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JP3144357B2 - チップ抵抗器 - Google Patents

チップ抵抗器

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Publication number
JP3144357B2
JP3144357B2 JP27235397A JP27235397A JP3144357B2 JP 3144357 B2 JP3144357 B2 JP 3144357B2 JP 27235397 A JP27235397 A JP 27235397A JP 27235397 A JP27235397 A JP 27235397A JP 3144357 B2 JP3144357 B2 JP 3144357B2
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JP
Japan
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base
conductive film
chip resistor
less
circuit board
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広美 崎田
賢蔵 磯崎
道生 福岡
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Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、TV,VTR等の
電子機器の回路基板等に用いられるチップ抵抗器に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】図10は従来のインダクタンス素子を示
す側面図である。図10において、1は中央部が両端か
ら段落ちした四角柱状の基台、2は基台1の上に形成さ
れた導電膜、3は導電膜2に設けられた溝、4は導電膜
3の上に積層された保護材である。
【0003】この様な電子部品は、溝3の間隔などを調
整することによって、所定の特性に調整する。
【0004】回路基板には、抵抗器、インダクタンス素
子などの複数種類のチップ部品を大量に実装装置などに
よって回路基板上に実装して構成されている。また、回
路基板には、ランド間に抵抗器は接続しないものの、回
路を構成するためにジャンパー線などを用いることが良
く行われている。このジャンパー線の代わりに導電性を
示し抵抗値が極めて小さいか零である通常零オーム抵抗
器と呼ばれるチップ抵抗器が良く用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記従来
の構成では、ジャンパー線は図10に示すインダクタン
ス素子等とは異質な形状となっているので、回路基板上
に実装する場合に、インダクタンス素子を実装する実装
装置とは別の実装装置などを用いて行わなければならな
いので、作業性が悪く生産性が向上しないという課題が
あった。
【0006】また、従来の零オーム抵抗器は、方向性が
存在し、所定の方向や角度などで設置しなければならな
いという不具合が生じ、これも回路基板などを作製する
上で生産性が向上しない課題となる。
【0007】本発明は、上記従来の課題を解決するもの
で、回路基板などの生産性が向上するチップ抵抗器を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、両端部の断面
形状を多角形状とした角柱状であって絶縁性を有する基
台と、基台の上に形成された導電膜と、導電膜の上に設
けられた耐候性の良い金属膜と、導電膜を設けた基台上
に両端の端子部をむき出しにするように設けられた保護
材とを備え、長さL1,幅L2,高さL3としたとき
に、 L1=0.5〜2.7mm L2=0.2〜2.2mm L3=0.2〜2.2mm としたチップ抵抗器であって、基台の角部に面取りを施
すとともに、基台の全周に導電膜を設け、更に端子部間
の電気抵抗が700mオーム以下とした。
【0009】
【発明の実施の形態】請求項1記載の発明は、両端部の
断面形状を多角形状とした角柱状であって絶縁性を有す
る基台と、前記基台の上に形成された導電膜と、前記導
電膜の上に設けられた耐候性の良い金属膜と、前記導電
膜を設けた前記基台上に両端の端子部をむき出しにする
ように設けられた保護材とを備え、長さL1,幅L2,
高さL3としたときに、 L1=0.5〜2.7mm L2=0.2〜2.2mm L3=0.2〜2.2mm としたチップ抵抗器であって、基台の角部に面取りを施
すとともに、前記基台の全周に導電膜を設け、 更に端子
部間の電気抵抗が700mオーム以下としたことによっ
て、ジャンパー線の様な他のチップ部品と著しく形状の
異なる部品を用いずに、チップ部品と同様の形状のチッ
プ抵抗器で零オーム抵抗器を作製できるので、実装性が
