械における工作物Wに対する加工
部は,機械的剛性が大きいカバー20によって覆われて
いる。カバー20の上面にはガラス板等の透明板21を
配置した覗き窓22が設けられている。透明板21の内
側即ち機内23にはエア吹出口24が設けられ,透明板
21に向けてエアブローを行なうことにより切削油や切
屑等の付着物を吹き飛ばすことができるように構成され
ている。固定部材としてのカバー20には刃先検出装置
としてのCCDカメラ3が取り付けられ,機外25から
覗き窓22を通して機内23に向けられている。CCD
カメラ3は,電荷結合素子(chargecoupuled device)カ
メラである。CCDカメラ3の作動距離Fが,工作物W
に対向して設置される切削工具の一種であるバイトTの
刃先の位置にくるような部位に設置する。CCDカメラ
3は,CCDカメラ3の直交座標軸の面をNC工作機械
のバイトTの切削移動軸(XーZ軸)の面に平行になる
ように固定する。
【0019】一方,PSD光スポット位置検出装置1
は,CCDカメラ3に隣接してカバー20に設置され,
PSD直交座標軸の面がNC工作機械のバイトTの切削
移動軸(X−Z軸)の面に平行になるように固定されて
いる。カバー20は,主軸台11や刃物台テーブル12
に比較して,熱影響を無視し得るので,CCDカメラ3
及びPSD光スポット位置検出装置1の位置は不変と考
えてよい。カバー20の側面には開閉カバー26が設け
られている。また,NC工作機械の機内においては,主
軸台11上面に発光ダイオードまたはレーザ等の発光体
2が取り付けられている。発光体2は,発光体2から発
せられる光ビームがPSD光スポット位置検出装置1の
PSD面上に光スポットを結像するような方向に向けて
固定されている。
【0020】図3及び図4は,主軸台11から発せられ
た光ビームが,PSD座標面上で,光スポットとして結
像している様子を示す図であり,図3は正面説明図,及
び図4は平面説明図である。PSD光スポット位置検出
装置1の光学系6の拡大率は,PSD分解能をNC工作
機械の変位量と同程度にしているので,その精度は高め
られる。主軸台11とカバー20との間に,熱等による
剛体の熱膨張或いは熱収縮による位置関係の変位が生じ
た場合に,PSD座標面上の光スポット位置8は,初期
の位置(基準光スポット位置)から移動する。また,切
削移動軸(X−Z軸)に平行になるように,光学系6及
びPSD7を固定しているので,X軸方向及びZ軸方向
への機械変位成分はPSD座標面上のX軸方向及びZ軸
方向への光スポット移動距離と対応する。
【0021】図5は,このNC工作機械の経時変位補正
装置におけるPSD光スポット位置検出装置1の一例を
示す回路であり,PSD座標面上の光スポット位置を電
気信号として求める光スポット位置検出回路である。P
SD7は長さL×Lの正方形であって,図中の符号
1 ,X2 ,Z1 ,Z2 はそれぞれ各電極から得られる
出力信号(光電流)であり,符号x,zはPSD座標上
における光スポット位置の座標を表している。なお,P
SD座標面上の光スポット位置は,次式により求められ
る。 (X2 −X1 )/(X1 +X2 )=2x/L (Z2 −Z1 )/(Z1 +Z2 )=2z/L PSDの各電極は導線でそれぞれ電流・電圧変換回路に
連結されている。Z方向の電極に連結された電流・電圧
変換回路から出力された出力値を加算及び引算を行い,
次いで,それらを除算して電気信号を出力する。更に,
この電気信号に所定の係数を掛けることによってリニア
補正を行い,PSD座標における光スポット位置のZ成
分を算出する。同様にして,X方向の電極から得られる
出力信号からPSD座標における光スポット位置のX成
分を算出する。また,測定精度を上げるため,リニア補
正に行う際の係数は,上記電気信号の大きさと実際の変
位量との関係についてキャリブレーション処理等を十分
に行った上で決める。このようにして測定したPSD座
標における光スポット位置のX成分及びZ成分は,NC
装置5に伝えられる。
【0022】図6は,このNC工作機械における経時変
位補正装置の一実施例を示すブロック図である。経時変
位補正装置は,熱等に起因して生じた主軸台11と刃物
台テーブル12との位置関係の経時変位を変位情報とし
て非接触状態で検出する位置検出装置4と,前記変位情
報に基づいて座標設定位置と切削工具の刃先位置の補正
