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JP3190518B2 - 半導体装置作製方法 - Google Patents

半導体装置作製方法

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Publication number
JP3190518B2
JP3190518B2 JP13141494A JP13141494A JP3190518B2 JP 3190518 B2 JP3190518 B2 JP 3190518B2 JP 13141494 A JP13141494 A JP 13141494A JP 13141494 A JP13141494 A JP 13141494A JP 3190518 B2 JP3190518 B2 JP 3190518B2
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JP
Japan
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film
region
silicon
substrate
nickel
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JP13141494A
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宏勇 張
徹 高山
保彦 竹村
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Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
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Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
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Publication date
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  • Thin Film Transistor (AREA)
  • Recrystallisation Techniques (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス等の絶縁基板上
に設けられたTFT(薄膜トランジスタ)を有する半導
体装置及びその作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガラス等の絶縁基板上にTFTを有する
半導体装置としては、これらのTFTを画素の駆動に用
いるアクティブ型液晶表示装置やイメージセンサー等が
知られている。
【0003】これらの装置に用いられるTFTには、薄
膜状の珪素半導体を用いるのが一般的である。薄膜状の
珪素半導体としては、非晶質珪素半導体(a−Si)か
らなるものと結晶性を有する珪素半導体からなるものの
2つに大別される。非晶質珪素半導体は作製温度が低
く、気相法で比較的容易に作製することが可能で量産性
に富むため、最も一般的に用いられているが、導電率等
の物性が結晶性を有する珪素半導体に比べて劣るため、
今後より高速特性を得る為には、結晶性を有する珪素半
導体からなるTFTの作製方法の確立が強く求められて
いた。尚、結晶性を有する珪素半導体としては、多結晶
珪素、微結晶珪素、結晶成分を含む非晶質珪素、結晶性
と非晶質性の中間の状態を有するセミアモルファス珪素
等が知られている。
【0004】これら結晶性を有する薄膜状の珪素半導体
を得る方法としては、 (1)成膜時に結晶性を有する膜を直接成膜する。 (2)非晶質の半導体膜を成膜しておき、レーザー光の
エネルギーにより結晶性を有せしめる。 (3)非晶質の半導体膜を成膜しておき、熱エネルギー
を加えることにより結晶性を有せしめる。 と言った方法が知られている。しかしながら、(1)の
方法は良好な半導体物性を有する膜を基板上に全面に渡
って均一に成膜することが技術上困難であり、また成膜
温度が600℃以上と高いので、安価なガラス基板が使
用できないというコストの問題もあった。また、(2)
の方法は、現在最も一般的に使用されているエキシマレ
ーザーを例にとると、レーザー光の照射面積が小さいた
め、スループットが低いという問題がまずあり、また大
面積基板の全面を均一に処理するにはレーザーの安定性
が充分ではなく、次世代の技術という感が強い。(3)
の方法は、(1)、(2)の方法と比較すると大面積に
対応できるという利点はあるが、やはり加熱温度として
600℃以上の高温にすることが必要であり、安価なガ
ラス基板を用いることを考えると、さらに加熱温度を下
げる必要がある。特に現在の液晶表示装置の場合には大
画面化が進んでおり、その為ガラス基板も同様に大型の
物を使用する必要がある。この様に大型のガラス基板を
使用する場合には、半導体作製に必要不可欠な加熱工程
における縮みや歪みといったものが、マスク合わせ等の
精度を下げ、大きな問題点となっている。特に現在最も
一般的に使用されている7059ガラスの場合には、歪
み点が593℃であり、従来の加熱結晶化方法では大き
な変形を起こしてしまう。また、温度の問題以外にも現
在のプロセスでは結晶化に要する加熱時間が数十時間以
上にも及ぶので、さらにその時間を短くすることも必要
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決する手段を提供するものである。より具体的には
非晶質珪素からなる薄膜を加熱により結晶化させる方法
