JP3152882B2 - 木材の成形方法 - Google Patents
木材の成形方法Info
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Description
に関するもので、表面硬度が高く外観にも優れた木材成
形品の成形方法に関する。
め、軟化状態の木材を圧縮し高密度化すること、いわゆ
る圧密化は古くから知られ工業的にも実践されている。
たとえば、特開平3−295605号公報によれば、ス
ギの原木を加熱軟化し金型により圧縮して多角形の断面
形状に成形してから、乾燥または冷却再加熱により形状
を固定する。また、特開平3−231802号公報によ
れば、スギの原木を5〜25気圧の飽和水蒸気中で加熱
軟化し、一対の金型間で圧縮して多角形の断面に成形
し、そのまま水蒸気圧を上げて180℃程度まで加熱し
形状を固定する。いずれの場合も、成形された角柱は、
切削によって得られたスギ原木の柱と比較して表面硬度
が高く、加工に際して切削屑も発生しない利点がある。
熱軟化した木材を圧縮終了後直ちに金型から取り出す
と、木材が体積緩和を起こして膨張し、所望の圧密化が
行なわれにくい問題があった。そのため、木材の体積緩
和を抑えるための種々の方法が試みられている。たとえ
ば、圧縮した木材を金型内に保持したまま内部に冷却水
を循環し、木材の温度が軟化点以下になってから金型か
ら取り出す方法、あるいは、圧縮した木材を金型内に保
持したまま昇温し、180℃前後の高温、飽和水蒸気下
で約10分間湿熱処理することにより圧縮構造を固定化
してから金型を冷却し成形品を取り出す方法などであ
る。いずれの方法も、木材の金型内の滞留時間が長くな
り、大量の木材を処理するには効率が悪く製造コストが
高くなる問題があった。
ため、前記金型の内部に体積緩和治具を設ける方法が知
られている。この治具は、木材の圧縮終了と同時に木材
を固定するようになっており、木材はこの治具とともに
冷却され形状の固定がなされる。しかるに、成形品が木
造建築に多用される円柱や角柱などのような細長い形状
である場合、この体積緩和治具が大掛かりで高価となり
経済的でなかった。
な状況に鑑みて、硬度が高く外観美麗な木材成形品を、
木材を圧縮する過程において金型を使用することなく、
経済的に製造することのできる木材成形品の製造方法を
提供しようとするものである。
は二つある。第一の発明は、木材を含水率10〜80%
にする含水率調整工程と、前記含水率が調整された木材
の両木口面を、水分透過性が低く木材との接着性の良好
なポリマーを主成分とする塗料の塗布、あるいは水の透
過しにくいゴムシート若しくはフィルムにより覆う木口
面防水処理工程と、前記木口面防水処理後の木材を液中
に導いて木材の軟化状態で液体の静水圧により圧縮する
加圧圧縮工程と、前記液体の圧力を維持しながら液体温
度を低下させることにより液体中の木材を圧縮状態下木
材の軟化温度以下まで下げて前記木材の圧縮構造を固定
する液圧一定液温低下工程と、前記木材を液中から取り
出す木材の取り出し工程とよりなることを特徴とする木
材の成形方法に係る。
〜80%にする含水率調整工程と、前記含水率が調整さ
れた木材の両木口面を、水分透過性が低く木材との接着
性の良好なポリマーを主成分とする塗料の塗布、あるい
は水の透過しにくいゴムシート若しくはフィルムにより
覆う木口面防水処理工程と、前記木口面防水処理後の木
材を液中に導いて木材の軟化状態で液体の静水圧により
圧縮する加圧圧縮工程と、前記液体の圧力を維持しなが
ら液体温度を140〜180℃まで上昇させることによ
り前記液体中の木材を加熱して当該木材の圧縮構造を固
定する液圧一定液温上昇工程と、前記木材を液中から取
り出す木材の取り出し工程とよりなることを特徴とする
木材の成形方法に係る。
