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JP3085060B2 - 4輪操舵車両の車両特性制御装置 - Google Patents

4輪操舵車両の車両特性制御装置

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Publication number
JP3085060B2
JP3085060B2 JP27254993A JP27254993A JP3085060B2 JP 3085060 B2 JP3085060 B2 JP 3085060B2 JP 27254993 A JP27254993 A JP 27254993A JP 27254993 A JP27254993 A JP 27254993A JP 3085060 B2 JP3085060 B2 JP 3085060B2
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JP
Japan
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vehicle
damping force
steering
control
wheel
Prior art date
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JP27254993A
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秀幸 渋谷
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Steering-Linkage Mechanisms And Four-Wheel Steering (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも後輪を操舵
角等に応じて補助操舵可能な4輪操舵車両の車両特性制
御装置に関し、乗心地及び操縦安定性を向上させるよう
にしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来の4輪操舵車両の車両特性制御装置
としては、例えば本出願人が先に提案した特開平1−9
5969号公報に記載されているものがある。この従来
例は、バネ定数、減衰力、ロール剛性等のサスペンショ
ン特性を切換制御可能なサスペンションと、前輪及び後
輪の少なくとも一方を補助操舵する補助操舵装置と、こ
の補助操舵装置を操舵角等に応じて制御する操舵制御手
段とを備えた4輪操舵車両において、前記サスペンショ
ン特性の変化を検出するサスペンション特性変化検出手
段と、このサスペンション特性変化検出手段の特性検出
値に応じて前記操舵制御手段の補助操舵量を補正する補
助操舵量補正手段とを備えた構成とすることにより、サ
スペンション特性の変化にかかわらず4輪操舵車両の操
舵特性を適正状態に維持するようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の4輪操舵車両の車両特性制御装置にあっては、例え
ば減衰力可変ショックアブソーバの減衰力を単に操舵角
検出値と車速検出値に基づいて予測ロール量を算出し、
この予測ロール量が少ないときには4輪全ての減衰力可
変ショックアブソーバの減衰力を低減衰力に制御して乗
心地を向上させ、予測ロール量が多いときには4輪全て
の減衰力可変ショックアブソーバの減衰力を高減衰力に
制御して操縦安定性を向上させるようにしているが、旋
回時の制御態様が乗心地重視か操縦安定性重視かの何れ
かに決定されるので、旋回外輪と旋回内輪とを分けてき
め細かな減衰力制御を行うことができないという未解決
の課題がある。
【0004】そこで、本発明は上記従来例の未解決の課
題に着目してなされたものであり、旋回時の減衰力制御
をきめ細かに行うことができる4輪操舵車両の車両特性
制御装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る4輪操舵車両の車両特性制御装置
は、減衰力可変ショックアブソーバを有するサスペンシ
ョンと、少なくとも後輪を補助操舵する補助操舵装置
と、前記減衰力可変ショックアブソーバの減衰力を車体
の上下動に応じて制御する減衰力制御手段と、前記補助
操舵装置を操舵角等に応じて制御する操舵制御手段とを
備えた4輪操舵車両の車両特性制御装置において、車両
の旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、該旋回状態
検出手段で検出した旋回状態に応じて少なくとも旋回外
輪側の減衰力可変ショックアブソーバの減衰係数を変更
する減衰係数変更手段とを備えたことを特徴としてい
る。
【0006】また、請求項2に係る4輪操舵車両の車両
特性制御装置は、前記旋回状態検出手段は、旋回時の目
標ヨーレートを検出するヨーレートセンサで構成され、
前記減衰係数変更手段は、目標ヨーレートの大きさに応
じて減衰係数の制御幅を変更するように構成されている
ことを特徴としている。
【0007】
【作用】請求項1に係る4輪操舵車両の車両特性制御装
置においては、車両の旋回状態を検出し、この旋回状態
に応じて旋回外輪側及び旋回内輪側の減衰力可変ショッ
クアブソーバの減衰係数を個別に制御するが可能とな
り、旋回状態に応じた最適な減衰力制御を行う。
【0008】また、請求項2に係る4輪操舵車両の車両
特性制御装置においては、旋回外輪について目標ヨーレ
ートが小さいときには、減衰係数の制御幅を広くして、
乗心地を重視し、目標ヨーレートが中程度であるときに
は、減衰係数の制御幅を高減衰係数側寄りにやや狭くし
て操縦安定性重視傾向と、さらに目標ヨーレートが大き
くなると減衰係数の制御幅を高減衰係数側により狭くし
てより操縦安定性を重視する制御とする。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図2は、本発明を4輪操舵車両に適用した場合の
一実施例を示す概略構成図であって、各車輪1FL〜1RR
と車体2との間に夫々サスペンション装置を構成する減
衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRが配設され、こ
れら減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力
を切換えるステップモータ41FL〜41RRが後述するコ
ントローラ4からの制御信号によって制御される。
