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JP2815051B2 - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

無段変速機の制御装置

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Publication number
JP2815051B2
JP2815051B2 JP32934489A JP32934489A JP2815051B2 JP 2815051 B2 JP2815051 B2 JP 2815051B2 JP 32934489 A JP32934489 A JP 32934489A JP 32934489 A JP32934489 A JP 32934489A JP 2815051 B2 JP2815051 B2 JP 2815051B2
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Japan
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pressure
line pressure
pulley
reverse
hydraulic cylinder
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智年 森重
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Mazda Motor Corp
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、無段変速機における変速比の制御装置に関
し、特にリバースレンジの選択時での変速制御の改良に
関する。
(従来の技術) 従来より、無段変速機の変速比の制御装置として、例
えば実公昭63−1079号公報に開示されるように、有効半
径が可変に構成された駆動プーリ及び従動プーリと、該
両プーリ間に巻掛けられたベルトと、上記駆動プーリよ
りもエンジン側に設けられた前後進切換機構とを備える
とともに、変速比制御弁を設け、該変速比制御弁により
駆動プーリの油圧シリンダに対して給排してその有効半
径を連続的に調整することにより、変速比を無段階に可
変に制御し、さらに上記前後進切換機構によりリバース
レンジが選択された場合には、上記変速比制御弁の動作
を拘束して、車両の後退動作中は低速の変速比に固定す
るようにしたものが知られている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、上記のように変速比制御弁の動作を拘
束しても、前後進切換機構がシングルピニオン式の遊星
歯車機構により構成された場合などのように、リバース
レンジでの変速比が前進レンジでの最大変速比よりも増
速側に設定されると、変速比は固定されずに変速してし
まうという問題が生じることが判った。つまり、上記の
ようにリバースレンジの変速比が増速側に設定された場
合には、駆動プーリの回転数が上昇して前進レンジの最
大変速比での回転数よりも高くなる。このため、該駆動
プーリの油圧シリンダ内の油は大きな遠心力を受けて、
この駆動プーリの回転数の2乗に比例する遠心油圧が発
生し、その結果、変速制御としては低速の変速比に固定
する制御であるにも拘わらず、該油圧シリンダに押圧力
が発生するので、駆動プーリの有効半径は大きくなって
変速してしまい、後退動作時の運転感覚に影響を及ぼす
ことになる。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その
目的は、リバースレンジでの変速比が増速側に設定され
る場合にも、変速を許さず、低速の変速比に固定するこ
とにある。
(課題を解決するための手段) 上記の目的を達成するため、本発明では、駆動プーリ
の油圧シリダに遠心油圧が発生する場合には、これに対
抗する油圧を従動プーリの油圧シリンダに与えで上記の
遠心油圧を打消すこととする。
つまり、具体的に、請求項1の発明の解決手段は、油
圧シリンダへの油圧の給排により有効半径が変化するよ
うに構成された駆動プーリ及び従動プーリと、該両プー
リ間に巻掛けられるベルトと、上記駆動プーリの油圧シ
リンダに作用する作動圧を制御して変速比を可変に調整
する変速比制御弁と、上記駆動プーリよりもエンジン側
に設けられた前後進切換機構とを備えるとともに、該前
後進切換機構においてリバースレンジでの変速比が前進
レンジでの最大変速比よりも増速側に設定される無段変
速機において、上記前後進切換機構によりリバースレン
ジが選択されたことを検出するリバースレンジ検出手段
と、駆動プーリの回転数に基づいて駆動プーリに作用す
る遠心油圧による押付力に等しい押付力を従動プーリに
作用させるための最低ライン圧を演算する最低ライン圧
演算手段と、リバースレンジの選択時に上記最低ライン
圧になるように従動プーリの油圧シリンダに供給するラ
