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JP3007037B2 - ヘリコバクター・ピロリ菌ウレアーゼ蛋白由来の人工抗原及びその人工抗原によって誘発された抗体 - Google Patents

ヘリコバクター・ピロリ菌ウレアーゼ蛋白由来の人工抗原及びその人工抗原によって誘発された抗体

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JP3007037B2
JP3007037B2 JP8101601A JP10160196A JP3007037B2 JP 3007037 B2 JP3007037 B2 JP 3007037B2 JP 8101601 A JP8101601 A JP 8101601A JP 10160196 A JP10160196 A JP 10160196A JP 3007037 B2 JP3007037 B2 JP 3007037B2
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秀実 高橋
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秀実 高橋
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Publication date
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  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消化器病変の一因
になると言われているヘリコバクター・ピロリ感染症に
対するワクチンや診断薬等として利用可能なヘリコバク
ター・ピロリ菌ウレアーゼ蛋白由来の人工抗原、及び、
ヘリコバクター・ピロリ感染症に対する治療薬や診断薬
等として利用可能な抗ヘリコバクター・ピロリ菌ウレア
ーゼ抗体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】1983年にワレン(Warren)とマーシ
ャル(Marshall)らが胃粘膜からヘリコバクター・ピロ
リ菌(Helicobacter pylori 、以下「HP」という)を
分離・培養して以来、胃・十二指腸潰瘍や胃癌等の消化
器病変に対するHPの関与が注目されるようになり、現
在、多数の研究者によって研究が進められている。現在
のところ、HPの感染が消化器病変の一因になるとの認
識が定着しつつあるが、感染から病状発現に至るまでの
病態については解明されていない部分が多い。最近よう
やくHP感染のマウスモデルが開発された(サイエンス
(Science )、第267巻17号第1665〜1658
頁(1995))のを契機として、今後、病態の解明が
進展するものと予想される。
【0003】HPによる消化器病変は、いわばHP感染
症としてとらえ得ることから、その病態解明と並行し
て、ワクチンや抗体等を利用した免疫学的治療法の研究
も進められている。特に、HP菌体成分の一つであるH
Pウレアーゼが、HPの増殖及びHPによる消化器粘膜
の障害の両面にとって不可欠な酵素であると考えられる
ことから、HPウレアーゼ又はそのサブユニット(短鎖
のAサブユニットと長鎖のBサブユニットとがある)を
免疫原として用いた研究がなされている。
【0004】ガストロエンテロロジー(Gastroenterolo
gy)、第107巻第1002〜1011頁(1994)
には、マウスにHPウレアーゼ、Aサブユニット又はB
サブユニットを経口投与して免疫した後にHPに近縁の
ヘリコバクター・フェリス(Helicobacter felis)を接
種したところ、HPウレアーゼ又はBサブユニットによ
る経口免疫群には感染防御効果が認められたが、Aサブ
ユニット群には効果が認められなかった旨が報告されて
いる。
【0005】インフェクション・アンド・イミュニティ
(Infection and immunity)、第60巻11号第482
6〜4831頁(1992)には、長鎖サブユニット
(Bサブユニット)又は短鎖サブユニット(Aサブユニ
ット)のいずれかを認識する合計10種のモノクロナー
ル抗HPウレアーゼ抗体のうち、長鎖を認識するL2抗
体と短鎖を認識するS2抗体に強いウレアーゼ活性阻害
作用を認めた旨と、上記のL2抗体によって認識される
抗原決定基はヘリコバクター種に共通の構造であると推
測される旨が報告されている。また、この文献には、ポ
リクロナール抗HPウレアーゼ抗体中に、抗HPウレア
ーゼ抗体によるHPウレアーゼ阻害作用を無効化する抗
体が含まれていた旨も報告されている。
【0006】また、日本消化器病学会雑誌第91巻12
号第2202〜2213頁(1994)には、胃・十二
指腸病変患者の血清中にHPウレアーゼとは強く反応す
るが他のウレアーゼとの交差反応性を示さない、特異的
な抗HPIgG抗体が存在しており、この抗体は、B鎖
(Bサブユニット)を認識していたことが報告されてい
る。
【0007】これらの研究報告は、HP感染に対する免
疫原として、HPウレアーゼ、そのBサブユニット、又
はこれらのタンパク質中に存在する抗原決定基を利用で
きる可能性を示唆している。
【0008】しかしながら、消化器粘膜への障害作用を
有するHPウレアーゼそのものをワクチンとして利用す
るのは危険である。また、たとえ障害作用のないBサブ
ユニットを用いたとしても、HPウレアーゼと同様に分
子量の大きい蛋白質であることから、特定の抗原決定基
のみを免疫することができない。したがって、高力価の
抗体を産生することが困難だという問題があり、しかも
上述のように、HPウレアーゼ阻害作用を無効化する抗
