JP3160911U - 耳式体温計 - Google Patents
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Abstract
【課題】各検出素子をプローブの開口に隣接して固定した場合に、プローブの開口を常に液密状態に維持することができ、かつ外力に充分耐えることができ、かつまたコストダウンを実現できる耳式体温計を提供する。【解決手段】環境温度を検出する温度検出素子21と、耳腔内の温度測定部位から放射される赤外線を検出する赤外線検出素子22とをプローブに内蔵し体温を測定する耳式体温計であって、プローブは、その先端に開口31を有するように形成された端面部32と、中空筒状体の内側面部34と内方に突出する係合部33を有し、検出素子収納体20をプローブの開口を塞ぐように固定するとともに、さらにオーリング40を窓部材26の間に設ける。【選択図】図8
Description
本考案は、耳式体温計に関する。
環境温度を検出する温度検出素子であるサーミスタと、耳腔内の温度測定部位から放射される赤外線を検出する赤外線検出素子である冷接点と温接点とからなるサーモパイルをプローブに内蔵しておき、各検出素子の検出結果に基づいて体温を測定するように構成された耳式体温計が実用化されている。
温度検出素子であるサーミスタと、冷接点と温接点とからなるサーモパイルとをプローブの開口から離間した位置に夫々設けておき、プローブの開口から導入される赤外線をサーモパイルまで導光管を用いて案内するように構成された耳式体温計を実用化されている。
このように構成することで、プローブの先端に開口を有するように形成された端面部の外径寸法を小さくできるので耳腔内に挿入できるようになる。また、耳腔内にプローブを挿入するとプローブに対して体温が熱伝導するので正確な体温測定ができなくなるが、上記のようにプローブの開口から導入される赤外線をサーモパイルまで案内する導光管をプローブ中に離間した状態で内蔵することで、たとえプローブに対して体温が熱伝導した場合であっても正確な体温測定ができるようになる。(特許文献1)しかし、上記のように各検出素子をプローブの付け根部分に配置し、プローブ内に内面を金メッキ処理した導光管を設けると、部品点数および工数増加に伴うコストアップを避けられないことになる。そこで、導光管を含む部品点数の削減によるコストダウンを図るためには、プローブの開口に各検出素子を直接配置すれば良いことから、各検出素子の小型化が図られており、各検出素子をプローブの開口に隣接して固定した構造を有する耳式体温計が提案されている。
一方、各検出素子をプローブの開口の近傍部位に固定する場合に、プローブの開口を介してプローブ内部に異物、液体などが内部に入り込む状態となるとこれらの影響で正確な体温測定ができなくなる。特に、綿棒にアルコールをしみ込ませた状態でプローブの開口を綺麗にする場合に備えて、液密状態を維持できるようにする必要がある。また、このような掃除を行うときにプローブの内部に向けて加わる外力に対して充分に耐えられることが必要となる。
したがって、本考案は上述したような事情に鑑みてなされたものであり、各検出素子をプローブの開口に隣接して固定した場合に、プローブの開口を常に液密状態に維持することができ、かつ外力に充分耐えることができ、かつまたコストダウンを実現できる耳式体温計の提供を目的としている。
上述した課題を解決するために、本考案の耳式体温計によれば、環境温度を検出する温度検出素子と、耳腔内の温度測定部位から放射される赤外線を検出する赤外線検出素子とをプローブに内蔵し、前記2つの検出素子の検出結果に基づいて体温を測定する耳式体温計であって、前記プローブは、その先端に開口を有するように形成された端面部と、中空筒状体の内側面部と、前記内側面部から内方に突出する係合部と、を有し、前記2つの検出素子を固定する取付け基部材と、前記開口側に前記赤外線検出素子と対向する孔を有するとともに前記取付け基部材に固定されて前記2つの検出素子を囲い込む筒状の容器部材と、前記孔の上に取り付けられて前記孔を塞ぐととともに赤外線を透過させる窓部材と、を含む検出素子収納体を備え、前記検出素子収納体の前記窓部材が、シール部材を介して前記プローブの前記開口を塞ぐように前記端面部の前記検出素子側の面に当接され、かつ前記取付け基部材が前記係合部により固定されることを特徴としている。
