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JP2901049B2 - アークイオンプレーティング用Al−Ti合金ターゲット材 - Google Patents

アークイオンプレーティング用Al−Ti合金ターゲット材

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JP2901049B2
JP2901049B2 JP28086094A JP28086094A JP2901049B2 JP 2901049 B2 JP2901049 B2 JP 2901049B2 JP 28086094 A JP28086094 A JP 28086094A JP 28086094 A JP28086094 A JP 28086094A JP 2901049 B2 JP2901049 B2 JP 2901049B2
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Japan
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alloy target
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ion plating
arc ion
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JP28086094A
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正弘 町田
保之 山田
裕介 田中
恭典 和田
一男 吉川
博幸 内田
保行 古賀
泰司 大西
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SHINKO KOBERUKO TSUURU KK
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
SHINKO KOBERUKO TSUURU KK
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アークイオンプレーテ
ィング法によって、切削工具や摺動部品等の表面に、耐
摩耗性や耐酸化性等が優れたAl−Ti合金系薄膜をコ
ーティングする際に蒸発源として使用されるAl−Ti
合金ターゲット材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】切削工具や摺動部品等の表面に、耐摩耗
性や耐酸化性等が優れたAl−Ti合金系薄膜(窒化膜
や炭窒化膜を含む)をコーティングするには、蒸発源と
してAl−Ti合金ターゲット材を使用し、上記アーク
イオンプレーティング法を適用するのが、一般的であ
る。
【0003】そして、切削工具や摺動部品等に上記の様
な機能を効果的に付与するには、上記のAl−Ti合金
ターゲット材には、成膜時に異常放電が発生せず、効率
良く成膜することができるという特性が要求される。し
かしながら、これまで提案されているAl−Ti合金タ
ーゲット材は、上記の要求特性を十分に満足していると
は言い難いのが実情である。また安定した放電が得られ
ないことによって、その寿命も短いものであった。こう
したことから、従来のAl−Ti合金ターゲット材を使
用する際には、成膜時の異常放電の発生を防止するとい
う観点から、銅基盤(バッキングプレート)にボンディ
ングされて使用されることが余儀無くされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした事情
に着目してなされたものであって、その目的は、安定し
た放電特性が得られ、効率良く成膜することができ、且
つ長寿命のアークイオンプレーティング用Al−Ti合
金ターゲット材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明とは、アークイオンプレーティングに用いられるT
i−Al合金ターゲット材であって、相対密度が99.
0〜100%であり、且つ表面から底面まで連続する欠
陥がないものである点に要旨を有するものである。
【0006】上記Al−Ti合金ターゲット材におい
て、Alx Ti1-x (0.3≦x≦0.75)で示され
るものであることが好ましい。また上記Al−Ti合金
ターゲット材において、化学成分的には、不純物として
の酸素、水素および塩素の各含有量が、夫々0.3重量
%以下、0.05重量%以下、0.2重量%以下である
という要件を満足することが好ましい。
【0007】本発明のAl−Ti合金ターゲット材は、
上記の如く相対密度が99.0〜100%(即ち、空孔
率が1.0〜0%)であり、且つ表面から底面まで連続
する欠陥がないことを基本的な構成とするものである
が、その要求特性を更に向上させるという観点からすれ
ば、半径0.3mm以上の空孔が存在しないものである
ことが好ましい。
【0008】一方、本発明のAl−Ti合金ターゲット
材は、熱間静水圧加圧処理によって製造することができ
る。
【0009】
【作用】本発明者らは、上記の目的を達成すべく、様々
な角度から検討した。その結果、相対密度が99%以上
(即ち、空孔率が1%以下)であり、且つ表面から底面
まで連続する欠陥がない様なAl−Ti合金ターゲット
材は、従来のターゲット材よりも、安定した放電特性が
得られ、効率良く成膜することができ、しかもターゲッ
ト材の減耗速度も均一で小さく、長寿命を達成できるこ
とを見い出し、本発明を完成した。
【0010】本発明のAl−Ti合金ターゲット材にお
いては、上記の如く相対密度が99%以上で、表面から
底面まで連続する欠陥がないことが必要である。相対密
度が99%未満になると、ターゲット材の中にミクロポ
ア等の粗な部分が現れ、ここが局部的に急速に減耗する
ので、蒸発成分に偏りが発生し、しかもターゲット材が
短寿命になる。また表面から底面まで連続する欠陥は、
同様に急速な局部的減耗の元になるのみならず、ターゲ