体が同時に産生されてしまう恐れもある。
【0009】そして、以上のような問題があるにもかか
わらず、HPウレアーゼ中の抗原決定基の構造について
は全く研究がなされていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、HP
ウレアーゼの活性を強力に且つ特異的に阻害する抗体を
産生し得る抗原決定基のみを有し、HP感染に対するワ
クチンや診断薬等として有用な人工抗原、及び該人工抗
原によって誘導され、HP感染に対する治療薬や診断薬
等として有用な抗HPウレアーゼ抗体を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、HPウレア
ーゼの抗原決定基について研究を進める過程で、HPウ
レアーゼのAサブユニット及びBサブユニットが有する
アミノ酸配列の断片(フラグメント)に相当する多数の
ペプチドを合成し、各ペプチド断片の免疫原性を詳細に
検討した。その結果、Bサブユニット中のあるアミノ酸
配列(UB−33)が極めて特異的な免疫原性を有して
いることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて
完成されたものである。
【0012】すなわち本発明は、下記一般式(1) Cys-His-His-Leu-Asp-Lys-Ser-Ile-Lys-Glu-Asp-Val-Gln-Phe-Ala-Asp-Ser-Arg- Ile …(1) [式中、Cys はシステイン、His はヒスチジン、Leu は
ロイシン、Asp はアスパラギン酸、Lys はリジン、Ser
はセリン、Ile はイソロイシン、Glu はグルタミン酸、
Val はバリン、Gln はグルタミン、Phe はフェニルアラ
ニン、Ala はアラニン、Arg はアルギニンをそれぞれ表
す。]のアミノ酸配列で表されるペプチド、又は、当該
ペプチドのフラグメント及び当該ペプチドの欠失、付加
又は置換によって得られる修飾体及び当該ペプチドの塩
及び当該ペプチドのエステルの中から選ばれ且つ当該ペ
プチドと同等の免疫学的特異性を有し且つ下記一般式
(4) Ser-Ile-Lys-Glu-Asp-Val-Gln-Phe …(4) [式中の各略号は、一般式(1)と同じ]のアミノ酸配
列で表される最小抗原決定基を有する変異体からなるこ
とを特徴とする、ヘリコバクター・ピロリ菌ウレアーゼ
人工抗原を提供するものである。ここで、「一般式
(1)のアミノ酸配列で表されるペプチドと同等の免疫
学的特異性を有する」、或いは、「一般式(4)のアミ
ノ酸配列で表されるペプチドと同等の免疫学的特異性を
有する」とは、ある抗原に対して一般式(1)又は
(4)のアミノ酸配列で表されるペプチドから誘導され
る抗体が交差反応性を有し、且つ、当該抗原が一般式
(1)又は(4)のアミノ酸配列で表されるペプチドと
交差反応性を有する抗体だけを誘導することを言う。
【0013】また本発明は、上記一般式(1)のアミノ
酸配列で表されるペプチド、又は、当該ペプチドと同等
の免疫学的特異性を有する上記変異体からなる人工抗原
を免疫原とすることによって誘導される抗HPウレアー
ゼ抗体(ただし、L2抗体を除く)をも提供する。
【0014】本発明の人工抗原及び抗HPウレアーゼ抗
体は、以下のような種々の優れた性質を有している。 (1)本発明の人工抗原によって誘導される抗HPウレ
アーゼ抗体は、HPウレアーゼの活性を強力に阻害する
だけでなく、ジャックビーン(Jack Bean )などの他種
ウレアーゼに対しては交差反応性を示さないので、特異
性も高い。
【0015】(2)本発明の人工抗原は不要な抗原決定
基を含んでいないので、不要な抗体や抗HPウレアーゼ
抗体によるウレアーゼ活性阻害作用を中和してしまう有
害な抗体を誘導しない。
【0016】(3)特に一般式(1)の構造を有する場
合には、ペプチドのN末端はシステインであり、免疫原
性を高めるためのキャリア蛋白や診断薬として用いる際
のラベル蛋白を容易に結合させることができる。
【0017】(4)本発明の人工抗原は、ヘリコバクタ
ー種に共通の抗原決定基であると考えられ、この人工抗
原によって誘導される本発明の抗体は、変異株HP(バ
リアント)のウレアーゼに対しても有効であると考えら
れる。
【0018】従って、本発明の人工抗原及び抗体は、高
力価で特異性が高いワクチン又は治療薬として、或いは
HP感染に対する有効な抗体産生が体内で行われている
か否かを判定するための診断薬等として、極めて有用で
ある。治療的応用の観点からみた場合、HPウレアーゼ
はHPの増殖及びHPによる消化器粘膜障害の両面にと
って不可欠な酵素であると考えられることから、本発明
の人工抗原又は抗体によってHPウレアーゼ活性を強力
に抑制すれば、HP増殖の阻止という根本的治療と消化
器粘膜障害の緩和という対症的治療を同時に行うことが
でき、非常に効果的である。
【0019】本発明においては、さらに、下記一般式
(4) Ser-Ile-Lys-Glu-Asp-Val-Gln-Phe …(4) [式中、Ser はセリン、Ile はイソロイシン、Lys はリ
ジン、Glu はグルタミン酸、Asp はアスパラギン酸、Va
l はバリン、Gln はグルタミン、Phe はフェニルアラニ
ンをそれぞれ表す。]のアミノ酸配列で表されるペプチ
ド、又は、当該ペプチドの付加によって得られる修飾体
及び当該ペプチドの酸及び当該ペプチドのエステルの中
から選ばれ且つ当該ペプチドと同等の免疫学的特異性を
有し且つ上記一般式(4)のアミノ酸配列で表される最
小抗原決定基を有する変異体からなることを特徴とす
る、ヘリコバクター・ピロリ菌ウレアーゼ人工抗原を提
供する。
【0020】また同時に、上記一般式(4)のアミノ酸
配列で表されるペプチド、又は、当該ペプチドと同等の
