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JP3015837B2 - 油圧作動式変速機の油圧制御装置 - Google Patents

油圧作動式変速機の油圧制御装置

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Publication number
JP3015837B2
JP3015837B2 JP17676791A JP17676791A JP3015837B2 JP 3015837 B2 JP3015837 B2 JP 3015837B2 JP 17676791 A JP17676791 A JP 17676791A JP 17676791 A JP17676791 A JP 17676791A JP 3015837 B2 JP3015837 B2 JP 3015837B2
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JP
Japan
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pressure
hydraulic
control amount
target
line pressure
Prior art date
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JP17676791A
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JPH06207657A (ja
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智年 森重
修一 川村
朝生 沢崎
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油圧作動式変速機にお
ける油圧回路の油圧をフィードバック制御により目標油
圧となるように制御する油圧制御装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開昭59−19755号
公報に示されるように、変速機構に対する油圧回路の油
圧(ライン圧)をフィードバック制御により目標油圧に
なるように制御した油圧制御装置は知られている。この
公報に示された装置は、有効径が可変とされて油圧によ
り作動される入力側および出力側の各プーリとこれらに
張設されたベルトとで変速機構が構成されているベルト
式無段変速機において、調圧手段により調整されたライ
ン圧が出力側のプーリに供給されることによりベルトの
張力が調整されるようにするとともに、上記調圧手段を
制御する制御回路によりライン圧のフィードバック制御
を行っている。
【0003】このフィードバック制御としては、目標ラ
イン圧を運転状態に応じて設定し、上記目標ライン圧等
に応じて基本制御量を設定するとともに、油圧センサで
検出される実際のライン圧と上記目標ライン圧との比較
に基づいてフィードバック制御量を求め、このフィード
バック制御量を上記基本制御量に加えた制御量をもって
調圧手段を制御することにより、ライン圧を目標値に収
束させるようにするものが、一般に知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の油
圧制御装置においては、運転状態が変化するとそれに応
じて目標ライン圧が変更され、かつ上記基本制御量が変
更されるが、調圧手段を構成するバルブの機械的な作動
遅れやオイル流動の遅れ等があるために、上記目標ライ
ン圧および基本制御量が変更されてから実際のライン圧
が変化するまでにある程度の応答遅れが生じる。そし
て、基本制御量の変更が適度であっても遅れ時間中は目
標ライン圧と実際のライン圧との偏差が大きくなる。こ
のため、そのときの目標ライン圧と実際のライン圧との
比較に基づいてフィードバック制御量が求められる従来
の装置では、上記遅れ時間中にフィードバック制御量が
過大に変化し、これによりその後にライン圧が必要以上
に変化して、所謂オーバーシュートが生じ、目標ライン
圧への収束性や安定性が悪くなる可能性があった。
【0005】本発明は、上記の事情に鑑み、油圧回路の
油圧をフィードバック制御する場合に、応答遅れを配慮
した制御により、オーバーシュートを防止して、安定し
たフィードバック制御を行うことができる油圧作動式変