イン圧を調整制御するライン圧制御手段とを備えたもの
とする。
また、請求項2の発明の解決手段は、油圧シリンダへ
の油圧の給排により有効に半径が変化するように構成さ
れた駆動プーリ及び従動プーリと、該両プーリ間に巻掛
けられるベルトと、上記駆動プーリの油圧シリンダに作
用する作動圧を制御して変速比を可変に調整する変速比
制御弁と、上記駆動プーリよりもエンジン側に設けられ
た前後進切換機構とを備えるとともに、該前後進切換機
構においてリバースレンジでの変速比が前進レンジでの
最大変速比よりも増速側に設定される無段変速機の制御
装置において、リバースレンジが選択されたことを検出
するリバースレンジ検出手段と、上記駆動プーリへの入
力トルク及び無段変速機の目標変速比に基づいて従動プ
ーリからベルトに作用させる必要押付力を得るための目
標ライン圧を演算する目標ライン圧演算手段と、駆動プ
ーリの回転数に基づいて駆動プーリに作用する遠心油圧
による押付力に等しい押付力を従動プーリに作用させる
ための最低ライン圧を演算する最低ライン圧演算手段
と、リバースレンジの選択時に上記目標ライン圧と上記
最低ランイン圧とのうち大きい方を選択する選択手段
と、該選択手段により選択されたライン圧になるように
駆動プーリの油圧シリンダに供給するライン圧制御手段
とを備えたものとする。
(作用) 以上の構成により、請求項1及び2の発明では、前後
進切換機構によりリバースレンジが選択された場合に
は、駆動プーリの回転数は前進レンジでの最大変速比の
ときよりも上昇するため、その分駆動プーリの油圧シリ
ンダには大きな遠心油圧が発生する。その際、従動プー
リの油圧シリンダにも遠心油圧が発生するが、低速の変
速比であるので従動プーリの回転数は駆動プーリの回転
数よりも低く、その遠心油圧は駆動プーリ側の遠心油圧
よりも小さい。このため、駆動プーリはその遠心油圧の
作用により有効半径を増大しようとするが、これに対し
て、ライン圧制御手段によりライン圧が増大制御され、
この高圧のライン圧が従動プーリの油圧シリンダに供給
されるので、該従動プーリの押圧力と駆動プーリの押圧
力とが均衡して、駆動プーリの有効半径は固定され、変
速比は低速の変速比に固定される。
(発明の効果) 以上説明したように、請求項1及び2の発明の無段変
速機の制御装置によれば、リバースレンジの選択時での
変速比が前進レンジでの最大変速比よりも増速側に設定
される場合にも、車両の後退動作時での変速比を固定で
きるので、この後退動作時での変速を防止して運転者に
与える走行感覚を高めることができる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に基いて説明する。第1
図は無段変速機の全体構造を示す。同図の無段変速機
は、エンジン1の出力軸11に連結されるトルクコンバー
タ2と、前後進切換機構3と、無段変速機構4と、減速
機構5と、差動機構6とで基本的に構成されている。
上記トルクコンバータ2は、エンジン出力軸11に結合
されるポンプカバー21と、このポンプカバー21の一側部
に固定されてエンジン出力軸11と一体的に回転するポン
プインペラ22と、このポンプインペラ22と対向するよう
にポンプカバー21の内側に回転可能に設けられたタービ
ンランナ23と、このタービンランナ23とポンプインペラ
22との間に介設されてトルク増大作用を行うステータ24
と、タービンランナ23に固着されたタービン軸25とを有
している。上記ステータ24は、ワンウェイクラッチ26及
びステータ軸27を介してミッションケース7に連結され
ている。上記タービンランナ23とポンプカバー21との間
にはタービン軸25にスライド可能に取り付けられたロッ
クアップピストン28が設けられ、このロックアップピス
トン28の両側に形成されたロックアップ締結室29aとロ
ックアップ開放室29bとに油圧が導入又は排出されるこ
とにより、ロックアップピストン28とポンプカバー21と
が締結又は解放されるようになっている。
上記前後進切換機構3は、後述する無段変速機4の駆
動プーリよりもエンジン1側に設けられており、コンパ
クト化のためにシングルピニオン形式の遊星歯車機構よ
り成る。つまり、キャリア31と、このキャリア31に支持
されたピニオンギヤ32,33と、後述する無段変速機構4
のプライマリ軸411にスプライン結合され上記ピニオン
ギヤ32に噛み合うサンギヤ34と、ピニオンギヤ32に噛み
合うリングギヤ35とを備え、該リングギヤ35はトルクコ
ンバータ2のタービン軸25にスプライン結合さている。
また、上記リングギヤ35とキャリア31との間には両者を
断接する前進用クラッチ36が設けられ、キャリア31とミ
ッションケース7との間にはキャリア31をミッションケ
ース7に対して選択的に固定する後退用ブレーキ37が設
けられている。この構成により、前進用クラッチ36を締
結し、後退用ブレーキ37を解放した前進レンジの場合に
は、リングギヤ35とキャリア31とが回転一体に連結され
ることにより、この前進進切換機構3での変速比を「1.