また、前記検出素子側の面は、前記開口から前記内側面部まで半径方向に延設されるとともに前記シール部材を収容するための溝部を形成した内壁部を形成し、前記係合部は、前記容器部材の外周面の高さ分に前記窓部材の高さ分を加えた位置から前記シール部材の弾性変形分を引いた位置となるように前記内壁部から離間されて形成される当接面と、前記内側面部からプローブ中心部に向けて傾斜した傾斜面とを形成し、前記検出素子収納体を前記開口に向けて圧入することで、前記窓部材の表面が前記シール部材を圧縮するように当接され、前記取付け基部材の裏面が前記当接面に対して係合されることを特徴としている。
また、前記取付け基部材はその縁部から半径方向に延設される外側鍔部を備え、前記外側鍔部の裏面が前記係合部の前記当接面に係合されることを特徴としている。
また、前記外側鍔部は円盤形状部を有し、前記係合部は内向きに少なくとも2個分形成され、前記係合部が前記円盤形状部の裏面に対して係合されることを特徴としている。
また、前記外側鍔部は少なくとも2個の突起部を半径方向に延設し、前記突起部に係合する係合部を前記プローブの前記内周面に連続形成したことを特徴としている。
また、前記外側鍔部は少なくとも2個の突起部を半径方向に延設し、前記突起部に係合する係合部を前記プローブの前記内周面に連続形成したことを特徴としている。
また、前記シール部材は、その断面が円形、菱形、C形、逆C形のラバーまたはエラストマー製、あるいは金属製のオーリングであることを特徴としている。
また、前記シール部材は、その液面が前記溝部から均等に溢れるように前記溝部に対して充填されるとともにその硬化後に液密状態を維持する液状接着剤であることを特徴としている。
そして、体温の測定結果の表示を行う液晶表示装置を覆う本体カバーをさらに備え、前記プローブを前記液晶表示装置の表示面と同じ側となるように前記本体カバーと一体成形したことを特徴としている。ここで、さらなる本考案の特徴は、以下本発明を実施するための形態および添付図面によって明らかになるものである。
本考案によれば、各検出素子をプローブの開口に隣接して固定した場合に、プローブの開口を常に液密状態に維持することができ、かつ外力に充分耐えることができ、かつまたコストダウンを実現できる。
以下に、本考案の実施形態について添付の図面を参照して説明する。
図1(a)は本考案の一実施形態の耳式体温計1をプローブ側から見た外観斜視図、(b)は耳式体温計1を操作スイッチ5側から見た外観斜視図である。
本図において、耳式体温計1は、片手で把持して操作容易となるデザイン形状と重量を備えている。このため、耳式体温計1は所定樹脂材料から射出成形される本体ベース2と、本体カバー4とがニ分割されるとともに、内部に後述する実装基板を固定できるように構成されている。また、本体ベース2と、本体カバー4とは異なる色に着色された樹脂材料から成形されており、特に本体カバー4は半透明樹脂製であり、内部に設けられた2個の発光LED素子13の点滅状態を外部から見ることができるように構成されている。ちなみに使用可能な樹脂材料はポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル重合体などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル等を含む所謂エンジニアリングプラスチックが挙げられる。
耳腔内の温度測定部位(特に、好ましくは鼓膜及び/又はその周辺)から放射される赤外線を検出するために耳腔内(外耳道)に挿入されるプローブ3は、先端の外径寸法が約7mmの円錐筒状に形成されており、上記の本体ベース2と一体成形される。ここで、このプローブ3は、本体ベース2と別部品として準備することもでき、この場合に後述する組み付け工程がより簡略化されることになる。
図1(a)を参照するとこのプローブ3には、一点鎖線で図示したプローブ3の一部と同じ形状を有したプローブカバー10が装着可能に設けられている。このプローブカバー10は、耳垢や異物などがプローブ3の開口内に入ることを防止するとともに、取り外し後に定期的に水洗することで衛生状態を維持できるようにするために設けられている。このプローブカバー10は通常は透明ビニル材料を真空成形して肉厚が所定厚さである例えば約0.1から0.005mmとなるように準備されるが、これ以外の樹脂材料を用いても成形することもできる。