速機の油圧制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、油圧によって作動される変速機構と、この変
速機構に対する油圧回路とを備えるとともに、この油圧
回路に油圧を調整する調圧手段が設けられている油圧作
動式変速機において、上記調圧手段により調整される油
圧を検出する検出手段と、運転状態に応じて目標油圧を
設定する目標油圧設定手段と、運転状態に応じて油圧制
御信号の基本制御量を設定する基本制御量設定手段と、
油圧検出手段により検出された現時点の実際の油圧と現
時点より設定時間だけ前の運転状態に応じた目標油圧と
を比較して、両者の偏差に応じて油圧制御信号のフィー
ドバック制御量を求めるフィードバック制御量演算手段
と、上記基本制御量とフィードバック制御量とを含む制
御量によって上記調圧手段を制御する制御手段とを備え
たものである。
【0007】上記基本制御量設定手段は、目標油圧設定
手段により運転状態に応じて設定された現時点の目標油
圧に基づいて基本制御量を設定するものであることが好
ましい。また、フィードバック制御量演算手段で現時点
の実際の油圧と設定時間だけ前の目標油圧とを比較する
ときの上記設定時間は、油温とバッテリ電圧のうちの少
なくとも一方に応じて変更することが好ましい。
【0008】
【作用】上記の構成によると、運転状態の変化に応じて
目標油圧および基本制御量が変更された場合に、実際の
油圧の変化の応答遅れが生じている間にフィードバック
制御量が過大に変化することが避けられることにより、
その後のオーバーシュートが抑制される。
【0009】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は油圧作動式変速機の全体構成を示している。図示
の変速機はベルト式の無段変速機であり、エンジンAの
出力軸1に連結されたトルクコンバータBと、前後進切
換機構Cと、ベルト伝動機構を用いた変速機構Dと、減
速機構Eと、作動機構Fとが配設されている。
【0010】上記トルクコンバータBは、ポンプカバー
2に固定されてエンジン出力軸1と一体的に回転するポ
ンプインペラ3と、これに対向するタービンランナ4
と、これらポンプインペラ3とタービンランナ4との間
に介設されてトルク増倍作用を行うステータ5とを有
し、ポンプカバー2内の作動油を介してポンプインペラ
3からタービンランナ4へ駆動力が伝達されるようにな
っている。上記タービンランナ4にはタービン軸6が連
結され、このタービン軸6が、前後進切換機構Cの入力
側に接続されている。
【0011】上記前後進切換機構Cは、上記タービン軸
6に結合されたキャリア13に第1および第2のピニオ
ンギヤ11,12が取り付けられ、変速機構Dの入力側
に接続されたサンギヤ14に第1ピニオンギヤ11が噛
合し、リングギヤ15に第2ピニオンギヤ12が噛合す
るとともに、リングギヤ15とキャリア13との間にフ
ォワードクラッチ16が、またリングギヤ15とミッシ
ョンケース18との間にリバースクラッチ17が、それ
ぞれ設けられた構造となっている。従って、フォワード
クラッチ16が締結、リバースクラッチ17が解放の状
態では、タービン軸6の回転がそのままサンギヤ14か
ら変速機構D側へ出力される。また、フォワードクラッ
チ16が解放、リバースクラッチ17が締結の状態で
は、タービン軸6の回転が反転された状態でサンギヤ1
4から変速機構D側へ出力される。
【0012】上記変速機構Dは、上記サンギヤ14に結
合されたプライマリ軸22上のプライマリプーリ21
と、上記プライマリ軸22に対し所定間隔をおいて平行
に配置されたセカンダリ軸32上のセカンダリプーリ3
1と、これらの間に張設されたベルト20とを備えてい
る。
【0013】上記プライマリプーリ21は、プライマリ
軸22に固定された固定円錐板23と、これに対向して
配置されプライマリ軸22にスライド可能に支持された
可動円錐板24とを備え、両円錐板23,24の間に略
V字状断面のベルト受け溝25が形成されている。そし
て、可動円錐板24が移動するとベルト挾持位置が変化
することで有効ピッチ径が変化するようになっている。
【0014】セカンダリプーリ31は、基本的には上記
プライマリプーリ21と同様の構成を有するもので、セ
カンダリ軸32に固定された固定円錐板33とこれに対
向した可動円錐板34とを備え、両円錐板33,34の
間にベルト受け溝35が形成され、可動円錐板34が移
