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JP3141815B2 - 動力出力装置 - Google Patents

動力出力装置

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Publication number
JP3141815B2
JP3141815B2 JP11033597A JP11033597A JP3141815B2 JP 3141815 B2 JP3141815 B2 JP 3141815B2 JP 11033597 A JP11033597 A JP 11033597A JP 11033597 A JP11033597 A JP 11033597A JP 3141815 B2 JP3141815 B2 JP 3141815B2
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JP
Japan
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clutch
motor
power
abnormality
drive shaft
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JP11033597A
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Inventor
彰彦 金森
康己 川端
広暁 浦野
憲彦 赤尾
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Publication date
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/64Electric machine technologies in electromobility

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  • Connection Of Motors, Electrical Generators, Mechanical Devices, And The Like (AREA)
  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)
  • Control Of Multiple Motors (AREA)
  • Control Of Eletrric Generators (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力出力装置に関
し、詳しくは、駆動軸に動力を出力する動力出力装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の動力出力装置としては、
車両に搭載される装置であって、原動機の出力軸と電動
機のロータに結合された駆動軸とを電磁継手により電磁
的に結合して原動機の動力を駆動軸に出力するものが提
案されている(例えば、特開昭53−133814号公
報等)。この動力出力装置では、電動機により車両の走
行を開始し、電動機の回転数が所定の回転数になった
ら、電磁継手へ励磁電流を与えて原動機をクランキング
すると共に原動機への燃料供給や火花点火を行なって原
動機を始動する。原動機が始動した後は、原動機からの
動力を電磁継手の電磁的な結合により駆動軸に出力して
車両を走行させる。電動機は、電磁継手により駆動軸に
出力される動力では駆動軸に必要な動力が不足する場合
に駆動され、この不足分を補う。電磁継手は、駆動軸に
動力を出力している際、その電磁的な結合の滑りに応じ
た電力を回生する。この回生された電力は、走行の開始
の際に用いられる電力としてバッテリに蓄えられたり、
駆動軸の動力の不足分を補う電動機の動力として用いら
れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の動力出力装置は、駆動軸の回転数が大きくな
ると、装置全体の効率が低下する場合を生じるという問
題があった。上述の動力出力装置では、駆動軸の回転数
が大きくなったときでも電磁継手により駆動軸に動力を
出力しようとすると、原動機の回転数を駆動軸の回転数
以上にしなければならない。原動機の効率のよい運転ポ
イントの領域は、その回転数と負荷トルクとにより範囲
が定まっているのが通常であるから、その範囲を超える
回転数で駆動軸が回転しているときには、原動機は効率
のよい運転ポイントの範囲外で運転しなければならず、
この結果、装置全体の効率が低下することとなる。
【0004】出願人は、こうした問題に対する解決策の
1つとして、既に出願した特願平7−266475号に
おいて、電磁継手に代えて原動機の出力軸と駆動軸とに
それぞれ結合される2つのロータを有し発電動作が可能
な対ロータ電動機を用い、駆動軸の回転数が大きくなっ
たときには、この対ロータ電動機をモータとして制御し
て、原動機の出力軸に結合されたロータに対して相対的
に駆動軸に結合されたロータを回転駆動させることによ
り、駆動軸の回転数より小さな回転数で原動機を運転可
能とするものを提案している。
【0005】しかし、この提案の装置では、駆動軸の回
転数が原動機の回転数より大きくなったときには、対ロ
ータ電動機を高トルクのまま高回転で運転する必要があ
ると共に、駆動軸に取り付けられた電動機を発電機とし
て動作させて対ロータ電動機により消費される電力を回
生する必要があるため、対ロータ電動機と電動機とがそ
れぞれ高負荷で運転されることになり、駆動軸の回転数
が原動機の回転数より小さいときに比して、前述の従来
例ほどではないが、装置全体の効率が若干低下してしま
う。
【0006】出願人は、こうした問題に対して、既に出
願した特願平8−318729号において、電動機の回
転軸を原動機の出力軸と駆動軸とに切り換えて接続可能
な動力出力装置を提案すると共に、原動機の回転数が駆
動軸の回転数より大きいときには電動機を駆動軸に接続
して駆動し、原動機の回転数が駆動軸の回転数より小さ
いときには電動機を原動機の出力軸に接続して駆動する
ものを提案している。
【0007】本発明の動力出力装置およびその制御方法
は、電動機の回転軸の原動機の出力軸との接続と駆動軸
との接続とを切り換えて原動機から出力される動力を効
率よく駆動軸に出力する動力出力装置において、軸の接
続の切り換え時に異常が生じていないかを検出すること
を目的の一つとする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の動力出力装置は、上述の目的の少なくとも一部を
達成するために以下の手段を採った。
【0009】本発明の動力出力装置は、駆動軸に動力を
出力する動力出力装置であって、出力軸を有する原動機
と、前記出力軸に結合された第1のロータと、前記駆動
軸に結合され該第1のロータに対して相対的に回転可能
な第2のロータとを有し、該両ロータ間の電磁的な結合
を介して該出力軸と該駆動軸との間で動力のやり取りを
する第1の電動機と、前記出力軸および前記駆動軸とは
異なる回転軸を有し、該回転軸を介して動力のやり取り
をする第2の電動機と、前記回転軸と前記出力軸との機
械的な接続と該接続の解除とを行なう第1の接続手段
と、前記回転軸と前記駆動軸との機械的な接続と該接続
の解除とを行なう第2の接続手段と、前記駆動軸に出力
する目標動力を設定する目標動力設定手段と、前記出力
軸および前記駆動軸の運転状態を検出する運転状態検出
手段と、該検出された前記出力軸および前記駆動軸の運
転状態に基づいて前記第1の接続手段による接続状態お
よび/または前記第2の接続手段による接続状態を切り
換えるよう対応する該第1の接続手段,該第2の接続手
段を駆動制御する切換制御手段と、該切換制御手段によ
る切り換えに伴って前記原動機から出力される動力がト
ルク変換されて目標動力として前記駆動軸に出力される
よう前記第1の電動機と前記第2の電動機とを駆動制御
する動力制御手段と、前記切換制御手段により切り換え
られる前記第1の接続手段および/または前記第2の接
続手段の異常を検出する異常検出手段とを備えることを
要旨とする。
【0010】本発明の動力出力装置は、原動機の出力軸
に結合された第1のロータと、駆動軸に結合され第1の
ロータに対して相対的に回転可能な第2のロータとを有
する第1の電動機が、この両ロータ間の電磁的な結合を
介して出力軸と駆動軸との間で動力のやり取りをし、原
動機の出力軸および駆動軸とは異なる回転軸を有する第
2の電動機が、この回転軸を介して動力のやり取りをす
る。第1の接続手段は回転軸と出力軸との機械的な接続
と該接続の解除とを行ない、第2の接続手段は、回転軸
と駆動軸との機械的な接続と該接続の解除とを行なう。
切換制御手段は、運転状態検出手段により検出された原
動機の出力軸および駆動軸の運転状態に基づいて第1の
接続手段による接続状態および/または第2の接続手段
による接続状態を切り換えるよう対応する第1の接続手
段,第2の接続手段を駆動制御する。動力制御手段は、
切換制御手段による切り換えに伴って原動機から出力さ
れる動力がトルク変換されて目標動力設定手段により設
定された駆動軸に出力する目標動力として駆動軸に出力
されるよう第1の電動機と第2の電動機とを駆動制御す
る。異常検出手段は、切換制御手段により切り換えられ
る第1の接続手段および/または第2の接続手段の異常
を検出する。
【0011】この本発明の動力出力装置によれば、切換
制御手段による切り換えの際に第1の接続手段や第2の
接続手段に異常が生じたときには、これを検出すること
ができる。この結果、異常に迅速に対処することができ
る。
【0012】本発明の動力出力装置において、前記第1
の電動機による充放電と前記第2の電動機による充放電
が可能な蓄電手段と、前記蓄電手段を充放電する電流を
検出する電流検出手段とを備え、前記異常検出手段は、
前記電流検出手段により検出される電流に基づいて異常
を検出する手段であるものとすることもできる。こうす
れば、蓄電手段を充放電する電流を検出することによ
り、切り換えの際に第1の接続手段や第2の接続手段に
異常が生じたときには、これを検出することができる。
【0013】こうした蓄電手段を充放電する電流に基づ
いて異常を検出する態様の本発明の動力出力装置におい
て、前記蓄電手段を充放電する目標電力を設定する目標
電力設定手段を備え、前記動力制御手段は前記蓄電手段
が前記目標電力で充放電されると共に前記原動機から出
力される動力がトルク変換されて目標動力として前記駆
動軸に出力されるよう制御する手段であり、前記異常検
出手段は前記電流検出手段により検出される電流に基づ
いて求められる前記蓄電手段を充放電する電力と前記目
標電力との偏差が所定値より大きいときに異常と判定す
る異常判定手段を備えるものとすることもできる。こう
すれば、蓄電手段の必要な充放電と異常な充放電とを判
定することができ、これによって第1の接続手段や第2
の接続手段の異常を検出することができる。
【0014】また、本発明の動力出力装置において、前
記第1の電動機および/または前記第2の電動機の駆動
電流を検出する電流検出手段を備え、前記異常検出手段
は前記電流検出手段により検出された前記第1の電動機
および/または前記第2の電動機の駆動電流に基づいて
異常を検出する手段であるものとすることもできる。こ
うすれば、第1の電動機や第2の電動機の駆動電流を検
出することにより、切り換えの際に第1の接続手段や第
2の接続手段に異常が生じたときには、これを検出する
ことができる。
【0015】こうした第1の電動機や第2の電動機の駆
動電流に基づいて異常を検出する態様の本発明の動力出
力装置において、前記異常検出手段は、前記電流検出手
段により検出される前記第1の電動機および/または前
記第2の電動機の駆動電流に基づいて対応する電動機か
ら出力しているトルクを推定するトルク推定手段と、該
トルクの推定された電動機の前記動力制御手段による制
御目標値との偏差が所定値より大きいときに異常と判定
する異常判定手段とを備えるものとすることもできる。
こうすれば、第1の電動機や第2の電動機から出力して
いるトルクが制御目標値に比して異常であるかを判定す
ることができ、これによって第1の接続手段や第2の接
続手段の異常を検出することができる。
【0016】本発明の動力出力装置において、前記異常
検出手段は、前記運転状態検出手段により検出される前
記出力軸および前記駆動軸の運転状態としての回転数に
基づいて異常を検出する手段であるものとすることもで
きる。こうすれば、原動機の出力軸や駆動軸の回転数に
より、切り換えの際に第1の接続手段や第2の接続手段
に異常が生じたときには、これを検出することができ
る。
【0017】こうした原動機の出力軸や駆動軸の回転数
に基づいて異常を検出する動力出力装置において、前記
異常検出手段は、前記出力軸の回転数が所定の変化率以
上で変化したときに異常と判定する手段であるものとす
ることもできる。こうすれば、原動機の出力軸の回転数
の変動に異常があるかを判定することができ、これによ
って第1の接続手段や第2の接続手段の異常を検出する
ことができる。
【0018】あるいは、本発明の動力出力装置におい
て、前記切換制御手段により前記第1,第2の接続手段
の一方が接続の状態で他方が接続解除の状態から該他方
を接続の状態に切り換えたときまたは前記第1,第2の
接続手段が共に接続の状態からいずれか一方を接続解除
の状態に切り換えたとき、前記第1のロータに対して前
記第2のロータが所定の回転数で駆動するよう前記第1
の電動機を制御する第1電動機制御手段と、該第1電動
機制御手段により制御される前記第1の電動機の駆動電
流を検出する電流検出手段とを備え、前記異常検出手段
