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JP2928266B2 - ポリエステル樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物及び成形品

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JP2928266B2
JP2928266B2 JP1114769A JP11476989A JP2928266B2 JP 2928266 B2 JP2928266 B2 JP 2928266B2 JP 1114769 A JP1114769 A JP 1114769A JP 11476989 A JP11476989 A JP 11476989A JP 2928266 B2 JP2928266 B2 JP 2928266B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリエステル樹脂組成物及びそれを成形し
てなる成形品に関するものであり、更に詳しくは低温に
おける靭性に優れ、耐熱安定性、高温長期品質(特に変
色)等が改良され、自動車、電気機器等のコネクター、
スイッチ、リレー等に好適な組成物を提供するものであ
る。
〔従来の技術とその課題〕
結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂、例えばポリアルキ
レンテレフタレート樹脂等は機械的性質、電気的性質、
その他物理的・化学的特性に優れ、かつ、加工性が良好
であるがゆえにエンジアリングプラスチックとして自動
車、電気・電子部品等の広汎な用途に使用されている。
しかしながら、用途の拡大、多様化に伴い、樹脂に対し
ては更に高度な性能や特殊性が求められる事が多く、こ
の様な性質の一つとして耐熱安定性、特に高温下又は低
温下での長期的な使用に対する品質の安定性が要求され
る場合が増大しつつある。
例えば、自動車業界では安全上の必要性から、低温に
おいて優れた機械的性質、特に柔軟性、耐衝撃性等の靭
性を有するとともに、それらの物性が高温度下で長期間
の使用においても保持される事が要望される。
かかる要求に応えるため、従来より熱可塑性ポリエス
テル樹脂にポリカーボネートあるいはオレフィン系ポリ
マー、ゴム状ポリマー等の熱可塑性エラストマーを配合
し、更にエポキシ樹脂、ポリカルボジイミド等を併用す
る方法等が提案されている。ところが、かかるエラスト
マー、添加剤等が配合されたポリエステル樹脂は、機械
的性質が或る程度改善されるものの、相溶性不良に起因
する表面剥離現象があり、また、高温長期使用における
変色の問題もありその利用には少なからず制限を受けて
いる。
かかる欠点を改善する目的で、ある種の安定剤、例え
ば特定のフェノール系化合物、アミン系化合物、(亜)
リン酸エステル系化合物等を添加する方法が提案されて
いる。
これらの方法で変色性は幾分かは改善されるものの、
例えば自動車、電気機器等のコネクターに要望されるが
如き柔軟性、耐衝撃性等応の靭性(特に低温におけ
る)、耐熱安定性、高温長期品質(特に変色)等を総合
した要求性能に対して応えるには未だ十分ではなく、そ
の解決が切望されていた。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、かかる要求に鑑み、コネクター等の部
品に基本的に要求される機械的性質、特に靭性、成形加
工性等を損なうことなく、耐熱安定性、特に高温下での
長期的な使用に対する変色の改善されたポリエステル樹
脂組成物を得るため鋭意検討を重ねた結果、特定の化合
物の添加が有効であることを見出し本発明に到達した。
即ち本発明は、 (A)結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂60〜99重量部と (B)ポリエステルエラストマー1〜40重量部との合計
100重量部に対し (C)ビスオキサゾリン化合物0.01〜5重量部 (D)下記一般式(1)で示されるリン化合物0.01〜5
重量部及び (但し、式中R1,R2はアルキル基、置換アルキル基、ア
リール基、置換アリール基及びアルコキシ基から選ばれ
る基であり、各々同一であっても異なっても良い。) (E)テトラキス〔メチレン−3−(ドデシルチオ)プ
ロピオネート〕メタン0.01〜5重量部 を配合してなるポリエステル樹脂組成物及びそれを成形
してなるコネクター、スイッチ又はリレー等の成形品に
関するものである。
以下、順次本発明の組成物の構成成分について詳しく
説明する。
先ず本発明に用いられる結晶性熱可塑性ポリエステル
樹脂(A)とは、ジカルボン酸化合物と低分子量ジヒド
ロキシ化合物の重縮合、オキシカルボン酸化合物の重縮
合或いはこれら3成分混合物の重縮合等によって得られ
る結晶性のポリエステルであり、ホモポリエステル、コ
ポリエステルの何れに対しても本発明の効果がある。
ここで用いられるジカルボン酸化合物の例を示せば、
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカ
ルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキ
サンジカルボン酸の如き公知のジカルボン酸及びこれら
のアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体等である。
