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JP2976534B2 - 窒化珪素焼結体及びその製造方法 - Google Patents

窒化珪素焼結体及びその製造方法

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JP2976534B2
JP2976534B2 JP3012037A JP1203791A JP2976534B2 JP 2976534 B2 JP2976534 B2 JP 2976534B2 JP 3012037 A JP3012037 A JP 3012037A JP 1203791 A JP1203791 A JP 1203791A JP 2976534 B2 JP2976534 B2 JP 2976534B2
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temperature
sintered body
silicon nitride
sintering
pressure
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克敏 野田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化珪素焼結体及びその
製造方法に係り、特に破壊靱性値に優れた窒化珪素焼結
体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素は耐熱性構造材料として最も広
く実用され、また研究開発が進められている材料であ
る。窒化珪素は難焼結性であるので、一般にY2O3, Al2O
3, MgOなどの焼結助剤を添加し、1700〜1800℃で焼結さ
れる。特に、窒化珪素焼結体の靱性を向上させる手法と
しては、炭化珪素ウィスカーを添加する方法が知られて
いる。
【0003】そして、本発明と目的は異なるが、関連す
る技術として、窒化珪素に周期律表第 IIIa族、L1
Ca ,Mg からなる群から選ばれた元素の酸化物を添加
した原料粉末を成形し、この成形体を低圧の窒素雰囲気
中で予備焼結した後高圧の窒素雰囲気中で本焼結して高
密度、高温高強度の窒化珪素を製造する方法が特開昭62
−207769号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】炭化珪素ウィスカーを
添加した窒化珪素焼結体は破壊靱性は改良されるが、ウ
ィスカーをマトリックス中に均一に分散させることが容
易でないほか、ウィスカーとマトリックスの熱膨張係数
の違いにより内部欠陥が生じ易い等の欠点がある。
【0005】そこで、本発明はこのような問題なしで窒
化珪素焼結体の破壊靱性値を向上することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、平均粒径1μm以下の粒状晶に観察され
るβ−Si3N4 マトリックスが平均直径1〜3μm、平均
長さ10〜30μmのβ−Si3N4 の異方性自生粒子により強
化された組織を特徴とする窒化珪素焼結体を提供する。
また、同様にして、焼結助剤としてSc2O3 2〜6重量%
とY2O3, Yb2O3,Al2O3, MgAl2O4 のうちの1種以上をSc2
O3 と合計で3〜8重量%含み、残部Si 3N4 とした混合
粉末を成形し、該成形体を1530〜1650℃の範囲内の温度
まで加熱して予備焼結し、次いで該温度範囲内の温度で
圧力を1500気圧以上まで昇圧して本焼結し、さらに該温
度範囲から1900℃未満の温度で熱処理することを特徴と
する窒化珪素焼結体の製造方法を提供する。
【0007】本発明の窒化珪素焼結体は、平均粒径1μ
m以下の粒状晶に観察されるβ−Si 3N4 マトリックス中
に平均直径1〜3μm、平均長さ10〜30μmのβ−Si3N
4 の異方性粒子が自生し、あたかも平均直径1〜3μ
m、平均長さ10〜30μmのウィスカーを添加したような
組織になり、破壊靱性値が改善される。しかも、強化材
の働きをする異方性粒子もマトリックスもβ−Si3N4
あり熱膨脹係数の差がなく、かつ異方性粒子は焼結の過
程で自生するものであるので組織はきわめて均一であ
る。
【0008】マトリックスβ−Si3N4 は平均粒径が1μ
m以下より好ましくは 0.6μm以下である。これが1μ
mより大きいと破壊靱性値及び曲げ強度が低下する。一
方、異方性粒子のβ−Si3N4 は平均直径1〜3μm、好
ましくは2μm、平均長さ10〜30μm、好ましくは20〜
30μmである。また、焼結体の密度は好ましくは理論密
度の99%以上、より好ましくは99.5%以上である。本発
明の様な組織においてこのような高密度は本発明の製造
方法により可能にされた。
【0009】このような窒化珪素焼結体の製造は次の如
くである。出発原料としてのSi3N4 及び焼結助剤は粒径
0.6μm以下、より好ましくは0.1〜0.4μmのものを
使用する。出発Si3N4 の粒径が大きいとマトリックスβ
−Si3N4 の粒径が不所望に大きくなる。出発焼結助剤の
粒径が大きいと均一混合が難しく、緻密な焼結が困難に
なるので好ましくない。また、純度はSi3N4 で金属不純
物総量100ppm以下、焼結助剤99.9%以上のものを使用す
る。不純物がこれより多くなると粒界ガラス相の軟化温