は、前記電流検出手段により検出された駆動電流に基づ
いて異常を検出する手段であるものとすることもでき
る。こうすれば、第1の電動機の駆動電流を検出するこ
とにより、切り換えの際に第1の接続手段や第2の接続
手段に異常が生じたときには、これを検出することがで
きる。
【0019】こうした第1の電動機を制御することによ
り異常を検出する態様の本発明の動力出力装置におい
て、前記第1電動機制御手段は前記切換制御手段により
前記第1,第2の接続手段の一方が接続の状態で他方が
接続解除の状態から該他方を接続の状態に切り換えたと
きに前記第1のロータに対して前記第2のロータが所定
の回転数で駆動するよう制御する手段であり、前記異常
検出手段は前記電流検出手段により検出された駆動電流
が所定値以下のときに異常と判定する異常判定手段を備
えるものとすることもできる。あるいは、前記第1電動
機制御手段は前記切換制御手段により前記第1,第2の
接続手段が共に接続の状態からいずれか一方を接続解除
の状態に切り換えたときに前記第1のロータに対して前
記第2のロータが所定の回転数で駆動するよう制御する
手段であり、前記異常検出手段は、前記電流検出手段に
より検出された駆動電流が所定値より大きいときに異常
と判定する異常判定手段を備えるものとすることもでき
る。こうすれば、明確に第1の接続手段や第2の接続手
段の異常を検出することができる。
【0020】本発明の動力出力装置において、前記回転
軸と前記出力軸との回転数差および/または前記回転軸
と前記駆動軸との回転数差を検出する回転数差検出手段
を備え、前記異常検出手段は、前記回転数差検出手段に
より検出される前記回転軸と前記出力軸との回転数差お
よび/または前記回転軸と前記駆動軸との回転数差に基
づいて異常を検出する手段であるものとすることもでき
る。こうすれば、回転軸と出力軸との回転数差や回転軸
と駆動軸との回転数差を検出することにより、切り換え
の際に第1の接続手段や第2の接続手段に異常が生じた
ときには、これを検出することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例に基づき説明する。図1は本発明の第1の実施例とし
ての動力出力装置20の概略構成を示す構成図、図2は
図1の動力出力装置20を組み込んだ車両の概略構成を
示す構成図である。説明の都合上、まず図2を用いて、
車両全体の構成から説明する。
【0022】図2に示すように、この車両には、動力源
であるエンジン50としてガソリンにより運転されるガ
ソリンエンジンが備えられている。このエンジン50
は、吸気系からスロットルバルブ66を介して吸入した
空気と燃料噴射弁51から噴射されたガソリンとの混合
気を燃焼室52に吸入し、この混合気の爆発により押し
下げられるピストン54の運動をクランクシャフト56
の回転運動に変換する。ここで、スロットルバルブ66
はアクチュエータ68により開閉駆動される。点火プラ
グ62は、イグナイタ58からディストリビュータ60
を介して導かれた高電圧によって電気火花を形成し、混
合気はその電気火花によって点火されて爆発燃焼する。
【0023】このエンジン50の運転は、電子制御ユニ
ット(以下、EFIECUと呼ぶ)70により制御され
ている。EFIECU70には、エンジン50の運転状
態を示す種々のセンサが接続されている。例えば、スロ
ットルバルブ66の開度(ポジション)を検出するスロ
ットルバルブポジションセンサ67、エンジン50の負
荷を検出する吸気管負圧センサ72、エンジン50の水
温を検出する水温センサ74、ディストリビュータ60
に設けられクランクシャフト56の回転数と回転角度を
検出する回転数センサ76および回転角度センサ78な
どである。なお、EFIECU70には、この他、例え
ばイグニッションキーの状態STを検出するスタータス
イッチ79なども接続されているが、その他のセンサ,
スイッチなどの図示は省略した。
【0024】エンジン50のクランクシャフト56に
は、後述するクラッチモータ30およびアシストモータ
40を介して駆動軸22が結合されている。駆動軸22
は、ディファレンシャルギヤ24に結合されており、動
力出力装置20からのトルクは最終的に左右の駆動輪2
6,28に伝達される。このクラッチモータ30および
アシストモータ40は、制御装置80により制御されて
いる。制御装置80の構成は後で詳述するが、内部には
制御CPUが備えられており、シフトレバー82に設け
られたシフトポジションセンサ84やアクセルペダル6
4に設けられたアクセルペダルポジションセンサ64
a,ブレーキペダル65に設けられたブレーキペダルポ
ジションセンサ65aなども接続されている。また、制
御装置80は、上述したEFIECU70と通信によ
り、種々の情報をやり取りしている。これらの情報のや
り取りを含む制御については、後述する。
【0025】図1に示すように、実施例の動力出力装置
20は、エンジン50と、エンジン50のクランクシャ
フト56にインナロータ31が結合されると共に駆動軸
22にアウタロータ33が結合されたクラッチモータ3
0と、第1クラッチ45と第2クラッチ46とによりク
ランクシャフト56または駆動軸22に機械的にロータ
41が接続されるアシストモータ40と、クラッチモー
タ30およびアシストモータ40を駆動制御する制御装
置80とから構成されている。
【0026】クラッチモータ30は、図1に示すよう
に、インナロータ31の外周面に永久磁石32を備え、
アウタロータ33に形成されたスロットに三相のコイル
34を巻回する同期電動機として構成されている。この
三相コイル34への電力は、スリップリング35を介し
て供給される。アウタロータ33において三相コイル3
4用のスロットおよびティースを形成する部分は、無方
向性電磁鋼板の薄板を積層することで構成されている。
永久磁石32は、実施例では8個(N極,S極が各4
個)設けられており、インナロータ31の内周面に貼付
されている。その磁化方向はクラッチモータ30の軸中
心に向かう方向であり、一つおきに磁極の方向は逆向き
になっている。この永久磁石32と僅かなギャップによ
り対向するアウタロータ33の三相コイル34は、アウ
タロータ33に設けられた計12個のスロット(図示せ
ず)に巻回されており、各コイルに通電すると、スロッ
トを隔てるティースを通る磁束を形成する。各コイルに
三相交流を流すと、この磁界は回転する。三相コイル3
4の各々は、スリップリング35から電力の供給を受け
るよう接続されている。このスリップリング35は、駆
動軸22に固定された回転リング35aとブラシ35b
とから構成されている。なお、三相(U,V,W相)の
電流をやり取りするために、スリップリング35には三
相分の回転リング35aとブラシ35bとが用意されて
いる。
【0027】隣接する一組の永久磁石32が形成する磁
界と、アウタロータ33に設けられた三相コイル34が
形成する回転磁界との相互作用により、インナロータ3
1とアウタロータ33とは種々の振る舞いを示す。通常
は、三相コイル34に流す三相交流の周波数は、クラン
クシャフト56に直結されたインナロータ31の回転数
とアウタロータ33の回転数との偏差の周波数としてい
る。
【0028】他方、アシストモータ40も同期電動機と
して構成されているが、回転磁界を形成する三相コイル
44は、ケース49に固定されたステータ43に巻回さ
れている。このステータ43も、無方向性電磁鋼板の薄
板を積層することで形成されている。ロータ41は、ク
ランクシャフト56と同軸の中空軸であるロータ回転軸
38に取り付けられており、ロータ41の外周面には、
複数個の永久磁石42が設けられている。アシストモー
タ40では、この永久磁石42により磁界と三相コイル
44が形成する磁界との相互作用により、ロータ41が
回転する。ロータ回転軸38は、アシストモータ40と
クラッチモータ30との間に配置された第1クラッチ4
5によりクランクシャフト56に機械的に接続されたり
その接続が解除されるようになっており、また、第2ク
ラッチ46によりクラッチモータ30のアウタロータ3
3を介して駆動軸22に機械的に接続されたりその接続
が解除されるようになっている。なお、第1クラッチ4
5および第2クラッチ46は、図示しない油圧回路によ
り動作するようになっている。
【0029】また、駆動軸22,ロータ回転軸38およ
びクランクシャフト56には、その回転角度θd,θ
r,θeを検出するレゾルバ37,47,57が設けら
れている。なお、クランクシャフト56の回転角度θe
を検出するレゾルバ57は、ディストリビュータ60に
設けられた回転角度センサ78と兼用することも可能で
ある。
【0030】クラッチモータ30とアシストモータ40
の配置は後述するようにエンジン50側からクラッチモ
ータ30,アシストモータ40とする配置も可能である
が、実施例の動力出力装置20のようにアシストモータ
40をエンジン50とクラッチモータ30とで挟持する
ように配置したのは、後述するようにアシストモータ4
0のみで車両を駆動する必要からクラッチモータ30に
比してアシストモータ40が大きくなるため、大きなア
シストモータ40をより大きなエンジン50に隣接させ
ることにより動力出力装置20をまとまりのあるものと
するためである。また、第1クラッチ45と第2クラッ
チ46の配置も後述するように種々の配置が可能である
が、実施例の動力出力装置20のようにアシストモータ
40とクラッチモータ30との間に配置したのは、これ
ら両クラッチ45,46は比較的小さいため、アシスト
モータ40とクラッチモータ30との間に生じる隙間に
入れて動力出力装置20をよりコンパクトなものとする
ためである。
【0031】次に、クラッチモータ30およびアシスト
モータ40を駆動制御する制御装置80について説明す
る。制御装置80は、クラッチモータ30を駆動する第
1の駆動回路91と、アシストモータ40を駆動する第
2の駆動回路92と、両駆動回路91,92を制御する
と共に第1クラッチ45および第2クラッチ46を駆動
制御する制御CPU90と、二次電池であるバッテリ9
4とから構成されている。制御CPU90は、1チップ
マイクロプロセッサであり、内部に、ワーク用のRAM
90a、処理プログラムを記憶したROM90b、入出
力ポート(図示せず)およびEFIECU70と通信を
行なうシリアル通信ポート(図示せず)を備える。この
制御CPU90には、レゾルバ37からの駆動軸22の
回転角度θd、レゾルバ47からのロータ回転軸38の
回転角度θr、レゾルバ57からのエンジン50の回転
角度θe、アクセルペダルポジションセンサ64aから
のアクセルペダルポジション(アクセルペダルの踏込
量)AP、ブレーキペダルポジションセンサ65aから
のブレーキペダルポジション(ブレーキペダル65の踏
込量)BP、シフトポジションセンサ84からのシフト
ポジションSP、第1クラッチ45および第2クラッチ
46からの両クラッチのオン・オフ信号、第1の駆動回
路91に設けられた2つの電流検出器95,96からの
クラッチモータ電流値Iuc,Ivc、第2の駆動回路
に設けられた2つの電流検出器97,98からのアシス
トモータ電流値Iua,Iva、バッテリ94の残容量
を検出する残容量検出器99からの残容量BRM、バッテ
リ94の電源ラインに設けられた電流計99bからのバ
ッテリ94の充放電電流Ibなどが入力ポートを介して
入力されている。なお、残容量検出器99は、バッテリ
94の電解液の比重またはバッテリ94の全体の重量を
測定して残容量を検出するものや、充電・放電の電流値
と時間を演算して残容量を検出するものや、バッテリの
端子間を瞬間的にショートさせて電流を流し内部抵抗を
測ることにより残容量を検出するものなどが知られてい
る。
【0032】また、制御CPU90からは、第1の駆動
回路91に設けられたスイッチング素子である6個のト
ランジスタTr1ないしTr6を駆動する制御信号SW
1、第2の駆動回路92に設けられたスイッチング素子
としての6個のトランジスタTr11ないしTr16を
駆動する制御信号SW2、第1クラッチ45および第2
クラッチ46を駆動する駆動信号などが出力されてい
る。第1の駆動回路91内の6個のトランジスタTr1
ないしTr6は、トランジスタインバータを構成してお
り、それぞれ、一対の電源ラインL1,L2に対してソ
ース側とシンク側となるよう2個ずつペアで配置され、
その接続点に、クラッチモータ30の三相コイル(UV
W)36の各々が、スリップリング35を介して接続さ
れている。電源ラインL1,L2は、バッテリ94のプ
ラス側とマイナス側に、それぞれ接続されているから、
制御CPU90により対をなすトランジスタTr1ない
しTr6のオン時間の割合を制御信号SW1により順次
制御し、各コイル34に流れる電流を、PWM制御によ
って擬似的な正弦波にすると、三相コイル34により、
回転磁界が形成される。
【0033】他方、第2の駆動回路92の6個のトラン
ジスタTr11ないしTr16も、トランジスタインバ
ータを構成しており、それぞれ、第1の駆動回路91と
同様に配置されていて、対をなすトランジスタの接続点
は、アシストモータ40の三相コイル44の各々に接続
されている。従って、制御CPU90により対をなすト
ランジスタTr11ないしTr16のオン時間を制御信
号SW2により順次制御し、各コイル44に流れる電流
を、PWM制御によって擬似的な正弦波にすると、三相
コイル44により、回転磁界が形成される。
【0034】以上構成を説明した実施例の動力出力装置
20の動作について説明する。いま、第1クラッチ45
をオフとし第2クラッチ46をオンとした場合と、逆に
第1クラッチ45をオンとし第2クラッチ46をオフと
した場合を考える。前者は、ロータ回転軸38とクラン
クシャフト56との接続を解除すると共にロータ回転軸
38と駆動軸22とを接続する場合であり、図3の模式
