JP2817427B2 - 強度および延性に優れたTiAl金属間化合物系Ti合金の製造法 - Google Patents
強度および延性に優れたTiAl金属間化合物系Ti合金の製造法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、TiAl金属間化合
物系Ti合金の強度および延性を向上させる方法に関す
るものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、軽量にして耐熱姓が要求される
タービンブレードや自動車のターボチャージャローター
などの部材の製造にTiAl金属間化合物系Ti合金の
適用が提案されており、その中でもAl:48原子%を
含有し、残りがTiおよび不可避不純物からなるTi合
金を真空中、温度:1300℃に三日間保持後放冷の条
件で焼鈍処理した状態での適用が考えられている。 【0003】さらに、「日本金属学会講演概要、236
〜237ページ、平成元年9月13日発行」には、A
l:40原子%を含有し、残りがTiおよび不可避不純
物からなるTi合金並びにAl:40原子%を含有し、
残りがTiおよび不可避不純物からなるTi合金の試料
を均質化処理後水冷して得られた溶体化処理材を時効処
理することによりα相(Ti固溶体相およびTi3 Al
固溶体相の総称)およびγ相(TiAl金属間化合物
相)からなるラメラー組織が得られることが記載されて
いる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公知の熱
処理を施してもTiAl金属間化合物系Ti合金の強度
および延性を十分に向上させることができなかった。そ
の原因として、上記熱処理を施したTiAl金属間化合
物系Ti合金の平均結晶粒径は260μm以上と大きく
かつα相およびγ相からなるラメラー組織の縞状γ相の
厚さが厚いことによるためであることが分かったのであ
る。 【0005】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
かかる観点から、TiAl金属間化合物系Ti合金の平
均結晶粒径を小さくし、かつ上記ラメラー組織の縞状γ
相の厚さを薄くすべく研究を行った結果、Al:38〜
50原子%を含有し、さらにCr,Ru,Mo,W,M
n,Ni,Cu,Fe,V,Nb,Ta,Ag,Coの
うちの1種または2種以上を合計で0.1〜5原子%を
含有し、残りがTiおよび不可避不純物からなるTiA
l金属間化合物系Ti合金を、所定の温度に加熱保持し
て溶体化処理を施し、続いて、α相単相温度領域内の所
定の温度に保持する熱処理(以下、α単相化処理とい
う)を施したのち、β相単相温度領域内の所定の温度に
昇温保持する熱処理(以下、β単相化処理という)を繰
り返し行うサイクル熱処理を施すと、組織の結晶粒径が
微細化してTiAl金属間化合物系Ti合金の強度およ
び延性が向上し、さらに、この微細化した組織を有する
TiAl金属間化合物系Ti合金に1150〜1300
℃内の所定の温度:Tに所定時間保持後冷却のα溶体化
処理を施し、ついで650℃〜(T−100)℃の範囲
内の所定の温度に所定時間保持後急冷の時効処理を施す
と、ラメラー組織の縞状γ相の厚さが薄くなり、TiA
l金属間化合物系Ti合金の強度および延性を一層向上
させることができるという知見を得たのである。 【0006】この発明は、かかる知見に基づいて成され
たものであって、(1)Al:38〜50原子%を含有
し、さらにCr,Ru,Mo,W,Mn,Ni,Cu,
Fe,V,Nb,Ta,Ag,Coのうちの1種または
2種以上を合計で0.1〜5原子%を含有し、残りがT
iおよび不可避不純物からなるTiAl金属間化合物系
Ti合金を、所定の温度に加熱保持して溶体化処理を施
し、続いてα単相化処理およびβ単相化処理の繰り返し
行うサイクル熱処理を施す強度および延性に優れたTi
Al金属間化合物系Ti合金の製造法、並びに(2)A
l:38〜50原子%を含有し、さらにCr,Ru,M
o,W,Mn,Ni,Cu,Fe,V,Nb,Ta,A
g,Coのうちの1種または2種以上を合計で0.1〜