プローブカバー10には図示のようにフランジ部10fが一体成形されており、このフランジ部を後述するようにプローブカバー装着具11の操作によって挟持することで、プローブカバー10をプローブ3から着脱自在にしている。また、プローブカバー装着具11は図示のようにプローブ3の基部よりも大径のテーパ形状であるのでプローブ3が過剰に耳腔内に挿入される前にプローブカバー装着具11によって挿入防止を図ることができるように配慮されている。
引き続き、図1(a)において、プローブ3の下方には押圧操作される電源スイッチ5のボタンが設けられている。また、この電源スイッチ5の下方には測定された体温を7セグメントで表示するとともに、測定開始状態であることを絵文字等のキャラクタで表示する液晶表示装置7が設けられている。この液晶表示装置7の下方には、破線図示のボタン電池8を交換するときに本体ベース2から着脱されるボタン電池カバー9が設けられている。
一方、図1(b)において本体カバー4には測定スイッチ6がプローブ3の略裏面側となる位置に設けられている。また、破線図示の圧電スピーカ12が本体カバー4の裏面側に固定されている。
次に、図2は、図1の耳式体温計1の立体分解図である。本図において、既に説明済みの構成または部品については図1と同様の符号を附して説明を割愛すると、本体カバー4には測定スイッチ6を固定するための孔部4aを形成した凹部が形成されており、測定スイッチ6に形成された1対の爪部6aを孔部4aに挿入することで爪部6aが孔部4aの裏面縁部に夫々係止することで抜け止めされて固定される。この固定後に、この測定スイッチ6は本体カバー4に対して前後方向に移動できるので、実装基板15の主実装面15a上に実装されているタクトスイッチを含む機械接点式スイッチ6aを押圧して操作できることとなる。また、本体カバー4の裏面には破線図示の圧電式のスピーカ12が上記のように予め固定されており、このスピーカ12への配線30が実装基板15の主実装面15aから設けられている。
本体カバー4の内周面の縁部近くには図中で破線で図示した4個の凸部4fが対称位置に夫々形成されている。また、上方には被係止部4kが形成されている。一方、本体ベース2はこの本体カバー4の縁部と同形状の縁部が形成されており、本体ベース2の縁部からは上記の4個の凸部4fに対応した位置において、各凸部4fに嵌る溝部を夫々形成した4個の凹部2fが夫々一体形成されている。また、本体ベース2の上部には上記の被係止部4kに係止する係止部2kが一体形成されている。
以上の構成により、図示のように本体カバー4の被係止部4kを最初に係止部2kに係止して位置決め後に、各凸部4fを凹部4fに対して嵌合することでネジ類または接着剤類を一切使用せずに合体して組み立てることができることとなる。
実装基板15は、本体ベース2の縁部で取り囲まれる内部に予め固定されるので、図示のように本体ベース2の縁部壁部に略沿う相似形状の形状部15fを有している。この実装基板15の主実装面15aには、上記のLED素子13と、CPU素子、各種電子部品が実装されている。また、実装基板15の裏面側となる副実装面15b上には破線図示の機械式スイッチ5aと、上記の液晶表示装置7とボタン電池8をセットする電池ボックスが実装されている。また、後述する検出素子収納体20から接続された配線30もこの副実装面15b上に接続される。
この実装基板15を本体ベース2に固定するためにネジ孔部15cと固定孔部15hとが図示の位置に夫々穿設されている。一方、本体ベース2にはネジ孔部15cと固定孔部15hに合致した位置において取付けスタッド部2b、2hが一体成形されており、実装基板15のネジ孔部15cと固定孔部15hとを本体ベース2の取付けスタッド部2b、2hに合致させてセットした後に、ネジ39をスタッド部2bに螺合して固定できるように構成されている。本体ベース2と上記のプローブ3とを一体成形するためにプローブ3の内周面に連通する開口部2aが形成される。
本体カバー2には電源スイッチ5を固定するための孔部2cを形成した凹部が形成されており、電源スイッチ5に形成された1対の爪部5aを孔部2cに挿入することで爪部5aが孔部2cの裏面縁部に夫々係止することで抜け止めされて固定される。この固定後に、この電源スイッチ5は本体ベース2に対して前後方向に移動できるので、実装基板15の副実装面15b上に実装されているタクトスイッチである機械式スイッチ5aを押圧して操作できることとなる。