動すると有効ピッチ径が変化するようになっている。
【0015】これらのプーリ21,31における各可動
円錐板24,34の背部には、各可動円錐板24,34
をスライドさせるための油圧室(プライマリ室26およ
びセカンダリ室36)を構成するシリンダ27,37が
結合されている。上記プライマリ室26には、後記変速
比制御バルブ46等で制御された油圧が与えられ、また
セカンダリ室36には、後記調圧手段により調整された
油圧(油圧回路のライン圧)が与えられる。そして、プ
ライマリ室26への作動油の導入あるいは排出により、
プライマリプーリ21の有効径が調整されるとともにそ
れに伴ってセカンダリプーリ31の有効径が調整され、
一方、セカンダリ室36に与えられる油圧でベルト20
の張力が調整されるようになっている。
【0016】図2は上記変速機構D等に対する油圧回路
を示している。この油圧回路は、オイルポンプ40と、
ライン圧を調整する調圧手段と、変速用の油圧供給制御
手段を含んでいる。
【0017】上記調圧手段は、オイルポンプ40からラ
イン51に吐出される作動油の圧力を調整して所定のラ
イン圧とするライン圧調整バルブ41と、このライン圧
調整バルブ41に対するパイロット圧をコントロールす
る修正バルブ42およびデューティソレノイドバルブ4
3を有している。上記修正バルブ42のパイロット室に
は、ライン圧を減圧する減圧バルブ44に通じるパイロ
ットライン52が接続され、このパイロットライン52
に上記デューティソレノイドバルブ43が接続されてい
る。そして、上記デューティソレノイドバルブ43でコ
ントロールされた圧力が修正バルブ42のパイロット室
に導入され、その圧力に応じた修正バルブ42の作動に
よって制御された圧力が、ライン53を経てライン圧調
整バルブ41のパイロット室に導入されることにより、
ライン圧がコントロールされるようになっている。
【0018】このライン圧は、上記ライン51を介して
上記セカンダリ室36に、ベルト張力調整のためのセカ
ンダリ圧として供給される。このライン51には、ライ
ン圧を検出する油圧センサ61が接続されている。
【0019】また、変速用の油圧供給制御手段は、変速
比制御バルブ46および変速比固定バルブ47を有して
おり、ライン51から分岐したライン55が変速比制御
バルブ46に接続されるとともに、変速比制御バルブ4
6と変速比固定バルブ47との間にライン56が接続さ
れ、さらに変速比固定バルブ47と上記プライマリ室2
6との間にライン57が接続されている。
【0020】上記変速比制御バルブ46は、プライマリ
・デューティソレノイドバルブ48により制御され、こ
のソレノイドバルブ48がオフのときは、ライン55に
連なるポートとライン56とを連通してライン圧をプラ
イマリ室26側へ送り、反対にソレノイドバルブ48が
オンのときは、ライン56をドレン用のポート58に連
通させて、プライマリ室側の油圧をリリーフボール59
を経てドレンさせる。そして、上記ソレノイドバルブ4
8がオンとオフとの間でデューティ制御されると、それ
に応じてポートの開口率が変化することにより、プライ
マリ室26側の圧力を制御するようになっている。ま
た、変速比固定バルブ47は、変速異常の発生が予測さ
れる場合等に変速比を固定可能とするためのもので、オ
ン・オフ型ソレノイドバルブ49によりコントロールさ
れ、ソレノイドバルブ49がオンのときはライン56と
ライン57とを連通させるが、ソレノイドバルブ49が
オフのときはプライマリ室26側のライン57を閉じて
プライマリ室26の圧力を固定するようになっている。
【0021】なお、このほかに油圧回路には、トルクコ
ンバータに対する油圧供給系統、マニュアルバルブの作
動に応じて前後進切換機構Cのクラッチに対する油圧の
給排を行う系統等も設けられるが、これらについては図
示を省略する。
【0022】上記油圧回路における調圧用のデューティ
ソレノイドバルブ43、プライマリ・デューティソレノ
イドバルブ48およびソレノイドバルブ49等はコント
ロールユニット(ECU)70により制御される。この
ECU70には、上記油圧センサ61からの信号が入力
されるとともに、エンジン回転数センサ62およびスロ
ットル開度センサ63からの各信号が入力され、さらに
必要に応じて油温センサ64からの信号、バツテリ電圧
信号65等も入力される。
【0023】上記ECU70は、運転状態に応じて上記