向上し、回路基盤等の生産性を向上させることができ
る。また、基台の両端部の断面形状を多角形状としたこ
とによって、方向性を無くすることができ、どの様な設
置でも均一な特性を得ることができる。また、チップ抵
抗器のサイズを上述の様に規定することによって、実装
密度を向上させることができ、しかも実装の際に、素子
折れなどが発生しないような機械的強度を得ることがで
きる。更に、基台の角部に面取りを施すことで、基台の
欠け等の発生を抑え、特性劣化を防止でき、しかも基台
の上に良好な膜質の導電膜を形成できるので、導電性の
低下を防止できる。加えて、基台の全周に導電膜を設け
たことで、一部の導電膜にダメージ(剥がれ等)が発生
しても十分に所定の導電性を保つことができる。更に、
導電膜の上に耐候性の良い金属膜を設けることで、導電
膜の腐食などを防止することができる。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1におい
て、導電膜の膜厚を1μm〜30μmとしたことで、抵
抗が大きくなるのを防止でき、コスト面や生産性の面で
有利になる。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1におい
て、基台の中央部を段落ちさせ、前記基台の両端部を端
子部とし、前記中央部内に保護材を設けたことによっ
て、保護材を凹部に収納させる構成となるので、保護材
が素子から大きく突出せず、部品の設置性を向上させる
ことができる。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項1において
Cr又はCrと他の金属との合金で構成された中間層を
前記基台と導電膜の間に設けたことによって、導電膜と
基台の密着強度を向上させることができる。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】以下、本発明におけるチップ抵抗器の実施
の形態について説明する。図1,図2はそれぞれ本発明
の一実施の形態におけるチップ抵抗器を示す斜視図及び
側面図である。
【0020】図1において、11は絶縁材料などをプレ
ス加工,押し出し法等を施して構成されている基台、1
2は基台11の上に設けられている導電膜で、導電膜1
2は、メッキ法やスパッタリング法等の蒸着法等によっ
て基台11上に形成される。14は導電膜12上に塗布
された保護材、15,16はそれぞれ端子電極が形成さ
れた端子部で、端子部15と端子部16の間には、保護
材14が設けられている。なお、図2は、保護材14の
一部を取り除いた図である。
【0021】本実施の形態のチップ抵抗器においては、
端子部15と端子部16間の電気抵抗が700mオーム
以下となるように設定されており、好ましくは500m
オーム以下、更に好ましくは100mオーム以下となる
ように、導電膜12の厚みや材料等の条件を選択するこ
とが必要である。この様に端子部15と端子部16との
間の電気抵抗が700mオーム以下としなければ、零オ
ーム抵抗器として十分な特性を得ることはできない。
【0022】また、本実施の形態のチップ抵抗器は、チ
ップ抵抗器の長さL1,幅L2,高さL3は以下の通り
となっていることが好ましい。
【0023】 L1=0.5〜2.7mm(好ましくは0.6〜1.7
mm) L2=0.2〜2.2mm(好ましくは0.3〜0.9
mm) L3=0.2〜2.2mm(好ましくは0.3〜0.9
mm) L1が0.5mm以下であると、取り扱いが難しくなり
生産性が低下する可能性がある。また、L1が2.7m
mを超えてしまうと、素子自体が大きくなってしまい、
電子回路等が形成された基板などの回路基板等の小型化
ができず、ひいてはその回路基板等を搭載した電子機器
等の小型化を行うことができない。また、L2,L3そ
れぞれが0.2mm以下であると、素子自体の機械的強
度が弱くなりすぎてしまい、実装装置などで、回路基板
等に実装する場合に、素子折れ等が発生することがあ
る。また、L2,L3が2.2mm以上となると、素子
が大きくなりすぎて、回路基板等の小型化、ひいては装
置の小型化を行うことができない。なお、L4(段落ち
の深さ)は5μm〜50μm程度が好ましく、5μm以
下であれば、保護材14の厚さ等を薄くしなければなら
ず、良好な保護特性等を得ることができない。また、L
4が50μmを超えると基台の機械的強度が弱くなり、
やはり素子折れ等が発生することがある。
【0024】なお、本実施の形態で表現されるチップ抵
抗器は、極めて低抵抗であるか、もしくは抵抗が零であ
るものであり、ジャンパー線の代わりとなるものであ
る。
【0025】以上の様に構成されたチップ抵抗器につい
て、以下各部の詳細な説明をする。図3は本発明の一実
施の形態におけるチップ抵抗器に用いられる導電膜を形
成した基台の断面図、図4(a)(b)はそれぞれ基台
の側面図及び底面図である。
【0026】まず、基台11の形状について説明する。
基台11は、図3及び図4に示す様に、回路基板等に実
