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JP3146696B2 - エンジンの動弁機構用カムフォロア装置の外輪 - Google Patents

エンジンの動弁機構用カムフォロア装置の外輪

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Publication number
JP3146696B2
JP3146696B2 JP30584792A JP30584792A JP3146696B2 JP 3146696 B2 JP3146696 B2 JP 3146696B2 JP 30584792 A JP30584792 A JP 30584792A JP 30584792 A JP30584792 A JP 30584792A JP 3146696 B2 JP3146696 B2 JP 3146696B2
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JP
Japan
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outer ring
cam
outer diameter
engine
cam follower
Prior art date
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Expired - Lifetime
Application number
JP30584792A
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English (en)
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JPH06129433A (ja
Inventor
弘志 岩佐
聡 角川
保行 島崎
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP30584792A priority Critical patent/JP3146696B2/ja
Priority to US08/043,214 priority patent/US5361648A/en
Priority to GB9307264A priority patent/GB2265957B/en
Priority to DE4311507A priority patent/DE4311507C2/de
Publication of JPH06129433A publication Critical patent/JPH06129433A/ja
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  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係るエンジンの動弁機
構用カムフォロア装置の外輪は、例えば自動車用エンジ
ンの動弁機構中に組み込んだ状態で使用する。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジンには各種の構造のもの
があるが、往復ピストン型エンジンの場合は、一部の2
サイクルエンジンを除き、総てクランクシャフトの回転
と同期して開閉する吸気弁及び排気弁を設けている。
【0003】これら吸気弁及び排気弁を駆動する為の動
弁機構としては各種の構造のものが存在するが、例えば
図3に示したSOHC型のものに就いて説明すると、ク
ランクシャフト14の1/2の速度で回転する(4サイ
クルエンジンの場合)1本のカムシャフト15により、
ロッカーアーム16、16を介して吸気弁17及び排気
弁18を往復駆動する様にしている。クランクシャフト
14と同期して回転するカムシャフト15に固設したカ
ム19、19は、ロッカーアーム16、16の端部と摺
接しつつ吸気弁17及び排気弁18を往復駆動する。
【0004】ところで、近年、エンジン運転時に於ける
カム19、19の周面とロッカーアーム16、16等の
相手側部材の対向部分との摩擦力を低減し、エンジン運