免疫学的特異性を有する上記変異体からなる人工抗原を
免疫原とすることによって誘導される抗HPウレアーゼ
抗体(ただし、L2抗体を除く)をも提供する。
【0021】上記の一般式(4)で表されるアミノ酸配
列は、一般式(1)のアミノ酸配列中に含まれる最小抗
原決定基であり、一般式(1)で表されるペプチドの極
めて有用なフラグメントである。従って、この最小抗原
決定基を内包しているペプチドは、一般式(1)のアミ
ノ酸配列を有するペプチドと同等又はそれ以上に優れた
抗原として利用できる。
【0022】なお、本発明において「機能的に均等な変
異体」とは、アミノ酸残基の欠失、付加、置換又は誘導
化によって得られる修飾体であって、免疫学的又は生物
学的に同様の作用を発現するものを言う。例えば、一般
式(1)又は(4)で表されるアミノ酸配列の一部が欠
失又は置換された合成ペプチドや、そのアミノ酸配列の
N末端又はC末端に数個のペプチド残基が付加された合
成ペプチド、そのアミノ酸配列の一部に相当するフラグ
メント、さらには塩やエステル等の誘導体は、本発明の
目的に反しない限り、一般式(1)又は(4)で表され
るアミノ酸配列を有するペプチドと機能的に均等な変異
体に該当する。
【0023】
【実施例】以下において、実験例を通じて本発明をさら
に詳しく説明する。実験例1(抗原決定基の特定) 本発明の人工抗原は、HPウレアーゼのBサブユニット
に含まれる抗原決定基である。本発明者は、この抗原決
定基を特定するために、先ず、HPウレアーゼのAサブ
ユニットとBサブユニット中の部分的なアミノ酸配列に
相当する多数のポリペプチドを合成し、各ペプチド断片
とHPウレアーゼ活性中和能を有する既知の抗HPウレ
アーゼ抗体との反応性について検討した。さらに、かか
る反応性試験において特異的な反応性を示したペプチド
断片の免疫原性を調べた。
【0024】1−(1):ペプチド断片の調製 抗原決定基の候補として、23種のAサブユニットに由
来するペプチド断片及び56種のBサブユニットに由来
するペプチド断片を合成した。
【0025】HPウレアーゼは、下記の一般式(2)で
表される短鎖のAサブユニットと下記の一般式(3)で
表される長鎖のBサブユニットから構成されている。 [ウレアーゼAサブユニット・シークエンス] MKLTP KELDK LMLHY AGELA KKRKE KGIKL NYVEA VALIS AHIME EARAG KKTAA ELMQE GRTLL KPDDV MDGVA SMIHE VGIEA MFPDG TKLVT VHTPI EANGK LVPGE LFLKN EDITI NEGKK AVSVK VKNVG DRPVQ IGSHF HFFEV NRCLD FDREK TFGKR LDIAS GTAVR FEPGE EKSVE LIDIG GNRRI FGFNA LVDRQ ADNES KKIAL HRAKE RGFHG AKSDD NYVKT IKE …(2) [式中、Aはアラニン、Cはシステイン、Dはアスパラ
ギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニン、G
はグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、Kは
リジン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nはアスパラ
ギン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Rはアルギニ
ン、Sはセリン、Tはスレオニン、Vはバリン、Wはト
リプトファン、Yはチロシンをそれぞれ表す。] [ウレアーゼBサブユニット・シークエンス] MKKIS RKEYV SMYGP TTGDK VRLGD TDLIA EVEHD YTIYG EELKF GGGKT LREGM SQSNN PSKEE LDLII TNALI VDYTG IYKAD IGIKD GKIAG IGKGG NKDMQ DGVKN NLSVG PATEA LAGEG LIVTA GGIDT HIHFI SPQQI PTAFA SGVTT MIGGG TGPAD GTNAT TITPG RRNLK WMLRA AEEYS MNLGF LAKGN ASNDA SLADQ IEAGA IGFKI HEDWG TTPSA INHAL DVADK YDVQV AIHTD TLNEA GCVED TMAAI AGRTM HTFHT EGAGG GHAPD IIKVA GEHNI LPAST NPTIP FTVNT EAEHM DMLMV CHHLD KSIKE DVQFA DSRIR PQTIA AEDTL HDMGI FSITS SDSQA MGRVG EVITR TWQTA DKNKK EFGRL KEEKG DNDNF RIKRY LSKYT INPAI AHGIS EYVGS VEVGK VADLV LWSPA FFGVK PNMII KGGFI ALSQM GDANA SIPTP QPVYY REMFA HHGKA KYDAN ITFVS QAAYD KGIKE ELGLE RQVLP VKNCR NITKK DMQFN DTTAH IEVNP ETYHV FVDGK EVTSK PANKV SLAQL FSIF …(3) [式中の記号は上記と同じ。] Aサブユニット由来のペプチド断片は、下記のUA−1
〜UA−23の23種であった。これらは原則として2
0個のアミノ酸からなり、AサブユニットのN末端から
アミノ酸を10個ずつずらして切り出した配列を有する
ように合成した。従って、隣合うペプチド断片のアミノ
酸配列は、アミノ酸が10個ずつ重複している。