装しやすいように断面が四角形状の中央部11aと中央
部11aの両端に一体に設けられ、しかも断面が四角形
状の端部11b,11cによって構成されている。な
お、端部11b,11c及び中央部11aは断面四角形
状としたが、五角形状や六角形状などの多角形状でも良
い。中央部11aは端部11b,11cから段落ちした
構成となっている。本実施の形態では、端部11b,1
1cの断面形状を略正四角状とすることによって、回路
基板等へのチップ抵抗器を装着性を良好にした。また、
本実施の形態では、どのように回路基板等に実装しても
方向性が無いために、取り扱いが容易になる。また、中
央部11aには素子部(保護材14)が形成されること
となり、端部11b,11cには端子部15,16が形
成される。
【0027】なお、本実施の形態では、中央部11a及
び端部11b,11cをともに略正四角形状としたが、
正五角形状等の正多角形状にしてもよい。さらに、本実
施の形態では、中央部11aと端部11c,11bそれ
ぞれの断面形状を正四角形というように同一にしたが、
異なっても良い。すなわち、端部11b、11cの断面
形状を正多角形状とし、中央部11aの断面形状を他の
多角形状としたり、円形状としても良い。この様に中央
部11aを断面円形状にすることによって、導電膜12
の膜質を向上させることができ、良好な低抵抗のチップ
部品を提供することができる。
【0028】さらに、本実施の形態では、中央部11a
を端部11b,11cより段落ちさせることによって、
保護材14を塗布した際に、その保護材14と回路基板
等が接触することなどを防止していたが、特に保護材1
4の厚みや実装される回路基板等の状況(回路基板等の
電極部が盛り上がっている等)によって、中央部11a
を段落ちさせなくてもよい。中央部11aを端部11
b,11cから段落ちさせないと、基台11の構造が簡
単になり、生産性が向上し、さらに中央部11aの機械
的強度も向上する。この様に段落ちさせない場合でも、
断面四角形状の四角柱形状としてもよいし、さらに断面
を多角形状とする角柱とすることもできる。
【0029】また、図4(a)に示す様に基台11の端
部の高さZ1及びZ2は下記の条件を満たすことが好ま
しい。
【0030】|Z1−Z2|≦80μm(好ましくは5
0μm) Z1とZ2の高さの違いが80μm(好ましくは50μ
m以下)を超えると、素子を基板に実装し、半田等で回
路基板等に取り付ける場合、半田等の表面張力によって
素子が一方の端部に引っ張られて、素子が立ってしまう
というマンハッタン現象の発生する確率が非常に高くな
る。このマンハッタン現象を図5に示す。図5に示すよ
うに、基板200の上にチップ抵抗器を配置し、端子部
15,16それぞれと基板200の間に半田201,2
02が設けられているが、リフローなどによって半田2
01,202を溶かすと、半田201,202のそれぞ
れの塗布量の違いや、材質が異なることによる融点の違
いによって、溶融した半田201,202の表面張力が
端子部15と端子部16で異なり、その結果、図5に示
すように一方の端子部(図5の場合は端子部15)を中
心に回転し、チップ抵抗器が立ち上がってしまう。Z1
とZ2の高さの違いが80μm(好ましくは50μm以
下)を超えると、素子が傾いた状態で基板200に配置
されることとなり、素子立ちを促進する。また、マンハ
ッタン現象は特に小型軽量のチップ型の電子部品(チッ
プ型チップ抵抗器を含む)において顕著に発生し、しか
もこのマンハッタン現象の発生要因の一つとして、端子
部15,16の高さの違いによって素子が傾いて基板2
00に配置されることを着目した。この結果、Z1とZ
2の高さの差を80μm以下(好ましくは50μm以
下)となるように、基台11を成形などで加工すること
によって、このマンハッタン現象の発生を大幅に抑える
ことができた。Z1とZ2の高さの差を50μm以下と
することによって、ほぼ、マンハッタン現象の発生を抑
えることができる。
【0031】次に基台11の面取りについて説明する。
図6は本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器に用
いられる基台の斜視図である。図6に示されるように、
基台11の端部11b,11cそれぞれの角部11e,
11dには面取りが施されており、その面取りした角部
11e,11dのそれぞれの曲率半径R1及び中央部1
1aの角部11fの曲率半径R2は以下の通りに形成さ
れることが好ましい。
【0032】0.03<R1<0.15(mm) 0.01<R2(mm) R1が0.03mm以下であると、角部11e,11d
が尖った形状となっているので、ちょっとした衝撃など
によって角部11e,11dに欠けなどが生じることが
あり、その欠けによって、特性の劣化等が発生したりす
る。また、R1が0.15mm以上であると、角部11
e,11dが丸くなりすぎて、前述のマンハッタン現象
を起こしやすくなり、不具合が生じる。更にR2が0.