5原子%を含有し、残りがTiおよび不可避不純物から
なるTiAl金属間化合物系Ti合金を、所定の温度に
加熱保持して溶体化処理を施し、続いてα単相化処理お
よびβ単相化処理の繰り返し行うサイクル熱処理を施
し、さらに1150〜1300℃内の所定の温度:Tに
所定時間保持後冷却のα溶体化処理を施し、ついで65
0℃〜(T−100)℃の範囲内の所定の温度に所定時
間保持後急冷の時効処理を施す強度および延性に優れた
TiAl金属間化合物系Ti合金の製造法、に特徴を有
するものである。 【0007】この発明では、TiAl金属間化合物系T
i合金を、まず所定の温度に加熱保持して溶体化処理を
十分に行うが、この溶体化処理は、α相単相温度領域内
の所定の温度に保持してα溶体化処理を施してもよい
が、β相単相温度領域内の所定の温度に保持してβ溶体
化処理を施す方が好ましく、上記β相単相温度領域内の
内でも1300℃超〜1500℃内の所定の温度である
ことが一層好ましい。1300℃以下で溶体化処理して
もα相が残り、β溶体化処理したことにはならず、一
方、1500℃を越えた高温では、液相が現れて不均一
な組織となるので好ましくないことによるものである。 【0008】かかる溶体化処理を施したのち、この温度
からα相単相温度領域に降温し、α単相化処理して最密
六方晶であるα相とし、再びβ相単相温度領域に昇温
し、β単相化処理して体心立方晶であるβ相とし、α相
単相温度領域→β相単相温度領域→α相単相温度領域→
β相単相温度領域となるように加熱保持および冷却保持
のサイクル熱処理を施すことにより、TiAl金属間化
合物系Ti合金の結晶構造をα相(最密六方晶)とβ相
(体心立方晶)との間を往復せしめ、それにより結晶粒
を微細化させるのである。 【0009】このようにして微細化した結晶粒を有する
組織を持ったTiAl金属間化合物系Ti合金を、さら
に1150〜1300℃内の所定の温度:Tに所定時間
保持後50℃/min 以上の冷却速度で冷却のα溶体化処
理を施し、ついで650℃〜(T−100)℃の範囲内
の所定の温度に所定時間保持後50℃/min 以上の冷却
速度で急冷の時効処理を施すと、ラメラー組織の縞状γ
相の厚さが一層薄くなり、TiAl金属間化合物系Ti
合金の強度および延性を一層向上させることができる。 【0010】TiAl金属間化合物系Ti合金のAl含
有量は、38原子%未満ではラメラー組織を確保するこ
とができず、一方、50原子%を越えるとβ相単相領域
が存在しなくなるのでこの発明の方法を実施することが
できない。したがって、この発明の方法で用いるTiA
l金属間化合物系Ti合金のAl含有量は、38〜50
原子%に定めた。このTiAl金属間化合物系Ti合金
のサイクル熱処理は、α相単相温度領域とβ相単相温度
領域の間を往復するように加熱冷却を繰り返すことによ
り行われるが、α相単相温度領域→β相単相温度領域へ
の加熱速度およびβ相単相温度領域→α相単相温度領域
への冷却速度は、大きい方が好ましく、いずれも10℃
/sec 以上であることが一層好ましい。 【0011】さらに上記結晶粒を微細化したTiAl金
属間化合物系Ti合金のラメラー組織におけるγ相の薄
状化は、α相単相温度領域内の1150〜1300℃内
の所定の温度:Tに保持してα溶体化処理を施したの
ち、50℃/min 以上の冷却速度で650℃〜(T−1
00)℃の時効処理温度まで冷却し、この時効処理温度
に冷却した後、50℃/min 以上の冷却速度で冷却する
とラメラー組織におけるγ相の厚さが1.2μm以下に
薄くすることができ、強度および伸びが大幅に向上す
る。 【0012】 【実施例】この発明を実施例に基づいて具体的に説明す
る。 【0013】通常のアーク炉を用い、アルゴン雰囲気中
でそれぞれ表1に示されるような成分組成を有する溶湯
を調製し、セラミック鋳型を用いて遠心鋳造し、たて:
12mm、横:12mm、長さ:70mmの寸法を有するTi
Al金属間化合物系Ti合金材(以下、Ti合金材とい
う)A〜Oを作製した。 【0014】 【表1】 【0015】このTi合金材A〜Oを表2に示される条
件で溶体化処理を施したのち、表2に示されるα相単相
温度領域内の温度に表2に示される時間保持してα単相
