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JP2914075B2 - (メタ)アクリル酸エステルの製造法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステルの製造法

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Publication number
JP2914075B2
JP2914075B2 JP5055628A JP5562893A JP2914075B2 JP 2914075 B2 JP2914075 B2 JP 2914075B2 JP 5055628 A JP5055628 A JP 5055628A JP 5562893 A JP5562893 A JP 5562893A JP 2914075 B2 JP2914075 B2 JP 2914075B2
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JP
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meth
alcohol
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acrylic acid
compound
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勝治 高橋
雄一郎 谷
承澤 李
竜志 奥田
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、(メタ)アクリル酸エ
ステルの製法に関するものであり、更に詳しくは、エス
テル化触媒と重合防止剤の両者を個別に多量に加えるこ
となく唯1種の化合物を使用するのみでエステル化が可
能で、且つ反応後当該化合物を除去するのみで容易に精
製が可能である(メタ)アクリル酸エステルの製法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】(メタ)アクリル酸エステルは、単独ま
たは他の重合性モノマー、オリゴマー、ポリマー、染
料、顔料、無機充填剤、増減剤等と混合し、過酸化物、
過硫酸塩またはアゾビス化合物等のラジカル開始剤の存
在下で、これら開始剤の熱分解や紫外線・放射線照射等
による分解によって生ずるラジカルによって容易に重合
し、機械的特性、耐熱性、耐候性、耐酸化性等に優れた
ポリマーを生成する。
【0003】また、炭素−炭素二重結合を有する種々の
化合物と容易に共重合するので、用途に応じてポリマー
の物性を調節することが可能であり塗料、インキ、コー
ティング剤、接着剤、粘着剤、樹脂、ゴム、光学材料等
の原料として広範な分野に利用されている。
【0004】従来からの(メタ)アクリル酸とアルコー
ルとを脱水エステル化反応、または(メタ)アクリル酸
エステルとアルコールとをエステル交換反応させて、対
応する(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法とし
ては以下の方法が一般的である。
【0005】即ち、(メタ)アクリル酸とアルコールと
を、または低級脂肪族アルコ−ルの(メタ)アクリル酸
エステルとアルコールとをエステル化触媒及び重合防止
剤の存在下に加熱して反応させ、生じる水または低級ア
ルコールを溶媒によって反応系外に共沸留去しながら反
応させ、目的とする(メタ)アクリル酸エステルが蒸留
可能な低沸点化合物ならば反応終了後蒸留によって精製
を行い、不可能な高沸点化合物ならば同終了後にエステ
ル化触媒と重合防止剤をアルカリまたは酸溶液による洗
浄により除去した後、濃縮を行い目的とするエステルを
得る方法である。
【0006】上記エステル化触媒としては、一般的に硫
酸、燐酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p
−トルエンスルホン酸、強酸性陽イオン交換樹脂等の酸
触媒が使用されてきた。
【0007】重合防止剤としては、ハイドロキノン、t
ert−ブチルハイドロキノン、メトキノン、2,4−
ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、カテコー
ル、tert−ブチルカテコール等のフェノール系化合
物、フェノチアジン、p−フェニレンジアミン、ジフェ
ニルアミン等のアミン類、ジメチルジチオカルバミン酸
銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカ
ルバミン酸銅等の銅錯体等の化合物の中の1種またはこ
れらの混合物が使用されてきた。更に必要に応じて、こ