【0026】 UA−1:MKLTP KELDK LMLHY AGELA UA−2:LMLHY AGELA KKRKE KGIKL UA−3:KKRKE KGIKL NYVEA VALIS UA−4:NYVEA VALIS AHIME EARAG UA−5:AHIME EARAG KKTAA ELMQE UA−6:KKTAA ELMQE GRTLL KPDDV UA−7:GRTLL KPDDV MDGVA SMIHE UA−8:MDGVA SMIHE VGIEA MFPDG UA−9:VGIEA MFPDG TKLVT VHTPI UA−10:TKLVT VHTPI EANGK LVPGE UA−11:EANGK LVPGE LFLKN EDITI UA−12:LFLKN EDITI NEGKK AVSVK UA−13:NEGKK AVSVK VKNVG DRPVQ UA−14:VKNVG DRPVQ IGSHF HFFEV UA−15:IGSHF HFFEV VRCLD FDREK UA−16:NRCLD FDREK TFGKR LDIAS UA−17:TFGKR LDIAS GTAVR FEPGE UA−18:GTAVR FEPGE EKSVE LIDIG UA−19:EKSVE LIDIG GNRRI FGFNA UA−20:GNRRI FGFNA LVDRQ ADNES UA−21:LVDRQ ADNES KKIAL HRAKE UA−22:KKIAL HRAKE RGFHG AKSDD UA−23:RGFHG AKSDD NYVKT IKE 一方、Bサブユニット由来のペプチド断片は、下記のU
B−1〜UB56の56種であった。これらは原則とし
て19個のアミノ酸からなり、BサブユニットのN末端
からアミノ酸を10個ずつずらして切り出した配列を有
するように合成した。従って、隣合うペプチド断片のア
ミノ酸配列は、アミノ酸が9個ずつ重複している。
【0027】 UB−1:MKKIS RKEYV SMYGP TTG UB−2:SMYGP TTGDK VRLGD TDLI UB−3:VRLGD TDLIA EVEHD YTIY UB−4:EVEHD YTIYG EELKF GGGK UB−5:EELKF GGGKT LREGM SQ UB−6:LREGM SQSNN PSKEE LDLI UB−7:PSKEE LDLII TNALI VDYT UB−8:TNALI VDYTG IYKAD IGIK UB−9:IYKAD IGIKD GKIAG IGKG UB−10:GKIAG IGKGG NKDMQ DGVK UB−11:GNKDM QDGVK NNLSV GPAT UB−12:NLSVG PATEA LAGEG LIVT UB−13:LAGEG LIVTA GGIDT HIHF UB−14:GGIDT HIHFI SPQQI PTAF UB−15:SPQQI PTAFA SGVTT MIGG UB−16:SGVTT MIGGG TGPAD GTNA UB−17:TGPAD GTNAT TITPG RRNL UB−18:TITPG RRNLK WMLRA AEEY UB−19:WMLRA AEEYS MNLGF LAKG UB−20:SMNLG FLAKG NASND ASLA UB−21:ASNDA SLADQ IEAGA IGFK UB−22:EAGAI GFKIH EDWGT TPSA UB−23:IHEDW GTTPS AINHA LDVA UB−24:INHAL DVADK YDVQV AIHT UB−25:KYDVQ VAIHT DTLNE AGCV UB−26:TLNEA GCVED TMAAI AGRT UB−27:TMAAI AGRTM HTFHT EGAG UB−28:HTFHT EGAGG GHAPD IIKV UB−29:GGHAP DIIKV AGEHN ILPA UB−30:AGEHN ILPAS TNPTI PFTV UB−31:TNPTI PFTVN TEAEH MDML UB−32:EAEHM DMLMV CHHLD KSIK UB−33:CHHLD KSIKE DVQFA DSRI UB−34:DVQFA DSRIR PQTIA AEDT UB−35:PQTIA AEDTL HDMGI FSIT UB−36:HDMGI FSITS SDSQA MGRV UB−37:SDSQA MGRVG EVITR TWQT UB−38:EVITR TWQTA DKNKK EFGR UB−39:ADKNK KEFGR LKEEK GDND UB−40:KEEKG DNDNF RIKRY LSKY UB−41:RIKRY LSKYT INPAI AHGI UB−42:INPAI AHGIS EYVGS VEVG UB−43:SEYVG SVEVG KVADL VLWS UB−44:VADLV LWSPA FFGVK PNMI UB−45:AFFGV KPNMI IKGGF IALS UB−46:KGGFI ALSQM GDANA SIPT UB−47:GDANA SIPTP QPVYY REMF UB−48:QPVYY REMFA HHGKA KYDA UB−49:HHGKA KYDAN ITFVS QAAY UB−50:ITFVS QAAYD KGIKE ELGL UB−51:KGIKE ELGLE RQVLP VKNC UB−52:RQVLP VKNCR NITKK DMQF UB−53:RNITK KDMQF NDTTA HIEV UB−54:DTTAH IEVNP ETYHV FVDG UB−55:ETYHV FVDGK EVTSK PANK UB−56:EVTSK PANKV SLAQL FSIF サンプルであるペプチド断片は、一般的なt−BOC法
(t-Boc chemistry )に従い、合成装置としてモデル4
30マルチプル ペプチド シンセサイザー(アプライ
ド バイオシステムズ社製、米国)を使用して合成し
た。HF(フッ化水素酸)液で樹脂から切り離した合成