を用いた、結晶性を有する珪素半導体からなる薄膜の作
製方法において、結晶化に必要な温度の低温化と時間の
短縮を両立するプロセスを提供することをその目的とす
る。勿論、本発明で提供されるプロセスを用いて作製し
た結晶性を有する珪素半導体は、従来技術で作製された
ものと同等以上の物性を有し、TFTの活性層領域にも
使用可能なものであることは言うまでもないことであ
る。
【0006】〔発明の背景〕本発明人らは、上記従来の
技術の項で述べた、非晶質の珪素半導体膜をCVD法や
スパッタ法で成膜し、該膜を加熱によって結晶化させる
方法について、以下のような実験及び考察を行った。
【0007】まず実験事実として、ガラス基板上に非晶
質珪素膜を成膜し、この膜を加熱により結晶化させるメ
カニズムを調べると、結晶成長はガラス基板と非晶質珪
素との界面から始まり、ある程度の膜厚以上では基板表
面に対して垂直な柱状に進行することが認められた。
【0008】上記現象は、ガラス基板と非晶質珪素膜と
の界面に、結晶成長の基となる結晶核(結晶成長の基と
なる種)が存在しており、その核から結晶が成長してい
くことに起因すると考察される。このような結晶核は、
基板表面に微量に存在している不純物金属元素やガラス
表面の結晶成分(結晶化ガラスと呼ばれるように、ガラ
ス基板表面には酸化珪素の結晶成分が存在していると考
えられる)であると考えられる。
【0009】そこで、より積極的に結晶核を導入するこ
とによって結晶化温度の低温化が可能ではないかと考
え、その効果を確認すべく、他の金属を微量に基板上に
成膜し、その上に非晶質珪素からなる薄膜を成膜、その
後加熱結晶化を行う実験を試みた。その結果、幾つかの
金属を基板上に成膜した場合においては結晶化温度の低
下が確認され、異物を結晶核とした結晶成長が起こって
いることが予想された。そこで低温化が可能であった複
数の不純物金属について更に詳しくそのメカニズムを調
査した。
【0010】結晶化は、初期の核生成と、その核からの
結晶成長の2段階に分けて考えることができる。ここ
で、初期の核生成の速度は、一定温度において点状に微
細な結晶が発生するまでの時間を測定することによって
観測されるが、この時間は上記不純物金属を成膜した薄
膜ではいずれの場合も短縮され、結晶核導入の結晶化温
度低温化に対する効果が確認された。しかも予想外のこ
とであるのだが、核生成後の結晶粒の成長を加熱時間を
変化させて調べたところ、ある種の金属を成膜後、その
上に成膜した非晶質珪素薄膜の結晶化においては、核生
成後の結晶成長の速度までが飛躍的に増大することが観
測された。このメカニズムは現状では明らかではない
が、なにがしかの触媒的な効果が作用しているものと推
測される。
【0011】いずれにしろ、上記2つの効果により、あ
る種の金属を微量に成膜した上に非晶質珪素からなる薄
膜を成膜、その後加熱結晶化した場合には、従来考えら
れなかったような、580℃以下の温度で4時間程度の
時間で十分な結晶性が得られることが判明した。この様
な効果を有する不純物金属の中で、最も効果が顕著であ
り、我々が選択した材料がニッケルである。なお、この
結晶化への触媒作用を有する金属元素としては、Fe、
Co、Pd、Ptを挙げることができる。
【0012】ニッケルがどの程度の効果を有するのか一
例を挙げると、なんら処理を行なわない、即ちニッケル
の微量な薄膜を成膜していない基板上(コーニング70
59ガラス)にプラズマCVD法で形成された非晶質珪
素からなる薄膜を窒素雰囲気中での加熱によって、結晶
化する場合、その加熱温度として600℃とした場合、
加熱時間として10時間以上の時間を必要としたが、ニ
ッケルの微量な薄膜を成膜した基板上の非晶質珪素から
なる薄膜を用いた場合には、4時間程度の加熱において
同様な結晶化状態を得るこができた。尚この際の結晶化
の判断はラマン分光スペクトルを利用した。このことだ
けからも、ニッケルの効果が非常に大きいことが判るで
あろう。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記説明から判る様に、
ニッケルの微量な薄膜を成膜した上から、非晶質珪素か
らなる薄膜を成膜した場合、結晶化温度の低温化及び結
晶化に要する時間の短縮が可能である。そこで、このプ
ロセスをTFTの製造に用いることを前提に、さらに詳
細な説明を加えていくことにする。尚、後ほど詳述する
が、ニッケルの薄膜は基板上のみならず非晶質珪素上に
成膜しても同様の効果を有すること、及びイオン注入で
も同様であったことから、今後本明細書ではこれら一連
の処理を「ニッケル微量添加」と呼ぶことにする。
【0014】まずニッケル微量添加の方法について説明
する。ニッケルの微量添加は、基板上に微量なニッケル
薄膜を成膜し、その後非晶質珪素を成膜する方法でも、
先に非晶質珪素を成膜し、その上から微量なニッケル薄
膜を成膜する方法でも、両者同様に低温化の効果が有
り、その成膜方法はスパッタ法でも、蒸着法でも、スピ
ンコーティング法でも、塗布法でも可能で、成膜方法は
問わないことが判明している。ただし、基板上に微量な
ニッケル薄膜を成膜する場合、7059ガラス基板の上
から直接微量なニッケル薄膜を成膜するよりは、同基板
上に酸化珪素の薄膜を成膜し、その上に微量なニッケル
薄膜を成膜した場合の方が効果がより顕著である。この
理由として考えられることとして、珪素とニッケルが直
接接触していることが今回の低温結晶化には重要であ
り、7059ガラスの場合には珪素以外の成分がこの両
者の接触あるいは反応を阻害するのではないかというこ
とが挙げられる。
【0015】また、微量添加の方法としては、非晶質珪
素の上または下に接して薄膜を形成する以外に、イオン
注入によってニッケルを添加してもほぼ同様の効果が確