【0010】また、前輪1FL,1RRは、図示しないナッ
クルにタイロッド73L,73Rの一端が接続され、タ
イロッド73L,73Rの他端がラックアンドピニオン
式ステアリング装置74のラック軸74aに接続され、
ラックアンドピニオン式ステアリング装置74のステア
リングシャフト75がステアリングホイール76に接続
され、ステアリングホイール76を操舵することによ
り、その操舵方向と同一方向に前輪1FL,1RRが操舵さ
れる。
【0011】一方、後輪1RL,1RRは、図示しないナッ
クルにタイロッド78L,78Rを介して後輪補助操舵
用シリンダ79のピストンロッド79aが接続されてい
る。そして、後輪1RL,1RRは、車軸80L,80Rを
介してディファレンシャル装置81の出力側に接続さ
れ、ディファレンシャル装置81の入力側がプロペラシ
ャフト82を介してエンジン83の回転力が入力される
変速器84の出力側に接続されて回転駆動される。
【0012】また、後輪補助操舵用シリンダ79は、ピ
ストン79bによって画成される圧力室89L,89R
がクローズドセンタ型のサーボ弁85に接続されてアン
ロード弁87を介してエンジン83によって回転駆動さ
れる油圧ポンプ88の突出側に接続され、ドレンポート
が互いに接続されてオイルタンク89に接続されてい
る。なお、90はライン圧を蓄圧するアキュムレータで
ある。ここで、後輪補助操舵用シリンダ79、サーボ弁
85、アンロード弁87、油圧ポンプ88、オイルタン
ク89及びアキュムレータ90で後輪操舵装置が構成さ
れている。
【0013】減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RR
は、図3〜図7に示すように、外筒5と内筒6とで構成
されるシリンダチューブ7を有するツインチューブ式ガ
ス入りストラット型に構成され、内筒6内がこれに摺接
するピストン8によって上下圧力室9U,9Lに画成さ
れている。ピストン8は、図4〜図7で特に明らかなよ
うに、外周面に内筒6と摺接するシール部材9がモール
ドされ内周面に中心開孔10を有する円筒状の下部半体
11と、この下部半体11に内嵌された上部半体12と
で構成されている。
【0014】下部半体11には、上下に貫通して穿設さ
れた伸側油流路13と、上面側から下方にシール部材9
の下側まで延長して穿設された前記伸側油流路13より
大径の孔部14a及び円筒体11の外周面から孔部14
aの底部に連通して穿設された孔部14bで構成される
圧側油流路14と、中心開孔10の上下開口端に形成さ
れた円環状溝15U,15Lと、上面側に形成され円環
状溝15Uと前記伸側油流路13とに夫々連通する長溝
16と、下面側に形成され円環状溝15Lと連通する長
溝17とが形成され、伸側油流路13の下端側及び長溝
17が伸側ディスクバルブ18によって閉塞され、圧側
油流路14の上端側が圧側ディスクバルブ19によって
閉塞されている。
【0015】また、上部半体12は、下部半体11の中
心開孔10内に嵌挿された小径軸部21と、この軸部2
1の上端に一体に形成された内筒6の内径より小径の大
径軸部22とで構成され、これら小径軸部21及び大径
軸部22の中心位置に、小径軸部21の下端面側から大
径軸部22の中間部まで達する孔部23aと、この孔部
23aの上端側に連通してこれより小径の孔部23b
と、この孔部23bの上端側に連通するこれより大径の
孔部23cとで構成される貫通孔23が形成され、小径
軸部21の円環状溝15U及び15Lに対向する位置に
夫々半径方向に内周面側に貫通する一対の貫通孔24
a,24b及び25a,25bが穿設され、且つ大径軸
部22の孔部23aの上端側にこれと連通する弧状溝2
6が形成されていると共に、この弧状溝26と下端面と
を連通するL字状の圧側油流路27が形成され、この圧
側油流路27の下端面開口部が圧側ディスクバルブ28
によって閉塞されている。
【0016】そして、下部半体11と上部半体12と
が、下部半体11の中心開孔10内に小径軸部21を嵌
挿した状態で、小径軸部21の下部半体11より下方に
突出した下端部にナット29を螺合させてナット締めす
ることにより、一体に連結されている。さらに、上部半
体12の孔部23a内に可変絞りを構成する上端部が閉
塞された円筒状の弁体31が回動自在に配設されてい
る。この弁体31には、図4に示すように、上部半体1
2における大径軸部22の弧状溝26に対向する位置に
半径方向に内周面に達する貫通孔32が形成されている
と共に、図5〜図7に示すように上部半体12の小径軸
部21の貫通孔24a及び25a間に対応する外周面に
これらを連通する連通溝33が形成され、さらに図6に
示すように上部半体12の小径軸部21の貫通孔24b
及び25b間に対応する外周面にこれらを内周面側に連
通させる軸方向に延長する長孔34が形成されている。
そして、貫通孔32、連通溝33及び長孔34の位置関
係が、図8に示す弁体31の回転角即ち後述するステッ
プモータ41FL〜41RRのステップ角に対する減衰力特
性が得られるように選定されている。
【0017】すなわち、例えば時計方向の最大回転角位
置である図8のA位置では、図4に示すように、貫通孔
32のみが弧状溝26に連通しており、したがって、ピ
ストン8が下降する圧側移動に対しては、下圧力室9L
から圧側油流路14を通り、その開口端と圧側ディスク
バルブ19とで形成されるオリフィスを通って上圧力室
9Uに向かう破線図示の圧側流路C1と、下圧力室9L
から弁体31の内周面を通り、貫通孔32、弧状溝2
6、圧側油流路27を通り、その開口端と圧側ディスク
バルブ28とで形成されるオリフィスを通って上圧力室
9Uに向かう破線図示の圧側流路C2とが形成され、且
つピストン8が上昇する伸側移動に対しては、上圧力室
9Uから長溝16、伸側流路13を通り、その開口端と
伸側ディスクバルブ18とで形成されるオリフィスを通
って下圧力室9Lに向かう破線図示の伸側流路T1のみ
が形成され、伸側に対してはピストン速度の増加に応じ
て急増する高減衰力を発生させて、圧側に対してはピス
トン速度の増加に応じて微増する低減衰力を発生させ
る。
【0018】このA位置から弁体31を反時計方向に回
動させることにより、図5に示すように、弁体31の連
通溝33と小径軸部21の貫通孔24a,25aとが連
通状態となり、回動角の増加に応じて連通溝33と貫通
孔24a,25aとの開口面積が徐々に増加する。この
ため、ピストン8の伸側移動に対しては、図5(a)に
示すように、流路T1と並列に長溝16、円環状溝15
U、貫通孔24a、連通溝33、貫通孔25a、円環状
溝15L、長溝17を通り、長溝17と圧側ディスクバ