れらと共に銅、マンガン、鉄等の遷移金属の粉末、酸化
物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩等の化合物の中の
1種またはこれらの混合物が併用されてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の化合物を用いる何れの方法においても、エステル化触
媒または重合禁止剤のみの使用でエステル化反応を行う
ことは不可能で、両者を組み合わせて使用する必要があ
った。このため従来の反応では、反応前の原料仕込時に
エステル化触媒と重合防止剤とを個別に反応系に投入す
るという煩雑な工程を必要とし、またその添加量も各々
充分なエステル化反応促進効果と重合防止効果を得るた
めに、合計として多量にならざるを得ないといった課題
があった。
【0009】更に重大な課題として、目的とする(メ
タ)アクリル酸エステルが高沸点化合物の場合には、反
応終了後、系中に残存するエステル化触媒と重合防止剤
を過剰のアルカリまたは酸による中和洗浄によって除去
せねばならないが、一般に重合防止剤はエステル化触媒
や反応後に残留する(メタ)アクリル酸よりも中和除去
されにくいため、結果的にこの方法ではエステル化触媒
と残留酸を全て中和し、更に重合防止剤をも中和するに
充分な量の多量のアルカリまたは酸溶液を必要とし、膨
大な排水が生じる上に、残留(メタ)アクリル酸の回収
が全く不可能になるという課題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の(メタ)アクリル酸エステルの製造法に関する課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(メタ)アクリル酸
とアルコールとを脱水エステル化反応、または(メタ)
アクリル酸エステルとアルコールとをエステル交換反応
させる反応において、複素環式化合物以外の芳香族スル
ホン酸であって、低級アルキル基及びニトロソ基からな
る群から選ばれる置換基と、該置換基に隣接したフェノ
ール性水酸基とを有する芳香族スルホン酸を使用するこ
とにより、これらの課題を解決し得ることを見い出し、
本発明を完成させるに至った。
【0011】即ち、本発明は、複素環式化合物以外の芳
香族スルホン酸であって、低級アルキル基及びニトロソ
基からなる群から選ばれる置換基と、該置換基に隣接し
たフェノール性水酸基とを有する芳香族スルホン酸
(A)(以下、化合物(A)という。)の存在下に、
(メタ)アクリル酸(B1 )とアルコール(C)とを脱
水エステル化反応、または(メタ)アクリル酸エステル
(B2 )とアルコール(C)とをエステル交換反応させ
ることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造
法に関するものである。
【0012】本発明の最大の特徴は、化合物(A)のみ
を使用するだけで(メタ)アクリル酸(B1 )の脱水エ
ステル化や(メタ)アクリル酸エステル(B2 )のエス
テル交換が可能となるため、従来技術のようにエステル
化触媒と重合防止剤とを別個に添加する必要もなく、且
つその添加量も別個に添加した場合より少量の添加、即
ち従来のエステル化触媒と同等量の添加のみで目的とす
る(メタ)アクリル酸エステルが得られること、更に反
応後の精製においても、例えば当該化合物(A)のみを
中和除去するのみで精製が可能となり、従来のように多
量のアルカリまたは酸溶液によって残留(メタ)アクリ
ル酸を含めて触媒、重合防止剤の両者をすべて中和除去
するという大規模な工程を著しく小規模化することがで
きる上に、残留(メタ)アクリル酸の回収も可能となる
ことにある。
【0013】本発明で用いる化合物(A)のうち、低級
アルキル基と、低級アルキル基に隣接したフェノール性
水酸基とを有する芳香族スルホン酸としては、例えば、
2−メチル−1−フェノール−4−スルホン酸、2−メ
チル−1−フェノール−6−スルホン酸、2−tert
−ブチル−1−フェノール−6−スルホン酸、2,6−
ジメチル−1−フェノール−4−スルホン酸、2,6−
ジ−tert−ブチル−1−フェノール−6−スルホン
酸、2,3−ジメチル−1−フェノール−4−スルホン
酸、2,3−ジメチル−1−フェノール−6−スルホン
酸、2,4−ジメチル−1−フェノール−6−スルホン
酸、2,5−ジメチル−1−フェノール−4−スルホン
酸、2,5−ジメチル−1−フェノール−6−スルホン
酸、などが挙げられる。
【0014】本発明で用いる化合物(A)のうち、ニト
ロソ基と、ニトロソ基に隣接したフェノール性水酸基と
を有する芳香族スルホン酸としては、例えば、2−ニト
ロソ−1−フェノール−4−スルホン酸、2−ニトロソ