01mm以下であると、角部11fにバリなどが発生し
やすく、中央部11a上に形成され、しかも素子の特性
を大きく左右する導電膜12の厚みが角部11fと平坦
な部分で大きく異なることがあり、素子特性のばらつき
が大きくなる。
【0033】次に基台11の構成材料について説明す
る。基台11の構成材料として下記の特性を満足してお
くことが好ましい。
【0034】熱膨張係数:5×10-4以下(好ましくは
2×10-5以下)[20℃〜500℃における熱膨張係
数] 曲げ強度:1300kg/cm2以上(好ましくは20
00kg/cm2以上) 密度:2〜5g/cm3(好ましくは3〜4g/cm3) 基台11の構成材料が体積固有抵抗が1013以下である
と、導電膜12とともに基台11にも所定に電流が流れ
始めるので、並列回路が形成された状態となり、自己共
振周波数f0及びQ値が低くなってしまい、高周波用の
素子としては不向きである。
【0035】また熱膨張係数が5×10-4以上である
と、基台11にヒートショック等でクラックなどが入る
ことがある。すなわち熱膨張係数が5×10-4以上であ
ると、基台11にクラックなどが生じることあるが、上
述の様な熱膨張係数を有することによって、大幅にクラ
ック等の発生を抑止できる。
【0036】曲げ強度が1300kg/cm2以下であ
ると、実装装置で回路基板等に実装する際に素子折れ等
が発生することがある。
【0037】密度が2g/cm3以下であると、基台1
1の吸水率が高くなり、基台11の特性が著しく劣化
し、素子としての特性が悪くなる。また密度が5g/c
3以上になると、基台11の重量が重くなり、実装性
などに問題が発生する。特に密度を上記範囲内に設定す
ると、吸水率も小さく基台11への水の進入もほとんど
なく、しかも重量も軽くなり、チップマウンタなどで基
板に実装する際にも問題は発生しない。
【0038】この様に基台11の熱膨張係数,曲げ強
度,密度を規定することによって、ヒートショック等で
基台11にクラック等が発生することを抑制できるの
で、不良率を低減することができ、更には、機械的強度
を向上させることができるので、実装装置などを用いて
回路基板等に実装でき、生産性が向上する等の優れた効
果を得ることができる。
【0039】上記の諸特性を得る材料としては、アルミ
ナを主成分とするセラミック材料が挙げられる。しかし
ながら、単にアルミナを主成分とするセラミック材料を
用いても上記諸特性を得ることはできない。すなわち、
上記諸特性は、基台11を作製する際のプレス圧力や焼
成温度及び添加物によって異なるので、作製条件などを
適宜調整しなければならない。具体的な作製条件とし
て、基台11の加工時のプレス圧力を2〜5t,焼成温
度を1500〜1600℃,焼成時間1〜3時間等の条
件が挙げられる。また、アルミナ材料の具体的な材料と
しては、Al23が92重量%以上,SiO2が6重量
%以下,MgOが1.5重量%以下,Fe23が0.1
%以下,Na2Oが0.3重量%以下等が挙げられる。
【0040】次に基台11の表面粗さについて説明す
る。なお、以下の説明で出てくる表面粗さとは、全て中
心線平均粗さを意味するものであり、導電膜12の説明
等に出てくる粗さも中心線平均粗さである。
【0041】基台11の表面粗さは0.15〜0.5μ
m程度、好ましくは0.2〜0.3μm程度がよい。図
7は本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器に用い
られる基台11の表面粗さと剥がれ発生率を示したグラ
フである。図7は下記に示すような実験の結果である。
基台11及び導電膜12はそれぞれアルミナ,銅で構成
し、基台11の表面粗さをいろいろ変えたサンプルを作
製し、その各サンプルの上に同じ条件で導電膜12を形