認された。ニッケルの量については、1×1015ato
ms/cm3 以上の量の添加において低温化が確認され
ているが、1021atoms/cm3 atoms/cm3 以上の
添加量においては、ラマン分光スペクトルのピークの形
状が珪素単体の物とは明らかに異なることから、実際に
使用可能であるのは1×1015atoms/cm3 〜5
×1019atoms/cm3 の範囲であると思われる。
ニッケルの濃度が1×1015atoms/cm3 以下で
あると、ニッケル元素が局在し触媒としての機能が低下
する。また、ニッケルの濃度が5×1019atoms/
cm3 以上であると、NiSiの化合物となって半導体
特性が失われてしまう。そして、結晶化した状態におい
ては、ニッケルの濃度が少ない程、半導体としての使用
が可能である。以上のような考察から、半導体として、
TFTの活性層等に使用することを考えると、この量を
1×1015atoms/cm3 〜1×1019atoms
/cm3 に抑えることが必要である。
【0016】続いて、ニッケル微量添加を行った場合の
結晶形態について説明を加える。上述の通り、ニッケル
を添加しない場合には、基板界面等の結晶核からランダ
ムに核が発生し、その核からの結晶成長もまたある程度
の膜厚まではランダムに、さらに厚い薄膜については一
般的に(110)方向が基板に垂直方向に配列した柱状
の結晶成長が行われることが知られており、当然ながら
薄膜全体に渡ってほぼ均一な結晶成長が観測される。そ
れに対して、今回のニッケル微量添加したものについて
は、ニッケルを添加した領域と、その近傍の部分で結晶
成長が異なるという特徴を有していた。即ち、ニッケル
を添加した領域については、添加したニッケルあるいは
その珪素との化合物が結晶核となり、ニッケルを添加し
ていないものと同様に基板にほぼ垂直に柱状の結晶が成
長することが透過電子線顕微鏡写真より明らかとなっ
た。そして、その近傍のニッケルを微量添加していない
領域においてさえも低温での結晶化が確認され、その部
分は基板に垂直方向が(111)に配列し、基板と平行
に針状あるいは柱状結晶が成長するという特異な結晶成
長が観測された。この基板に平行な横方向の結晶成長
は、ニッケルを微量添加した領域から、大きいものでは
数百μmも成長することが観測され、時間の増加及び温
度が高くなるに比例して成長量も増大することも判っ
た。例として、550℃4時間においては約40μm程
度の成長が観測された。しかも、透過電子線顕微鏡写真
によると、この大きな横方向の結晶は、いずれも単結晶
ライクであることが判明している。そして、このニッケ
ル微量添加部分、その近傍の横成長部分、更に遠方の非
晶質部分( かなり離れた部分では低温結晶化は行われ
ず、非晶質部分が残る) について、ニッケルの濃度をS
IMS(二次イオン質量分析法)により調べた所、横成
長部分はニッケル微量添加部分部分から約1桁少ない量
が検出され、非晶質珪素内での拡散が観測されている。
また、非晶質部分は更に約1桁少ない量が観測された。
このことと結晶形態との関係は現状では明らかではない
が、いずれにしろニッケル添加量とその位置制御によっ
て、所望の部分に所望の結晶形態の結晶性を有するシリ
コン薄膜を形成することが可能である。
【0017】次に、上記ニッケル微量添加部分とその近
傍の横成長部分についての電気特性を説明する。ニッケ
ル微量添加部分の電気特性は、導電率に関してはほぼニ
ッケルを添加していない膜、即ち600℃程度で数十時
間結晶化を行ったものと同程度の値であり、また導電率
の温度依存性から活性化エネルギーを求めたところ、ニ
ッケルの添加量を1017atoms/cm3 〜1018
toms/cm3 程度とした場合には、ニッケルの準位
に起因すると思われる様な挙動は観測されなかった。即
ち、この事実に限るならば、結晶性珪素半導体膜中のニ
ッケルの濃度が、1018atoms/cm3 以下である
場合には、この膜を用いて半導体装置、例えばTFTを
作製しても不都合はないということが分かる。
【0018】それに対し、横成長部分は、導電率がニッ
ケル微量添加部分と比較して1桁以上高く、結晶性を有
する珪素半導体としてはかなり高い値を有していた。こ
のことは、電流のパス方向が結晶の横成長方向と合致し
たため、電極間で電子が通過する間に存在する粒界が少
ないあるいは殆ど無かったことによるものと考えられ、
透過電子線顕微鏡写真の結果と矛盾無く一致する。
【0019】しかし、上記結晶の横方向成長部分を透過
電子線顕微鏡写真により詳細に観察すると、針状あるい
は柱状結晶の結晶方向が基板表面に対しては平行な方向
であっても、基板上方から見ると、枝状に成長する部分
が観察された。即ち、平均すると、針状あるいは柱状結
晶が同一方向に成長しているのだが、一部の結晶は斜め
方向に枝分かれして成長している様子が観察された。
【0020】上記観察結果を考察した結果、本発明者ら
は以下のような結論に至った。基板中さらには基板と半
導体膜との界面近傍に存在している基板材料の結晶成分
や半導体膜中の結晶成分は、結晶成長の核となり得る
が、上記のような横方向成長においては、一様な方向へ
の結晶成長を阻害し、ランダムな結晶成長を助長してし
まう。
【0021】そこで、本発明においては、結晶成長を行
う領域の基板と非晶質珪素半導体膜(非晶質といっても
程度の問題として結晶成分は存在する)との界面および
その近傍の結晶成分を不活性な元素のイオン注入によっ
て、極力取り除き徹底的に非晶質化する。そして、結晶
核となるべき成分が無い状態において、横方向(基板表
面に平行な方向)に結晶成長を行わせることによって、
全体的に結晶の成長方向がそろった針状または柱状の結
晶成長を行わすことを要旨とする。特に不活性なイオン
の注入を基板内を中心に行うことによって、基板表面近
傍(基板表面に下地膜が形成されている場合には、その
