JP3009002U - 木造軸組家屋の壁構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 施工性がよく且つ気密性にすぐれた木造軸組
家屋の壁構造の提供。 【構成】 柱と土台、桁または梁の接合により構成され
た方形の枠内に、硬質発泡プラスチックからなる平板状
の芯材の両側を表皮材で挟んで構成した壁パネルが嵌入
され、該壁パネルは、少なくとも対角線上の２点におい
て、金属プレートにより柱及び土台、桁または梁と接合
され、且つ、該壁パネルの芯材には、芯材を上下方向に
貫通する少なくとも１本の溝が穿設されている、木造軸
組家屋の壁構造。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

施工性，耐久性が良く、且つ高断熱性、高気密性の木造軸組家屋の壁構造に関 する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の木造軸組家屋は柱と柱の間を間柱、筋交、横棧等で補強して強度を出し これら部材のスキ間にグラスウール等の断熱材を入れて断熱性を出している。ま た、これら部材は本質的に通気しやすいので高気密性は別途目ばりシート等を建 物全面に貼り付けている。

【０００３】 しかしながら上記工法は部材が多くかつ作業が複雑で熟練を要す為、施工コス トが多大となる欠点があった。この対策として間柱、筋交、横棧等を木枠で囲っ たいわゆる木枠パネルを工場で生産し、現地では木枠パネルを組み込むだけとい うパネル化工法が考案された。しかしながら、この工法でも気密化については現 地施工するしかなく、施工コストの低減および熟練作業者の不足対策にはまだ不 充分である。また、パネル作成工程自体は従来と同様で手間がかかる。

【０００４】 したがって木枠パネル工法は、従来の方法に比べ現地施工の日数を減少しただ けで、全工程の作業量減少や、家屋の気密性向上にはあまり寄与していない。木 枠パネルでの気密性向上については、特開平５−１７１７０９等での、発泡ウレ タンフォーム注入パネルがある。これについても木枠パネル作成の手間について は従来と変りない。

【０００５】 最近これらの改良として、発泡プラスチックを芯材として、両側に合板等の表 皮材を積層したサンドイッチパネルを使う方法も考案されている。 サンドイッチパネルを使用すると、断熱性と気密性が向上し、かつパネル作成 の手間も削減出来る。しかし、これら今までのサンドイッチパネルの使い方は、 パネル取り付け方法に問題があり、パネル使用のメリットを最大限に活用してい なかった。

【０００６】 たとえば特開平３−５５３２７では、サンドイッチパネルを直接外側から柱へ 釘等で打ちつける為、柱主体の耐力構造をとる必要があり、従って従来に増して 軸組での強度向上を要する。この特許ではこれらの理由で大口径集成材を使用し ており、部材運搬に重機を要する欠点がある。 また、特開平６−４９９２８では、サンドイッチパネルの取り付け方法を、パ ネルおよび柱および桁または梁にそれぞれ切り込みを入れ相互に嵌合させる方法 としている。この方法では、それぞれの切り込みを入れる作業が増える事および 、相互に切り込みを入れた部材の組み合わせの為、部材の取り付け位置および手 順が固定される為、建築現場での融通性が乏しくなるという欠点があった。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

施工性がよく、且つ気密性にすぐれた木造軸組家屋の壁構造の提供することに ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は柱と土台、桁または梁の接合により構成された方形の枠内に、硬質発 泡プラスチックからなる平板状の芯材の両側を表皮材で挟んで構成した壁パネル が嵌入され、該壁パネルは、少なくとも対角線上の２点において、金属プレート により柱及び土台、桁または梁と接合され、且つ、該壁パネルの芯材には、芯材 を上下方向に貫通する少なくとも１本の溝が穿設されている、木造軸組家屋の壁 構造に存する。

【０００９】 次に図面に従って本考案を更に詳細に説明する。 図１は、柱１，１′と土台、桁または梁２，２′の接合により構成された方形 の枠と、その枠に嵌入される壁パネル３であり、壁パネル３は硬質発泡プラスチ ックからなる平板状の芯材４の両側を表皮材５で挟んで構成されており、芯材４ には貫通溝７が穿設されている。

【００１０】 芯材としては硬質塩化ビニル系樹脂発泡体、硬質ウレタンフォーム、エキスパ ンデッドポリスチレン等が挙げられ、これらは独立気泡のものが好ましい。 表皮材料としては構造用合板、パーティクルボード、ＦＲＰ板、金属板、コン クリート板、石膏ボード等が挙げられる。断熱性の点で木質のものが好ましい。 貫通溝７は壁内配線、配管の経路として使用されるもので、一般にはパネル幅 １ｍ当り２〜３本とするのがよい。溝径はパネル厚みの１／２以下であればよく 、断面形状は任意のものでよい。

【００１１】 図２は枠内に壁パネルを嵌入し、金属プレート８で柱及び土台、桁又は梁と接 合した本考案の１例である。 金属プレートの取付けはビス、スクリュー釘、接着剤等公知手段による。

【００１２】 図３は壁パネルの周囲の芯材露出部に軟質発泡プラスチックからなる棒状の目 地材を設けた状態を示す。目地材は芯材に溝をつけ、その溝を埋めて且つ表面よ りも盛上るように設けるのがよい。目地材の材質としては、スポンジゴム、軟質 塩化ビニル樹脂フォーム、軟質ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ＥＶ Ａフォーム等が挙げられ、独立気泡のものが好ましい。

【００１３】 図４は壁パネルの厚みが枠材よりも小さい場合に単なる平板でなく垂直部を有 する金属プレートを用いて端部接合を行った例を示す。

【００１４】

【考案の効果】

本考案の構造による家屋は硬質発泡体芯材による高断熱性、高気密性が達成さ れ、また、表皮材とのサンドイッチ構造により筋交機能のみならず、垂直荷重に 対する耐力も増すので耐久性に優れ、さらに間柱、棧等の部材も不要で部材数が 大幅に減少する為、施工が迅速かつ簡単となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】柱及び土台、桁または梁の接合により構成され
た方形の枠と、その枠に嵌入される壁パネルの１例を示
す斜視図

【図２】本考案の壁構造の１例を示す斜視図

【図３】壁パネルの周囲の芯材露出部に目地材を設けた
１例を示す斜視図

【図４】枠材よりも薄い壁パネルを、垂直部を有する金
属プレートを用いて枠端部に固着した１例を示す斜視
図。

【符号の説明】

１，１′ 柱 ２，２′ 土台、桁または梁 ３ 壁パネル ４ 芯材 ５ 表皮材 ６ 金属プレート ７ 芯材に設けた貫通溝 ８ 目地材 ９ 垂直部を有する金属プレート

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 柱と土台、桁または梁の接合により構成
   された方形の枠内に、硬質発泡プラスチックからなる平
   板状の芯材の両側を表皮材で挟んで構成した壁パネルが
   嵌入され、該壁パネルは、少なくとも対角線上の２点に
   おいて、金属プレートにより柱及び土台、桁または梁と
   接合され、且つ、該壁パネルの芯材には、芯材を上下方
   向に貫通する少なくとも１本の溝が穿設されている、木
   造軸組家屋の壁構造。
2. 【請求項２】 壁パネルの厚味が枠材のうち最も厚味の
   薄いもの以下である、請求項１記載の壁構造。
3. 【請求項３】 壁パネルの周囲の芯材露出部に軟質発泡
   プラスチックからなる棒状の目地材が全周にわたって設
   けられている、請求項１または２記載の壁構造。