JP3190381B2 - 蓄冷型保冷庫 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は蓄冷剤を用いて庫内を保
冷する蓄冷型保冷庫に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、生鮮食品の流通におけるトラック
等の配送に小型の蓄冷型保冷庫が使用されてきている。

【０００３】以下図３を参照しながら従来の蓄冷型保冷
庫の一例について説明する。例えば、実開平２−２００
８３号公報に於いて知られているような冷却コンテナが
ある。

【０００４】その構成としては、保冷庫本体１を冷気吸
込口２と冷気吐出口３を有する断熱区画壁４にて保冷室
５と蓄冷室６に区画し、蓄冷室６内に内部に蓄冷剤が収
容された複数の蓄冷板７が配置され、蓄冷板７と熱交換
的に配設された冷却パイプ８と前記冷却パイプ８と接続
して冷凍サイクルを形成する冷凍機ユニット９と、蓄冷
板７と冷気吐出口３間の風路内に設けた送風機１０と蓄
冷室６外壁部に蓄冷室６内の蓄冷板７に散水する散水口
１１を配置しているものである。

【０００５】輸送中の保冷室５の冷却は、予め冷凍機ユ
ニット９を運転し冷却パイプ８により凍結させた蓄冷板
７の冷熱源を利用し蓄冷板７で熱交換された冷気を送風
機１０にて保冷室５に送風し冷却するものである。

【０００６】そして連続して使用していると蓄冷板７の
外周に付く霜が増加してくるので、定期的に散水口１１
にホースなどの注水手段を連結し、蓄冷板７に散水して
蓄冷板７に付着した霜を除霜するものである。散水され
た水は下面に設けられた排水口１２より排出される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、蓄冷板の冷熱源を通常の冷却時にも使用す
るので夏場などの湿度の高い環境条件では蓄冷板の凍結
率が低下し、かつ凍結時間が長くなるという欠点があっ
た。また蓄冷板の外周に多くの霜がつき、冷却性能が低
下するので頻繁に水洗い除霜する必要があった。

【０００８】また、水洗い除霜は蓄冷板に蓄えられた冷
熱源を保冷に使用することなく保冷室５外に捨てること
になると共に、必要以上に蓄冷板の温度を上昇させるの
で再凍結するのに余分な冷凍能力を必要とするので消費
電力の増加につながる原因となっていた。

【０００９】本発明は上記課題を解決するもので夏場で
も蓄冷板を短時間で確実に凍結できるようにすると共
に、蓄冷板への着霜量を減少させ、かつ蓄冷板の冷熱源
を有効に冷却に利用できる水洗い除霜の不要な蓄冷型保
冷庫を提供するものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明の蓄冷型保冷庫は、保冷庫を冷凍室と冷蔵室に断
熱区画壁で区画し、冷凍室内に設けた冷却室内に冷却器
と送風ファンを内装し、断熱区画壁内に区画壁をかえし
て冷凍室と冷却室と連通する送風通路Ａと、冷蔵室と冷
却室を連通する送風通路Ｂを設け、送風通路Ｂ内に冷却
パイプを有する蓄冷板を内装し、蓄冷板を凍結させると
きに送風通路Ｂを閉路する風路切り替え手段を備えてな
るものである。

【００１１】また蓄冷板の除霜時は蓄冷板の冷却パイプ
への冷媒の流れを停止すると共に風路切り替え手段で送
風通路Ａと送風通路Ｂを区画し、送風通路Ａに冷凍室の
冷気を送風通路Ｂに冷蔵室の冷気を流すようにしたもの
である。

【００１２】

【作用】本発明は上述したような構成によって、通常冷
却は冷却器を使用し、蓄冷板の凍結は区画された送風通
路Ｂ内で行うため、夏場などの温度の高いときでも蓄冷
板への着霜が防止でき、短時間で確実に凍結することが
できる。