下地膜表面を基板表面とみなす)、さらには基板と半導
体膜との界面、さらには半導体膜そのものを徹底的に非
晶質化し、結晶化の際に核となりうる結晶性を有する成
分を極力除去することを特徴とする。
【0022】このようにして選択的に結晶化をおこなわ
せしめて、結晶性珪素膜を得ることができるが、このよ
うな結晶性珪素膜の特性をより向上せしめんとすれば、
結晶化工程の後に、レーザーもしくはそれと同等な強光
を照射することによって、粒界等に残存する結晶化の不
十分な成分を結晶化させてやればよい。この工程におい
ては、残っていた非晶質成分は先の加熱工程によって形
成された結晶を核として結晶成長し、粒界が消滅してし
まうのでより高い特性を得ることができる。
【0023】以下に実施例を示しより詳細に本発明の説
明を加えることとする。
【0024】
【実施例】
〔実施例1〕本実施例は、ガラス基板上に結晶シリコン
を用いたPチャネル型TFT(PTFTという)とNチ
ャネル型TFT(NTFTという)とを相補型に組み合
わせた回路を形成する例である。本実施例の構成は、ア
クティブ型の液晶表示装置の周辺ドライバー回路やイメ
ージセンサーに利用することができる。
【0025】図1に本実施例の作製工程の断面図を示
す。まず、基板(コーニング7059)101上にスパ
ッタリング法によって、厚さ2000Åの酸化珪素の下
地膜102を形成する。つぎにマスクとなる酸化珪素膜
103を設ける。この酸化珪素膜103は、スリット状
に下地膜102を露呈させるもので、1000Å以上の
厚さが必要である。また、このマクス103にゲッタリ
ング効果を有する材料、例えばリンや塩素等を添加する
ことも有用である。この状態を上面から見ると、スリッ
ト状に下地膜102は露呈しており、他ぼ部分はマスク
されている状態となっている。
【0026】上記酸化珪素膜103を設けた後、スパッ
タリング法によって、厚さ5〜200Å、例えば20Å
の珪化ニッケル膜(化学式NiSix 、0.4≦x≦
2.5、例えば、x=2.0)98を100の領域に選
択的に成膜する。即ち、100で示される領域に選択的
にニッケル微量添加を行う。(図1(A))
【0027】つぎに、マスクである酸化珪素膜103を
取り除き、プラズマCVD法によって、厚さ500〜1
500Å、例えば1000Åの真性(I型)の非晶質珪
素膜104を成膜する。この非晶質珪素膜104は、結
晶性を有している膜でもよい。即ち、非単結晶珪素膜で
あればよい。さらに保護膜となる酸化珪素膜99を10
0〜1000Åの厚さに成膜する。この酸化珪素膜は、
後のイオン注入時において、珪素膜104の表面がダメ
ージを受けることを防ぐために設けられるものである。
【0028】そして、この珪素膜104に対して、不活
性な元素である珪素イオンの注入を全面に行う。この珪
素イオンの注入は、一様な方向への結晶成長を後の熱ア
ニール工程において行わすために、予め存在する基板
(ここでは下地膜102も含めて基板と考える)と非晶
質珪素半導体膜との界面における結晶成分(基板中の酸
化珪素結晶成分や非晶質半導体膜中の結晶成分)を除去
するためのものである。
【0029】この珪素イオンの注入は、図5に示すよう
なドース量で注入されるように条件を設定する。図5に
おいて、点線で示す部分が、下地膜102と非晶質珪素
膜104との界面部分になる。そして、そのドーズ量の
最大値は、基板側にあって、5×1014cm-2とした。
また、この珪素イオンの注入時には、下地膜102(こ
こでは下地膜102が基板表面を構成すると考える)と
非晶質珪素膜104との界面を中心に、非晶質珪素膜1
04そのもの、非晶質珪素膜104と酸化珪素膜99と
の界面およびその近傍が非晶質化される。なお珪素イオ
ンのドーズ量は、1×1014〜9×1016cm-2とする
ことが好ましい。
【0030】この珪素イオンの注入工程において、非晶
質珪素膜表面は、酸化珪素膜99で覆われているので、
加速イオンのダメージを受けるのを低減することができ
る。また、ニッケル微量添加が行われた100の領域に
珪素イオンが注入されることを防ぐために、この領域上
にマスクを形成することも有用である。これは、イオン
注入時にニッケル元素の不要な拡散を防ぐためである。
【0031】そして、酸化珪素珪素膜99を取り除き、
水素還元雰囲気下(好ましくは、水素の分圧が0.1〜
1気圧)または窒素雰囲気化(大気圧)において、55
0℃で4時間アニールして非晶質珪素膜104を結晶化
させる。この際、珪化ニッケル膜が選択的に成膜された
100の領域においては、基板101に対して垂直方向
に珪素膜104の結晶化が起こる。そして、領域100
以外の領域では、矢印105で示すように、領域100
から横方向(基板と平行な方向)に結晶成長が行われ
る。こ結晶化の温度は、450℃〜700℃の範囲にお
いて可能であるが、高いと従来の場合のようにガラス基
板の耐熱性の問題が生じる。
【0032】この横方向の結晶成長が行われる領域にお
いて、下地膜102と珪素膜104との界面及びその近
傍、さらには非晶質珪素膜そのものが、徹底的に非晶質
化されているので、矢印105で示す結晶化の際に、そ
の結晶化の方向を乱す原因となる結晶成分が存在せず、
一様な横方向成長を行わすことができる。
【0033】上記工程の結果、非晶質珪素膜を結晶化さ
せて、結晶性珪素膜104を得ることができる。その
後、パターニングにより素子間分離を行い、さらにスパ
ッタリング法によって厚さ1000Åの酸化珪素膜10
6をゲイト絶縁膜として成膜する。スパッタリングに
は、ターゲットとして酸化珪素を用い、スパッタリング
時の基板温度は200〜400℃、例えば350℃、ス
パッタリング雰囲気は酸素とアルゴンで、アルゴン/酸
素=0〜0.5、例えば0.1以下とした。引き続い
