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JP2827002B2 - アシルカルニチンの測定法 - Google Patents

アシルカルニチンの測定法

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Publication number
JP2827002B2
JP2827002B2 JP9049985A JP4998597A JP2827002B2 JP 2827002 B2 JP2827002 B2 JP 2827002B2 JP 9049985 A JP9049985 A JP 9049985A JP 4998597 A JP4998597 A JP 4998597A JP 2827002 B2 JP2827002 B2 JP 2827002B2
Authority
JP
Japan
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carnitine
acyl
reaction
mol
mole
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Application number
JP9049985A
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English (en)
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JPH09322800A (ja
Inventor
守 高橋
成 植田
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Kogyo KK
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Publication date
Application filed by Asahi Kasei Kogyo KK filed Critical Asahi Kasei Kogyo KK
Priority to JP9049985A priority Critical patent/JP2827002B2/ja
Publication of JPH09322800A publication Critical patent/JPH09322800A/ja
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Publication of JP2827002B2 publication Critical patent/JP2827002B2/ja
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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、臨床生化学検査、
食品検査などにおけるアシル−L−カルニチンの測定に
有用なアシルカルニチンエステラーゼを用いたアシル−
L−カルニチンの測定法に関する。
【0002】
【従来の技術】L−カルニチンは、ビタミンBTとも呼ば
れており、生体内において、脂肪酸のミトコンドリア膜
内への輸送に必須の物質である。一方、生体内にはL−
カルニチンのアシル体であるアシル−L−カルニチンも
存在しており、血液中のアシル−L−カルニチン量を測
定することは生体内筋肉のエネルギー障害の判定のため
のミトコンドリアの機能障害のモニタリングなどに極め
て重要であり、また尿中にもアシル−L−カルニチンは
排出されている。
【0003】従来、アシル−L−カルニチンは、被検液
中のアシル−L−カルニチンをアルカリを用いて加水分
解し、生成するL−カルニチンを定量することにより測
定されていた。このときの加水分解の条件としてはPear
son らの方法〔Methods in Enzymology, Vol.14, 621(1
969)〕、Bieberらの方法〔Methods in Enzymology, Vo
l. 72, 276 (1981)〕、Paceらの方法〔Clin. Chem., 2
4, 32(1978)〕などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の加水分解条件は、すべて高濃度のアルカリ溶液(水酸
化カリウム溶液)を加え30分間以上加水分解した後に酸
で中和して被検液としているために、危険である上に時
間がかかりサンプルが希釈されてしまうという大きな欠
点を有していた。
【0005】かかる欠点を克服するためには、酵素法、
すなわちアシルカルニチンエステラーゼの利用が考えら
れる。アシルカルニチンエステラーゼとしてはラットの
肝臓由来のものが知られている〔S. Mahadevan & F. Sa
uer, J. Biol. Chem., 244,4448-4453(1969)〕。しか
し、当該アシルカルニチンエステラーゼは、ヒト血清中
に多量に存在するアセチル−L−カルニチンおよびプロ
ピオニル−L−カルニチンに対して全く活性を示さない
ばかりか、例えばデカノイル−L−カルニチンに対して
3.2×10-3M、パルミトイル−L−カルニチンに対して
5×10-3Mと長鎖アシル−L−カルニチンに対しても高
いKm値を示しているために完全に加水分解するには多量
の酵素が必要であった。さらにこのように多量の酵素が
必要であるにもかかわらずラットの肝臓50g(約1匹
分)からは、たかだか3.7Uの酵素が採取できたにすぎな
いものであった。
【0006】従って、低級アシル−L−カルニチンに対
して活性を示し、基質に対するKm値の低い、充分な安定
性を有するアシルカルニチンエステラーゼおよび生体中
のアシル−L−カルニチンの感度の高い定量法の開発が
望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記要件を満たすアシルカルニチンエステラーゼを、種
々の微生物培養物中からスクリーニングすることに着目
して種々研究を続けた結果、アルカリゲネス属に属する
微生物が、低級アシル−L−カルニチン並びに長鎖アシ
ル−L−カルニチンであるパルミトイル−L−カルニチ
ンに対して活性を示し、活性の高いアシルカルニチンエ
ステラーゼを生産すること、さらにこれを用いれば検体
中のアシル−L−カルニチンの高感度定量が可能となる
ことを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は少なくともアセチル−
L−カルニチンおよびプロピオニル−L−カルニチンか
らなる群より選ばれた低級アシル−L−カルニチン並び
に長鎖アシル−L−カルニチンであるパルミトイル−L
−カルニチンに基質特異性を有し、当該低級乃至長鎖ア
シル−L−カルニチンの1モルと水分子の1モルから1
モルの脂肪酸と1モルのL−カルニチンを生成する反応
を触媒するアシルカルニチンエステラーゼを提供すると
ともに、このアシルカルニチンエステラーゼを用いて被
検液中のアシル−L−カルニチンを加水分解することに
より被検液中のアシル−L−カルニチンを測定する方法
を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いるアシルカルニチン
エステラーゼ生産菌としては、アルカリゲネス属に属
し、アシルカルニチンエステラーゼ生産能を有するもの
であれば特に限定されないが、例えば本発明者らが分離
したNo.981菌株が挙げられ、この菌株は本発明に最も有
効に使用される菌株の一例であって、本菌株の菌学的性
質を示すと次の通りである。尚、本菌株の同定に当たっ
ては、同定実験は医学細菌同定の手引き(第2版)、Mi
crobiological Methods (3巻)に準じて行い、実験結
果をBergey's Manual of Determinative Bacteriology
(8版)、Bergey's Manual of SystematicBacteriolog
y Vol. 1(1984) 、同誌,Vol. 2(1986)などと対比して
同定を行った。
【0010】(a)形態的特徴 普通寒天培地上、18〜24時間、28〜30℃で培養し、観察
した所見は次の通りである。端の丸いまっすぐまたはや
や曲がった桿状細菌で、単独、二連たまに短連鎖にな
る。芽胞は形成せず。大きさは0.4〜0.6×1.2〜2.5μm
で周毛で運動する。多形性なし。
【0011】(b)各培地における生育状態 各種培地上で、18〜24時間、28〜30℃で培養し、観察し
た所見は次の通りである。
【0012】(1)普通寒天斜面培地 生育良好で線状(filiform)に生育する。湿潤で光沢を有
する。黄土色を呈するが、可溶性色素は産生しない。
【0013】(2)普通寒天平面培地 円型、丘状(convex)、全縁の集落を形成する。表面は滑
らかで湿潤。黄土色ないし淡黄土色を呈する。可溶性色
素は産生しない。
【0014】(3)液体培地(ペプトン水) 生育良好で一様に混濁する。長時間(40時間以上)培養
では菌膜を形成する。
【0015】(4)BCPミルク培地 4〜5日後、アルカリになる。
【0016】(c)生理的性質〔+;陽性、(+);弱
陽性;−;陰性〕
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】 ゼラチンの分解 − 澱粉の分解 − カゼインの分解 − エスクリンの分解 − セルロースの分解 − チロシンの分解 − カタラーゼ産生 + オキシダーゼ産生 + LV反応 − ウレアーゼ産生(SSR) − ウレアーゼ産生(Chris) − インドール産生 − 硫化水素産生(酢酸鉛紙で検出) − アセトイン産生(K2HPO4) − アセトイン産生(NaCl) − MRテスト −
【0019】
【表3】硝酸塩還元テスト ガス検出 + NO2 -の検出 − NO3 -の検出 − シモンズ培地での利用性 クエン酸塩 + リンゴ酸塩 + マレイン酸塩 − マロン酸塩 (+) プロピオン酸塩 − グルコン酸塩 − コハク酸塩 +
【0020】