0」としてタービン軸25の回転をそのまま無段変速機構
4のプライマリ軸411に伝達する。一方、後退用ブレー
キ37を締結し前進用クラッチ36を解放したリバースレン
ジの場合には、キャリア31がケース7に回転不能に固定
されることにより、リングギヤ35の回転をピニオンギヤ
32…を介してサンギヤ34に伝えてタービン軸25の回転を
逆転させつつ、この前後進切換機構3での変速比を例え
ば「0.6」として無段変速機構4のプライマリ軸411に伝
達する。従って、このリバースレンズでは、上記無段変
速機構4での変速比が最大変速比に設定されている場合
にも、無段変速機全体の変速比はこの最大変速比よりも
増速側に設定されることになる。なお、前進用クラッチ
36及び後退用ブレーキ37を共に解放したとこちは、ター
ビン軸25から無段変速機構4のプライマリ軸411にエン
ジンの駆動力が伝達されないようになる(ニュートラル
及びパーキング状態)。
また、上記無段変速機構4は、駆動プーリとしてのプ
ライマリプーリ41と、従動プーリとしてのセカンダリプ
ーリ42と、これらのプーリ41,42間に巻き掛けられたV
ベルト43とで構成されている。
上記プライマリプーリ41は、タービン軸25と同軸上に
配置されたプライマイ軸411と、このプライマリ軸411に
固定された固定円錐板412と、この固定円錐板412と対向
して配置されたプライマリ軸411にスライド可能に支持
された可動円錐板413とを有している。そして、可動円
錐板413が移動すると、上記Vベルト43の挟持位置が変
化し、有効ピッチ径(有効半径)が変化するようになっ
ている。すなわち、可動円錐板413が固定円錐板412に接
近したときには有効ピッチ径が大きくなり、可動円錐板
413が固定円錐板412から離反したときには有効ピッチ径
が小さくなる。
更に、セカンダリプーリ42は、基本的に上記プライマ
リプーリ41と同様の構成を有している。すなわち、プラ
イマリ軸411と平行配置されたセカンダリ軸421と、この
セカンダリ軸421に固定された固定円錐板422及びスライ
ド可能に支持された可動円錐板423とを有し、可動円錐
板423の移動により有効ピッチ径が変化するようになっ
ている。
これら各プーリ41,42における各可動円錐板413,423の
背部には、それぞれ各可動円錐板413,423をスライドさ
せる油圧シリンダ414,424が設けられている。プライマ
リプーリ41の油圧シリンダ414には両プーリ41,42の間の
変速比を変化させるために油圧が導入又は排出され、セ
カンダリプーリ42の油圧シリンダ424にはVベルト43の
張力を常に適切に保持するために油圧が導入又は排出さ
れるようになっている。そして、プライマリプーリ41の
油圧シリンダ414に油圧が導入されたときに、プライマ
リプーリ41におけるVベルト43の挟持位置が外側に移動
してプライマリプーリ41の有効ピッチ径が大きくなると
とに、これに伴ってセカンダリプーリ42におけるVベル
ト43の挟持位置が内側に移動してセカンダリプーリ42の
有効ピッチ径が小さくなり、上記プライマリ軸411とセ
カンダリ軸421間の変速比が小さく(つまり増速方向
に)変化する。逆に、上記油圧シリンダ414から油圧が
排出されたときにはプライマリプーリ41の有効ピッチ径
が小さくなるととにセカンダリプーリ42の有効ピッチ径
が大きくなり、上記プライマリ軸411とセカンダリ軸421
間の変速比が大きく(つまり減速方向に)変化するよう
になっている。
上記プライマリプーリ41の油圧シリンダ414の構成を
具体的に説明すると、外油圧シリンダ414は、可動円錐