ルブ18とで形成されるオリフィスを通って下圧力室9
Lに向かう流路T2が形成されことになり、減衰力の最
大値が図8に示すように、連通溝33と小径軸部21の
貫通孔24a,25aとの開口面積の増加に応じて徐々
に減少し、伸側移動に対しては、図5(b)に示すよう
に、流路C1及びC2が形成されている状態を維持する
ため、最小減衰力状態を維持する。
【0019】さらに、弁体31を反時計方向に回動させ
て位置B近傍となると、図6に示すように、弁体31の
貫通孔24b,25b間が長孔34によって連通される
状態となる。このため、ピストン8の伸側移動に対して
は、図6(a)に示すように、流路T1及びT2と並列
に長溝16、円環状溝15U、貫通孔24a、長孔3
4、孔部23aを通って下圧力室9Lに向かう流路T3
が形成されることになり、伸側減衰力が最小減衰力状態
となると共に、ピストン8の圧側移動に対しては、流路
C1及びC2に加えて孔部23a、長孔34、貫通孔2
4b、円環状溝15Uを通って長溝16に達する流路C
3及び孔部23a、長孔34、貫通孔25b、円環状溝
15L、貫通孔25a、連通溝33、貫通孔24a、円
環状溝15Uを通って長溝16に達する流路C4が形成
されるが、図8に示すように、最小減衰力状態を維持す
る。
【0020】さらに、弁体31を反時計方向に回動させ
ると、長孔34と貫通孔24b及び25bとの間の開口
面積が小さくなり、回動角θB2で長孔34と貫通孔24
b及び25bとの間が図7に示すように遮断状態となる
が、貫通孔32と弧状溝26との間の開口面積は回動角
θB2から徐々に小さくなる。このため、回動角θB2から
反時計方向の最大回動角θC 迄の間では、ピストン8の
伸側移動に対しては、流路T1及びT2が併存すること
から最小減衰力状態を維持し、逆にピストン8の圧側移
動に対しては、貫通孔32と弧状溝26との間の開口面
積が徐々に減少することにより、最大減衰力が徐々に増
加し、弁体31が位置Cに到達したときに図7に示すよ
うに、貫通孔32と弧状溝26との間が遮断状態となる
ことにより、ピストンの圧側移動に対して、下圧力室9
Lから上圧力室9Uに達する流路が流路C1のみとな
り、圧側高減衰力状態となる。
【0021】一方、上部半体12の孔部23cには、円
筒状のピストンロッド35が嵌着され、このピストンロ
ッド35の上端が、図3に示すように、シリンダチュー
ブ7より上方に突出され、その上端側が車体側部材36
に取付けられたブラケット37にゴムブッシュ38U及
び38Lを介してナット39によって固定されていると
共に、ピストンロッド35の上端にブラケット40を介
してステップモータ41FL〜41RRがその回転軸41a
を下方に突出した関係で固定され、この回転軸41aと
前述した弁体31とがピストンロッド35内に緩挿され
た連結杆42によって連結されている。なお、43はバ
ンパーラバーである。また、シリンダチューブ7の下端
は車輪側部材(図示せず)に連結されている。
【0022】コントローラ4には、その入力側に、図9
に示すように、各車輪位置に対応する車体側に設けられ
た上下加速度に応じて、上向きで正となり下向きで負と
なるアナログ電圧でなる上下加速度検出値X2FL ″〜X
2RR ″を出力する上下加速度検出手段としての上下加速
度センサ51FL〜51RRと、例えば各減衰力可変ショッ
クアブソーバ3FL〜3RRのカバーに内蔵されて車体側部
材と車輪側部材との相対変位に応じたインダクタンス変
化によってアナログ電圧でなる相対変位検出値X
DFL (=X2FL −X1FL )〜XDRR (=X2RR
1RR )を出力する相対変位検出手段としてのストロー
クセンサ52FL〜52RRと、車速を検出する車速センサ
53と、ステアリングホイール76の操舵角を検出する
操舵角センサ54Sと、後輪補助操舵用シリンダ79の
移動量を検出することにより後輪舵角を検出する後輪舵
角センサ54Rと、車体発生するヨーレートを検出する
ヨーレートセンサ55とが接続され、出力側に各減衰力
可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力を制御する
ステップモータ41FL〜41RRと、サーボ弁85とが接
続されている。
【0023】そして、コントローラ4は、入力インタフ
ェース回路56a、出力インタフェース回路56b、演
算処理装置56c及び記憶装置56dを少なくとも有す
るマイクロコンピュータ56と、上下加速度センサ51
FL〜51RRの上下加速度検出値X2FL ″〜X2RR ″をデ
ィジタル値に変換して入力インタフェース回路56aに
供給するA/D変換器57FL〜57RRと、ストロークセ
ンサ52FL〜52RRの相対変位検出値XDFL 〜XDRR
ディジタル値に変換して入力インタフェース回路56a
に供給するA/D変換器58FL〜58RRと、操舵角セン
サ54の操舵角検出値θS をディジタル値に変換して入
力インタフェース回路56aに供給するA/D変換器6
0Rと、後輪舵角センサ54Rの後輪舵角検出値δrd
ディジタル値に変換して入力インタフェース回路56a
に供給するA/D変換器60Rと、ヨーレートセンサ5
5のヨーレート検出値YD をディジタル値に変換して入
力インタフェース回路56aに供給するA/D変換器6
0Yと、出力インタフェース回路56bから出力される
各ステップモータ41FL〜41RRに対するステップ制御
信号が入力され、これをステップパルスに変換して各ス
テップモータ41FL〜41RRを駆動するモータ駆動回路
59FL〜59RRと、出力インタフェース回路56bから
出力される駆動制御信号CSra及びCSrbによって後輪
操舵装置のサーボ弁85を駆動する駆動回路61a,6
1bとを備えている。
【0024】ここで、マイクロコンピュータ56の演算
処理装置56cは、図10〜図12の処理を実行して、
上下加速度センサ51FL〜51RRから入力される車体の
上下加速度検出値X2FL ″〜X2RR ″を積分した車体上
下速度X2FL ′〜X2RR ′と、ストロークセンサ52FL
〜52RRから入力される車輪及び車体間の相対変位検出
値XDFL (=X2FL −X1FL )〜XDRR (=X2RR −X
1RR )を微分した相対速度XDFL ′〜XDRR ′とに基づ
いてスカイフック制御を行うための減衰力係数Cを決定
し、決定された減衰係数Cに対応するステップモータ4
1FL〜41RRの目標ステップ角θT を算出し、この目標
ステップ角θT と現在のステップ角θPとの差値を算出
して、これに応じたステップ制御量をモータ駆動回路5