て圧縮するものであるから、金型が不要となって金型に
木材を脱着する作業の煩雑さが解消されしかも金型およ
びその駆動装置などに要するコストも軽減することがで
きる。また、静水中では圧縮状態の木材の移動を簡単か
つ確実に行なうことができるので、成形作業を効率よく
行なうことができる。さらに、金型と木材とが接触する
ことによる傷付きが解消され外観良好な成形品を得るこ
とができる。
実施する圧縮成形装置の一例を示す。この圧縮成形装置
40は、耐圧容器41とヒーター42と水槽43とポン
プ44とを備えている。耐圧容器41は、所定の長さに
切断された丸太類が充分配置可能な大きさに形成されて
いる。ヒーター42は、前記耐圧容器41内に充填され
て圧縮された液体を所定温度に加熱するためのもので、
適当なバンドヒーターなどからなる。このヒーター42
には、図示は省略するが公知のサーモスタットなどを備
えていてもよい。
することができる。なお、水槽43は、前記加圧媒体で
ある水や油などの液体が満たされており、ポンプ44に
より前記耐圧容器41内に液体を導入して、当該耐圧容
器41内の圧力を上昇させることができるようになって
いる。前記液体として特に定めはないが、経済性や扱い
やすさなどを考慮すると水が最も好ましい。なお、目的
に応じて適当な水溶液やエマルジョン、油なども使用す
ることができる。たとえば、木材成形品に耐熱性を必要
とする場合には、加圧媒体に耐熱性液が用いられる。こ
の耐熱性液とは、原料木材との反応性がなく沸点180
℃以上で熱分解せず、しかも毒性もないものが好まし
く、たとえば、シリコンオイルやパラフィンである。
ブ、46は圧抜きバルブ、46aはリリーフバルブ、4
7は蓋で、適当なクランプ48などにより、耐圧容器4
1を密封する。また、49は窒素など適当な不活性ガス
が封入されたボンベである。
は、スギやカラマツなど適当な針葉樹が選択され、枝葉
が落とされて丸太状としたものが用いられる。また、樹
皮は付いたままでも剥いであっても良いが木材10表面
に割れなどのないものが好ましい。この原料木材は、圧
縮成形前にあらかじめその含水率が調整される(含水率
調整工程)。
とは、木材組織内に存在し、水素結合などにより木材構
成物質と結合している水分と、結合していない、いわゆ
る自由水とである。この自由水の含有率があまりに高い
と、細胞や道管内の空間が水で満たされて静水圧による
圧縮は実質的に困難となる。また、含水率をあまりに低
くすると、木材表面に亀裂が発生し、後で述べる圧縮用
媒体が木材内部に浸透したり製品の外観を損ねたりする
ことがある。また、木材の軟化温度が上昇して静水圧に
よる木材の圧縮が困難となるばかりでなく、かかる含水
率を低下させるために多くのエネルギーおよび時間を必
要とし、成形を経済的に行ないにくい問題が生じる。好
ましくは、木材の繊維飽和点付近で、10〜80%であ
る。この木材の含水率を調整する方法としては、乾燥が
最も一般的である。乾燥法には木材を大気中に放置、乾
燥する自然乾燥法から、100℃以上の温度で乾燥する
高温乾燥法までいろいろな乾燥方法が知られているが、
本発明では特に限定されない。
よっては、後記する加圧圧縮時の液圧によってその加圧
媒体が木材の組織内に浸透し、木材の効果的な圧縮を妨
げることがある。たとえば、スギやカラマツなどの針葉
樹の木材を水中で圧縮する場合、木口面を介して内部に
浸透する水分により木材の両端の圧縮が不充分となる。
そのため、前記木口面を、前記水分に対する透過性が低
くかつ木材との接着性の良いポリマーを主成分とする塗
料を塗布するか、あるいは水を透過しにくいゴムシー
ト、あるいはフィルムなどで覆っておくことが好ましい
(木口面防水処理工程)。
記耐圧容器41に入れてポンプ44で液体を注入し、木
材の軟化状態下、液圧で木材10を加圧圧縮する(加圧