板413の背面に形成した第1油室14aと、可動円錐板413
の外端部に連結した部材14bの後端部を押圧する可動ピ
ストン14cと、該可動ピストン14cの背面に形成した第2
油室14dとを備え、第1油室14a及び第2油室14dに油圧
を供給して可動円錐板413を第1図右方向に移動させる
構成である。
一方、セカンダリプーリ42の油圧シリンダ424の構成
は、上記と同様に、可動円錐板423の背面に形成した第
1油室15aと、可動円錐板423の外端部に連結した部材15
bの後端部を押圧する可動ピストン15cと、該可動ピスト
ン15cの背面に形成した第2油室15dと、該第2油室15d
内に縮装されて可動ピストン15cを付勢するスプリング1
5eとを備え、第1油室15a及び第2油室15dに油圧を供給
して可動円錐板423を第1図左方向に移動させる構成で
ある。
そして、上記プライマリプーリ41と油圧シリンダ414
の第1油室14aと第2油室14dとの合計受圧面積は、セカ
ンダリプーリ42の油圧シリンダ424の第1油圧室15aと第
2油室15dの合計受圧面積の約2倍の面積に設定されて
いる。
また、減速機構5及び差動機構6は公知の構造になっ
ていて、セアカンダリ軸421の回転を車軸61に伝えるよ
うになってる。
次に、上述した無段変速機におけるトルクコンバータ
2のロックアップピストン28と、前後進切換機構3の前
進用クラッチ36及び後退用ブレーキ37と、無段変速機構
4のプライマリプーリ41及びセカンダリプーリ42との各
作動を制御する油圧回路を第2図に基いて説明する。
同図の油圧回路は、エンジン1により駆動されるオイ
ルポンプ81を有している。このオイルポンプ81から吐出
される作動油は、先ずライン圧調整弁82において所定の
ライン圧に調整された上で、ライン101を介してセカン
ダリプーリ42の油圧シリンダ424に供給されるととも
に、ライン101から分岐したライン102を介して最終的に
プライマプーリ41の油圧シリンダ414に供給されるよう
になっている。
上記ライン圧調整弁82は、直列に配置された主スプー
ル821と副スプール822とで構成されたスプール820を有
している。スプール820を構成する主スプール821と副ス
プール822とは、主スプール821の一端部に副スプール82
2の一端部を当接させるようにして接続されている。副
スプール822の他端部には、主スプール821との当接面積
(接続部分の断面積)よりも大きな断面積を有する大径
部822aが設けられている。主スプール821の中央部に対
応する位置には、オイルポンプ81からの吐出油が導かれ
る調圧ポート823と、オイルポンプ81のサクション側に
連通するドレンポート824とが設けられ、主スプール821
が図中、左側に寄ると調圧ポート823とドレンポート824
との間が遮断され、主スプール821が図中、右側に寄る
と調圧ポート823とドレンポート824との間が連通される
ようになっている。主スプール821と副スプール822との
接続部分に対応する位置には第1パイロット室825が形
成され、この第1パイロット室825には、主スプール821
を図中、左側に付勢するスプリング826が介在されてい
る。また、副スプール822の大径部822aには、第1パイ
ロット室825と連通する第2パイロット室827が形成され
ている。これら第1パイロット室825及び第2パイロッ
ト室827には、ライン102から分岐した後、ライン103を
通る間にレデューシング弁83によって所定の圧力に減圧
された作動油がパイロット通路103aを通る間に第1デュ
ーティソレノイドバルブ91で調整されたバイロット圧と