9FL〜59RRに出力すると共に、操舵角センサ54Sの
操舵角検出値θS に基づいて前輪舵角δf を算出し、次
いで車速センサ53の車速検出値Vに基づいて前後輪の
舵角比kを算出し、この舵角比kに基づいて後輪舵角δ
r を算出し、後輪舵角δrと後輪舵角検出値δrdとの差
値が零となるように開閉制御信号CSra及びCSrbを出
力し、さらに操舵角検出値θS 及び車速検出値Vに基づ
いて目標ヨーレートYO を算出し、この目標ヨーレート
O の大きさに応じて操舵制御におけるヨーレートフィ
ードバック制御ゲインkP を変更すると共に、旋回外輪
側の減衰力可変ショックアブソーバに対する減衰係数を
変更する。
【0025】また、記憶装置56dは、演算処理装置5
6cの演算処理に必要なプログラムを予め記憶している
と共に、演算処理過程での必要な値及び演算結果を逐次
記憶し、さらに予め目標ヨーレートを算出するための目
標ヨーレートマップを格納している。ここで、目標ヨー
レートマップは、図13に示すように、X軸に操舵角セ
ンサ54Sの操舵角検出値θS 、Y軸に車速センサ53
の車速検出値V及びZ軸に目標ヨーレートYO を夫々と
り、例えば操舵角検出値θS が90度で車速検出値Vが
60km/hであるときにピークをとる3次元マップで構成
されている。なお、この目標ヨーレートマップは、あく
までタイヤ特性によって決定され、例えばグリップ力の
高いタイヤ等では、図13とは異なってピークポイント
が操舵角検出値θs が大きな範囲までまたがることにな
り、それを過ぎると急減するような特性となる。
【0026】次に、上記実施例の動作をマイクロコンピ
ュータ56の演算処理装置56cの減衰力制御処理の一
例を示す図10、操舵制御処理の一例を示す図11及び
減衰係数設定処理の一例を示す図12を伴って説明す
る。すなわち、図10の減衰力制御処理は、所定時間
(例えば20msec)毎にタイマ割込処理として実行さ
れ、先ずステップS1で車速検出値V、操舵角検出値θ
S 及び各上下加速度検出値X2i″(i=FL,FR,RL,R
R)を読込み、次いで、ステップS2に移行して、各相
対変位検出値XDiを読込み、次いでステップS3に移行
して、ステップS1で読込んだ上下加速度検出値X2i
を例えばローパスフィルタ処理することにより積分して
車体上下速度X2i′を算出し、これらを記憶装置56d
の所定記憶領域に一時記憶し、次いでステップS4に移
行してステップS2で読込んだ相対変位検出値XDiを例
えばハイパスフィルタ処理することにより微分して相対
速度XDi′を算出し、これらを記憶装置56dの所定記
憶領域に一時記憶してからステップS5に移行する。
【0027】このステップS5では、前記ステップS3
及びS4で算出した車体上下速度X 2i′及び相対速度X
Di′と制御ゲインCS とに基づいて下記(1)式の演算
を行ってスカイフック制御を行うための減衰係数Cを算
出してからステップS6に移行する。 C=CS ・X2i′/XDi′ …………(1) ステップS6では、後述する図12の制御ゲイン設定処
理で減衰力制御フラグFM及びFHが共に“0”にリセ
ットされているか否かを判定し、減衰力制御フラグFが
“0”にリセットされているときには、直接ステップS
16に移行し、制御フラグFM及びFHの何れか一方が
“1”にセットされているときには、ステップS7に移
行する。
【0028】このステップS7では、制御フラグFMが
“1”にセットされているか否かを判定し、制御フラグ
FMが“1”にセットされているときにはステップS8
に移行し、前輪における旋回外輪側となる減衰力可変シ
ョックアブソーバに対する減衰係数CFOが予め設定した
中程度の減衰係数CM 以上であるか否かを判定し、C FO
≧CM であるときには直接ステップS10に移行し、C
FO<CM であるときには、ステップS9に移行して前輪
の旋回外輪側の減衰係数CFOを中減衰係数CMに設定し
てからステップS10に移行する。
【0029】ステップS10では、後輪における旋回外
輪側となる減衰力可変ショックアブソーバに対する減衰
係数CROが前記中減衰係数CM 以上であるか否かを判定
し、CRO≧CM であるときには、直接ステップS16に
移行し、CRO<CM であるときにはステップS11に移
行して後輪の旋回外輪側の減衰係数CROを中減衰係数C
M に設定してからステップS16に移行する。
【0030】一方、ステップS7の判定結果が、制御フ
ラグFMが“0”にリセットされているものであるとき
には、制御フラグFHが“1”にセットされているもの
と判断して、ステップS12に移行し、前輪側における
旋回外輪側となる減衰力可変ショックアブソーバに対す
る減衰係数CFOが予め設定した中減衰係数CM と最大減
衰係数CMAX との中間の高減衰係数CH 以上であるか否
かを判定し、CFO≧C H であるときには直接ステップS
14に移行し、CFO<CH であるときには、ステップS
13に移行して前輪の旋回外輪側の減衰係数CFOを高減
衰係数CH に設定してからステップS14に移行する。
【0031】ステップS14では、後輪における旋回外
輪側となる減衰力可変ショックアブソーバに板する減衰
係数CROが前記高減衰係数CH 以上であるか否かを判定
し、CRO≧CH であるときには、直接ステップS16に
移行し、CRO<CH であるときにはステップS15に移
行して後輪の旋回外輪側の減衰係数CROを高減衰係数C
H に設定してからステップS16に移行する。
【0032】ステップS16では、上記ステップS6又
はS7で算出した減衰係数Cが予め設定された減衰力可
変ショックアブソーバ3iでの最小減衰力CMIN 以下で
あるか否かを判定し、C>CMIN であるときには、ステ
ップS17に移行して車体上下速度X2i′が正であるか
否かを判定し、X2i′>0であるときには、ステップS
18に移行して、前記ステップS5,S9,S11,S
13又はS15で算出した減衰係数Cを伸側で設定する
ように、図8に対応する制御マップのθA 〜θ B1の領域
を参照して目標ステップ角θT を算出してからステップ
S19に移行する。
【0033】このステップS19では、記憶装置56d
に格納されている現在ステップ角θ P と目標ステップ角
θT との偏差を算出し、これをステップ制御量Sとして
記憶装置56dの所定記憶領域に更新記憶すると共に、
前記目標ステップ角θT を現在ステップ角θP として更
新記憶し、次いで、ステップS20に移行して、記憶装
置56dの所定記憶領域に格納されているステップ制御
量Sをモータ駆動回路59iに出力してからタイマ割込
