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JP3142593B2 - 耐候性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

耐候性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物

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Publication number
JP3142593B2
JP3142593B2 JP3629591A JP3629591A JP3142593B2 JP 3142593 B2 JP3142593 B2 JP 3142593B2 JP 3629591 A JP3629591 A JP 3629591A JP 3629591 A JP3629591 A JP 3629591A JP 3142593 B2 JP3142593 B2 JP 3142593B2
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JP
Japan
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resistance
monomer
polymerization
copolymer
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JP3629591A
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木 浩 樹 柏
孝 小久保
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕
【産業上の利用分野】本発明は、耐候性、耐薬品性及び
耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】スチレン−アクリロニトリル共重合体等か
らなるマトリックス中にゴム弾性体粒子が分散した組成
を有するゴム変性樹脂は優れた耐衝撃性を示し、かつ、
成形が容易であるので、電気器具、自動車その他の部
品、筐体等の材料として広く使用されている。この場
合、ゴム弾性体として、ポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)等の共役
ジエン系重合体が広く採用されている。これは、共役ジ
エン系重合体は分子内に二重結合を有するので、架橋が
容易であり、またマトリックス(連続相)とのグラフト
結合が容易に形成される等の特徴を有するので耐衝撃性
の優れたゴム変性樹脂、いわゆるABS樹脂、が容易に
得られるからであるが、一方これらのゴム変性樹脂は、
上述のように分子内に二重結合が残存するゴム弾性体を
使用しているので、耐候性が劣っている。特に、直射日
光にさらされた場合の物性の劣化が著しく、屋外用機器
類の筐体等の使用には制約があった。
【0003】
【従来の技術】このような問題を解決する手段として、
ゴム弾性体にポリブチルアクリレートその他のアクリル
酸アルキルエステルの共重合体、エチレン−プロピレン
−非共役ジエン三元共重合体(EPDM)その他のモノ
オレフィン系ゴム弾性体等の、分子内に二重結合を全く
あるいは少量しか有しない飽和ゴム弾性体を用いること
が知られていた。しかしながら、これらの飽和ゴム変性
樹脂は耐候性の改良には著しい向上がみられるが、耐衝
撃性等の機械的物性に問題があった。これは、本発明者
の考察によると、アクリル酸エステル系重合体では、慣
用される技法であるそのラテックスに対するグラフト反
応が十分に進行しないこと、また、EPDM等では、こ
れをラテックス状態で得ることが困難であることから、
慣用される技法が溶液重合法であるところ、EPDM等
は単量体に対する溶解性が不良であること等の理由によ
り、粒径分布の制御が十分にできなかったこと等による
ものである。
【0004】他方、ABS樹脂はハイインパクトポリス
チレンに比べ、アクリロニトリルをマトリックス成分に
含有することから耐薬品性に優れているが、その用途、
応用の拡大とともに、尚一層の耐薬品性の向上が要求さ
れるようになり、そのためにさらにマトリックス中のア
クリロニトリル含有量を増したいわゆるハイニトリル樹
脂が開発されるに至った。しかしながら、アクリロニト
リルの含有量の増大にともない、ジエン系ゴムをベース
とするABS樹脂の黄味が強くなって、着色等に問題が
生じるようになった。さらに、このハイニトリル樹脂の
についても、耐薬品性と同時に耐候性の要求される用途
が出始めている。
【0005】〔発明の概要〕
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点を有しない、耐候性かつ耐薬品性である耐衝撃性
樹脂組成物を得ることを目的とするものであり、飽和ゴ