ペプチドは、0.1重量%TFA(トリフルオロ酢酸)
の水溶液とTFAのアセトニトリル溶液の濃度勾配を利
用したC18カラムによる逆相HPLCによって純度と
濃度を測定した。そして、さらに9%のギ酸を用いたバ
イオゲルP4カラム(バイオラッド社製、米国)によっ
て純化を行い、必要に応じて逆相HPLCで純度と濃度
を測定したものを実験に使用した。
【0028】1−(2):ペプチド断片と抗HPウレア
ーゼ抗体との反応性テスト 抗HPウレアーゼ抗体としては、HPウレアーゼ活性に
対して強い中和能を有するL2抗体と、中和能を有しな
いS5抗体とを用いた。これらの抗体は、BALB/c
マウスの腹腔内に精製HPウレアーゼ蛋白とフロイント
完全アジュバント(Freund´s complete ajuvant )と
の混合物を投与して免疫し、その後、2週間目と4週間
目に同様の免疫原で追加免疫した後に採取した免疫脾臓
細胞に、ポリエチレングリコール法によってミエローマ
細胞を融合させて作成したハイブリドーマが産生するモ
ノクロナール抗体であり、S5抗体はAサブユニット
を、またL2抗体はBサブユニットを認識することが確
認されている(インフェクション・アンド・イミュニテ
ィ、第60巻11号第4826〜4831頁(199
2)中の第4827頁左欄第43行〜右欄第3行)。
【0029】ペプチドと抗体との反応性はELISA法
によって評価した。PBS(リン酸緩衝液)で調整した
各ペプチド断片を96穴ELISA用マイクロプレート
(Immulon 2 ; Dynatech 社製、米国)に各50μlず
つ撒き、4℃でオーバーナイト又は37℃で60分間イ
ンキュベートしてコーティングした後、PBSで3回洗
浄した。各ウェルに4倍希釈ブロックエース液(大日本
製薬社製)200μlを加え、4℃でオーバーナイトに
渡ってブロッキングを実施した後、0.05重量%Tw
een 20を加えた10倍希釈ブロックエース液で3
回洗浄した。そして、10倍希釈ブロックエース液で1
00〜300倍に希釈した抗HPウレアーゼ抗体を加
え、37℃で60分間インキュベーションを行った後、
洗浄液で3回洗浄し、二次抗体としてアルカリフォスフ
ァターゼの結合したヤギ抗ヒトIgG(CAPPEL社製,米
国)を500倍希釈したものを加え、さらに37℃で6
0分間インキュベーションを行った。洗浄液で4回洗浄
した後、発色剤(carbonatebuffer 5mlに10-1
ol/l濃度MgCl2 50μlを加えたものに溶解
したphosphatase substrate (Sigma Chemical company
社製,米国))を50μl加え、発色したところで、マ
イクロプレートリーダーを用い405nmにおける吸光
度を測定した。
【0030】Bサブユニット由来ペプチド断片の反応性
(吸光度)を第1表と図1に示す。UB−1〜UB−5
6のうち、一般式(1)で表されるアミノ酸配列を有す
るUB−33(分子量:2223.8)のみがL2抗体
と特異的に反応し、その反応性はHPウレアーゼそのも
の(ポジティブコントロール)とほぼ同じ強度であっ
た。
【0031】
【表1】 表中の記号 Positive:ペプチド断片に代えてHPウレアーゼを添加
したもの Negative:ペプチド断片を添加しないもの Back:二次抗体のみを添加したコントロール 1−(3):免疫原性テスト 上記の反応性テストにおいてUB−33が特異的な反応
性を示したので、このペプチドの免疫賦活性(免疫原
性)を検討した。
【0032】上記と同様に合成し精製したUB−33の
免疫原性を高める目的で、マレイミド法によって、キャ
リア蛋白としてのKLH(Keyhole lympet hemocianin
e:カラス貝のヘモシアニン)をUB−33のN末端に
あるシステイン(C)に結合させた。このUB−33−
KLH 1mgを1mlのPBSに溶解し、得られた溶
液1mlと等量のフロイント完全アジュバント(CF
A)とを混合したものをウサギの皮下及び腹腔内に総計
1ml接種し、さらに接種後16日目に同様の抗原で追
加免疫を実施した。接種直前(ネガティブコントロー
ル)、接種後10日目、16日目(追加免疫直前)、追
加免疫から1週後、2週後、3週後に採血し、UB−3
3に対する血清の抗体価をELISA法によって経時的
に測定した。ELISA法は、上記実験例1−(2)の
反応性テストの場合と同様に操作した。
【0033】ELISA法の結果を第2表に示す。UB
−33で免疫したウサギの血清は、3頭とも、免疫開始
から7日後にはすでにUB−33に対する高い抗体価を
認め、その後も抗体価が上昇した。
【0034】
【表2】 さらに、免疫期間終了時(追加免疫から3週後)の血清
を採取し、HPウレアーゼ活性に対する中和能を調べ
た。
【0035】ウレアーゼ活性に対する中和能の測定は、
尿素ブイヨン法の変法にて実施した。すなわち、96穴
ELISA用プレートに、あらかじめ所定量のHPウレ
アーゼ25μlとIgG蛋白に換算して0〜25μgの
血清25μlを加え、4℃でオーバーナイトのインキュ
ベーションを行った後、尿素培地(3%尿素水溶液、
0.025Mリン酸緩衝液に0.02%のフェノールレ
ッドを加えpH6.0に調節した培地;栄研化学社製、
日本)100μlを添加し、595nmにおける吸光度
をマイクロプレートリーダー(モデル3550;Bio-Ra
d 社製)によって測定した。
【0036】図2に示すように、UB−33免疫群の血
清はHPウレアーゼ活性を強力に阻害し、血清添加量の
増加に伴って阻害率が上昇した。以上の実験によれば、
UB−33は抗HPウレアーゼ抗体の特異的な認識部位
であると共に強力な免疫原性を有しており、しかもUB
−33で免疫することによって強力なHPウレアーゼ活