化処理し、ついで表2に示されるβ相単相温度領域内の
温度に表2に示される時間保持してβ単相化処理し、こ
のα単相化処理→β単相化処理を1サイクルとして表2
に示されるサイクル数だけ繰り返し、本発明法1〜15
を実施し、得られたTi合金材の組織および機械的特性
を測定してその結果を表3に示した。 【0016】 【表2】【0017】 【表3】 【0018】さらに、上記本発明法1〜15を実施した
Ti合金材をさらに表4および表5に示される条件でラ
メラー層微細化処理を施して本発明法16〜30を実施
し、得られたTi合金材の組織および機械的特性を測定
してその結果を表6に示した。 【0019】さらに比較のために、Al:48原子%、
残りTiおよび不可避不純物からなるTi合金を、真空
中、温度:1300℃、3日間保持後空冷の焼鈍処理を
施して従来法を実施し、得られたTi合金材の組織およ
び機械的特性を測定してその結果を表6に示した。 【0020】 【表4】【0021】 【表5】 【0022】 【表6】【0023】 【発明の効果】表3および表6の結果から、本発明法1
〜15を施したTi合金材は、いずれも従来法を施しT
i合金材よりも平均粒径が小さく、引張り強さおよび伸
びが優れており、さらに本発明法16〜30のラメラー
層微細化処理を施すことにより、引張り強さおよび伸び
が一層向上することがわかる。 【0024】したがって、この発明の製造法を用いるこ
とにより、強度および延性の優れたTiAl金属間化合
物系Ti合金を提供することができ、産業上優れた効果
を奏するものである。 【0025】なお、この発明の製造法は、Al:38〜
50原子%を含有し、さらにCr,Ru,Mo,W,M
n,Ni,Cu,Fe,V,Nb,Ta,Ag,Coの
うちの1種または2種以上を合計で0.1〜5原子%を
含有し、残りがTiおよび不可避不純物からなるTiA
l金属間化合物系Ti合金に、さらに、YおよびReの
うちの1種または2種:0.01〜3原子%を含有した
TiAl金属間化合物系Ti合金、YおよびReのうち
の1種または2種:0.01〜3原子%を含有し、さら
にSi:0.01〜1原子%およびC:0.01〜0.
2原子%のうちの1種または2種を含有したTiAl金
属間化合物系Ti合金、に対しても同様に優れた効果を
奏するものである。
物系Ti合金の強度および延性を向上させる方法に関す
るものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、軽量にして耐熱姓が要求される
タービンブレードや自動車のターボチャージャローター
などの部材の製造にTiAl金属間化合物系Ti合金の
適用が提案されており、その中でもAl:48原子%を
含有し、残りがTiおよび不可避不純物からなるTi合
金を真空中、温度:1300℃に三日間保持後放冷の条
件で焼鈍処理した状態での適用が考えられている。 【0003】さらに、「日本金属学会講演概要、236
〜237ページ、平成元年9月13日発行」には、A
l:40原子%を含有し、残りがTiおよび不可避不純
物からなるTi合金並びにAl:40原子%を含有し、
残りがTiおよび不可避不純物からなるTi合金の試料
を均質化処理後水冷して得られた溶体化処理材を時効処
理することによりα相(Ti固溶体相およびTi3 Al
固溶体相の総称)およびγ相(TiAl金属間化合物
相)からなるラメラー組織が得られることが記載されて
いる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公知の熱
処理を施してもTiAl金属間化合物系Ti合金の強度
および延性を十分に向上させることができなかった。そ
の原因として、上記熱処理を施したTiAl金属間化合
物系Ti合金の平均結晶粒径は260μm以上と大きく
かつα相およびγ相からなるラメラー組織の縞状γ相の
厚さが厚いことによるためであることが分かったのであ
る。 【0005】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
かかる観点から、TiAl金属間化合物系Ti合金の平
均結晶粒径を小さくし、かつ上記ラメラー組織の縞状γ
