JP3029621B2 - 熱転写受像シートの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は熱転写受像シートの製造方法に関し、更に詳
しくは美観、意匠性、特異性等に優れた画像を形成する
ことが出来る熱転写受像シートの製造方法の提供を目的
とする。

（従来の技術及びその問題点） 従来、昇華タイプの熱転写方式を使用して、紙やプラ
スチックフイルム上に染料受容層を設け、該受容層中に
各種のフルカラー画像を形成する方法が提案されてい
る。この場合には加熱手段としてプリンターのサーマル
ヘッドが使用され、極めて短時間の加熱によって３色又
は４色の多数の色ドットを被転写材に転移させ、該多色
の色ドットにより原稿のフルカラー画像を再現するもの
である。

この様に形成された画像は、使用する色材が染料であ
ることから非常に鮮明であり、且つ透明性に優れている
為、得られる画像は中間色の再現性や階調性に優れ、従
来のオフセット印刷やグラビア印刷による画像と同様で
あり、且つフルカラー写真画像に匹敵する高品質の画像
が形成可能となっている。

又、特異な画像を有するシートとして昼光や照明光に
より立体像が再生されるホログラムシートが知られてい
る。該ホログラムシートとしては、体積位相型ホログラ
ムシートとレリーフ型ホログラムシートとが実用化され
ているが、特にレリーフ型ホログラムシートは複製が容
易で大量生産が可能なことから各種の装飾材として広く
使用される様になっている。

又、前記熱転写画像を身分証明書やパスポート等のID
カードに利用する場合には、該IDカードが他のものとは
明瞭に異なる特異性を有し、偽造や改ざんが困難である
ことが望ましい。この為に熱転写画像に独特の意匠性や
特異性を与える目的でホログラムシートを貼着すること
が提案されている。

しかしながら、この方法では熱転写画像とホログラム
シートとが重ならない様にする等、貼着作業が煩雑であ
り、又、一旦貼着したホログラム画像が剥離し易いとい
う問題があり、更に両画像の一体性が不十分であるとい
う問題も大きい。

従って、本発明は貼着作業が不要で且つホログラム画
像の剥離がなく、更にホログラム画像と一体化した熱転
写画像を形成することが出来る熱転写受像シートを提供
することである。

（問題点を解決する為の手段） 上記目的は以下の本発明によって達成される。

即ち、本発明の熱転写受像シートの製造方法は、透明
又は半透明の支持体フィルム上に、常温では固体で熱可
塑性を有し、かつ電離放射線により硬化性を有する樹脂
からなるホログラム形成層、ホログラム効果層を順次積
層したホログラムシートの支持体フィルムの他の面に染
料受容層を形成し、前記ホログラム効果層側から基材シ
ートに積層して熱転写受像シートとした後、熱転写受像
シートにおける染料受容層に熱転写画像を形成すること
を特徴とする。

また、透明又は半透明の支持体フィルム上に、常温で
は固体で熱可塑性を有し、かつ電離放射線により硬化性
を有する樹脂からなるホログラム形成層、ホログラム効
果層を順次積層したホログラムシートをそのホログラム
効果層側から基材シートに積層し、次いで、該支持体の
他の面に染料受容層を形成して熱転写受像シートとした
後、熱転写受像シートにおける染料受容層に熱転写画像
を形成することを特徴とする。

（作用） 本発明の熱転写受像シートの製造方法によれば、貼着
作業が不要で且つホログラム画像の剥離がなく、更にホ
ログラム画像と一体化した熱転写画像を形成することが
出来る熱転写受像シートが提供される。

（好ましい実施態様） 次に好ましい実施態様を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。

本発明により得られる熱転写受像シートは、第１図乃
至第２図の様に、基材シート１と染料受容層２との間に
ホログラム画像層を設けた熱転写受像シートにおいて、
該ホログラム画像層が、透明または半透明の支持体フィ
ルム３上に、常温では固体で熱可塑性を有し、かつ電離
放射線により硬化性を有する樹脂からなるホログラム形
成層４、ホログラム効果層５を順次積層したホログラム
シートＡであって、該ホログラムシートＡにおける支持
体フィルム３面に染料受容層２が形成され、前記ホログ
ラム効果層５側から基材シートに積層されたものであ
る。