ムを用いシアン化ビニル単量体を主成分とする樹脂成分
をマトリックスに持つと効果があるとの発見に基くもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による熱可塑性樹
脂組成物は、下記の成分(A)及び(B)からなり、成
分(A)を下記ゴム弾性体粒子が組成物中に5〜40重
量%の含有量に配合したこと、を特徴とするものであ
る。
【0007】成分(A): 芳香族ビニル単量体残基10〜50重量%、シアン化ビ
ニル単量体残基50〜90重量%及びメタクリル酸メチ
ル残基0〜40重量%(但し、単量体残基の量は、その
合計を100重量%とする。以下、同様。)からなるマ
トリックス50〜300重量部中に、炭素数1〜12の
一価アルキルアルコールとアクリル酸とのエステルの残
基70〜99.92重量%、該アクリル酸エステルと共
重合可能なビニル単量体の残基0〜27重量%及び多官
能性ビニル単量体残基0.08〜3重量%からなり、平
均粒径が0.05〜0.45μmである架橋したゴム弾
性体粒子100重量部が分散してなるグラフト共重合体
(A)、並びに
【0008】成分(B): 芳香族ビニル単量体残基10〜50重量%、シアン化ビ
ニル単量体残基50〜90重量%及びメタクリル酸メチ
ル残基0〜40重量%からなる共重合体(B)。
【0009】〔発明の具体的説明〕
【0010】本発明による熱可塑性樹脂組成物は、グラ
フト共重合体(A)と熱可塑性共重合体(B)とを配合
して成るものであるが、グラフト共重合体(A)の配合
量を、該グラフト共重合体(A)中のゴム弾性率の含量
が組成物中に5〜40重量%の割合で含量する様に配合
したものである。
【0011】<成分(A)> <成分(A)の内容>本発明に係る樹脂組成物を構成す
るグラフト共重合体(A)は、そのマトリックスおよび
そこに分散する架橋したゴム弾性体粒子からなるもので
あるが、典型的には、このグラフト共重合体は、後記す
るような乳化重合で得られる架橋したアクリルゴムに、
グラフト重合工程を経させることによって製造される。
このグラフト共重合体(A)は、アクリロニトリル・ア
クリル系ゴム・スチレン共重合体(AAS樹脂)を基に
した高ニトリル樹脂である。
【0012】本発明におけるグラフト共重合体(A)を
製造するためのアクリルゴムは、先ずアルキル基の炭素
数1〜12のアルキルアクリレート単量体残基70〜9
9.92重量%、上記アルキルアクリレートと共重合可
能なビニル単量体の残基0〜27重量%、および多官能
性ビニル単量体0.08〜3重量%(重量%は、合計量
基準)よりなる。アルキルアクリレート残基の含有量が
70重量%より少ない場合には、アクリル系ゴムの弾性
率が大きくなるので好ましくない。多官能性ビニル単量
体の残基により、当該アクリレート共重合体の分子間架
橋、マトリックスとのグラフト結合等が容易となって、
本発明組成物の耐衝撃性が向上する。しかし、多官能性
ビニル単量体の残基の含有量は、0.08〜3重量%、
好ましくは0.1〜2重量%、の範囲で選ばなければな
らない。この多官能性ビニル単量体残基が0.08重量
%未満であると、得られるアクリル系ゴムは架橋度が低
くて塑性変性し易い傾向があるので、得られる熱可塑性
樹脂組成物の外観(艶)が不良となり、耐衝撃性も向上
し難くなる。一方、3重量%を超えると、得られるグラ
フト共重合体(A)のアクリル系ゴムの膨潤率およびグ
ラフト率が不良となり、ゴムの諸性質が低下するので好
ましくない。第三の成分である「任意」単量体の残基の
含有量は、0〜27重量%の範囲で選ばなければならな
い。この共重合可能なビニル単量体の含有量が、27重
量%を超えると弾性率が大きくなり、アクリル系ゴムと
しての諸性質が低下するので好ましくない。
【0013】そして、このアクリルゴムは、平均ゴム粒
子径が、0.05〜0.45μm、好ましくは0.1〜
0.35μmの範囲にあるものである。ゴム弾性体の平
均粒径が、0.05μm未満であると耐衝撃性が改善さ
れず、0.45μmを超えるとゴムラテックスから成分
(A)を製造する際にラテックスが不安定となり、ま
た、得られる組成物の耐衝撃性、表面光沢等が低下する
ので好ましくない。特に、後記する特定単量体比のシア
ン化ビニル化合物/芳香族ビニル化合物をグラフト重合
させたグラフト共重合体(成分(A))が成分(B)を
配合したときに最も高い物性バランスを発生するために
は、平均ゴム粒子径は0.1〜0.35μmの範囲にあ
ることが好ましい。「平均粒径」は重量平均で表わした
ものである。なお、本発明組成物中のゴム粒子径は、こ
のゴム弾性体を乳化重合で製造した場合に得られるラテ
ックスの粒子径と実質的に同じと考えることができる。
【0014】このような架橋したアクリルゴムは、所定
単量体残基を与える単量体を、一時にあるいは段階的
に、適当な重合条件、好ましくは乳化重合条件、に付す
ことによって製造することができる。
【0015】すなわち、先ず、このアクリルゴムの構成
