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JP3008899U - 避難誘導灯 - Google Patents

避難誘導灯

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Publication number
JP3008899U
JP3008899U JP1994009497U JP949794U JP3008899U JP 3008899 U JP3008899 U JP 3008899U JP 1994009497 U JP1994009497 U JP 1994009497U JP 949794 U JP949794 U JP 949794U JP 3008899 U JP3008899 U JP 3008899U
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphor
light
mol
activator
afterglow
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP1994009497U
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English (en)
Inventor
仙太郎 根岸
義彦 村山
信義 竹内
康充 青木
隆嗣 松沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nemoto and Co Ltd
Original Assignee
Nemoto and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】非常用電源がない状態でも緊急避難時に表示部
を認識可能とした。蛍光特性のうち、蛍光量及び蛍光の
持続性に優れた蛍光性蓄光体を使用することにより、緊
急避難時の認識性を更に向上させた。 【構成】一方側にスリット21を設け、かつ内部に発光
源30を収納した収納部20を形成し、この収納部20
に、そのスリット21に連続するような光拡散板40を
設けると共に、この光拡散板40の一面に蓄光性蛍光体
で表示部41を設けた。反表示部41側の面を反射面4
2とした。蓄光性蛍光体を、MAl2 4 で表わされる
化合物で、Mは、カルシウム、ストロンチウム、バリウ
ムからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の金属元
素からなる化合物を母結晶にした。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は避難誘導灯、更に詳しくは停電時等に非常用電源を必要としなくて も案内表示が行える避難誘導灯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から特に大型の建物等においては、非常階段等への方向指示等のために避 難誘導表示が設けられていた。 ここで避難誘導表示は、発光源を有していないものと、発光源を有しているも のとに分けられる。
【0003】 ここで発光源を有していないものとしては、例えば所定の表示を記載したプレ ートを、壁等に張りつけたようなものがあった。 このようなものについては、建物の内部に明かりがついている場合には有効で あるものの、緊急時に停電を伴って、建物の内部の明かりが消えてしまったよう な場合には、効果がないものとなっていた。
【0004】 一方、避難誘導表示のうちで、発光源を有しているものとして、避難誘導灯が あった。 この避難誘導灯に関しても、停電を伴った緊急時には、発光源が消えてしまう ものと、通常時にはAC電源を用いて発光しており、停電を伴った緊急時には非 常用電源(バッテリー)に切り替わって発光を続けるものとがあった。
【0005】 このような避難誘導灯のうちで、大型の建物等に設置する避難誘導灯に関して は、停電を伴った緊急時には非常用電源に切り替わって発光を続けるものが多く 使用されていた。 このような従来使われていた避難誘導灯としては、例えば四角い箱状の表示体 の一面に方向あるいは注意等を書いた表示部を形成する共に、この表示体の内部 に蛍光灯等を配して形成されていたものがあった。
【0006】 そして、建物内部の明かりによって表示部が読める状態にあってはそのままで 使用し、また比較的暗くて表示部か読みにくいような場合にあっては、内部に配 置した蛍光灯を商用AC電源によって点灯させ、その明かりによって表示部を認 識させるようになっていた。また更に、緊急の避難時等において、商用のAC電 源が切れてしまったような場合にあっても、通常は非常用電源にそのまま接続さ れ、蛍光灯を点灯することによって表示部の表示を認識可能としてあるものであ る。
【0007】 このような緊急避難時としては、例えば建物が火事や地震等になって、同時に 商用電源が落ちてしまったような時が考えられる。 前述した避難誘導灯を用いると、このような場合にも、非常用電源によって避 難誘導灯の表示部が認識できるので、避難が円滑に行えるものである。 ただ逆に、このような従来の避難誘導灯にあっては、緊急時を想定すると、非 常用電源が必ず必要なものとなっていた。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】
そこで本考案のうち、請求項1又は2に記載の考案は、蓄光性蛍光体を用いて 表示部を形成することにより、緊急避難時等に内部の発光源をが切れた場合であ っても、表示部が一定時間蛍光発色するように形成して、非常用電源がない状態 でも緊急避難時に表示部を認識可能とした避難誘導灯を提供することを目的とす る。
【0009】 更に請求項4、5または6に記載の考案は、請求項1又は2に記載の考案の目 的を備えていると共に、蛍光特性のうち、蛍光量及び蛍光の持続性に優れた蛍光 性蓄光体を使用することにより、緊急避難時の認識性を更に向上させた避難誘導 灯を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本考案のうちで請求項1記載の考案は、一方 側にスリットを設け、かつ内部に発光源を収納した収納部を形成し、この収納部 に、そのスリットに連続するような光拡散板を設けると共に、この光拡散板の一 面に蓄光性蛍光体で表示部を設けたことを特徴とする。