相の厚さを薄くすべく研究を行った結果、Al:38〜
50原子%を含有し、さらにCr,Ru,Mo,W,M
n,Ni,Cu,Fe,V,Nb,Ta,Ag,Coの
うちの1種または2種以上を合計で0.1〜5原子%を
含有し、残りがTiおよび不可避不純物からなるTiA
l金属間化合物系Ti合金を、所定の温度に加熱保持し
て溶体化処理を施し、続いて、α相単相温度領域内の所
定の温度に保持する熱処理(以下、α単相化処理とい
う)を施したのち、β相単相温度領域内の所定の温度に
昇温保持する熱処理(以下、β単相化処理という)を繰
り返し行うサイクル熱処理を施すと、組織の結晶粒径が
微細化してTiAl金属間化合物系Ti合金の強度およ
び延性が向上し、さらに、この微細化した組織を有する
TiAl金属間化合物系Ti合金に1150〜1300
℃内の所定の温度:Tに所定時間保持後冷却のα溶体化
処理を施し、ついで650℃〜(T−100)℃の範囲
内の所定の温度に所定時間保持後急冷の時効処理を施す
と、ラメラー組織の縞状γ相の厚さが薄くなり、TiA
l金属間化合物系Ti合金の強度および延性を一層向上
させることができるという知見を得たのである。 【0006】この発明は、かかる知見に基づいて成され
たものであって、(1)Al:38〜50原子%を含有
し、さらにCr,Ru,Mo,W,Mn,Ni,Cu,
Fe,V,Nb,Ta,Ag,Coのうちの1種または
2種以上を合計で0.1〜5原子%を含有し、残りがT
iおよび不可避不純物からなるTiAl金属間化合物系
Ti合金を、所定の温度に加熱保持して溶体化処理を施
し、続いてα単相化処理およびβ単相化処理の繰り返し
行うサイクル熱処理を施す強度および延性に優れたTi
Al金属間化合物系Ti合金の製造法、並びに(2)A
l:38〜50原子%を含有し、さらにCr,Ru,M
o,W,Mn,Ni,Cu,Fe,V,Nb,Ta,A
g,Coのうちの1種または2種以上を合計で0.1〜
5原子%を含有し、残りがTiおよび不可避不純物から
なるTiAl金属間化合物系Ti合金を、所定の温度に
加熱保持して溶体化処理を施し、続いてα単相化処理お
よびβ単相化処理の繰り返し行うサイクル熱処理を施
し、さらに1150〜1300℃内の所定の温度:Tに
所定時間保持後冷却のα溶体化処理を施し、ついで65
0℃〜(T−100)℃の範囲内の所定の温度に所定時
間保持後急冷の時効処理を施す強度および延性に優れた
TiAl金属間化合物系Ti合金の製造法、に特徴を有
するものである。 【0007】この発明では、TiAl金属間化合物系T
i合金を、まず所定の温度に加熱保持して溶体化処理を
十分に行うが、この溶体化処理は、α相単相温度領域内
の所定の温度に保持してα溶体化処理を施してもよい
が、β相単相温度領域内の所定の温度に保持してβ溶体
化処理を施す方が好ましく、上記β相単相温度領域内の
内でも1300℃超〜1500℃内の所定の温度である
ことが一層好ましい。1300℃以下で溶体化処理して
もα相が残り、β溶体化処理したことにはならず、一
方、1500℃を越えた高温では、液相が現れて不均一
な組織となるので好ましくないことによるものである。 【0008】かかる溶体化処理を施したのち、この温度
からα相単相温度領域に降温し、α単相化処理して最密
六方晶であるα相とし、再びβ相単相温度領域に昇温
し、β単相化処理して体心立方晶であるβ相とし、α相
単相温度領域→β相単相温度領域→α相単相温度領域→
β相単相温度領域となるように加熱保持および冷却保持
のサイクル熱処理を施すことにより、TiAl金属間化
合物系Ti合金の結晶構造をα相(最密六方晶)とβ相
(体心立方晶)との間を往復せしめ、それにより結晶粒
を微細化させるのである。 【0009】このようにして微細化した結晶粒を有する
組織を持ったTiAl金属間化合物系Ti合金を、さら
に1150〜1300℃内の所定の温度:Tに所定時間
保持後50℃/min 以上の冷却速度で冷却のα溶体化処
理を施し、ついで650℃〜(T−100)℃の範囲内
の所定の温度に所定時間保持後50℃/min 以上の冷却
速度で急冷の時効処理を施すと、ラメラー組織の縞状γ
相の厚さが一層薄くなり、TiAl金属間化合物系Ti