成した。それぞれのサンプルに超音波洗浄を行い、その
後に導電膜12の表面を観察して、導電膜12の剥がれ
の有無を測定した。基台11の表面粗さは、表面粗さ測
定器(東京精密サーフコム社製 574A)を用いて、
先端Rが5μmのものを用いた。この結果から判るよう
に平均表面粗さが0.15μm以下であると、基台11
の上に形成された導電膜12の剥がれの発生率が5%程
度であり、良好な基台11と導電膜12の接合強度を得
ることができる。更に、表面粗さが0.2μm以上であ
れば導電膜12の剥がれがほとんど発生していないの
で、できれば、基台11の表面粗さは0.2μm以上が
好ましい。導電膜12の剥がれは、素子の特性劣化の大
きな要因となるので、歩留まり等の面から発生率は5%
以下が好ましい。
【0042】また、基台11の表面粗さが0.5μm以
上であると、基台11上に形成される導電膜12の膜質
が悪くなり、抵抗値が上昇することになる。
【0043】以上の様に、導電膜12と基台11との密
着強度及び導電膜12の膜質の双方の結果から判断する
と、基台11の表面粗さは、0.15μm〜0.5μm
が好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.3μmが良
い。
【0044】なお、本実施の形態では、導電膜12と基
台11の接合強度を基台11の表面粗さを調整すること
によって、向上させたが、例えば、基台11と導電膜1
2の間にCr単体またはCrと他の金属の合金の少なく
とも一方で構成された中間層を設けることによって、表
面粗さを調整せずとも導電膜12と基台11の密着強度
を向上させることができる。もちろん基台11の表面粗
さを調整し、その上その基台11の上に中間層及び導電
膜12を積層する場合では、より強力な導電膜12と基
台11の密着強度を得ることができる。
【0045】次に導電膜12について説明する。導電膜
12の構成材料としては、銅,銀,金,ニッケルなどの
導電材料が挙げられる。この銅,銀,金,ニッケル等の
材料には、耐候性等を向上させために所定の元素(パラ
ジウム,チタン,白金等の少なくとも1つ)を添加して
もよい。また、導電材料と非金属材料等の合金を用いて
もよい。構成材料としてコスト面や耐食性の面及び作り
易さの面から銅及びその合金がよく用いられる。導電膜
12の材料として、銅等を用いる場合には、まず、基台
11上に無電解メッキによって下地膜を形成し、その下
地膜の上に電解メッキにて所定の銅膜を形成して導電膜
12が形成される。更に、合金等で導電膜12を形成す
る場合には、スパッタリング法や蒸着法で構成すること
が好ましい。また、構成材料に銅及びその合金を用いた
場合導電膜12の形成厚みは1μm以上が好ましい。厚
みが1μmより薄いと、導電膜12の抵抗が大きくなり
零オーム抵抗器としての所定の特性を得ることができに
くい。また、コスト面や生産性を考えた場合には、導電
膜12の膜厚は30μm以下とすることが好ましい。
【0046】導電膜12は単層で構成してもよいが、多
層構造としてもよい。すなわち、構成材料の異なる導電
膜を複数積層して構成しても良い。例えば、基台11の
上に先ず銅膜を形成し、その上に耐候性の良い金属膜
(ニッケル等)を積層する事によって、やや耐候性に問
題がある銅の腐食を防止することができる。
【0047】導電膜12の形成方法としては、メッキ法
(電解メッキ法や無電解メッキ法など),スパッタリン
グ法,蒸着法等が挙げられる。この形成方法の中でも、
量産性がよく、しかも膜厚のばらつきが小さなメッキ法
がよく用いられる。
【0048】導電膜12の表面粗さは1μm以下が好ま
しく、更に好ましくは0.2μm以下が好ましい。導電
膜12の表面粗さが1μmを超えると、表皮効果によっ
て導電率が低下する。
【0049】以上の様に導電膜12の表面粗さは、1.