成分であるアルキルアクリレート単量体は、アルキル基
の炭素数12、好ましくは4〜8、のアルキルアクリレ
ート(すなわち、アルキル基を与えるアルコールは一価
アルコールである)である。その具体例としては、メチ
ルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリ
レート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレ
ート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オ
クチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレー
ト等のアルキルアクリレートを挙げることができる。こ
れらは、1種又は2種以上の混合物であっても良い。好
ましいアクリレートはn−ブチルアクリレート及び(又
は)2−エチルヘキシルアクリレートである。
【0016】なお、炭素数が上記範囲外であると、十分
なゴム弾性が得られないので好ましくない。
【0017】このアルキルアクリレートと共重合可能な
ビニル単量体としては、後記する芳香族ビニル単量体、
後記するシアン化ビニル単量体、アクリルアマイド、メ
タクリルアマイド、塩化ビニルないしビニリデン、アル
キル(C1 〜C6 程度)ビニルエーテル、アルキル(C
1 〜C6 程度)メタクリレート、ビニルエステルたとえ
ば酢酸ビニル、およびそのハロゲン置換化合物等の単官
能性ビニル単量体があげられる。これらの「任意」単量
体としては、共重合して得られるアクリルゴムの補強ゴ
ムとしての性質及びグラフト重合反応性等を改善向上さ
せる機能をもつものが好ましい。具体的には、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチル
スチレン、p−ビニルトルエンその他のビニルトルエン
類、アルキルメタアクリレート、2−クロロエチルビニ
ルエーテル、モノクロル酢酸ビニル、メトキシエチルア
クリレート等が挙げられる。なお、アクリル化合物を例
示していることから明らかなように、「ビニル単量体」
は「エチレン性不飽和単量体」と同義である。これら
は、1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0018】上記のアルキルアクリレートと共重合させ
ることができる他の群のビニル単量体は、多官能ビニル
単量体である。
【0019】本発明における多官能性ビニル単量体は、
アクリル系ゴムを架橋するために、単量体1分子中に2
個以上のビニル基を含有するビニル単量体をいう。この
多官能性ビニル単量体の具体例としては、ジビニルベン
ゼン、ジビニルトルエン等の芳香族多官能性ビニル単量
体、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート等の多価アルコールのメ
タクリレートおよびアクリレート、ジアリルマレート、
ジアリルフマレート、トリアリルイソシアヌレート、ジ
アリルフタレート、アリルメタクリレート、アリルアク
リレート等があげられる。これらは、1種または2種以
上の混合物であってもよい。
【0020】本発明におけるアクリル系ゴムは、好まし
くは、公知の水を媒体とした乳化重合法によって、乳化
剤および重合触媒の種類および量とその添加方法、各単
量体の添加方法、重合温度、ゴム粒子の調整方法等の種
々の条件を適宜選択し組み合わせて、製造することがで
きる。乳化重合法以外の懸濁重合法等によってもよい
が、乳化重合法によるのが粒径および架橋度の制御、グ
ラフト重合が容易であること等から好ましい。
【0021】乳化重合法自身は慣用のものであり得て、
具体的には所定量の上記単量体混合物を乳化剤を用いて
水に分散させ、適当な開始剤を用いて重合を開始する。
乳化剤としては、通常のアニオン系、カチオン系、ノニ
オン系等のものが使用できるが、ドデシルベンゼンスル
ホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテルサルフェート、アルキルジフェニ
ルエーテルジスルホン酸塩などの合成乳化剤の他、脂肪
酸塩、例えば、牛脂石鹸、ステアリン酸ソーダ、オレイ
ン酸ソーダ等が塩析操作が容易であるので好ましい。重
合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウ
ム等の過硫酸塩、過酸化水素等、または、これらとL−
アスコルビン酸、ロンガリット、酸性亜硫酸ソーダ、塩
化第一鉄等の還元剤と組み合わせたレドックス系、その
他、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、アゾビスイソ
ブチロニトリル等が使用できる。その他の重合条件は通
常の重合条件でよい。
【0022】グラフト共重合体(A)中のゴム弾性体、
すなわち上記アクリル酸エステル系重合体、の平均粒径
は0.05〜0.45μmが適当であり、0.1〜0.