【表4】クリステンセン培地での利用性 クエン酸塩 + リンゴ酸塩 + マレイン酸塩 + マロン酸塩 + プロピオン酸塩 − グルコン酸塩 + コハク酸塩 + グルコースよりガスの産生 −
【0021】
【表5】各種糖類より酸の産生 アドニトール − L(+)アラビノース (+) セロビオース − ヅルシトール − メソ・エリスリトール − フラクトース − ガラクトース + グルコース + グリセリン (+) イノシトール − イヌリン − ラクトース − マルトース − マンニトール − マンノース + メレジトース − メリビオース − ラフィノース − L(+)ラムノース − D−リボース − サリシン − L−ソルボース − ソルビトール − 澱粉 − サッカロース − トレハロース + キシロース − ポリ−β−ヒドロキシブチレートの蓄積 −
【0022】
【表6】(d)炭素源の利用性 炭素源5g、NaCl5g、MgSO4・7H2O 0.2g、NH4H2PO4
1.0g、蒸留水1lを含む液体培地(pH7.0)での各炭素
源の利用性を試験した結果は次の通りである。 グルコース + L(+)アラビノース − フラクトース + マンニトール − マンノース + グルコネート + アセテート + アジペート − ピメレート + スベレート + タートレート +
【0023】以上の通り、本菌株の主性状は、グラム陰
性の桿状細菌で、周毛で運動、カタラーゼ、オキシダー
ゼを産生し、ペプトンを含む培地(Hugh-Leifson)ではグ
ルコースより酸を産生しないが、グルコースを酸化的に
分解し、酸を産生する。芽胞は形成せず、多形性なし。
好気性である。
【0024】グラム陰性桿菌で好気性、周毛で運動する
菌属は、アルカリゲネス属、クロモバクテリウム属およ
びフラボバクテリウム属の3属である。クロモバクテリ
ウム属は紫色、フラボバクテリウム属は黄色の色素を産
生するが、本菌株は色素を産生しないことから判断して
アルカリゲネス属に属する菌株であることは明らかであ
る。
【0025】そこで、本菌株がアルカリゲネス属のどの
種に属するか否かを同定するため、Bergey's Manual of
Systematic Bacteriology, Vol. 1(1984)に記載されて
いる3菌種、即ちAlcaligenes faecalis(以下、「F」
と略記することがある)、Alcaligenes denitrificans
subsp. denitrificans(以下、「D」と略記することが
ある)およびAlcaligenes denitrificans subsp.xyloso
xidans( 以下「X」と略記することがある)と対比した
結果は、次の通りである。尚、F、DおよびXで示され
る「+」は90%以上の陽性率、「−」は90%以上が陰性
率、「d」は「+」でも「−」でもどちらでもないこと
を示す。
【0026】
【表7】
【0027】以上対比した結果によれば、本菌株No.981
の諸性状はAlcarigenes subsp. xylosoxidans と一致し
た点が多いが、OF培地での酸産生能およびキシロースよ
り酸を産生しない点での性状が異なる。よって、本菌株
を公知のものと区別するため、アルカリゲネス・エスピ
ー(Alcaligenes sp.) No.981と命名し、工業技術院微生
物工業技術研究所に受託番号微工研条寄第2570号(FERM
BP-2570)として寄託した。
【0028】アシルカルニチンエステラーゼを製造する
には、先ずアルカリゲネス属に属するアシルカルニチン
エステラーゼ生産菌を適当な培地にて培養する。
【0029】上記のアシルカルニチンエステラーゼ生産
菌としては、前述のアルカリゲネス・エスピーNo.981が
挙げられるが、細菌の一般的性状として菌学上の性質は
変異し得るものであるから、自然的にあるいは通常行わ
れる紫外線照射、放射線照射または変異誘導剤、例えば
N−メチル−N−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、エ
チルメタンスルホネートなどを用いる人工的変異手段に
より変異し得る人工変異株は勿論、自然変異株も含め、
アルカリゲネス属に属し、アシルカルニチンエステラー
ゼを生産する能力を有する菌株は、すべて本発明に使用
することができる。
【0030】上記の培養は、細菌の培養に一般に用いら
れる条件によって行うことができるが、本菌株の培養に
あたっては、アシルカルニチンエステラーゼがアシル−
L−カルニチンによって誘導的に生成される誘導酵素で
あることから、アシル−L−カルニチンを含む培地で培
養することが好ましい。当該アシル−L−カルニチンと
しては、例えば安価なオクタノイル−L−カルニチン
(培地に対して0.1〜1%)を用いるのが好ましい。
【0031】培地としては、アシル−L−カルニチンを
添加する以外に微生物が同化し得る炭素源、消化し得る
窒素源、さらには必要に応じ、無機塩などを含有させた
栄養培地が使用される。
【0032】同化し得る炭素源としては、グルコース、
フラクトース、サッカロース、シュクロース、糖蜜など
が単独または組み合わせて用いられる。消化し得る窒素
源としては、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、
コーン・スチープ・リカーなどが単独または組み合わせ
て用いられる。その他必要に応じてリン酸塩、マグネシ
ウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、そ
の他、鉄、マンガンなどの種々の重金属塩などが使用さ
れる。上記以外に公知の同化し得る炭素源、消化し得る
窒素源が使用できることはいうまでもない。
【0033】培養は、通常振とうまたは通気攪拌培養な
どの好気的条件下で行うのがよく、工業的には深部通気
攪拌培養が好ましい。培養温度はアシルカルニチンエス
テラーゼ生産菌が発育し、本酵素を生産する範囲内で適
宜変更し得るが、通常は15〜37℃、特に28℃付近が好ま
しい。培養時間は培養条件によって異なるが、本酵素が
最高力価に達する時期を見計らって適当な時期に培養を
停止すればよいが、通常は1〜3日間程度である。
【0034】これらの培地組成、培地の液性、培養温
度、攪拌速度、通気量などの培養条件は使用する菌株の
種類や外部の条件などに応じて好ましい結果が得られる
ように適宜調節、選択されることは言うまでもない。液
体培養において発泡があるときは、シリコン油、植物油
などの消泡剤が適宜使用される。
【0035】このようにして得られたアシルカルニチン
エステラーゼは、主として菌体内に含有されるので、得
られた培養物から濾過または遠心分離等の手段により集
菌し、この菌体を超音波処理、フレンチプレス処理、ガ
ラスビーズ処理、凍結破砕処理等の機械的破壊手段やリ
ゾチーム等の酵素的破壊手段等の種々の菌体処理手段を
適宜組み合わせて、粗製のアシルカルニチンエステラー
ゼ含有液が得られる。
【0036】この粗製のアシルカルニチンエステラーゼ
含有液から公知の蛋白質、酵素等の単離・精製手段を用
いることによりさらに精製されたアシルカルニチンエス
テラーゼを得ることができる。例えば粗製のアシルカル
ニチンエステラーゼ含有液に硫安、硫酸ナトリウム、リ
ン酸カリウム、アルミニウム等を添加する塩析沈澱法に
より本酵素を回収すればよい。さらにこの沈澱物は、分
子篩、各種のクロマトグラフィー法、電気泳動法あるい
は超遠心分析法を適宜組み合わせ用いて、必要に応じて
精製すればよく、その精製手段としては、目的とするア
シルカルニチンエステラーゼの性質を利用した手段を用
いればよく、例えば上記の沈澱物を水または緩衝液に溶
解した後、必要に応じて半透膜にて透析し、さらにDEAE
−セルロース、DEAE−セファセル、DEAE−セファロー
ス、DEAE−セファデックスA-50(ファルマシア社製)、
DEAE−トヨパール(東洋曹達社製)等のイオン交換樹脂
や、セファデックスG-100 、G-75、セファクリルS-200
等のゲル濾過剤による分子篩クロマトを行えばよく、ま
たこれらの手段を適宜組み合わせて用いて精製すればよ
く、その後必要に応じて糖類、例えばマンニトール、サ
ッカロース、ソルビトール等、アミノ酸、例えばグルタ
ミン酸、グリシン等、ペプタイドまたは蛋白質として牛
血清アルブミン等の安定剤を添加し、凍結乾燥等の処理
により精製されたアシルカルニチンエステラーゼの粉体
を得ることができる。
【0037】以上の如くして得られたアシルカルニチン
エステラーゼの性状は以下の通りである。
【0038】(1)酵素作用 下記式に示すように、アシル−L−カルニチンを加水分
解してL−カルニチンと遊離脂肪酸を生成する反応を触
媒する。アシル−L−カルニチン+H2O → 脂肪酸+L
−カルニチン
【0039】(2)分子量 63,000±7,000 トーソー社製TSKゲルG3000SW(0.75×60cm)による値、
溶出液;0.2M NaCl含有0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)、標
準品はオリエンタル酵母社製の次の分子量マーカーを使
用した。
【0040】
【表8】 M.W. 12,400 シトクロムC M.W. 32,000 アデニレートキナーゼ M.W. 67,000 エノラーゼ M.W. 142,000 ラクテートデヒドロゲナーゼ M.W. 290,000 グルタメートデヒドロゲナーゼ
【0041】(3)等電点 pH5.1±0.5 キャリアアンフォライトを用いる焦点電気泳動により4
℃、700Vの定電圧で40時間通電した後、分画し、各画分
の酵素活性を測定した。
【0042】(4)Km値 100mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)中で以下に示した各ア
シルカルニチンをそれぞれ1×10-5M、2×10-5M、3
×10-5M、5×10-5M、10×10-5M、20×10-5M、40×
10-5Mになるように調製し、それぞれのアシルカルニチ
ンに対するKm値を測定した。なお、それぞれのアシルカ
ルニチンは市販のものを用いるか、L−カルニチン(シ
グマ社製)を用いてBohmer & Bremer の方法〔Biochim.