プライマリ・デューティソレノイドバルブ48等を制御
することにより変速比の制御を行うとともに、調圧用の
デューティソレノイドバルブ43を制御することにより
ライン圧の制御を行うようになっており、ライン圧を制
御する手段は図3に示すような構成となっている。
【0024】すなわち、目標油圧設定手段71と、基本
制御量設定手段72と、設定時間Δtだけ前の目標油圧
Pt(t−Δt)を出力する手段73と、フィードバック制
御量演算手段74と、制御手段75とがECU70に機
能的に含まれている。上記目標油圧設定手段71は、ス
ロットル開度およびエンジン回転数等により運転状態を
調べて、そのときの運転状態に応じた目標ライン圧を設
定する。上記基本制御量設定手段72は、予め調べられ
た上記デューティソレノイドバルブ43のデューティと
ライン圧との対応関係に基づき、目標ライン圧に応じ
て、基本制御量に相当するデューティフィードフォワー
ド量(以下「デューティF/F量」という)を求める。
なお、このデューティF/F量を油温やバッテリ電圧等
に応じて補正してもよい。
【0025】また、上記手段73は、上記目標油圧設定
手段71によって演算された目標ライン圧を記憶してお
き、フィードバック制御量演算手段74に対し、設定時
間Δtだけ前の目標ライン圧Pt(t−Δt)を与えるもの
である。上記設定時間Δtは、デューティソレノイドバ
ルブ43への制御信号の変化に対するライン圧の変化の
応答遅れに相当する時間とされ、望ましくは、上記応答
遅れに関係する油温とバッテリ電圧のうちの少なくとも
一方に応じて設定時間Δtが変更される。
【0026】上記フィードバック制御量演算手段74
は、油圧センサ61によって検出された元時点の実際の
ライン圧と、目標油圧設定手段71から手段73を介し
て与えられる設定時間前の目標ライン圧Pt(t−Δt)と
を比較し、両者の偏差に応じて、フィードバック制御量
に相当するデューティフィードバック量(以下「デュー
ティF/B量」という)を求める。
【0027】また、上記制御手段75は、上記デューテ
ィF/F量と補正後のデューティF/B量とから最終的
なデューティを求めて上記デューティソレノイドバルブ
43を制御するようになっている。
【0028】図4は上記ECU70によるライン圧の制
御の具体例をフローチャートで示す。このフローチャー
トの処理がスタートすると、ECU70は、先ずステッ
プS1でライン圧Po、スロットル開度TVO、エンジ
ン回転数Ne、油温To、バッテリ電圧VB 等の信号を
読み込む。続いてステップS2で、スロットル開度TV
Oとエンジン回転数Neに応じた値f(TVO,Ne)をもって
現時点の目標ライン圧Pt(t) を設定する。この値は、
例えば予めECU70内に記憶された目標ライン圧のマ
ップから求められる。
【0029】続いてステップS3で、現時点の目標ライ
ン圧Pt(t) に応じたデューティF/F量DFFを設定す
る。このデューティF/F量DFFは、予め調べられたラ
イン圧とデューティとの対応特性に基づいてECU70
内にマップとして記憶されており、このマップから求め
られる。
【0030】次にステップS4で、設定時間Δtだけ前
の目標ライン圧Pt(t−Δt)を読み出す。この設定時間
Δtは、一定値であってもよいが、前述のように望まし
くは油温Toに応じた値f(To)、もしくはバッテリ電圧
B に応じた値g(VB)、またはこれら両方に応じた値h
(To,VB)とする。油温Toとの関係としては、図5のよ
うに油温Toが低くなる程設定時間Δtが大きくなり、
またバッテリ電圧VBとの関係としては、図5のように
バッテリ電圧VB が低くなる程設定時間Δtが大きくな
るようにする。
【0031】続いてステップS5で、現時点の実際のラ
イン圧Po(t) と、上記ステップS4で読み出した設定
時間前の目標ライン圧Pt(t−Δt)との偏差ΔPを演算
する。そしてステップS6で、上記偏差ΔPに基づき、
PID制御によりデューティF/B量ΔDを ΔD=KI・∫ΔPdt+KP・ΔP+KD・dΔP/dt と演算する。ここで、KI ,KP ,KD は定数である。
【0032】さらにステップS7で、上記デューティF
/F量DFFに上記デューティF/B量ΔDを加えること
により、最終的なデューティDuを求め、ステップS8
でこのデューティDuによりデューティソレノイドバル
ブ43を駆動する。
【0033】以上のような当実施例の油圧制御装置によ