ット材の強度劣化を招き、割れや欠陥の原因となる。
【0011】本発明のAl−Ti合金ターゲット材は、
Alx Ti1-x (0.3≦x≦0.75)で示されるも
のであることが好ましい。即ち、本発明のAl−Ti合
金ターゲット材を使用して、窒化膜や炭窒化膜を形成す
るに際して、上記の組成のターゲット材を使用したとき
に、膜の硬さがTiN膜よりも高くなって耐摩耗性が向
上し、Al−Ti合金ターゲット材を使用する優位性が
明確となる。またこうした観点からして、Al−Ti合
金ターゲット材の組成(即ち、xの範囲)の更に好まし
い範囲は、0.45≦x≦0.65である。
【0012】本発明のAl−Ti合金ターゲット材に
は、酸素、水素、塩素、銅、マグネシウム、鉄、マンガ
ン等の不純物が、製造時の雰囲気から或は原料から不可
避的に含まれてくる。このうち、酸素、水素および塩素
の各含有量は、夫々0.3重量%以下、0.05重量%
以下、0.2重量%以下であることが好ましい。これら
の少なくともいずれかが、上記の値よりも多く含まれる
と、ガスとしてターゲット材から突発的に発生して放電
状態を不安定にし、最悪の場合にはターゲット材そのも
のを損傷させることになる。
【0013】また銅およびマグネシウムの各含有量は、
夫々0.05重量%以下、0.03重量%以下であるこ
とが好ましい。即ち、これらの金属元素は、Tiよりも
蒸気圧が高く気化し易いので、上記の値よりも多く含ま
れると、ターゲット材製造時にターゲット材内部でガス
化して欠陥を形成し、放電特性を悪くする。
【0014】更に、鉄およびマンガンの各含有量は、い
ずれも0.5重量%以下であることが好ましい。鉄やマ
ンガンの含有量が0.5重量%を超えると、いずれかま
たは双方の化合物量が増加してしまい、この化合物はマ
トリックスであるアルミ・チタンと電気伝導性・融点等
が異なるので放電状態を不安定にする。
【0015】上記各不純物をできるだけ低減して、上記
で規定する範囲内とする為の具体的手段としては、例え
ば原料粉の真空溶解や、清浄雰囲気での原料粉の配合・
混合等の手段が挙げられる。
【0016】本発明のAl−Ti合金ターゲット材は、
上記の如く相対密度が99.0〜100%(即ち、空孔
率が1.0〜0%)であり、且つ表面から底面まで連続
する欠陥がないことを基本的な構成とするものである
が、その要求特性を更に向上させるという観点からすれ
ば、半径0.3mm以上の空孔が存在しないものである
ことが好ましい。即ち、半径0.5mm以上の空孔はた
とえ1個でも放電を停止させることが知られているが、
本発明者らが検討したところによると、半径0.3mm
以上の空孔が存在すると、放電が停止するに至らずとも
不安定になることが分かった。
【0017】尚本発明のターゲット材においては、組成
ができるだけ均一であることが好ましく、こうした観点
からして組成上のばらつきも0.5原子%以内にあるこ
とが望ましい。この組成のばらつきは、マトリックスの
均一性と関連し、不均一組成の部分は上記と同様に電気
伝導性や融点等が異なり、放電状態を不安定にする。
【0018】本発明のAl−Ti合金ターゲット材は、
特にアークイオンプレーティング用として最適である。
即ち、高電流密度が用いられるアークイオンプレーティ
ングでは、先に述べた様な不均一部分がターゲットに存
在すると、ターゲット寿命が大きくばらつき、これがコ
ストアップの原因になるが、本発明のAl−Ti合金タ
ーゲット材では、アークイオンプレーティング法に用い
ても長寿命で寿命のばらつきも小さいものとなる。
【0019】ところで本発明のAl−Ti合金ターゲッ
ト材を製造するに当たっては、Al粉末とTi粉末を量
比や粒径等を適切に調整し、例えばV型ミキサーによっ
て均一に混合して混合粉末とし、これに熱間静水圧加圧
処理(HIP処理)を施すことによって製造することが
できる。従来では、粉末冶金法によってターゲット材を
製造するには、上記の様に混合粉末を用い、冷間静水圧
加圧処理(CIP処理)した後ホットプレス処理(HP
処理)するか、或はCIP処理した後HIP処理するの
が一般的であるが、こうした方法では組成が不均一にな
り且つ高密度のターゲット材を得ることはできなかっ
た。しかしながら、HIPによる上記の様な方法を採用
することによって、希望する特性のターゲット材が得ら
れるのである。
【0020】この様な方法としては、例えば同一出願人
によって先に出願した方法が挙げられる(特開平8−1
20445号)。この方法は、100メッシュ以下のT
i粉末と240メッシュ以下のAl粉末を混合したもの
を原料として用い、これを蛇腹カプセルに充填し、温度
が500〜600℃、圧力が700kgf/cm2 以上
の条件でHIP処理するものである。但し、本発明にお
いては、ターゲット材を製造する方法について上記の方
法に限定されるものではなく、例えば超高圧ホットプレ
ス法等の他の方法であっても、本発明で規定する要件を
満足するターゲット材を製造することができる。
【0021】尚Al−Ti合金ターゲット材を製造する
方法としては、混合粉末を用いる上記の粉末冶金法の
他、予め合金化した粉末を原料として用いる粉末冶金法
や溶解法等が知られているが、前者の方法では、組成の
均一性は優れるものの難焼結性であるので高密度ターゲ
ットが得られにくく、後者の方法では、組成が比較的均
一なターゲット材が得られるという利点があるものの、
凝固時に割れや引け巣が発生し易く、いずれも本発明で
規定する要件を満足するターゲット材を得ることはでき
ない。
【0022】
【実施例】次に実施例を示すが、本発明はもとより下記
実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣
旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施すること
も勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範
囲に含まれる。
【0023】実施例1 240メッシュ以下のAl粉と100メッシュ以下のT