【0011】 また請求項2記載の考案は、請求項1記載の考案の構成に加えて、光拡散板の 反表示部側の面を、発光源からの光を反射する反射面としたことを特徴とする。 また請求項3記載の考案は、請求項1または2記載の考案の構成に加えて、蓄 光性蛍光体を、MAl24 で表わされる化合物で、Mは、カルシウム、ストロ ンチウム、バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の金属元素から なる化合物を母結晶にしたことを特徴とする。
【0012】 また請求項4記載の考案は、請求項1または2記載の考案の構成に加えて、蓄 光性蛍光体を、MAl24 で表わされる化合物で、Mは、カルシウム、ストロ ンチウム、バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の金属元素にマ グネシウムを添加した複数の金属元素からなる化合物を母結晶にしたことを特徴 とする、 また請求項5記載の考案は、請求項3または4記載の考案の構成に加えて、付 活剤としてユウロピウムを、Mで表わす金属元素に対するモル%で0.001 %以上 10%以下添加したことを特徴とする。
【0013】 更に請求項6記載の考案は、請求項5記載の考案の構成に加えて、共付活剤と してランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニ ウム、テリビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッ テルビウム、ルテチウム、マンガン、スズ、ビスマスからなる群の少なくとも1 つ以上の元素を、Mで表わす金属元素に対するモル%で0.001 %以上10%以下添 加したことを特徴とする。
【0014】
【作用】
請求項1記載の考案では、内部の発光源を点灯させておくことによって、発光 源からの光が光拡散板に至ることとなる。 するとこの光が、光拡散板内部から、表面の表示部を照らすこととなるので、 表示部が十分認識可能となっている。
【0015】 更にこの表示部は、蓄光製蛍光体を用いて描かれているので、発光源からの発 光が停止した後であっても、一定時間の間、蛍光発色を継続することとなる。 従って、緊急避難時等に内部の発光源が切れた場合であっても、非常用電源が ない状態でも緊急避難時に表示部を認識可能としたものである。 またここで、請求項2に記載の考案のように、光拡散板の反表示部側の面を、 発光源からの光を反射する反射面とすることによって、発光源の発光時に認識が 容易なだけでなく、蛍光発色時にも輝度が大きい発色を行うものである。
【0016】 更に、請求項4、5または6に記載の考案は、蛍光特性のうち、蛍光量及び蛍 光の持続性に優れた蛍光性蓄光体を使用することにより、緊急避難時の認識性を 更に向上させたものである。
【0017】
【実施例】
以下、本考案の一実施例を、図1に示した図示例に従って説明する。 この実施例に係る避難誘導灯は、建物の天井10に固定されて使用されている 。具体的には一方側にスリット21を設け、かつ内部に発光源30を収納した収 納部20の反スリット21側が天井10に固定されている。更にこの収納部20 のスリット21には、このスリット21に一の厚さ面を望ませた光拡散板40が 垂設してある。またこの光拡散板40の一面には蓄光性蛍光体を用いて描いた表 示部41が形成されていると共に、この表示部41とは反対側の面に、反射面4 2が形成されている。
【0018】 ここで反射面42は、白いペイント等を塗ることによって形成することができ るものである。 また、表示部41を形成するための蓄光性蛍光体は、従来から知られているよ うなCaS:Bi、CaSrS:Bi、ZnS:Cu、ZnS:Cu等を用いる ことができる。
【0019】 次にこのような実施例に係る避難誘導灯の実際の使用について説明する。 この避難誘導灯は、収納部20の反スリット21側が天井10に固定され、こ の天井10から収納部20が垂設されたような形状になっている。従って、内部 の発光源30は、この天井10側へ配線を行うことにより発光可能となっている 。
【0020】 また、この収納部20に連続した光拡散板40は、その光拡散板40の厚さ面 のうちの一の面が収納部20の発光源30に対面しており、発光源30からの光 がその光拡散板40の一の厚さ面から光拡散板40内部に導入されることになる 。するとこの光拡散板40の内部に導入された光は、光拡散板40内部で反射を くり返しながら移動していくものである。この時に反射をくり返してはいるもの の、反表示部41側が反射面として形成されているために、表示部41側を照ら し出すこととなり、従って、この表示部41に描かれた各種表示を認識可能とす るものである。
【0021】 更にこの表示部41は、蓄光製蛍光体を用いて描かれているので、発光源30 からの発光が停止した後であっても、一定時間の間、蛍光発色を継続することと なる。 従って、緊急避難時等に内部の発光源30が切れた場合であっても、非常用電 源がない状態でも緊急避難時に表示部41を認識可能としたものである。
【0022】 なお、図示例において詳細は省略したが、例えば収納部20内部にも反射板を 位置させ、発光源30からの光を効率よく光拡散板40に集めることも有効であ る。 またこの光拡散板40の発光源30側の一の厚さ面以外の厚さ面も前述したと 同様の反射面42として形成することができる。このようにすると、発光源30 からの光が表示部41を通してのみ外部に露出することとなり、表示部41の認 識効率が向上する。
【0023】 なお、以上の説明において、収納部20のスリット21に光拡散板40を直接 固定した場合を例として説明したが、収納部20への固定部材を介して光拡散板 40を収納部20に固定することも可能である。 また反射面42についても白いペイントとして説明したが、光拡散板40内方 に向かった反射面42を有する鏡面仕上げとすることも可能である。更にはこの 反射面42を設けず、光拡散板40の両面を表示部41として用い、いずれの側 からも表示部41の表示を認識可能とすることもできる。
【0024】 次に、表示部41に用いる蓄光性蛍光体の他の種類について説明する。 以下、MAl24 で表される蓄光性蛍光体の実施例を、金属元素(M)の種 類、賦活剤としてのユウロピウムの濃度あるいは共賦活剤の種類及び濃度を種々 変更した場合について、順次説明する。 最初に金属元素(M)としてストロンチウムを用い、賦活剤としてユウロピウ ムを用いるものの、共賦活剤を用いない場合の蓄光性蛍光体について、実施例1 として説明する。 実施例1.SrAl24 :Eu蛍光体の合成とその特性 試料1−(1) 試薬特級の炭酸ストロンチウム146.1 g(0.99モル)およびアルミナ102 g( 1モル)に賦活剤としてユウロピウムを酸化ユウロピウム(Eu23)で 1.76 g(0.005 モル)添加し、更にフラックスとしてたとえば硼酸を 5g(0.08モル )添加し、ボールミルを用いて充分に混合した後、この試料を電気炉を用いて窒 素−水素混合ガス(97:3)気流中(流量:0.1 リットル毎分)で、1300℃、1時 間焼成した。その後室温まで約1時間かけて冷却し、得られた化合物粉体をふる いで分級し100メッシュを通過したものを蛍光体試料1−(1) とした。