転時に於ける燃料消費率の低減を図る為、上記対向部分
に、カム19、19の回転に伴なって回転するカムフォ
ロア装置を設ける事が行なわれる様になった。
【0005】即ち、図4〜図6に示す様に、カム19と
対向するロッカーアーム16の端部に互いに間隔をあけ
て設けた1対の支持壁部20、20に、軸21の両端部
を支持固定し、この軸21の周囲に、ころ22、22を
介するか又は軸21に直接接触する短円筒状の外輪23
を設け、この外輪23の外径面とカム19の外径面とを
互いに当接させて、カム19の回転に伴ない外輪23
が、軸21を中心として回転する様にしている。
【0006】この様な外輪23を設け、カム19とこれ
に対向する部材との間の摩擦を、滑り摩擦から転がり摩
擦に変える事で、燃料消費率が減少する。
【0007】ところで、上述の様なカムフォロア装置を
エンジンの動弁機構中に組み込んだ場合、そのままで
は、外輪23の外径面によりカム19の外径面に加えら
れる変動荷重に起因して、上記カム19の外径面にピッ
チング等の損傷が生じ易い。
【0008】この為、雑誌『自動車工学』1989年7
月号の特集記事「ローラロッカーアームとフリクション
低減効果」の第39頁にも記載されている様に、カム1
9を含むカムシャフト15を、耐ピッチング性に優れ
た、焼き入れ鋳鉄、チル鋳鉄、焼き入れ鋼、或は焼結合
金の様な、高強度・高硬度の金属材料により造る事が行
なわれている。
【0009】一方、特公平1−30008号公報には、
転動面の表面にRmax が0.3〜1.5μmでランダム
方向の擦傷を形成すると共に、表層部に50kgf/mm2
上の残留応力層を形成した軸受転動体に関する発明が記
載されている。
【0010】又、特開平3−117723〜5号公報に
は、バレル加工により表面に多数の凹みをランダムに形
成し、表層部の硬度を内部の硬度に比べて高くすると共
に、表層部に圧縮残留応力を生じさせる発明が記載され
ている。
【0011】又、特開平3−199716号公報には、
相手部材と接触する表面に表面硬化処理層を設けると共
に、圧縮残留応力のピーク値の深さと、剪断応力分布の
ピーク値の深さとを一致させた軸受が記載されている。
【0012】又、特開平4−54312号公報には、シ
ョット・ピーニング加工により、圧縮残留応力を表面部
分で100kgf/mm2 以上とし、表面下300μmの部分
で40kgf/mm2 以上とした軸受部品に関する発明が記載
されている。
【0013】更に、特公平2−17607号公報には、
金属成品の表面に、成品硬度と同等以上の硬度を有す
る、40〜200μmのショットを、噴射速度100m/
sec 以上で噴射し、表面付近の温度をA3 変態点以上に
上昇させる、表面加工処理法に関する発明が記載されて
いる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記雑誌
『自動車工学』に記載されている様に、単にカム19を
含むカムシャフト15を、焼き入れ鋳鉄の様な、高強度
・高硬度の金属材料により造った場合、今度は上記カム
19の外径面と接触する外輪23の外径面にピーリング
が発生し易い。
【0015】即ち、焼き入れ鋳鉄等の固い金属材料によ
り造られたカム19の外径面の仕上加工は、通常の鋳鉄
の仕上加工に比べて難しく、工業的な表面加工方法によ
った場合は、上記カム19の外径面には図8に示す様
に、多数の微小突起が形成され、上記外径面の表面粗さ
が0.4μmRa〜0.8μmRa程度と、比較的粗くなっ
てしまう。一方、外輪23は、カム19よりも更に硬い
軸受鋼により造られているが、形状がカム19を設けた
カムシャフト15に比べて単純である為、表面の超仕上
加工が容易であり、従って外輪23の外径面は、図7〜
8に示す様に、表面粗さが0.05μmRa前後と、滑ら
かに仕上げられる。この為、外輪23の外径面に保持さ
れる潤滑油24の量は限られたものになる。
【0016】この様に、潤滑油24の量が限られると、
カムフォロア装置を構成し、エンジンの運転時にカムの
外径面と滑りながら転がり接触する外輪の場合、ピーリ
ングの発生により寿命が短くなる場合がある。即ち、S
OHC型、DOHC型エンジンの様に、動弁機構がエン
ジン上部に存在する場合、この動弁機構への潤滑油の供