て、スパッタリング法によって、厚さ6000〜800
0Å、例えば6000Åのアルミニウム(0.1〜2%
のシリコンを含む)を成膜する。なお、この酸化珪素膜
106とアルミニウム膜の成膜工程は連続的に行うこと
が望ましい。
【0034】そして、シリコン膜をパターニングして、
ゲイト電極107、109を形成する。さらに、このア
ルミニウムの電極の表面を陽極酸化して、表面に酸化物
層108、110を形成する。この陽極酸化は、酒石酸
が1〜5%含まれたエチレングリコール溶液中で行っ
た。得られた酸化物層108、110の厚さは2000
Åである。なお、この酸化物108と110とは、後の
イオンドーピング工程において、オフセットゲイト領域
を形成する厚さとなるので、オフセットゲイト領域の長
さを上記陽極酸化工程で決めることができる。
【0035】次に、イオンドーピング法によって、結晶
性珪素膜の領域にゲイト電極107とその周囲の酸化層
108、ゲイト電極109とその周囲の酸化層110を
マスクとして不純物(燐およびホウ素)を注入する。ド
ーピングガスとして、フォスフィン(PH3 )およびジ
ボラン(B26 )を用い、前者の場合は、加速電圧を
60〜90kV、例えば80kV、後者の場合は、40
〜80kV、例えば65kVとした。ドース量は1×1
15〜8×1015cm-2、例えば、燐を2×1015cm
-2、ホウ素を5×1015とした。ドーピングに際して
は、一方の領域をフォトレジストで覆うことによって、
それぞれの元素を選択的にドーピングした。この結果、
N型の不純物領域114と116、P型の不純物領域1
11と113が形成され、Pチャネル型TFT(PTF
T)の領域とNチャネル型TFT(NTFT)との領域
を形成することができた。
【0036】その後、レーザー光の照射によってアニー
ル行った。レーザー光としては、KrFエキシマレーザ
ー(波長248nm、パルス幅20nsec)を用いた
が、他のレーザーであってもよい。レーザー光の照射条
件は、エネルギー密度が200〜400mJ/cm2
例えば250mJ/cm2 とし、一か所につき2〜10
ショット、例えば2ショット照射した。このレーザー光
の照射時に基板を200〜450℃程度に加熱すること
は有用である。このレーザアニール工程において、先に
結晶化された領域にはニッケルが拡散しているので、こ
のレーザー光の照射によって、再結晶化が容易に進行
し、P型を付与する不純物がドープされた不純物領域1
11と113、さらにはNを付与する不純物がドープさ
れた不純物領域114と116は、容易に活性化させる
ことができた。
【0037】続いて、厚さ6000Åの酸化珪素膜11
8を層間絶縁物としてプラズマCVD法によって形成
し、これにコンタクトホールを形成して、金属材料、例
えば、窒化チタンとアルミニウムの多層膜によってTF
Tの電極・配線117、120、119を形成した。最
後に、1気圧の水素雰囲気で350℃、30分のアニー
ルをおこなった。以上の工程によって半導体回路が完成
した。(図1(D))
【0038】上記に示す回路は、PTFTとNTFTと
を相補型に設けたCMOS構造であるが、上記工程にお
いて、2つのTFTを同時に作り、中央で切断すること
により、独立したTFTを2つ同時に作製することも可
能である。
【0039】図2に、図1(D)を上面から見た概要を
示す。図2におけるNi添加領域が図1(A)で示され
る領域100の部分になる。横方向の結晶化は、Ni添
加領域から、矢印で示されるように基板に平行な方向に
概略そろった状態で行われる。そして、ソース/ドレイ
ン間を移動するキャリアの移動方向に針状あるいは柱状
に結晶が成長しているので、キャリアが移動する際に粒
界を横切ることが少なく、高移動度のTFTを得ること
ができる。
【0040】例えば、図1(B)の工程における珪素イ
オンの注入を行わずに、結晶化を行った場合のTFTの
移動度は、PTFTで50〜60cm2 /Vsであった
ものが、本実施例において作製したPTFTでは、90
〜120cm2 /Vsと高移動度を得ることができた。
また、NTFTの場合も、珪素のイオン注入を行わない
場合には、その移動度が80〜100cm2 /Vsであ
ったものを、本実施例においては、150〜180cm
2 /Vsを得ることができた。
【0041】本実施例においては、Niを導入する方法
として、非晶質珪素膜104下の下地膜102上に選択
的にNiを薄膜(極めて薄いので、膜として観察するこ
とは困難である)として形成し、この部分から結晶成長
を行わす方法を採用したが、アモルファスシリコン膜1
04を形成後に、選択的に珪化ニッケル膜を成膜する方
法でもよい。即ち、結晶成長はアモルファスシリコン膜
の上面から行ってもよいし、下面から行ってもよい。ま
た、予めアモルファスシリコンを成膜し、さらにイオン
ドーピング法を用いて、ニッケルイオンをアモルファス
シリコン膜104に選択的に注入する方法を採用しても
よい。この場合は、ニッケル元素の濃度を制御すること
ができるという特徴を有する。さらに、プラズマ処理に
よりニッケル微量添加を行うことも可能である。このプ
ラズマ処理によってニッケル元素を導入する場合には、
ニッケル微量添加を行おうとする半導体膜(例えば非晶
質珪素膜104)の下地(例えば下地酸化珪素膜10
2)上面か、半導体膜上面に対して行えばよい。またニ
ッケルの他にFe、Co、Pd、Ptを結晶化のための
触媒材料として用いた場合でも、同様な工程によって、
TFTを作製することができる。
【0042】〔実施例2〕本実施例は、アクティブ型の
液晶表示装置において、Nチャネル型TFTをスイッチ
ング素子として各画素に設けた例である。以下において
は、一つの画素について説明するが、他に多数(一般に
は数十万)の画素が同様な構造で形成される。