35μmであればさらに好ましいことは前記したところ
である。
【0023】このようにして得られるラテックスの架橋
したアクリルゴム粒子の粒子径は、グラフト重合に使用
するアクリルゴムラテックスの平均粒子径となる訳であ
るので、上記乳化重合により得られたアクリレート重合
体ラテックスの平均粒径が所望の値より小さい場合は、
リン酸、硫酸、無水酢酸等の酸性物質をラテックスに添
加してラテックス粒子の凝集肥大を行なういわゆる粒径
肥大操作を行なって、ラテックス粒子の粒径を調整する
のが好ましい。
【0024】<成分(A)の製造>成分(A)は特定組
成のマトリックス中に上記のアクリルゴム粒子が分散し
た構造を有するが、そのような構造は、典型的にはマト
リックスを与える単量体をアクリルゴムラテックス中で
重合すなわち乳化重合させることによって製造される。
【0025】すなわち、先ず、必要に応じて、アクリル
ゴムラテックスの粒径を所望の値に調整した後、芳香族
ビニル単量体10〜50重量%、シアン化ビニル単量体
50〜90重量%及びメタクリル酸メチル0〜40重量
%からなる単量体混合物を、アクリル酸エステル系共重
合体ラテックス固形分100重量部あたり50〜300
重量部に相当する量を、上記ラテックスに一時にまた
は、分割して回分的にもしくは連続的に添加して乳化グ
ラフト重合を行なう。この場合、必要に応じて、重合開
始剤その他の助剤を添加する。ゴム弾性体、すなわち、
アクリル酸エステル系共重合体ラテックス固形分100
重量部に対して添加する単量体混合物の量は50〜30
0重量部、好ましくは66〜200重量部、が適当であ
る。単量体混合物の量が上記範囲外であると本発明に係
わる組成物中のゴム弾性体含量の調整が困難な場合が生
じることがあり、さらに耐衝撃性が低下するので好まし
くない。また、単量体混合物の組成が上記範囲外である
と耐薬品性、相溶性が低下するので好ましくない。
【0026】乳化グラフト重合が終了すると、MgSO
4 、Al2 (SO4 3 、NaCl、HCl、CaCl
2 等の電解質の水溶液を添加して塩析し、得られたスラ
リーを脱水、乾燥する。
【0027】ここで、芳香族ビニル単量体の具体例とし
て、非置換および核および/または側鎖置換スチレン、
たとえば、スチレン、α−メチルスチレン等のα−アル
キルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン等
の核置換アルキルスチレン、モノクロルスチレン、ジク
ロルスチレン等のハロ置換スチレン、ビニルナフタレン
等があげられる。これらのうちではスチレンが好ましく
用いられる。これらは、1種または2種以上の混合物で
あってもよい。
【0028】一方、シアン化ビニル単量体の具体例とし
ては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等があげ
られ、なかでもアクリロニトリルが好ましく用いられ
る。これらは、1種または2種以上の混合物であっても
よい。
【0029】この単量体混合物は、メタクリル酸メチル
を含有していてもよい。成分(A)のマトリックスがメ
タクリル酸メチルを含む場合は、芳香族ビニル単量体の
量を減らすことができるので透明性が向上するという効
果が得られる。
【0030】成分(A)のマトリックス部分の分子量