を行うNC装置5とから構成されている。位置検出装置
4は,主軸台11に設置され光ビームを発する発光体2
と,主軸台11及び刃物台テーブル12から離れた熱影
響の少ない固定部であるカバー20に設置され且つ発光
体2から発せられた光ビームを受光して光スポット位置
8を計測するPSD光スポット位置検出装置1とを有し
ている。更に,位置検出装置4は,切削工具の刃先形状
と刃先位置を画像情報として非接触状態で検出する刃先
検出装置即ちCCDカメラ3を有している。
【0023】また,NC装置5は,本来の機能の外に,
CCDカメラ3がとらえた切削工具の刃先形状及び刃先
位置を画像情報として記憶する第一メモリ30,第一メ
モリ30に記憶した画像情報とCCDカメラ3で写し出
した切削工具の映像とを比較し,両者が合致しない場合
に信号を発する画像比較手段31,画像比較手段31か
らの信号を入力して切削工具刃先位置の補正値を算出す
る刃先位置補正値算出手段32,PSD光スポット位置
検出装置1が受光した光ビームの光スポット位置を基準
光スポット位置として記憶する第二メモリ33,第二メ
モリ33に記憶した基準光スポット位置とPSD光スポ
ット位置検出装置1が受光した光ビームの光スポット位
置とを比較し,両者が合致しない場合に信号を発する光
スポット位置比較手段34,光スポット位置比較手段3
4からの信号が入力された時に第二メモリ33の基準光
スポット位置を修正するメモリ修正手段36,光スポッ
ト位置比較手段34からの信号を入力して座標軸の補正
値を算出し且つ座標軸を補正する座標補正値算出手段3
5,及び前記切削工具刃先位置の補正値又は前記座標軸
の補正値に基づいてX軸送りサーボモータ18とZ軸送
りサーボモータを駆動するサーボモータ制御手段37を
有している。
【0024】図7,図8及び図9は,このNC工作機械
における刃先の経時変位補正装置の一実施例の処理を示
すフローチャートである。この経時変位補正のステップ
は,刃物台テーブル12に固定した切削工具の初期位置
と主軸台11の初期位置を記憶するステップと,座標補
正を行うステップ(刃物台テーブル12のズレを補正す
ると共に主軸台11のずれを補正するステップ)とから
成る。
【0025】まず,刃物台テーブル12に固定した切削
工具の初期位置を記憶するステップ,即ちバイトTの刃
先形状記憶のステップから説明する。図7を参照して説
明すると,複数個のバイトTの中から,記憶しようとす
るバイトTを一つ選択して,刃先検出位置(基準刃先位
置)に移動させる(ステップ41)。選択したバイトT
の形状をCCDカメラで写し出す(ステップ42)。写
し出した映像を画像情報として第一メモリ30に記憶す
る(ステップ43)。第一メモリ30に記憶した画像情
報がバイトTの原点となる。以下,記憶したいバイトT
を順次選び,ステップ41,ステップ42及びステップ
43の処理を繰り返す。記憶すべき全てのバイトTにつ
いて画像情報を記憶すると,刃先形状記憶のステップは
終了する。また,単体刃物台の場合には,ステップ4
1,ステップ42及びステップ43の処理の繰り返しが
行なわれない。
【0026】次に,主軸台11の初期位置を記憶するス
テップについて説明する。図8を参照して説明すると,
発光体2から光ビームをPSD7面に向けて発する(ス
テップ44)。PSD7面上に結像された光スポット位
置8の位置を基準光スポット位置として第二メモリ30
に記憶する(ステップ45)。
【0027】このようにして初期位置の記憶を終え,N
C工作機械は作動される。そして,時間の経過に伴って
徐々に主軸台11と刃物台テーブル12の位置関係にず
れが生じてくる。そこで,次に座標補正を行うステップ
について,図9のフローチャートを参照して説明する。
まず,検出しようとするバイトTを選択し,そのバイト
TをCCDカメラ3によって写す(ステップ47)。第
一メモリ30に記憶しているバイトTの画像情報とCC
Dカメラ3によって写した映像を比較する(ステップ4
8)。この時,同一のバイトT同士を比較することは言
うまでもない。画像情報とCCDカメラ3で写した映像
が合致する場合には,バイトTの刃先位置は依然として
基準刃先位置にあるので何も処理する必要はない。画像
情報とCCDカメラ3で写した映像がずれている場合に
は,ずれの分だけ補正値を算出する(ステップ49)。
即ち,CCDカメラ3が画面内にきた時,NC装置はN