Biophys.Acta, 152, 559-567(1968)〕を用いて自家調
製した。
【0043】
【表9】 アセチル−L−カルニチン 約4×10-5M プロピオニル−L−カルニチン 約3×10-5M ヘキサノイル−L−カルニチン 約2×10-5M オクタノイル−L−カルニチン 約2×10-5M デカノイル−L−カルニチン 約2×10-5M ラウロイル−L−カルニチン 約2×10-5M ミリストイル−L−カルニチン 約2×10-5M パルミトイル−L−カルニチン 約3×10-5M ステアロイル−L−カルニチン 約5×10-5
【0044】(5)基質特異性 100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)中で各々のアシルカル
ニチンが0.5mMになるように調製し、37℃、10分間の反
応で生成されるL−カルニチン量を後述のL−カルニチ
ン測定法を用いて測定し、比較した。その結果、オクタ
ノイル−L−カルニチンに対して最も高い活性を示し
た。また、ラットの肝臓由来のアシルカルニチンエステ
ラーゼはアセチル−L−カルニチンとプロピオニル−L
−カルニチンに対して活性を示さないが本発明の酵素は
充分な活性を示した。
【0045】
【表10】 アセチル−L−カルニチン 17% プロピオニル−L−カルニチン 46% ヘキサノイル−L−カルニチン 85% オクタノイル−L−カルニチン 100% デカノイル−L−カルニチン 72% ラウロイル−L−カルニチン 60% ミリストイル−L−カルニチン 61% パルミトイル−L−カルニチン 41% ステアロイル−L−カルニチン 11%
【0046】(6)至適pH 100mM 酢酸緩衝液(pH4.5〜6.0)、100mMリン酸緩衝液
(pH6.5〜8.0)、100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0〜9.
0)、100mMグリシン水酸化ナトリウム緩衝液(pH9.0〜1
0.0)の各緩衝液中で0.5mMになるようにオクタノイル−
L−カルニチンを調製し、37℃、10分間の反応の後に生
成されたL−カルニチンを測定した。測定した結果は図
1に示す通りであって、pH8.0付近が至適pHであるが、p
H6.5〜9.5までの広い範囲にわたって90%以上の活性を
示した。
【0047】
【表11】 図1中の説明 酢酸緩衝液 −△− リン酸緩衝液 −○− トリス塩酸緩衝液 −●− グリシン水酸化ナトリウム緩衝液 −□−
【0048】(7)pH安定性 本酵素を100mM酢酸緩衝液(pH4.5〜6.0)、100mMリン酸
緩衝液(pH6.5〜8.0)、100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0
〜9.0)、100mMグリシン水酸化ナトリウム緩衝液(pH9.0
〜10.0)を用いて0.1U/mlに調製し、60℃、30分間加熱
処理した後の残存活性を測定した。測定した結果は図2
に示す通りであって、pH7.5のリン酸緩衝液からpH8.5の
トリス塩酸緩衝液中で安定であった。また、pH5.5の酢
酸緩衝液からpH10.0のグリシン水酸化ナトリウム緩衝液
までのpHの広い範囲にわたって90%以上の活性を保持し
ていた。
【0049】
【表12】 図2中の説明 酢酸緩衝液 −△− リン酸緩衝液 −○− トリス塩酸緩衝液 −●− グリシン水酸化ナトリウム緩衝液 −□−
【0050】(8)至適温度 0.5mMオクタノイル−L−カルニチンを含んだpH8.0の10
0mMトリス塩酸緩衝液を用いて50℃、55℃、60℃、65
℃、70℃、75℃の各温度で10分間反応させた後に生成さ
れたL−カルニチン量を測定した結果は図3に示す通り
であって70℃で最大の活性を示した。
【0051】(9)熱安定性 本酵素を100mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)を用いて0.1U
/mlに調製し、55℃、60℃、65℃、70℃で30分間加熱処
理をした後の残存活性を測定した結果は図4に示す通り
であって60℃までは安定であった。
【0052】(10)アシルカルニチンエステラーゼ活性
の測定法 1).反応液組成 100mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0) 0.5mM オクタノイル−L−カルニチン 2).測定法
【0053】上記の反応液1mlを小試験管に入れ、37℃
で5分間インキュベイトした後に、適当に希釈した酵素
液0.05mlを添加して37℃で15分間インキュベイトした後
に、直ちに沸騰水浴中で15秒間インキュベイトして反応
を停止し、被検液とする。生成されたL−カルニチンを
下記のL−カルニチンの測定法を用いて測定し、アシル
カルニチンエステラーゼの活性を求める。
【0054】
【数1】
【0055】4).L−カルニチンの測定法(以下、L
−カルニチン測定法Aと略す) イ)反応液組成
【0056】
【表13】 100mM トリス塩酸緩衝液(pH9.0) 1mM NAD+ 5U ジアフォラーゼ(東洋醸造社製) 15U L−カルニチンデヒドロゲナーゼ(アルカリゲネ
ス・エスピーNo.981 由来、東洋醸造社製) 100mM KCl 0.025% NBT(和光純薬工業社製) 0.5% ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレ
エート(和光純薬工業社製)
【0057】ロ)測定法 上記の反応液1mlを小試験管に入れ、37℃で5分間イン
キュベイトした後に、被検液0.05mlを添加し、2分間イ
ンキュベイトした後に0.1N塩酸2mlを添加しA5 50nmを測
定して吸光度A1を測定する。被検液を添加しないで同様
にしてブランクA0を求める。
【0058】
【数2】
【0059】上記のアシルカルニチンエステラーゼは、
中鎖乃至長鎖アシル−L−カルニチンだけでなく、低級
アシル−L−カルニチンに対しても活性を有する。従っ
て、ヒト血清などのアシル−L−カルニチンを含有する
被検液に、本発明の低級、中鎖乃至長鎖のいずれのアシ
ル−L−カルニチンに対しても活性を有するアシルカル
ニチンエステラーゼを作用せしめ、次いで生成した脂肪
酸または/およびL−カルニチンを定量すれば、当該被
検液中のアシル−L−カルニチンを測定することができ
る。被検液中にアシル−L−カルニチン以外に遊離のL
−カルニチンが存在する場合、あらかじめ遊離L−カル
ニチンのみを後述する手段にて定量するか;遊離L−カ
ルニチンを還元型補酵素、例えばNADHを酸化型に変換す
る系とし、加温ないし加熱して分解消去した後アシル−
L−カルニチンのみを定量するか;あるいはアシル−L
−カルニチンを本発明アシルカルニチンエステラーゼに
てL−カルニチンとし、被検液に存在した遊離のL−カ
ルニチンとアシル−L−カルニチンとの総量として定量
してもよい。
【0060】このような被検液と本発明アシルカルニチ
ンエステラーゼとの反応は、被検液中のアシル−L−カ
ルニチンが充分加水分解される条件であれば特に制限さ
れないが、例えば37℃、5〜30分間インキュベイトすれ
ばよい。また反応の停止は80℃以上に加熱して行うのが
好ましい。
【0061】かかる反応により、脂肪酸とL−カルニチ
ンが生成するが、当該脂肪酸の定量法としては、常法、
例えば液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィ
ー等が挙げられる。また、L−カルニチンの定量法とし
ては、カルニチンアセチルトランスフェラーゼ(CAT) 、
アセチルCoA および5,5'−ジチオビス−2−ニトロ安息
香酸(DTNB)を用いた比色定量法〔J. Biol. Chem., 238,
2509(1963), J. Lipid Research, 5, 184-187(196
4)〕;〔14C〕または〔3H〕標識アセチルCoAとCATを用
いたラジオアイソトープ法〔Clin. Chim. Acta, 37, 23
5-243(1972), J. Lipid. Research, 17, 277-281(197
6)〕;カルニチンデヒドロゲナーゼNAD+を用いたカルニ
チンデヒドロゲナーゼ法〔European J. Biochem., 6, 1
96-201(1968)〕およびアセチルCoA 、CAT およびN−
{p−(2−ベンズイミダゾリル)−フェニル}−マレ
イミド(BIPM)を用いた蛍光法〔厚生省神経病患研61年度
研報、315-318(1986)〕などの方法が挙げられ、これら
のうち、カルニチンデヒドロゲナーゼ法が好ましい。具
体的には、反応液にL−カルニチンデヒドロゲナーゼ、
NAD類またはチオNAD類、および必要に応じて非イオン性
界面活性剤を含有する試薬を作用せしめて、反応にて生
成する還元型NAD類または還元型チオNAD類の量を測定す
ることにより行われる。ここでNAD類としては、ニコチ
ンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アセチルピリ
ジンアデニンジヌクレオチド(アセチルNAD)、ニコチン
アミドヒポキサンチンジヌクレオチド(デアミノNAD)が
挙げられ、また、チオNAD類としてはチオニコチンアミ
ドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、チオニコチンア
ミドヒポキサンチンジヌクレオチドが挙げられる。
【0062】ここで、反応にて生成する還元型NAD類ま
たは還元型チオNAD類の定量は、直接吸光度を測定する
ことにより実施してもよいが、次の反応式で示されるホ
ルマザン生成系に変換させることにより測定するのが好
ましい。
【0063】
【化3】
【0064】本発明で用いられるL−カルニチンデヒド
ロゲナーゼは公知の酵素であるが、細菌由来のL−カル