また、本体カバー2には上記の液晶表示装置7の表示面に合致した位置に開口を形成するための開口部2dが形成されている。さらに、上記のボタン電池8を交換可能にするためにボタン電池8の外形寸法より大きな開口部2gが形成されており、この開口部2gを覆うためのボタン電池カバー9がスライド自在に組み付けられる。
以上のように各部品を実装した後の実装基板15を本体カバー2に固定した後に本体カバー4を嵌合することで完成できる。
一方、上記のプローブカバー10は矢印方向にプローブ3に対して移動されてプローブ3を覆うようにセットされる。このセット後にプローブ装着具11を矢印方向に回転することで抜け止めされる。
図3は、プローブカバー10を着脱可能に装着するためのプローブカバー装着具11と本体ベース2に一体成形されるプローブ3との関係を図示した動作説明図である。本図において、プローブカバー装着具11はプローブカバー10(図中、一点鎖線図示)のフランジ部10fに対して当接することで抜け止めを行う段差部11bを形成した開口孔部を形成した筒状部材として上記の本体ベース2とは異なる色の樹脂材料から射出成形されることで準備される。このプローブ装着具11の外周面には対称位置に指先で把持される把持部11c、11cが形成されており、図中の矢印方向に回転できるようにしている。
また、これらの把持部11c、11cから角度90度の位置には、係止突起部11d、11d(一方は、破線図示)が外方に向けて突出形成されている。さらに、各係止突起部11dの中央には係止溝部11kが形成されている。
一方、本体ベース2にはプローブ3の付け根部分に該当する位置においてプローブカバー10(図中、一点鎖線図示)のフランジ部10fの下面に対して当接する同心円状の段差部2xが一体成形されている。さらに、この段差部2xを取り囲むようにして空間部2wを介して内側鍔部2y、2yがプローブ3と同心円状一体成形されている。これらの内側鍔部2y、2yの中心には上記の係止突起部11dの中央の係止溝部11kに対して係合される破線図示の突起2t、2tが形成されている。
以上の構成において、プローブカバー10をプローブ3に被せた後に、プローブ装着具11の把持部11c、11cを把持して下方に移動し、係止突起部11d、11d(一方は、破線図示)を内側鍔部2y、2yの間の大径空間部2wkに潜入させた後に、反時計方向に回動することにより各係止突起部11dの中央の夫々の係止溝部11kを夫々の突起2tに対して係止することでプローブ3の抜け止めが図られることになる。
以上の操作によって図4のプローブカバー10を装着した後の図1におけるX-X線矢
視断面図に示す状態になる。すなわち、図4に図示したようにプローブカバー10(図中、一点鎖線図示)のフランジ部10fの下面が段差部2xに当接し、フランジ部10fの上面がプローブカバー装着具11の段差部11bに対して当接することで、上下から挟持できる状態となる。また、例えば水洗のためにプローブカバー10を取り外すときには、上記と逆の操作を行えば良いことになる。
視断面図に示す状態になる。すなわち、図4に図示したようにプローブカバー10(図中、一点鎖線図示)のフランジ部10fの下面が段差部2xに当接し、フランジ部10fの上面がプローブカバー装着具11の段差部11bに対して当接することで、上下から挟持できる状態となる。また、例えば水洗のためにプローブカバー10を取り外すときには、上記と逆の操作を行えば良いことになる。
図4の断面図に図示したように、プローブ3は、その先端に開口31を有するように形成された端面部と、中空筒状体の内側面部とを形成するとともに本体ベース2の開口部2aに連通するように形成されている。このように形成されたプローブ3の先端には図示のように検出素子収納体20が固定されており、この検出素子収納体20は配線30を介して実装基板15に接続されている。または、図示しないコネクタを介して接続されており後述の体温測定を行うようにしている。
ここで、プローブ3の先端部は外耳内に挿入される関係上からその外径寸法は約7mmである。このため図示の位置に検出素子収納体20を固定するためにはこの収納体20の外径寸法は例えば直径5mmに設定される一方で、その高さ寸法は約4mm前後に設定されることになる。