【００１３】また、除霜時は冷蔵室の吸い込み冷気で蓄
冷板の除霜を行うので蓄冷板の冷熱源を有効に冷却に利
用できるとともに水洗い除霜を不要とすることができ
る。

【００１４】

【実施例】以下本発明の一実施例について図面を参照し
ながら説明する。

【００１５】図１は、本発明の一実施例における蓄冷型
保冷庫の縦断面図を示す。図１において、１３は保冷庫
本体で、断熱区画壁１４により冷凍室１５と冷蔵室１６
とに区画している。１７は冷凍室のドア、１８は冷蔵室
のドアである。

【００１６】１９は冷凍室１５内に設けた冷却室で冷却
室１９内には冷却器と送風ファン２１を内装している。

【００１７】断熱区画壁１４内には区画壁２２をかえし
て、冷凍室吸い込み口２３と冷却室１９を連通する送風
通路Ａ２１と、冷蔵室吸い込み口２４と冷却室１９を連
通する送風通路Ｂ２５を形成している。２６は送風通路
Ｂ２５内に内装した蓄冷板で、蓄冷板２６には冷却パイ
プ２７を熱交換的に配設している。

【００１８】２８は風路切り替え手段で冷凍室吸込口２
３と冷蔵室吸込口２４側の区画壁２２部に設けている。
風路切り替え手段２８は送風通路Ａ２１を閉路する２８
ａと、送風通路Ｂ２５を閉路する２８ｂと、送風風路Ａ
２１と送風通路Ｂ２２を区画する２８Ｃの３段階に切り
替えるものである。また電源が切れているときに２８ａ
の状態になり、電源が入ったとき２８ｂおよび２８ｃに
切り替えるようにしている。

【００１９】２９はダンパーサーモで、送風ファン２１
により冷蔵室用吐出送風通路３０に送風された冷気の冷
蔵室１６への吐出送風量を調整し、冷蔵室１６を所定の
温度に制御するものである。

【００２０】３０は機械室で、機械室内には圧縮機３１
と凝縮器３２と凝縮器用送風機３３と輸送時など電源が
きれたときに送風ファンの電源として使用するバッテリ
ー３４を内装している。

【００２１】図２は本発明の一実施例における蓄冷型保
冷庫の冷凍システム図を示す。圧縮機３１と凝縮器３２
と第一の減圧器３５と冷却器２０を順次接続して通常冷
却時の冷凍サイクルを形成している。３６は第二の減圧
器で蓄冷板２６と熱交換的に配設された冷却パイプ２７
で、第一の減圧器３５と冷却器２０を接続した直列回路
と並列になるように接続している。３７は冷媒回路切り
替え手段で、冷却器２０と冷却パイプ２６への冷媒の流
れを切り替えるものである。

【００２２】以上の様に構成された蓄冷型保冷庫におい
て、以下その動作について説明する。

【００２３】まず基地などで運転する場合について説明
する。商用電源に接続して圧縮機３１を運転し、圧縮機
３１、凝縮器３２、第一の減圧器３５、冷却器２０、か
らなる冷凍サイクルを形成し、冷却器２０で冷却された
冷気を送風ファン２１で冷凍室１５および冷蔵室１６に
送風し、冷凍室１５と冷蔵室１６を所定の温度に冷却す
る。

【００２４】このとき風路切り替え手段は２８ｂに切り
替えており、送風通路Ｂが閉路されているので冷凍室吸
込口２３および冷蔵室吸い込み口２４より流入する冷気
は送風通路Ａを通り、冷却室１９に入り冷却器２０で冷
却される。

【００２５】次に冷凍室１５および冷蔵室１６が所定の
温度まで冷却されると冷媒切り替え手段３７で冷却器２
０への冷媒流入を停止し、冷却パイプ２６側に冷媒を流
し蓄冷板２６を凍結する。そして冷凍室１５および冷蔵
室１６の温度が所定温度より上昇すると冷媒回路切り替
え手段３７で冷媒回路を切り替え冷却パイプ２７への冷
媒流入を停止し、冷却器２０に冷媒をながす。

