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JP2834355B2 - 強誘電体薄膜構成体の製造方法 - Google Patents

強誘電体薄膜構成体の製造方法

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JP2834355B2
JP2834355B2 JP30815891A JP30815891A JP2834355B2 JP 2834355 B2 JP2834355 B2 JP 2834355B2 JP 30815891 A JP30815891 A JP 30815891A JP 30815891 A JP30815891 A JP 30815891A JP 2834355 B2 JP2834355 B2 JP 2834355B2
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thin film
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ferroelectric thin
ferroelectric
film
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秀雄 鳥井
映志 藤井
益三 服部
良一 高山
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)
  • Radiation Pyrometers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焦電型赤外線検出素
子、圧電素子、電気光学素子などに用いられる誘電体薄
膜構成体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】強誘電体とは、物質自身の中に平行また
は反平行に並んだ永久双極子によって生じる自発分極が
電場がなくても存在し、これが外部電場により向きを反
転できるような性質の物質のことである。この性質をう
まく利用して、強誘電体材料は、焦電型赤外線検出素
子、圧電素子、電気光学効果を利用したメモリー素子な
どの様々な電子部品に応用できる。代表的な強誘電体の
材料として、Pb含有ペロブスカイト結晶構造の酸化
物、たとえば、PbTiO3 、PbZrx Ti1-x 3
(PZT)が特に有名である。
【0003】ところで、強誘電体の自発分極Psの変化
を出力として取り出す応用、たとえば焦電型赤外線検出
素子や圧電素子などでは、強誘電体材料のPsが一方向
に揃っているときに最も大きい出力が得られる。しかし
現在、赤外線検出素子や圧電素子に用いられる強誘電体
材料は、そのほとんどが多結晶体の磁器であり、結晶軸
の配列に方向性はなく、自発分極Psもでたらめに配列
している。
【0004】近年の電子部品の小型化にともなって上記
の強誘電体材料応用の電子部品も小型にすることが要求
されてきており、薄膜の形態で使用されるようになりつ
つあり、薄膜化の研究開発が盛んになってきている。そ
こで、強誘電体を薄膜形態で電子部品に応用する場合に
は、強誘電体薄膜の自発分極の方向Psが一方向に揃う
ように、その強誘電薄膜を含む強誘電体薄膜構成体全体
を工夫されている。具体的には強誘電体薄膜の結晶軸が
一方向に(たとえば、基板面に垂直方向に)揃うように
結晶配列させ、かつPsの方向を揃えることができるよ
うに、基板の材料に工夫をこらした薄膜構成体として使
用している。
【0005】上述のPbTiO3 、PbZrx Ti1-x
3 (PZT)の組成の強誘電体薄膜を用いる場合、基
板表面に対して垂直方向にそれらの強誘電体薄膜の結晶
方位〈001〉軸を揃えることが必要である。しかしな
がら、そのまま基板の上に成膜するだけでは、いろいろ
な種類の基板の上に、直接に上述の強誘電体薄膜を〈0
01〉軸に結晶配向させた状態で、すなわち、(00
1)面が結晶配向した薄膜を作製することは極めて困難
である。
【0006】そこで、従来、NaCl結晶構造のMgO
の単結晶で、かつ(100)面を切り出した基板を下地
基板として選択し用いて、その表面上にスパッタ法でエ
ピタキシャル成長的に、基板表面に対して垂直方向に
〈001〉軸が結晶配向した上述の化学式PbZrx
1-x 3 の強誘電体薄膜を形成して作ることにより、
強誘電体薄膜構成体が作製されていた(ジャーナル オ
ブ アプライド フィジックス,65巻,1998年,1666ペ
ージ〜1670ページ。(J.Appl.Phys.,vo