ると、運転状態に応じて目標ライン圧Ptが設定され、
この目標ライン圧Ptに応じて上記ステップS3で設定
されたデューティF/F量DFFと、上記ステップS6で
求められたデューティF/B量ΔDとに基づき、ステッ
プS7,S8の処理でデューティソレノイドバルブ43
が制御される。とくに、上記デューティF/B量が現時
点の実際のライン圧Po(t) と設定時間Δt前の目標ラ
イン圧Pt(t−Δt)との偏差ΔPに基づいて求められる
ことにより、目標ライン圧が変わった直後のオーバーシ
ュートが防止される。この作用を図7のタイムチャート
によって説明する。
【0034】運転状態がある状態から別の状態へ急速に
変化すると、その運転状態の変化に応じて目標ライン圧
Ptが変更されるとともに、先ずその変更時点t0 で目
標ライン圧に応じたデューティF/F量DFFの変化分だ
けデューティソレノイドバルブ43のデューティが変化
するが、油圧回路中の調圧手段を構成する各バルブの機
械的な作動遅れやオイル流動の遅れがあるので、実際の
ライン圧Poはある程度の遅れ時間が経過した時点t1
から目標ライン圧側へ変化し、その間t0 〜t1 は目標
ライン圧と実際のライン圧との偏差が大きい状態が続
く。従って、従来のようにそのときの目標ライン圧と実
際のライン圧との比較に基づいてデューティF/B量が
求められると、上記遅れ時間の間にデューティが過大に
変化し(線A’)、その後のライン圧変動時にオーバー
シュート(線B’)が生じる。これに対し、上記のよう
な当実施例によると、デューティF/B量ΔDの演算に
関しては、目標ライン圧変更の時点t0 から設定時間
(遅れ時間)Δt内は目標ライン圧が変更前の値とさ
れ、デューティF/F量DFFの変化に応じて実際のライ
ン圧が変化し始める時点t1 以後に、目標ライン圧が変
更後の値とされるので、デューティF/B量ΔDが過大
に変化することが避けられる(線A)。これにより、ラ
イン圧のオーバーシュートが抑制され、目標ライン圧へ
の収束性および安定性が高められる(線B)。
【0035】上記遅れ時間には油温To、バッテリ電圧
B が関係し、油温Toが低いほどオイル粘度の増大に
より遅れ時間が長くなり、またバッテリ電圧VB が低く
なるほど遅れ時間が長くなるので、前述のように油温T
oとバッテリ電圧VB の一方もしくは双方に応じて設定
時間Δtを変えれば、油温等が変わっても遅れ時間に見
合うように設定時間Δtを調整することができる。
【0036】そして、このように制御されたライン圧が
ベルト張力調整のためのセカンダリ圧としてセカンダリ
室36に供給されることにより、ベルト20の張力が適
正に調整されることとなる。
【0037】なお、上記実施例では、運転状態に応じて
目標ライン圧を設定するとともに、ライン圧の基本制御
量であるデューティF/F量DFFを上記目標ライン圧に
応じて設定しているが、デューティF/F量DFFを直接
運転状態に応じて設定し、つまり予め運転状態に対応づ
けたデューティF/F量DFFのマップから、そのときの
運転状態に応じた値を求めるようにしてもよい。
【0038】また、上記実施例ではベルト式無段変速機
に適用しているが、他の油圧作動式変速機にも本発明を
適用することができ、例えば、各種摩擦要素(クラッ
チ、ブレーキ等)を組み込んで変速比が複数段に切換え
られるようになっている多段式変速機構とその摩擦要素
等に対する油圧回路とを備えた自動変速機において、そ
の油圧回路のライン圧の制御に本発明を適用することも
できる。
【0039】
【発明の効果】本発明の油圧制御装置によると、運転状
態に応じて目標油圧を設定し、かつ油圧制御信号の基本
制御量を設定するとともに、現時点の実際の油圧と現時
点より設定時間だけ前の運転状態に応じた目標油圧との
偏差に応じてフィードバック制御量を求め、上記基本制
御量とフィードバック制御量とを含む制御量によって調
圧手段を制御するようにしているため、運転状態の変化
に応じた目標油圧および基本制御量の変化に対して実際
の油圧の変化に応答遅れが生じている間にフィードバッ
ク制御量が過大に変化することを防止し、その後の油圧
変化時のオーバーシュートを防止することができる。従
って、上記の応答遅れがある状況下でも油圧の収束性、
安定性を向上することができる。
【0040】本発明は、特に有効径が可変とされて油圧
により作動される一対のプーリとこれらに張設されたベ
ルトとで変速機構が構成されたベルト式無段変速機に適