図に示すように、アシストモータ40を駆動軸22に取
り付けた構成となり、後者は、ロータ回転軸38とクラ
ンクシャフト56とを接続すると共にロータ回転軸38
と駆動軸22との接続を解除する場合であり、図4の模
式図に示すように、アシストモータ40をクランクシャ
フト56に取り付けた構成となる。まず、前者(第1ク
ラッチ45をオフとし第2クラッチ46をオンとした場
合)の動作について説明し、次に後者(第1クラッチ4
5をオンとし第2クラッチ46をオフとした場合)の動
作について説明する。
【0035】実施例の動力出力装置20において第1ク
ラッチ45をオフとし第2クラッチ46をオンとした場
合の動作原理、特にトルク変換の原理は以下の通りであ
る。エンジン50がEFIECU70により運転され、
エンジン50が回転数Neで回転しており、駆動軸22
がこの回転数Neより小さな回転数Nd1で回転してい
るものとする。このとき、制御装置80がスリップリン
グ35を介してクラッチモータ30の三相コイル34に
何等電流を流していないとすれば、即ち第1の駆動回路
91のトランジスタTr1,3,5をオフとしトランジ
スタTr2,4,6をオンとした状態であれば、三相コ
イル34には何等の電流も流れないから、クラッチモー
タ30のインナロータ31とアウタロータ33とは電磁
的に全く結合されていない状態となり、エンジン50の
クランクシャフト56は空回りしている状態となる。こ
の状態では、トランジスタTr1ないしTr6がオフと
なっているから、三相コイル34からの回生も行なわれ
ない。すなわち、エンジン50はアイドル回転をしてい
ることになる。
【0036】制御装置80の制御CPU90が制御信号
SW1を出力してトランジスタをオンオフ制御すると、
エンジン50のクランクシャフト56の回転数Neと駆
動軸22の回転数Nd1との偏差(言い換えれば、クラ
ッチモータ30におけるインナロータ31とアウタロー
タ33の回転数差Nc(=Ne−Nd1))に応じて、
クラッチモータ30の三相コイル34に一定の電流が流
れ、クラッチモータ30は発電機として機能し、電流が
第1の駆動回路91を介して回生され、バッテリ94が
充電される。このとき、インナロータ31とアウタロー
タ33とは一定の滑りが存在する結合状態となり、クラ
ンクシャフト56からインナロータ31とアウタロータ
33との結合を介してトルクが駆動軸22に出力され
る。この状態で、クラッチモータ30により回生される
電気エネルギと等しいエネルギがアシストモータ40に
よって消費されるよう制御CPU90が第2の駆動回路
92を制御すると、アシストモータ40の三相コイル4
4に電流が流れ、アシストモータ40においてトルクが
発生する。
【0037】図5に照らせば、エンジン50が回転数N
e,トルクTeの運転ポイントP0で運転しているとき
に、クラッチモータ30でトルクTc(エンジン50か
ら出力されるトルクTe)を駆動軸22に出力すると共
にハッチングされた領域Pc1で表わされるエネルギを
回生し、この回生されたエネルギを領域Pa1で表わさ
れるエネルギとしてアシストモータ40に供給すること
により、駆動軸22を回転数Nd1,トルクTd1の運
転ポイントP1で回転させることができる。
【0038】次に、エンジン50は上述の回転数Neで
運転されているが、駆動軸22が回転数Neより大きな
回転数Nd2で回転している場合を考える。この状態で
は、クラッチモータ30のアウタロータ33は、インナ
ロータ31に対して回転数差Nc(Ne−Nd2)の絶
対値で示される回転数で駆動軸22の回転方向に回転す
るから、クラッチモータ30は、通常のモータとして機
能し、バッテリ94からの電力により駆動軸22に回転
エネルギを与える。一方、制御CPU90によりアシス
トモータ40により電力を回生するよう第2の駆動回路
92を制御すると、アシストモータ40のロータ41と
ステータ43との間の滑りにより三相コイル44に回生
電流が流れる。ここで、アシストモータ40により回生
される電力がクラッチモータ30により消費されるよう
制御CPU90により第1および第2の駆動回路91,
92を制御すれば、クラッチモータ30を、バッテリ9
4に蓄えられた電力を用いることなく駆動することがで
きる。
【0039】図6に照らせば、エンジン50が回転数N
eとトルクTeとで表わされる運転ポイントP0で運転
しているときに、ハッチングされた領域Pc2で表わさ
れるエネルギをクラッチモータ30に供給して駆動軸2
2にトルクTc(エンジン50の出力トルクTe)を出
力すると共に、クラッチモータ30に供給するエネルギ
を領域Pa2で表わされるエネルギとしてアシストモー
タ40から回生して賄うことにより、駆動軸22を回転
数Nd2,トルクTd2の運転ポイントP2で回転させ
ることができる。
【0040】なお、こうした第1クラッチ45をオフと
し第2クラッチ46をオンとした状態の動力出力装置2
0は、エンジン50から出力される動力のすべてをトル
ク変換して駆動軸22に出力する動作の他に、エンジン
50から出力される動力(トルクTeと回転数Neとの
積)と、クラッチモータ30により回生または消費され
る電気エネルギと、アシストモータ40により消費また
は回生される電気エネルギとを調節することにより、余
剰の電気エネルギを見い出してバッテリ94を放電する
動作としたり、不足する電気エネルギをバッテリ94に
蓄えられた電力により補う動作など種々の動作とするこ
ともできる。
【0041】一方、実施例の動力出力装置20において
第1クラッチ45をオンとし第2クラッチ46をオフと
した場合(図4の模式図)の動作原理(トルク変換の原
理)は以下の通りである。いま、エンジン50が回転数
Ne,トルクTeの運転ポイントP0で運転されてお
り、駆動軸22が回転数Neより小さな回転数Nd1で
回転しているとする。クランクシャフト56に取り付け
られたアシストモータ40からクランクシャフト56に
トルクTa(Ta=Td1−Te)を出力すれば、クラ
ンクシャフト56のトルクは値Td1(Te+Ta)と
なる。一方、クラッチモータ30のトルクTcを値Td
1(Te+Ta)として制御すれば、駆動軸22にこの
トルクTc(Te+Ta)が出力されると共に、エンジ
ン50の回転数Neと駆動軸22の回転数Nd1との回
転数差Ncに基づく電力が回生される。したがって、ア
シストモータ40のトルクTaをクラッチモータ30に
より回生される電力により丁度賄えるよう設定し、この
回生電力を電源ラインL1,L2を介して第2の駆動回
路92に供給すれば、アシストモータ40は、この回生
電力により駆動する。
【0042】図7に照らせば、エンジン50が回転数N
eとトルクTeとで表わされる運転ポイントP0で運転
しているときに、ハッチングされた領域Pa3で表わさ
れるエネルギをアシストモータ40に供給してクランク
シャフト56のトルクを値Td1とし、クラッチモータ
30によりこのトルクTd1(トルクTc)を駆動軸2
2に出力すると共に、アシストモータ40に供給するエ
ネルギを領域Pc3で表わされるエネルギとして回生す
ることにより、駆動軸22を回転数Nd2,トルクTd
2の運転ポイントP2で回転させることができる。
【0043】また、エンジン50は回転数Ne,トルク
Teの運転ポイントP0で運転されているが、駆動軸2
2が回転数Neより大きな回転数Nd2で回転している
ときを考える。このとき、アシストモータ40のトルク
TaをTd2−Teで求められる値として制御すれば、
アシストモータ40は回生制御され、エネルギ(電力)
をクランクシャフト56から回生する。一方、クラッチ
モータ30は、アウタロータ33がインナロータ31に
対して回転数差Nc(Ne−Nd2)の回転数で駆動軸
22の回転方向に相対的に回転するから、通常のモータ
として機能し、回転数差Ncに応じたエネルギを駆動軸
22に回転エネルギとして与える。したがって、アシス
トモータ40のトルクTaを、アシストモータ40によ
り回生される電力でクラッチモータ30により消費され
る電力を丁度賄えるよう設定すれば、クラッチモータ3
0は、アシストモータ40により回生される電力により
駆動する。
【0044】図8に照らせば、エンジン50が回転数N
eとトルクTeとで表わされる運転ポイントP0で運転
しているときに、ハッチングされた領域Pa4で表わさ
れるエネルギをアシストモータ40により回生し、この
回生したエネルギを領域Pc4で表わされるエネルギと
してクラッチモータ30に供給することにより、クラッ
チモータ30によりトルクTc(トルクTd2)が駆動
軸22に出力され、駆動軸22を回転数Nd2,トルク
Td2の運転ポイントP2で回転させることができる。
【0045】なお、こうした第1クラッチ45をオンと
し第2クラッチ46をオフとした状態の動力出力装置2
0でも、エンジン50から出力される動力のすべてをト
ルク変換して駆動軸22に出力する動作の他に、エンジ
ン50から出力される動力(トルクTeと回転数Neと
の積)と、クラッチモータ30により回生または消費さ
れる電気エネルギと、アシストモータ40により消費ま
たは回生される電気エネルギとを調節することにより、
余剰の電気エネルギを見い出してバッテリ94を放電す
る動作としたり、不足する電気エネルギをバッテリ94
に蓄えられた電力により補う動作など種々の動作とする
ことができる。
【0046】いま、バッテリ94の充放電しない状態、
即ちエンジン50から出力される動力をクラッチモータ
30とアシストモータ40とによりトルク変換して駆動
軸22にすべて出力する状態を考える。エンジン50の
回転数Neが駆動軸22の回転数Ndより大きいアンダ
ードライブ状態のときには、図3の模式図の構成では図
5に例示するトルク変換となり、図4の模式図の構成で
は図7に例示するトルク変換となる。一般にモータやジ
ェネレータにおける損失は、消費あるいは回生されるエ
ネルギ量が多くなるに伴って多くなるから、このアンダ
ードライブ状態のときには、図3の模式図の構成として
トルク変換する方が図4の模式図の構成としてトルク変
換するより損失が少なくなる。逆に、エンジン50の回
転数Neが駆動軸22の回転数Ndより小さいオーバー
ドライブ状態のときには、図3の模式図の構成では図5
に例示するトルク変換となり、図4の模式図の構成では
図7に例示するトルク変換となるから、図4の模式図の
構成としてトルク変換する方が図3の模式図の構成とし
てトルク変換するより損失が少なくなる。このため、実
施例では、基本的には、アンダードライブ状態(Ne>
Nd)のときには、図3の模式図の構成としてトルク変
換し、オーバードライブ状態(Ne<Nd)のときに
は、図4の模式図の構成としてトルク変換して、装置全
体のエネルギ効率がより高くなるように制御されてい
る。
【0047】このほか、実施例の動力出力装置20で
は、第1クラッチ45および第2クラッチ46を共にオ
ンとしたり、共にオフとしたりすることもできる。両ク
ラッチ45,46を共にオンとすれば、アシストモータ
40のロータ41が取り付けられているロータ回転軸3
8がクランクシャフト56と駆動軸22とに機械的に接
続されてクラッチモータ30が機能しない状態となり、
図9の模式図に示すように、アシストモータ40のロー
タ41にクランクシャフト56と駆動軸22とを接続し
ただけの構成と同一の状態となる。この状態では、エン
ジン50から出力される動力は、そのまま駆動軸22に
出力されることになる。そして、駆動軸22には、アシ
ストモータ40から出力される動力が加減されることに
なる。
【0048】一方、両クラッチ45,46を共にオフと
すれば、アシストモータ40のロータ41が取り付けら
れているロータ回転軸38はクランクシャフト56との
接続も駆動軸22との接続も解除された状態となり、図
10の模式図に示すように、クランクシャフト56にク
ラッチモータ30のインナロータ31が接続され駆動軸
22にクラッチモータ30のアウタロータ33が接続さ
れただけの構成と同一の状態になる。この状態では、エ
ンジン50から出力される動力は、クラッチモータ30
のインナロータ31とアウタロータ33との電磁的な結
合により駆動軸22に出力される。そして、それと同時
に、インナロータ31とアウタロータ33との回転数差
Ncに応じた電力がクラッチモータ30により回生また
は消費されることになる。
【0049】次に、こうした各種の動作が可能な実施例
の動力出力装置20におけるトルク制御と両クラッチ4
5,46の切換制御について図11に例示するトルク制
御ルーチンおよび図12に例示するクラッチ切換処理ル
ーチンに基づき説明する。まず、通常のトルク制御につ
いて図11に例示するトルク制御ルーチンに基づき説明
する。このルーチンは、動力出力装置20が起動されて
から所定時間毎(例えば、20msec毎)に繰り返し
実行される。
【0050】図11のトルク制御ルーチンが実行される
と、制御装置80の制御CPU90は、まず、駆動軸2
2の回転数Ndを読み込む処理を実行する(ステップS
100)。駆動軸22の回転数Ndは、レゾルバ37か
ら読み込んだ駆動軸22の回転角度θdから求めること
ができる。次に、アクセルペダルポジションセンサ64
aにより検出されるアクセルペダルポジションAPを読
み込む処理を行なう(ステップS102)。アクセルペ
ダル64は運転者が出力トルクが足りないと感じたとき
に踏み込まれるから、アクセルペダルポジションAPは
運転者の欲している出力トルク(すなわち、駆動軸22
に出力すべきトルク)に対応するものとなる。
【0051】続いて、読み込まれたアクセルペダルポジ
ションAPと駆動軸22の回転数Ndとに基づいて駆動
軸22に出力すべきトルクの目標値であるトルク指令値
Td*を導出する処理を行なう(ステップS104)。
実施例では、トルク指令値Td*と駆動軸22の回転数
NdとアクセルペダルポジションAPとの関係を示すマ
ップを予めROM90bに記憶しておき、アクセルペダ