圧縮工程)。
ニン、ヘミセルロースの軟化点より高い温度で加熱する
ことが必要である。この軟化点の温度は木材の含水率に
依存し、繊維飽和点以上の水分を含んでいる木材の軟化
点は一般に100℃前後であり、水分が繊維飽和点以下
の場合には、含水率の低下とともに軟化点は上昇する。
したがって、大径の木材を軟化する場合には、長時間の
加熱に対して表層部の過度の乾燥を避けるため、飽和に
近い水蒸気を含んだ熱風中で加熱するのが好ましい。ま
た、この実施例のように、木材を耐圧容器に入れて液体
を満たし、その木材温度が軟化点を超えるまで加熱する
方法もある。すなわち、図示の圧縮成形装置40を用い
る後記実施例では、木材10を収容した耐圧容器41内
に95℃の熱水を注入し、前記耐圧容器41内の空気が
完全に液体で置換された時点でバルブ46bを閉めて耐
圧容器41の内圧を高め、その液体の静水圧によって軟
化状態の木材を加圧圧縮する。なお、前記バルブ46b
を閉めることにより耐圧容器41内の内圧が上昇し、し
ばらく一定範囲で安定してから再び上昇し、その上昇し
た内圧でリリーフバルブ46aが作動する。
したままで液温を低下させて木材10の温度をその軟化
温度以下まで下げることにより、賦形用治具を用いるこ
となく前記木材の圧縮構造を固定する(液圧一定温度低
下工程)。図示の装置40では、前記リリーフバルブ4
6aの作動以降、ポンプ44により冷水の注入速度とリ
リーフバルブ46aからの排水速度が一致し、水圧一定
のまま水温低下するようになっている。
から取り出す(木材の取り出し工程)。その際、図示の
装置40では、前記冷水の供給を中止して内圧を下げた
後、木材10の取り出しを行う。得られた圧縮成形品
は、前記木材が静水圧による間接的な圧縮のみにより賦
形されているので、木質の荒い部分および柔らかい部分
が圧縮され、木質の微細構造を反映した複雑なシワが表
面全体に現れ、そのままでも極めて装飾性が高く床の間
の柱などに好適に使用することができた。
し含水率を調整し(含水率調整工程)、木口面の防水処
理(木材面防水処理工程)を行った後、軟化状態の木材
を液体の静水圧により加圧圧縮し(加圧圧縮工程程)、
液圧を維持したままで液温を上昇させることによって木
材の圧縮構造を固定し(液圧一定液温上昇工程)、その
後に木材を液中から取り出すこと(木材の取り出し工
程)によっても、木材圧縮構造を固定することができ
る。前記液体の上昇温度は、140〜180℃である。
このように、木材の圧縮状態を維持したままで前記液温
を上昇させることにより、木材組織内のヘミセルロー
ス、リグニンが加水分解され、圧縮により組織内に生じ
た内部応力が除去され、その圧縮形状が固定されるので
ある。この方法により得られた圧縮成形品も、第一発明
と同様に、木材が静水圧による間接的な圧縮にのみより
賦形されるので、木材表面に複雑なシワが現れ意匠性に
優れたものとなった。
明する、皮を剥いだスギ丸太(末口直径15cm、長さ
1m)を厚さ100μ(ミクロン)のポリエステルフィ
ルムで密封した後、フィルムにピンホールを開け、11
0度の熱風乾燥機中で三日間乾燥したところ、平均含水
率は37%になった。木材を乾燥機から出し、両木口面
にクロロプレンのメチレンクロライド溶液(20%)を
塗布して乾燥させ、上から塩化ビニリデンフィルムを被
せ耐熱ゴムひもで固定した。次いで、木材の温度が冷え
ないうちにこの木材を、図1の圧縮成形装置40に入
れ、ポンプ44で95℃の熱水を注入した。内部の空気
が完全に熱水で置換された時点でバルブ46bを閉める
と内圧は一気に8〜10気圧まで上昇し、しばらく一定
範囲で安定してから再び上昇し30kg/cm2に達す
るとリリーフバルブ46aが作動し、これ以降はポンプ
44により冷水の注入速度とリリーフバルブ46aから
の排水速度が一致し、水圧一定のまま水温低下した。水