合金の強度および延性を一層向上させることができる。 【0010】TiAl金属間化合物系Ti合金のAl含
有量は、38原子%未満ではラメラー組織を確保するこ
とができず、一方、50原子%を越えるとβ相単相領域
が存在しなくなるのでこの発明の方法を実施することが
できない。したがって、この発明の方法で用いるTiA
l金属間化合物系Ti合金のAl含有量は、38〜50
原子%に定めた。このTiAl金属間化合物系Ti合金
のサイクル熱処理は、α相単相温度領域とβ相単相温度
領域の間を往復するように加熱冷却を繰り返すことによ
り行われるが、α相単相温度領域→β相単相温度領域へ
の加熱速度およびβ相単相温度領域→α相単相温度領域
への冷却速度は、大きい方が好ましく、いずれも10℃
/sec 以上であることが一層好ましい。 【0011】さらに上記結晶粒を微細化したTiAl金
属間化合物系Ti合金のラメラー組織におけるγ相の薄
状化は、α相単相温度領域内の1150〜1300℃内
の所定の温度:Tに保持してα溶体化処理を施したの
ち、50℃/min 以上の冷却速度で650℃〜(T−1
00)℃の時効処理温度まで冷却し、この時効処理温度
に冷却した後、50℃/min 以上の冷却速度で冷却する
とラメラー組織におけるγ相の厚さが1.2μm以下に
薄くすることができ、強度および伸びが大幅に向上す
る。 【0012】 【実施例】この発明を実施例に基づいて具体的に説明す
る。 【0013】通常のアーク炉を用い、アルゴン雰囲気中
でそれぞれ表1に示されるような成分組成を有する溶湯
を調製し、セラミック鋳型を用いて遠心鋳造し、たて:
12mm、横:12mm、長さ:70mmの寸法を有するTi
Al金属間化合物系Ti合金材(以下、Ti合金材とい
う)A〜Oを作製した。 【0014】 【表1】 【0015】このTi合金材A〜Oを表2に示される条
件で溶体化処理を施したのち、表2に示されるα相単相
温度領域内の温度に表2に示される時間保持してα単相
化処理し、ついで表2に示されるβ相単相温度領域内の
温度に表2に示される時間保持してβ単相化処理し、こ
のα単相化処理→β単相化処理を1サイクルとして表2
に示されるサイクル数だけ繰り返し、本発明法1〜15
を実施し、得られたTi合金材の組織および機械的特性
を測定してその結果を表3に示した。 【0016】 【表2】【0017】 【表3】 【0018】さらに、上記本発明法1〜15を実施した
Ti合金材をさらに表4および表5に示される条件でラ
メラー層微細化処理を施して本発明法16〜30を実施
し、得られたTi合金材の組織および機械的特性を測定
してその結果を表6に示した。 【0019】さらに比較のために、Al:48原子%、
残りTiおよび不可避不純物からなるTi合金を、真空
中、温度:1300℃、3日間保持後空冷の焼鈍処理を
施して従来法を実施し、得られたTi合金材の組織およ
び機械的特性を測定してその結果を表6に示した。 【0020】 【表4】【0021】 【表5】 【0022】 【表6】【0023】 【発明の効果】表3および表6の結果から、本発明法1
〜15を施したTi合金材は、いずれも従来法を施しT
i合金材よりも平均粒径が小さく、引張り強さおよび伸
びが優れており、さらに本発明法16〜30のラメラー
層微細化処理を施すことにより、引張り強さおよび伸び
が一層向上することがわかる。 【0024】したがって、この発明の製造法を用いるこ
とにより、強度および延性の優れたTiAl金属間化合
物系Ti合金を提供することができ、産業上優れた効果
を奏するものである。 【0025】なお、この発明の製造法は、Al:38〜
50原子%を含有し、さらにCr,Ru,Mo,W,M
n,Ni,Cu,Fe,V,Nb,Ta,Ag,Coの
うちの1種または2種以上を合計で0.1〜5原子%を
含有し、残りがTiおよび不可避不純物からなるTiA
l金属間化合物系Ti合金に、さらに、YおよびReの
うちの1種または2種:0.01〜3原子%を含有した
TiAl金属間化合物系Ti合金、YおよびReのうち
の1種または2種:0.01〜3原子%を含有し、さら
にSi:0.01〜1原子%およびC:0.01〜0.