【００２６】以上の動作を繰り返し冷凍室１５と冷蔵室
１６の冷却と蓄冷板２６の凍結を行う。蓄冷板２６を凍
結するときは送風ファンを停止させ圧縮機３１の冷凍能
力を蓄冷板２６の凍結のみに使用できるので蒸発温度を
低下させることができ、蓄冷板の凍結時間を短くするこ
とができる。また凍結運転中は蓄冷板２６と冷凍室１５
および冷蔵室１６の吸い込み冷気が蓄冷板２６を通過し
ないので、凍結した蓄冷板２６が解けて凍結率が低下し
たり、蓄冷板２６に着霜するのを防止できる。

【００２７】次に輸送時の保冷運転について説明する。
まず商用電源をはずし保冷庫本体１３を移動させトラッ
クなどにのせて目的地まで輸送する。

【００２８】輸送中は風路切り替え手段２８が２８ａに
切り替わっており送風通路Ａは閉路されている。また送
風ファンはバッテリー３４の電源により運転できるよう
に構成されている。従って輸送中は冷凍室１５と冷蔵室
１６の冷気は送風通路Ｂを通り蓄冷板２６で冷却されて
送風ファン２１により冷凍室１５および冷蔵室１６に送
風され、冷凍室１５および冷蔵室１６を所定の温度に冷
却保冷する。

【００２９】次に蓄冷板２６の除霜について説明する。
輸送が終了したあと基地などで凍結運転を行うため商用
電源に接続し圧縮機３１を運転し、圧縮機３１、凝縮器
３２、第一の減圧器３５、冷却器２０、からなる冷凍サ
イクルを形成し、冷却器２０で冷却された冷気を送風フ
ァン２１で冷凍室１５および冷蔵室１６に送風し、冷凍
室１５と冷蔵室１６を所定の温度に冷却する。

【００３０】このとき風路切り替え手段２８は２８ｃに
切り替わって送風通路Ａと送風通路Ｂを区画している。
従って冷凍室１５吸い込み冷気は送風通路Ａを通って冷
却室１９に入り、冷却器２０で冷却される。そして冷蔵
室１６の冷気は送風通路Ｂを通って蓄熱板２６と熱交換
し冷却除湿されて冷却室１９に入る。

【００３１】そして蓄冷板２６が完全に融解したあと風
路切り替え手段を２８ｂに切り替え冷媒切り替え手段３
７にて冷却器２０と冷却パイプ２６の切り替えを制御
し、冷凍室１５と冷蔵室１６の冷却と蓄冷板２６の凍結
を行うものである。

【００３２】従って蓄冷板２６に着霜した霜や凍結して
いる冷熱源を有効に保冷庫本体１３の冷却に利用できる
ので消費電力の低減が図れるとともに水洗い除霜を不要
とすることができる。

【００３３】以上の様に本実施例によれば保冷庫本体１
３を冷凍室１５と冷蔵室１６に断熱区画壁１４で区画
し、冷凍室１５内に設けた冷却室１９内に冷却器２０と
送風ファン２１を内装し、断熱区画壁１４内に区画壁２
２をかえして冷凍室１５と冷却室１９を連通する送風通
路Ａ２１と、冷蔵室１６と冷却室１９を連通する送風通
路Ｂ２５を設け、送風通路Ｂ２５内に冷却パイプ２７を
有する蓄冷板２６を内装し、蓄冷板２６を凍結させると
きに送風通路Ｂ２５を閉路する風路切り替え手段２８
と、通常冷却時は冷却器２０のみに冷媒を流し、凍結運
転時は冷却パイプ２７のみに冷媒を流す冷媒切り替え手
段を備えたものである。

【００３４】このことにより、蓄冷板２６を凍結すると
きは送風ファンを停止させ圧縮機３１の冷凍能力を蓄冷
板２６の凍結のみに使用できるので蒸発温度を低下させ
ることができ、蓄冷板の凍結時間を短くすることができ
る。また凍結運転中は蓄冷板２６と冷凍室１５および冷
蔵室１６の吸い込み冷気が蓄冷板２６を通過しないの
で、凍結した蓄冷板２６が解けて凍結率が低下したり、
蓄冷板２６に着霜するのを防止できる。