【0025】 図2には、合成された蛍光体の結晶構造をXRD(X線回折)により解析した 結果を示した。回折ピークの特性から得られた蛍光体はSrAl24 のスピネ ル構造を有することが明かとなった。 図3には本蛍光体の励起スペクトル及び刺激停止後の残光の発光スペクトルを 示した。
【0026】 図から、発光スペクトルのピーク波長が約520nmの緑色の発光であること が明らかとなった。 次にこのSrAl24 :Eu蛍光体の残光特性を市販品で緑色に発光するZ nS:Cu蓄光性蛍光体(根本特殊化学(株)製:品名GSS,発光ピーク波長 :530nm)の残光特性と比較して測定した結果を、図4および表2に示した 。
【0027】 残光特性の測定は、蛍光体粉末0.05gを内径8mmのアルミ製試料皿に秤 り取り(試料厚さ:0.1g/cm2 )、約15時間暗中に保管して残光を消去 した後、D65標準光源により200 ルックスの明るさで10分間刺激し、その後の 残光を光電子増倍管を用いた輝度測定装置で計測したものである。 図4から明らかなように、本考案によるSrAl24 :Eu蛍光体の残光は 極めて大きくその減衰もゆるやかであり,経過時間とともにZnS:Cu蓄光性 蛍光体との残光強度差が大きくなることが分かる。また図中に、肉眼で充分に認 識可能な発光強度のレベル(約0.3mCd/m2 の輝度に相当)を破線で示し たが、このSrAl24 :Eu蛍光体の残光特性から約24時間後でもその発 光が認識可能であると推定される。実際に刺激後15時間経過したこのSrAl 24 :Eu蛍光体を肉眼で観察したところその残光を充分に確認することがで きた。
【0028】 また表2中の試料1−(1) には、刺激停止後10分、30分および100分後 の残光強度をZnS:Cu蓄光性蛍光体の強度に対する相対値で示した。この表 から本考案によるSrAl24 :Eu蛍光体の残光輝度は10分後でZnS: Cu蓄光性蛍光体の2.9 倍であり100分後では17倍であることが分かる。 さらに本考案によるSrAl24 :Eu蛍光体を光刺激した際の室温から2 50℃までの熱発光特性(グローカーブ)をTLDリーダー(KYOKKO TLD-2000 システム)を用いて調査した結果を図5に示した。図から本蛍光体の熱発光は約 40℃、90℃、130℃の3つのグローピークからなり約130℃のピークが メイングローピークであることが分かる。図中の破線で示したZnS:Cu蓄光 性蛍光体のメイングローピークが約40℃であることに照らして、本考案による SrAl24 :Eu蛍光体の50℃以上の高温に相当する深い捕獲準位が残光 の時定数を大きくし、長時間にわたる蓄光特性に寄与していると考えられる。
【0029】 試料1−(2) 〜(7) 次に前述と同様の方法で、ユウロピウムの濃度を変化させた表1で表した配合 比のSrAl24 :Eu蛍光体試料(試料1−(2) 〜(7) )を調整した。
【0030】
【表1】
【0031】 この試料1−(2) 〜(7) の残光特性を調査した結果を、1−(1) の残光特性を 調査した結果と共に、表2中に示した。 この表2から、Euの添加量が0.0025〜0.05モルの範囲であると、 10分後の輝度を含めてZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも残光特性に優れている ことがわかる。ただEuの添加量が0.00001モルの場合、あるいは0.1 モルの場合であっても、刺激停止後30分以上経過することによって、ZnS: Cu蓄光性蛍光体よりも大きい輝度を有するようになることもわかる。
【0032】 またEuが高価であることから、経済性及び濃度クエンチングによる残光特性 の低下を考慮すると、Euを0.1モル(10モル%)以上にすることに余り意 味がないこととなる。逆に、残光特性から判断すると、Euが0.00001モ ル(0.001モル%)から0.00005モル(0.005モル%)の間では 、10分後輝度でZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも輝度で劣るものの、刺激停止 後30分以上経過することによって、ZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも大きい輝 度が得られることから、賦活剤として用いるEuの添加効果が明らかである。
【0033】 更に、SrAl24 :Eu蛍光体は酸化物系であることから、従来の硫化物 系蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるものである (表24及び25参照)。
【0034】
【表2】
【0035】 次に、金属元素(M)としてストロンチウムを用い、賦活剤としてユウロピウ ムを用い、更に共賦活剤としてジスプロシウムを用いた場合の蓄光性蛍光体につ いて、実施例2として説明する。 実施例2.SrAl24 :Eu、Dy蛍光体の合成とその特性 試料2−(1) 試薬特級の炭酸ストロンチウム144.6 g(0.98モル)およびアルミナ102 g( 1モル)に賦活剤としてユウロピウムを酸化ユウロピウム(Eu23)で1.76g (0 .005モル)、更に共賦活剤としてジスプロシウムを酸化ジスプロシウム(D y23)で1.87g(0.005 モル)添加し、更にフラックスとしてたとえば硼酸を 5 g(0.08モル)添加し、ボールミルを用いて充分に混合した後、この試料を電 気炉を用いて窒素−水素混合ガス(97:3)気流中(流量:0.1リットル毎分) で、1300℃、1時間焼成した。その後室温まで約1時間かけて冷却し、得られた 化合物粉体をふるいで分級し100メッシュを通過したものを蛍光体試料2−(1 ) とした。
【0036】 この蛍光体の残光特性を前述と同様の方法で調査した結果を図6および表4の 試料2−(1) に示した。 図6から明らかなように、本考案によるSrAl24 :Eu,Dy蛍光体の 残光輝度、特にその残光初期時の輝度はZnS:Cu蓄光性蛍光体と比較して極 めて高く、またその減衰の時定数も大きいことから、画期的な高輝度蓄光性蛍光 体であることが分かる。図中に示した視認可能な残光強度レベルとこのSrAl 24 :Eu,Dy蛍光体の残光特性から約16時間後でもその発光を識別可能 である。