給が必ずしも十分に行なわれず、運転時に於ける潤滑条
件が厳しくなる。この様な条件の下で、上記外輪23の
外径面とカム19の外径面とが、滑りながら転がり接触
した場合、外輪23の外径面に、深さが2〜10μmの
ピーリングが発生し、外輪23の外径面の寿命が短くな
ってしまう。
【0017】この場合に、特開平4−54312号公報
に記載された軸受部品に関する発明を、外輪23に適用
しても、潤滑条件が厳しいと、摩擦条件を問わず、耐ピ
ーリング性が不十分となる。又、特開平3−19971
6号公報に記載されたものは、摩擦条件が転がり摩擦だ
けの場合には特に問題がないが、滑り摩擦が生じた場合
には耐ピーリング性が不良となる。又、特公平1−30
008号公報、特開平3−117723〜5号公報に記
載されたものも、潤滑条件が厳しく、接触部の荷重が大
きい等、使用条件が厳しくなると、やはり耐ピーリング
性が不十分となる。又、特公平2−17607号公報に
記載されたものも、そのままではやはり十分な耐ピーリ
ング性を得る事は出来ない。
【0018】更に、前記各公報の他に、特開昭52−1
7525号公報、同56−150622号公報、特公昭
63−44505号公報には、微小粒径のショットを高
速で被加工面に噴射する加工法、若しくは加工物に関す
る発明が記載されている。但し、これら各公報の何れに
も、十分な耐ピーリング性を有する外輪を得られる技術
は記載されていない。
【0019】この様な事情に鑑みて本発明者は先に、表
面からの深さが0〜50μmの範囲を表層部とした場合
に、この表層部の最大圧縮残留応力が50〜110kgf/
mm2、硬度がHv830〜Hv960であり、表面粗さの平
均波長が25μm以下であり、表層部の在留オーステナ
イトの割合が7容量%を越える、転がり摺動部品に関す
る発明(特願平4−113196号)を行なった。
【0020】この先発明に係る転がり摺動部品を上記カ
ムフォロア装置を構成する外輪として使用すれば、深さ
が2〜10μmのピーリングが発生するのを防止して、
外輪の外径面の寿命を増大させる事が出来る一方、新た
に次に述べる様な、解決すべき問題が発生する。
【0021】即ち、外径面がカム19と接触し、内径面
が軸21又はころ22と接触する外輪の表面全体を、上
記先発明の様な性状とした場合、カム19の外径面並び
に外輪の外径面部分でのピーリング発生防止を図れる
が、バレル加工又は超仕上加工により表面を平滑にされ
た、上記ころ22の転動面部分で、ピーリングが発生し
易くなったり、超仕上加工によりやはり表面を平滑にさ
れた軸21の外径面が摩耗し易くなる。
【0022】本発明のエンジンの動弁機構用カムフォロ
ア装置の外輪は、上述の様な事情に鑑みて発明されたも
のである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明のエンジンの動弁
機構用カムフォロア装置の外輪は、エンジンのクランク
シャフトと同期して回転するカムシャフトに固定された
金属製のカムと、このカムに対向して設けられ、このカ
ムの動きを受ける部材に間隔をあけて形成した1対の支
持壁部と、この1対の支持壁部の間に掛け渡す状態で固
定された軸と、この軸の周囲に回転自在に支承された外
輪とから成るエンジンの動弁機構用カムフォロア装置を
構成する。
【0024】特に、本発明によるエンジンの動弁機構用
カムフォロア装置の外輪は、外径面からの深さが0〜5
0μmの範囲を表層部とした場合に、この表層部の最大
圧縮残留応力が50〜110kgf/mm2 であり、同じく表
層部の硬度がHv830〜Hv960であり、表面粗さの平
均波長が25μm以下であり、上記表層部の残留オース
テナイトの割合が7容量%を越え、且つ、内径面は超仕
上加工を施されている事を特徴としている。
【0025】
【作用】本発明による外輪の場合、その外径面に、深さ
が2〜10μm程度のピーリングが発生する事を有効に
防止して、耐久性を向上させる事が出来る。
【0026】更に詳しく説明すると、厳しい潤滑条件の
下で使用した場合、外輪の外径面は、その表面に形成さ
れた微小突起の先端部のみで、油膜を介する事なく、相
手部品の表面と直接接触(金属接触)する。この際に、
外輪の外径面に加わる荷重の殆どは、相手部品の表面と