【００３５】また蓄冷板２６の除霜時に蓄冷板２６の冷
却パイプ２７への冷媒の流れを停止する冷媒制御手段２
７と、送風通路Ａ２１と送風通路Ｂ２５を区画し、送風
通路Ａ２１に冷凍室１５の冷気を、送風通路Ｂ２５に冷
蔵室１６の冷気を流すようにした風路切り替え手段２８
を備えたものである。

【００３６】このことにより蓄冷板２６に着霜した霜や
凍結している冷熱源を有効に保冷庫本体１３の冷却に利
用できるので消費電力の低減が図れるとともに水洗い除
霜を不要とすることができる。

【００３７】

【考案の効果】以上の様に本発明は保冷庫を冷凍室と冷
蔵室に断熱区画壁で区画し、冷凍室内に設けた冷却室内
に冷却器と送風ファンを備え、前記断熱区画壁内に区画
壁をかえして冷凍室と冷却室を連通する送風通路Ａと、
冷蔵室と冷却室を連通する送風通路Ｂを設け、前記送風
通路Ｂに冷却パイプを有する蓄冷板を内装し、送風通路
Ａと送風通路Ｂとを切り替える風路切り替え手段と、冷
却器と蓄冷板の冷却パイプへの冷媒の流れを切り替える
冷媒回路切り替え手段を備え、凍結運転時は送風通路Ｂ
を閉路し、保冷庫が所定の温度以下の時のみ冷却パイプ
に冷媒を流すことものであるから蓄冷板を凍結するとき
は送風ファンを停止させ圧縮機の冷凍能力を蓄冷板の凍
結のみに使用できるので蒸発温度を低下させることがで
き、蓄冷板の凍結時間を短くすることができる。

【００３８】また凍結運転中は蓄冷板と冷凍室および冷
蔵室の吸い込み冷気が蓄冷板を通過しないので、凍結し
た蓄冷板が解けて凍結率が低下したり、蓄冷板に着霜す
るのを防止できる。

【００３９】また蓄冷板の除霜時に蓄冷板の冷却パイプ
への冷媒の流れを停止する冷媒制御手段と、送風通路Ａ
と送風通路Ｂを区画し送風通路Ａに冷凍室の冷気を送風
通路Ｂに冷蔵室の冷気を流す風路切り替え手段を備え、
冷蔵室の吸い込み冷気で蓄冷板に着霜した霜や凍結して
いる冷熱源を融解させて有効に保冷庫本体の冷却に利用
できるので消費電力の低減が図れるとともに水洗い除霜
を不要とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の蓄冷型保冷庫本体の縦断面
図

【図２】図１の蓄冷型保冷庫の冷凍システム図

【図３】従来の蓄冷型保冷庫の要部縦断面図

【符号の説明】

１４ 断熱区画壁 ２２ 区画壁 ２１ 送風通路Ａ ２５ 送風通路Ｂ ２６ 蓄冷板 ２８ 風路切り替え手段 ３７ 冷媒回路切り替え手段

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 保冷庫を冷凍室と冷蔵室に断熱区画壁で
   区画し、冷凍室内に設けた冷却室内に冷却器と送風ファ
   ンを備え、前記断熱区画壁内に区画壁をかえして冷凍室
   と冷却室を連通する送風通路Ａと、冷蔵室と冷却室を連
   通する送風通路Ｂを設け、前記送風通路Ｂに冷却パイプ
   を有する蓄冷板を内装し、送風通路Ａと送風通路Ｂとを
   切り替える風路切り替え手段と、冷却器と蓄冷板の冷却
   パイプへの冷媒の流れを切り替える冷媒回路切り替え手
   段を備え、凍結運転時は送風通路Ｂを閉路し、保冷庫が
   所定の温度以下の時のみ冷却パイプに冷媒を流すことを
   特徴とする蓄冷型保冷庫。
2. 【請求項２】 蓄冷板の除霜時に蓄冷板の冷却パイプへ
   の冷媒の流れを停止する冷媒制御手段と送風通路Ａと送
   風通路Ｂを区画し、送風通路Ａに冷凍室の冷気を送風通
   路Ｂに冷蔵室の冷気を流す風路切り替え手段を備えたこ
   とを特徴とする請求項１記載の蓄冷型保冷庫。