は、GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフ
ィ)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が50,
000〜500,000程度であることが好ましい。
【0031】<成分(B)>成分(B)は、芳香族ビニ
ル単量体残基10〜50重量%、好ましくは20〜45
重量%、シアン化ビニル単量体残基50〜90重量%、
好ましくは55〜80重量%、及びメタクリル酸メチル
残基0〜40重量%、好ましくは0〜30重量%からな
る共重合体である。各単量体の組成が上記範囲外となる
と、共重合体(A)との相溶性が低下するので好ましく
ない。
【0032】成分(B)用のこれらの単量体の具体例
は、成分(A)用の単量体として前記した例示の中に見
出すことができ、成分(A)用として選んだものと同一
あるいは異なるものを使用すればよい。
【0033】成分(B)の共重合体は所謂AS樹脂また
はMAS樹脂として知られるものであって(たゞし、ハ
イニトリルである)、それ自身は公知のものであり、常
法に従って塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合あるい
は乳化重合によって製造することができ、また市場で適
当なものを見出すことができる。
【0034】<本発明組成物>本発明に係わる組成物
は、成分(A)および成分(B)を含んでなるが、ゴム
弾性体の含量、すなわち共重合体(A)中のアクリル酸
エステル系共重合体の含量、が組成物全体の5〜40重
量%、好ましくは10〜30重量%、を占めることが必
要である。5重量%未満であると耐衝撃性が十分でな
く、40重量%を超えるとゴム弾性体の量が過剰となり
剛性が低下し、また、成形加工性も低下するので好まし
くない。
【0035】成分(A)及び成分(B)の配合は、両成
分の均一組成物を与える任意の方法によって行なうこと
ができる。この方法は、一般に両成分の溶融を伴なうも
のであり、具体的には、例えば、粉末、ビード、または
ペレット状のこれら成分の1種または2種以上の混合物
を、一軸押出機、二軸押出機等の押出機、または、バン
バリーミキサー、加圧ニーダー、二本ロール等の混練機
等により、樹脂組成物とすることができる。このような
乾式配合の代りに湿式配合を行なうことができる(前者
が好ましい)。すなわち、重合を終えたこれらの共重合
体の1種または2種以上のものを未乾燥状態たとえば乳
濁液のまま混合し、析出し、洗浄し、乾燥して、混練す
る方法を採ることもできる。
【0036】本発明に係る樹脂組成物には、熱可塑性樹
脂組成物の範疇に入るものであるから、慣用されている
ところに従って、樹脂の性質を阻害しない種類および量
の滑剤、離型剤、着色剤、紫外線吸収剤、耐光性安定
剤、耐熱性安定剤、充填剤、繊維状補強材、難燃剤、防
カビ剤等の各種樹脂添加剤を、適宜組み合わせて添加す
ることができる。
【0037】本発明に係る樹脂組成物は、射出成形法、
押出成形法、ブロー中空成形法等の各種成形法によっ
て、自動車部品、電気部品、工業用部品、包装容器類等
の成形品として、特に優れた耐薬品性(耐メタノール
性、耐ガソリン性、耐ガソホール性、耐グリース性等)
が要求される用途に使用することができる。
【0038】
【実施例】下記の実施例及び比較例は、本発明を具体的