ニチンデヒドロゲナーゼ生産菌の産生する酵素が励用さ
れる。このようなL−カルニチンデヒドロゲナーゼ生産
菌の例としては、Pseudomonas aeruginosa IFO 13130、
Pseudomonas putida B-0781(FERM P-5664)、Pseudomona
s putida IF 03738 などのシュードモナス属細菌、Xant
homonas translucensIFO 13558 などのキサントモナス
属細菌などが挙げられる。上記の細菌由来のL−カルニ
チンデヒドロゲナーゼはEuropean J. Biochem., 6, 196
-201(1968),同誌,10, 56-60(1969), Agric. Biol. Che
m., 52(1), 249-250(1988)などに記載の方法により上
記生産菌を培養し、該培養物から分離精製することによ
って製造される。また上記生産菌から得られたL−カル
ニチンデヒドロゲナーゼ遺伝子を遺伝子組み換え技術に
よって得られた宿主細胞を培養し、精製することによっ
ても製造される〔Agric. Biol. Chem., 52(3),851-852
(1988)〕。また、アルカリゲネス エスピーNo.981も
L−カルニチンデヒドロゲナーゼを産生する。なお、こ
のとき培地にはカルニチンを含有させて培養するのが好
ましい。
【0065】本測定法で用いられる電子伝達剤として
は、後記のテトラゾリウム塩、NADH類(またはチオNADH
類)およびH+からホルマザンおよびNAD+類(またはチオ
NAD+類)に変換することのできる試薬であり、例えばジ
アホラーゼ、フェナジン誘導体が挙げられる。
【0066】ジアホラーゼは公知の酵素であり、市販品
を入手することができる。フェナジン誘導体としては、
フェナジンメトサルフェート、メルドラブルー、メトキ
シフェナジンメトサルフェートなどが挙げられる。
【0067】本測定法で用いられるテトラゾリウム塩と
しては3,3'−(3,3'−ジメトキシ−4,4'−ビフェニレ
ン)−ビス〔2−(p−ニトロフェニル)−5−フェニ
ル−テトラゾリウムクロライド〕〔別名;ニトロテトラ
ゾリウム(NTB)〕、3,3'−(3,3'−ジメトキシ−4,4'−
ビフェニレン)−ビス〔2,5−ビス(p−ニトロフェニ
ル)−テトラゾリウムクロライド〕、3,3'−(3,3'−ジ
メトキシ−4,4'−ビフェニレン)−ビス(2,5−ジフェニ
ル−テトラゾリウムクロライド、2−(p−ニトロフェ
ニル)−3−(p−ヨードフェニル)−5−フェニル−
テトラゾリウムクロライド(INT)、3−(4,5−ジメチル
−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニル−テトラゾリウ
ムクロライド(4,5−MTT)、3−(4,5−ジメチル−2−ト
リアゾリル)−2,4−ジフェニル−テトラゾリウムクロ
ライド(MTT)、2,2',5,5'−テトラ−(p−ニトロフェ
ニル)−3,3'−(3−ジメトキシ−4−ジェフニレン)
−ジテトラゾリウムクロライド(TNBT)、2,3,5−トリフ
ェニル−テトラゾリウムクロライド(TT)、ネオテトラゾ
リウムクロライド(NT)などが挙げられる。
【0068】この反応系に添加される非イオン性界面活
性剤としては、この反応系の反応を阻害するような悪影
響を与えず、且つHLB約10以上の水溶性の非イオン性界
面活性剤が用いられる。好ましくは約11〜17のHLBを有
する非イオン性界面活性剤を使用するのが望ましい。例
えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキ
シエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステア
リルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、
ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシ
エチレントリデシルエーテルなどのポリオキシエチレン
アルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテ
ルなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテ
ル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエ
ーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
エーテル;ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリ
オキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモ
ノオレエートなどのポリオキシエチレンアルキルエステ
ル;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミ
テート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリ
ステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタン
セスキオレエート、ソルビタントリオレエート;グリセ
リンモノステアレート、プロピレングリコールモノステ
アレート、グリセリンモノオレエートなどのグリセリン
・プロピレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエ
チレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン
ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソル
ビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタ
ントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレ
エートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テル;
【0069】ポリオキシエチレンソルビトールモノラウ
レート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエ
ート、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサステアレ
ートなどのポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エス
テル;ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート
などのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;
ポリオキシエチレンステアリルアミンなどのポリオキシ
エチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレンステアリ
ルアミドなどのポリオキシエチレンアミド;ラウリン酸
ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド
などの脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン
硬化ヒマシ油誘導体などのポリオキシエチレンヒマシ油
誘導体;アデカノール(旭電化工業社製)などの第1級
アルコールエトキシレート;アデカトール(旭電化工業
社製)などの第2級アルコールエトキシレート;テトロ
ニック(旭電化工業社製)などのエチレンジアミンのポ
リオキシプロピレンポリオキシエチレンエーテルなどが
挙げられるが、プロニックF-68(旭電化工業社製)など
のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル、
ニッコールTO-10(日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエ
チレン(20)ソルビタンモノオレエート(和光純薬社
製)などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、アデカトール(旭電化
工業社製)などの第2級アルコールエトキシレートが好
ましい一例である。上記の非イオン性界面活性剤は1種
単独で使用してもよいし、また2種以上を組み合わせて
使用してもよい。
【0070】反応液中のL−カルニチン量の測定を実施
するための酵素および必要な試薬の濃度は、一般的に
は、次の濃度の範囲で適宜決定し、本反応系の反応を行
わせるのが望ましい。
【0071】
【表14】 緩衝剤 L−カルニチンデヒドロゲナーゼ 1〜30U/ml NAD+類(またはチオNAD+類) 0.1 〜5mM ジアホラーゼ 0.5 〜50U/ml テトラゾリウム塩 0.01〜0.1% 非イオン性界面活性剤 0.1 〜5%
【0072】上記の酵素および必要な試薬は、同一系ま
たは2以上からなる系として、水溶液状に保存してもよ
いし、また乾燥した粉末状に保存してもよい。特に凍結
乾燥により乾燥保存することが有利である。上記の酵素
および必要な試薬を安定に保存するためには、安定性に
悪影響を与えないような成分と共に保存するのが好まし
い。例えばL−カルニチンデヒドロゲナーゼと非イオン
性界面活性剤、NAD+類またはチオNAD+類とテトラゾリウ
ム塩、電子伝達剤とテトラゾリウム塩、非イオン性界面
活性剤とテトラゾリウム塩は互いにできるだけ同一系で
長期保存しない方が望ましい。
【0073】本反応系の反応を行うに当っては、通常37
℃付近で1分以上反応させればよい。上記反応におい