ルポジションAPが読み込まれると、マップと読み込ま
れたアクセルペダルポジションAPと駆動軸22の回転
数Ndとにより対応するトルク指令値Td*の値を導出
するものとした。このマップの一例を図13に示す。
【0052】次に、導き出されたトルク指令値Td*と
読み込まれた駆動軸22の回転数Ndとから駆動軸22
に出力すべきエネルギPdを計算(Pd=Td*×N
d)により求め(ステップS106)、求めたエネルギ
Pdを伝達効率ηtで割ってエンジン50から出力すべ
きエネルギPeを算出する(ステップS108)。そし
て、現在両クラッチ45,46の切換中か否かを判定し
(ステップS110)、切換中のときにはこのまま本ル
ーチンを終了する。
【0053】一方、両クラッチ45,46が切り換え中
でないときには、算出したエネルギPeに基づいてエン
ジン50の目標トルクTe*と目標回転数Ne*とを設
定する処理を行なう(ステップS112)。ここで、エ
ンジン50から出力すべきエネルギPeと目標回転数N
e*と目標トルクTe*との関係は式(Pe=Ne*×
Te*)が成立すればよいから、この式を満足する目標
回転数Ne*と目標トルクTe*との組合せは無数に存
在する。そこで、実施例では、各エネルギPeに対して
エンジン50ができる限り効率の高い状態で運転され、
かつエネルギPeの変化に対してエンジン50の運転状
態が滑らかに変化する目標回転数Ne*と目標トルクT
e*の組み合わせを実験等により求め、これを予めRO
M90bにマップとして記憶しておき、エネルギPeに
対応する目標回転数Ne*と目標トルクTe*との組み
合わせをこのマップから導出するものとした。
【0054】こうしてエンジン50の目標回転数Ne*
と目標トルクTe*とが設定されると、エンジン50
は、設定値によって表わされる運転ポイントで定常運転
状態となるようその回転数NeとトルクTeとが制御さ
れる。具体的には、エンジン50が目標回転数Ne*と
目標トルクTe*とで表わされる運転ポイントで運転さ
れるよう、制御CPU90から通信により目標回転数N
e*と目標トルクTe*とを受信したEFIECU70
によってスロットルバルブ66の開度制御,燃料噴射弁
51からの燃料噴射制御および点火プラグ62による点
火制御が行なわれると共に、制御装置80の制御CPU
90によりエンジン50の負荷トルクとしてのクラッチ
モータ30やアシストモータ40のトルクの制御が行な
われるのである。エンジン50は、その負荷トルクによ
り出力トルクTeと回転数Neとが変化するから、EF
IECU70による制御だけでは目標トルクTe*およ
び目標回転数Ne*の運転ポイントで運転することはで
きず、負荷トルクを与えるクラッチモータ30やアシス
トモータ40のトルクの制御も必要となるからである。
なお、クラッチモータ30やアシストモータ40のトル
ク制御については後述する。
【0055】エンジン50の目標回転数Ne*と目標ト
ルクTe*とを設定すると、制御装置80の制御CPU
90は、運転モード判定フラグFDの値を調べる(ステ
ップS114)。ここで、運転モード判定フラグFD
は、両クラッチ45,46の切換処理で設定されるもの
であり、動力出力装置20を図4の模式図の構成から図
3の模式図の構成に切り換えてアンダードライブモード
とするときに値0が設定され、逆に図3の模式図の構成
から図4の模式図の構成に切り換えてオーバードライブ
モードとするときに値1が設定される。
【0056】運転モード判定フラグFDが値0のときに
は、動力出力装置20は図3の模式図の構成とされてア
ンダードライブモードの状態にあると判断し、次式
(1)によりクラッチモータ30のトルク指令値Tc*
を設定すると共に(ステップS116)、式(2)によ
りアシストモータ40のトルク指令値Ta*を設定する
(ステップS118)。ここで、式(1)中の右辺第2
項は回転数Neの目標回転数Ne*からの偏差を打ち消
す比例項であり、右辺第3項は定常偏差をなくすための
積分項である。したがって、クラッチモータ30のトル
ク指令値Tc*は、定常状態(回転数Neの目標回転数
Ne*からの偏差が値0のとき)では、エンジン50の
目標トルクTe*が設定されることになる。なお、式
(1)中のK1およびK2は、比例定数である。このよ
うにクラッチモータ30のトルク指令値Tc*をエンジ
ン50の回転数Neに基づいて設定してエンジン50の
負荷トルクとしてのクラッチモータ30のトルクTcを
制御することにより、エンジン50を目標トルクTe*
および目標回転数Ne*の運転ポイントで安定させるこ
とができる。
【0057】
【数1】
【0058】一方、運転モード判定フラグFDが値1の
ときには、動力出力装置20は図4の模式図の構成とさ
れてオーバードライブモードの状態にあると判断し、次
式(3)によりクラッチモータ30のトルク指令値Tc
*を設定すると共に(ステップS120)、式(4)に
よりアシストモータ40のトルク指令値Ta*を設定す
る(ステップS122)。ここで、クラッチモータ30
のトルク指令値Tc*にトルク指令値Td*を設定する
のは、図4の模式図の構成では、駆動軸22に出力すべ
きトルクがクラッチモータ30から出力するトルクTc
に一致するからである。なお、式(4)中の右辺第2項
および第3項は、式(1)の右辺第2項および第3項と
同様に、回転数Neの目標回転数Ne*からの偏差を打
ち消す比例項および定常偏差をなくすための積分項であ
る。したがって、アシストモータ40のトルク指令値T
a*は、定常状態(回転数Neの目標回転数Ne*から
の偏差が値0のとき)では、トルク指令値Td*からエ
ンジン50の目標トルクTe*を減じたものが設定され
ることになる。式(4)中のK3およびK4は、比例定
数である。このようにアシストモータ40のトルク指令
値Ta*をエンジン50の回転数Neに基づいて設定し
てエンジン50の負荷トルクの一部としてのアシストモ
ータ40のトルクTaを制御することにより、エンジン
50を目標トルクTe*および目標回転数Ne*の運転
ポイントで安定させることができる。
【0059】
【数2】
【0060】こうしてクラッチモータ30のトルク指令
値Tc*やアシストモータ40のトルク指令値Ta*が
設定されると、両モータ30,40からトルク指令値T
c*,Ta*に相当するトルクが出力されるよう図14
に例示するクラッチモータ制御ルーチンと図15に例示
するアシストモータ制御ルーチンによって両モータ3
0,40の制御がなされる。これらのルーチンは、制御
装置80の制御CPU90により割込処理を利用して所
定時間毎(例えば、4msec毎)に他の処理とは別個
独立に並行的に実行される。以下、特に説明しなくて
も、クラッチモータ30のトルク指令値Tc*やアシス
トモータ40のトルク指令値Ta*が設定されると、設
定された指令値Tc*,Ta*を用いてこの図14のル
ーチンと図15のルーチンにより直ちにクラッチモータ
30の制御やアシストモータ40の制御が行なわれるも
のとして説明する。
【0061】クラッチモータ30の制御(図14のクラ
ッチモータ制御ルーチン)が実行されると、制御装置8
0の制御CPU90は、まず、駆動軸22の回転角度θ
dをレゾルバ37から、エンジン50のクランクシャフ
ト56の回転角度θeをレゾルバ57から入力する処理
を行ない(ステップS140,S141)、クラッチモ
ータ30の電気角θcを両軸の回転角度θe,θdから
求める処理を行なう(ステップS142)。実施例で
は、クラッチモータ30として4極対の同期電動機を用
いているから、θc=4(θe−θd)を演算すること
になる。
【0062】次に、電流検出器95,96により、クラ
ッチモータ30の三相コイル34のU相とV相に流れて
いる電流Iuc,Ivcを検出する処理を行なう(ステ
ップS143)。電流はU,V,Wの三相に流れている
が、その総和はゼロなので、二つの相に流れる電流を測
定すれば足りる。こうして得られた三相の電流を用いて
座標変換(三相−二相変換)を行なう(ステップS14
4)。座標変換は、永久磁石型の同期電動機のd軸,q
軸の電流値に変換することであり、次式(5)を演算す
ることにより行なわれる。ここで座標変換を行なうの
は、永久磁石型の同期電動機においては、d軸及びq軸
の電流が、トルクを制御する上で本質的な量だからであ
る。もとより、三相のまま制御することも可能である。
【0063】
【数3】
【0064】次に、2軸の電流値に変換した後、クラッ
チモータ30におけるトルク指令値Tc*から求められ
る各軸の電流指令値Idc*,Iqc*と実際各軸に流
れた電流Idc,Iqcと偏差を求め、各軸の電圧指令
値Vdc,Vqcを求める処理を行なう(ステップS1
46)。即ち、まず以下の式(6)の演算を行ない、次
に次式(7)の演算を行なうのである。ここで、Kp
1,2及びKi1,2は、各々係数である。これらの係
数は、適用するモータの特性に適合するよう調整され
る。なお、電圧指令値Vdc,Vqcは、電流指令値I
*との偏差△Iに比例する部分(式(7)右辺第1項)
と偏差△Iのi回分の過去の累積分(右辺第2項)とか
ら求められる。
【0065】
【数4】
【0066】
【数5】
【0067】その後、こうして求めた電圧指令値をステ
ップS144で行なった変換の逆変換に相当する座標変
換(二相−三相変換)を行ない(ステップS148)、
実際に三相コイル34に印加する電圧Vuc,Vvc,
Vwcを求める処理を行なう。各電圧は、次式(8)に
より求める。
【0068】
【数6】
【0069】実際の電圧制御は、第1の駆動回路91の
トランジスタTr1ないしTr6のオンオフ時間により
なされるから、式(8)によって求めた各電圧指令値と
なるよう各トランジスタTr1ないしTr6のオン時間
をPWM制御する(ステップS149)。
【0070】なお、クラッチモータ30の制御は、トル
ク指令値Tc*の符号を駆動軸22にクランクシャフト
56の回転方向に正のトルクが作用するときを正とする
と、正の値のトルク指令値Tc*が設定されても、エン
ジン50の回転数Neが駆動軸22の回転数Ndより大
きいとき(正の値の回転数差Nc(Ne−Nd)が生じ
るとき)には、回転数差Ncに応じた回生電流を発生さ
せる回生制御がなされ、回転数Neが回転数Ndより小
さいとき(負の値の回転数差Nc(Ne−Nd)が生じ
るとき)には、クランクシャフト56に対して相対的に
回転数差Ncの絶対値で示される回転数で駆動軸22の
回転方向に回転する力行制御がなされる。クラッチモー
タ30の回生制御と力行制御は、トルク指令値Tc*が
正の値であれば、共にインナロータ31に取り付けられ
た永久磁石32と、アウタロータ33の三相コイル34
に流れる電流により生じる回転磁界とにより正の値のト
ルクが駆動軸22に作用するよう第1の駆動回路91の
トランジスタTr1ないしTr6を制御するものである
から、同一のスイッチング制御となる。即ち、トルク指
令値Tc*の符号が同じであれば、クラッチモータ30
の制御が回生制御であっても力行制御であっても同じス
イッチング制御となる。したがって、図14のクラッチ
モータ制御ルーチンで回生制御と力行制御のいずれも行
なうことができる。また、トルク指令値Tc*が負の値
のとき、即ち駆動軸22を制動しているときや車両を後
進させているときは、ステップS142のクラッチモー
タ30の電気角θcの変化の方向が逆になるから、この
際の制御も図14のクラッチモータ制御ルーチンにより
行なうことができる。
【0071】アシストモータ40の制御(図15のアシ
ストモータ制御ルーチン)が実行されると、制御CPU
90は、まず、ロータ回転軸38の回転角度θrをレゾ
ルバ47を用いて検出し(ステップS150)、続い
て、アシストモータ40の電気角θaをロータ回転軸3
8の回転角度θrから求める処理を行なう(ステップS
151)。実施例では、アシストモータ40にも4極対
の同期電動機を用いているから、θa=4θrを演算す
ることになる。そして、アシストモータ40の各相電流
を電流検出器97,98を用いて検出する処理(ステッ
プS152)を行なう。その後、クラッチモータ30と
同様の座標変換(ステップS154)および電圧指令値
Vda,Vqaの演算を行ない(ステップS156)、
更に電圧指令値の逆座標変換(ステップS158)を行
なって、アシストモータ40の第2の駆動回路92のト
ランジスタTr11ないしTr16のオンオフ制御時間
を求め、PWM制御を行なう(ステップS159)。こ
れらの処理は、クラッチモータ30について行なったも
のと全く同一である。
【0072】ここで、アシストモータ40のトルク指令
値Ta*は、図11のステップS118やS122に示
すように、トルク指令値Td*からクラッチモータ30
のトルク指令値Tc*を減じて求めたり、トルク指令値
Td*からエンジンの目標トルクTe*を減じたものに
目標回転数Ne*とエンジンの回転数Neとの偏差に基
づく補正を行なったものに基づいて求められるから、正
の値となったり負の値となったりする。したがって、ア
シストモータ40は、トルク指令値Ta*が正の値のと
きには力行制御がなされ、逆にトルク指令値Ta*が負
の値のときには、回生制御がなされることになる。しか
し、アシストモータ40の力行制御と回生制御は、クラ
ッチモータ30の制御と同様に、共に図15のアシスト
モータ制御ルーチンで行なうことができる。また、駆動
軸22がクランクシャフト56の回転方向と逆向きに回
転しているときも同様である。なお、アシストモータ4
0のトルク指令値Ta*の符号は、駆動軸22にクラン
クシャフト56の回転方向に正のトルクが作用するとき
を正とした。
【0073】以上説明したトルク制御によれば、実施例
の動力出力装置20は、図3の模式図の構成としてアン
ダードライブモードで動作したり、図4の模式図の構成
としてオーバードライブで動作して、エンジン50から