図5は、この検出素子収納体20の一部を破断して示した外観斜視図である。本図において検出素子収納体20は、環境温度を検出する温度検出素子であるサーミスタ21と、耳腔内の温度測定部位から放射される赤外線を検出する赤外線検出素子22とをその取付け基部材23上に固定している。このように固定されるサーミスタ21は、使用環境温度である絶対温度を計測できるように製造段階で調整されている。このため取付け基部材23はアルミ材等の良熱伝導体製であって、外気温度が伝達可能となるようにするとともに、サーミスタ21の取付け面の表面積が大きくなるように固定している。この固定後に取付け基部材23に対して絶縁状態で固定された電極リード28に対してサーミスタ21のリード線が接続されている。
一方、赤外線IRを検出する赤外線検出素子22は、絶対温度は検出できず相対温度変化のみが検出可能である。このため、体温は温度検出素子による検出温度に赤外線検出素子による検出温度を加えることで検出される。この検出動作の詳細については、例えば特開平11−123179号公報に詳しく記載されているのでここでは省略する。
図5において、この赤外線検出素子22は、好ましくは熱電対型(サーモパイル型)であるため、取付け基部材23の台座23b上に固定されるウエハ担体22c上において花弁状に形成された温接点22aと、冷接点22bとから構成されている。各温接点と冷接点とは異種金属から形成されるとともに直列に接続されており、図示のように取付け基部材23に対して絶縁状態で固定された電極リード29に対してリード線が接続されている。また、温接点22aで囲まれる範囲Hは黒色塗装されており赤外線を吸収し易くすることで、各接点間で起電力を発生できるようにして相対温度変化分の検出を行うように構成されている。
側壁に外周面25aを有し、天井面に孔24を有するとともに、2つの検出素子を囲い込むように形成された筒状の容器部材25が半断面図で図示されている。この容器部材25も取付け基部材23と同様にアルミ材、ステンレス材等の良熱伝導体の金属製であって、外気温度がサーミスタ21に伝達可能となるようにしている。また、孔24には赤外線を透過させるセラミック素材からなる窓部材26が図示のように固定されており、図示のような検出素子収納体20を構成している。
ここで、図示の検出素子収納体20によれば、取付け基部材23はその縁部から半径方向に延設される外側鍔部23aを形成しており、この裏面を固定部としているが、この外側鍔部23aはなくとも良く容器部材25の外周面25aと同じ直径の取付け基部材23として検出素子収納体20を構成しても良い。
図6は、以上のように構成される耳式体温計1を測定部位である耳腔Y内に挿入する様子を示した断面図である。本図において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、電源スイッチ5がオンされるとサーミスタ21によって環境温度の検出が行われるまで待機する。この測定の待機時間は液晶表示装置7の絵文字が完成するまでの時間としている。待機時間が経過するとプローブ3を耳腔Y内に図示のように挿入することになるが、このときプローブカバー装填具11とプローブ先端との間の距離Dによって過剰に挿入されることが防止される。
この挿入後に、測定スイッチ6をオンするとLED素子13が順次点灯し、さらにスピーカ12でピー音を発生して測定が終了したことを知らせる。その後、液晶表示装置7に体温表示がされるので、これを見て体温を知ることで終了する。特に、測定スイッチ6はプローブ3の反対側に設けられるので自分自身で測定する場合には、プローブ3の挿入位置の把握が容易となるように配慮されている。また、電源スイッチ5をオンした後に放置した場合には自動的にオフ状態にされて電池消耗を防止している。
図7は、耳式体温計1のブロック図である。本図において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図中の破線で図示した検出素子収納体20に内蔵されたサーミスタ21は配線30を介して実装基板15上の増幅部53に接続されている。また、赤外線IRを検出する赤外線検出素子22は配線30を介して実装基板15上の増幅部54に接続されている。
実装基板15上の制御部50は、CPU素子と記憶素子のRAM51とROM52とを備えており、LED素子13と、待機と温度表示部を有する液晶表示装置7と報知部であるスピーカ12と、電源スイッチ5と測定スイッチ6とに接続されている。また、ボタン電池である電源部8からの電力供給を受けて動作するように構成されている。