−1−フェノール−6−スルホン酸、2−ニトロソ−1
−ナフトール−4−スルホン酸、2−ニトロソ−1−ナ
フトール−5−スルホン酸、2−ニトロソ−1−ナフト
ール−6−スルホン酸、2−ニトロソ−1−ナフトール
−7−スルホン酸、2−ニトロソ−1−ナフトール−8
−スルホン酸、などが挙げられる。
【0015】また、特に必要ではないが、上記化合物
(A)と同様にして除去できるものであれば、アルキル
ベンゼンスルホン酸や鉱酸の様な従来のエステル化触
媒、遷移金属やその塩の様な従来の重合禁止剤等を併用
してもよい。
【0016】本発明における化合物(A)の添加量は、
一般に従来のエステル化触媒とほぼ同量でよく、例えば
(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステル及
びアルコ−ルの総重量100重量部に対して、0.1〜
20重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
【0017】本発明で用いる(メタ)アクリル酸(B
1 )としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられ、
また(メタ)アクリル酸エステル(B2 )としては、例
えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル
酸ブチル等の(メタ)アクリル酸の低級脂肪族アルコー
ルエステルなどが挙げられる。これらの中でアルコール
との脱水エステル化反応ではアクリル酸またはメタクリ
ル酸が、エステル交換反応では生成する低級アルコール
の沸点が低いことからアクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルが好ま
しく用いられる。
【0018】また、アルコール(C)としては、アルコ
ール性水酸基を1個以上含有するものであれば何れの化
合物でも使用可能である。このような化合物として、例
えばブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシル
アルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコー
ル、ノニルアルコール、デシルアルコール、イソデシル
アルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ドデシル
アルコール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコー
ル、ステアリルアルコール等のアルキル型アルコール;
【0019】メトキシエチルアルコール、エトキシエチ
ルアルコール、ブトキシエチルアルコール、メトキシジ
エチレングリコール、エトキシジエチレングリコール、
ブトキシジエチレングリコール、メトキシトリプロピレ
ングリコール、エトキシトリプロピレングリコール、ブ
トキシトリプロピレングリコール、メトキシポリエチレ
ングリコール、メトキシポリプロピレングリコール等の
アルコキシ基含有型アルコール;
【0020】シクロペンチルアルコール、シクロヘキシ
ルアルコール、シクロオクチルアルコール、メチルシク
ロヘキシルアルコール、エチルシクロヘキシルアルコー
ル等の環式アルキル型アルコール;テトラフルフリール
アルコール、メチルテトラフルフリールアルコール等の
テトラフルフリール型アルコール;イソボニルアルコー
ル、メチルイソボニルアルコール等のイソボニル型アル
コール;ジシクロペンテニルアルコール、ジシクロペン
タジエニルアルコール、ジシクロペンテニロキシエチル
アルコール等の脂肪族環状アルコール;
【0021】tert−ブチルアミノエチルアルコー
ル、N、N−ジメチルアミノエチルアルコール、N、N
−ジエチルアミノエチルアルコール等のアミノ基含有ア
ルコール;テトラフロロプロピルアルコール、ヘプタデ
カフロロデシルアルコール等の含フッ素型アルコール、
ベンジルアルコール等のベンジル基含有型アルコール;
【0022】フェノール、メチルフェノール等のフェニ
ル基含有型アルコール;フェノキシエチルアルコール、
フェノキシジエチレングリコール、フェノキシトリエチ
レングリコール、フェノキシヘキサエチレングリコール
等のフェノキシ基含有型アルコール;アルキレンオキサ
イド変性リン酸型アルコール;ε−カプロラクトン変性
ヒドロキシアルコール、ε−カプロラクトン変性テトラ
ヒドロフルフリルアルコール等のヒドロキシル基をε−
カプロラクトンまたはアルキレンオキサイドで変性した
変性型のアルコール等の1価のアルコールや、
【0023】1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ネオペンチルグリコール等の両末端水酸基