用した場合、ベルトの張力に関係する油圧が適正にフィ
ードバック制御されることとなるので、ベルトの耐久性
および信頼性を向上に有効となる。
【0041】また、フィードバック制御量演算のために
現時点の実際の油圧と設定時間だけ前の目標油圧とを比
較するときの上記設定時間を、油温とバッテリ電圧のう
ちの少なくとも一方に応じて変更するようにしておけ
ば、油温やバッテリ電圧の変動によって油圧変化の遅れ
時間が変化した場合でもそれに対応した設定時間を与え
ることができ、油圧の収束性、安定性をより一層向上す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される油圧作動式変速機の一例と
して無段変速機の概略構成を示すスケルトン図である。
【図2】同変速機の油圧回路のうちで本発明に係わる部
分を示す回路図である。
【図3】本発明の一実施例による制御系統の構成を示す
機能ブロック図である。
【図4】ライン圧制御の一例を示すフローチャートであ
る。
【図5】油温と設定時間との関係を示す図である。
【図6】バッテリ電圧と設定時間との関係を示す図であ
る。
【図7】制御動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
D 変速機構 20 ベルト 21 プライマリプーリ 31 セカンダリプーリ 41 ライン圧調整バルブ 43 デューティソレノイドバルブ 61 油圧センサ 70 コントロールユニット 71 目標油圧設定手段 72 基本制御量設定手段 74 フィードバック制御量演算手段 75 制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−19755(JP,A) 特開 昭62−41460(JP,A) 特開 昭62−137607(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 63/48 F16H 9/00 G05B 11/36

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油圧によって作動される変速機構と、こ
    の変速機構に対する油圧回路とを備えるとともに、この
    油圧回路に油圧を調整する調圧手段が設けられている油
    圧作動式変速機において、上記調圧手段により調整され
    る油圧を検出する検出手段と、運転状態に応じて目標油
    圧を設定する目標油圧設定手段と、運転状態に応じて油
    圧制御信号の基本制御量を設定する基本制御量設定手段
    と、油圧検出手段により検出された現時点の実際の油圧
    と現時点より設定時間だけ前の運転状態に応じた目標油
    圧とを比較して、両者の偏差に応じて油圧制御信号のフ
    ィードバック制御量を求めるフィードバック制御量演算
    手段と、上記基本制御量とフィードバック制御量とを含
    む制御量によって上記調圧手段を制御する制御手段とを
    備えたことを特徴とする油圧作動式変速機の油圧制御装
    置。
  2. 【請求項2】 変速機構は有効径が可変とされて油圧に
    より作動される一対のプーリとこれらに張設されたベル
    トとで構成され、変速機構に対する油圧回路は、上記変
    速機構の一方のプーリに変速用の油圧供給制御手段を介
    して油圧を供給するとともに、他方のプーリに、調圧手
    段により調整された油圧を供給するように構成されてい
    る請求項1記載の油圧作動式変速機の油圧制御装置。
  3. 【請求項3】 基本制御量設定手段は、目標油圧設定手
    段により運転状態に応じて設定された現時点の目標油圧
    に基づいて基本制御量を設定するものである請求項1ま
    たは2記載の油圧作動式変速機の油圧制御装置。
  4. 【請求項4】 フィードバック制御量演算手段で現時点
    の実際の油圧と設定時間だけ前の目標油圧とを比較する
    ときの上記設定時間を、油温とバッテリ電圧のうちの少
    なくとも一方に応じて変更する請求項1乃至3のいずれ
    かに記載の油圧作動式変速機の油圧制御装置。
JP17676791A 1991-07-17 1991-07-17 油圧作動式変速機の油圧制御装置 Expired - Lifetime JP3015837B2 (ja)

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