度が低下し、高温における強度が低下する。
【0010】Si3N4 に対する焼結助剤の添加量は、粉末
混合物の内割りで、Sc2O3 を2〜6重量%、より好まし
くは 2.5〜5重量%とし、Y2O3, Yb2O3, Al2O3, MgAl2O
4 のうち1種以上とSc2O3 との合計量を3〜8重量%と
する。Sc2O3 は異方性粒子の自生を促進するために必須
である。Sc2O3 添加量が少ないと自生異方性β−Si3N 4
の成長が不充分になる。Sc2O3 の添加量が多すぎると緻
密な焼結が困難である。Y2O3, Yb2O3, Al2O3, MgAl2O4
のうち1種以上はSi3N4 を緻密に焼結させかつマトリッ
クス粒子を成長させないために必要である。しかし、こ
れらが多すぎるとマトリックス粒子が大きく成長する。
【0011】出発粉末の混合、成形は常法により行なう
ことができる。焼結は、成形体を1530〜1650℃の範囲内
の温度まで加熱して予備焼結し、次いでその温度範囲内
の温度で圧力を1500気圧以上まで昇圧して本焼結して行
なう。焼結雰囲気は窒素雰囲気である。すなわち、本発
明では、焼結温度は1530〜1650℃の範囲内の温度であ
る。これは、従来の常圧焼結温度1700〜1800℃、あるい
は特公昭62-13310号公報の1700〜1900℃、特開昭62-207
7769号公報の1900℃のHIP温度より低い焼結温度であ
る。従来は、1700〜1800℃では焼結体が充分に緻密化せ
ず、高密度の焼結体を得ることはできないので、高温で
充分に焼結させるために、Si3N4の熱分解を抑制すべく
高圧をかけて焼成する方法(HIP)が利用されている。こ
れに対して、本発明は、1530〜1650℃の低い温度でも、
1500気圧以上の高圧を利用して焼結を進行させることが
できるとの発見にもとづいている。この低温下での焼結
によってマトリックスのβ−Si3N4 粒子の粒成長を抑制
しながら緻密な焼結体を得ることができる。焼結温度が
1650℃を越えると、マトリックス粒子の粒径が粗くな
り、室温強度、1400℃強度が低下する。一方、1530℃未
満では緻密に焼結しない。従来より、窒化珪素の一般的
焼結温度として“1600℃以上”である旨が言及されるこ
とはあったが、実際に1600℃でSi3N4 焼結体を作製した
例はなく、上記特開昭62−207769号公報では1900℃、特
公昭62-13310号公報では1700〜1900℃が実際には採用さ
れている。また、本発明のHIP圧力としては1500気圧
以上が必要である。これより低い圧力では焼結体密度が
低下する。圧力の上限はとくになく、設備上の制約に従
って採用される。典型的には1500〜2500気圧である。
【0012】予備焼結の目的はHIP処理の効果を得る
ために閉気孔化が進行するまで低圧下で焼結させること
である。圧力は常圧でよいが、次の昇圧可能な炉(HIP
炉)内で行なう関係上多少(数10気圧位)昇圧するが、
要するに1500気圧に対して実質的に低圧、特に常圧付近
であればよい。閉気孔化の一応のメドとしては理論密度
の90%程度の密度である。次に、昇圧して本焼結する
が、この本焼結は少なくとも密度が理論密度の95%以
上、より好ましくは98%以上になるまで行なう。この段
階で充分に緻密化させないと、次に高温で熱処理すると
きにマトリックス粒子が粗くなるからである。
【0013】典型的には、予備焼結は、1気圧付近のN
2 雰囲気下、0.5〜10℃/分程度の昇温速度で1530〜16
50℃の範囲内の温度まで昇温して行なう。昇温プロフィ
ルは所望に変更できる。1530〜1650℃の範囲内の温度に
到達したら、次に圧力を5〜20気圧/分程度の昇圧速度
で1500気圧以上まで昇圧し、その圧力に保持して本焼結
を行なう。本焼結の圧力は前記の如く1500気圧以上、典
型的には1500〜2500気圧である。
【0014】次に、焼結温度から1900℃未満の温度で熱
処理する。この熱処理によって1μm以下のマトリック
ス粒子中に細長い異方性粒子が成長する。この熱処理が
ないと、細かいマトリックス中に小さい柱状晶が存在す
る組織しか得られない。一方、1900℃以上で熱処理する
とマトリックス粒子まで大きく柱状晶に成長した組織に
なる。この熱処理は窒素雰囲気中1500気圧以上の圧力下
で行なう。圧力が1500気圧より低いと緻密な焼結体が得
られない。
【0015】こうして得られる窒化珪素焼結体の組織を
模式的に図示すると図1の如くである。すなわち、微細
なβ−Si3N4 マトリックス中に自生したβ−Si3N4 の細
長い異方性粒子が分散し、あたかもウィスカーで強化し
たような組織である。
【0016】
【作用】微細なβ−Si3N4 マトリックス粒子中に、直径
1〜3μm、長さ10〜30μmの異方性粒子のβ−Si3N4
が3次元的にからみ合って自生するので、あたかもウィ
スカーを添加して強化した様な組織となり、破壊靱性値
が改良される。しかも、高密度かつマトリックス粒子が
微細であるため、また強化材の働きをする異方性粒子が
マトリックスと同じβ−Si3N4 であるため、室温強度、
靱性強度ともに高い。
【0017】
【実施例】Si3N4 粉末(平均粒径0.2μm、金属不純物
総量30ppm 、a化率ほぼ 100%)に焼結助剤の第1成分
としてSc2O3 粉末(平均粒径0.6μm、純度99.9%)