含有アルキル型アルコール;エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
グリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール等のアルキレングリコール型アルコール;
ヒドロキシピバリン酸エチレングリコール、ヒドロキシ
ピバリン酸ジエチレングリコール、ヒドロキシピバリン
酸ネオペンチルグリコール等のエステル型両未端水酸基
含有アルコール;
【0024】トリメチロールプロパン、エトキシトリメ
チロールプロパン、プロポキシトリメチロールプロパ
ン、ジトリメチロールプロパン、エトキシジトリメチロ
ールプロパン、プロポキシジトリメチロールプロパン、
ε−カプロラクトン変性トリメチロールプロパン、ε−
カプロラクトン変性ジトリメチロールプロパン等のトリ
メチロールプロパン及びその誘導体のアルコール;
【0025】ペンタエリスリトール、エトキシペンタエ
リスリトール、プロポキシペンタエリスリトール、ジペ
ンタエリスリトール、エトキシジペンタエリスリトー
ル、プロポキシジペンタエリスリトール、ε−カプロラ
クトン変性ペンタエリスリトール、ε−カプロラクトン
変性ジペンタエリスリトール等のペンタエリスリトール
及びその誘導体のアルコール;
【0026】トリヒドロキシイソシアヌレート、トリス
(ヒドロキエチル)イソシアヌレート、トリス(エチレ
ンオキサイド変性)イソシアヌレート、トリス(プロピ
レンオキサイド変性)イソシアヌレート、トリス(ε−
カプロラクトン変性)イソシアヌレート等のイソシアヌ
レート及びその誘導体のアルコール;
【0027】フルフリルアルコール等の複素環誘導体;
エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレン
オキサイド付加ビスフェノールA、エチレンオキサイド
付加水添ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加
水添ビスフェノールA、ε−カプロラクトン変性ビスフ
ェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノール
S、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールS、エチ
レンオキサイド付加水添ビスフェノールS、プロピレン
オキサイド付加水添ビスフェノールS、ε−カプロラク
トン変性ビスフェノールS等のビスフェノール化合物の
変性型アルコール;
【0028】グリセリン、エチレンオキサイド付加グリ
セリン、プロピレンオキサイド付加グリセリン、ε−カ
プトラクトン変性グリセリン等の多価のアルコールが挙
げられるが、使用できるアルコールはこれらに限定され
るものではない。
【0029】本発明における(メタ)アクリル酸(B
1 )または(メタ)アクリル酸エステル(B2 )の使用
量は、アルコール(C)中の水酸基1.0個に対して
(メタ)アクリル酸(B1 )または(メタ)アクリル酸
エステル(B2 )が0.03〜30個と広範に変化させ
ることができる。ただし、反応終了後に除去するアルコ
ールが蒸留により留去できる場合には通常0.03〜
1.0個であり、なかでも反応の進行が速く、副反応や
着色物質の生成等がない点で0.10〜0.95個が好
ましい。また、反応終了後に除去するアルコールが留去
できない場合には、通常1.0〜30個であり、なかで
も反応の進行が速く、副反応や着色物質の生成等がない
点で1.05〜10個が好ましい。
【0030】本発明における脱水エステル化反応または
エステル交換反応は、有機溶媒中あるいは無溶媒にて行
うことができ、溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシ
レン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、ノナン、メチルシクロヘキサン等、水と混合した際
に水と相分離し、且つ水またはエステル交換反応で生成
する低級アルコールと共沸可能なもので、その沸点が6
0〜140℃の範囲にあるものが使用される。これらの
溶媒は単独でも混合したものでも使用可能で、溶媒が原
料であるアルコールと相溶しなかったり、これらを溶解
し得ないものであっても使用できる。その添加量は、前
記(A)成分と(B1 )または(B2 )成分と(C)成
分の合計100重量部に対して通常0〜300重量部の
範囲である。
【0031】本発明における反応温度は通常40〜20
0℃、好ましくは60〜120℃の範囲から選ばれ、ま
た反応時間は通常0.5〜20時間、好ましくは1〜1
5時間程度に設定される。なかでも、目的とする(メ