【0037】 表4には、刺激後10分、30分、100分後の残光強度をZnS:Cu蓄光 性蛍光体の強度に対する相対値で示しているが、表から本考案によるSrAl24 :Eu,Dy蛍光体の残光輝度は10分後でZnS:Cu蓄光性蛍光体の12 .5倍であり100分後では37倍であることが分かる。 さらに本考案によるSrAl24 :Eu,Dy蛍光体を光刺激した際の室温 から250℃までの熱発光特性(グローカーブ)を調査した結果を図7に示した 。図7および図5から、共賦活剤として添加したDyの作用により熱発光のメイ ングローピーク温度が130℃から90℃に変化したことが分かる。この90℃ の温度に相当する捕獲準位からの大きな発光が、SrAl24 :Eu蛍光体と 比較して、その残光初期時に高い輝度を示す原因と考えられる。
【0038】 試料2−(2) 〜(7) 次に前述と同様の方法で、ジスプロシウムの濃度を変化させた表3で表した配 合比のSrAl24 :Eu,Dy蛍光体試料(試料2−(2) 〜(7) )を調整し た。
【0039】
【表3】
【0040】 この試料2−(2) 〜(7) の残光特性を調査した結果を、2−(1) の残光特性を 調査した結果と共に、表4に示した。 この表4から、共賦活剤としてのDyの添加量は、10分後輝度を含めてZn S:Cu蓄光性蛍光体よりもはるかに優れていることを基準とすると、0.00 25〜0.05モルが最適であることがわかる。ただDyの添加量が0.000 01モルの場合であっても、刺激停止後30分以上経過することによって、Zn S:Cu蓄光性蛍光体よりも大きい輝度を有するようになることから、賦活剤及 び共賦活剤として用いたEu及びDyの添加効果が明らかである。またDyが高 価であることから、経済性及び濃度クエンチングによる残光特性の低下を考慮す ると、Dyを0.1モル(10モル%)以上にすることに余り意味がないことと なる。
【0041】 なお、SrAl24 :Eu、Dy蛍光体は酸化物系であることから、従来の 硫化物系蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるもの である(表24及び25参照)。
【0042】
【表4】
【0043】 次に、金属元素(M)としてストロンチウムを用い、賦活剤としてユウロピウ ムを用い、更に共賦活剤としてネオジウムを用いた場合の蓄光性蛍光体について 、実施例3として説明する。 実施例3.SrAl24 :Eu、Nd蛍光体の合成とその特性 試料3−(1) 〜(7) 前述と同様の方法で、ネオジウムの濃度を変化させた表5で示した配合比のS rAl24 :Eu、Nd系蛍光体試料(試料3−(1) 〜(7) )を調整した。
【0044】
【表5】
【0045】 これらの試料3−(1) 〜(7) の残光特性を調査した結果を、表6に示した。
【0046】
【表6】
【0047】 この表6から、共賦活剤としてのNdの添加量が0.0025〜0.10モル の範囲であると、10分後の輝度を含めてZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも残光 特性に優れていることがわかる。ただNdの添加量が0.00001モルの場合 であっても、刺激停止後60分程度を経過することによって、ZnS:Cu蓄光 性蛍光体よりも大きい輝度を有するようになることから、賦活剤及び共賦活剤と して用いたEu及びNdの添加効果が明らかである。またNdが高価であること から、経済性及び濃度クエンチングによる残光特性の低下を考慮すると、Ndを 0.1モル(10モル%)以上にすることに余り意味がないこととなる。
【0048】 なお、SrAl24 :Eu、Nd蛍光体は酸化物系であることから、従来の 硫化物系蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるもの である(表24及び25参照)。 さらに本考案によるSrAl24 :Eu、Nd蛍光体を光刺激した際の室温 から250℃までの熱発光特性(グローカーブ)を、試料3−(4) について調査 した結果を図8に示した。図から共賦活剤としてNdを添加した蛍光体の熱発光 のメイングローピーク温度は約50℃であることが分かる。
【0049】 次に、金属元素(M)としてストロンチウムを用い、賦活剤としてユウロピウ ムを用い、更に共賦活剤として、ランタン、セリウム、プラセオジム、サマリウ ム、ガドリニウム、テルビウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテル ビウム、ルテチウム、マンガン、スズ、ビスマスの元素のいずれかを用いた場合 の蓄光性蛍光体について、実施例4として説明する。
【0050】 またここで、賦活剤及び各共賦活剤については、ユーロピウム及びネオジウム あるいはジスプロシウムを用いた場合の例から、金属元素(M)に対して各々0 .005モル程度添加した場合に高い残光輝度が得られることを考慮して、賦活 剤のEu濃度0.5 モル%(0.005モル)、共賦活剤の濃度0.5 モル%(0. 005モル)の試料についてのみ例示した。 実施例4.SrAl24 :Eu系蛍光体におけるその他の共賦活剤の効果 既述の方法で、共賦活剤としてランタン、セリウム、プラセオジム、サマリウ ム、ガドリニウム、テルビウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテル ビウム、ルテチウム、マンガン、スズ、ビスマスを添加した蛍光体試料について その残光特性を調査した結果を表7に示した。
【0051】 この表7から明らかなように、標準として用いた市販のZnS:Cu蛍光体の 残光特性と比較して、いずれのSrAl24 :Eu系蛍光体試料も、刺激停止 後30分乃至100分以上の長時間を経過すると残光特性が向上するので、充分 実用レベルにあることが分かる。 なお、SrAl24 :Eu系蛍光体は酸化物系であることから、従来の硫化 物系蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるものであ る(表24及び25参照)。
【0052】
【表7】