2原子%のうちの1種または2種を含有したTiAl金
属間化合物系Ti合金、に対しても同様に優れた効果を
奏するものである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C22F 1/00 691 C22F 1/00 691B
692 692A
693 693A
(56)参考文献 特開 平3−199358(JP,A)
特開 平3−197654(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名)
C22F 1/18
C22C 14/00
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求頁1】 Al:38〜50原子%を含有し、さら
に、Cr,Ru,Mo,W,Mn,Ni,Cu,Fe,
V,Nb,Ta,Ag,Coのうちの1種または2種以
上を合計で0.1〜5原子%を含有し、残りがTiおよ
び不可避不純物からなるTiAl金属間化合物系Ti合
金を所定の温度に加熱保持して溶体化処理し、 続いて、α相単相温度領域内の所定の温度に保持する熱
処理およびβ相単相温度領域内の所定の温度に昇温保持
する熱処理を繰り返し行うサイクル熱処理を施すことを
特徴とする強度および延性に優れたTiAl金属間化合
物系Ti合金の製造法。 【請求項2】 Al:38〜50原子%を含有し、さら
に、Cr,Ru,Mo,W,Mn,Ni,Cu,Fe,
V,Nb,Ta,Ag,Coのうちの1種または2種以
上を合計で0.1〜5原子%を含有し、残りがTiおよ
び不可避不純物からなるTiAl金属間化合物系Ti合
金を所定の温度に加熱保持して溶体化処理し、続いて、
α相単相温度領域内の所定の温度に保持する熱処理およ
びβ相単相温度領域内の所定の温度に昇温保持する熱処
理を繰り返し行うサイクル熱処理を施し、さらに115
0〜1300℃内の所定の温度:Tに所定時間保持後冷
却のα溶体化処理を施し、ついで650℃〜(T−10
0)℃の範囲内の所定の温度に所定時間保持後急冷の時
効処理を施すことを特徴とする強度および延性に優れた
TiAl金属間化合物系Ti合金の製造法。 【請求項3】 上記溶体化処理温度は、好ましくは、1
300℃超〜1500℃内の所定の温度であることを特
徴とする請求項1または2記載の強度および延性に優れ
たTiAl金属間化合物系Ti合金の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3060798A JP2817427B2 (ja) | 1991-01-08 | 1991-01-08 | 強度および延性に優れたTiAl金属間化合物系Ti合金の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3060798A JP2817427B2 (ja) | 1991-01-08 | 1991-01-08 | 強度および延性に優れたTiAl金属間化合物系Ti合金の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04235262A JPH04235262A (ja) | 1992-08-24 |
JP2817427B2 true JP2817427B2 (ja) | 1998-10-30 |
Family
ID=13152698
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3060798A Expired - Lifetime JP2817427B2 (ja) | 1991-01-08 | 1991-01-08 | 強度および延性に優れたTiAl金属間化合物系Ti合金の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2817427B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104060125A (zh) * | 2014-07-07 | 2014-09-24 | 林娟娟 | 一种发动机叶片的热处理方法 |
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1991
- 1991-01-08 JP JP3060798A patent/JP2817427B2/ja not_active Expired - Lifetime
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