て、にごりが生じる場合には、反応液のにごりを除去す
る目的でKCl 、NaClなどの添加物を適宜添加して反応を
行ってもよい。
【0074】上記反応系におけるL−カルニチンの測定
は、反応によって生じたホルマザンの特異的吸収波長で
ある吸収波長域、例えば500〜550nm付近における極大吸
収波長域に基いて比色定量することにより求められる。
【0075】また、L−カルニチンの測定は、L−カル
ニチン含有反応液に、L−カルニチンデヒドロゲナー
ゼ、A1およびB1を含有する試薬を作用せしめて、次の反
応式、
【0076】
【化4】
【0077】(式中、A1はチオNAD類またはNAD類を示
し、A2はA1の還元型生成物を示し、B1はA1がチオNAD類
のときは還元型NAD類を、A1がNAD類のときは還元型チオ
NAD類を示し、B2はB1の酸化型生成物を示す)で表わさ
れるサイクリング反応を形成せしめ、該反応によって変
化するA2またはB1の量を測定することによっても行うこ
とができる。この反応系は感度が極めて高く、特に好ま
しい。
【0078】本反応系においてはA1がチオNAD類である
場合はB1がNADH類であり、またA1がNAD類である場合はB
1がチオNADH類であり、少なくとも一方がチオ型補酵素
であることが必要である。
【0079】A1およびB1の量は被検体中のL−カルニチ
ンの量に比較して過剰量であり、またL−カルニチンデ
ヒドロゲナーゼのA1およびB1それぞれに対するKm値に比
較しても過剰量であることが必要であり、特にL−カル
ニチン量の20〜10000倍モルが好ましい。
【0080】本反応系に用いるL−カルニチン測定用試
薬においては、A1およびB1の濃度は0.02〜100mM 、特に
0.05〜30mMが好ましく、L−カルニチンデヒドロゲナー
ゼの濃度は5〜200U/ml、特に10〜150U/mlが好ましい
が、これ以上の量を用いることもできる。
【0081】かかるL−カルニチン測定用試薬の調製に
あたって、使用できるL−カルニチンデヒドロゲナーゼ
に関しては、例えば補酵素としてNAD類(好ましくはNAD
またはチオNAD)を用いて、基質となるL−カルニチン
に対する反応性を有するものであればよく、これらの補
酵素と基質とを用いることにより確認できるものであ
る。例えば、アルカリゲネス エスピー(Alcaligenes s
p.)No.981の生産するL−カルニチンデヒドロゲナーゼ
(東洋醸造製)は、L−カルニチンを基質とした場合、
100mM トリス塩酸緩衝液(pH9.0)においては、補酵素に
チオNADを用いた時のNADを用いた時に対する相対活性は
15%程度である。また、同様の条件下でL−カルニチ
ン、NAD、チオNADに対するKm値はそれぞれ9.3mM 、0.14
mM、0.40mMである。
【0082】反応液組成については、使用するL−カル
ニチンデヒドロゲナーゼの各補酵素間の相対活性等を考
慮して2種の補酵素を適宜選択し、その後正反応と逆反
応の至適pHの間のpH条件を適宜調整して、正反応/逆反
応の反応速度比が1に近づくようにpH条件を設定すれば
よい。
【0083】尚、本発明においてL−カルニチンデヒド
ロゲナーゼは単独でも、適宜2種以上を組み合わせて用
いてもよい。
【0084】斯くして、調製された本反応系のL−カル
ニチン測定用試薬によって反応液中のL−カルニチン量
を測定するには、例えば上記成分1)〜3)を含有する
試薬に反応液0.001〜0.5mlを加え、約37℃の温度にて反
応させ、反応開始一定時間後の2点間の数分ないし数十
分間、例えば3分後と4分後の1分間または3分後と8
分後の5分間における生成されたA2の量または消費され
たB1の量を、それぞれの吸収波長に基づく吸光度の変化
によって測定すればよい。また同様に、反応開始後、一
定時間後(例えば10分後)に酵素反応を停止させ、しか
る後に吸光度の変化を測定してもよい。例えば、A2がチ
オNADH、B1がNADHの場合、A2の生成を400nmの吸光度
〔分子吸光係数:11200M-1cm-1(Methods in Enzymology
vol. 55 P.261 (1979) 〕の増加により測定するか、あ
るいはB1の消費を340nmの吸光度〔分子吸光係数:6220M
-1cm-1〕の減少により測定し、既知濃度のL−カルニチ
ンを用いて測定したときの値と比較すれば、被検液中の
L−カルニチンをリアルタイムで算出することができ
る。
【0085】また、本反応系による定量法は、反応液中
のL−カルニチンそのものを酵素サイクリング反応に導
くものであり、反応液中の共存物質の影響を受けにくい
ため、反応液のブランク測定を省略することができ、レ
イトアッセイによる簡便な測定を成し得る。
【0086】尚、本反応系においてはA2またはB1の測定
に当り、吸光度測定の代りに他の公知酵素測定法を使用
して定量を行うこともできる。また、本発明アシルカル
ニチンエステラーゼはアセチル−L−カルニチンおよび
プロピオニル−L−カルニチンの低級アシル−L−カル
ニチンに対して活性を有するので、従来のアシルカルニ
チンエステラーゼと本発明アシルカルニチンエステラー
ゼを組み合わせて用いれば、被検液中の低級アシル−L
−カルニチンのみを測定することができる。すなわち、
【0087】(a)アセチル−L−カルニチンおよびプ
ロピオニル−L−カルニチンを基質とせず、中鎖乃至長
鎖アシル−L−カルニチンに基質特異性を有し、当該中
鎖乃至長鎖アシル−L−カルニチンの1モルと水分子の
1モルから1モルの脂肪酸と1モルのL−カルニチンを
生成する反応を触媒するアシルカルニチンエステラーゼ
(以下、長鎖アシルカルニチンエステラーゼと略す)を
被検液に作用せしめて生成した脂肪酸または/およびL
−カルニチンを定量する工程、および
【0088】(b)本発明アシルカルニチンエステラー
ゼを被検液に作用せしめ、次いで生成した脂肪酸または
/およびL−カルニチンを定量する工程を行い、(c)
次いで、工程(a)と工程(b)との定量値の差異を測
定することにより被検液中の低級アシル−L−カルニチ
ンが測定できる。
【0089】本測定法の工程(a)で用いられる長鎖ア
シルカルニチンエステラーゼとしては、特に限定されな
いが、ラット由来のアシルカルニチンエステラーゼ等が
挙げられる。本測定法の工程(a)および工程(b)
は、いずれも前記と同様にして行われる。工程(a)と
工程(b)の定量値の差異を求めれば、当該差異が被検
液中の低級アシル−L−カルニチン量である。
【0090】また、(α)被検液に長鎖アシルカルニチ
ンエステラーゼを作用せしめ、生成したL−カルニチン
にL−カルニチンデヒドロゲナーゼおよびA1(但しA1
チオNAD類またはNAD類を示す)を作用せしめてA1をA
2(A2はA1の還元型生成物を示す)となし、次いで生成
したA2を分解せしめ、(β)得られた反応液に本発明ア
シルカルニチンエステラーゼを作用せしめ、次いで当該
反応によって生成したL−カルニチンを定量することに
よっても被検液中の低級アシル−L−カルニチンを測定
することができる。
【0091】本測定法の工程(α)の反応は、前述と同
様にして行うことができる。また工程(α)におけるA2
の分解は、例えば酸性条件下37℃程度の加温ないしそれ
以上の加熱により行われ、これにより前処理すべきL−
カルニチン相当量を分解消去できる。かかるA2の分解に
より、反応液中には、被検液中の遊離L−カルニチンお
よび中鎖乃至長鎖アシル−L−カルニチン由来のL−カ
ルニチンが存在せず、低級アシル−L−カルニチンのみ
が残存している。従って、当該反応液に工程(β)を行
えば、被検液中の低級アシル−L−カルニチンが測定で
きる。なお、工程(β)の反応は前記と同様に行うこと
ができる。
【0092】
【発明の効果】上記のアシルカルニチンエステラーゼは
ラット肝臓由来のものと比べて少なくともアセチル−L
−カルニチン及びプロピオニル−L−カルニチンからな
る群より選ばれた低級アシル−L−カルニチンに、基質
特異性を有するという特徴を有し、かつ種々のアシル−
L−カルニチンに対するKm値も低い上に安定性にも優れ
ているので、これを用いる優れたアシルカルニチン測定
法を提供することができた。
【0093】
【実施例】次に、参考例および実施例を挙げて本発明を
具体的に説明するが、これにより本発明を限定するもの
ではない。
【0094】参考例1 アルカリゲネス エスピーNo.981の培養 KH2PO4 0.2
%、K2PO4 0.4%、MgSO4・7H2O 0.05%、FeSO4・7H2O
0.002%、MnSO4・nH2O 0.002%、酵母エキス(極東製薬
社製)0.1%を含む液体培地(pH7.0)100mlを500ml容三角
フラスコに分注し、120℃、20分間加熱滅菌した後に、
濾過滅菌しておいた10%オクタノイル−DL−カルニチン
(シグマ社製)を5ml無菌的に添加し、これに、アルカ
リゲネスエスピーNo.981の1白金耳を接種し28℃、120
r.p.m.の振とう培養器で72時間培養した。三角フラスコ
5本で培養し、培養物470mlを得た。
【0095】参考例2 アシルカルニチンエステラーゼの分離精製 470ml分の培養液を遠心分離して、集菌し、100mMトリス
緩衝液(pH8.0)50mlに懸濁した。これを超音波破砕器
(クボタ社製)を用いてホモジネイトした後に15,000r.
p.m.で10分間遠心分離して上清45ml(0.3U/ml)を得
た。得られた粗酵素液を60℃、30分間加熱処理した後に
15,000r.p.m.で上清44ml(0.3U/ml)を得た。得られた
酵素液を50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で緩衝化したDE
AE−セファロース CL-6B(ファルマシア社製)20mlのカ
ラムに通し、0.1M KClを含んだ50mMトリス緩衝液(pH8.