C工作機械の座標軸を取り込み,その合成によりバイト
刃先位置の数値を演算し,補正値を算出する。そして,
NC装置はその補正値に相当する距離だけ刃物台テーブ
ル12を移動させるため,X軸送りサーボモータ18及
びZ軸送りサーボモータを駆動する(ステップ50)。
その結果,バイトTの刃先位置が基準刃先位置に一致す
る。
【0028】次いで,発光体2から光ビームをPSD7
面に向けて発する(ステップ51)。PSD7面上に結
像された光スポット位置を,図5で説明した光スポット
位置検出回路で検出する(ステップ52)。検出された
光スポット位置はNC装置5に入力され,第二メモリ3
3に予め記憶しておいた基準光スポット位置と合致する
か否か比較される(ステップ53)。両者が合致する場
合には補正の必要がないので処理を終了する。両者が合
致しない場合には,ズレの分だけ補正値を算出する(ス
テップ54)。そして,補正値だけ座標軸をずらす(ス
テップ55)と共に,補正値分だけX軸送りサーボモー
タ18及びZ軸送りサーボモータを駆動して刃物台テー
ブル12を移動させる(ステップ56)。また,検出し
た光スポット位置を新たな基準光スポット位置として第
二メモリに記憶させる(ステップ57)。このため,N
C工作機械の運転途中において何度でも補正することが
できる。このようにして切削工具刃先位置の座標補正が
終了する。
【0029】上記の座標補正のステップを別の角度から
説明すると以下の通りである。図10,図11及び図1
2はNC装置が切削工具刃先位置を移動させて,座標補
正を行う処理ステップを示す説明図である。図10は座
標補正前の位置関係,即ち,熱等の影響によって主軸台
11と刃物台テーブル12との間隔が変化した時の主軸
台11とバイトTの位置関係を示している。図11は刃
先検出装置を用いてバイトの刃先位置の補正を行った状
態を示しており,図12はPSD光スポット位置検出装
置1を用いて刃物台テーブル12の移動を行うと同時に
NC工作機械の座標軸の補正を行った状態を示してい
る。図中の記号について説明をすると,Y,Zは補正前
の座標軸,Y2 ,Z2 は補正後の座標軸,s0 は基準主
軸台位置,t0 は基準刃先位置,t1 は経時変位後のバ
イトTの刃先位置,及びsは経時変位後の主軸台位置を
示している。
【0030】NC工作機械を運転開始する前の状態にお
いては,主軸台11は基準主軸台位置s0 にあり,刃物
台テーブル12にセットしたバイトTの刃先位置は基準
刃先位置t0 にあったが,熱の影響によって主軸台11
と刃物台テーブル12との間隔が変化して,バイトTの
刃先位置t1 に移動し,主軸台11の位置はsに移動し
たとする(図10参照)。
【0031】そこで,最初に,CCDカメラ3によって
バイトTの刃先位置を補正する(図11参照)。この補
正は図9で詳しく説明したステップ47〜ステップ50
によって行われる。即ち,工作物を切削加工する前に,
使用しようとするバイトTの刃先をCCDカメラ3に写
して画像情報として記憶しているので,CCDカメラ3
はNC工作機械の座標軸を取り込んでおり,この座標軸
から刃先がズレている場合,バイト刃先位置の数値を演
算し,補正値を算出する。NC装置はこの補正値に相当
する距離だけ刃物台テーブル12を移動させるため,X
軸送りサーボモータ18及びZ軸送りサーボモータを駆
動する。その結果,バイトTの刃先位置t1 がCCDカ
メラ3が取り込んでいるNC工作機械の座標軸上の基準
刃先位置t0 に一致する。
【0032】次に,刃物台テーブル12の移動を行うと
同時にNC工作機械の座標軸の補正を行う(図12参
照)。この補正は図9で詳しく説明したステップ51〜
ステップ57によって行われる。即ち,カバー20から
測った主軸台11のX軸方向及びZ軸方向の変位に相当
する距離だけ刃物台テーブル12を移動させるため,X
軸送りサーボモータ18及びZ軸送りサーボモータを駆
動する。それと同時に,NC工作機械の座標軸もY2
2 に補正する。その結果,主軸台11と刃物台テーブ
ル12との位置関係が補正され,NC工作機械の座標軸
に主軸台11と刃物台テーブル12の正確な座標設定が
行われる。
【0033】
【発明の効果】この発明によるNC工作機械における刃
先の経時変位補正装置は,上記のように構成されている
ので,主軸台に取り付けられた発光体から発する光ビー