【0053】 次に金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用 いるものの、共賦活剤を用いない場合の蓄光性蛍光体、及び金属元素としてカル シウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、共賦活剤としてランタン、セ リウム、プラセオジム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、 ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチ ウム、、マンガン、スズ、ビスマスからなる群の少なくとも1つの元素を用いた 場合を、実施例5として説明する。 実施例5.CaAl24 :Eu系蓄光性蛍光体の合成とその特性 試薬特級の炭酸カルシウムおよびアルミナに賦活剤としてユウロピウムを酸化 ユウロピウム(Eu23)として加えただけのもの、これに共賦活剤として、ラ ンタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、テ ルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウ ム、ルテチウム、マンガン、スズ、ビスマスの元素のいずれかをそれぞれその酸 化物で添加したものに対して、更にフラックスとしてたとえば硼酸を 5g(0.08 モル)添加し、ボールミルを用いて充分に混合した後、この試料を電気炉を用い て窒素−水素混合ガス(97:3)気流中(流量:0.1リットル毎分)で、1300℃ 、1時間焼成した。その後室温まで約1時間かけて冷却し、得られた化合物粉体 をふるいで分級し100メッシュを通過したものを蛍光体試料5−(1) 〜(42)と した。
【0054】 なおここで得られた試料5−(2) のXRD解析の結果を図9に示した。図から この蛍光体は、単斜晶系のCaAl24 結晶からなることが明らかとなった。 次に、代表例として共賦活剤にネオジウム、サマリウム、ジスプロシウム、ト リウムを用いた試料5−(10)、5−(16)、5−(22)及び5−(28)について、その 熱発光特性(グローカーブ)を調査した結果を図10及び図11に示した。いず れも50℃以上の高温域にグローピークがあることから、これらの蛍光体が長い 残光特性を有することが示唆されている。さらに試料についてその残光の発光ス ペクトルを測定したところ、図12で示したようにいずれの蛍光体もその発光ピ ーク波長は約442nmの青色発光であった。
【0055】 そこで従来から市販されている青色発光の蓄光性蛍光体のCaSrS:Bi( 商品名BA−S:根本特殊化学(株)製 発光波長454nm)を標準としてそ れぞれの残光特性を相対的に比較調査した結果を表8乃至表13に示した。表8 からCaAl24 :Eu蛍光体については、Euが0.005モル(0.5モ ル%)の場合、残光初期時の輝度は低いものの100分後で市販標準品とほぼ同 等に近い輝度が得られるものがあり、更に表9乃至表13に示すように、共賦活 剤を添加することにより大きく増感され、いずれの共賦活剤を用いても充分実用 性の高い蛍光体を得ることができた。特にNd、SmおよびTmについてはその添加効 果が極めて大きく市販品より一桁以上明るい超高輝度の青色発光の蓄光性蛍光体 が得られることが明かであり画期的な蛍光体といえる。図13にはこのNd、Smお よびTmを共賦活することにより得られた高輝度蛍光体の長時間に亘る残光特性を 調査した結果を示した。
【0056】 なお、詳細には金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロ ピウムを用いるものの、共賦活剤を用いない場合の蓄光性蛍光体として、5−(1 ) 〜(6) に示した蓄光性蛍光体の残光特性について表8に示した。
【0057】
【表8】
【0058】 また金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用 い、共賦活剤としてネオジウムを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(7) 〜 (12)に示した蓄光性蛍光体の残光特性を表9に示した。
【0059】
【表9】
【0060】 更に金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用 い、共賦活剤としてサマリウムを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(13)〜 (18)に示した蓄光性蛍光体の残光特性を表10に示した。
【0061】
【表10】
【0062】 また金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用 い、共賦活剤としてジスプロシウムを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(1 9)〜(24)に示した蓄光性蛍光体の残光特性を表11に示した。
【0063】
【表11】
【0064】 また金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用 い、共賦活剤としてツリウムを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(25)〜(3 0)に示した蓄光性蛍光体の残光特性を表12に示した。
【0065】
【表12】
【0066】 なお金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用 い、共賦活剤としてランタン、セリウム、プラセオジム、ガドリニウム、テルビ ウム、ホルミウム、エルビウム、イッテルビウム、ルテチウム、マンガン、スズ 、ビスマスの元素のいずれかを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(31)〜(4 2)に示した蓄光性蛍光体の残光特性をまとめて表13に示した。
【0067】 なおこの5−(31)〜(42)に示した蓄光性蛍光体では、賦活剤としてのユーロピ ウム及び他の共賦活剤は共に、0.5 モル%づつ添加したものである。
【0068】
【表13】
【0069】 次に金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用 い、共賦活剤としてネオジウムを用いるものの、同時に他の共賦活剤も添加した 場合を実施例6として説明する。 実施例6.CaAl24 :Eu,Nd系蓄光性蛍光体の合成とその特性 試薬特級の炭酸カルシウムおよびアルミナに賦活剤としてユウロピウムを酸化 ユウロピウム(Eu23)として加え、これに共賦活剤としてネオジウムを加え たもの、及び、更に他の共賦活剤として、ネオジウム以外のランタン、セリウム 、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホ ルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、マンガン、ス ズ、ビスマスの元素のいずれかをそれぞれその酸化物で添加したものに、フラッ クスとしてたとえば硼酸を 5g(0.08モル)添加し、ボールミルを用いて充分に 混合した後、この試料を電気炉を用いて窒素−水素混合ガス(97:3)気流中(流 量:0.1リットル毎分)で、1300℃、1時間焼成した。その後室温まで約1時 間かけて冷却し、得られた化合物粉体をふるいで分級し100メッシュを通過し たものを蛍光体試料6−(1) 〜(43)とした。