出力されるエネルギPeをクラッチモータ30とアシス
トモータ40とによりトルク変換し、回転数Ndで回転
する駆動軸22にトルク指令値Td*に相当するトルク
を出力することができる。
【0074】次に、こうした運転モードの切り換えの処
理について図12のクラッチ切換処理ルーチンに基づき
説明する。本ルーチンは、実施例の動力出力装置20が
起動されてから、所定時間毎(例えば、20msec)
毎に繰り返し実行される。本ルーチンが実行されると、
制御装置80の制御CPU90は、まず、エンジン50
の回転数Neと駆動軸22の回転数Ndとを読み込む処
理を実行する(ステップS130,S132)。エンジ
ン50の回転数Neは、レゾルバ57により検出される
クランクシャフト56の回転角度θeから求めることも
できるし、回転数センサ76により検出される値をEF
IECU70から通信により入力することによっても得
ることができる。
【0075】続いて、読み込んだエンジン50の回転数
Neと駆動軸22の回転数Ndとの偏差△Nを算出し
(ステップS134)、算出した偏差△Nが閾値N1未
満であるかを判定する(ステップS136)。実施例で
は、後述するように、エンジン50の回転数Neと駆動
軸22の回転数Ndとが略一致したときに、運転モード
の切り換えを第1クラッチ45および第2クラッチ46
を共にオンとした図9の模式図の構成を経由して行なう
から、この閾値N1は、両クラッチ45,46を共にオ
ンとしてクランクシャフト56と駆動軸22とを結合さ
せる際に許容されるクランクシャフト56と駆動軸22
との回転数差として設定されるものである。
【0076】偏差△Nが閾値N1以上のときには、運転
モードの切り換えは不要と判断して、このまま本ルーチ
ンを終了し、偏差△Nが閾値N1未満のときには、運転
モードの切り換えが必要と判断し、運転モード判定フラ
グFDの値を調べる(ステップS137)。そして、運
転モード判定フラグFDが値0のときにはアンダードラ
イブからオーバードライブへの切換処理を行ない(ステ
ップS138)、運転モード判定フラグFDが値1のと
きにはオーバードライブからアンダードライブへの切換
処理を行なって(ステップS139)、本ルーチンを終
了する。ここで、ステップS138のアンダードライブ
からオーバードライブへの切換処理は図16に例示する
アンダードライブからオーバードライブへの切換処理ル
ーチンにより行なわれ、ステップS139のオーバード
ライブからアンダードライブへの切換処理は図17に例
示するオーバードライブからアンダードライブへの切換
処理ルーチンにより行なわれる。以下、これらの切換処
理について説明する。
【0077】図16のアンダードライブからオーバード
ライブへの切換処理ルーチンが実行されると、制御装置
80の制御CPU90は、まず、第1クラッチ45をO
Nとして(ステップS160)、動力出力装置20を図
9の模式図の構成とする。続いて、第1クラッチ45が
正常にONとなったか、即ち第1クラッチ45の接続に
異常が生じていないかを判定する処理を実行する(ステ
ップS162)。実施例では、この異常判定処理は、図
18に例示する直結時の異常判定処理ルーチンに基づい
て行なわれる。説明の都合上、ここで、この異常判定処
理について図18の直結時の異常判定処理ルーチンに基
づき説明する。
【0078】直結時の異常判定処理ルーチンが実行され
ると、制御装置80の制御CPU90は、まず、エンジ
ン50の回転数Neと駆動軸22の回転数Ndとを読み
込み(ステップS200およびS202)、読み込んだ
回転数Neと回転数Ndとの偏差△Nを算出する(ステ
ップS204)。そして、算出した偏差△Nを閾値N2
と比較し(ステップS206)、偏差△Nが閾値N2よ
り大きいときには、第1クラッチ45に異常に異常が生
じていると判断して直結時異常判定フラグFA1に値1
を設定し(ステップS206)、本ルーチンを終了す
る。ここで、閾値N2は、クランクシャフト56と駆動
軸22とが第1クラッチ45と第2クラッチ46とによ
り直結されたときに、エンジン50の回転数Neの検出
の誤差や駆動軸22の回転数Ndの検出の誤差から生じ
る回転数Neと回転数Ndとの偏差の最大値より若干大
きな値として設定されるものである。したがって、偏差
△Nが閾値N2より大きいときには、クランクシャフト
56と駆動軸22とが直結されていないと判定できる。
実施例では、これにより第1クラッチ45の異常を判定
するのである。一方、偏差△Nが閾値N2以下のときに
は、クランクシャフト56と駆動軸22とが直結状態に
あり、第1クラッチ45に異常はないと判断して本ルー
チンを終了する。
【0079】図16の切換処理ルーチンに戻る。こうし
て第1クラッチ45の接続に異常が生じていないかを判
定した結果、異常が生じている場合(ステップS16
4)、即ち図18の直結時の異常判定処理ルーチンのス
テップS208で直結時異常判定フラグFA1に値1が
設定されたときには、運転モードの切り換えを停止する
と共に、ダイアグランプを点灯し、第1クラッチ45と
第2クラッチ46の現状の状態での走行処理などの異常
時処理を行なう(ステップS179)。
【0080】一方、第1クラッチ45が正常に動作し、
クランクシャフト56と駆動軸22とが直結状態(動力
出力装置20が図9の模式図の構成の状態)にあると判
断されると、制御装置80の制御CPU90は、エンジ
ン50の回転数Neを読み込み(ステップS166)、
読み込んだ回転数Neを用いてオーバードライブ状態の
ときに設定される値、即ち上述した式(3)と式(4)
により算出される値をクラッチモータ30のトルク指令
値Tc*とアシストモータ40のトルク指令値Ta*と
に設定する(ステップS168およびS170)。そし
て、第2クラッチ46をOFFとして(ステップS13
2)、動力出力装置20を図4の模式図の構成として、
第2クラッチ46が正常にOFFとなったか、即ち第2
クラッチ46の接続の解除に異常が生じていないかを判
定する処理を実行する(ステップS174)。実施例で
は、この異常判定処理は、図19に例示する直結解除時
の異常判定処理ルーチンに基づいて行なわれる。説明の
都合上、ここで、この異常判定処理について図19の直
結解除時の異常判定処理ルーチンに基づき説明する。
【0081】直結解除時の異常判定処理ルーチンが実行
されると、制御装置80の制御CPU90は、まず、図
18の直結時の異常判定処理ルーチンと同様に、エンジ
ン50の回転数Neと駆動軸22の回転数Ndとを読み
込み(ステップS210およびS212)、読み込んだ
回転数Neと回転数Ndとの偏差△Nを算出し(ステッ
プS214)、算出した偏差△Nを閾値N3と比較する
(ステップS216)。ここで、閾値N3は、前述の閾
値N2と同様に、クランクシャフト56と駆動軸22と
が第1クラッチ45と第2クラッチ46とにより直結さ
れたときに、エンジン50の回転数Neの検出の誤差や
駆動軸22の回転数Ndの検出の誤差から生じる回転数
Neと回転数Ndとの偏差の最大値より若干大きな値と
して設定されるものである。したがって、偏差△Nが閾
値N3より小さいときには、クランクシャフト56と駆
動軸22とがまだ直結された状態にある可能性が高いと
判定できる。ステップS216で偏差△Nと閾値N3と
を比較した結果、偏差△Nが閾値N3未満のときには、
第2クラッチ46をOFFとしてから所定時間経過した
かを判定し(ステップS218)、所定時間経過してい
ないときには、ステップS210ないしS218の処理
を繰り返す。そして、所定時間経過しても偏差△Nが閾
値N3未満のときには、第2クラッチ46に異常が生じ
ていると判断して、直結解除時異常判定フラグFA2に
値1を設定し(ステップS219)、本ルーチンを終了
する。ここで、第2クラッチ46をOFFとしてから偏
差△Nが閾値N3未満の状態が所定時間経過するまで異
常と判定しないのは、エンジン50の制御によっては、
第2クラッチ46をOFFとした後のしばらくの間、エ
ンジン50の回転数Neが駆動軸22の回転数Ndの近
傍で制御されることもあるからであり、これを異常と判
定するのを回避するためである。一方、所定時間を経過
するまでに偏差△Nが閾値N3以上となれば、第2クラ
ッチ46による接続の解除が正常に行なわれたと判断し
て本ルーチンを終了する。
【0082】図16の切換処理ルーチンに戻って、こう
して第2クラッチ46の接続の解除に異常が生じていな
いかを判定した結果、異常が生じている場合(ステップ
S176)、即ち図19の直結解除時の異常判定処理ル
ーチンのステップS219で直結解除時異常判定フラグ
FA2に値1が設定されたときには、運転モードの切り
換えをここで停止すると共に、ダイアグランプを点灯
し、第1クラッチ45と第2クラッチ46の現状の状態
での走行処理などの異常時処理を行なう(ステップS1
79)。
【0083】一方、第2クラッチ46による接続の解除
が正常に行なわれたときには、運転モード判定フラグF
Dにオーバードライブ状態を表わす値1を設定して(ス
テップS178)、本ルーチンを終了する。
【0084】次に、オーバードライブからアンダードラ
イブに切り換える処理について図17に例示するオーバ
ードライブからアンダードライブへの切換処理ルーチン
に基づき説明する。オーバードライブからアンダードラ
イブに切り換える処理は、アンダードライブからオーバ
ードライブに切り換える処理と同様の処理であり、第1
クラッチ45の動作に代えて第2クラッチ46を動作さ
せ(ステップS180)、逆に第2クラッチ46の動作
に代えて第1クラッチ45を動作させ(ステップS19
2)、式(3)と式(4)によりクラッチモータ30と
アシストモータ40のトルク指令値Tc*,Ta*を設
定する処理に代えて式(1)と式(2)によりクラッチ
モータ30とアシストモータ40のトルク指令値Tc
*,Ta*を設定する処理を行ない(ステップS18
8,S190)、さらに、運転モード判定フラグFDに
オーバードライブ状態を表わす値1を設定する処理に代
えてアンダードライブ状態を表わす値0を設定(ステッ
プS198)することによって行なわれる。また、ステ
ップS182の第2クラッチ46による接続が正常に行
なわれたか否かの判定処理は図18に例示する直結時の
異常判定処理ルーチンにより行なわれ、ステップS19
4の第1クラッチ45による接続の解除が正常に行なわ
れたか否かの判定処理は図19に例示する直結解除時の
異常判定処理ルーチンにより行なわれる。これらの処理
の説明が重複するから、これ以上の説明は省略する。
【0085】以上説明した実施例の動力出力装置20に
よれば、動力出力装置20が図3の模式図の構成とされ
てアンダードライブモードにある状態から図4の模式図
の構成としてオーバードライブモードの状態へスムーズ
に切り換えることができる。しかも、運転モードの切り
換えの際に第1クラッチ45や第2クラッチ46に異常
が生じたときにはこれを検出することができる。また、
同様に、オーバドライブからアンダードライブの状態へ
の切り換えもスムーズに行なうことができ、しかもこう
した運転モードの切り換えの際に第1クラッチ45,第
2クラッチ26に異常が生じたときにはこれを検出する
ことができる。この結果、これらの異常に対して迅速な
処理を行なうことができる。
【0086】もとより、駆動軸22の回転数Ndがエン
ジン50の回転数Neより小さいときには動力出力装置
20を図3の構成としてトルク変換し、逆に駆動軸22
の回転数Ndがエンジン50の回転数Neより大きいと
きには動力出力装置20を図4の構成としてトルク変換
して、クラッチモータ30やアシストモータ40により
電気エネルギに一旦変換されるエネルギを小さくするか
ら、装置全体のエネルギ効率を向上させることができ
る。また、運転モードの切り換えを第1クラッチ45と
第2クラッチ46とが共にONとなる図9の模式図の構
成を経由して行なうから、運転モードの切り換えの最中
でもエンジン50から出力される動力を駆動軸22に出
力することができる。
【0087】実施例の動力出力装置20では、エンジン
50の回転数Neと駆動軸22の回転数Ndとの偏差△
Nが閾値N1未満になったときに運転モードを切り換え
るものとしたが、この運転モードの切り換えの判定にヒ
ステリシスを設けるものとしてもよい。こうすれば、駆
動軸22がエンジン50の回転数Ne付近で運転される
ときでも、動力出力装置20が図3の模式図の構成から
図4の模式図の構成に或いはその逆に頻繁に切り換えら
れるのを防止することができる。
【0088】実施例の動力出力装置20では、第1クラ
ッチ45と第2クラッチ46とによりクランクシャフト
56と駆動軸22とが直結されたか否か、或いはその直
結が解除されたか否かの判定(第1クラッチ45や第2
クラッチ46の異常の判定)を、図18や図19のルー
チンで説明したように、エンジン50の回転数Neと駆
動軸22の回転数Neとの偏差△Nに基づいて行なった
が、クラッチモータ30を制御することによって判定す
るものとしてもよい。この場合の直結時および直結解除
時の異常判定処理ルーチンを図20と図21とに例示す
る。以下、これらの異常判定処理について簡単に説明す
る。
【0089】図20や図21に例示される異常判定処理
ルーチンが実行されると、制御装置80の制御CPU9
0は、まず、クラッチモータ30が所定回転数N4で回
転するよう次式(9)によりそのトルク指令値Tc*を
設定する(ステップS220,S230)。このように
クラッチモータ30のトルク指令値Tc*が設定される
と、前述したように、クラッチモータ30は、図14に
例示するクラッチモータ制御処理ルーチンにより所定回
転数N4で回転するよう制御される。ここで、所定回転
数N4は、クラッチモータ30が回転可能な最小の値
(ただし、回転していない値0は除く)以上の値であれ
ば如何なる値であってもよい。
【0090】