l.65(1989)p1666〜p1670.))。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法は、下地基板にMgOの単結晶を用いるため、強誘電
体薄膜構成体が高価になってしまい、ひいてはそれを用
いて作られる電子部品素子が高価になってしまうという
問題があった。また、基板の材料もMgOの単結晶の一
種類に制限されてしまうという欠点もあった。
【0008】本発明は、上記問題を解決するもので、基
板の種類にかかわらず、(001)面が結晶配向したP
bZrxTi1-x3(0≦x≦1)の強誘電体薄膜構成
体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の強誘電体薄膜構
成体の製造方法 は、基板上に、ニッケルアセチルアセ
トナート、コバルトアセチルアセトナート、あるいはマ
グネシウムアセチルアセトナートの有機金属錯体の蒸気
を原料ガスとするプラズマ励起MO−CVD法によっ
て、(100)面配向のそれぞれNiO、CoO、ある
いはMgOのいずれかのNaCl型結晶構造の酸化物薄
膜を形成し、さらにその上にスパッタ法によって(00
1)面配向であり、化学式がPbZrxTi1-x3で、
組成範囲が0≦x≦1であるペロブスカイト型酸化物の
強誘電体薄膜を形成することを特徴とする。
【0011】
【作用】前述したように、強誘電体薄膜として、Pb含
有ペロブスカイト型酸化物のPbZrx Ti1-x
3 (0≦x≦1)なる組成の薄膜を用いる場合、結晶方
位を〈001〉軸に揃えることが必要である。しかしな
がら、そのままいろいろな種類の基板の上に〈001〉
軸に配向した膜の状態で作製することは極めて困難であ
った。そこで、下地基板を選んでPbZrx Ti1-x
3 (0≦x≦1)なる組成の薄膜の〈001〉方位をエ
ピタキシャル成長させる方法がとられる。それにふさわ
しい基板として、酸素−酸素間の距離がPbZrx Ti
1-x 3 (0≦x≦1)に近い値を示すミスフィットの
少ない単結晶材料であって、NaCl構造のMgOで
(100)面を切り出した基板が使われる。
【0012】Pb含有ペロブスカイト型酸化物の〈00
1〉方位の酸素−酸素間の距離はおよそ4.0 オングスト
ローム前後の値を示す。たとえば、その一つであるPb
(Zr1-x Ti)O3 の〈001〉方位の酸素−酸素間
の距離はおよそ3.90から4.15オングストロームの間の値
を示し、一方、〈100〉方位のMgOが4.21オングス
トロームである。同じNaCl構造のNiOは4.19オン
グストロームであり、また、同じNaCl構造のCoO
が4.26オングストロームであって、ともにMgOと同様
にミスフィットが少なく下地基板として望ましい。
【0013】本発明者らは、金属アセチルアセトナート
などの有機金属錯体を原料ガスに用いたプラズマ励起M
O−CDV法によって、下地基板にかかわらず、容易に
基板に対して垂直方向に〈100〉軸が配向したNaC
l結晶構造の各種の酸化物薄膜が得られることを見い出
した。この方法を用いると、原料ガスにニッケルアセチ
ルアセトナートを使用して、いろいろな材料の基板の上
に〈100〉軸が結晶配向したNiO薄膜を形成でき
る。コバルトアセチルアセトナートを用いると〈10
0〉軸が結晶配向したCoO薄膜が、マグネシウムアセ
チルアセトナートを用いると〈100〉軸が結晶配向し
たCoO薄膜が形成できる。そこで、従来の単結晶Mg
O基板のかわりに、これらの薄膜を表面に形成した基板
を、上記の強誘電体薄膜の下地として使用することがで
きる。その結果、高価なMgOの単結晶を用いないで、
同様な性質の誘電体薄膜構成体を作製できることにな
る。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1は本発明の一実施例の強誘電体薄膜構成体
を示す概略断面図である。基板1は、ガラス基板(コー
ニング7059)、単結晶シリコン板で(110 )面を切り出
したもの、アルミナ(Al2 3 )の焼結体基板、また
はステンレス金属基板よりなる大きさが20mm×20mm
で厚さ1mmの基板であり、その表面が鏡面研磨された
ものである。この基板1の上に〈100〉軸に結晶配向
したNiO薄膜のNaCl型酸化物下地膜2を形成し、
さらにその上にスパッタ法でPbZrx Ti1-x 3
る組成(0≦x≦1)の強誘電体薄膜3を形成して強誘
電体薄膜構成体4を膜構成したものである。
【0015】このように構成された強誘電体薄膜構成体
4の製造方法について、以下に詳しく説明する。〈10