温は冷水の圧入開始後15分で32℃に下がりこれ以降
はほとんど変化しなかった。60分で冷水供給を中止
し、内圧を下げ、木材を取り出した。木材は圧縮前の断
面積の50%の断面積に圧縮され、表面は複雑な凹凸が
認められ、スギの絞り丸太のような外観を呈していた。
15cm、長さ60cm、平均水分率25%のスギ丸太
の両木口に、約100℃の温度でクロロプレン系木材用
接着剤を塗布し、塗布面に食品包装用の市販のポリ塩化
ビニリデンフィルムを圧着した後、図1に示す圧縮成形
装置40に入れ、容器の空隙をシリコーンオイルで満た
し、蓋を装着した。次いでバンドヒーター42で内部を
加熱し温度を100℃にコントロールしたのち、窒素ボ
ンベ49により15kg/cm2で加圧した。この状態
でさらにバンドヒーターによって加熱し木材10を16
0℃まで加熱し、60分保持した後室温まで冷却した。
得られた木材は体積比で原木の52%に圧縮され、表面
は実施例2と同様に絞り丸太状の不規則な凹凸を呈し
た。表面硬度(JIS Z 2101)は1.5kgf
/mm2まで上昇し、またこの木材から切り出された円
盤状試料は沸水中60分の処理によっても寸法変化は微
量であった。
木材の成形方法によれば、木材の圧縮に際し金型を用い
ず静水圧を利用しているので、金型およびその駆動装置
などを設けることによる設備的なコストの上昇を抑える
ことができる。また、耐圧容器内で木材の加圧および形
状賦形を行なうので、容器から木材を出し入れする煩雑
な手間や労力を省くことができるだけでなく、木材の表
面に金型との接触による傷などが生じないので、成形品
表面の美観を保つことができる。しかも、液中では、木
材の移動を楽に行なえるので、前記木材の成形操作をよ
り一層容易に行なうことができる。
のある外観を呈した柱材を得ることができた。さらに、
賦形用の治具が不要であるので、金型に木材を脱着する
作業の煩雑さ、および金型と木材との接触による傷付き
が解消される。しかも、金型およびその駆動装置などに
要するコストも軽減されるので、かかる木材の成形作業
を経済的にかつ効率よく行なうことができる。
一例を示す断面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 木材を含水率10〜80%にする含水率
調整工程と、 前記含水率が調整された木材の両木口面を、水分透過性
が低く木材との接着性の良好なポリマーを主成分とする
塗料の塗布、あるいは水の透過しにくいゴムシート若し
くはフィルムにより覆う木口面防水処理工程と、 前記木口面防水処理後の木材を液中に導いて木材の軟化
状態で液体の静水圧により圧縮する加圧圧縮工程と、 前記液体の圧力を維持しながら液体温度を低下させるこ
とにより液体中の木材を圧縮状態下木材の軟化温度以下
まで下げて前記木材の圧縮構造を固定する液圧一定液温
低下工程と、 前記木材を液中から取り出す木材の取り出し工程とより
なることを特徴とする木材の成形方法。 - 【請求項2】 木材を含水率10〜80%にする含水率
調整工程と、 前記含水率が調整された木材の両木口面を、水分透過性
が低く木材との接着性の良好なポリマーを主成分とする
塗料の塗布、あるいは水の透過しにくいゴムシート若し
くはフィルムにより覆う木口面防水処理工程と、 前記木口面防水処理後の木材を液中に導いて木材の軟化
状態で液体の静水圧により圧縮する加圧圧縮工程と、 前記液体の圧力を維持しながら液体温度を140〜18
0℃まで上昇させることにより前記液体中の木材を加熱
して当該木材の圧縮構造を固定する液圧一定液温上昇工
程と、 前記木材を液中から取り出す木材の取り出し工程とより
なることを特徴とする木材の成形方法。
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