JP3002090U - 掻取装置付竪バスケット底部排出型遠心分離機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 遠心分離機の掻取装置の小型化を図ると共
に、圧縮空気により残留ケーキ層を完全に高能率で剥離
する。 【構成】 掻取装置を、ケース天板上に回動自在に立設
した旋回スリーブと，旋回スリーブを回動させる旋回駆
動機構と，旋回スリーブ内へ昇降自在に挿入され、軸芯
方向に空気通路をまた外周面にラック歯を設けた掻取ロ
ッドと，掻取ロッドに固着され、掻取刃と圧縮空気を噴
射する空気ノズルを備えたスクレーパと、掻取ロッドを
昇降動する昇降駆動機構と，昇降駆動機構の駆動力を掻
取ロッドへ伝達してこれを増速移動させる歯車伝動機構
とから構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、固液分離や脱水処理等に利用する掻取装置付竪バスケット底部排出 型遠心分離機の改良に係り、掻取装置に改良を加えることにより、その小型化と 迅速且つ完全なケーキの剥離排出を可能にした掻取装置付竪バスケット底部排出 型遠心分離機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、従前の竪バスケット底部排出型遠心分離機の掻取装置は、図６に示す 如くバスケット１内へ配設したスクレーパ２と、これを昇降且つ旋回自在に支持 する掻取ロッド３と、スクレーパ旋回用シリンダ４と、スクレーパ昇降用シリン ダ５と、掻取ロッド３と昇降用シリンダ５間を連結する連杆６と、スクレーパに 取付けしたエアーノズル７と、エアーノズル７に着脱自在に連結したホース８等 から構成されている（実公昭４１−２７１８号等）。

【０００３】 脱水処理等により、バスケット１の内周面に固着した脱水ケーキは、バスケッ ト１を低速回転させ乍らスクレーパ２を昇降並びに旋回させることにより、スク レーパ先端の掻取刃２ｂにより順次剥離されて行く。

【０００４】 脱水ケーキの掻落しが進み、その残留層の厚さが所定の薄さになると、バスケ ット１の内周面に張設した濾材の損傷を防止するためスクレーパ２による機械的 な掻落しが停止される。 その後、バスケット１内へ外部から導入したエアーホース８の先端がエアーノ ズル７の空気供給口へ接続され、バスケット１を再度微速回転させると共に、エ アーノズル７から圧縮空気を噴射しつつスクレーパ２を昇降動させることにより 、濾材上のケーキ残留層が噴射空気圧により順次剥離されて行く。

【０００５】 尚、エアーノズル７を備えていないスクレーパ２の場合には、作業員がへら等 を用いて手作業により前記ケーキ残留層を取り除いたり、或いは外部からエアー ホースの先端をバスケット１内へ挿入し、圧縮空気をバスケット内壁面へ向けて 噴出することにより、ケーキ残留層を剥離して行く。

【０００６】 ところで、前記従前の掻取装置付竪バスケット底部排出型遠心分離機に於いて は、スクレーパ昇降用シリンダ５のピストンロッドと掻取ロッド３とを連杆６に より直結しているため、昇降用シリンダ５は、掻取ロッド３の移動距離即ちバス ケット１の深さにほぼ等しいだけのストロークを必要とする。 そのため、バスケット深さを大きくしてバッチ当りの処理量を大きくしようと すると、昇降用シリンダ５のストロークも大きくする必要があり、掻取装置の駆 動部が著しく大型化すると云う問題がある。

【０００７】 また、スクレーパ２によるケーキの掻取り後に、作業者がへらを使ったり、或 いはホース先端から圧縮空気を噴出せしめてケーキ残留層を剥離する方法は、作 業能率が極めて悪いうえ危険性も高かく、様々な問題が起生する。

【０００８】 更に、スクレーパによるケーキの掻取り後にホース８をスクレーパ２の空気供 給口へ接続し、ノズル７から圧縮空気を噴出してケーキ残留層を剥離する方法は 、スクレーパ２の旋回や昇降時にホース８がスクレーパ２の移動に円滑に追従し 難く、その結果、ホースが引張られたり、捩れたりすると云う難点があるうえ、 ホースの挿入部が開放されているため、バスケット１の密閉が困難になったり、 遠心分離操作の自動化が図れないと云う問題もある。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、従前の掻取装置付竪バスケット底部排出型遠心分離機に於ける上述 の如き問題、即ちバスケットを深くして処理容量を大きくすると、スクレーパ 昇降用シリンダが長尺となり、掻取装置の駆動部が著しく大型化すること、人 手でケーキの残留層を剥離する場合には、作業能率が悪いうえ危険性が高いこと 、圧縮空気ホースを接続してケーキ残留層を剥離する場合には、スクレーパの 移動にホースが円滑に追従し難いこと等の問題を解決せんとするものであり、小 型のスクレーパ昇降用シリンダでもって深い大型バスケットのケーキ掻取が円滑 にできると共に、スクレーパによる掻取り後のケーキ残留層を引き続き自動的に 極めて円滑に剥離できるようにした掻取装置付竪バスケット底部排出型遠心分離 機を提供するものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