に説明するためのものである。 参考例1「アクリル酸エステル系共重合体(アクリルゴ
ムラテックス)の製造」
【0039】参考例1−1 3Lガラス製フラスコに脱イオン水(以後、単に水と表
記)1520g、高級脂肪酸石鹸(炭素数18を主成分
とする脂肪酸のナトリウム塩)20g及び重炭酸ソーダ
10gを仕込み、窒素気流下75℃に昇温した。過硫酸
カリウム水溶液0.75g/20mlを添加した後、5分
して、アクリル酸ブチルエステル(BA)937.5g
とアクリロニトリル(AN)62.5g、及びメタクリ
ル酸アリルエステル(AMA)5gより成るモノマー混
合物のうち40gを仕込んだ。約数分で発熱が起こり、
重合の開始が確認された。最初のモノマー仕込後15分
でさらに過硫酸カリウム水溶液0.75g/20mlを加
え、同時に残りのモノマー混合物の連続添加を開始、2
時間30分の時点でその添加を終了したが、途中1時間
30分の時点で脂肪酸石鹸6gの水溶液(20mlに溶
解)を加えた。モノマー添加終了後、さらに1時間、同
一温度にて重合を進めた。得られたアクリルゴムラテッ
クスは、転化率98%、及び平均粒径0.08μmであ
った。
【0040】このラテックスの半量を3Lフラスコに入
れ、水685ml及びドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ
(DBS)10%水溶液5gと混合後、50℃に保っ
た。弱い攪拌下に2.5%のリン酸水溶液320gを約
1分間で添加し、次いで2分間放置してから、25%カ
セイカリ水溶液23.4gとDBS25%水溶液14g
とを加え、攪拌を十分に行なった。平均粒径0.23μ
m(ナノサイザーにより測定)の粒径を肥大させたアク
リルゴムラテックスが得られた。
【0041】参考例1−2 BA900g、スチレン(St)100g及びAMA5
gより成るモノマー混合物を用いた他は製造例1−1と
同様の方法により、平均粒径0.24μmの架橋したア
クリルゴムラテックスを得た。
【0042】参考例1−3BA900g、メタクリル酸
メチルエステル(MMA)100g及びAMA5 gより成るモノマー混合物を用いた他は製造例1−1と
同様の方法により、平均粒径0.25μmの架橋したア
クリルゴムラテックスを得た。
【0043】参考例1−4 参考例1−1で得たアクリルゴムラテックス2116g
(ゴム分450g)を2Lフラスコに入れ、窒素気流下
に80℃に昇温した。BA45g、AN5g及びTMP
T1.25gの混合物を約15分で連続に仕込んだが、
それに先立ち過硫酸カリウム水溶液0.5g/15mlを
添加した。この間、系のpHは7.5に保った。転化率
96%、平均粒径0.25μmの架橋したアクリルゴム
ラテックスが得られた。
【0044】参考例2「成分(A)の製造」 参考例2−1 参考例1−1で得たアクリルゴムラテックス2358g
(ゴム分500g)を攪拌機、還流冷却管等を備えた3
Lフラスコに入れ、80℃まで加熱昇温させた。過硫酸
カリウム水溶液1.86g/50mlを加え、同時にSt
371gとAN557gの混合モノマーの連続添加を始
め、15分後より過硫酸カリウム水溶液5.57g/1
47mlの連続添加も開始した。モノマー添加開始30
分、1時間10分、及び2時間後に、それぞれ25%カ
セイカリ水溶液16.3g、高級脂肪酸石鹸水溶液4.