【0043】本実施例の作製工程の概略を図3に示す。
本実施例において、基板201としてはコーニング70
59ガラス基板を使用した。まずガラス基板201上に
下地膜202(酸化珪素)をスパッタ法で形成する。そ
してマスクとなる1000Å厚の酸化珪素膜203を形
成する。この酸化珪素膜は、204の領域で下地膜20
2を露呈するマスクとして機能する。この後珪化ニッケ
ル膜を成膜する。この珪化ニッケル膜は、スパッタリン
グ法によって、厚さ5〜200Å、例えば20Åの厚さ
に形成する。この珪化ニッケル膜は、化学式NiS
x 、0.4≦x≦2.5、例えば、x=2.0で示さ
れる。
【0044】この後、マスクである酸化珪素膜203を
除去した後、LPCVD法もしくはプラズマCVD法で
非晶質珪素膜205(厚さ300〜1500Å)を形成
し、さらに酸化珪素の保護膜200を500Åの厚さに
形成する。(図3(B))
【0045】そして、実施例1と同様な珪素イオンの注
入工程を経て、加熱アニールによって結晶化を行った。
このアニール工程は、水素還元雰囲気下(好ましくは、
水素の分圧が0.1〜1気圧)、550℃で4時間行っ
た。この際、非晶質珪素膜205下の一部の領域には、
珪化ニッケル膜が成膜されているので、その部分では基
板に対し垂直方向に、他の部分では基板に対して平行な
方向に結晶成長が起こり、結晶性珪素膜を得ることがで
きる。
【0046】そして、この結晶性珪素よりなる半導体領
域(204で示される部分)をパターニングして島状の
半導体領域(TFTの活性層)を形成する。さらにテト
ラ・エトキシ・シラン(TEOS)を原料として、酸素
雰囲気中のプラズマCVD法によって、酸化珪素のゲイ
ト絶縁膜(厚さ700〜1200Å、ここでは1000
Å)206を形成する。
【0047】次に、シリコンのゲイト電極207を形成
する。その後、N型の不純物として、燐をイオンドーピ
ング法で結晶性珪素膜に自己整合的に注入し、TFTの
ソース/ドレイン208、209を形成する。さらに、
図3(C)に矢印で示すように、これにKrFレーザー
光を照射して、このイオンドーピングのために結晶性の
劣化したシリコン膜の結晶性を改善せしめる。このとき
にはレーザー光のエネルギー密度は250〜300mJ
/cm2 と設定する。このレーザー照射によって、この
TFTのソース/ドレインのシート抵抗は300〜80
0Ω/cm2 となる。
【0048】その後、酸化珪素によって層間絶縁物21
1を形成し、さらに、画素電極212をITOによって
形成する。そして、コンタクトホールを形成して、TF
Tのソース/ドレイン領域にクロム/アルミニウム多層
膜で電極213、214を形成し、このうち一方の電極
214はITOにも接続するようにする。クロム/アル
ミニウム多層膜は、下層にクロム膜20〜200nm、
典型的には100nm、上層にアルミニウム膜100〜
2000nm、典型的には500nmが成膜されてでき
ている。これらは連続的にスパッタ法にて形成すること
が望まれる。最後に、水素中で200〜300℃で2時
間アニールして、シリコンの水素化を完了する。このよ
うにして、TFTが完成させる。そして、同時に作製し
た多数のTFTをマトリクス状に配列せしめてアクティ
ブマトリクス型液晶表示装置とする。
【0049】また、本実施例のTFTの概略を上面かた
見た図を図4に示す。図4には、TFT部分とニッケル
微量添加が行われた領域204とが示されている。図4
には、ソース/ドレイン領域208、210とチャネル
形成領域209、チャネル形成領域上方のゲイト電極2
07が示されている。熱アニールによる結晶化において
は、ニッケルが選択的に導入された領域204から、矢
印に示すように、基板に平行な方向にその成長方向がそ
ろった結晶成長が起こる。そしてこの基板に平行な方向
に結晶成長した結晶性珪素膜を用いて、ソース/ドレイ
ン領域208、210とチャネル形成領域209とが構
成される。TFTの動作時においては、キャリアはチャ
ネル形成領域、即ち領域208と210との間を移動す
るので、結晶成長方向がそろった結晶性珪素膜中におい
て、キャリアは粒界の影響をほとんど受けずに移動する
ことができる。即ち、高移動度を得ることができる。ま
た、横方向への結晶成長は40μm程度行われるので、
活性層の長さを40μm以下の長さとすることが好まし
い。またニッケル微量添加領域204がドレイン/ソー
ス領域210と重なってしまってもよい。ただし、チャ
ネル形成領域209とニッケル微量添加領域204とが
重なると、チャネル形成領域209において、結晶成長
の方向が基板に対して垂直方向となるので、注意が必要
である。
【0050】以上の実施例においては、結晶成長方向に
平行な方向にキャリアが流れるように、TFTを形成し
たが、このTFT内のキャリアの流れる方向と、結晶成
長方向とを適当に定めることにより、TFTの特性を制
御することができる。即ち、TFT内においてキャリア
の流れる方向(ソースとドレインを結ぶ線の方向)と、
結の晶成長方向との成す角度によって、キャリアが粒界
を横切る割合を制御することができるので、この角度を
制御することによって、キャリアが移動に際して受ける
抵抗をある程度制御することができる。
【0051】〔実施例3〕本実施例は、選択的に珪素イ
オンの注入を行うことにより、珪素イオンが打ち込まれ
なかった領域を選択的に結晶成分を有する珪素膜として
残し、この領域から珪素イオンが打ち込まれ非晶質化さ
れた領域へ横方向の結晶成長を行う例である。
【0052】例えば図1に示す作製工程において、実施
例1と同様に100の領域に選択的にニッケル微量添加
を行い、さらに(B)の工程において、100の領域を
レジストによってマスクし、珪素イオンの注入を行う。
この際、珪素膜104を結晶性を有する膜として形成し
ておくとよい。すると、加熱による結晶化の際、100