本願考案は、掻取装置付竪バスケット底部排出型遠心分離機に於いてその掻取 装置を、ケースの天板上に回動自在に立設した旋回スリーブと、旋回スリーブを 回動させるスクレーパ旋回駆動機構と、旋回スリーブ内へ廻り止めした状態で昇 降自在に挿入され、軸芯方向に空気通路が穿設されると共に外周面にラック歯を 有する掻取ロッドと、掻取ロッドの下端部に固着され、掻取刃と前記掻取ロッド の空気通路を通して圧縮空気が供給される空気ノズルを備えたスクレーパと、掻 取ロッドを昇降動させるスクレーパ昇降駆動機構と、スクレーパ昇降駆動機構の 駆動力をラック歯を介して掻取ロッドへ伝達し、掻取ロッドを増速移動させる歯 車伝動機構とを考案の基本構成とするものである。

【００１１】

【作用】

スクレーパ昇降用駆動機構５が昇降作動されることにより、歯車伝動機構１６ を介してシリンダ５の駆動力が掻取ロッド３へ伝達され、掻取ロッド３は所定の 増速比で増速されて高速昇降される。 これにより、バスケット１の上・下方向に亘って、スクレーパ２によるケーキ の掻落しが行われる。 また、スクレーパ旋回用駆動機構４が作動されることにより、掻取ロッド３が 回動され、これによりスクレーパ２の掻取刃２ｂがバスケット１の内壁面に対し て適宜に接・離される。 スクレーパ２によるケーキの機械的掻落しが進行し、ケーキ残留層Ｂの厚さが 設定値になると、スクレーパの掻取刃２ｂによる掻落しを止め、ノズル７から圧 縮空気を噴出しつつスクレーパを昇降動させることにより、噴出エアーによって ケーキ残留層Ｂの剥離が行われる。

【００１２】

【実施例】

以下、図１乃至図５に基づいて本考案の実施例を詳細に説明する。 図１は、本考案の要部を構成する掻取装置の縦断面概要図であり、図２は掻取 装置の平面図、図３は掻取ロッドを昇降動させる伝動機構の説明図である。 尚、竪バスケット底部排出型遠心分離機そのものは公知であるため、図１に於 いてはその詳細が省略されている。また、図１乃至図５に於いて、前記図６の場 合と同じ部材には、同一の参照番号が付されている。

【００１３】 図１乃至図３に於いて、Ａは掻取装置、１はバスケット、２はスクレーパ、３ は掻取ロッド、３ａはラック、３ｂはキー、３ｃは圧縮空気通路、４はスクレー パ旋回用シリンダ、５はスクレーパ昇降用シリンダ、７はエアーノズル、９は遠 心分離機のケース、１０は旋回スリーブ、１１はラック軸、１２は第１歯車、１ ２ａは第１軸、１３は第２歯車、１３ａは第２軸、１４は第３歯車、１５は第４ 歯車、１５ａは第３軸、１６は歯車伝動機構、１７は圧縮空気供給口である。

【００１４】 本考案の要部を形成する掻取装置Ａはエアーノズル７を備えたスクレーパ２と 、スクレーパ２を旋回・昇降自在に支持する掻取ロッド３と、掻取ロッド３を旋 回させるスクレーパ旋回駆動機構（旋回用シリンダ）４と、掻取ロッド３を昇降 動させるスクレーパ昇降駆動機構（昇降用シリンダ）５と、昇降駆動機構（昇降 用シリンダ）５の駆動力を掻取ロッド３へ伝達する歯車伝動機構１６等から構成 されており、遠心分離機の本体を形成するケース９の天板９ａ上に支持固定され ている。