【数7】
【0091】続いて、電流検出器95,96により検出
されるクラッチモータ電流値Iuc,Ivcを読み込み
(ステップS222,S232)、読み込んだクラッチ
モータ電流値Iuc,Ivcをそれぞれ閾値Icref
と比較する(ステップS224,S234)。ここで、
閾値Icrefは、クラッチモータ30を所定回転数N
4で回転させるときに三相コイル34に通常流す電流よ
り若干大きい値として設定されるものである。したがっ
て、クラッチモータ30が回転可能なときには、クラッ
チモータ電流値Iuc,Ivcは共に閾値Icref未
満となる。いま、第1クラッチ45と第2クラッチ46
とが共にONとされて、正常にクランクシャフト56と
駆動軸22とが直結されれば、クラッチモータ30は回
転することができないから、クラッチモータ30の三相
コイル34には閾値Icrefより大きな電流が流れる
ことになり、ONとしたクラッチに異常が生じ、正常に
クランクシャフト56と駆動軸22とが直結されなけれ
ば、クラッチモータ30は回転することができるから、
クラッチモータ30の三相コイル34には閾値Icre
fより小さな電流が流れることになる。また、クランク
シャフト56と駆動軸22とが直結された状態にあると
きにいずれか一方のクラッチをOFFとして直結状態を
解除したときに、正常に解除されれば、クラッチモータ
30は回転することができるから、クラッチモータ30
の三相コイル34には閾値Icrefより小さな電流が
流れることになり、正常に解除されなければ、即ち直結
状態のままであれば、クラッチモータ30は回転するこ
とができないから、クラッチモータ30の三相コイル3
4には閾値Icrefより大きな電流が流れることにな
る。したがって、クランクシャフト56と駆動軸22と
を直結状態としたか逆に直結状態を解除したことと、ク
ラッチモータ電流値Iuc,Ivcを閾値Icrefと
比較することとにより、第1クラッチ45や第2クラッ
チ46が正常に動作しているか否かを判定することがで
きる。
【0092】これらのことから、図20のルーチンは第
1クラッチ45と第2クラッチ46とが共にONとされ
た状態における判定処理であるから、クラッチモータ電
流値Iuc,Ivcのいずれもが閾値Icref未満の
ときには、ONとしたクラッチに異常が生じていると判
断でき、図21のルーチンは第1クラッチ45と第2ク
ラッチ46とのいずれかがOFFとされた状態における
判定処理であるから、クラッチモータ電流値Iuc,I
vcのいずれかが閾値Icrefより大きいときには、
ONとしたクラッチに異常が生じていると判断できる。
このように、第1クラッチ45や第2クラッチ46に異
常が生じていると判断されたときには、直結時異常判定
フラグFA1や直結解除時異常判定フラグFA2に値1
が設定されて(ステップS226,S236)、本ルー
チンを終了する。一方、第1クラッチ45や第2クラッ
チ46に異常が生じていないと判断されたときには、そ
のまま本ルーチンを終了する。
【0093】以上説明した変形例の異常判定処理ルーチ
ンによれば、クラッチモータ30を所定回転数N4で回
転するよう制御することにより第1クラッチ45や第2
クラッチ46に異常が生じているかを判定することがで
きる。
【0094】また、実施例の動力出力装置20では、第
1クラッチ45と第2クラッチ46とによりクランクシ
ャフト56と駆動軸22とが直結されたか否かの判定
を、エンジン50の回転数Neと駆動軸22の回転数N
eとの偏差△Nに基づいて行なったが、エンジン50の
回転数Neのみに基づいて判定するものとしてもよい。
この場合の異常判定処理ルーチンを図22に例示する。
この異常判定処理ルーチンでは、エンジン50の目標回
転数Ne*と読み込んだエンジン50の回転数Neとの
偏差△Neを求め(ステップS240,S242)、こ
の偏差△Neを閾値N5と比較し(ステップS24
4)、この偏差△Neが閾値N5より大きいときには、
第1クラッチ45や第2クラッチ46に異常が生じてい
ると判断して直結時異常判定フラグFA1に値1をセッ
トする(ステップS246)。ここで、閾値N5は、運
転モードの切り換え時におけるエンジン50の回転数N
eの目標回転数Ne*からの許容されるずれとして設定
されるものである。第1クラッチ45と第2クラッチ4
6と正常にONとなっていれば、クランクシャフト56
は駆動軸22と一体となって回転するから、エンジン5
0の回転数Neの目標回転数Ne*からのずれは大きく
ない。しかし、第1クラッチ45か第2クラッチ46の
いずれかに異常が生じ、クランクシャフト56と駆動軸
22とが直結状態になっていないときには、エンジン5
0は、クラッチモータ30やアシストモータ40による
回転数制御としてのトルクが適切に伝達されない結果、
エンジン50の回転数Neは、目標回転数Ne*から大
きくずれて過回転となったり低回転となったりするか
ら、これにより第1クラッチ45や第2クラッチ46の
異常を判定することができる。
【0095】このほか、バッテリ94を充放電する充放
電電流Ibに基づいて第1クラッチ45や第2クラッチ
46の異常を判定することもできる。この場合の異常判
定処理ルーチンの一例を図23に示す。この異常判定処
理ルーチンでは、読み込んだ充放電電流Ibを閾値Ib
refと比較し(ステップS250、S252)、充放
電電流Ibの大きさが閾値Ibrefより大きいときに
は第1クラッチ45や第2クラッチ46に異常が生じて
いると判断して直結時異常判定フラグFA1に値1をセ
ットする(ステップS254)。実施例では、エンジン
50から出力されるエネルギPeをクラッチモータ30
とアシストモータ40とによりトルク変換して回転数N
dで回転する駆動軸22にトルク指令値Td*のトルク
として出力しており、この運転モードの切り換えの際で
も同様である。したがって、効率やタイミングのずれな
どを無視すればバッテリ94の充放電はなく充放電電流
Ibは値0となる。実際には効率やタイミングのずれな
どが生じるため、バッテリ94は比較的小さな充放電電
流Ibにより充放電されることになる。
【0096】実施例における閾値Ibrefは、運転モ
ードの切り換えが通常に行なわれた際に効率やタイミン
グのずれなどにより生じる充放電電流Ibの最大値ある
いはこれより若干大きい値として設定されるものであ
る。したがって、第1クラッチ45や第2クラッチ46
が正常に動作していれば、読み込んだバッテリ94の充
放電電流Ibは閾値Ibrefより小さくなる。一方、
第1クラッチ45や第2クラッチ46に異常が生じてい
ると、制御通りにクラッチモータ30やアシストモータ
40が駆動しないことから、実際にエンジン50から出
力されているエネルギPeと駆動軸22に出力している
エネルギPdとに偏差が生じ、装置全体のエネルギバラ
ンスが大きく崩れる。バッテリ94は、こうしたエネル
ギバランスの変化を吸収するものであるから、バッテリ
94の充放電電流Ibを検出することによりエネルギバ
ランスの崩れを検出することができ、この結果、第1ク
ラッチ45や第2クラッチ46に異常が生じているかを
判定することができるのである。なお、図23には直結
時の異常判定処理ルーチンとして記載したが、このルー
チンは直結解除時の異常判定処理ルーチンとしてもその
まま用いることができる。
【0097】こうしたバッテリ94の充放電電流Ibに
基づいてエネルギバランスの崩れを検出し、これにより
第1クラッチ45や第2クラッチ46の異常を検出する
他、クラッチモータ30のトルクTcを反映するクラッ
チモータ電流値Iuc,Ivcやアシストモータ40の
トルクTaを反映するアシストモータ電流値Iua,I
vaなどに基づいてエネルギバランスの崩れを検出し、
これにより第1クラッチ45や第2クラッチ46の異常
を検出するものとしてもよい。
【0098】実施例の動力出力装置20では、エンジン
50の回転数Neと駆動軸22の回転数Ndとが略一致
するときに運転モードの切り換えを行なうものとした
が、エンジン50から出力しているトルクTeと駆動軸
22に出力しているトルクTdとが略一致したときに運
転モードを切り換えるものとしてもよい。この場合、図
12のクラッチ切換処理ルーチンに代えて図24のクラ
ッチ切換処理ルーチンを、図16のアンダードライブか
らオーバードライブへの切換処理ルーチンに代えて図2
5の切換処理ルーチンを、図17のオーバードライブか
らアンダードライブへの切換処理ルーチンに代えて図2
6の切換処理ルーチンを、それぞれ実行すればよい。以
下、この変形例について説明する。
【0099】図24のクラッチ切換処理ルーチンが実行
されると、制御装置80の制御CPU90は、まず、吸
気管負圧センサ72により検出される吸気管負圧に基づ
いて算出される吸入空気量Gaを読み込む処理を実行す
る(ステップS330)。続いてエンジン50の回転数
Neを読み込み(ステップS332)、読み込んだ吸入
空気量Gaとエンジン50の回転数Neとに基づいてエ
ンジン50から出力しているトルクTeを算出する(ス
テップS333)。通常、エンジン50は、吸入空気量
Gaに対してストイキとなる燃料を燃料噴射弁51から
噴射するから、エンジン50から出力しているエネルギ
Peは吸入空気量Gaとリニアな関係をもつ。したがっ
て、吸入空気量Gaから求められるエネルギPeをその
ときのエンジン50の回転数Neで割ればエンジン50
から出力しているトルクTeを算出することができる。
なお、エネルギPeと吸入空気量Gaとの関係はエンジ
ン50の排気量やエンジン50の運転(例えば、理論空
燃比による運転やリーン側における運転やリッチ側にお
ける運転など)の手法によって定まるものである。実施
例では、こうした関係を実験により求めてマップとして
予めROM90bに記憶させておき、吸入空気量Gaが
与えられると、与えられた吸入空気量Gaに対応するエ
ネルギPeを導出するものとした。
【0100】次に、算出したエンジン50から出力して
いるトルクTeと駆動軸22に出力すべきトルクの指令
値Td*との偏差△Tを算出し(ステップS334)、
算出した偏差△Tが閾値T1未満であるかを判定する
(ステップS336)。変形例では、後述するように、
エンジン50のトルクTeと駆動軸22のトルクTdと
が略一致したときに、運転モードの切り換えを第1クラ
ッチ45および第2クラッチ46を共にOFFとした図
10の模式図の構成を経由して行なうから、エンジン5
0の負荷トルクTeはクラッチモータ30のトルクTc
となり、これが駆動軸22に出力されるトルクTdとな
る。したがって、エンジン50のトルクTeと駆動軸2
2のトルクTdとの偏差が大きいと、第1クラッチ45
と第2クラッチ46とを共にOFFとしたときにトルク
ショックを生じるから、閾値T1は、このトルクショッ
クが許容される範囲内となるよう設定されるものであ
る。なお、エンジン50から出力されているトルクTe
と駆動軸22に出力されているトルクTdとの偏差を閾
値T1と比較せずにエンジン50のトルクTeとトルク
指令値Td*との偏差△Tを閾値T1と比較するのは、
定常状態では駆動軸22に出力されているトルクTdは
トルク指令値Td*に等しいと考えてもよいからであ
る。
【0101】偏差△Tが閾値T1以上のときには、運転
モードの切り換えは不要と判断して、このまま本ルーチ
ンを終了し、偏差△Tが閾値T1未満のときには、運転
モードの切り換えが必要と判断し、運転モード判定フラ
グFDの値を調べる(ステップS337)。そして、運
転モード判定フラグFDが値0のときにはアンダードラ
イブからオーバードライブへの切換処理を行ない(ステ
ップS338)、運転モード判定フラグFDが値1のと
きにはオーバードライブからアンダードライブへの切換
処理を行なって(ステップS339)、本ルーチンを終
了する。
【0102】次に、図24のクラッチ切換処理ルーチン
のステップS338の切換処理として行なわれる図25
のアンダードライブからオーバードライブへの切換処理
ルーチンについて説明する。本ルーチンが実行される
と、制御装置80の制御CPU90は、まず、第2クラ
ッチ46をOFFとして(ステップS360)、動力出
力装置20を図10の模式図の構成とする。このとき、
エンジン50のトルクTeと駆動軸22のトルクTdと
はほぼ等しいので駆動軸22にはトルクショックは生じ
ない。続いて、第2クラッチ46が正常にOFFとなっ
たか否か、即ち第2クラッチ46の接続の解除に異常が
生じていないかを判定する処理を実行する(ステップS
362)。実施例では、この異常判定処理は、図27に
例示する解放時および会場解除時の異常判定処理ルーチ
ンに基づいて行なわれる。説明の都合上、ここで、この
異常判定処理について説明する。
【0103】図27の解放時および解放解除時の異常判
定処理ルーチンが実行されると、制御装置80の制御C
PU90は、まず、電流検出器95,96によって検出
されるクラッチモータ電流値Iuc,Ivcと電流検出
器97,98によって検出されるアシストモータ電流値
Iua,Ivaを読み込む処理を実行する(ステップS
400)。続いて、読み込んだクラッチモータ電流値I
uc,Ivcに基づいてクラッチモータ30が現在出力
しているトルクTcとアシストモータ電流値Iua,I
vaに基づいてアシストモータ40が現在出力している
トルクTaとを算出する(ステップS402)。次に、
それぞれ算出したトルクTc,Taとそのときに設定さ
れている対応するトルク指令値Tc*,Ta*との偏差
△Tc,△Taを算出し(ステップS404)、それぞ
れ算出した偏差△Tc,△Taを対応する閾値Tcre
f,Tarefと比較し(ステップS406)、偏差△
Tcが閾値Tcrefより大きいか、偏差△Taが閾値
Tarefより大きいときには、第1クラッチ45や第
2クラッチ46の接続および接続の解除に異常が生じて
いると判断して異常判定フラグFA3に値1を設定する