処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0034】また、ステップS17の判定結果がX2i
<0であるときには、ステップS21に移行して、前記
ステップステップS5,S9,S11,S13又はS1
5で算出した減衰係数Cを圧側で設定するように、図8
に対応する制御マップのθB2〜θC の領域を参照して目
標ステップ角θT を算出してから前記ステップS19に
移行する。
【0035】さらに、ステップS16の判定結果が、C
≦CMIN であるときには、ステップS22に移行して、
図8に対応する制御マップのθB1〜θB2の領域を参照し
て目標ステップ角θT を算出してから前記ステップS1
9に移行する。この図10の処理が減衰力制御手段に対
応し、ステップS7〜S15の処理と後述する図12の
減衰係数設定処理とが減衰係数変更手段に対応してい
る。
【0036】図11の操舵制御処理は、上記減衰力制御
処理と同様に、所定時間(例えば20msec)毎のタイマ
割込処理として実行され、先ずステップS31で車速セ
ンサ53の車速検出値V、操舵角センサ54Sの操舵角
検出値θS 、ヨーレートセンサ55のヨーレート検出値
D 及び後輪舵角センサ54Rの後輪舵角検出値δrd
読込み、次いでステップS32に移行して、操舵角検出
値θS をステアリングギヤ比Nで除して前輪舵角δ
F (=θS /N)を算出する。
【0037】次いで、ステップS33に移行して、車速
検出値Vをもとに下記(2)式の演算を行って前後輪の
舵角比kを算出する。 k={bL−mV2 (a/Cr )}/{aL−mV2 (a/Cf )}…(2) 次いで、ステップS34に移行して、車速検出値V及び
操舵角検出値θS をもとに図13の目標ヨーレートマッ
プを参照して目標ヨーレートYO を算出し、次いでステ
ップS35に移行して、目標ヨーレートYO とステップ
S31で読込んだヨーレート検出値YD との偏差ε(=
O −YD )を算出し、次いでステップS36に移行し
て、ヨーレート偏差εを例えばハイパスフィルタ処理に
よって微分してヨーレート偏差微分値ε′を算出し、次
いでステップS37に移行して下記(3)式の演算を行
って後輪舵角δr を算出する。
【0038】 δr =k・δf +kP ・ε+kD ・ε′ …………(3) ここで、kP はヨーレートフィードバック制御ゲインで
あり、後述する図12の制御ゲイン設定処理で記憶装置
56dの所定記憶領域に更新記憶された値を読出して使
用し、kD は予め設定された固定値の制御ゲインであ
る。次いで、ステップS38に移行して、後輪舵角δr
と後輪舵角検出値δrdとの偏差Δδr (=δr −δrd
を算出し、差値Δδr が零であるときには、サーボ弁8
5に対する制御信号CSra及びCSrbを共に論理値
“0”に、差値Δδr が正(Δδr >0)であるときに
は、制御信号CSraを論理値“1”に、制御信号CSrb
を論理値“0”に、差値Δδr が負(Δδr <0)であ
るときには、制御信号CSraを論理値“0”に、制御信
号CSrbを論理値“1”に夫々設定して駆動回路61
a,61bに出力してからタイマ割込処理を終了して所
定のメインプログラムに復帰する。
【0039】この図11の処理が操舵制御手段に対応し
ている。さらに、図12の制御ゲイン設定処理は、上記
減衰力制御処理及び操舵制御処理と同様に、所定時間
(例えば20msec)毎のタイマ割込処理として実行さ
れ、先ずステップS41で車速検出値V及び操舵角検出
値θS を読込み、次いでステップS42に移行して、車
速検出値検出値V及び操舵角検出値θS をもとに図13
に示す目標ヨーレートマップを参照して目標ヨーレート
O を算出する。
【0040】次いで、ステップS43に移行して、算出
した目標ヨーレートYO が予め設定した比較的小さい第
1の設定値YOS1 以上であるか否かを判定し、YO <Y
OS1であるときには、ステップS44に移行して減衰力
制御処理における中減衰力制御フラグFM及び高減衰力
制御フラグFHを共に“0”にリセットすると共に、操
舵制御処理におけるヨーレートフィードバック制御ゲイ
ンkP を低制御ゲインkPLに設定してこれを記憶装置5
6dの所定記憶領域に更新記憶してからタイマ割込処理
を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0041】また、ステップS43の判定結果がYO
OS1 であるときには、ステップS45に移行して、目
標ヨーレートYO が予め設定した第1の設定値YOS1
り大きい第2の設定値YOS2 以上であるか否かを判定
し、YO <YOS2 であるときには、ステップS46に移
行して、中減衰力制御フラグFMを“1”にセットする
と共に、ヨーレートフィードバック制御ゲインkP を低
制御ゲインkPLより高い標準制御ゲインkPNに設定して
これを記憶装置56dの所定記憶領域に更新記憶してか
らタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに
復帰する。
【0042】さらに、ステップS45の判定結果がYO
≧YOS2 であるときには、ステップS47に移行して、
高減衰力制御フラグFHを“1”にセットすると共に、
ヨーレートフィードバック制御ゲインkP を標準制御ゲ
インkPNより高い高制御ゲインkPHに設定し、これを記
憶装置56dの所定記憶領域に更新記憶してからタイマ
割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰す
る。
【0043】したがって、今、車両が平坦な良路を定速
直進走行しているものとすると、この状態では、車体の
上下動が殆どないので、各上下加速度センサ51FL〜5
1RRから出力される上下加速度検出値X2FL ″〜
2RR ″は略零であり、操舵角検出値θS も零となる。
この結果、図12の減衰係数設定処理が実行されたとき
に、ステップS42で算出される目標ヨーレートYO
略零となる。このため、ステップS43を経てステップ
S44に移行して中減衰力制御フラグFM及び高減衰力
制御フラグFHが共に“0”にリセットされると共に、
操舵制御におけるヨーレートフィードバック制御ゲイン
P が低制御ゲインkPLに設定される。
【0044】このため、図10の減衰力制御処理が実行
されたときに、ステップS3で算出される車体上下速度
2FL ′〜X2RR ′も略零となり、中及び高減衰力制御
フラグFM及びFHが共に“0”にリセットされている
ので、ステップS5で各減衰力可変ショックアブソーバ
3FL〜3RRに対する減衰係数CFL〜CRRも略零となるた