性中和能を有する抗体が産生されることから、UB−3
3は反応原性並びに免疫原性を有する優れた抗原決定基
であり、HPウレアーゼに対する強力な中和抗体の誘発
部位であることが判明した。
【0037】実験例2(交差性−1) UB−33によって誘導される抗UB−33抗体が、他
種ウレアーゼに対して交差性を有するか否かについて検
討した。
【0038】2−(1):使用した抗体とウレアーゼ 抗UB−33抗体としては、実験例1−(3)の免疫原
性テストにおいて免疫したウサギから得られたウサギ抗
UB−33血清を用いた。ネガティブコントロールとし
ては、健常ウサギの血清を用い、ポジティブコントロー
ルとしては、HPウレアーゼBサブユニットを認識する
ことが知られているL2抗体とHPウレアーゼAサブユ
ニットを認識することが知られているS2抗体を、10
倍希釈ブロックエース液にて100倍に希釈したものを
用いた。L2抗体とS2抗体は、実験例1−(2)の反
応性テストの場合と同様に、インフェクション・アンド
・イミュニティ、第60巻11号第4826〜4831
頁(1992)中の第4827頁左欄第43行〜右欄第
3行に記載された方法で得られたモノクロナール抗体で
ある。
【0039】サンプル抗体と反応させるウレアーゼとし
ては、HPウレアーゼ、ナタ豆類であるジャックビーン
のウレアーゼ(Jack-bean urease, 和光純薬社製)及び
好熱性バチルス属のウレアーゼ(Thermophilic Bacillu
s sp. urease, 和光純薬社製)の3種を用いた。HPウ
レアーゼとしては、実験例1(2)の反応性テストにお
いてポジティブコントロールとして使用したものと同じ
ものを用いた。また、ウレアーゼを添加しないバックグ
ランドも設定した。
【0040】2−(2):交差反応性テスト 各種ウレアーゼに対する各サンプル抗体の反応性は、E
LISA法によって検討した。ELISA法は、ペプチ
ド断片に代えてウレアーゼを撒き、抗HPウレアーゼ抗
体に代えてウサギ血清を用いたことを除き、実験例1−
(2)の反応性テストにおける場合と同様に操作した。
【0041】ELISA法の結果を第3表に示す。ウサ
ギ抗UB−33血清は、HPウレアーゼと強く反応した
が、他種のウレアーゼとは極めて僅かしか反応せず、バ
ックグランドと比べても無視できる程度であった。すな
わちUB−33によって誘導された抗体は、他種のウレ
アーゼに対して交差性を示さなかった。
【0042】
【表3】 実験例3(HPウレアーゼ蛋白による免疫) HPウレアーゼ蛋白によって免疫したマウスの血清を用
い、当該血清中に存在する抗体が認識するリニア・エピ
トープ(Linear epitope)を同定すると共に、当該血清
のウレアーゼ活性中和能を調査した。
【0043】3−(1):HPウレアーゼ蛋白によるマ
ウスの免疫 BALB/cマウスの皮下に、精製したHPウレアーゼ
蛋白とフロイント完全アジュバントとの混合物を投与し
て免疫し、その後、2週間目と4週間目に同様の免疫原
で追加免疫した。さらに2週間経過後にマウスの心臓か
ら採血し、免疫血清と免疫脾臓細胞を得た。
【0044】3−(2):マウス抗HPウレアーゼ蛋白
血清が認識するリニア・エピトープの同定 実験例1−(2)の反応性テストで行ったELISA法
と同様に操作して、リニア・エピトープを同定した。す
なわち、エピトープ候補のペプチドとして上記のUA−
1〜UA−23及びUB−1〜UB−56のペプチドを
用い、これらのペプチドをELISA用マイクロプレー
トに撒き、実験例1−(2)の場合と同様に操作して、
マウス抗HPウレアーゼ蛋白血清が認識する部位を検索
した。
【0045】その結果、第4表及び図3に示すようにA
サブユニット内にはほとんどリニア・エピトープを見い
だせなかったが、第5表及び図4に示すようにBサブユ
ニット内にはUB−33以外に、UB−28〜UB−3
1に相当する部分にリニア・エピトープが認められた。
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】 3−(3):マウス抗HPウレアーゼ蛋白血清の中和活
性テスト 実験例1−(3)の中和活性テストの場合と同様に操作
して、マウス抗HPウレアーゼ蛋白血清とUB−33を
認識するモノクロナール抗体(L2)のHPウレアーゼ
活性に対する中和能を調べた。この際に使用した血清又
はL2抗体の添加量は、IgG蛋白に換算して0〜8μ
gであった。
【0048】結果を図5に示す。抗HPウレアーゼ・モ
ノクロナール抗体であるL2抗体は、実験例1−(3)
で評価した抗UB−33抗体と同様に、用量依存的に強
い中和能を有していたが、マウス抗HPウレアーゼ蛋白
血清は、HPウレアーゼ活性をほとんど中和しなかっ
た。
【0049】これらの結果から、マウスの全血清は、そ
れ単独ではHPウレアーゼを強力に中和するUB−33
に対する抗体を含有しているにもかかわらず、HPウレ
アーゼ中和能をほとんど有していないことが判明した。
この事実は、UB−33以外のエピトープに対する抗体
が、UB−33に対する抗体の特異的な活性を抑制して
いる可能性を示唆している。
【0050】実験例4(交差性−2) 実験例3においてUB−33以外のリニア・エピトープ
がBサブユニット中に存在することが判明したので、U
B−33によって誘導される抗UB−33抗体が、UB
−33以外のリニア・エピトープを認識するか否かにつ
いて検討した。
【0051】4−(1):使用した抗体とペプチド断片 抗UB−33抗体としては、実験例1−(3)の免疫原
性テストにおいて免疫したウサギから得られたウサギ抗
UB−33血清を用いた。ネガティブコントロールとし
ては、健常ウサギの血清を用いた。
【0052】サンプルと反応させたペプチド断片は、U
B−31〜UB−35の5つであった。なお、ペプチド