【0070】 ここでは、まず最初に、Eu:0.5 モル%、Nd:0.5 モル%、他の共賦活剤 :0.5 モル%として、各種蛍光体試料を調整して、10分後輝度、30分後輝度及び 100 分後輝度を測定した。その結果を、6−(1) 〜(15)として、表14に示す。
【0071】
【表14】
【0072】 この測定結果から、ネオジウムと共に添加する共賦活剤の中で、残光輝度が特 に優れるものとしては、ランタン、ジスプロシウム、ガドリニウム、ホルミウム 、エルビウム等であることが確認された。 そこで次に、Eu:0.5 モル%、Nd:0.5 モル%とした上で、ランタンの濃 度を、0.1 モル%から10モル%に変えて実験を行った。その結果を、6−(16)〜 (21)として、表15に示す。
【0073】
【表15】
【0074】 Eu:0.5 モル%、Nd:0.5 モル%とした上で、ジスプロシウムの濃度を、 0.1 モル%から10モル%に変えて実験を行った。その結果を、6−(22)〜(27)と して、表16に示す。
【0075】
【表16】
【0076】 Eu:0.5 モル%、Nd:0.5 モル%とした上で、ガドリニウムの濃度を、0. 1 モル%から10モル%に変えて実験を行った。その結果を、6−(28)〜(32)とし て、表17に示す。
【0077】
【表17】
【0078】 Eu:0.5 モル%、Nd:0.5 モル%とした上で、ホルミウムの濃度を、0.1 モル%から10モル%に変えて実験を行った。その結果を、6−(33)〜(37)として 、表18に示す。
【0079】
【表18】
【0080】 Eu:0.5 モル%、Nd:0.5 モル%とした上で、エルビウムの濃度を、0.1 モル%から 5モル%に変えて実験を行った。その結果を、6−(38)〜(43)として 、表19に示す。
【0081】
【表19】
【0082】 このような測定結果から、共賦活剤を複数種混合すると、残光輝度が向上する ものがあることが確認された。また更に、その場合、Eu:0.5 モル%、Nd: 0.5 モル%とした上で、他の共賦活剤も0.5 モル%程度添加した場合が、最も優 れた残光特性を示すことも確認された。 次に金属元素(M)としてバリウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い 、更に共賦活剤としてネオジウムあるいはサマリウムを用いた場合の蓄光性蛍光 体について、実施例7として説明する。 実施例7.BaAl24 :Eu系蛍光体 ここでは、Euを0.5 モル%添加した上で、更にNdあるいはSmを各々0.5 モル%添加したものを、7−(1) ,(2) として示す。
【0083】 また図14には本蛍光体のうち、共賦活剤としてネオジウムを用いたものの、 励起スペクトル及び刺激停止後30分を経過した後の残光の発光スペクトルを示 した。 更に図15には、共賦活剤としてサマリウムを用いたものの、励起スペクトル 及び刺激停止後30分を経過した後の残光の発光スペクトルを示した。
【0084】 発光スペクトルのピーク波長はいずれも約500nmで緑色の発光であること から、表20には、その残光特性を市販品で緑色に発光するZnS:Cu蓄光性 蛍光体(根本特殊化学(株)製:品名GSS,発光ピーク波長:530nm)と 比較して、刺激停止後10分、30分および100分後の残光強度を相対値で示 した。
【0085】
【表20】
【0086】 この表20から、BaAl24 :Eu,NdはZnS:Cu蓄光性蛍光体よ りも刺激停止後30分程度は残光輝度に優れていることがわかる。またBaAl 24 :Eu,SmはZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも若干残光輝度が劣る結果 が得られた。しかしながらEuあるいは他の共賦活剤を添加せず、BaAl2 4 結晶のみで実験した結果、蛍光及び残光がまったく認められないことが確認さ れているので、Eu及びNdあるいはSm添加による賦活効果が得られることは 明らかである。
【0087】 なお、BaAl24 :Eu系蛍光体は酸化物系であることから、従来の硫化 物系蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるものであ る(表24及び25参照)。 次に金属元素(M)として、カルシウムとストロンチウムとの混合物を用いた 場合について、実施例8として説明する。 実施例8.SrX Ca1-X Al24 系蓄光性蛍光体の合成とその特性 試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムをそれぞれ比率を変えて調合 しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウムを、共賦活剤と してランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウ ム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテ ルビウム、ルテチウム、マンガン、スズ、ビスマスのいずれかの元素を添加した ものに、フラックスとして例えば硼酸を 5g(0.08 モル)添加し、既述の方法に よりでSrX Ca1-X Al24 系蛍光体試料を合成した。
【0088】 得られた蛍光体の代表特性としてSr0.5 Ca0.5 Al24 :Eu,Dy蛍 光体(Eu0.5モル%、Dy0.5モル%添加)の残光の発光スペクトルを調 査した結果を図16に示した。図からSrの一部がCaに置換されるとその発光 スペクトルは短波長側にシフトし、SrAl24 系蛍光体による発光とCaA l24 系蛍光体の発光の中間色の残光を得られることが明かとなった。
【0089】 次に賦活剤および共賦活剤としてEuおよびDyをそれぞれ0.5モル%添加 したSrx Ca1-x Al24 系蛍光体試料の残光特性を調査した結果を図17 に示した。 この図17からいずれの蛍光体についても図中の破線で示した市販標準品と比 較して同等以上の優れた残光特性を有する実用性の高い蓄光性蛍光体が得られる ことが分かる。