ため、ステップS6からステップS16を経てステップ
S22に移行して、伸側及び圧側最小減衰係数CnMIN
びCaMINとなるステップ角θB1〜θB2の範囲内のステッ
プ角を目標ステップ角θT として設定し、このステップ
モータ41FL〜41RRのステップ角が目標ステップ角θ
T に一致するように駆動される。このため、減衰力可変
ショックアブソーバ3FL〜3RRの弁体31が図6に示す
位置Bにセットされ、これによって、ピストン8の伸側
及び圧側の減衰係数Cが夫々最小減衰係数CnMIN及びC
aMINに設定される。したがって、この状態で、車輪に路
面の細かな凹凸による振動が入力されても、これが減衰
力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRで吸収されて車体
に伝達されず、良好な乗心地を確保することができ、乗
心地を重視した減衰力制御を行うことができる。
【0045】一方、図11の操舵制御処理が実行された
とき、車両が直進走行状態であるので、操舵角検出値θ
S が零であり、ステップS35で算出される目標ヨーレ
ートYO も零となるので、ステップS37で算出される
後輪舵角δr も零となるため、制御信号CSra及びCS
rbが共に論理値“0”となり、直進走行状態を維持す
る。
【0046】この良路走行状態で、例えば前上がりの段
差等の一過性の段部を通過するときには、この段部通過
によって車体が上下動しないときには、車体上下速度X
2FL′〜X2RR ′が零を維持するので、最小減衰係数C
aMIN及びCnMIN状態を維持するため、車輪が段部に乗り
上げたときの突き上げ力を吸収することができるが、比
較的大きな段部に乗り上げて、その突き上げ力を吸収し
きれないときには、車体も上方に変位されることにな
り、このため車体上下速度X2FL ′〜X2RR ′が正方向
に増加することになる。このように、車体上下速度X
2FL ′〜X2RR ′が正方向に増加すると、ステップS1
7からステップS18に移行して、図8のステップ角θ
A 〜θB1の領域で減衰係数Cに応じた目標ステップ角θ
T が算出されるので、減衰力可変ショックアブソーバ3
FL〜3RRの弁体31が図5に示すように切換制御され
る。この結果、段部乗り上げによって相対速度XDFL
〜XDRR′が負即ち車体側の変位速度X2i′に対して車
輪側の変位速度X1i′が速くてピストン8が圧側に移動
するときには、圧側の最小減衰係数CaMINを維持してい
るので、車輪側への振動入力を吸収することができ、こ
の状態から段部を乗り越えることにより車輪側の上昇速
度が車体側の上昇速度より小さくなると相対速度
DFL ′〜XDRR ′が正となってピストン8が伸側に移
動することになる。このときには、減衰係数Cが大きな
値となるので、車体の上昇を抑制する制振効果を発揮
し、その後車体の上昇が停止すると、車体上下速度X
2FL ′〜X2RR ′が零となることにより、前述したよう
にステップモータ41FL〜41RRが反時計方向に回動さ
れて位置Bに復帰され、これによって圧側及び伸側が共
に最小減衰係数C aMIN及びCnMINに制御され、次いで車
体が下降を開始すると、これに応じて車体上下速度X
2FL ′〜X2RR ′が負方向に増加することにより、ステ
ップS17からステップS21に移行して、図8の制御
マップを参照してステップ角θB2〜θ C の範囲で減衰係
数Cに応じた目標ステップ角θT を算出することによ
り、弁体31がさらに反時計方向に回動されて、図7に
示す回動位置に回動される。このため、車体が下降し、
且つ相対速度XDFL ′〜XDRR ′が負となってピストン
8が圧側に移動する状態では、減衰力が大きくなること
により、大きな制振効果が発揮される。
【0047】逆に車輪が前下がりの段差を通過するとき
には、先ず車輪がリバウンドすることにより、相対速度
DFL ′〜XDRR ′が正方向に増加するが、このときに
は車体は上下動しないので、車体上下速度X2FL ′〜X
2RR ′は零であるので、減衰力可変ショックアブソーバ
3FL〜3RRの減衰係数は最小減衰係数CaMIN及びCnM IN
を維持し、車輪の下降を許容し、その後、車体が下降を
開始すると、車体上下速度X2FL ′〜X2RR ′が負方向
に増加すると、減衰係数Cが大きな値となって、ステッ
プ角θB2〜θC の範囲の目標ステップ角θT が算出され
ることになり、弁体31が図7に示す位置に回動される
ため、ピストン8の圧側の移動に対しては大きな減衰力
を与えて大きな制振効果を発揮することができ、その後
車体上下速度X2FL ′〜X2RR ′が小さくなって減衰係
数Cが小さくなるに応じて、弁体31が時計方向に回動
されて位置B側に戻り、車体上下速度X2FL ′〜
2RR ′が零となると、弁体31が位置Bとなって、最
小減衰係数CaMIN及びCnMINとなる。その後、車体が揺
り戻しによって上昇を開始すると、車体上下速度
2FL ′〜X2RR ′が正方向に増加すると共に、相対速
度XDFL ′〜XDRR ′が正方向となることにより、減衰
係数Cの増加に伴ってステップ角θA 側となる目標ステ
ップ角θT が算出されて、弁体31が時計方向に回動さ
れて図5に示す位置となることにより、ピストン8の伸
側の移動に対しては大きな減衰力を与えて制振効果を発
揮することができる。
【0048】このように、良路を走行している状態で一
過性の段差を通過する場合には、スカイフック制御によ
って良好な制振効果を発揮することができ、悪路を走行
する場合にも、車体上下速度X2FL ′〜X2RR ′の正
(又は負)によってステップ角θA 側(又はステップ角
θC 側)の目標ステップ角θT が算出されることによ
り、車体が上昇して相対速度XDFL ′〜XDRR ′が負及
び車体が下降して相対速度XDFL ′〜XDRR ′が正とな
る加振方向であるときに減衰係数Cを最小減衰係数C
aMIN及びCnMINに制御し、逆に車体が上昇して相対速度
DFL ′〜XDRR ′が正及び車体が下降して相対速度X
DFL ′〜XDRR ′が負となる制振方向であるときに減衰
係数Cを上下速度度X2FL ′〜X2RR ′及び相対速度X
DFL ′〜XDRR′に応じた最適な減衰係数に制御して、
良好な乗心地を確保することができる。
【0049】また、悪路を走行する状態でも、上記段差
通過時と同様に、車体が上昇して相対速度XDFL ′〜X
DRR ′が負及び車体が下降して相対速度XDFL ′〜X
DRR ′が正となる加振方向であるときに減衰係数Cを最
小減衰係数CaMIN及びCnMINに制御し、逆に車体が上昇