断片を添加しないバックグランドも設定した。 4−(2):交差反応性テスト ペプチド断片に対するウサギ抗UB−33血清の反応性
は、ELISA法によって検討した。ELISA法は、
抗HPウレアーゼ抗体に代えてウサギ血清を用いたこと
を除き、実験例1−(2)の反応性テストにおける場合
と同様に操作した。
【0053】ELISA法によって測定した405nm
での吸光度を第6表と図6に示す。ウサギ抗UB−33
血清は、免疫原であるUB−33と強く反応したが、U
B−33と重複性がある隣接のUB−32やUB−34
とは殆ど反応せず、また、Bサブユニット内の別のリニ
ア・エピトープであるUB−31とも全く反応しなかっ
た。すなわちUB−33によって誘導された抗体は、B
サブユニット内の他の部分に対して交差性を示さなかっ
た。
【0054】
【表6】 実験例5(最小抗原決定基の特定) UB−33のアミノ酸配列の一部を構成するフラグメン
トを数種類合成し、各フラグメントと抗HPウレアーゼ
抗体との反応性を調べ、最小抗原決定基(ミニマルサイ
ト)を特定した。
【0055】5−(1):フラグメントの調製 ミニマルサイトの候補として18種類のフラグメント、
すなわち下記のUB−33(10R)〜UB−33(1
8R)及びUB−33(10L)〜UB−33(18
L)を合成した。合成は、実験例1の場合と同様に、一
般的なt−BOC法に従って行った。
【0056】 UB−33 :CHHLD KSIKE DVQFA DSRI UB−33(10R): E DVQFA DSRI UB−33(11R): KE DVQFA DSRI UB−33(12R): IKE DVQFA DSRI UB−33(13R): SIKE DVQFA DSRI UB−33(14R): KSIKE DVQFA DSRI UB−33(15R): D KSIKE DVQFA DSRI UB−33(16R): LD KSIKE DVQFA DSRI UB−33(17R): HLD KSIKE DVQFA DSRI UB−33(18R): HHLD KSIKE DVQFA DSRI UB−33(10L):CHHLD KSIKE UB−33(11L):CHHLD KSIKE D UB−33(12L):CHHLD KSIKE DV UB−33(13L):CHHLD KSIKE DVQ UB−33(14L):CHHLD KSIKE DVQF UB−33(15L):CHHLD KSIKE DVQFA UB−33(16L):CHHLD KSIKE DVQFA D UB−33(17L):CHHLD KSIKE DVQFA DS UB−33(18L):CHHLD KSIKE DVQFA DSR 5−(2):フラグメントと抗HPウレアーゼ抗体との
反応性テスト 実験例1−(2)の場合と同様に操作して、UB−33
由来の各フラグメントとL2抗体との反応性をELIS
A法によって評価した。テストは2回行った。なお、ポ
ジティブコントロールとしてUB−33及びHPウレア
ーゼを使用し、ネガティブコントロールとしてペプチド
を使用しない空試験を行った。また、ジャックビーンウ
レアーゼのアミノ酸配列中に存在するUB−33に相当
する部分のフラグメントについても反応性を評価した。
【0057】各フラグメントの反応性(吸光度)を第7
表と図7に示す。図7は第7表中の平均値を視覚化した
ものである。UB−33のN末端側から1つずつアミノ
酸残基を減らしていくと、N末端側から7個目のS(セ
リン)残基が無くなった時点で反応性が急激に弱くなっ
た。一方、UB−33のC末端側から1つずつアミノ酸
残基を減らしていくと、C末端側から6個目のF(フェ
ニルアラニン)残基が無くなった時点で反応性が急激に
弱くなった。この結果から、UB−33−F8、すなわ
ち一般式(4)で表されるアミノ酸配列を有するフラグ
メントが最小抗原決定基であると決定された。
【0058】
【表7】
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の人工抗原
は抗HPウレアーゼ抗体の特異的な認識部位であり強い
免疫原性を有している。そして、この人工抗原で動物を
免疫することによって、HPの増殖及び消化器病変誘発
の両面に不可欠なHPウレアーゼの活性を特異的に且つ
強力に阻害する抗HPウレアーゼ抗体を効率よく産生さ
せることができる。しかも、この人工抗原で免疫すれ
ば、HPウレアーゼ蛋白で免疫する場合と異なり、抗H
Pウレアーゼ抗体を不活化する抗体のような都合の悪い
抗体を副生させることがない。
【0060】従って、本発明の人工抗原及び当該人工抗
原によって誘導される抗HPウレアーゼ抗体は、優れた
ワクチン、抗体、或いは診断薬などとして好適に利用す
ることが可能である。
【0061】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:19 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylor
i ) 配列: Cys His His Leu Asp Lys Ser Ile Lys Glu Asp Val Gln Phe Ala Asp 1 5 10 15 Ser Arg Ile 配列番号:2 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylor
i )
【図面の簡単な説明】
【図1】L2抗体に対するHPウレアーゼBサブユニッ
ト由来ペプチド断片の反応性を評価した結果を示すグラ
フである。
【図2】HPウレアーゼに対するウサギ抗UB−33血
清の中和活性を評価した結果を示すグラフである。
【図3】マウス抗HPウレアーゼ蛋白血清が認識するA
サブユニット中リニアエピトープを検索した結果を示す