【0090】 次に金属元素(M)として、ストロンチウムとバリウムとの混合物を用いた場 合について、実施例9として説明する。 実施例9.SrX Ba1-X Al24 系蓄光性蛍光体の合成とその特性 試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸バリウムをそれぞれ比率を変えて調合し その試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウムを、共賦活剤とし てランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム 、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテル ビウム、ルテチウム、マンガン、スズ、ビスマスのいずれかの元素を添加したも のに、フラックスとして例えば硼酸を 5g(0.08 モル)添加し、既述の方法によ りSrX Ba1-X Al24 系蛍光体試料を合成した。
【0091】 得られた蛍光体の代表特性としてEuを0.5モル%、Dyを0.5モル%添 加して調整したSrX Ba1-X Al24 系蛍光体試料の残光特性を調査した結 果を図18に示した。 この図18からいずれの蛍光体についても図中の破線で示した市販標準品と比 較して同等以上の優れた残光特性を有する実用性の高い蓄光性蛍光体が得られる ことが分かる。
【0092】 次に金属元素(M)として、ストロンチウムとマグネシウムとの混合物を用い た場合について、実施例10として説明する。 実施例10.SrX Mg1-X Al24 系蓄光性蛍光体の合成とその特性 試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸マグネシウムをそれぞれ比率を変えて調 合しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウムを、共賦活剤 としてランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニ ウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッ テルビウム、ルテチウム、マンガン、スズ、ビスマスのいずれかの元素を添加し たものに、フラックスとして例えば硼酸を 5g(0.08 モル)添加し、既述の方法 によりSrX Mg1-X Al24 系蛍光体試料を合成した。得られた蛍光体の代 表特性としてEuを0.5モル%、Dyを0.5モル%添加して調整したSrX Mg1-X Al24 系蛍光体試料の残光特性を調査した結果を図19に示した。
【0093】 この図19から、ストロンチウム/マグネシウムが0.1/0.9の場合を除 いて、いずれの蛍光体についても図中の破線で示した市販標準品と比較して同等 以上の優れた残光特性を有する実用性の高い蓄光性蛍光体が得られることが分か る。 次に金属元素(M)として、複数の金属元素を用い、かつ賦活剤としてユウロ ピウムを用い、更には共賦活剤を2種類用いた場合について、実施例11として 説明する。 実施例11.Ca1-X SrX Al24 :Eu、Nd,X蛍光体の合成とその特 性 試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムをそれぞれ比率を変えて調合 しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウム0.5モル%を 、共賦活剤としてネオジウム0.5モル%を加え、更に他の共賦活剤として、ラ ンタン、ジスプロシウム、ホルミウムの元素のいずれかを0.5モル%添加した ものに、フラックスとして例えば硼酸を 5g(0.08 モル)添加し、既述の方法に よりでCa1-X SrX Al24 :Eu、Nd,X系蛍光体試料11−(1) 〜(9 ) を合成し、その残光特性を調査した。
【0094】 まず、試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムをそれぞれ比率を変え て調合しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウム0.5モ ル%を、共賦活剤としてネオジウム0.5モル%を加え、更に他の共賦活剤とし て、ランタンを0.5モル%添加したものを11−(1) 〜(3) として、表21に 示す。
【0095】
【表21】
【0096】 また試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムをそれぞれ比率を変えて 調合しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウム0.5モル %を、共賦活剤としてネオジウム0.5モル%を加え、更に他の共賦活剤として 、ジスプロシウムを0.5モル%添加したものを11−(4) 〜(6) として、表2 2に示す。
【0097】
【表22】
【0098】 また試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムをそれぞれ比率を変えて 調合しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウム0.5モル %を、共賦活剤としてネオジウム0.5モル%を加え、更に他の共賦活剤として 、ホルミウムを0.5モル%添加したものを11−(7) 〜(9) として、表23に 示す。
【0099】
【表23】
【0100】 これらの測定結果から、金属元素(M)が、カルシウム及びストロンチウムか らなる複数の金属元素(M)を用い、賦活剤としてユウロピウムを添加し、かつ 複数の共賦活剤を添加した場合であっても、10分後輝度を含めて、CaSrS :Biに比べて優れていることが確認できた。 実施例12.耐湿特性試験 本考案により得られた蓄光性蛍光体の耐湿特性を調査した結果を表24に示し た。
【0101】 この調査では、複数の蛍光体試料を、40℃、95%RHに調湿した恒温恒湿 槽中に500時間放置しその前後における輝度変化を測定した。 表から、いずれの組成の蛍光体も湿度に対してほとんど影響を受けず安定であ ることが分かる。
【0102】
【表24】
【0103】 実施例13.耐光性試験結果 本考案により得られた蓄光性蛍光体の耐光性試験を行なった結果を硫化亜鉛 系蛍光体の結果と比較して表25に示した。 この試験は、JIS規格に従い、試料を飽和湿度に調湿した透明容器内に入れ 300Wの水銀灯下30cmの位置で3時間、6時間及び12時間光照射し、そ の後の輝度変化を測定した。
【0104】 表から従来の硫化亜鉛系蛍光体と比較して極めて安定であることが分かる。