i粉を所定量混合し、550℃、800kgf/cm2
の圧力でHIP処理して組成の異なるAl−Ti合金タ
ーゲット材を作成した。得られたターゲット材の放電特
性を調べるため、外径:60mm×厚さ:20mmで、
底面に外径:70mm×厚さ:2mmの固定用つばを、
ターゲット材の削り出しによって或は銅製バッキングプ
レートのろう付によって設けたターゲット材を製作し、
アーク放電方式イオンプレーティング装置の水冷カソー
ドに装着した。このとき装置内に基板としてシリコンウ
エハーを入れ、5×10-7Torrまで真空引きし、4
00℃に加熱した後、下記表1に示す種々のターゲット
をアーク電流:150Aにて蒸発させると共に、反応ガ
スとしてN2 ガスまたはN2 /CH4 混合ガスを導入
し、7×10-3Torrの雰囲気とし、且つ基板に−1
50Vの電位を印加して成膜した。
【0024】尚皮膜の組成を電子プルーブX線マイクロ
アナリシスおよびオージェ電子分光法により求めたとこ
ろ、いずれもターゲット材の組成と±1原子%の範囲内
にあった。各ターゲット材を用いたときの放電状態を、
ターゲット材の組成、相対密度、バッキングプレートの
有無、反応性ガスの種類、成膜速度および皮膜の耐摩耗
性等と共に表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1から明らかな様に、相対密度が99.
0%未満のターゲット材(No.7〜9)を用いた場合
は、放電が不均一であったり使用不可であるのに対し、
本発明で規定する要件を満足するターゲット材(No.
1〜6)を用いた場合は、放電特性が良好で成膜速度も
20Å/sec以上と高いことが分かる。
【0027】実施例2 各種不純物の影響を調査するため、各不純物の量を変え
たターゲット材を実施例1と同様の方法で作成し、得ら
れたターゲット材の放電特性を調べた。このとき反応ガ
スとしてN2 ガスだけを導入する以外は、実施例1と同
様の条件で、アーク放電方式イオンプレーティングを実
施した。各ターゲット材を用いたときの放電状態を、タ
ーゲット材の組成と共に下記表2〜4に示す。尚下記表
2は酸素、水素および塩素の量を、表3は銅とアグネシ
ウムを、表5は鉄とマンガンを、夫々調整したときの結
果を示したものである。またこのとき用いた各ターゲッ
ト材は、いずれも相対密度が99%以上のものである。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】これらの結果から明らかな様に、上記の各
種不純物を適切に低減することは、ターゲット材の放電
特性を良好にする上で極めて有効であることが分かる。
【0032】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、安
定した放電特性が得られ、効率良く成膜することができ
るAl−Ti合金ターゲットが実現できた。またこのタ
ーゲット材は、上記特性によってその寿命も長いものと
なる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 裕介 兵庫県明石市魚住町金ケ崎西大池179番 1 株式会社神戸製鋼所 明石工場内 (72)発明者 和田 恭典 兵庫県明石市魚住町金ケ崎西大池179番 1 株式会社神戸製鋼所 明石工場内 (72)発明者 吉川 一男 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 内田 博幸 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 古賀 保行 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18 号 株式会社神戸製鋼所 神戸本社内 (72)発明者 大西 泰司 兵庫県明石市魚住町金ケ崎西大池179番 1 株式会社神戸製鋼所 明石工場内 (56)参考文献 特開 平4−268074(JP,A) 特開 平4−9466(JP,A) 特開 平1−104769(JP,A) 特公 平4−75301(JP,B2) H.Freller and H.H aessler,”TixAll−xN Films Deposited b y lon Plating with an Arc Evaporato r”,Thin Solid Film s,(1987),153,p.67−74 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 14/00 - 14/58

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アークイオンプレーティングに用いられ
    るAl−Ti合金ターゲット材であって、相対密度が9
    9.0〜100%であり、且つ表面から底面まで連続す
    る欠陥がないものであることを特徴とするアークイオン
    プレーティング用Al−Ti合金ターゲット材。
  2. 【請求項2】 Alx Ti1-x (0.3≦x≦0.7
    5)で示される請求項1に記載のAl−Ti合金ターゲ
    ット材。
  3. 【請求項3】 不純物としての酸素、水素および塩素の
    各含有量が、夫々0.3重量%以下、0.05重量%以
    下、0.2重量%以下である請求項1または2に記載の
    Al−Ti合金ターゲット材。
  4. 【請求項4】 半径0.3mm以上の空孔が存在しない
    ものである請求項1〜3のいずれかに記載のAl−Ti
    合金ターゲット材。
  5. 【請求項5】 熱間静水圧加圧処理によって製造された
    ものである請求項1〜4のいずれかに記載のAl−Ti
    合金ターゲット材。
JP28086094A 1994-11-15 1994-11-15 アークイオンプレーティング用Al−Ti合金ターゲット材 Expired - Lifetime JP2901049B2 (ja)

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