グラフである。
【図4】マウス抗HPウレアーゼ蛋白血清が認識するB
サブユニット中リニアエピトープを検索した結果を示す
グラフである。
【図5】HPウレアーゼに対するマウス抗HPウレアー
ゼ蛋白血清の中和活性の評価結果を示すグラフである。
【図6】UB−33以外のBサブユニット中リニアエピ
トープに対するウサギ抗UB−33血清の交差反応性を
検索した結果を示すグラフである。
【図7】L2抗体に対するUB−33由来のフラグメン
トの反応性を評価した結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07K 7/08 ZNA C07K 7/08 ZNA 16/12 16/12 G01N 33/569 G01N 33/569 F 33/573 33/573 A // A61P 1/04 A61K 31/00 601C 31/04 631C (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/195 A61K 39/00 C07K 7/08 C07K 16/12 G01N 33/569 G01N 33/573 A61K 31/00 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) Cys-His-His-Leu-Asp-Lys-Ser-Ile-Lys-Glu-Asp-Val-Gln-Phe-Ala-Asp-Ser-Arg- Ile …(1) [式中、Cys はシステイン、His はヒスチジン、Leu は
    ロイシン、Asp はアスパラギン酸、Lys はリジン、Ser
    はセリン、Ile はイソロイシン、Glu はグルタミン酸、
    Val はバリン、Gln はグルタミン、Phe はフェニルアラ
    ニン、Ala はアラニン、Arg はアルギニンをそれぞれ表
    す。]のアミノ酸配列で表されるペプチド、又は、当該
    ペプチドのフラグメント及び当該ペプチドの欠失、付加
    又は置換によって得られる修飾体及び当該ペプチドの塩
    及び当該ペプチドのエステルの中から選ばれ且つ当該ペ
    プチドと同等の免疫学的特異性を有し且つ下記一般式
    (4) Ser-Ile-Lys-Glu-Asp-Val-Gln-Phe …(4) [式中の各略号は、一般式(1)と同じ]のアミノ酸配
    列で表される最小抗原決定基を有する変異体 からなるこ
    とを特徴とする、ヘリコバクター・ピロリ菌ウレアーゼ
    人工抗原
  2. 【請求項2】 下記一般式(1) Cys-His-His-Leu-Asp-Lys-Ser-Ile-Lys-Glu-Asp-Val-Gln-Phe-Ala-Asp-Ser-Arg- Ile …(1) [式中、Cys はシステイン、His はヒスチジン、Leu は
    ロイシン、Asp はアスパラギン酸、Lys はリジン、Ser
    はセリン、Ile はイソロイシン、Glu はグルタミン酸、
    Val はバリン、Gln はグルタミン、Phe はフェニルアラ
    ニン、Ala はアラニン、Arg はアルギニンをそれぞれ表
    す。]のアミノ酸配列で表されるペプチド、又は、当該
    ペプチドのフラグメント及び当該ペプチドの欠失、付加
    又は置換によって得られる修飾体及び当該ペプチドの塩
    及び当該ペプチドのエステルの中から選ばれ且つ当該ペ
    プチドと同等の免疫学的特異性を有し且つ下記一般式
    (4) Ser-Ile-Lys-Glu-Asp-Val-Gln-Phe …(4) [式中の各略号は、一般式(1)と同じ] のアミノ酸配
    列で表される最小抗原決定基を有する変異体 からなる人
    工抗原を免疫原とすることによって誘導される抗ヘリコ
    バクター・ピロリ菌ウレアーゼ抗体(ただし、L2抗体
    を除く)
  3. 【請求項3】 下記一般式(4) Ser-Ile-Lys-Glu-Asp-Val-Gln-Phe …(4) [式中、Ser はセリン、Ile はイソロイシン、Lys はリ
    ジン、Glu はグルタミン酸、Asp はアスパラギン酸、Va
    l はバリン、Gln はグルタミン、Phe はフェニルアラニ
    ンをそれぞれ表す。]のアミノ酸配列で表されるペプチ
    ド、又は、当該ペプチドの付加によって得られる修飾体
    及び当該ペプチドの酸及び当該ペプチドのエステルの中
    から選ばれ且つ当該ペプチドと同等の免疫学的特異性を
    有し且つ上記一般式(4)のアミノ酸配列で表される最
    小抗原決定基を有する変異体からなることを特徴とす
    る、ヘリコバクター・ピロリ菌ウレアーゼ人工抗原
  4. 【請求項4】 下記一般式(4) Ser-Ile-Lys-Glu-Asp-Val-Gln-Phe …(4) [式中、Ser はセリン、Ile はイソロイシン、Lys はリ
    ジン、Glu はグルタミン酸、Asp はアスパラギン酸、Va
    l はバリン、Gln はグルタミン、Phe はフェニルアラニ
    ンをそれぞれ表す。]のアミノ酸配列で表されるペプチ
    ド、又は、当該ペプチドの付加によって得られる修飾体
    及び当該ペプチドの酸及び当該ペプチドのエステルの中
    から選ばれ且つ当該ペプチドと同等の免疫学的特異性を
    有し且つ上記一般式(4)のアミノ酸配列で表される最
    小抗原決定基を有する変異体からなる人工抗原を免疫原
    とすることによって誘導される抗ヘリコバクター・ピロ
    リ菌ウレアーゼ抗体(ただし、L2抗体を除く)
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