0)100mlを流した後に、0.25M KClを含んだ50mMトリス塩
酸緩衝液(pH8.0)で溶出し、酵素液25ml(0.47U/ml)を
得た。得られた酵素液を50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)
5lに対して一晩、5℃で透析し酵素液28ml(0.41U/m
l、回収率85%) を得た。次いで、その20mlを凍結乾燥
して粉末80mg(0.1U/mg)を得た。
【0096】参考例3 L−カルニチンデヒドロゲナーゼ生産のためのアルカリ
ゲネス エスピーNo.981の培養 DL−塩化カルニチン(シグマ社製)3%、KH2PO4 0.2
%、K2HPO4 0.4%、MgSO 4・7H2O 0.05%、FeSO4・7H2O
0.002%、MnSO4・nH2O 0.001%を含む液体培地(pH7.0)
100mlを500ml容三角フラスコに分注し、120℃で20分間
加熱滅菌した後、これにアルカリゲネス エスピーNo.9
81の1白金耳を接種し、28℃で120r.p.m.の振とう培養
器で40時間培養して種母95ml(酵素活性1.2U/ml)を得
た。
【0097】一方、DL−塩化カルニチン(シグマ社製)
3%、酵母エキス(極東製薬社製)0.1%、K2HPO4 0.05
4%、KH2PO4 0.746%、MgSO4・7H2O 0.05%、CaCl2・2H
2O 0.002%、FeSO4・7H2O 0.002%、MnSO4・nH2O 0.002
%およびディスフォームCB442(日本油脂社製)1ml/l
を含む液体培地(pH7.0)20lを、30l容ジャーファーメ
ンターに仕込み、加熱滅菌した後、これに前記で得た種
母90mlを移植し、培養温度28℃、通気量20l/分、内圧
0.4kg/cm2 、攪拌速度200r.p.m. 、培養時間27時間の
培養条件で通気攪拌培養し、培養物19l(酵素活性3.0U
/ml)を得た。
【0098】参考例4 L−カルニチンデヒドロゲナーゼの分離精製 参考例3で得た培養物19lを遠心分離で集菌し、これに
0.1%リゾチームおよび15mMエチレンジアミン四酢酸ジ
ナトリウム塩(EDTA・2Na)を含む40mMトリス塩酸緩衝液
(pH8.0)5lを加え、37℃で1時間可溶化処理した。処
理液を遠心分離して沈澱物を除去し、上清4500ml(比活
性10.3U/ml)を得た。この上清に硫安1100gを溶解
し、生じた沈澱物を遠心分離して除去し、得られた上清
に再び硫安700gを溶解した。この処理液を遠心分離して
得た沈澱物40mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)500mlで溶解
した溶液(比活性84.1U/ml)を40mMトリス塩酸緩衝液
(pH8.0)10lに対して透析した。透析して得た酵素液を
40mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で緩衝化したDEAE−セフ
ァロースCL-6B(ファルマシア社製)200mlのカラムに通
し、0.1M KClを含む40mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)1l
を流した後、次いで0.3M KClを含む40mMトリス塩酸緩衝
液(pH8.0)で溶出し、酵素液300ml(比活性120.5U/m
l)を得た。得られた酵素液を40mMトリス塩酸緩衝液(p
H8.0)10lに対して透析した。透析して得た酵素液を40m
Mトリス塩酸緩衝液で緩衝化したハイドロキシルアパタ
イト(KOKEN社製)100mlのカラムに通し、40mMトリス塩酸
緩衝液(pH8.0)200mlを流した後、2mMリン酸緩衝液(p
H7.0)100mlで溶出し、酵素液100ml(比活性331U/ml)
を得た。得られた酵素液を20mMリン酸緩衝液(pH7.5)5
lに対して透析し、酵素液95ml(比活性331U/ml、回収
率67.8%)を得た。
【0099】本精製L−カルニチンデヒドロゲナーゼ中
のNADHオキシダーゼ活性は0.0001U/ml以下であった。
以上の如くして得られたL−カルニチンデヒドロゲナー
ゼの性状は以下の通りである。
【0100】(1)酵素作用 下記式に示すように、少なくともL−カルニチンおよび
NADから3−デヒドロカルニチンおよびNADHを生成する
反応を触媒する。
【0101】
【化5】
【0102】
【表15】(2)基質特異性 L−カルニチン 100% コリン 0 グリシンベタイン 0 グルコース 0 リジン 0
【0103】(3)分子量 51000±6000 トーソー社製TSKゲルG3000SW(0.75×60cm)による値、
溶出液;0.2M NaCl含有0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)、標
準品はオリエンタル酵母社製の次の分子量マーカーを使
用。
【0104】
【表16】 M.W. 12,400 シトクロムC M.W. 32,000 アデニレイトキナーゼ M.W. 67,000 エノラーゼ M.W. 142,000 ラクテートデヒドロゲナーゼ M.W. 290,000 グルタメートデヒドロゲナーゼ
【0105】(4)等電点 pH5.3±0.6 キャリアアンフォライトを用いる焦点電気泳動法により
4℃、700Vの定電圧で40時間通電した後、分画し、各画
分の酵素活性を測定した。
【0106】(5)Km値 100mM トリス塩酸緩衝液(pH9.0)、 5Uジアフォラーゼ(東洋醸造社製)、 0.025%NBT(和光純薬工業社製)、 1% Tween80(和光純薬工業社製)、 50mM L−カルニチン
【0107】を含む反応液中でNAD+の濃度を変化させ
て、NAD+に対するKm値を測定した結果では、0.141mMと
いう値を示した。
【0108】一方、前記反応液中で50mM L−カルニチ
ンの代わりに1mM NAD+を添加し、L−カルニチンの濃
度を変化させてL−カルニチンに対するKm値を測定した
結果では、9.3mMという値を示した。
【0109】(6)熱安定性 本酵素液(1.00U/ml)を20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)
で調製し、1時間の加熱処理後、その残存活性を後記の
酵素活性測定法に従って測定した結果、酵素活性は少な
くとも45℃までは安定であった。
【0110】(7)至適温度 100mM トリス塩酸緩衝液(pH9.0)を用い、5℃における
2週間の保存安定性を測定した。その結果、前記3株の
L−カルニチンデヒドロゲナーゼ産生公知属菌より得ら
れたL−カルニチンデヒドロゲナーゼは、1週間後の残
存活性が53〜40%、2週間後には残存活性が45%以下に
なっている。特にシュードモナス アエルギノーサIFO
13130 由来の酵素は21%と特に安定性が悪いものであっ
た。これに対し、本発明のL−カルニチンデヒドロゲナ
ーゼは、1週間後の残存活性が96%で、2週間後の残存
活性は82%であり、L−カルニチンデヒドロゲナーゼ産
生公知属菌由来の酵素より格段に安定性の良い性質を有
している。また、この保存安定性試験において0.05mM
のNAD+を共存させた時には、その残存活性が1週間後で
は99.7%、2週間後では95.1%とより安定性が良くなっ
ており、NAD+の安定性効果があることが分かった。
【0111】(8)L−カルニチンデヒドロゲナーゼの
酵素活性測定法 1)反応液組成 50mMトリス塩酸緩衝液(pH9.0)、 1mM NAD+ 、 5Uジアフォラーゼ(東洋醸造社製)、 0.025%NBT (和光純薬工業社製)、 100mM 塩化カリウム、 0.5%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエー
ト(和光純薬工業社製)、 100mM L−カルニチン(シグマ社製)、
【0112】2)酵素活性測定 上記の反応液1mlを小試験管に入れ、37℃で5分間イン
キュベートした後に、適当に希釈した酵素液0.02mlを添
加して攪拌し、反応を開始する。正確に10分間反応の後
に、0.1N 塩酸2.0mlを添加して攪拌し、反応を停止し
て、A550nmを測定して吸光度A1を求める。上記反応液よ
りL−カルニチンを除いた反応液を用いて同様の測定を
行い、その吸光度A0を求める。
【0113】
【数3】
【0114】実施例1 本発明アシルカルニチンエステラーゼを用いたオクタノ
イル−L−カルニチンの加水分解と水酸化カリウム溶液
を用いた加水分解の比較。0.1mM 、0.2mM 、0.3mM 、0.
4mM 、0.5mM になるように50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.