【0105】
【表25】
【0106】 このような本考案による蓄光性蛍光体は、種々の製品の表面に塗布して使用す ることもできるが、プラスチック、ゴムあるいはガラス等に混入して使用するこ ともできる。
【0107】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案のうち、請求項1又は2に記載の考案は、蓄光性 蛍光体を用いて表示部を形成することにより、緊急避難時等に内部の発光源をが 切れた場合であっても、表示部が一定時間蛍光発色するように形成して、非常用 電源がない状態でも緊急避難時に表示部を認識可能としたものである。
【0108】 更に請求項4、5または6に記載の考案は、請求項1又は2に記載の考案の効 果を備えていると共に、蛍光特性のうち、蛍光量及び蛍光の持続性に優れた蛍光 性蓄光体を使用することにより、緊急避難時の認識性を更に向上させたものであ る。
【図面の簡単な説明】
【図1】天井に付設した状態を示す断面図である。
【図2】SrAl24 :Eu蛍光体の結晶構造をXR
Dにより解析した結果を示したグラフである。
【図3】SrAl24 :Eu蛍光体の励起スペクトル
と刺激停止後30分を経過した後の発光スペクトルとを
示したグラフである。
【図4】SrAl24 :Eu蛍光体の残光特性をZ
n:S蛍光体の残光特性と比較した結果を示したグラフ
である。
【図5】SrAl24 :Eu蛍光体の熱発光特性を示
したグラフである。
【図6】SrAl24 :Eu,Dy蛍光体の残光特性
をZn:S蛍光体の残光特性と比較した結果を示したグ
ラフである。
【図7】SrAl24 :Eu,Dy蛍光体の熱発光特
性を示したグラフである。
【図8】SrAl24 :Eu,Nd蛍光体の熱発光特
性を示したグラフである。
【図9】CaAl24 :Eu系蛍光体の結晶構造をX
RDにより解析した結果を示したグラフである。
【図10】CaAl24 :Eu系蛍光体のうち共賦活
剤としてネオジウムあるいはサマリウムを用いた蛍光体
の熱発光特性を示したグラフである。
【図11】CaAl24 :Eu系蛍光体のうち共賦活
剤としてジスプロシウムあるいはトリウムを用いた蛍光
体の熱発光特性を示したグラフである。
【図12】CaAl24 :Eu系蛍光体の刺激停止後
5分を経過した後の発光スペクトルを示したグラフであ
る。
【図13】CaAl24 :Eu,Sm蛍光体及びCa
Al24 :Eu,Nd蛍光体の残光特性をZn:S蛍
光体の残光特性と比較した結果を示したグラフである。
【図14】BaAl24 :Eu,Nd蛍光体の励起ス
ペクトルと刺激停止後30分を経過した後の発光スペク
トルとを示したグラフである。
【図15】BaAl24 :Eu,Sm蛍光体の励起ス
ペクトルと刺激停止後30分を経過した後の発光スペク
トルとを示したグラフである。
【図16】Sr0.5 Ca0.5 Al24 :Eu,Dy蛍
光体の発光スペクトルを示したグラフである。
【図17】Srx Ca1-x Al24 :Eu,Dy蛍光
体の残光特性をZn:S蛍光体及びCaSrS:Bi蛍
光体の残光特性と比較したグラフである。
【図18】Srx Ba1-x Al24 :Eu,Dy蛍光
体の残光特性をZn:S蛍光体の残光特性と比較したグ
ラフである。
【図19】Srx Mg1-x Al24 :Eu,Dy蛍光
体の残光特性をZn:S蛍光体の残光特性と比較したグ
ラフである。
【符号の説明】
10 天井 20 収納
部21 スリット 30 発
光源40 光拡散板 41
表示部42 反斜面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 竹内 信義 東京都杉並区上荻1−15−1 丸三ビル 根本特殊化学株式会社内 (72)考案者 青木 康充 東京都杉並区上荻1−15−1 丸三ビル 根本特殊化学株式会社内 (72)考案者 松沢 隆嗣 東京都杉並区上荻1−15−1 丸三ビル 根本特殊化学株式会社内

Claims (6)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方側にスリットを設け、かつ内部に発
    光源を収納した収納部を形成し、この収納部に、そのス
    リットに連続するような光拡散板を設けると共に、この
    光拡散板の一面に蓄光性蛍光体で表示部を設けたことを
    特徴とする避難誘導灯。
  2. 【請求項2】 光拡散板の反表示部側の面を、発光源か
    らの光を反射する反射面としたことを特徴とする請求項
    1記載の避難誘導灯。
  3. 【請求項3】 蓄光性蛍光体を、MAl24 で表わさ
    れる化合物で、Mは、カルシウム、ストロンチウム、バ
    リウムからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の金
    属元素からなる化合物を母結晶にしたことを特徴とする
    請求項1または2記載の避難誘導灯。
  4. 【請求項4】 蓄光性蛍光体を、MAl24 で表わさ
    れる化合物で、Mは、カルシウム、ストロンチウム、バ
    リウムからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の金
    属元素にマグネシウムを添加した複数の金属元素からな
    る化合物を母結晶にしたことを特徴とする請求項1また
    は2記載の避難誘導灯。
  5. 【請求項5】 付活剤としてユウロピウムを、Mで表わ
    す金属元素に対するモル%で0.001 %以上10%以下添加
    したことを特徴とする請求項3または4記載の避難誘導
    灯。
  6. 【請求項6】 共付活剤としてランタン、セリウム、プ
    ラセオジウム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウ
    ム、テリビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビ
    ウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、マンガ
    ン、スズ、ビスマスからなる群の少なくとも1つ以上の
    元素を、Mで表わす金属元素に対するモル%で0.001 %
    以上10%以下添加したことを特徴とする請求項5記載の
    避難誘導灯。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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