【００１５】 前記スクレーパ２は、図１及び図２に示す如く、スクレーパロッド部２ａに２ 枚の掻取刃２ｂを取付け、更にスクレーパロッド部２ａの最先端に２ケの空気ノ ズル７，７を固設した構成となっている。 より詳しくは、図４及び図５に示す如く、スクレーパロッド部２ａの先端に掻 取刃２ｂを挾着する状態でスクレーパブロック２ｃが固設されており、当該スク レーパブロック２ｃにノズル７，７が固定されている。また、ロッド部２ａ及び ブロック２ｃ内に連通状に穿設された空気流通孔２ｄを通して、後述する掻取ロ ッド３の先端の圧縮空気供給口１７から供給された空気が、ノズル７を通して濾 材１ａの内周面上のケーキ残留層Ｂへ向けて噴出される。 尚、図４及び図５に於いて、２ｅはノズル固定用ナットである。また、本実施 例ではノズル数及び掻取刃数を夫々２としているが、その数量の選定は自由であ り、１〜３位が望ましい。

【００１６】 前記掻取ロッド３は旋回スリーブ１０を挿通して縦向に上下方向へ移動自在に 配設されており、その下端部にスクレーパ２が固定されている。 尚、当該ロッド３の中心部には、スクレーパ２の空気流通孔２ｄに連通する空 気通路３ｃが軸芯方向に穿設されている。 また、掻取ロッド３の側面には廻り止めのキー３ｂが縦向きに形成されており 、当該キー３ｂが旋回スリーブ１０の内周面のキー溝１０ａへ係合することによ り、ロッド３は廻り止めされた状態で、上下方向へ昇降動をする。 更に、掻取ロッド３の外周面には、その外周長さのほぼ半分に亘ってラック歯 ３ａが形成されており、当該ラック歯３ａへ後述する第４歯車１５が噛合するこ とにより、ロッド３が所定位置に保持されると共に、図１に示す如くバスケット １の最上部から最下部に亘って任意に昇降動される。

【００１７】 前記旋回駆動機構４を形成するスクレーパ旋回用シリンダ４は図２に示す如く 、その後端部が支持架台上に回動自在に軸支されており、また、そのロッド先端 部が旋回スリーブ１０に回動自在に軸支されている。 その結果、旋回シリンダー４のロッドが伸長されることにより、旋回スリーブ １０は矢印イ方向へ回動され、これに伴なって前記掻取ロッド３も矢印イ方向へ 回動される。 尚、本実施例ではシリンダ４により旋回駆動機構４を構成しているが、シリン ダ４に代えてパルスモータ等を使用することも可能である。

【００１８】 前記スクレーパ昇降駆動機構５を形成する昇降用シリンダ５は掻取ロッド３と 平行状に配設されており、そのピストンロッドはラック軸１１に形成されており 、その外周面には、第１歯車１２へ噛合するラック歯１１ａが形成されている。 尚、本実施例ではスクレーパ昇降駆動機構５をシリンダーにより構成している が、これをモータに代えて、第１軸１２ａを回転駆動するようにしてもよい。

【００１９】 前記歯車伝動機構１６は図１及び図３に示す如く回動自在に軸支された４枚の 歯車列により構成されており、第２歯車１３と第３歯車１４とは第２軸１３ａに 夫々固定されている。 即ち、前記ラック軸１１が矢印方向へ伸長されることにより、第１歯車１２、 第２歯車１３、第３歯車１４及び第４歯車１５が夫々矢印方向へ回動され、これ により掻取ロッド３が下方向へ移動される。また逆に、ラック軸１１が下方向へ 移動されると、掻取ロッド３は上方へ移動される。

【００２０】 本実施例に於いては、第２歯車１３と第３歯車１４の歯数比を変えることによ り、ラック軸１１の移動速度Ｖ₁と掻取ロッド３の移動速度Ｖ₂の比が、Ｖ₂／Ｖ₁ ＝２となるように設定されている。尚、前記増速比Ｖ₂／Ｖ₁は任意に選定するこ とができ、通常は１〜３の間に設定するのが望ましい。 尚、増速比を３以上にすると、昇降駆動機構の所要駆動力が大きくなると共に スクレーパの昇降移動速度が早くなり過ぎ、慣性等の関係でスクレーパの位置制 御が困難となる。従って、増速比の上限は３位いが適当である。

【００２１】 次に、本考案の要部である掻取装置Ａの作動について説明する。 バスケット１内のスラリーの遠心分離等が完了すると、バスケット１の回転を 低速回転に切換ると共に、掻取りケーキをバスケット下方のケーキ排出口へ排出 する。 その後、スクレーパ昇降用シリンダ５及び旋回用シリンダ４を作動させ、バス ケット内壁面のケーキをスクレーパ２によって順次掻落しする。

【００２２】 スクレーパ２による掻落しが進行し、ケーキ残留層の厚さが所定の値になれば 、旋回用シリンダ４の作動を止め、圧縮空気供給口１７から圧縮空気を供給しつ つスクレーパ２を昇降動させる。 これにより、スクレーパ先端のノズル７から圧縮空気が噴出され、その風圧に よって濾材１ａ上のケーキ残留層Ｂが順次剥離されて行く。