第１図は本発明の熱転写受像シートの１例の断面を図
解的に説明する図である。

この実施例の受像シートは、支持体フイルム３とホロ
グラム形成層４とホログラム効果層５とからなるホログ
ラムシートＡの支持体フイルム３の面に染料受容層２を
形成し、これを基材シート１に接着剤層６により貼着す
るか、或は基材シート１にホログラムシートＡを接着剤
層６により貼着した後、シートＡの支持体フイルム３の
表面に染料受容層２を形成することによって得られる。

この例の受像シートにおいては、基材シート１と接着
剤層６及びホログラム効果層５は透明でも不透明でもよ
いが、その他の層は透明又は半透明であることが必要で
ある。

この様な受像シートの染料受像層２に熱転写方式によ
り画像７を形成すると、該画像７の下地にはホログラム
画像Ａが存在するので、熱転写画像７とホログラム画像
Ａとの相乗効果により非常に特異的且つ美しい画像とな
る。例えば、ホログラム画像Ａを奥行のある風景画と
し、熱転写画像７を人物画とすると、いずれの画像単独
では得られない著しく立体感に優れた画像となる。

特に熱転写画像７は染料で形成されている為に、透明
性が高く、画像７の形成面積が大であっても、その下地
にあるホログラム像は画像７を通して観察することが可
能であるという効果を有している。

従って、この様な受像シートを用いることによってホ
ログラムシートを貼着する従来技術に比較してホログラ
ムシートを貼着したり、或いは貼着したホログラムシー
トの剥離の恐れ無く、非常に特異性及び一体感のある画
像を形成することが可能である。

第２図は本発明の熱転写受像シートの更に別の例を示
し、ホログラムシートＡと染料受容層２との間に接着剤
層８を設けた例の断面を図解的に説明する図である。こ
の例は、染料受容層２とホログラムシートＡの支持体フ
イルム３の接着性が不良である時に有用であり、第１図
示の例と同様に優れた作用効果を奏する。

以上本発明の好ましい例を説明したが、これらの例に
おいてホログラムシートＡは基材シート１の全面に設け
ることは必須ではなく、基材シート１の一部に設けても
よいのは当然である。

以上の如き本発明で使用する基材シートとしては、合
成紙（ポリオレフィン系、ポリスチレン系等）、上質
紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏
打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラ
テックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース
繊維紙、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレー
ト、ポリカーボネート等の各種のプラスチックのフイル
ム又はシート等が使用出来、又、これらの合成樹脂に白
色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フイルム或
いは発泡させた発泡シート等も使用出来特に限定されな
い。

又、上記基材シートの任意の組み合わせによる積層体
も使用出来る。代表的な積層体の例として、セルロース
繊維紙と合成紙或いはセルロース繊維紙とプラスチック
フイルム又はシートとの合成紙が挙げられる。これらの
基材シートの厚みは任意でよく、例えば、10乃至300μ
ｍ程度の厚みが一般的である。

又、本発明で使用するホログラムシートＡとは、従来
公知のいずれの透明型、半透明型又は不透明型（反射
型）ホログラム画像を有するシートでもよく特に限定さ
れない。

この様なホログラムシート自体は公知であり、本願出
願人によるホログラムの製造及び利用に関する多数の先
行出願明細書或いは「印刷情報、1986年３月号17乃至24
頁」において竹内によって詳細に解説されている。

本発明において特に好ましいホログラムは、レリーフ
ホログラムである。

レリーフホログラムはホログラム像が昼光又は照明光
等の白色光或いはレーザー光等の特定の再生光によって
立体的に再生されるものであり、特に昼光や照明光等の
白色光によって像が再生されるホログラムは、通常の状
態でもホログラム像が観察されるので装飾性にも優れて
おり、一方、レーザー光によって像が再生されるタイプ
のものは偽造又は改ざんの発見性に優れている。

第１図を用いてレリーフホログラムを説明する。レリ
ーフホログラムは、支持体フイルム３、ホログラム形成
層４及びホログラム効果層５が順次積層された構成を有
している。