して相対速度XDFL ′〜XDRR ′が正及び車体が下降し
て相対速度XDFL ′〜XDRR ′が負となる制振方向であ
るときに減衰係数Cを上下速度度X2FL ′〜X2RR ′及
び相対速度XDFL ′〜XDRR ′に応じた最適な減衰係数
に制御されて、良好な乗心地を確保することができる。
【0050】したがって、車両が直進走行しているとき
には、各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減
衰力の制御幅は、図14で実線図示のように広範囲とな
り、良好なスカイフック制御を行うことができる。ま
た、良路の直進走行状態からステアリングホイール76
を右切り(又は左切り)して右旋回状態に移行すると、
これによって車体に旋回外輪となる左輪側が沈み込み、
旋回内輪側となる右輪側が浮き上がる後輪側からみて左
下がりのロールを生じることになる。このように、右旋
回状態となると、図12の処理が実行されたときに、そ
のときの車速検出値V及び操舵角検出値θS をもとに算
出される目標ヨーレートYO が第1の設定値YOS1 より
小さいとき即ち車両をロールさせる横力が小さいときに
は、ステップS43からステップS44に移行するの
で、引き続き各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3
RRのスカイフック制御状態が継続されて乗心地を重視し
た制御状態が継続され、車体のロールを抑制するように
旋回外輪側の減衰力が高くなり、逆に旋回内輪側が減衰
力が低くなって左右のロール剛性が高くなる。
【0051】ところが、ある程度の急旋回を行うか高速
走行で比較的大きな操舵を行うと、これに応じて車体の
ロールが大きくなり、図12の処理が実行されたとき
に、ステップS42で算出された目標ヨーレートYO
第1の設定値YOSを越えることになり、ステップS43
からステップS45に移行し、目標ヨーレートYO が第
2の設定値YOS2 未満であるときには、ステップS46
に移行して、中減衰力制御フラグFMが“1”にセット
されると共に、操舵制御におけるヨーレートフィードバ
ック制御ゲインkP が標準制御ゲインkPNに設定され
る。
【0052】このため、図10の減衰力制御処理が実行
されたときに、ステップS6からステップS7を経てス
テップS8に移行して、前輪の旋回外輪側となる前左輪
側(又は前右輪側)減衰力可変ショックアブソーバ3FL
(又は3FR)に対する減衰係数CFL(又はCFR)が中減
衰力CM 以上であるか否かを判定し、CFL(又はCFR
≧CM であるときには、その減衰係数がそのまま設定さ
れ、CFL(又はCFR)<CM であるときには、ステップ
S9に移行して前輪の旋回外輪となる前左輪側(又は前
右輪側)の減衰係数CFL(又はCFR)が中減衰係数CM
に規制され、同様に後輪の旋回外輪についても減衰係数
RL(又はCRR)が中減衰係数CM 以上に設定される。
このため、旋回内輪側については引き続きスカイフック
制御が継続されるが、旋回外輪については減衰係数Cが
中減衰係数CM 以上に制限されるため、図14で破線図
示のように、旋回外輪での減衰力が中減衰力より低下す
ることがなくなり、旋回外輪の接地性が向上して、乗心
地が多少悪くなるが、操縦安定性を確保することができ
る。
【0053】一方、図11の操舵制御処理で、ヨーレー
トフィードバック制御ゲインkP が標準制御ゲインkPN
に設定されているので、ステップS37で目標ヨーレー
トY O とヨーレート検出値YD の偏差に基づくフィード
バック制御量が緩操舵時より大きな値となることによ
り、これによっても操縦安定性を向上させることができ
る。
【0054】さらに、急旋回状態となると、これに応じ
て車体のロールがさらに大きくなり、図12の処理が実
行されたときに、ステップS42で算出された目標ヨー
レートYO が第2の設定値YOS2 を越えることになり、
ステップS45からステップS47に移行して、高減衰
力制御フラグFHが“1”にセットされると共に、操舵
制御におけるヨーレートフィードバック制御ゲインkP
が高制御ゲインkPHに設定される。
【0055】このため、図10の減衰力制御処理が実行
されたときに、ステップS6からステップS7を経てス
テップS12に移行して、前輪の旋回外輪側となる前左
輪側(又は前右輪側)減衰力可変ショックアブソーバ3
FL(又は3FR)に対する減衰係数CFL(又はCFR)が高
減衰力CH 以上であるか否かを判定し、CFL(又は
FR)≧CH であるときには、その減衰係数がそのまま
設定され、CFL(又はCFR)<CH であるときには、ス
テップS9に移行して前輪の旋回外輪となる前左輪側
(又は前右輪側)の減衰係数CFL(又はCFR)が高減衰
係数CH に規制され、同様に後輪の旋回外輪についても
減衰係数CRL(又はCRR)が高減衰係数CH 以上に設定
される。このため、旋回内輪側については引き続きスカ
イフック制御が継続されるが、旋回外輪については減衰
係数Cが高減衰係数CH 以上に制限されるため、図14
で一点鎖線図示のように、旋回外輪での減衰力が高減衰
力より低下することがなくなり、旋回外輪の接地性がよ
り向上して、操縦安定性を重視することになる。
【0056】一方、図11の操舵制御処理で、ヨーレー
トフィードバック制御ゲインkP が高制御ゲインkPH
設定されているので、ステップS37で目標ヨーレート
Oとヨーレート検出値YD の偏差に基づくフィードバ
ック制御量が前記比較的急操舵時より大きな値となるこ
とにより、これによって操縦安定性をさらに向上させる
ことができる。
【0057】なお、上記実施例においては、車両の操舵
状態を操舵角検出値θS 及び車速検出値Vに基づいて検
出する場合について説明したが、これに限定されるもの
ではなく、車体に生じる横加速度を横加速度センサで検
出して、その横加速度検出値に基づいて車両の旋回状態
を検出するようにしてもよい。また、上記実施例におい
ては、減衰力を制御する弁体31をロータリ形に構成し
た場合について説明したが、これに限定されるものでは
なく、スプール形に構成して、圧側と伸側とで異なる流
路を形成するようにしてもよく、この場合にはステップ
モータ41FL〜41RRの回転軸41aにピニオンを連結
し、このピニオンに噛合するラックを連結杆42に取り
付けるか又は電磁ソレノイドを適用して弁体31の摺動
位置を制御すればよく、さらには減衰力を連続的に変化
させる場合に代えて減衰力を複数段階に切換可能な減衰
力可変ショックアブソーバを適用することもできる。
【0058】さらに、上記実施例においては、後輪補助