の領域上の珪素膜104から、その周囲(珪素イオンが
注入されなかった領域)に矢印105で示すような結晶
成長を生じさせることができる。
【0053】また、ニッケル微量添加を珪素膜104全
体に行っても同様な効果を得ることができる。ただしこ
の場合、ニッケルを触媒とした基板101に対する垂直
方向への結晶成長も同時に起こる。
【0054】〔実施例4〕 図6に本実施例を示す。ガ
ラス基板601上に、厚さ1000〜5000Å、例え
ば、2000Åの酸化珪素膜602を形成した後、厚さ
300〜1500Å、例えば、500Åの非晶質珪素膜
603をプラズマCVD法によって形成した。さらに、
その上に、500〜1500Å、例えば、500Åの酸
化珪素膜604を形成した。これらの成膜は連続的にお
こなうことが望ましい。そして、酸化珪素膜604を選
択的にエッチングして、ニッケルを導入する窓605を
開けた。窓605はTFTのチャネルとなるべき部分を
避けて形成した。そして、スピンコーティング法によっ
てニッケル塩の膜607を形成した。この方法について
説明すると、まず、酢酸ニッケルもしくは硝酸ニッケル
を水もしくはエタノールによって希釈化して、25〜2
00ppm、例えば、100ppmの濃度にした。
【0055】一方、基板を過酸化水素水もしくは過酸化
水素水とアンモニアの混合溶液に浸漬して、極めて薄い
酸化珪素膜を非晶質珪素膜の露出した部分(窓605の
領域)に形成した。これは、上記のように調製したニッ
ケル溶液と非晶質珪素膜の界面親和性を向上させるため
である。このような処理をほどこした基板をスピナーに
設置し、緩やかに回転させ、基板上にニッケル溶液を1
〜10ml、例えば、2ml滴下し、基板全面に溶液を
拡げた。この状態を1〜10分、例えば、5分保持し
た。その後、基板の回転数を上げてスピンドライをおこ
なった。この操作はさらに複数回繰り返してもよい。こ
のようにしてニッケル塩の薄い膜607を形成した。
(図6(A))
【0056】そして、イオン注入法によって、珪素イオ
ンの注入をおこなった。この際には窓605の部分以
外、すなわち、酸化珪素膜604で覆われた領域におい
ては、珪素イオンが下地の酸化珪素膜602と非晶質珪
素膜603の界面に最も多くのイオンが注入されるよう
におこなった。なお、この際、窓605の領域では、酸
化珪素膜604が存在しないため、珪素イオンはより深
く注入される。その後、加熱炉において、520〜58
0℃、4〜12時間、例えば、550℃で8時間の加熱
処理をおこなった。雰囲気は窒素とした。この結果、ま
ず、窓605の直下の領域にニッケルが拡散し、この領
域から結晶化が始まった。そして、結晶化領域は矢印6
08に示すように、その周囲に拡がっていった。(図6
(B))
【0057】その後、大気もしくは酸素雰囲気におい
て、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)もし
くはXeClエキシマレーザー光(波長308nm)を
1〜20ショット、例えば、5ショット照射して、さら
に結晶性を向上せしめた。エネルギー密度は200〜3
50mJ/cm2 、基板温度は200〜400℃とし
た。(図6(C))
【0058】その後、珪素膜603をエッチングして、
TFTの領域を形成した。そして、全面に厚さ1000
〜1500Å、例えば、1200Åの酸化珪素膜609
を形成し、実施例1の場合と同様にアルミニウムによっ
てPTFTのゲイト電極610、およびNTFTのゲイ
ト電極613、ならびに、それぞれの陽極酸化膜61
2、614によってゲイト電極部を形成した。
【0059】そして、これらゲイト電極部をマスクとし
て、実施例1と同様にN型およびP型の不純物をイオン
ドーピング法によって珪素膜中に注入した。この結果、
PTFTのソース615、チャネル616、ドレイン6
17、周辺回路のNTFTのソース620、チャネル6
19、ドレイン618が形成された。その後、実施例1
と同様に全面にレーザー照射をおこなって、ドーピング
された不純物の活性化をおこなった。(図6(D))
【0060】その後、層間絶縁物として厚さ3000〜
8000Å、例えば、5000Åの酸化珪素膜621を
形成した。この後、TFTのソース/ドレインにコンタ
クトホールを形成し、さらに、スパッタリング法によっ
て、窒化チタン(厚さ1000Å)とアルミニウム(厚
さ5000Å)の2層膜を堆積して、これをパターニン
グ・エッチングして、電極・配線622〜624を形成
した。このようにして、横方向に成長した結晶性珪素に
よってPTFTとNTFTからなるインバータ回路を形
成することができた。(図6(E))
【0061】本実施例では図6(C)にあるように、レ
ーザー照射をおこなう。この工程では、針状に成長した
珪素結晶間に残った非晶質成分まで結晶化され、しか
も、この結晶化は針状結晶を核として、針状結晶を太く
するように結晶化する。このことは電流の流れる領域を
拡げることとなり、より大きなドレイン電流を流すこと
ができる。この様子を図7に示す。図7は結晶化した珪
素膜を薄膜化して透過型電子顕微鏡(TEM)によって
観察したものである。図7(A)は横方向への成長によ
って結晶化した珪素膜の結晶化領域の先端付近を見たも
のであり、針状の結晶が観察される。さらに、その結晶
の間には結晶化していない非晶質領域が多く存在してい
るのが分かる。(図7(A))
【0062】これを本実施例の条件でレーザー照射する
と、図7(B)のようになる。この工程によって、図7
(A)の大部分の面積を占めていた非晶質領域は結晶化
するが、この結晶化は乱雑に発生するため、電気的な特
性はあまり良くない。注目すべきは、中央付近に観察さ
れる針状結晶の間のもともと非晶質であったと思われる
領域の結晶状態である。ここは、針状結晶から結晶化成