【００２３】

【考案の効果】

本考案に於いては、スクレーパを固着した掻取ロッドとスクレーパ昇降駆動機 構とを歯車列より成る歯車伝動機構を介して連結すると共に、歯車伝動機構によ り掻取ロッドの昇降速度をスクレーパ昇降駆動機構の作動速度よりも増速するよ うにしている。 その結果、一回の掻落しを終えたスクレーパの掻取刃を元の位置へ戻す際に、 高速度でこれを戻し復帰させることができ、アイドルタイムが短縮されてケーキ の掻落し作業能率が大幅に向上する。

【００２４】 また、スクレーパ昇降駆動機構を油圧や水圧を用いる流体圧シリンダとした場 合には、シリンダーの長さ寸法を掻取ロッドの昇降ストロークの１／３〜１／２ にすることができ、昇降駆動機構の大幅な小型化が可能となる。

【００２５】 更に、本考案では掻取ロッドに空気通路を穿設し、当該空気通路を通してスク レーパ先端に設けたノズルに圧縮空気を供給して残留ケーキ層へ向けて噴射する ようにしているため、従前の遠心分離機のように外部から接続した空気供給用ホ ースに邪魔されることなしに円滑にノズルの上下方向位置を変えることができる 。 その結果、残留ケーキ層を高能率でほぼ完全に剥離除去することができ、残留 ケーキ層による濾過抵抗が減少して処理能力が大幅に向上する。 本考案は上述の通り優れた実用的効用を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る掻取装置付竪バスケット底部排出
型遠心分離機の要部を成す掻取装置の縦断面概要図であ
る。

【図２】掻取装置の平面図である。

【図３】掻取ロッドを昇降する伝動機構の説明図であ
る。

【図４】スクレーパの平面概要図である。

【図５】スクレーパの正面概要図である。

【図６】従前の掻取装置付竪バスケット底部排出型遠心
分離機の要部を示す縦断面概要図である。

【符号の説明】

Ａは掻取装置、Ｂはケーキ残留層、１はバスケット、１
ａは濾材、２はスクレーパ、２ａはスクレーパロッド
部、２ｂは掻取刃、２ｃはスクレーパブロック、２ｄは
空気流通孔、２ｅはナット、３は掻取ロッド、３ａはラ
ック歯、３ｂはキー、３ｃは空気通路、４はスクレーパ
旋回駆動機構（スクレーパ旋回用シリンダ）、５はスク
レーパ昇降駆動機構（スクレーパ昇降用シリンダ）、６
は連杆、７はエアーノズル、８はホース、９はケース、
９ａは天板、１０は旋回スリーブ、１１はラック軸、１
１ａはラック歯、１２は第１歯車、１２ａは第１軸、１
３は第２歯車、１３ａは第２軸、１４は第３歯車、１５
は第４歯車、１５ａは第３軸、１６は歯車伝動機構、１
７は圧縮空気供給口。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 掻取装置付竪バスケット底部排出型遠心
   分離機に於いて、その掻取装置をケースの天板上に回動
   自在に立設した旋回スリーブと，旋回スリーブを回動さ
   せるスクレーパ旋回駆動機構と，旋回スリーブ内へ廻り
   止めした状態で昇降自在に挿入され、軸芯方向に空気通
   路が穿設されると共に外周面にラック歯を有する掻取ロ
   ッドと，掻取ロッドの下端部に固着され、掻取刃と前記
   掻取ロッドの空気通路を通して圧縮空気が供給される空
   気ノズルを備えたスクレーパと，掻取ロッドを昇降動さ
   せるスクレーパ昇降駆動機構と，スクレーパ昇降駆動機
   構の駆動力をラック歯を介して掻取ロッドへ伝達し、掻
   取ロッドを増速移動させる歯車伝動機構とから構成した
   掻取装置付竪バスケット底部排出型遠心分離機。
2. 【請求項２】 スクレーパ旋回駆動機構を天板上に横向
   きに配設したスクレーパ旋回用シリンダとすると共に、
   スクレーパ昇降駆動機構を掻取ロッドと平行状に配設さ
   れ、ピストンロッドを介してラック軸を昇降動させるス
   クレーパ昇降用シリンダとした請求項１に記載の掻取装
   置付竪バスケット底部排出型遠心分離機。
3. 【請求項３】 歯車伝動機構の増速比を１：２〜３とし
   た請求項１又は請求項２に記載の掻取装置付竪バスケッ
   ト底部排出型遠心分離機。