接触した、少数の微小突起により支える事になり、各微
小突起には大きな応力が集中すると共に接線力が加わ
る。
【0027】そして、この応力集中と接線力とに基づい
て、上記外輪の外径面に微小なクラックが発生し、この
クラックが進展してピーリングとなる。単に摩耗を防止
する為には、部品表面の硬度を高くすれば良いが、徒に
硬度を高くすると、応力集中に基づいて、ピーリングに
結び付くクラックが発生し易くなる。
【0028】本発明の場合、表層部の硬度をHv830〜
Hv960の範囲に規制したので、摩耗を抑えつつ、ピー
リングに結び付くクラックの発生を防止出来る。上記硬
度がHv830未満の場合、クラックが発生しない代わり
に摩耗が著しくなり、反対に硬度がHv960を越えた場
合には、摩耗が抑えられる代わりにクラックが発生し易
くなって、何れにしても寿命の低下を来す。
【0029】又、最大圧縮残留応力を大きくする事は、
発生したクラックがそれ以上進展するのを防止し、クラ
ックがピーリングに結び付かない様にする為に重要であ
る。但し、外輪の表面に、最大圧縮残留応力が110kg
f/mm2 を越える様な加工を施した場合には、この表面の
硬度がHv960を越えてしまう為、最大圧縮残留応力の
最大値を110kgf/mm2 とした。反対に、最大圧縮残留
応力が50kgf/mm2 未満の場合は、クラックの進展を防
止する効果が小さ過ぎる為、最大圧縮残留応力の最小値
を50kgf/mm2 とした。
【0030】又、表面粗さは、外輪表面と相手部品表面
との間の油膜形成能力に影響し、粗さのピッチ(波長)
が細かい程この油膜形成能力が良く、特にこの波長が2
5μm以下の場合に油膜形成能力が著しく向上する事
が、本発明者が行なった実験により確認された。そこ
で、粗さの平均波長を25μm以下に規制した。尚、本
明細書に於ける、表面粗さの平均波長λa とは、λa
2π・Ra /θa で表わされる。但し、Ra は表面の平
均粗さ、θa は表面に存在する微小突起の傾斜角度の絶
対値の平均である。
【0031】この様に表面粗さの平均波長λa を短くす
る結果、表面に存在する多数の微小突起の間に潤滑油を
保持する能力が向上し、上記外輪表面と相手部品表面と
の間の油膜形成能力が向上して、ピーリングに結び付く
様なクラックが発生しにくくなる。
【0032】更に、延性を有するオーステナイトが多く
残留していた場合には、クラックの発生防止効果を期待
出来るが、残留率が7容量%以下の場合には、クラック
発生防止の効果をあまり期待出来ない。又、上記最大圧
縮残留応力及び硬度の値を、それぞれ前記した範囲に納
める為にも、オーステナイトの残留率を7容量%を越え
る値とする事が必要である。
【0033】即ち、表層部の最大圧縮残留応力と硬度と
が、それぞれ上限値、即ち110kgf/mm2 、Hv960を
越えない様にする為の十分条件として、加工に伴なうオ
ーステナイトの分解率(加工に伴なってオーステナイト
が減少する割合)を30%以下に抑える事がある。一
方、表面加工前に於いて、SUJ2等の軸受鋼中に含まれる
オーステナイトの割合は、11容量%程度である。従っ
て、最大圧縮残留応力と硬度とが上限値を越えない様に
する為には、加工後に於けるオーステナイトの割合が7
容量%を越える事が必要である。尚、ショット・ピーニ
ングによる加工が弱過ぎた場合、最大圧縮残留応力と硬
度とが、それぞれ下限値、即ち、50kgf/mm2 、Hv83
0に達しない。
【0034】一方、超仕上加工を施された外輪の内径面
と、やはりバレル加工又は超仕上加工を施されたころ又
は軸の外径面との間の油膜パラメータΛ(=h/σ、但
しh:EHL油膜厚さ、σ:合成粗さ)は十分に大きく
なる。この結果、外輪の内径面と、ころ又は軸の外径面
との間の潤滑を十分に行なって、上記ころの転動面にピ
ーリングが発生したり、或は軸の外径面が摩耗するのを
防止出来る。この結果、外輪を組み込んだカムフォロア
装置全体の耐久性向上を図れる。
【0035】
【実施例】次に、本発明の外輪を造る為に、外径面を所
定の性状に加工する方法の1例と、本発明の効果を確認
する為に本発明者が行なった実験とに就いて説明する。
【0036】実験を行なうに関して、下表に示す様に、