0〉結晶方位に配向したNiO薄膜のNaCl型酸化物
下地膜2の形成は、上記の基板1の表面上に、下記の方
法で、図2に示すプラズマ励起MO−CVD成膜装置5
を用いて行った。
【0016】図2に示すプラズマ励起MO−CVD成膜
装置5は、真空チャンバー6内に平行に配置したアース
側電極7とRF側電極8の二つの電極間に高周波によっ
てプラズマを発生させ、その中で有機金属の原料ガスを
分解して基板1上に化学蒸着(CVD)することで薄膜
を形成する装置である。ここで、この基板1はアース側
電極7に片側面が密着して保持され、基板加熱ヒータ9
によってあらかじめ350 ℃に加熱された状態にした。
【0017】一方、原料気化容器10にニッケルアセチル
アセトナート11を入れ、135 ℃に保持したオイルバス12
を用いて加熱した。このように加熱することによって気
化したニッケルアセチルアセトナート11の蒸気を、10m
l/minの流速のキャリアガス(窒素)13を用いて、
真空チャンバー6内に流し入れた。また、反応ガスとし
て酸素ガス14を12ml/minで流し、これを途中で混
ぜて真空チャンバー6内に吹出ノズル15を介して流し入
れた。このとき、真空チャンバー6内は、その排気口16
から真空排気されることで7.90Paの真空度に保持し
た。
【0018】以上のような状態において、RF側電極8
に13.56 MHzで400 Wの高周波を10分間印加すること
によって、アース側電極7との間にプラズマを発生さ
せ、基板1の片側表面上に〈100〉方位に結晶配向し
たNiO薄膜を形成した。この成膜中、基板1をアース
側電極7を回転させる基板回転モータ17によって120 r
pmの速度で回転させた。この方法で基板に対して垂直
方向に〈100〉軸に結晶配向したNiO薄膜のNaC
l型酸化物下地膜2を厚み500 オングストロームで成膜
した。
【0019】続いて、その下地膜2の上にPbZrx
1-x3 なる組成の強誘電体薄膜3を形成した。その
成膜方法を以下に述べる。成膜には、高周波マグネトロ
ンスパッタ装置を用いた。
【0020】基板は、厚さ0.2 mmのステンレスマスク
を用い、銅製基板ホルダに取り付けて成膜した。ターゲ
ットは、PbO,ZrO2 ,TiO2 の粉末を、PbZ
x Ti1-x 3 でx=0,0.20,0.45,0.55,0.80,
1の6種類の組成に配合し、750 ℃で4時間仮焼したの
ち粉砕し、Pbの不足を防止するために、それぞれに20
mol%の過剰のPbO粉末をさらに混合して作製した
6種類の粉体を用いた。スパッタの成膜条件は、基板温
度が600 ℃、スパッタガスはAr(50%)と酸素(50
%)の混合ガスで、ガス圧は0.5 Pa、高周波投入電力
は90W(13.56 MHz)で、成膜時間は20時間であっ
た。このようにして、異なった6種類のターゲットか
ら、表1に示すそれぞれ6種類の異なった組成の強誘電
体の試料薄膜が作製できた。膜の厚さは組成にかかわら
ず4μmと同じ値を示した。
【0021】
【表1】
【0022】図3はガラスの基板の上に、NiO薄膜を
下地膜として形成後、表1に示した膜試料番号FE3の
強誘電体薄膜を形成して作製した強誘電体薄膜構成体の
試料のX線回折パターンを示す。ここでは、ペロブスカ
イト結晶構造の(001)と(100)の反射、および
その高次の反射のみが観察された。また(001)反射
の強度が(100)のそれと比べて著しく大きく、c軸
配向膜になっていることがわかった。このc軸配向率α
を次式(1) で定義し、その値を算出した。
【0023】
【数1】
【0024】ここで、I(001),I(100),I
(110),I(101)およびI(111)は、それ
ぞれ(001)、(100)、(110)、(101)
および(111)反射の回折強度を示す。上述の強誘電
体薄膜構成体の試料のαは97%であった。この結果を表
2の誘電体薄膜構成体試料No2の試料として示した。
【0025】基板の種類が異なる場合や下地膜の種類が
異なる場合および強誘電体薄膜の組成が異なる場合につ
いての、本実施例の強誘電体薄膜構成体の結果について
も表2のNo1からNo31にまとめて示した。
【0026】
【表2】
【0027】プラズマ励起MO−CVD法によるNaC
l型酸化物下地膜2の形成の際に、原料ガス源として、
上述のニッケルアセチルアセトナートのかわりに、コバ
ルトアセチルアセトナートまたはマグネシウムアセチル
アセトナートを用いて、それぞれ、CoOまたはMgO
の(100)面配向膜が形成できた。
【0028】次に、基板が、本実施例と同じガラス、単
結晶シリコンで(110)面を切り出したもの、アルミ