タ)アクリル酸エステルが高純度で得られる点で反応温
度は60〜80℃、反応時間は3〜12時間が最も好ま
しい。
【0032】本発明における反応は、大気圧下で行うこ
とも、生成する水またはアルコールを容易に反応系外へ
除去するために減圧下で行うことも、あるいは溶媒の沸
点を降下させるために加圧下で行うことも何れの圧力下
で行ってもよい。
【0033】本発明における反応では、(メタ)アクリ
ル酸(B1 )または(メタ)アクリル酸エステル(B
2 )及び生成する(メタ)アクリル酸エステルの重合を
防ぐために、酸素又は酸素と不活性気体の混合物、例え
ば空気や酸素/アルゴン混合気体を全反応時間にわたり
反応液及び/または反応液面上に吹き込み導入を行うと
重合防止効果が更に良好となる。この際、酸素又は酸素
と不活性気体の混合物を、反応液中になるべく微細な気
泡となるように吹き込むとエステル化反応によって生成
する水が速やかに除かれる点で好ましく、また接触界面
近傍の気相中に吹き込むと反応容器表面と反応液と気相
の接触領域での重合を防止する点で好ましい。いずれに
せよ、系中への吹き込みは液中であれ気相であれ反応中
の重合を防止でき、反応を促進させる方向に働くため実
施することが好ましい。
【0034】本発明における化合物(A)の除去は、ア
ルカリによる中和洗浄、吸着、再沈澱、更に必要により
濾過等の各種の精製法により可能であるが、なかでもア
ルカリによる中和洗浄または吸着に、更に必要により濾
過を組み合わせた方法が好ましい。
【0035】アルカリによる中和洗浄では、従来法の様
にエステル化触媒と残留酸、更に重合防止剤の全てを中
和する必要はなく、当該化合物(A)を中和量のアルカ
リ、例えば化合物(A)に対する理論上の中和等量の
1.0〜1.5倍量のアルカリ、好ましくは1.0〜
1.2倍量のアルカリの使用でよい。また、吸着におい
ても同様に当該化合物(A)のみを優先的に吸着し、ま
た完全に除去できる量の吸着剤を使用するだけでよい。
尚、上記化合物(A)と共にその他のエステル化触媒を
併用した場合は、その合計に対する中和量のアルカリを
必要とすることは言うまでもない。
【0036】中和洗浄に使用可能なアルカリとしては、
水溶性のアルカリであれば特に限定されるものではない
が、例えばアルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭
酸塩、アルカリ金属の燐酸塩等が好ましく用いられ、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、燐酸三ナトリウム、燐酸三カリウムが特に
好ましい。
【0037】吸着処理に使用可能な吸着剤としては、重
合防止機能を持つエステル化触媒を効率よく吸着できる
物質ならば何れを使用しても差し支えなく、例えば活性
白土、酸性白土等の白土類、ゼオライト類、ハイドロタ
ルサイト類、シリカゲル、シリカアルミナゲル、シリカ
マグネシアゲル等のシリカゲル類、アルミナ及びその変
性物、活性炭、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の
アルカリ土類金属の酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カ
ルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化マグネ
シウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸
化物、燐酸マグネシウム、燐酸カルシウム等のアルカリ
土類金属の燐酸塩、酸化亜鉛等の第3族金属の酸化物、
イオン交換樹脂、吸着樹脂等が使用可能である。これら
は単独または複数を組み合わせて使用することができ
る。使用方法もバッチ方式、カラム方式の何れでも良
い。
【0038】濾過処理の方法も特に限定されるものでは
なく、一般に使用される重力濾過、加圧濾過、真空濾
過、遠心濾過等の何れでも使用でき、直接濾過あるいは
濾過助材を使用した濾過のどちらでも用いることができ
る。
【0039】本発明における(メタ)アクリル酸エステ
ルの製造法においては、重合防止機能を持つエステル化
触媒の除去を終えた後で、必要に応じて抽出や蒸留等の
方法によって溶液中に残留した(メタ)アクリル酸また
は(メタ)アクリル酸エステルの回収や、吸着、再沈
澱、濾過等の方法で着色成分や反応副生成物等の除去を
合わせて行うこともできる。
【0040】このようにして得られた精製(メタ)アク
リル酸エステルは、重合し易い性質を有するために、直
ちに何等かの重合工程で使用するか、あるいは保存する
場合には重合防止剤を新たに添加することが好ましい。
この場合、重合防止剤の種類としてはハイドロキノン、