4種類の本発明品と8種類の比較品との、合計12種類
の試験片を用意した。試験片の素材は何れも軸受鋼(SU
J2)であり、表面に所望の処理を施すのに先立って、通
常行なうのと同様の焼き入れ処理(800〜850℃で
加熱後、油冷)、焼き戻し処理(150〜200℃)を
施した。試験片の大きさは、外径が20mm、内径が13
mm、厚さ(幅)が8mmの短円筒状とした。
【0037】
【表1】
【0038】比較品の内で試験片1のものは、表面を研
磨用のクロスで研磨する事で磨いたのみので、表面を硬
化させる為のショット・ピーニング加工を施していな
い。又、比較品と本発明品とに属する、試験片2〜12
の11種類の試験片に就いては何れも、特開平4−54
312号公報に記載されている発明の場合と同様に、図
1に示す様な装置を用いてショット・ピーニング加工を
施す事で、表面を硬化させ、表層部に大きな圧縮残留応
力を発生させた。
【0039】図1に示したショット・ピーニング装置の
構造と作用とに就いて簡単に説明すると、ホッパ1から
加圧タンク2内に投入された微細なショット粒3は、給
気管4からこの加圧タンク2内に送り込まれる圧縮空気
に押されてミキサ5内に押し込まれる。そして、分岐管
6を通じてこのミキサ5に送られる圧縮空気に押されて
ノズル7に送られ、このノズル7から被加工面に向けて
勢い良く吹き付けられる。この結果、被加工面が硬化
し、この被加工面に圧縮残留応力が生じると共に、この
被加工面に微小な凹凸が形成される。
【0040】尚、ショット粒3としては、試験片2〜1
2の何れに就いても、平均粒径が0.03〜0.7mm、
平均硬度がHRC 61の鋼球を使用した。又、ショット粒
3の投射速度(ノズル7から噴出するショット粒3の初
速度)は、32〜120m/sec (平均投射速度=80m/
sec )とした。この投射速度の調整は、上記分岐管6の
途中に設けた調整弁8の開度を調整する事で行ない、こ
の投射速度の調整に基づき、各試験片2〜12の表面に
生じる圧縮残留応力の調整を行なった。
【0041】又、試験片1及び試験片9〜12の内径面
には、上記ショット・ピーニング加工後、超仕上加工を
施している。試験片2〜8の内径面には、ショット・ピ
ーニング加工を施したのみである。尚、ショット・ピー
ニング加工は、一度に8個ずつ行ない、表層部の硬度、
表層部の残留応力、表層部の残留オーステナイト量、粗
さの平均波長の総てに就いて、ほぼ同じ試験片を8個ず
つ作成した。
【0042】この様にして得られた12種類8個ずつ、
合計96個の試験片1〜12の総てに就いて、図2に示
す様な試験装置による耐久試験を行なった。
【0043】モータにより回転駆動される回転軸9の外
径面2個所位置には、互いに間隔をあけて2個の相手リ
ング10、10を固定している。この相手リング10、
10の間隔に合わせて押圧片11の片面に設けた、1対
の支持片12、12には、それぞれ1個ずつの試験片1
3、13を、それぞれ複数本のころにより回転自在に支
承し、各試験片13、13の外径面と上記相手リング1
0、10の外径面とを接触させている。この結果、上記
回転軸9の回転に伴なって、上記ころを転動させつつ、
各試験片13、13が回転する。従って、図2に示した
試験装置では、同時に2個の試験片13、13の耐久試
験を行なう。
【0044】上記回転軸9の回転速度は、各試験片1
3、13の回転速度が5100r.p.mとなる様に調整し
た。又、上記押圧片11は回転軸9に向けて、356kg
f の力で押圧した。従って、各試験片13、13の外径
面と各相手リング10、10の外径面との接触部には、
それぞれ178kgf のラジアル荷重が加わる。又、各相
手リング10、10の外径面の性状は、試験開始前に於
いて、表面硬度がHRC 60〜61、表面の平均粗さRa
0.38〜0.45であった。更に、上記接触部の潤滑
は、10W−30の鉱物油をはねかける事で行なった。
【0045】試験は400時間打ち切りで行ない、途中
で複数回(試験開始後20時間、50時間、100時
間、以下50時間毎)中断して各試験片13、13の外
径面並びにころの外径面(転動面)を観察し、ピーリン
グ発生の有無を検査した。ピーリングの発生が観察され
た場合には、その時点で当該試験片13、13に関する