を、第2成分としてY2O3粉末(平均粒径0.3μm、純度
99.9%)、Yb2O3 粉末(平均粒径0.1μm、純度99.9
%)、Al2O3 粉末(平均粒径0.1μm、純度99.9%)又
はMgAl2O4 粉末(平均粒径0.3μm、純度99.9%)の内
から1種選び、添加量を表1に示すような組成で混合
(Si3N4 製ボールミル)した各種粉末を 200気圧の圧力
で加圧成形し、その成形体を薄ゴムにつめ真空封入後C
IP(静水圧成形)にて3000気圧の圧力で加圧した。
【0018】その後、この成形体を表1に示す条件でN
2 雰囲気中の炉内で焼結させた。昇温速度は5℃/min
、最高温度に到達するまでは1気圧のN2 雰囲気下
で、最高温度到達後に第1表に示す条件まで毎分15kgf/
cm2 の昇圧速度で加圧した。また、最高温度での保持時
間は4時間とした。その後さらに、同一炉内で加圧した
まま表1に示すような条件で熱処理を実施した。
【0019】以上の焼成温度及び圧力プロファイルを図
2に示す。これらの焼結体の破壊靱性値(JIS R 1607、
SEPB法)、室温4点曲げ強度(JIS R 1601)及び高温4
点曲げ強度(JIS R 1604、大気中)を測定して第2表に
示す結果を得た。焼結体の相対密度はn−ブタノール置
換法で求めた嵩密度を理論密度で除して得た値である。
残部は気孔率であるが、光学顕微鏡による鏡面研磨面の
観察結果からも裏付けられた。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】比較例 実施例と同様な方法で成形した後、この成形体を表3に
示す条件でN2 雰囲気の炉内で焼結させ、表4の結果を
得た。
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】実施例中のすべての窒化珪素焼結体は、1
μm以下のβ−Si3N4 マトリックス中に、直径1〜3μ
m、長さ10〜30μmのβ−Si3N4 の異方性粒子が自生
し、あたかも直径1〜3μm、長さ10〜30μmウィスカ
ーを添加したような組織になっていた。その結果、室温
曲げ強度及び高温曲げ強度を著しく低下させずに、破壊
靱性値が改善されたものと考えられる。
【0026】それに反して、比較例中のNo.52, 53, 54,
55の窒化珪素焼結体は、非常に細かいマトリックス中
に小さな柱状晶が存在する組織であった。又、NO.56, 5
7, 60, 61 の窒化珪素焼結体はマトリックス粒子も大き
く柱状晶に成長した組織であった。焼結時の最高温度を
1650℃以上の温度にするとマトリックス粒子の粒径が粗
くなり、比較例試料No.60, 61 に示されるように破壊靱
性値、室温強度及び1400℃強度が低下し、1530℃以下の
温度では比較例試料NO.58, 59 に示されるように緻密に
焼結しなかった。
【0027】圧力を1500気圧以下にすると比較例試料N
O.62, 63 に示されるように異方性組織の焼結体になる
ものの、焼結体密度が低下して破壊靱性値、室温強度及
び1400℃強度が低下した。Sc2O3 の添加は異方性組織化
に必須で、Sc2O3 を添加しなかった比較試料NO.52, 53
では細かいマトリックスが均等に成長した。
【0028】熱処理を実施しないときは比較試料NO.54,
55 のように細かいマトリックス中に小さな柱状晶が存
在する組織であった。熱処理温度が1900℃を超えると比
較試料NO.56, 57 のようにマトリックス粒子も大きく柱
状晶に成長した組織であった。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、微細かつ緻密に焼成し
たβ−Si3N4 のマトリックス粒子中に、平均直径1〜3
μm、平均長さ10〜30μmの異方性粒子のβ−Si3N4
自生して、その異方性粒子がウィスカー補強セラミック
スのウィスカーの働き、つまりディボンディング・ディ
フレクションの作用により高靱性が発現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高靱性窒化珪素焼結体の組織を示す模
式図である。
【図2】実施例の温度、圧力プロファイルを示す図であ
る。
【符号の説明】
1…マトリックス粒子 2…自生異方性粒子

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径1μm以下の粒状晶に観察され
    るβ−Si3N4 マトリックスが平均直径1〜3μm、平均
    長さ10〜30μmのβ−Si3N4 の異方性自生粒子により強
    化された組織からなることを特徴とする窒化珪素焼結
    体。
  2. 【請求項2】 焼結助剤としてSc2O3 2〜6重量%とY2
    O3, Yb2O3, Al2O3,MgAl2O4 のうちの1種以上をSc2O3
    と合計で3〜8重量%含み、残部Si3N4 とした混合粉末
    を成形し、該成形体を1530〜1650℃の範囲内の温度まで
    加熱して予備焼結し、次いで該温度範囲内の温度で圧力
    を1500気圧以上まで昇圧して本焼結し、さらに該温度範
    囲から1900℃未満の温度で熱処理することを特徴とする
    窒化珪素焼結体の製造方法。
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