メトキノンが主に使用されるが、変性着色が無い点でメ
トキノンが特に好ましい。その添加量は得られた(メ
タ)アクリル酸エステルの種類にもよるが、通常5〜5
000ppm、好ましくは50〜2500ppmであ
る。
【0041】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具
体的に説明するが、本発明の内容は実施例のみに限定さ
れるものではない。また、以下の%は特に断りのない限
り重量基準である。
【0042】尚、実施例及び比較例で行なった精製方法
(1)〜(4)と、化合物(A)またはエステル化触媒
除去率、重合防止剤除去率、ポリマーの有無、(メタ)
アクリル酸回収量、(メタ)アクリル酸エステル収率及
びアルコール反応転化率の求め方を以下に示す。
【0043】 ・精製方法(1):中和洗浄後、濾過する方法 この反応希釈液に化合物(A)の中和等量に相当する1
%水酸化ナトリウム水溶液を加えて20分攪拌後、4時
間静置し、上層の溶液を分離した。次いで、この上層溶
液にメトキノン0.08gを添加し、70℃に加温して
先ず低減圧下で溶媒を、更に高減圧下で残留(メタ)ア
クリル酸を蒸留回収し、けいそう土を濾過助材として各
操作中に混入した塵などを濾過して目的とする(メタ)
アクリル酸エステルを得た。
【0044】 ・精製方法(2):吸着カラムにより連続吸着後、濾過
する方法 この反応希釈液を内径70mmφ、長さ300mmの酸
性白土カラム〔粒状酸性白土A−36:日本活性白土
(株)製〕を流速250ml/hrで通過させ、全溶液
が通過した後、当該カラムを1000mlの希釈溶媒に
て洗浄し、この洗浄液を前に通過させた反応希釈液に加
えた。次いで、この溶液にメトキノン0.08gを添加
し、70℃に加温して先ず低減圧下で溶媒を、更に高減
圧下で残留(メタ)アクリル酸を蒸留回収し、けいそう
土を濾過助材として各操作中に混入した塵などを濾過し
て目的とする(メタ)アクリル酸エステルを得た。
【0045】 ・精製方法(3):吸着剤により回分式吸着処理後、濾
過する方法 この反応希釈液に活性白土10gを加え、けいそう土を
濾過助材として吸引濾過を行った。次いで、この溶液に
メトキノン0.08gを添加し、70℃に加温して先ず
低減圧下で溶媒を、更に高減圧下で残留(メタ)アクリ
ル酸を蒸留回収し、けいそう土を濾過助材として各操作
中に混入した塵などを濾過して目的とする(メタ)アク
リル酸エステルを得た。
【0046】 ・精製方法(4):純水による洗浄後、濾過する方法 この反応希釈液に、この反応液の10重量%に相当する
純水加えて20分間攪拌後、4時間静置し、上層の溶液
を分離した。この洗浄操作を3回反復した。次いで、こ
の上層溶液にメトキノン0.08gを添加し、70℃に
加温して先ず低減圧下溶媒を、更に高減圧下で残留(メ
タ)アクリル酸を蒸留回収し、けいそう土を濾過助材と
して各操作中に混入した塵などを濾過し目的とする(メ
タ)アクリル酸エステルを得た。
【0047】 ・精製方法(5):多量のアルカリによる中和洗浄後、
濾過する従来の方法 この反応希釈液を10%水酸化ナトリウム水溶液550
gで2回、続いて純水550gで2回の洗浄を行った。
次いで、この溶液にメトキノン約0.08gを添加し、
70℃に加温して先ず低減圧下溶媒を、更に高減圧下残
留(メタ)アクリル酸を蒸留回収し、けいそう土を濾過
助材として各操作中に混入した塵などを濾過して目的と
する(メタ)アクリル酸エステルを得た。
【0048】 ・化合物(A)またはエステル化触媒除去率 イオンクロマトグラフィーにて測定した精製前後の反応
液中の化合物(A)またはエステル化触媒の含有量から
算出した。 ・重合防止剤除去率 紫外・可視吸光光度計にて測定した精製前後の反応液中
の重合防止剤の含有量から算出した。
【0049】 ・ポリマーの有無 反応後の反応液に対して4容量倍のメチルアルコールを
加え、白濁生成の有無によりポリマーの有無を判定し
た。 ・(メタ)アクリル酸の回収量 反応終了後の反応液を減圧蒸留して得た(メタ)アクリ
ル酸の重量を求めた。
【0050】 ・(メタ)アクリル酸エステル収率精製後の(メタ)ア
クリル酸エステル量と理論収量から算出した。 ・アルコール反応転化率 ガスクロマトグラフィーにて反応前後のアルコール量を
測定し、算出した。 ・(メタ)アクリル酸エステル純度 GPC測定により精製後の(メタ)アクリル酸エステル
の純度〔単量体や多量体等を含む精製物中の(メタ)ア
クリル酸エステル単量体の含有率〕を求めた。
【0051】 実施例1〜5及び比較例1〜2 還流冷却器、水分離器、空気導入管、温度計、攪拌装置
および滴下ロートを付けた1lガラス製四口フラスコに
表1に示す量の重合防止機能とエステル化触媒機能とを