29g/35ml及び同石鹸水溶液4.29g/35mlと
「ターピノーレン」5.57gを添加した。モノマー及
び過硫酸カリウム水溶液の連続添加は3時間45分で完
了し、次いで30分間同温度下に放置して、重合を完結
させた。このようにして得たグラフト共重合体のラテッ
クスを多量の塩化カルシウム水溶液に投入し、濾過し、
乾燥して、粉末状のグラフト共重合体を得た。重合の転
化率は、98.5%であった。
【0045】参考例2−2 参考例1−4で得たアクリルゴムラテックス(ゴム分5
00g)を用いた他は、参考例2−1と同様の方法によ
りグラフト重合を行なった。重合転化率は、96.5%
であった。
【0046】参考例3「成分(B)の製造」加熱冷却装
置、湾曲タービン型攪拌装置、温度計、及び原料助剤添
加装置を備えた30L耐圧重合槽に、次ぎに示す原料助
剤を仕込み、重合系内を窒素ガスで置換した。 アクリロニトリル 67 部 スチレン 3.5部 ターピノーレン 0.6部 ジ-t- ブチル-p- クレゾール アクリル酸・アクリル酸2 エチルヘキシル共重合体 0.03部 硫酸ナトリウム 0.4部 脱イオン水 7.0部
【0047】攪拌しながら重合槽内温度を106℃に昇
温し、少量のスチレンに溶解した1-t- ブチル−アゾ-1
- シアノシクロヘキサン0.15部を添加し、同温度で
重合反応を開始した。
【0048】重合を開始してから直ちに、スチレン2
9.5部を一定の速度で4時間30分の間連続添加する
とともに、同時に重合系の温度を4時間30分かけて、
128℃に昇温した。
【0049】重合を開始してから4時間30分後、スチ
レンの重合系への連続添加を終了し、続いて重合系の温
度を45分間かけて145℃迄昇温した。重合を開始し
てから、5時間15分後、重合系の温度を145℃に維
持しながら、さらに1時間ストリッピングを行なった。
このストリッピングを終えた懸濁系を冷却し、濾別、水
洗、乾燥して、ビーズ状の共重合体を得た。
【0050】実施例1 参考例2−1で得たグラフト共重合体(A) 485.7g 参考例3で得た共重合体(B) 514.3g を酸化防止剤としてジ-t- ブチルパラクレゾール(DT
BPC)3g、滑剤としてステアリン酸マグネシウム
(Mg−St)5gと共にバンバリーミキサーで混練
し、ペレット化後、7−OZ射出成形機によりシリンダ
ー温度220℃、金型温度40℃で試験片に成形した。
【0051】試験片は、次の方法により衝撃強度、引張
り強度及び耐候性の評価を行なった。 衝撃強度(ノッチ付、アイソ゛ット、23 ℃): ASTM D−
256−54T 引張り強度(23 ℃): ASTM D−
638−61T 耐候性テスト:サンシャイン・ウエザ・オ・メーターW
E(東洋理化)による、初期値に対する引張り伸び保持
率(%/%)(200hrs試験後/400hrs試験後) 臨界歪値: 35mm×230mm×2mmの短冊型に圧縮成
形した試験片をベンディングフォーム(1/4楕円治具
に類似した曲げ歪治具(最大歪値1.0%))にセッ
ト。23℃の温度でメタノールを塗布し、17時間後に
クレイズあるいはクラックの有無を目視判定した。 結果を表1に示す。
【0052】実施例2 参考例2−1で得たグラフト共重合体(A) 485.7g 参考例3で得た共重合体(B) 514.3g DTBPC/Mg−St 3g/5g を実施例1と同様の方法によりブレンド、成形して、試
験片を得た。結果を表1に示す。
【0053】実施例3 参考例2−1と同様の方法で参考例1−2のアクリルゴムラテックスを使用 して得たグラフト共重合体(A) 485.7g 参考例3で得た共重合体(B) 514.3g DTBPC/Mg−St 3g/5g を実施例1と同様の方法で成形、評価した。結果を表1
に示す。
【0054】実施例4 参考例2−1と同様の方法で参考例1−3のアクリルゴムラテックスを使用 して得たグラフト共重合体(A) 485.7g 参考例3で得た共重合体(B) 514.3g DTBPC/Mg−St 3g/5g を実施例1と同様の方法で成形、評価した。結果を表1
に示す。
【0055】実施例5 参考例2−2で得たグラフト共重合体(A) 485.7g 参考例3で得た共重合体(B) 514.3g DTBPC/Mg−St 3g/5g を実施例1と同様の方法で成形、評価した。結果を表1