ムをPSD面上に結像させ,光スポット位置を測定する
ことで主軸台のNC工作機械座標上の変位が検出でき
る。また,NC装置にて該変位に相当する距離だけ刃物
台テーブルを移動させ且つNC工作機械の座標設定を平
行移動させることによって,自動的に主軸台と刃物台テ
ーブル間の正確な座標設定を行うことができる。従っ
て,刃物台と主軸台間の熱による剛体の熱膨張又は熱収
縮に起因する座標軸の変位を考慮して,切削工具の刃先
を自動的に補正することができるので,NC工作機械に
おける工作物に対する加工精度を大幅に向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるNC工作機械における刃先の経
時変位補正装置を組み込むことのできるNC工作機械の
一実施例を示す斜視図である。
【図2】NC工作機械の一部を示す概略正面図である。
【図3】NC工作機械の一部を示す正面説明図である。
【図4】NC工作機械の一部を示す平面説明図である。
【図5】PSDによる光スポット位置検出回路図であ
る。
【図6】この発明によるNC工作機械における経時変位
補正装置の一実施例を示すブロック図である。
【図7】刃物台テーブルの初期位置を記憶するステップ
であり,刃先形状を記憶する処理ステップを示すフロー
チャートである。
【図8】主軸台の初期位置を記憶するステップであり,
基準光スポット位置を記憶する処理ステップを示すフロ
ーチャートである。
【図9】切削工具の刃先位置の座標補正を行う処理ステ
ップを示すフローチャートである。
【図10】補正前の位置関係,即ち熱の影響によって主
軸台と刃物台テーブルとの間隔が変化した時のバイトと
主軸台の位置関係を示す説明図である。
【図11】刃先検出装置による補正を行った状態を示す
説明図である。
【図12】刃物台テーブルの移動を行うと同時にNC工
作機械の座標軸の補正を行った状態を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 PSD光スポット位置検出装置(光スポット位置
検出装置) 2 発光体 3 CCDカメラ(刃先検出装置) 4 検出装置 5 NC装置 11 主軸台 12 刃物台テーブル 18 X軸送りサーボモータ 20 カバー(固定部) 30 第一メモリ 31 画像比較手段 32 刃先位置補正値算出手段 33 第二メモリ 34 光スポット位置比較手段 35 座標補正値算出手段 36 メモリ修正手段 37 サーボモータ制御手段

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工作物を支持する主軸台と前記工作物に
    対向して配置された刃物台に設置された切削工具の刃先
    との熱等に起因して生じた相対位置関係の経時変位を変
    位情報として非接触状態で検出する位置検出装置と,前
    記変位情報に基づいて座標設定位置前記切削工具の
    刃先との相対位置の補正を行うNC装置とを有し,前
    記位置検出装置は,前記主軸台に設置した光ビームを発
    する発光体と,前記主軸台と前記刃物台とから離れた熱
    影響の少ない固定部に前記切削工具の刃先に対応した部
    位に設置され且つ前記発光体からの光ビームを受光して
    光スポット位置を計測する光スポット位置検出装置と,
    前記固定部に設置し且つ前記切削工具の刃先形状と刃先
    位置を画像情報として非接触状態で検出する刃先検出装
    置とを有することから成るNC工作機械における刃先の
    経時変位補正装置。
  2. 【請求項2】 前記固定部は,前記主軸台と前記刃物台
    とを有するNC工作機械の加工部を覆うカバーに設けら
    れていることから成る請求項1に記載のNC工作機械に
    おける刃先の経時変位補正装置。
  3. 【請求項3】 前記NC装置は,前記位置検出装置が出
    力する前記主軸台と前記刃物台との相対位置の経時変位
    から前記切削工具の刃先位置の補正値を算出する刃先位
    置補正値算出手段,及び前記補正値に基づいてサーボモ
    ータを駆動するサーボモータ制御手段を有することから
    成る請求項1に記載のNC工作機械における刃先の経時
    変位補正装置。
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