次に図8(a)は、検出素子収納体20をプローブの開口を塞ぐように圧入する前の様子を示した断面図、図8(b)は圧入後に検出素子収納体20の窓部材26がオーリング40に当接され、取付け基部材23の裏面23cが係合部33と係合して固定される様子を示した断面図、図8(c)は図8(b)のX-X線矢視断面図である。
本図において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、プローブ3の開口31はプローブ3の端面部32の面取り部32cの頂点部位に図示のように形成されており、その直径寸法d1が約3から4mmの円形となるように一体成形されている。この端面部32はプローブ3の内側面部34の部位から内方に突出するインナーフランジ部として、平らな内壁部35を環状に形成している。この内壁部35上には内側面部34の内径寸法より小さい外直径寸法d2を有する溝部36が形成されている。この溝部36は、シール部材であるオーリング(ガスケット)40を矢印方向に移動して収容する。溝部36の外直径寸法d2は、窓部材26の直径d3よりも大きく設定されている。 一方、収納体20の容器部材25の外周面25aの高さ分に窓部材26の高さ分を加えた高さh1の位置となるように、内壁部35から離間されて距離h2の位置に形成される当接面33aを形成した高さ1〜2mm前後の係合部33が内側に向けて120度の等間隔で3箇所一体成形されている。この係合部33は全周に亙り連続形成しても良く、また配設個数は2箇所または4箇所以上としても良い。
以上の構成において、電極リード28、29に対して配線30を接続した状態にした検出素子収納体20を予め準備しておき、図8(a)で破線で図示した冶具Jを用いて取付け基部材23の裏面23cを矢印方向に移動することで、最初に容器部材25の角部が係合部33の傾斜面33bに当接する。さらに上方に移動すると、容器部材25の外周面25aが係合部33の先端が案内される状態となり、取付け基部材23の鍔部23a(図5を参照)が傾斜面33bに当接する。この状態からさらに上方に圧入するように移動すると鍔部23aの縁部が傾斜面33bに乗り上げる結果、プローブ3を半径方向に拡張するように弾性変形させる。
引き続き、上方に移動すると図8(b)に図示のようにプローブ3の開口31を塞ぐように検出素子収納体20の窓部材26の表面がオーリング(ガスケット)40に当接して溝部36から突出したオーリング40の部分が弾性変形される結果液密状態を維持することが可能となる。また、窓部材26は容器部材25上に固定されているので、外力により孔部24から脱落することはない。そして、取付け基部材23の裏面23cが係合部33と係合して固定される状態となる。すなわち、図8(c)に図示のように取付け基部材23の裏面23cが3箇所の係合部33で支持される状態となる。
以上のように固定することで、図8(b)に図示するようにプローブ3の内側面部34と容器部材25の外周面25aとの間で空気層Kを形成できるようにもなる。
ここで、シール部材は、その断面が円形である上記のオーリング(ガスケット)40が一般的であるが、これ以外にもその断面形状が菱形、C形、逆C形のラバーまたはエラストマー製のオーリング(ガスケット)40も使用可能となる。あるいは金属製のオーリングであっても良い。
さらに、シール部材として、その液面が溝部36から均等に溢れるように充填されるとともにその硬化後に液密状態を維持するように硬化する液状接着剤を使用することもできる。
以上のように構成することで空気層Kが断熱層として機能できるので、肌に直接接触するプローブを介して熱伝導される熱衝撃の影響を排除することが可能となる。また開口31と係合部33との間でオーリング(ガスケット)40を介して上下方向から検出素子収納体20を固定することにより部品点数および工数を少なくできる。
尚、上記のように外側の鍔部は円盤形状部を有し、係合部33は内向きに少なくとも2個分形成され、係合部33が円盤形状部の裏面に対して係合されるようにすれば良い。あるいは、30度おきに12個の係合部33を設けても良い。一方、プローブ3を射出成形する金型は、各係合部33はアンダー部分となるので、スライド駒等が必要となる結果、より高価な成形金型になることから、各係合部は別部材と準備して図示のように固定するようにしても良い。
図9(a)は別構成の検出素子収納体20を別構成のプローブ3に圧入した後の様子を示した断面図、図9(b)は図9(a)のX-X線矢視断面図、図9(c)は圧入後に検