(ステップS408)。ここで、閾値Tcrefや閾値
Tarefは、運転モードの切り換え時におけるクラッ
チモータ30やアシストモータ40のトルクTc,Ta
の対応するトルク指令値Tc*,Ta*からの許容され
るずれの最大値あるいはこれより若干大きな値として設
定されるものである。したがって、運転モードの切り換
えが正常に行なわれるときには、偏差△Tcは閾値Tc
ref未満となり、偏差△Taは閾値Taref未満と
なるから、いずれかの偏差が対応する閾値より大きいと
きには、第1クラッチ45や第2クラッチ46に異常が
生じていると判断できる。一方、偏差△Tc,△Taが
共に閾値Tcref,Taref未満のときには、第1
クラッチ45や第2クラッチ46には異常はないと判断
して本ルーチンを終了する。
【0104】図25の切換処理ルーチンに戻って、第2
クラッチ46の接続の解除に異常が生じていないかを判
定した結果、異常が生じている場合(ステップS36
4)、即ち図27の解放時および解放解除時の異常判定
処理ルーチンのステップS408で異常判定フラグFA
3に値1が設定されたときには、運転モードの切り換え
を停止すると共に、ダイアグランプを点灯し、第1クラ
ッチ45と第2クラッチ46の現状の状態での走行処理
などの異常時処理を行なう(ステップS379)。
【0105】一方、第2クラッチ46が正常に動作し、
ロータ回転軸38がフリーの状態(動力出力装置20が
図10の模式図の構成の状態)にあると判断されると、
制御装置80の制御CPU90は、エンジン50の回転
数Neとアシストモータ40の回転数Naとを読み込み
(ステップS366およびS367)、読み込んだ回転
数Ne,Naを用いて次式(10)によりアシストモー
タ40のトルク指令値Ta*を設定し(ステップS36
8)、エンジン50の回転数Neとアシストモータ40
の回転数Naとの偏差を閾値N6と比較して(ステップ
S369)、この偏差が閾値N6以下となるまでステッ
プS366ないしS369の処理を繰り返す。ここで、
式(10)中の右辺第1項は回転数Naの回転数Neか
らの偏差を打ち消す比例項であり、右辺第2項は定常偏
差をなくすための積分項であり、K5およびK6は比例
定数である。また、閾値N6は、エンジン50の回転数
Neとアシストモータ40の回転数Naとが略一致にな
ったかを判定するためのものである。こうした処理によ
り、アシストモータ40の回転数Naをエンジン50の
回転数Neと同じ回転数にすることができる。なお、ア
シストモータ40の回転数Naは、レゾルバ47により
検出されるロータ回転軸38の回転角度θrから求める
ことができる。
【0106】
【数8】
【0107】エンジン50の回転数Neとアシストモー
タ40の回転数Naとの偏差が閾値N6以下になると、
オーバードライブ状態のときに設定される値、即ち上述
した式(3)と式(4)により算出される値をクラッチ
モータ30のトルク指令値Tc*とアシストモータ40
のトルク指令値Ta*とに設定する(ステップS370
およびS371)、そして、第1クラッチ45をONと
して(ステップS262)、動力出力装置20を図4の
模式図の構成として、第1クラッチ45が正常にONと
なったか、即ち第1クラッチ45の接続に異常が生じて
いないかを判定する処理を実行する(ステップS37
4)。実施例では、この異常判定処理も前述した図27
に例示する解放時および解放解除時の異常判定ルーチン
により行なった。
【0108】こうして第1クラッチ45の接続に異常が
生じていないかを判定した結果、異常が生じている場合
(ステップS376)、即ち図27の解放時および解放
解除時の異常判定処理ルーチンのステップS408で異
常判定フラグFA3に値1が設定されたときには、運転
モードの切り換えをここで停止すると共に、ダイアグラ
ンプを点灯し、第1クラッチ45と第2クラッチ46の
現状の状態での走行処理などの異常時処理を行なう(ス
テップS379)。一方、第1クラッチ45による接続
が正常に行なわれたときには、運転モード判定フラグF
Dにオーバードライブ状態を表わす値1を設定して(ス
テップS378)、本ルーチンを終了する。
【0109】図24のクラッチ切換処理ルーチンのステ
ップS339の切換処理として行なわれる図26のオー
バードライブからアンダードライブへの切換処理ルーチ
ンについて説明する。オーバードライブからアンダード
ライブに切り換える処理は、アンダードライブからオー
バードライブに切り換える処理と同様の処理であり、第
2クラッチ46の動作に代えて第1クラッチ45を動作
させ(ステップS380)、逆に第1クラッチ45の動
作に代えて第2クラッチ46を動作させ(ステップS3
92)、式(3)と式(4)によりクラッチモータ30
とアシストモータ40のトルク指令値Tc*,Ta*を
設定する処理に代えて式(1)と式(2)によりクラッ
チモータ30とアシストモータ40のトルク指令値Tc
*,Ta*を設定する処理を行ない(ステップS39
0,S391)、ロータ回転軸38が駆動軸22に接続
されるから動力出力装置20が図10の模式図の構成と
されたときにアシストモータ40の回転数Naが駆動軸
22の回転数Ndに一致するようアシストモータ40の
トルク指令値Ta*には上述した式(10)に代えて次
式(11)で計算される値を設定し(ステップS386
〜S388)、さらに、運転モード判定フラグFDにオ
ーバードライブ状態を表わす値1を設定する処理に代え
てアンダードライブ状態を表わす値0を設定(ステップ
S398)することによって行なわれる。なお、ステッ
プS382の第1クラッチ45による接続の解除が正常
に行なわれたか否かの判定処理やステップS394の第
2クラッチ46による接続が正常に行なわれたか否かの
判定処理は、共に図27に例示する解放時および解放解
除時の異常判定処理ルーチンにより行なわれる。これら
の処理の説明が重複するから、これ以上の説明は省略す
る。
【0110】
【数9】
【0111】以上説明した変形例によれば、動力出力装
置20が図3の模式図の構成とされてアンダードライブ
モードにある状態から図4の模式図の構成としてオーバ
ードライブモードの状態へ動力出力装置20を図10の
模式図の構成を経由してスムーズに切り換えることがで
きる。しかも、エンジン50から出力しているトルクT
eと駆動軸22に出力されているトルクTdとが略一致
したときに切り換えるから、駆動軸22にトルクショッ
クを生じさせない。もとより、第1クラッチ45や第2
クラッチ46に異常が生じたときにはこれを検出するこ
とができる。この結果、この異常に対して迅速な処理を
行なうことができる。
【0112】この変形例では、第1クラッチ45と第2
クラッチ46とを共にOFFとして動力出力装置20を
図10の模式図の構成にする際や、この状態から第1ク
ラッチ45や第2クラッチ46の一方をONとする際の
第1クラッチ45や第2クラッチ46の異常をクラッチ
モータ30のトルクTcやアシストモータ40のトルク
Taに基づいて検出したが、図18の直結時の異常判定
処理ルーチンや図19の直結解除時の異常判定処理ルー
チンのようにエンジン50の回転数Neや駆動軸22の
回転数Ndに基づいて異常を検出するものとしたり、図
22の直結時の異常判定処理ルーチンのようにエンジン
50の回転数Neに基づいて異常を検出するものとした
り、図23の直結時の異常判定処理ルーチンやその変形
例として示したようにエネルギバランスの崩れをバッテ
リ94の充放電電流Ibやクラッチモータ電流値Iu
c,Ivc,アシストモータ電流値Iua,Ivaなど
により検出し、これにより異常を検出するものとしても
よい。ただし、その適用にあたり、運転モードの切り換
えの際に動力出力装置20が図10の模式図の構成とさ
れる点に留意する必要がある。
【0113】以上説明した実施例の動力出力装置20や
その変形例では、第1クラッチ45および第2クラッチ
46をアシストモータ40とクラッチモータ30との間
に配置したが、図28の変形例の動力出力装置20Aに
示すように、第1クラッチ45Aと第2クラッチ46B
とをエンジン50とアシストモータ40との間に配置し
たり、図29の変形例の動力出力装置20Bに示すよう
に、第1クラッチ45Bはエンジン50とアシストモー
タ40との間に配置し、第2クラッチ46Bはアシスト
モータ40とクラッチモータ30との間に配置するもの
としてもよい。また、実施例の動力出力装置20では、
アシストモータ40をエンジン50とクラッチモータ3
0との間に配置したが、図30の変形例の動力出力装置
20Cに示すように、クラッチモータ30Cをエンジン
50とアシストモータ40との間に配置するものとして
もよい。この動力出力装置20Cでは、クランクシャフ
ト56にはクラッチモータ30Cの永久磁石32Cを内
周面に備えるアウタロータ31Cが結合され、駆動軸2
2には三相コイル34を巻回したインナロータ33Cが
結合されている。この相違は、第1クラッチ45Cおよ
び第2クラッチ46Cをクラッチモータ30Cとアシス
トモータ40との間に配置するためである。このよう
に、クラッチモータ30やアシストモータ40等の配置
が実施例の動力出力装置20と異なるものとしても、実
施例の動力出力装置20と同様に動作する。なお、実施
例の動力出力装置20とクラッチモータ30,アシスト
モータ40,第1クラッチ45,第2クラッチ46およ
びスリップリング35の配置が異なるものとしては、ク
ラッチモータ30およびアシストモータ40の配置が2
通り、第1クラッチ45および第2クラッチ46の配置
が3通り、スリップリング35の配置が3通りで合計1
8(2×3×3)通りある。
【0114】実施例の動力出力装置20やその変形例で
は、クラッチモータ30とアシストモータ40とを軸方
向に並べたが、図31の変形例の動力出力装置20Dに
示すように、アシストモータ40をクラッチモータ30
Dの径方向外側に配置するものとしてもよい。この構成
では、クラッチモータ30Dとアシストモータ40D
は、内側から、クランクシャフト56に結合され永久磁
石32Dが外周面に貼り付けられたクラッチモータ30
Dのインナロータ31D、三相コイル34Dが巻回され
たクラッチモータ30Dのアウタロータ33D、ロータ
回転軸38Dに結合され外周面に永久磁石42Dが貼り
付けられたアシストモータ40Dのロータ41D、ケー
ス49に固定され三相コイル44Dが巻回されたステー
タ43Dの順に配置される。このようにアシストモータ
40をクラッチモータ30の径方向外側に配置すること
により、装置の軸方向の長さを大幅に短くすることがで
きる。この結果、装置全体をよりコンパクトなものとす
ることができる。なお、こうしたアシストモータ40D
をクラッチモータ30の径方向外側に配置した構成にお
いても、更に、第1クラッチ45Dおよび第2クラッチ
46Dの配置の自由度およびスリップリング35の配置
の自由度がある。
【0115】実施例の動力出力装置20やその変形例で
は、クラッチモータ30とアシストモータ40とを同軸
上に配置したが、図32の変形例の動力出力装置20E
や図33の変形例の動力出力装置20Fに示すように、
クラッチモータとアシストモータとを異なる軸上に配置
するものとしてもよい。変形例の動力出力装置20Eで
は、エンジン50とクラッチモータ30Eとを同軸上に
配置し、アシストモータ40Eを異なる軸上に配置して
おり、クラッチモータ30Eのアウタロータ33Eはベ
ルト22Eにより駆動軸22に結合されており、クラン
クシャフト56はベルト56Eにより第1クラッチ45
Eを介してロータ回転軸38Eに結合されている。ま
た、変形例の動力出力装置20Fでは、エンジン50と
アシストモータ40Fとを同軸上に配置し、クラッチモ
ータ30Fを異なる軸上に配置しており、クラッチモー
タ30Fのアウタロータ33Eはベルト56Eによりク
ランクシャフト56に結合されており、駆動軸22はベ
ルト22Fにより第2クラッチ46Fを介してロータ回
転軸38Fに結合されている。これらの変形例のように
クラッチモータ30とアシストモータ40とを異なる軸
上に配置するものとすれば、装置の軸方向の長さを大幅
に短くすることができる。この結果、装置を前輪駆動の
車両に搭載するのに有利なものとすることができる。こ
うしたクラッチモータ30とアシストモータ40とを異
なる軸上に配置するものも、第1クラッチ45および第
2クラッチ46などの配置の自由度がある。
【0116】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【0117】例えば、上述した実施例の動力出力装置2
0では、エンジン50としてガソリンにより運転される
ガソリンエンジンを用いたが、その他に、ディーゼルエ
ンジンや、タービンエンジンや、ジェットエンジンなど
各種の内燃あるいは外燃機関を用いることもできる。
【0118】また、実施例の動力出力装置20では、ク
ラッチモータ30及びアシストモータ40としてPM形
(永久磁石形;Permanent Magnet type)同期電動機を
用いていたが、回生動作及び力行動作を行なわせるので
あれば、その他にも、VR形(可変リラクタンス形;Va
riable Reluctance type)同期電動機や、バーニアモー
タや、直流電動機や、誘導電動機や、超電導モータや、
ステップモータなどを用いることもできる。
【0119】さらに、実施例の動力出力装置20では、
クラッチモータ30に対する電力の伝達手段として回転
リング35aとブラシ35bとからなるスリップリング
35を用いたが、回転リング−水銀接触、磁気エネルギ
の半導体カップリング、回転トランス等を用いることも
できる。
【0120】あるいは、実施例の動力出力装置20で
は、第1および第2の駆動回路91,92としてトラン
ジスタインバータを用いたが、その他に、IGBT(絶
縁ゲートバイポーラモードトランジスタ;Insulated Ga