0μm以下が良く、更に好ましくは、0.2μm以下と
することによって、導電膜12の表皮効果を低減させる
ことができ、導電率を向上させる事ができる。
【0050】更に導電膜12と基台11の密着強度は、
導電膜12を形成した基台11を400℃の温度下に数
秒間放置した後に基台11から導電膜12がはがれない
程度以上であることが好ましい。素子を基板等に実装し
た際に、素子には自己発熱や他の部材からの熱が加わる
ことによって、素子に200℃以上の温度が加わること
がある。従って、400℃で基台11からの導電膜12
のはがれが発生しない程度の密着強度であれば、たとえ
素子に熱が加わっても、素子の特性劣化等は発生しな
い。
【0051】次に保護材14について説明する。保護材
14としては、耐候性に優れ、絶縁性を示す有機材料、
例えばエポキシ樹脂などの絶縁性を示す材料が用いられ
る。
【0052】また、保護材14は、図8に示すように厚
さがZ1が5μm以上となるように塗布することが好ま
しい。Z1が5μmより小さいと特性劣化や放電などが
発生し易くなり素子の特性が大幅に劣化することが考え
られる。
【0053】次に端子部15,16について説明する。
端子部15,16は、導電膜12のみでも十分に機能す
るが、様々な環境条件等に順応させるために、多層構造
とすることが好ましい。
【0054】図9は本発明の一実施の形態におけるチッ
プ抵抗器の端子部15の断面図である。図9において、
基台11の端部11bの上に導電膜12が形成されてお
り、しかも導電膜12の上には耐候性を有するニッケ
ル,チタン等の材料で構成される保護層300が形成さ
れており、更に保護層300の上には半田等で構成され
た接合層301が形成されている。保護層300は接合
層と導電膜12の接合強度を向上させるとともに、導電
膜の耐候性を向上させることができる。本実施の形態で
は、保護層300の構成材料として、ニッケルかニッケ
ル合金の少なくとも一方とし、接合層301の構成材料
としては半田を用いた。保護層300(ニッケル)の厚
みは2〜7μmが好ましく、2μmを下回ると耐候性が
悪くなり、7μmを上回ると保護層300(ニッケル)
自体の電気抵抗が高くなり、素子特性が大きく劣化す
る。また、接合層301(半田)の厚みは5μm〜10
μm程度が好ましく、5μmを下回ると半田食われ現象
が発生して素子と回路基板等との良好な接合が期待でき
ず、10μmを上回るとマンハッタン現象が発生し易く
なり、実装性が非常に悪くなる。
【0055】以上の様に構成されたチップ抵抗器は、特
性劣化が無く、しかも、実装性及び生産性が非常によ
い。
【0056】以上の様に構成されたチップ抵抗器につい
て、以下その製造方法について説明する。
【0057】まず、アルミナ等の絶縁材料をプレス成形
や押し出し法によって、基台11を作製する。次にその
基台11全体にメッキ法やスパッタリング法などによっ
て導電膜12を形成し、その後に保護材14を塗布し、
乾燥させる。
【0058】この時点でも、製品は完成するが、特に端
子部15,16にニッケル層や半田層を積層して、耐候
性や接合性を向上させることもある。ニッケル層や半田
層は、メッキ法等によって保護材14を形成した後に形
成する。
【0059】以上の様に構成されたチップ抵抗器は、従
来の様なジャンパー線の構造とは異なり、チップ部品と
してのインダクタンス素子と同じ様な構成とすることが
できるので、回路基板上にチップ抵抗器を実装する場合
に、実装効率や実装速度を大幅に向上させることができ
る。
【0060】また、両端を四角形状とすることによっ
て、チップ抵抗器を回路基板上に実装する場合に、設置
の方向性を考慮しなくても良いので、部品の実装の際の
取り扱いが容易になり、実装効率や実装速度及び実装精
度などを大幅に向上させることができる。
【0061】更に、基台11全周に渡って導電膜12を
設けているので、例え、一部の導電膜12に剥がれ等が
発生した場合でも、十分に両端子部15,16間の電気
抵抗を700mオーム以下(好ましくは500mオーム
以下、更に好ましくは100mオーム以下)とすること
ができる。
【0062】
【0063】
【0064】
【発明の効果】本発明は、両端部の断面形状を多角形状
とした角柱状であって絶縁性を有する基台と、基台の上
に形成された導電膜と、導電膜の上に設けられた耐候性
の良い金属膜と、導電膜を設けた基台上に両端の端子部
をむき出しにするように設けられた保護材とを備え、長
さL1,幅L2,高さL3としたときに、 L1=0.5〜2.7mm L2=0.2〜2.2mm L3=0.2〜2.2mm としたチップ抵抗器であって、基台の角部に面取りを施