耐久試験を終了した。
【0046】この結果、8個の試験片総てに就いて40
0時間経過する迄、外輪の外径面にピーリングが発生し
なかったものを◎とし、1〜3個にピーリングが発生し
たものを○とし、4〜7個にピーリングが発生したもの
を△とし、8個全部にピーリングが発生したものを×と
して、それぞれ前記表の外径部評価の欄に記載した。こ
ろは、一本でもピーリングが発生したら、ころピーリン
グ発生軸受として×とし、400時間経過する迄、1本
もピーリングが発生しなかったものを◎として、それぞ
れころ転動面評価の欄に記載した。
【0047】上記耐久試験の結果を表わす前記表の記載
から明らかな通り、本発明の外輪の外径面は、潤滑条件
が厳しい場合にも、十分な耐ピーリング性を得られる。
又、本発明の外輪の内径面と接触する、ころの転動面の
耐ピーリング性、或は軸の外径面の耐摩耗性も十分に確
保出来る。尚、前記表で各数値の後ろに記載した符号の
内、○は当該数値が本発明の限定範囲に含まれている事
を、×(評価の欄を除く)は当該数値が本発明の限定範
囲から外れている事を、それぞれ表わしている。又、表
層部の最大残留応力の内、+は引っ張り残留応力である
事を、−は圧縮残留応力である事を、それぞれ表わして
いる。
【0048】
【発明の効果】本発明のエンジンの動弁機構用カムフォ
ロア装置の外輪は、以上に述べた通り構成されるが、外
輪の外径面が強化されると共に油膜形成能力の優れた粗
さ形状を形成する為、外輪の外径面にピーリングが発生
する事を防止して、この外輪の耐久性を向上させる事が
出来る。又、内径面は超仕上加工の為、粗さが小さく、
やはりバレル加工又は超仕上加工により平滑にされたこ
ろの転動面、又は軸の外径面との間の油膜パラメータが
大きくなる為、これらころ又は軸の寿命延長が期待出来
る。従って外輪を組み込んだカムフォロア装置全体とし
ての耐久性向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ショット・ピーニング装置の略縦断面図。
【図2】耐久試験装置の半部縦断面図。
【図3】エンジンの動弁機構の1例を示す斜視図。
【図4】図3に示した動弁機構に組込んだカムフォロア
装置の側面図。
【図5】図4のA−A断面図(転がり軸受の場合)。
【図6】図4のA−A断面図(すべり軸受の場合)。
【図7】従来の外輪の外径面に形成された加工痕を示す
模式図。
【図8】図7の部分拡大断面図。
【符号の説明】
1 ホッパ 2 加圧タンク 3 ショット粒 4 給気管 5 ミキサ 6 分岐管 7 ノズル 8 調整弁 9 回転軸 10 相手リング 11 押圧片 12 支持片 13 試験片 14 クランクシャフト 15 カムシャフト 16 ロッカーアーム 17 吸気弁 18 排気弁 19 カム 20 支持壁部 21 軸 22 ころ 23 外輪 24 潤滑油
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16C 33/34 F01L 1/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンのクランクシャフトと同期して
    回転するカムシャフトに固定された金属製のカムと、こ
    のカムに対向して設けられ、このカムの動きを受ける部
    材に間隔をあけて形成した1対の支持壁部と、この1対
    の支持壁部の間に掛け渡す状態で固定された軸と、この
    軸の周囲に回転自在に支承された外輪とから成るエンジ
    ンの動弁機構用カムフォロア装置を構成する上記外輪で
    あって、外径面の表面からの深さが0〜50μmの範囲
    を表層部とした場合に、この表層部の最大圧縮残留応力
    が50〜110kgf/mm2 であり、同じく表層部の硬度
    が、Hv830〜Hv960であり、表面粗さの平均波長が
    25μm以下であり、上記表層部の残留オーステナイト
    の割合が7容量%を越え、且つ、内径面は超仕上加工を
    施されている事を特徴とするエンジンの動弁機構用カム
    フォロア装置の外輪。
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