この様なホログラムシートは、例えば、ポリエチレン
テレフタレートフイルム等の支持体フイルム３の表面
に、常温で固体で熱形成性を有する樹脂層、例えば、常
温で固体で且つ熱可塑性の電離放射線硬化性樹脂層４
（ホログラム形成層）を形成し、この面にホログラムの
干渉模様が凹凸形状に形成されているホログラム原版
（不図示）を加圧接触させて凹凸形状を樹脂層４に転写
し、硬化させ、更にその凹凸形状の表面に十分な透明性
と或る角度での大きな反射性を兼ね備え、且つホログラ
ム形成層４と屈折率が異なる材料（例えばアルミニウム
蒸着薄膜）からなる薄膜のホログラム効果層５を形成す
ることによって得られる。これらの形成材料及び形成方
法は前述の通り従来公知の材料及び方法でよい。

この様なホログラムシートはそのホログラム効果層５
によって反射光でホログラム像が観察出来るとともに、
ホログラム効果層５が透明に近いので透過光でも観察出
来、全体として透明乃至半透明である。勿論、上記ホロ
グラム効果層を形成しなければ完全透明ホログラムシー
トとなり、ホログラム効果層を例えば不透明且つ反射性
の金属等で形成すれば、不透明（反射）型レリーフホロ
グラムとなる。

これらのホログラムシートの厚みは任意でよく、例え
ば、10乃至300μｍ程度の厚みが一般的である。

上記の如きホログラムシートＡは、その表面に形成す
る受容層２との密着力が乏しい場合にはその表面にプラ
イマー処理やコロナ放電処理を施したり、第２図示の如
き透明な接着剤層８を形成することも出来る。

上記ホログラムシートＡの表面に形成する受容層２
は、熱転写シートから移行してくる昇華性染料を受容
し、形成された画像を維持する為のものである。

染料受容層を形成する為の樹脂としては、例えば、ポ
リプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ
酢酸ビニル、ポリアクリルエステル等のビニルポリマ
ー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレ
フィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイ
オノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹
脂、ポリカーボネート等が挙げられ、特に好ましいもの
は、ビニル系樹脂及びポリエステル系樹脂である。

本発明の熱転写受像シートは前記のホログラムシート
の面に、上記の如き樹脂に必要な添加剤を加えたもの
を、適当な有機溶剤に溶解したり或いは有機溶剤や水に
分散した分散体を、例えば、グラビア印刷法、スクリー
ン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティ
ング法等の形成手段により塗布及び乾燥して染料受容層
を形成することによって得られる。勿論、この様にして
形成される染料受容層は透明又は半透明であり、その下
地であるホログラム画像が観察出来ることが必要であ
る。

以上の如く形成される染料受容層は任意の厚さでよい
が、一般的には１乃至50μｍの厚さである。又、この様
な染料受容層は連続被覆であるのが好ましいが、樹脂エ
マルジョンや樹脂分散液を使用して、不連続の被覆とし
て形成してもよい。

本発明の熱転写受像シートは基本的には上記の如き構
成でも十分に使用出来るものであるが、本発明における
受容層は、熱転写シートとの良好な離型性を付与する為
に離型剤を含有するのが好ましい。

好ましい離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸
エステル系界面活性剤、弗素系界面活性剤等が挙げられ
るが、シリコーンオイルが望ましい。

上記シリコーンオイルとしては、エポキシ変性、アル
キル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール
変性、弗素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変
性、エポキシ・ポリエーテル変性、ポリエーテル変性等
の変性シリコーンオイルが望ましい。

離型剤は１種若しくは２種以上のものが使用される。
又、この離型剤の添加量は受容層形成樹脂100重量部に
対し、１乃至20重量部が好ましい。この添加量の範囲を
満たさない場合は、熱転写シートと受容層の融着若しく
は印字感度の低下等の問題が生じる場合がある。この様
な離型剤は、染料受容層の重量の約0.5乃至30重量％を
占める割合が良い。

又、本発明の受像シートは、基材シートを適宜選択す
ることにより、熱転写記録可能な被熱転写シート、カー
ド類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用する
ことも出来る。