te Bipolar mode Transistor)インバータや、サイリス
タインバータや、電圧PWM(パルス幅変調;Pulse Wi
dth Modulation)インバータや、方形波インバータ(電
圧形インバータ,電流形インバータ)や、共振インバー
タなどを用いることもできる。
【0121】また、バッテリ94としては、Pbバッテ
リ,NiMHバッテリ,Liバッテリなどを用いること
ができるが、バッテリ94に代えてキャパシタを用いる
こともできる。
【0122】さらに各実施例では、動力出力装置を車両
に搭載する場合について説明したが、本発明はこれに限
定されるものではなく、船舶,航空機などの交通手段
や、その他各種産業機械などに搭載することも可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての動力出力装置20の
概略構成を示す構成図である。
【図2】実施例の動力出力装置20を組み込んだ車両の
概略構成を示す構成図である。
【図3】第1クラッチ45をオフ、第2クラッチ46を
オンとしたときの実施例の動力出力装置20の構成を表
わす模式図である。
【図4】第1クラッチ45をオン、第2クラッチ46を
オフとしたときの実施例の動力出力装置20の構成を表
わす模式図である。
【図5】図3の模式図の構成でNe<Ndのときのトル
ク変換の様子を説明する説明図である。
【図6】図3の模式図の構成でNe>Ndのときのトル
ク変換の様子を説明する説明図である。
【図7】図4の模式図の構成でNe<Ndのときのトル
ク変換の様子を説明する説明図である。
【図8】図4の模式図の構成でNe>Ndのときのトル
ク変換の様子を説明する説明図である。
【図9】第1クラッチ45および第2クラッチ46を共
にオンとしたときの実施例の動力出力装置20の構成を
表わす模式図である。
【図10】第1クラッチ45および第2クラッチ46を
共にオフとしたときの実施例の動力出力装置20の構成
を表わす模式図である。
【図11】制御装置80の制御CPU90により実行さ
れるトルク制御ルーチンを例示するフローチャートであ
る。
【図12】制御装置80の制御CPU90により実行さ
れるクラッチ切換処理ルーチンを例示するフローチャー
トである。
【図13】トルク指令値Td*と回転数Ndとアクセル
ペダルポジションAPとの関係を示すマップを例示する
説明図である。
【図14】制御装置80の制御CPU90により実行さ
れるクラッチモータ制御ルーチンを例示するフローチャ
ートである。
【図15】制御装置80の制御CPU90により実行さ
れるアシストモータ制御ルーチンを例示するフローチャ
ートである。
【図16】制御装置80の制御CPU90により実行さ
れるアンダードライブからオーバードライブへの切換処
理ルーチンを例示するフローチャートである。
【図17】制御装置80の制御CPU90により実行さ
れるオーバードライブからアンダードライブへの切換処
理ルーチンを例示するフローチャートである。
【図18】制御装置80の制御CPU90により実行さ
れる直結時の異常判定処理ルーチンを例示するフローチ
ャートである。
【図19】制御装置80の制御CPU90により実行さ
れる直結解除時の異常判定処理ルーチンを例示するフロ
ーチャートである。
【図20】変形例の直結時の異常判定処理ルーチンを例
示するフローチャートである。
【図21】変形例の直結解除時の異常判定処理ルーチン
を例示するフローチャートである。
【図22】変形例の直結時の異常判定処理ルーチンを例
示するフローチャートである。
【図23】変形例の直結時の異常判定処理ルーチンを例
示するフローチャートである。
【図24】変形例のクラッチ切換処理ルーチンを例示す
るフローチャートである。
【図25】変形例のアンダードライブからオーバードラ
イブへの切換処理ルーチンを例示するフローチャートで
ある。
【図26】変形例のオーバードライブからアンダードラ
イブへの切換処理ルーチンを例示するフローチャートで
ある。
【図27】図25および図26の変形例の切換処理ルー
チンで実行される解放時および解放解除時の異常判定処
理ルーチンを例示するフローチャートである。
【図28】変形例の動力出力装置20Aの概略構成を示
す構成図である。
【図29】変形例の動力出力装置20Bの概略構成を示
す構成図である。
【図30】変形例の動力出力装置20Cの概略構成を示
す構成図である。
【図31】変形例の動力出力装置20Dの概略構成を示
す構成図である。
【図32】変形例の動力出力装置20Eの概略構成を示
す構成図である。
【図33】変形例の動力出力装置20Fの概略構成を示
す構成図である。
【符号の説明】
20…動力出力装置 20A〜20F…動力出力装置 22…駆動軸 24…ディファレンシャルギヤ 26,28…駆動輪 30…クラッチモータ 31…インナロータ 32…永久磁石 33…アウタロータ 34…コイル 34…三相コイル 35…スリップリング 35a…回転リング 35b…ブラシ 37…レゾルバ 38…ロータ回転軸 40…アシストモータ 41…ロータ 42…永久磁石 43…ステータ 44…三相コイル 45…第1クラッチ 46…第2クラッチ 47…レゾルバ 49…ケース 50…エンジン 51…燃料噴射弁 52…燃焼室 54…ピストン 56…クランクシャフト 57…レゾルバ 58…イグナイタ 60…ディストリビュータ 62…点火プラグ 64…アクセルペダル 64a…アクセルペダルポジションセンサ 65…ブレーキペダル 65a…ブレーキペダルポジションセンサ 66…スロットルバルブ 67…スロットルバルブポジションセンサ 68…アクチュエータ 70…EFIECU 72…吸気管負圧センサ 74…水温センサ 76…回転数センサ 78…回転角度センサ 79…スタータスイッチ 80…制御装置 82…シフトレバー 84…シフトポジションセンサ 90…制御CPU 90a…RAM 90b…ROM 91…第1の駆動回路 92…第2の駆動回路 94…バッテリ 95,96…電流検出器 97,98…電流検出器 99…残容量検出器 99b…電流計 L1,L2…電源ライン Tr1〜Tr6…トランジスタ Tr11〜Tr16…トランジスタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤尾 憲彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−271749(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60L 11/14 B60K 6/02 F02D 29/02 H02K 7/18 H02P 9/04

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動軸に動力を出力する動力出力装置で
    あって、 出力軸を有する原動機と、 前記出力軸に結合された第1のロータと、前記駆動軸に
    結合され該第1のロータに対して相対的に回転可能な第
    2のロータとを有し、該両ロータ間の電磁的な結合を介
    して該出力軸と該駆動軸との間で動力のやり取りをする
    第1の電動機と、 前記出力軸および前記駆動軸とは異なる回転軸を有し、
    該回転軸を介して動力のやり取りをする第2の電動機
    と、 前記回転軸と前記出力軸との機械的な接続と該接続の解
    除とを行なう第1の接続手段と、 前記回転軸と前記駆動軸との機械的な接続と該接続の解
    除とを行なう第2の接続手段と、 前記駆動軸に出力する目標動力を設定する目標動力設定
    手段と、 前記出力軸および前記駆動軸の運転状態を検出する運転
    状態検出手段と、 該検出された前記出力軸および前記駆動軸の運転状態に
    基づいて前記第1の接続手段による接続状態および/ま
    たは前記第2の接続手段による接続状態を切り換えるよ
    う対応する該第1の接続手段,該第2の接続手段を駆動
    制御する切換制御手段と、 該切換制御手段による切り換えに伴って前記原動機から
    出力される動力がトルク変換されて目標動力として前記
    駆動軸に出力されるよう前記第1の電動機と前記第2の
    電動機とを駆動制御する動力制御手段と、 前記切換制御手段により切り換えられる前記第1の接続
    手段および/または前記第2の接続手段の異常を検出す
    る異常検出手段とを備える動力出力装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の動力出力装置であって、 前記第1の電動機による充放電と前記第2の電動機によ
    る充放電が可能な蓄電手段と、 前記蓄電手段を充放電する電流を検出する電流検出手段
    とを備え、 前記異常検出手段は、前記電流検出手段により検出され
    る電流に基づいて異常を検出する手段である動力出力装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の動力出力装置であって、 前記蓄電手段を充放電する目標電力を設定する目標電力
    設定手段を備え、 前記動力制御手段は、前記蓄電手段が前記目標電力で充
    放電されると共に前記原動機から出力される動力がトル
    ク変換されて目標動力として前記駆動軸に出力されるよ
    う制御する手段であり、 前記異常検出手段は、前記電流検出手段により検出され
    る電流に基づいて求められる前記蓄電手段を充放電する
    電力と前記目標電力との偏差が所定値より大きいときに
    異常と判定する異常判定手段を備える動力出力装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の動力出力装置であって、 前記第1の電動機および/または前記第2の電動機の駆
    動電流を検出する電流検出手段を備え、 前記異常検出手段は、前記電流検出手段により検出され
    た前記第1の電動機および/または前記第2の電動機の
    駆動電流に基づいて異常を検出する手段である動力出力
    装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の動力出力装置であって、 前記異常検出手段は、 前記電流検出手段により検出される前記第1の電動機お
    よび/または前記第2の電動機の駆動電流に基づいて対
    応する電動機から出力しているトルクを推定するトルク
    推定手段と、 該トルクの推定された電動機の前記動力制御手段による
    制御目標値との偏差が所定値より大きいときに異常と判
    定する異常判定手段とを備える動力出力装置。
  6. 【請求項6】 前記異常検出手段は、前記運転状態検出
    手段により検出される前記出力軸および前記駆動軸の運
    転状態としての回転数に基づいて異常を検出する手段で
    ある請求項1記載の動力出力装置。
  7. 【請求項7】 前記異常検出手段は、前記出力軸の回転
    数が所定の変化率以上で変化したときに異常と判定する
    手段である請求項6記載の動力出力装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の動力出力装置であって、 前記切換制御手段により、前記第1,第2の接続手段の
    一方が接続の状態で他方が接続解除の状態から該他方を
    接続の状態に切り換えたとき、または、前記第1,第2
    の接続手段が共に接続の状態からいずれか一方を接続解
    除の状態に切り換えたとき、前記第1のロータに対して
    前記第2のロータが所定の回転数で駆動するよう前記第
    1の電動機を制御する第1電動機制御手段と、 該第1電動機制御手段により制御される前記第1の電動
    機の駆動電流を検出する電流検出手段とを備え、 前記異常検出手段は、前記電流検出手段により検出され
    た駆動電流に基づいて異常を検出する手段である動力出
    力装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の動力出力装置であって、 前記第1電動機制御手段は、前記切換制御手段により前
    記第1,第2の接続手段の一方が接続の状態で他方が接
    続解除の状態から該他方を接続の状態に切り換えたとき
    に、前記第1のロータに対して前記第2のロータが所定
    の回転数で駆動するよう制御する手段であり、 前記異常検出手段は、前記電流検出手段により検出され
    た駆動電流が所定値以下のときに異常と判定する異常判
    定手段を備える動力出力装置。
  10. 【請求項10】 請求項8記載の動力出力装置であっ
    て、 前記第1電動機制御手段は、前記切換制御手段により前
    記第1,第2の接続手段が共に接続の状態からいずれか
    一方を接続解除の状態に切り換えたときに、前記第1の
    ロータに対して前記第2のロータが所定の回転数で駆動
    するよう制御する手段であり、 前記異常検出手段は、前記電流検出手段により検出され
    た駆動電流が所定値より大きいときに異常と判定する異
    常判定手段を備える動力出力装置。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の動力出力装置であっ
    て、 前記回転軸と前記出力軸との回転数差および/または前
    記回転軸と前記駆動軸との回転数差を検出する回転数差
    検出手段を備え、 前記異常検出手段は、前記回転数差検出手段により検出
    される前記回転軸と前記出力軸との回転数差および/ま
    たは前記回転軸と前記駆動軸との回転数差に基づいて異
    常を検出する手段である動力出力装置。
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