すとともに、基台の全周に導電膜を設け、更に端子部間
の電気抵抗が700mオーム以下としたことによって、
回路基板等への実装性を向上させることができる。
た、基台の両端部の断面形状を多角形状としたことによ
って、方向性を無くすることができ、どの様な設置でも
均一な特性を得ることができる。また、チップ抵抗器の
サイズを上述の様に規定することによって、実装密度を
向上させることができ、しかも実装の際に、素子折れな
どが発生しないような機械的強度を得ることができる。
更に、基台の角部に面取りを施すことで、基台の欠け等
の発生を抑え、特性劣化を防止でき、しかも基台の上に
良好な膜質の導電膜を形成できるので、導電性の低下を
防止できる。加えて、基台の全周に導電膜を設けたこと
で、一部の導電膜にダメージ(剥がれ等)が発生しても
十分に所定の導電性を保つことができる。更に、導電膜
の上に耐候性の良い金属膜を設けることで、導電膜の腐
食などを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器を
示す斜視図
【図2】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器を
示す側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器に
用いられる導電膜を形成した基台の断面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器に
用いられる基台を示す図
【図5】マンハッタン現象を示す側面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器に
用いられる基台の斜視図
【図7】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器に
用いられる基台の表面粗さと剥がれ発生率を示したグラ
【図8】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の
保護材を設けた部分の側面図
【図9】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の
端子部の断面図
【図10】従来のインダクタンス素子を示す側面図
【符号の説明】
11 基台 11a 中央部 11b,11c 端部 11d,11e,11f 角部 12 導電膜 14 保護材 15,16 端子部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−316004(JP,A) 特開 平8−138902(JP,A) 特開 平8−316003(JP,A) 特開 平8−321405(JP,A) 特開 平5−283210(JP,A) 特開 平10−335104(JP,A) 特開 平9−275002(JP,A) 特開 平10−135014(JP,A) 実開 平6−82802(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01C 7/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両端部の断面形状を多角形状とした角柱状
    であって絶縁性を有する基台と、前記基台の上に形成さ
    れた導電膜と、前記導電膜の上に設けられた耐候性の良
    い金属膜と、前記導電膜を設けた前記基台上に両端の端
    子部をむき出しにするように設けられた保護材とを備
    、長さL1,幅L2,高さL3としたときに、 L1=0.5〜2.7mm L2=0.2〜2.2mm L3=0.2〜2.2mm としたチップ抵抗器であって、基台の角部に面取りを施
    すとともに、前記基台の全周に導電膜を設け、 更に端子
    部間の電気抵抗が700mオーム以下としたことを特徴
    とするチップ抵抗器。
  2. 【請求項2】導電膜の膜厚を1μm〜30μmとした請
    求項1記載のチップ抵抗器。
  3. 【請求項3】基台の中央部を段落ちさせ、前記基台の両
    端部を端子部とし、前記中央部内に保護材を設けたこと
    を特徴とする請求項1記載のチップ抵抗器。
  4. 【請求項4】Cr又はCrと他の金属との合金で構成さ
    れた中間層を前記基台と導電膜の間に設けたことを特徴
    とする請求項1記載のチップ抵抗器。
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