また、これらのジカルボン酸化合物は、エステル形成可
能な誘導体、例えばジメチルエステルの如き低級アルコ
ールエステルの形で重合に使用することも可能である。
これは2種以上が使用されることもある。
次に本発明の結晶性ポリエステル(A)を構成するジ
ヒドロキシ化合物の例を示せば、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチル
グリコール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキ
シフェニル、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェ
ニルエーテル、シクロヘキサンジオール、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ジエトキシ化ビ
スフェノールAの如きジヒドロキシ化合物及びこれらの
アルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体等であり、1
種又は2種以上を混合使用することができる。
また、オキシカルボン酸の例を示せば、オキシ安息香
酸、オキシナフトエ酸、ジフェニレンオキシカルボン酸
等のオキシカルボン酸及びこれらのアルキル、アルコキ
シ又はハロゲン置換体が挙げられる。また、これら化合
物のエステル形成可能な誘導体も使用できる。本発明に
おいては、これら化合物の1種又は2種以上が用いられ
る。
また、これらの他に三官能性モノマー、即ちトリメリ
ット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリス
リトール、トリメチロールプロパン等を少量併用した分
岐又は架橋構造を少量有するポリエステルであってもよ
い。
本発明では、上記の如き化合物をモノマー成分とし
て、重縮合により生成する結晶性熱可塑性ポリエステル
は何れも本発明の(A)成分として使用することがで
き、単独で、又2種以上混合して使用されるが、好まし
くはポリアルキレンテレフタレート、更に好ましくはポ
リブチレンテレフタレートを主体とする重合体が使用さ
れる。
次に本発明の組成物で用いられるポリエステルエラス
トマー(B)とは、ポリエステルハードセグメントと数
平均分子量約200〜6000のポリエーテルソフトセグメン
トからなる共重合体であり、ハードセグメントとソフト
セグメントの比率は15〜90重量%対85〜10重量%のもの
である。ポリエステルハードセグメントを形成するジカ
ルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、
フタル酸、2,6−および1,5−ナフタレンジカルボン酸、
ビス(p−カルボキシフェニル)メタンなどの芳香族ジ
カルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シク
ロペンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸およ
びアジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸な
どが挙げられるが、機械的性質や耐熱性の点で少なくと
も50モル%以上が芳香族ジカルボン酸の使用が好まし
く、特にテレフタル酸、イソフタル酸の使用が推奨され
る。
またハードセグメントを構成するジオール成分として
は炭素数2〜12の脂肪族もしくは脂環族ジオールすなわ
ちエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−
ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチル
グリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オールやビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p
−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシ
フェニル)プロパンなどのビスフェノールおよびそれら
の混合物を用いうるが、特に炭素数2〜8の脂肪族もし
くは脂環族ジオールが好ましく用いられる。
またポリエーテルソフトセグメントを構成するポリ
(アルキレンオキシド)グリコールとはポリ(エチレン
オキシド)グリコール、ポリ(1,3−および1,2−プロピ
レンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキ
シド)グリコール、ポリエチレンオキシドグリコール−
ポリプロピレンオキシドグリコールブロック共重合体、
ポリエチレンオキシドグリコール−ポリ(テトラメチレ
ンオキシド)グリコールブロック共重合体などであり、
特にポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールが好ま
しく、もちろんこれらの併用も可能である。これらのポ
リエーテルグリコールの平均分子量は約200〜6000の範
囲である。
かかるポリエステルエラストマー(B)は任意の方法
で製造することが出来、又、ある種のものは市場で入手
することが可能である。
本発明において結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂
(A)とポリエステルエラストマー(B)との配合割合
は(A)成分60〜99重量部、(B)成分1〜40重量部、
好ましくは(A)成分70〜97重量部、(B)成分3〜30
重量部である。
ここで(B)成分であるポリエステルエラストマーが
40重量部を越えると樹脂組成物の剛性が低下し、1重量
部未満では耐衝撃性の改善が不十分である。
次に本発明で使用するビスオキサゾリン化合物(C)
は下記一般式(2)で示されるものである。
(Rは2価の有機基を示し、式中、水素原子はアルキル
基又はアリール基で置換されていてもよい。) 一般式(2)で表されるビスオキサゾリン化合物
(C)の具体例としては、2,2′−メチレンビス(2−
オキサゾリン)、2,2′−エチレンビス(2−オキサゾ
リン)、2,2′−エチレンビス(4−メチル−2−オキ
サゾリン)、2,2′−プロピレンビス(2−オキサゾリ
ン)、2,2′−テトラメチレンビス(2−オキサゾリ
ン)、2,2′−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリ
ン)、2,2′−オクタメチレンビス(2−オキサゾリ
ン)、2,2′−p−フェニレンビス(2−オキサゾリ
ン)、2,2′−p−フェニレンビス(4−メチル−2−
オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4,4−ジ
メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン
ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2′−m
−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−m−
フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,
2′−m−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサ
ゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4−フェニル
−2−オキサゾリン)、2,2′−o−フェニレンビス
(2−オキサゾリン)、2,2′−フェニルビス(4−メ
チル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(2−オキサ
ゾリン)、2,2′−ビス(4−メチル−2−オキサゾリ
ン)、2,2′−ビス(4−エチル−2−オキサゾリ
ン)、2,2′−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリ
ン)等を挙げることができる。このようなビスオキサゾ
リン化合物は、単独で使用しても、2種以上併用しても
よい。
これらのビスオキサゾリン化合物(C)の内、好まし
いものは、Rが芳香環基であるもの、更に好ましくはフ
ェニレン基であるものである。特に好ましくは2,2′−
m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)及び2,2′−
p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)である。
ビスオキサゾリン化合物(C)の添加量は(A),
(B)成分の合計100重量部に対して0.01〜5重量部で
あり、好ましくは0.03〜3重量部である。この量が少な
すぎると効果が発現せず、また多すぎると粘度が極度に
上昇したり、長期使用において変色等の弊害を生じる。
一般にポリエステル樹脂に対し、上記の如くビスオキ
サゾリン化合物(C)を配合することによりポリエステ
ルの高温時の分解を抑え柔軟性、耐衝撃性等の靭性を長
期間保持する為に効果的な手段であることは既に知られ
ているが、かかる組成物は前述した如く、特に(C)成
分の配合により高温での長期使用において著しい変色を
生じる問題がある。
そこで、本発明組成物は上記(A)、(B)、(C)
成分に、更に特定のリン化合物(D)と、テトラキス
〔メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート〕メ
タン(E)を併用配合することを特徴とするものであ
り、かかる(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)
を配合することにより、低温における靭性、長期物性等
を低下させることなく、又長期高温下での使用に対し初
期の物性を維持し且つ変色性改善に極めて有効であるこ
とを見出したのである。
かかる目的で配合される特定のリン化合物(D)と
は、下記一般式(1) で示されるものであり、式中R1,R2はアルキル基、置換
アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ
基より選ばれ、それぞれ同一であっても異なっていても
良い。中でもR1,R2は炭素数6以上のアルキル基、置換
アルキル基、アルコキシ基か、或いはアリール基又は置
換アリール基が加工中の安定性の見地から好ましい。特
に好ましいのはR1,R2がアリール基又は置換アリール基
の場合である。これらの例を示せば、フェニル基、ナフ
チル基、ジフェニル基等或いはこれらのアルキル、ヒド
ロキシ及び/又はアルコキシ置換体等である。具体的な