併せ持つ化合物(A)、アルコール、(メタ)アクリル
酸及び溶媒を仕込んだ。次に、このフラスコ中に空気を
20ml/分で吹き込みながら、湯浴を使用して加熱
し、内溶液を攪拌しながら、溶媒と副生する水が共沸し
始めてから表1〜2に示した反応時間の間、実施例1〜
3及び比較例1〜2では大気圧下で、また実施例4〜5
では表2に示す減圧下で、それぞれ水分離器により水を
共沸除去しながら溶媒のみ還流して表1〜2に示す反応
温度で反応させた。反応終了後、直ちに表1〜2に示す
量の希釈溶媒を加えて室温まで冷却し、この反応希釈液
を表1〜2に示す精製方法を用いて精製した後、化合物
(A)またはエステル化触媒除去率、重合防止剤除去
率、ポリマーの有無、(メタ)アクリル酸回収量、(メ
タ)アクリル酸エステル収率及びアルコール反応転化率
を求めた。結果を表1〜2に示す。なお、比較例1にお
いて重合防止剤を100%除去するには、多量のアルカ
リによる中和洗浄が必要であった。
【0052】
【表1】 上表中、「*」は「回収不能」を表わす。
【0053】
【表2】
【0054】尚、上記表1〜2及び下記表3中の化合物
(A)1〜3 は以下に示す通りである。各表におい
て、「化合物(A)触媒除去率(%)」とは、「化合物(A)
またはエステル化触媒除去率」を表わす。 化合物(A)−1 : 2−メチル−1−フェノール−4−スルホン酸 〃 −2 : 2−ニトロソ−1−フェノール−4−スルホン酸 〃 −3 : 2−ニトロソ−1−ナフトール−4−スルホン酸
【0055】 実施例6〜8及び比較例3 精留塔、温度感知器を備えた電磁弁付き還流冷却器、空
気導入管、温度計、攪拌装置、滴下ロートを付けた1l
ガラス製四口フラスコに表3に示す量の重合防止機能と
エステル化触媒機能とを併せ持つ化合物(A)、アルコ
ール、(メタ)アクリル酸メチルを仕込んだ。次に、こ
のフラスコ中に空気を20ml/分で吹き込みながら湯
浴を使用して内溶液を攪拌加熱した。精留塔塔頂温度を
表3に示す温度に設定し、設定温度以下で(メタ)アク
リル酸メチルと副生するメチルアルコールの共沸溶液を
留出させ、設定温度以上の温度になった場合には全還流
させた。反応は(メタ)アクリル酸メチルとメチルアル
コールが共沸を始めてから表3に示す反応時間の間、上
記の共沸混合物を分離しながら表3に示す反応温度で反
応させた。反応終了後、減圧下に70℃に加温して、残
留(メタ)アクリル酸メチルを蒸留回収した。次に表3
に示す量の希釈溶媒を加えて室温まで冷却し、この反応
希釈液を表3に示す精製方法を用いて精製した後、化合
物(A)またはエステル化触媒除去率、重合防止剤除去
率、ポリマーの有無、(メタ)アクリル酸エステル収率
及びアルコール反応転化率を求めた。結果を表3に示
す。なお、比較例3において重合防止剤を100%除去
するには、多量のアルカリによる中和洗浄が必要であっ
た。
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、重合防止機能
とエステル化触媒機能とを併せ持つ化合物(A)を従来
のエステル化触媒と同等量添加するだけで目的とする
(メタ)アクリル酸エステルを得ることができ、更に当
該化合物(A)のみを除去するのみで精製が可能とな
り、従来のように残留(メタ)アクリル酸を含めてエス
テル化触媒、重合防止剤をすべて除去するという大規模
な工程を著しく小規模化することができる上に、残留
(メタ)アクリル酸の回収も可能となる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−59221(JP,A) 特開 昭60−81203(JP,A) 特開 昭63−23839(JP,A) 特公 昭44−24578(JP,B1) 国際公開90/7487(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 69/54 C07C 67/03 C07C 67/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複素環式化合物以外の芳香族スルホン酸
    であって、低級アルキル基及びニトロソ基からなる群か
    ら選ばれる置換基と、該置換基に隣接したフェノール性
    水酸基とを有する芳香族スルホン酸(A)の存在下に、
    (メタ)アクリル酸(B1 )とアルコール(C)とを脱
    水エステル化反応、または(メタ)アクリル酸エステル
    (B2 )とアルコール(C)とをエステル交換反応させ
    ることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造
    法。
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