0)でオクタノイル−L−カルニチンを調製し、それぞれ
1mlを小試験管に分注し、37℃、5分間インキュベイト
した後に実施例2の酵素液(0.41U/ml)を0.1 ml添加し
15分間インキュベイトした後に予め1mlを小試験管で37
℃にインキュベイトしておいたL−カルニチンの測定法
A の反応液に0.05mlずつ添加し2分間インキュベイトし
た後に0.1N塩酸溶液2mlを添加し、A550nmを測定した。
また同様のオクタノイル−L−カルニチン溶液1mlに10
N の水酸化カリウム1mlを添加し、37℃、2時間インキ
ュベイトした後に、10N の塩酸1mlを添加して中和し、
その0.15mlをL−カルニチンの測定法A の反応液1mlに
添加し、同様にしてA5 50nmを測定した。その結果を図5
に示した。本酵素によって、オクタノイル−L−カルニ
チンが完全に加水分解されているのがわかる。
【0115】
【表17】 図5中 本発明アシルカルニチンエステラーゼを用いた値 −○− 水酸化カリウムを用いた値 −△− 理論値 −●−
【0116】実施例2 血清中のアシル−L−カルニチンの測定 まず健常人男子5名の血清の遊離のL−カルニチンをL
−カルニチンの測定法Aを用いて測定した。同様の血清
1mlに10Nの水酸化カリウム1mlを添加して、37℃、2
時間インキュベイトした後に10Nの塩酸1mlを添加して
中和し、これを用いて総カルニチン量を測定した。また
別に血清1mlに本発明アシルカルニチンエステラーゼ1
mg(0.1U/mg)を添加し37℃、15分間インキュベイトし
た後に、これを用いて総カルニチン量を測定した。これ
らの結果を表18に示した。本発明酵素を用いること
で、高濃度の水酸化カリウムを使用したのと同様にアシ
ル−L−カルニチンが加水分解されているのがわかる。
【0117】
【表18】
【0118】参考例5 ラット肝臓からのアシルカルニチンエステラーゼの精製 アルカリゲネス属細菌由来の本発明アシルカルニチンエ
ステラーゼと比較するために、S. Mahadevan & F. Saue
r らの方法〔J. Biol. Chem., 244 No.16, 4448-4453
(1969 )〕によりラットの肝臓より酵素の精製を行っ
た。50gの肝臓からホモジネイト、DEAE−セルロース(W
hatman DE-52)、セファデックスG-200(ファルマシア社
製)を用いて精製し、凍結乾燥品101.6mg(0.0364U/m
g)を得た。
【0119】参考例6 参考例5の酵素を用いてアセチル−L−カルニチン、プ
ロピオニル−L−カルニチン、オクタノイル−L−カル
ニチン、デカノイル−L−カルニチン、パルミトイル−
L−カルニチンに対する相対活性比とKm値を測定した結
果を表19に示した。アセチル−L−カルニチンおよび
プロピオニル−L−カルニチンの低級アシル−L−カル
ニチンには活性を示さず、他の中鎖乃至長鎖アシル−L
−カルニチンに対して作用し、そのKm値はすべて文献通
りに10-3M台の大きな値を示した。
【0120】
【表19】
【0121】実施例3 参考例5の酵素を用いて熱安定性の検討を行った。100m
M トリス塩酸緩衝液(pH8.0)を用いて0.1U/mlに調製
し、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃で30分間加熱
処理をした後の残存活性を測定した結果は図6に示した
通りであって、50℃ですでに61%まで活性は低下してい
る。
【0122】
【表20】 図6中 ラット肝臓由来 −●− 本発明酵素 −○−
【0123】実施例4 参考例2の本発明酵素と参考例5のラット肝臓由来の酵
素の添加量を変えて0.02mMのオクタノイル−L−カルニ
チンを含んだ100mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)1mlを37
℃、15分間の反応で加水分解したときの生成されるL−
カルニチン量を測定した結果は図7に示した通りで本発
明酵素は0.01U/mlでほぼ反応は完了しているが、ラッ
ト肝臓由来の酵素は0.6U/mlでも反応は完了していな
い。
【0124】実施例5 本発明酵素とラットの肝臓より精製した酵素を用いてア
シル−L−カルニチンの分別定量を試みた。アセチル
−、プロピオニル−、ヘキサノイル−、オクタノイル
−、デカノイル−、ラウロイル−、ミリストイル−、パ
ルミトイル−、ステアロイル−の各アシル−L−カルニ
チン1mMを含有する 100mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)
1mlに本発明酵素を0.1U(1mg)添加し、37℃、30分間
インキュベイトした。また別にラットの肝臓より精製し
た酵素を1U(27.5mg)添加し37℃、30分間インキュベイ
トした。それぞれの反応液0.01mlを予め37℃、5分間イ
ンキュベイトしておいたL−カルニチンの測定法A の反
応液1mlに添加し37℃、2分間インキュベイトの後に0.
1N塩酸2mlを添加し、A550nmを測定し生成されたL−カ
ルニチンを測定した。次にこのときラットの肝臓の酵素
で処理した反応液に続けて本発明酵素を0.1U添加し37
℃、30分間インキュベイトした後にその反応液0.01mlを
用いて前述と同様にしてA550nmを測定し生成されたL−
カルニチンを測定した結果を表21に示した。その結
果、本発明酵素を用いて全てのアシル−L−カルニチン
が理論量完全に加水分解されていると考えられる。ま
た、ラットの肝臓より精製した酵素を用いた結果は特異
性通りにアセチル−、プロピオニル−以外のアシル−L
−カルニチンは完全に加水分解していると考えられ、次
に本発明酵素を添加することによって残されたアセチル
−、プロピオニル−L−カルニチンが完全に加水分解さ
れていると考えられた。
【0125】
【表21】
【0126】実施例6 血清中のアシル−L−カルニチンの分別定量を本発明酵
素およびラットの肝臓の酵素を用いて試みた。健常人男
子(実施例4表中のサンプル1)の血清1mlにラットの
肝臓より精製した酵素を1U(27.5mg)添加し37℃、30分
間インキュベイトし加水分解反応液1を調製した。予め
37℃で5分間インキュベイトしておいたL−カルニチン
の測定法A の反応液1mlに加水分解反応液1を0.1ml添
加し37℃、5分間のインキュベイトの後にA550nmを測定
した(A550nm=0.121)。次に加水分解反応液1 0.9mlに
本発明酵素0.09U(0.9mg)を添加し37℃、30分間インキ
ュベイトし加水分解反応液2を調製した。加水分解反応
液1と同様にして加水分解反応液2 0.1mlを用いてA
550nmを測定した(A550nm=0.142)。この結果実験に供
した男子1の血清中のカルニチンのプロフィールは表2
2のようになると考えられる。
【0127】
【表22】
【0128】実施例7 (反応液)
【0129】〔Ia〕 20mM Tris-HCl(pH8.0) 0.2% ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエ
ート(和光純薬工業社製)
【0130】〔Ib〕 20mM Tris-HCl(pH8.0) 0.2% ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエ
ート 0.2U/ml アシル−L−カルニチンエステラーゼ(アル
カリゲネス エスピーNo. 981;東洋醸造社製)
【0131】〔Ic〕 20mM Tris-HCl(pH8.0) 0.2% ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエ
ート 1U/ml アシル−L−カルニチンエステラーゼ(ラット
肝臓由来)
【0132】〔II〕200mM Tris-HCl(pH9.5) 8mM チオNAD(シグマ社製) 0.2mM NADH(オリエンタル酵母社製) 370U/ml L−カルニチンデヒドロゲナーゼ(アルカリ
ゲネス エスピーNo.981; 東洋醸造社製)
【0133】実施例6に用いたのと同じ健常人男子サン
プル1の血清25mlに予め、37℃にて予備加温してある
〔Ia〕液0.5mlと〔II〕液0.5mlを加え37℃にて加温し
た。〔II〕液添加後の3分目と5分目の400nmにおける
吸光度を読み取りその差を計算した(A(mAbs))。同様の
操作を〔Ib〕液についても実施し、吸光度差を求めた
(B) 。血清の代わりに、それぞれ蒸留水、50μM L−カ
ルニチン標準溶液を用い〔Ia〕を用いて、同様の操作
を実施し、RB 、S を得た。以上の結果より遊離L−カ
ルニチン、総カルニチン濃度を以下の計算式により求め
た。
【0134】
【数4】
【0135】更に、アセチル−およびプロピオニル−L
−カルニチンには作用しないラット肝臓由来のアシル−
L−カルニチンエステラーゼを含む〔Ic〕液0.5mlに
前記血清25mlを添加し、37℃、30分間加温しアセチル
−、プロピオニル−L−カルニチン以外のアシル−L−
カルニチンを水解させた後、〔II〕液を0.5ml加えて37
℃に加温し、〔II〕液添加後3分目と5分目の400nmに
おける吸光度を読み取りその差を求めた(C)。アセチル
−およびプロピオニル−L−カルニチンを含まない総カ
ルニチン濃度を次式により算出した。
【0136】
【数5】
【0137】それぞれの結果を下表にまとめた。この結
果、サンプル1の血清カルニチンのプロフィールは、実
施例6の結果とほぼ一致した。400nmにおける3分目と
5分目の吸光度差
【0138】
【表23】
【0139】
【表24】
【0140】実施例8
【表25】反応液 40mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0) 0.5% ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエ
ート(和光純薬工業社製) 5mM NAD+ 50U L−カルニチンデヒドロゲナーゼ(アルカリゲネス
エスピー、No.981由来、東洋醸造社製) 0.1mM アセチル−L−カルニチン 0.1mM オクタノイル−L−カルニチン
【0141】操作と結果 上記、反応液1mlを小試験管に分取し、37℃、5分間イ
ンキュベイトした後にラットの肝臓から精製したアシル
カルニチンエステラーゼを1U(27.5mg)添加し、37℃で
30分間インキュベイトした後にA340nmを測定した(A
340nm=0.561)。ここに5Nの塩酸を0.025ml添加し、37
℃で15分間インキュベイトした後に5N水酸化カリウム
0.025mlを添加して中和しA340nmを測定した(A340nm=0.