更に、本発明の受像シートは必要に応じてホロフラム
シートＡと受容層２との間にクッション層を設けること
が出来、この様なクッション層を設けることによって、
印字時にノイズが少なく画像情報に対応した画像を再現
性良く転写記録することが出来る。

クッション層を構成する材質としては、例えば、ポリ
ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン系樹脂、ブ
タジエンラバー、エポキシ樹脂等が挙げられる。クッシ
ョン層の厚さは２乃至20μｍ程度が好ましい。

又、基材シートの裏面に滑性層を設けることも出来
る。滑性層の材質としては、メチルメタクリレート等の
メタクリレート樹脂若しくは対応するアクリレート樹
脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂
等が挙げられる。

更に、受像シートに検知マークを設けることも可能で
ある。検知マークは熱転写シートと受像シートとの位置
決めを行う際等に極めて便利であり、例えば、光電管検
知装置により検知しうる検知マークを基材シートの裏面
等に印刷等により設けることが出来る。

上記の如き本発明の熱転写受像シートを使用して熱転
写を行う際に使用する熱転写シートは、紙やポリエステ
ルフイルム上に昇華性染料を含む染料層を設けたもので
あり、従来公知の熱転写シートはいずれも本発明でその
まま使用することが出来る。

上記で使用する染料としては、従来公知の熱転写シー
トに使用される染料はいずれも有効に使用可能であり、
例えば、幾つかの好ましい染料としては、赤色染料とし
て、MSレッドＧ、マクロレックスレッドバイオレット
Ｒ、セレスレッド7B、サマロンレッドHBSL、SKルビンSE
GL、バイミクロンSN VP 2670、レゾリンレッドF3BS等
が挙げられ、又、黄色の染料としては、ホロンブリリア
ントイエローＳ−6GL、PTY−52、マクロレックスイエロ
ー6G、テラジルゴールデンイエロー2RS等が挙げられ、
又、青色染料としては、カヤセットブルー714、ワクソ
リンブルーAP−FW、ホロンブリリアントブルーＳ−Ｒ、
MSブルー100、ダイトブルーNo.1等が挙げられる。

又、熱転写時の熱エネルギーの付与手段は、従来公知
の付与手段がいずれも使用出来、例えば、サーマルプリ
ンター（例えば、（株）日立製作所製、ビデオプリンタ
ーVY−100）等の記録装置によって、記録時間をコント
ロールすることにより、５乃至100mJ/mm²程度の熱エネ
ルギーを付与することによって所期の目的を十分に達成
することが出来る。

（効果） 貼着作業が不要で且つホログラム画像の剥離がなく、
更にホログラム画像と一体化した熱転写画像を形成する
ことが出来る熱転写受像シートが提供される。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第２図は本発明の熱転写受像シートの断面を
図解的に示す図である。 1:基材シート 2:染料受容層 3:ホログラムシート 4:ホログラム形成層 5:ホログラム効果層 6:接着剤層 7:熱転写画像 8:接着剤層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−200077（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−291199（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−191465（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−149762（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−144669（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−143663（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−144665（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41M 5/38 - 5/40 B42D 15/10 G03H 1/00 - 5/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】透明又は半透明の支持体フィルム上に、常
   温では固体で熱可塑性を有し、かつ電離放射線により硬
   化性を有する樹脂からなるホログラム形成層、ホログラ
   ム効果層を順次積層したホログラムシートの支持体フィ
   ルムの他の面に染料受容層を形成し、前記ホログラム効
   果層側から基材シートに積層して熱転写受像シートとし
   た後、熱転写受像シートにおける染料受容層に熱転写画
   像を形成することを特徴とする熱転写受像シートの製造
   方法。
2. 【請求項２】透明又は半透明の支持体フィルム上に、常
   温では固体で熱可塑性を有し、かつ電離放射線により硬
   化性を有する樹脂からなるホログラム形成層、ホログラ
   ム効果層を順次積層したホログラムシートをそのホログ
   ラム効果層側から基材シートに積層し、次いで、該支持
   体の他の面に染料受容層を形成して熱転写受像シートと
   した後、熱転写受像シートにおける染料受容層に熱転写
   画像を形成することを特徴とする熱転写受像シートの製
   造方法。