操舵用シリンダ79をクローズドセンサ型のサーボ弁8
5を使用してフィードバック制御する場合について説明
したが、これに限定されるものではなく、オープンセン
タ型サーボ弁を適用し、これに応じて四輪託79のピス
トンロッド79aに中立位置に復帰させる復帰スプリン
グを介装して制御するようにしてもよい。
【0059】さらにまた、上記実施例においては、後輪
操舵制御で前述した(3)式のヨーレートフィードバッ
ク制御を行う場合について説明したが、これに限らず前
後輪の舵角比kと前輪舵角δf とに基づくフィードフォ
ワード制御のみを行うようにしてもよく、この場合には
フィードフォワード項の制御ゲインを旋回状態に応じて
変更すればよい。
【0060】また、上記実施例においては、マイクロコ
ンピュータ56を適用して制御する場合について説明し
たが、これに限定されるものではなく、比較器、上下加
速度センサ51iの出力を積分する積分器、ストローク
センサ52iの出力を微分する微分回路、関数発生器等
の電子回路を組み合わせて構成することもできる。さら
に、上記実施例においては、ストロークセンサとしてポ
テンショメータを適用した場合について説明したが、こ
れに限定されるものではなく、車体と路面との相対距離
を検出する超音波距離センサ、検出コイルを使用してイ
ンピーダンス変化又はインダクタンス変化によって変位
を検出する変位センサ等の任意の相対変位検出手段を適
用し得る。
【0061】さらにまた、上記実施例においては、車体
2の各車輪1FL〜1RR位置に上下加速度センサ51FL〜
51RRを設けた場合について説明したが、何れか1つの
上下加速度センサを省略して、省略した位置の上下加速
度を他の上下加速度センサの値から推定するようにして
もよい。また、上記実施例においては、ステップモータ
41FL〜41RRをオープンループ制御する場合について
説明したが、これに限らずステップモータの回転角をエ
ンコーダ等で検出し、これをフィードバックすることに
よりクローズドループ制御するようにしてもよい。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係るサ
スペンション制御装置によれば、車両の旋回状態を旋回
状態検出手段で検出し、その旋回状態に応じて減衰係数
変更手段で少なくとも旋回外輪側の減衰力可変ショック
アブソーバの減衰係数を変更するようにしているので、
旋回外輪及び旋回内輪の減衰力可変ショックアブソーバ
を個別に旋回状態に応じて減衰力制御することができ、
乗心地と操縦安定性をきめこまかく制御することができ
るという効果が得られる。
【0063】また、請求項2に係るサスペンション制御
装置によれば、旋回外輪について目標ヨーレートが小さ
いときには、減衰係数の制御幅を広くして、乗心地を重
視し、目標ヨーレートが中程度であるときには、減衰係
数の制御幅を高減衰係数側寄りにやや狭くして操縦安定
性重視傾向とし、さらに目標ヨーレートが大きくなると
減衰係数の制御幅を高減衰係数側により狭くしてより操
縦安定性を重視する制御とすることができ、減衰力の制
御幅を変更するようにしているので、限界走行状態でも
余裕を持たせることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図3】減衰力可変ショックアブソーバの一例を示す一
部を断面とした正面図である。
【図4】車体上昇時の最大減衰力状態での減衰力調整機
構を示す拡大断面図である。
【図5】車体上昇時の中間減衰力状態での減衰力調整機
構を示す拡大断面図であり、(a)は伸側、(b)は圧
側の作動油経路を夫々示している。
【図6】車体無変動時の減衰力調整機構を示す拡大断面
図であり、(a)は伸側、(b)は圧側の作動油経路を
夫々示している。
【図7】車体下降時の最大減衰力状態での減衰力調整機
構を示す拡大断面図であり、(a)は伸側、(b)は圧
側の作動油経路を夫々示している。
【図8】減衰力可変ショックアブソーバのステップ角に
対する減衰力特性を示す説明図である。
【図9】コントローラの一例を示すブロック図である。
【図10】コントローラの減衰力制御処理手順の一例を
示すフローチャートである。
【図11】コントローラの操舵制御処理手順の一例を示
すフローチャートである。
【図12】コントローラの制御ゲイン設定処理手順の一
例を示すフローチャートである。
【図13】操舵角検出値、車速検出値及び目標ヨーレー
トの関係を示す目標ヨーレートマップを示す特性線図で
ある。
【図14】ピストン速度と減衰力との関係を示す特性線
図である。
【符号の説明】
1FL〜1RR 車輪 2 車体 3FL〜3RR 減衰力可変ショックアブソーバ 4 コントローラ T1〜T3 伸側流路 C1〜C4 圧側流路 41FL〜41RR ステップモータ 51FL〜51RR 上下加速度センサ 52FL〜52RR ストロークセンサ 53 車速センサ 54S 操舵角センサ 54R 後輪舵角センサ 55 ヨーレートセンサ 56 マイクロコンピュータ 59FL〜59RR モータ駆動回路 76 ステアリングホイール 79 後輪補助操舵用シリンダ 85 サーボ弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60G 17/015

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 減衰力可変ショックアブソーバを有する
    サスペンションと、少なくとも後輪を補助操舵する補助
    操舵装置と、前記減衰力可変ショックアブソーバの減衰
    力を車体の上下動に応じて制御する減衰力制御手段と、
    前記補助操舵装置を操舵角等に応じて制御する操舵制御
    手段とを備えた4輪操舵車両の車両特性制御装置におい
    て、車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、該
    旋回状態検出手段で検出した旋回状態に応じて少なくと
    も旋回外輪の減衰力可変ショックアブソーバの減衰係数
    を変更する減衰係数変更手段とを備えたことを特徴とす
    る4輪操舵車両の車両特性制御装置。
  2. 【請求項2】 前記旋回状態検出手段は、旋回時の目標
    ヨーレートを検出するヨーレートセンサで構成され、前
    記減衰係数変更手段は、目標ヨーレートの大きさに応じ
    て減衰係数の制御幅を変更するように構成されている請
    求項1記載の4輪操舵車両の車両特性制御装置。
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