長するように、太い結晶領域が形成されている。(図7
(B))
【0063】図7は分かりやすくするために、比較的、
非晶質領域の多い結晶成長の先端領域を観察したもので
あったが、結晶成長の根元付近や中央付近でも同様であ
る。このように、レーザー照射によって、非晶質部分を
減らし、針状結晶を太くすることができ、TFTの特性
をさらに向上せしめることができる。
【0064】
【効果】選択的に特定の領域に結晶化を助長する金属元
素を導入し、この領域から横方向(基板に平行な方向)
に結晶成長をさせることによって、結晶成長方向の揃っ
た結晶性珪素膜を得ることができる。そして、この際に
横方向への結晶成長が行われる領域に予め結晶成分が存
在しないように、不活性イオンの注入によって、徹底的
に非晶質化を行わせ、さらに熱アニールをすることによ
って、結晶成長方向のそろった結晶性半導体膜を得るこ
とができる。そして、この膜を用いてTFTを作製する
ことによって、高移動度のTFTを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の作製工程を示す。
【図2】 実施例の概要を示す。
【図3】 実施例の作製工程を示す。
【図4】 実施例の概要を示す。
【図5】 珪素イオンのドーズ量を示す。
【図6】 実施例の作製工程を示す。
【図7】 実施例の結晶構造を示す。
【符号の説明】
101 ガラス基板 102 下地膜(酸化珪素膜) 103 マスク 100 ニッケルが導入される領域 99 保護膜(酸化珪素膜) 105 結晶成長方向 107 ゲイト電極 108 陽極酸化層 109 ゲイト電極 110 陽極酸化層 111 ソース/ドレイン領域 112 チャネル形成領域 113 ドレイン/ソース領域 114 ソース/ドレイン領域 115 チャネル形成領域 116 ドレイン/ソース領域 117 電極 118 層間絶縁物 119 電極 120 電極 201 ガラス基板 202 下地膜(酸化珪素膜) 203 マスク 204 ニッケルが導入される領域 206 ゲイト絶縁膜 207 ゲイト電極 208 ソース/ドレイン領域 209 チャネル形成領域 210 ドレイン/ソース領域 211 層間絶縁物 212 ITO(画素電極) 213 電極 214 電極
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/20 H01L 21/265

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に半導体膜を形成する工程と、 該工程の前または後において、選択的に金属元素を導入
    する工程と、 前記半導体膜に対して、不活性な元素のイオンを注入
    し、前記半導体膜、および前記基板を非晶質化する工程
    と、 加熱を行い、前記半導体膜を結晶化させる工程と、 を有することを特徴とする半導体装置作製方法。
  2. 【請求項2】 基板上に下地膜を形成する工程と、 前記下地膜上に半導体膜を形成する工程と、 該工程の前または後において、選択的に金属元素を導入
    する工程と、 前記半導体膜に対して、不活性な元素のイオンを注入
    し、前記半導体膜、および前記下地膜を非晶質化する工
    程と、 加熱を行い、前記半導体膜を結晶化させる工程と、 を有することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、不活性な元
    素のイオンは、基板内を中心に注入されており、そのド
    ーズ量は、1×1014cm-2〜9×1016cm-2であることを特
    徴とする半導体装置作製方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2において、不活性な元
    素のイオンは、半導体膜が有する材料の元素であること
    を特徴とする半導体装置作製方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2において、金属元素が
    導入されていない領域において、基板表面と平行な方向
    に結晶成長を行わすことを特徴とする半導体装置作製
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1または2において、金属元素と
    して、Ni、Fe、Co、Pd、Ptの中の少なくとも
    一つから選ばれた元素を用いることを特徴とする半導体
    装置作製方法。
  7. 【請求項7】 請求項1または2において、不活性イオ
    ンの注入を選択的に行うことにより、該不活性イオンが
    注入されなかった領域より、結晶成長をさせることを特
    徴とする半導体装置作製方法。
  8. 【請求項8】 請求項1または2において、金属元素の
    導入を 導体膜下面または上面への成膜によって行うこと、 または、半導体膜へのイオン注入によって行うこと、 または、半導体膜の下地または半導体膜上面へのプラズ
    マ処理によって行うこと、を特徴とする半導体装置
    製方法。
  9. 【請求項9】 請求項1または2において、加熱によっ
    て珪素膜を結晶化させる工程の後に、前記金属元素が添
    加された領域およびその周辺に選択的にレーザーもしく
    はそれと同等な強光を照射することを特徴とする半導体
    装置作製方法。
  10. 【請求項10】 請求項1または2において、結晶化を
    助長する金属元素の導入は、該金属元素を含有する物質
    を塗布もしくはスピンコーティングすることによって、
    おこなわれることを特徴とする半導体装置作製方法。
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