出素子収納体20の窓部材26がオーリング40に当接され、取付け基部材23の裏面23cが係合部33と係合して固定され、窓部材26が開口31内に位置する様子を示した断面図である。
出素子収納体20の窓部材26がオーリング40に当接され、取付け基部材23の裏面23cが係合部33と係合して固定され、窓部材26が開口31内に位置する様子を示した断面図である。
図9(a)、(b)において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、取付け基部材23の縁部からは120度間隔で3個の突起部23dが半径方向に延設されている。一方、プローブ3の内側面部34からは円環状の係合部33が一体成形されており、突起部23dを円環状の係合部33の当接面で支持するようにしている。
一方、図9(c)において上記のように圧入後に検出素子収納体20の容器部材20が端面部32に対して図示のように当接され、取付け基部材23の裏面23cが係合部33と係合して固定されることで、窓部材26がオーリング(ガスケット)40に対して当接され、開口31内に位置するように構成されている。以上のように構成した場合でも液密状態を維持できることとなる。
Claims (8)
- 環境温度を検出する温度検出素子と、耳腔内の温度測定部位から放射される赤外線を検出する赤外線検出素子とをプローブに内蔵し、前記2つの検出素子の検出結果に基づいて体温を測定する耳式体温計であって、
前記プローブは、その先端に開口を有するように形成された端面部と、中空筒状体の内側面部と、前記内側面部から内方に突出する係合部と、を有し、
前記2つの検出素子を固定する取付け基部材と、前記開口側に前記赤外線検出素子と対向する孔を有するとともに前記取付け基部材に固定されて前記2つの検出素子を囲い込む筒状の容器部材と、前記孔の上に取り付けられて前記孔を塞ぐととともに赤外線を透過させる窓部材と、を含む検出素子収納体を備え、
前記検出素子収納体の前記窓部材が、シール部材を介して前記プローブの前記開口を塞ぐように前記端面部の前記検出素子側の面に当接され、かつ前記取付け基部材が前記係合部により固定されることを特徴とする耳式体温計。 - 前記検出素子側の面は、前記開口から前記内側面部まで半径方向に延設されるとともに前記シール部材を収容するための溝部を形成した内壁部を形成し、
前記係合部は、前記容器部材の外周面の高さ分に前記窓部材の高さ分を加えた位置から前記シール部材の弾性変形分を引いた位置となるように前記内壁部から離間されて形成される当接面と、前記内側面部からプローブ中心部に向けて傾斜した傾斜面とを形成し、
前記検出素子収納体を前記開口に向けて圧入することで、前記窓部材の表面が前記シール部材を圧縮するように当接され、前記取付け基部材の裏面が前記当接面に係合されることを特徴とする請求項1に記載の耳式体温計。 - 前記取付け基部材はその縁部から半径方向に延設される外側鍔部を備え、前記外側鍔部の裏面が前記係合部の前記当接面に係合されることを特徴とする請求項2に記載の耳式体温計。
- 前記外側鍔部は円盤形状部を有し、前記係合部は内向きに少なくとも2個分形成され、前記係合部が前記円盤形状部の裏面に対して係合されることを特徴とする請求項3に記載の耳式体温計。
- 前記外側鍔部は少なくとも2個の突起部を半径方向に延設し、前記突起部に係合する係合部を前記プローブの前記内周面に連続形成したことを特徴とする請求項3に記載の耳式体温計。
- 前記シール部材は、その断面が円形、菱形、C形、逆C形のラバーまたはエラストマー製、あるいは金属製のオーリングであるであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の耳式体温計。
- 前記シール部材は、その液面が前記溝部から均等に溢れるように前記溝部に対して充填されるとともにその硬化後に液密状態を維持する液状接着剤であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の耳式体温計。
- 体温の測定結果の表示を行う液晶表示装置を覆う本体カバーをさらに備え、前記プローブを前記液晶表示装置の表示面と同じ側となるように前記本体カバーと一体成形したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の耳式体温計。
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