化合物の一例を示せば、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、4−フェノキシ−9−α−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−p−クメニルオキシ−3,5,8,10−テトラオキサ−
4,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられ
る。
本発明においては、これら特定のリン化合物の一種又
は二種以上を使用することが可能であり、結晶性熱可塑
性ポリエステル樹脂(A)及びポリエステルエラストマ
ー(B)の合計100重量部に対して0.01〜5重量部が含
有せしめられるよう配合される。0.01重量部より少ない
量では、たとえ、以下に述べる特定の酸化防止剤(E)
と併用しても変色性の改善効果が小さく、5重量部より
多い量では不経済であるのみならず、耐熱安定性等の改
良効果は飽和に達し、逆に成形性、強度等の低下が無視
出来なくなるため好ましくない。耐熱安定性等の改良効
果、諸物性、経済性の面から、好ましくは0.03〜3重量
部、更に好ましくは0.05〜1.0重量部が用いられる。
本発明では、上記の如き特定のリン化合物(D)は単
独で結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリエステルエ
ラストマー及びビスオキサゾリン化合物からなる樹脂組
成物に配合しても本発明の目的とする効果は充分でな
く、テトラキス〔メチレン−3−(ドデシルチオ)プロ
ピオネート〕メタン(E)を併用配合することにより相
乗効果が発現し、本発明の目的である高温での長期使用
における変色が改善される。
(E)成分として、酸化防止剤として公知の他のチオ
エーテル系化合物やヒンダードフェノール系化合物で
は、本発明が目的とする高度の変色改善効果を得ること
はできない。
又、これらのテトラキス〔メチレン−3−(デシルチ
オ)プロピオネート〕メタン(E)の添加量は、結晶性
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)及びポリエステルエラ
ストマー(B)の合計100重量部に対して0.01〜5重量
部、好ましくは0.01〜3重量部、更に好ましくは0.03〜
1.0重量部であり、0.01重量部より少ないと、変色性の
改善効果が不十分であり、また5重量部より多くなると
機械的性質に悪影響を与えるため好ましくない。
本発明の樹脂組成物は、その目的を阻害しない範囲で
他の熱可塑性樹脂を補助的に少量併用することも可能で
ある。ここで用いられる他の熱可塑性樹脂としては高温
において安定な熱可塑性樹脂であればいずれのものでも
よい。
例えば、ポリアミド、ABS、ポリフェニレンオキサイ
ド、ポリアルキルアクリレート、ポリアセタール、ポリ
スルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルケトン、フッ素樹脂などを挙げること
ができる。また、これらの熱可塑性樹脂は2種以上混合
して使用することもできる。
本発明組成物には更にその目的に応じ所望の特性を付
与するため、一般に熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等に
添加される公知の物質、すなわち紫外線吸収剤、帯電防
止剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、離型剤、染料や顔料等
の着色剤、潤滑剤、可塑剤及び結晶化促進剤、結晶核
剤、無機充填剤を配合することも勿論可能である。
特に電気機器、自動車等においては使用環境により難
燃性を要求される場合が数多くあり、難燃剤、難燃助剤
の配合が必須となることが多い。
難燃剤としては臭素化ポリカーボネート、臭素化エポ
キシ化合物、臭素化ジフェニル、臭素化ジフェニルエー
テル等公知のハロゲン含有化合物系難燃剤が使用でき
る。
また、難燃助剤としては、三酸化アンチモン、ハロゲ
ン化アンチモン等のアンチモン化合物の他、亜鉛、ビス
マスを含む金属化合物、水酸化マグネシウム或いはアス
ベストの如き粘土質珪酸塩等が使用出来る。
また、無機充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、
セラミック繊維、ボロン繊維、チタン酸カリウム繊維、
アスベスト等の一般無機繊維、炭酸カルシウム、高分散
性珪酸塩、アルミナ、水酸化アルミニウム、タルク、ク
レー、マイカ、ガラスフレーク、ガラス粉、ガラスビー
ズ、石英粉、珪砂、ウォラストナイト、カーボンブラッ
ク、硫酸バリウム、焼石膏、炭化珪素、アルミナ、ボロ
ンナイトライトや窒化珪素等の粉粒状物質、板状の無機
化合物、ウィスカー等が含まれる。
これらの無機充填剤は、必要に応じ1種又は2種以上
を併用混合使用できる。
本発明の組成物の調製は、前述の如く従来の樹脂組成
物調製法として一般に用いられる公知の設備と方法によ
り容易に調製される。例えば、i)各成分を混合した
後、押出機により練込押出してペレットを調製し、しか
る後成形する方法、ii)一旦組成の異なるペレットを調
製し、そのペレットを所定量混合して成形に供し成形後
に目的組成の成形品を得る方法、iii)成形機に各成分
の1又は2以上を直接仕込む方法等、何れも使用でき
る。また、樹脂成分の一部を細かい粉体としてこれ以外