08)。この反応液に新たに500mM NAD+を0.01ml、5000U
/ml L−カルニチンデヒドロゲナーゼを0.01ml、及び
本発明酵素を0.1U(1mg)添加し、37℃、30分間インキ
ュベイトした後にA340nmを測定した(A340nm=0.594)。
【0142】このように、まずラットの肝臓由来の酵素
を用いてオクタノイル−L−カルニチンを加水分解し、
生成されたL−カルニチンをL−カルニチンデヒドロゲ
ナーゼとNAD+を用いてデヒドロカルニチンとNADHに変換
した後に、生成されたNADHを塩酸を用いて酸分解して消
去した後に、新たにL−カルニチンデヒドロゲナーゼと
NAD+、及び本発明酵素を添加することでアセチル−L−
カルニチンを良好に測定することができた。
【0143】実施例9
【表26】<反応液組成> 50mM Glycine-NaOH(pH10.0) 5mM チオ-NAD(シグマ社製) 30U/ml L−カルニチンデヒドロゲナーゼ(アルカリ
ゲネス エスピーNo.981 由来、東洋醸造社製) 0.5% ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエ
ート(和光純薬社製) 0.1M 塩化ナトリウム
【0144】各々250μM のL−カルニチンとアセチル
−L−カルニチンの混合溶液を50mMトリス塩酸緩衝液
(pH8.0)で調製した。このものを同じく50mMトリス塩酸
緩衝液(pH8.0)で5段階に希釈したものをサンプルとし
た。これら、5種類のサンプルをそれぞれ2本の試験管
に0.5mlずつ分注し、37℃にて予備加温し、一方に実施
例2のアシルカルニチンエステラーゼ酵素液(0.41U/m
l)を0.05ml加え(酵素処理したもの)、他方には蒸留
水を0.05ml添加し(酵素処理しないもの)、37℃15分間
加温した。予め37℃にて予備加温してある上記組成の反
応液1mlの中に、酵素処理したもの(図8中−○−)、
酵素処理しないもの(図8中−●−)それぞれにつき0.
1mlずつを添加して37℃10分間加温したのち400nmにおけ
る吸光度を測定した。サンプルの代わりに50mMトリス塩
酸緩衝液(pH8.0)を用いたものをブランクとしてそれぞ
れの吸光度からブランクの吸光度を差し引いた値を図8
に示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明アシルカルニチンエステラーゼの至適
pHを示す図面である。
【図2】 本発明アシルカルニチンエステラーゼのpH安
定性を示す図である。
【図3】 本発明アシルカルニチンエステラーゼの至適
温度を示す図面である。
【図4】 本発明アシルカルニチンエステラーゼの熱安
定性を示す図面である。
【図5】 本発明アシルカルニチンエステラーゼ(○)
及び水酸化カリウム(△)のオクタノイル−L−カルニ
チンの加水分解能を示す図面である。
【図6】 ラット肝臓由来のアシルカルニチンエステラ
ーゼ(●)および本発明アシルカルニチンエステラーゼ
(○)の熱安定性を示す図面である。
【図7】 ラット肝臓由来のアシルカルニチンエステラ
ーゼ(●)と本発明アシルカルニチンエステラーゼ
(○)のオクタノイル−L−カルニチンに対する活性を
示す図面である。
【図8】 L−カルニチンとアセチル−L−カルニチン
の混合溶液における定量曲線を示す図面である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12Q 1/44 C12N 9/18 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検液に、少なくともアセチル−L−カ
    ルニチンおよびプロピオニル−L−カルニチンからなる
    群より選ばれた低級アシル−L−カルニチン並びに長鎖
    アシル−L−カルニチンであるパルミトイル−L−カル
    ニチンに基質特異性を有し、当該低級乃至長鎖アシル−
    L−カルニチンの1モルと水分子の1モルから1モルの
    脂肪酸と1モルのL−カルニチンを生成する反応を触媒
    するアシルカルニチンエステラーゼを作用せしめ、次い
    で生成した脂肪酸または/およびL−カルニチンを定量
    することを特徴とする被検液中のアシル−L−カルニチ
    ンの測定法。
  2. 【請求項2】 被検液中のアセチル−L−カルニチンお
    よびプロピオニル−L−カルニチンからなる群より選ば
    れた少なくとも1種の低級アシル−L−カルニチンの測
    定において、 (a)アセチル−L−カルニチンおよびプロピオニル−
    L−カルニチンを基質とせず、中鎖乃至長鎖アシル−L
    −カルニチンに基質特異性を有し、当該中鎖乃至長鎖ア
    シル−L−カルニチンの1モルと水分子の1モルから1
    モルの脂肪酸と1モルのL−カルニチンを生成する反応
    を触媒するアシルカルニチンエステラーゼを被検液に作
    用せしめて生成した脂肪酸または/およびL−カルニチ
    ンを定量する工程、および (b)少なくともアセチル−L−カルニチンおよびプロ
    ピオニル−L−カルニチンからなる群より選ばれた低級
    アシル−L−カルニチン並びに長鎖アシル−L−カルニ
    チンであるパルミトイル−L−カルニチンに基質特異性
    を有し、当該低級乃至長鎖アシル−L−カルニチンの1
    モルと水分子の1モルから1モルの脂肪酸と1モルのL
    −カルニチンを生成する反応を触媒するアシルカルニチ
    ンエステラーゼを被検液に作用せしめ、次いで生成した
    脂肪酸または/およびL−カルニチンを定量する工程を
    行い、 (c)次いで、工程(a)と工程(b)との定量値の差
    異を測定することを特徴とする、被検液中のアセチル−
    L−カルニチンおよびプロピオニル−L−カルニチンか
    らなる群より選ばれた少なくとも1種の低級アシル−L
    −カルニチンの測定法。
  3. 【請求項3】 工程(a)に使用するアセチル−L−カ
    ルニチンおよびプロピオニル−L−カルニチンを基質と
    せず、中鎖乃至長鎖アシル−L−カルニチンに基質特異
    性を有し、当該中鎖乃至長鎖アシル−L−カルニチンの
    1モルと水分子の1モルから1モルの脂肪酸と1モルの
    L−カルニチンを生成する反応を触媒するアシルカルニ
    チンエステラーゼが、ラット由来のアシルカルニチンエ
    ステラーゼである請求項2記載の測定法。
  4. 【請求項4】 生成したL−カルニチンの定量が、反応
    液にL−カルニチンデヒドロゲナーゼ、NAD類または
    チオNAD類、および必要に応じて非イオン性界面活性
    剤を含有する試薬を作用せしめて、反応にて生成する還
    元型NAD類または還元型チオNAD類の量の測定であ
    る請求項1または2記載の測定法。
  5. 【請求項5】 生成した脂肪酸の定量が、液体クロマト
    グラフィーまたはガスクロマトグラフィーにより行われ
    るものである請求項1または請求項2記載の測定法。
  6. 【請求項6】 被検液中のアセチル−L−カルニチンお
    よびプロピオニル−L−カルニチンからなる群より選ば
    れた少なくとも1種の低級アシル−L−カルニチンの測
    定において、 (α)アセチル−L−カルニチンおよびプロピオニル−
    L−カルニチンを基質とせず、中鎖乃至長鎖アシル−L
    −カルニチンに基質特異性を有し、当該中鎖乃至長鎖ア
    シル−L−カルニチンの1モルと水分子の1モルから1
    モルの脂肪酸と1モルのL−カルニチンを生成する反応
    を触媒するアシルカルニチンエステラーゼを被検液に作
    用せしめ、生成したL−カルニチンにL−カルニチンデ
    ヒドロゲナーゼおよびA(但しAはチオNAD類ま
    たはNAD類を示す)を作用せしめてAをA(A
    はAの還元型生成物を示す)となし、ついで生成した
    Aを分解せしめ、 (β)得られた反応液に、少なくともアセチル−L−カ
    ルニチンおよびプロピオニル−L−カルニチンからなる
    群より選ばれた低級アシル−L−カルニチン並びに長鎖
    アシル−L−カルニチンであるパルミトイル−L−カル
    ニチンに基質特異性を有し、当該低級乃至長鎖アシル−
    L−カルニチンの1モルと水分子の1モルから1モルの
    脂肪酸と1モルのL−カルニチンを生成する反応を触媒
    するアシルカルニチンエステラーゼを作用せしめ、次い
    で当該反応によって生成したL−カルニチンを定量する
    ことを特徴とする、被検液中のアセチル−L−カルニチ
    ンおよびプロピオニル−L−カルニチンからなる群より
    選ばれた少なくとも1種の低級アシル−L−カルニチン
    の測定法。
  7. 【請求項7】 工程(β)にて生成したL−カルニチン
    の定量が、反応液にL−カルニチンデヒドロゲナーゼ、
    NAD類またはチオNAD類、および必要に応じて非イ
    オン性界面活性剤を含有する試薬を作用せしめて、反応
    にて生成する還元型NAD類または還元型チオNAD類
    を測定することにより行われるものである請求項6記載
    の測定法。
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Anal.Biochem.,Vol.134(1983)p.459−466
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