ナ焼結体、またはステンレス金属で、下地膜なしにそれ
ぞれの基板の表面に、表1に示したそれぞれの組成の強
誘電体薄膜をスパッタ法で直接成膜して強誘電体薄膜構
成体作製し、その結晶配向率αについて調べた。基板の
種類や強誘電体薄膜の組成にかかわらず、結晶配向性は
悪く、焼結体等の多結晶体の結晶配向率と変わらなかっ
た。その結果を表2のNo32からNo41に示した。一例
として、No32のX線回折パターンを示すと図4のよう
なものであった。
【0029】また、従来例として、基板に単結晶のMg
Oで(100)面を切り出したものを用い、その表面
に、表1に示したそれぞれの組成の強誘電体薄膜をスパ
ッタ法で直接成膜して強誘電体薄膜構成体を作製した。
その結晶配向率について調べた。強誘電体薄膜の組成に
かかわらず、結晶配向率は96%〜98%の値を示し、基板
に垂直方向に結晶配向していることがわかった。その結
果を表2のNo42からNo44に示した。一例として、N
o42のX線回折パターンを示すと図5のようなものであ
った。
【0030】以上から、本実施例の製造方法により得た
強誘電体薄膜構成体は、従来のように基板として単結晶
のMgOで(100)面を切り出したものに限らず、各
種の材料の基板を用いても基板に垂直方向に結晶方位が
揃った誘電体薄膜を有する強誘電体薄膜構成体であるこ
とがわかった。
【0031】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、製造さ
れる強誘電体薄膜構成体は、下地基板に単結晶MgO基
板を用いる必要なしに、安価にかつ下地基板材料を選ば
ずに、同様の性能の強誘電体薄膜構成体が得られ、した
がって、電子部品の分野でより広い範囲に使用できるこ
とになり、実用面で極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の強誘電体薄膜構成体の膜構
成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の一実施例の強誘電体薄膜構成体の製造
に用いたプラズマ励起MO−CVD成膜装置の概略断面
図である。
【図3】本発明の一実施例の強誘電体薄膜構成体におけ
る一例のX線回折パターンを示す図である。
【図4】比較例の強誘電体薄膜構成体における一例のX
線回折パターンを示す図である。
【図5】従来例の強誘電体薄膜構成体における一例のX
線回折パターンを示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 NaCl型酸化物下地膜 3 強誘電体薄膜 4 強誘電体薄膜構成体 5 プラズマ励起MO−CVD成膜装置 6 真空チャンバー 7 アース側電極 8 RF側電極 9 基板加熱ヒータ 10 原料気化容器 11 ニッケルアセチルアセトナート 12 オイルバス 13 キャリアガス 14 酸素ガス 15 吹出ノズル 16 排気口 17 基板回転モータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 41/24 H01L 41/18 101D (72)発明者 高山 良一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−211520(JP,A) 特開 平1−99268(JP,A) 特開 平2−57686(JP,A) 特開 昭57−193025(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 37/02 G01J 1/02 G01J 5/02 H01L 21/205 H01L 41/187 H01L 41/24

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、ニッケルアセチルアセトナー
    ト、コバルトアセチルアセトナート、あるいはマグネシ
    ウムアセチルアセトナートの有機金属錯体の蒸気を原料
    ガスとするプラズマ励起MO−CVD法によって、(1
    00)面配向のそれぞれNiO、CoO、あるいはMg
    OのいずれかのNaCl型結晶構造の酸化物薄膜を形成
    し、さらにその上にスパッタ法によって(001)面配
    向であり、化学式がPbZrxTi1-x3で、組成範囲
    が0≦x≦1であるペロブスカイト型酸化物の強誘電体
    薄膜を形成することを特徴とする強誘電体薄膜構成体の
    製造方法。
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