の成分と混合し添加することは、これらの成分の均一配
合を行う上で好ましい方法である。
また、本発明の必須成分である特定のリン化合物及び
場合によりテトラキス〔メチレン−3−(ドデシルチ
オ)プロピオネート〕メタンは、その全部又は一部を熱
可塑性ポリエステル樹脂の製造工程、加工工程中の任意
の時期に加えることが可能である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、柔軟性、耐衝撃
性などの靭性(特に低温における)、耐熱安定性等が要
求される種々の成形品に加工されるが、自動車、電気機
器等の部品、特に厳しい環境のもとで使用されるコネク
ター、スイッチ、リレー等に用いた場合、接合端子の脱
着による繰り返し応力に耐えその価値は極めて大きい。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、以下の例に示した特性評価の測定法は次の通りで
ある。
色相変化 色相測定用試験片を150℃の恒温槽に保存し、200時間
後の色相を、日本電色工業(株)製測色色差計で測定
し、そのL、a、b値より次のように表した。
引張伸度 ASTM試験片(タイプIV型:厚み1mm)を用い、ASTM D
638に準拠して、初期及び150℃で200時間加熱後の伸度
を測定した。
測定温度:23℃,0℃ 実施例1〜5及び比較例1〜17 (A)成分として固有粘度0.8のポリブチレンテレフ
タレート(95重量部)、(B)成分としてポリエーテル
エステルブロック共重合体(5重量部)、及び(C)成
分のビスオキサゾリン化合物として1,3−フェニレンビ
ス(2−オキサゾリン)(m PBO)、更に表1に示すリ
ン化合物(D)と酸化防止剤(E)を添加混合し押出機
にてペレット状の組成物を得た。次いで、このペレット
を用い、射出成形により試験片を作成し、特性を評価し
た。結果を表1に示す。
又、比較の為(C)成分を省略したもの、又は
(D),(E)成分のいずれか一方又は両成分を省略し
たもの、更には(D)成分として本願の要件に属さない
リン化合物(D′)を用いたもの、(E)成分として本
願の要件に属さない酸化防止剤(E′)を用いたものに
ついて、実施例と同様に試験し評価した。結果を併せて
表1に示す。
実施例6〜10及び比較例18〜28 実施例1に用いた、ポリブチレンテレフタレート
(A)に、表2に示すポリエステルエラストマー
(B)、ビスオキサゾリン化合物(C)、リン化合物
(D)、酸化防止剤(E)を表2に示す割合で添加混合
し、実施例1と同様にして特性の評価を行った。結果を
表2に示す。
一方比較例として、(D),(E)成分のいずれか一
方を省略したもの、又は本願の要件に属さないリン化合
物(D′)を用いたもの、(E)成分として本願の要件
に属さない酸化防止剤(E′)を用いたものについて、
実施例と同様に評価した。結果を併せて表2に示す。
〔発明の効果〕 以上の説明及び実施例により明らかな如く、本発明の
樹脂組成物は、従来の衝撃改良剤等が含有されたポリエ
ステル樹脂組成物に比べて、機械的性質、成形加工性を
損なうことなく、耐熱安定性、高温長期品質、特に変色
性が顕著に改善され、しかも低温における靭性に優れた
樹脂組成物を提供するものである。
この樹脂組成物は前述のごとく熱履歴による靭性の低
下および色相変化が少なく、外観に優れる為、自動車、
電気機器等で高温の環境下で使用される機械材料、部
品、例えばコネクター、スイッチ、リレー等に好適に用
いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−103654(JP,A) 特開 昭63−264661(JP,A) 特開 昭57−192456(JP,A) 特開 昭57−137348(JP,A) 特開 昭54−124056(JP,A) 特開 昭62−141066(JP,A) 特開 昭52−121062(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂60
    〜99重量部と (B)ポリエステルエラストマー1〜40重量部との合計
    100重量部に対し (C)ビスオキサゾリン化合物0.01〜5重量部 (D)下記一般式(1)で示されるリン化合物0.01〜5
    重量部及び (但し、式中R1,R2はアルキル基、置換アルキル基、ア
    リール基、置換アリール基及びアルコキシ基から選ばれ
    る基であり、各々同一であっても異なっても良い。) (E)テトラキス〔メチレン−3−(ドデシルチオ)プ
    ロピオネート〕メタン0.01〜5重量部 を配合してなるポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂(A)が
    ポリブチレンテレフタレートを主体とする樹脂である請
    求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】ビスオキサゾリン化合物(C)がm−フェ
    ニレンビスオキサゾリン又はp−フェニレンビスオキサ
    ゾリンである請求項1又は2記載のポリエステル樹脂組
    成物。
  4. 【請求項4】請求項1〜3の何れか1項記載のポリエス
    テル樹脂組成物を成形してなるコネクター、スイッチ又
    はリレー用成形品。
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