に示す。
【0056】比較例1 参考例1−1においてモノマー混合物中からAMAを除いた他は同じ方法に よって重合させて得たラテックスを使用して、参考例2−1と同様の方法で グラフト重合した共重合体 486.7g 参考例3で得た共重合体(B) 514.3g DTBPC/Mg−St 3g/5g を実施例1と同様の方法によって、成形、評価した。結
果を表1に示す。実施例1と比べ、得られた成形品は光
沢(艶)が劣り、フローマークが認められた。
【0057】比較例2 ゴム成分としてアクリル酸エステルゴムラテックスの代
わりにSBR(スチレン−ブタジエン共重合体)ラテッ
クスを用いて重合を行ない、実施例1と同様の方法によ
り、ブレンド及び成形を行なって、試験片を得た。結果
を表1に示す。
【0058】比較例3 参考例1−2のゴムラテックスを使用して、参考例2−1においてSt及び アクリロニトリルの量それぞれ650g及び278.6gとしてで得たグラ フト共重合体(A) 485.7g AS樹脂(St70重量%、AN30重量%) 514.3g DTBPC/Mg−St 3g/5g を実施例1と同様の方法によって成形、評価した。結果
を表1に示す。
【0059】 表 1 実 施 例 1 2 3 4 5 マトリックス成分(AN%) 61 60 59 62 60 ゴム成分 BA-AN BA-AN BA-St BA-MMA BA-AN IZOD、23℃(kg ・cm/cm) 25 21 18 20 24 引張り強度(kg/cm2) 550 560 545 568 555 耐候性(%/%) 100/50 100/50 100/50 100/50 100/50 YI 48 52 44 39 38 臨界歪(%、MeOH) >1.0 >1.0 >1.0 >1.0 >1.0
【0060】 表 1(つづき) 比 較 例 1 2 3 マトリックス成分(AN%) 60 59 26 ゴム成分 BA-AN SBR BA-AN IZOD、23℃(kg ・cm/cm) 9 35 6 引張り強度(kg/cm2) 539 545 450 耐候性(%/%) 100/50 50/10 100/50 YI 42 82 24 臨界歪(%、MeOH) 1.0 0.5 0.7 (注) BA:アクリル酸ブチル、AN:アクリロニト
リル、St:スチレン SBR:スチレン−ブタジエン共重合体
【0061】
【発明の効果】本発明に係わる組成物は耐候性が極めて
優れており、更に、従来の耐候性ゴム変性樹脂とは異な
ってマトリックスのシアン化ビニル単量体成分が多いた
め、耐薬品性、特に耐メタノール性、耐ガソホール性に
優れ、また耐衝撃性にも優れている。さらに、ジエン系
ゴムを用いた場合よりも黄味が少なく、淡い色の着色性
に特に優れている。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の成分(A)及び(B)からなり、成
    分(A)を下記ゴム弾性体粒子が組成物中に5〜40重
    量%の含有量に配合したことを特徴とする、耐候性、耐
    薬品性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物。成分
    (A): 芳香族ビニル単量体残基10〜50重量%、シアン化ビ
    ニル単量体残基50〜90重量%及びメタクリル酸メチ
    ル残基0〜40重量%(但し、単量体残基の量は、その
    合計を100重量%とする。以下、同様。)からなるマ
    トリックス50〜300重量部中に、炭素数1〜12の
    一価アルキルアルコールとアクリル酸とのエステルの残
    基70〜99.92重量%、該アクリル酸エステルと共
    重合可能なビニル単量体の残基0〜27重量%及び多官
    能性ビニル単量体残基0.08〜3重量%からなり、平
    均粒径が0.05〜0.45μmである架橋したゴム弾
    性体粒子100重量部が分散してなるグラフト共重合体
    (A)、並びに成分(B): 芳香族ビニル単量体残基10〜50重量%、シアン化ビ
    ニル単量体残基50〜90重量%及びメタクリル酸メチ
    ル残基0〜40重量%からなる共重合体(B)。
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