して導入されるようになっている。そして、このパイロ
ット圧が上記スプリング826の付勢力と同方向に作用す
る一方、その付勢力及びパイロット圧に対抗するように
主スプール821の他端部にライン101内の油圧が作用し、
これらの力関係によってスプール820が移動して調圧ポ
ート823とドレンポート824との間を連通又は遮断するこ
とにより、ライン圧が第1デューティソレノイドバルブ
91で調圧されるパイロット圧に応じた値に制御されるよ
うになっている。
上記ライン102、つまりプライマリプーリ41の油圧シ
リンダ414の油室14a,14dに連通してライン圧が供給され
るラインには、変速比制御弁85が設けられている。この
変速比制御弁85は、スプール851と、このスプール851を
図中右方向に付勢するスプリング852と、ライン102の上
流部に接続されたライン圧ポート853と、ドレンポート8
54と、スプリング852設置側に開口しライン104を介して
シフト弁87に接続されたリバースポート855と、スプリ
ング852設置側とは反対側に形成されパイロット圧が導
入されるパイロット室856とを有している。パイロット
室856は、ピトー弁86を介して第2デューティソレノイ
ドバルブ92及び、エンジン1の回転数に対応した圧力の
ピトー圧を発生するピトー圧発生手段90に接続されてい
る。従って、ピトー圧発生手段90により発生したピトー
圧と第2デューティソレノイドバルブ92により調整され
た圧力とをビトー弁86によって選択的にパイロット室85
6にパイロット圧として導入することができ、万一、第
2デューティソレノイドバルブ92が故障した時でも、ピ
トー圧発生手段90からパイロット室856にピトー圧をパ
イロット圧として導入できるようになっている。
そして、上記の変速比制御弁85は、前進時(シフト弁
87がD,2,1のいずれかのシフト位置にある時)には、リ
バースポート855から油圧がシフト弁87を介してドレン
されるため、パイロット室856に導入されるパイロット
圧とスプリング852の付勢力との力関係よってスプール8
51が移動して、ライン圧ポート853とドインポート854と
がプライマリプーリ41の油圧シリンダ414に選択的に連
通されるようになる。このようにして、前進時には、上
記パイロット室856に導入されるパイロット圧に応じて
プライマリプーリ41の油圧シリンダ414への油圧の給排
制御を行うことにより、該プライマリプーリ41の油圧シ
リンダ414に作用する作動圧を制御して、無段変速機の
変速比を可変に調整するように構成している。
一方、後進時(シフト弁87がRのシフト位置にある
時)には、リバースポート855からの油圧(後述する作
動圧)が導入され、この作動圧によってスプール851が
図中右側に押し付けられた状態で固定される。したがっ
て、後進時には、プライマリプーリ41の油圧シリンダ41
4の油をドレンポート854から後述する保圧パルプ98を介
してドレンさせることにより、プライマリプーリ41の有
効半径を最小にして、変速比を最大変速比の状態で固定
保持するように構成している。
尚、前後進切換機構3によって、車軸61にエンジン1
の駆動力が伝達されなくなるニュートラル及びパーキン
グ時(シフト弁87がN,Pの各シフト位置にある時)に
も、後進時と同じ状態になる。
上記ランイン圧調整弁82によって調圧された作動油
は、ライン101の他、ライン105にも送出される。ライン
105に送出された作動油は、作動圧調整弁88によって所
定の作動圧に調整された上で、ライン106及びライン107
に供給されるようになっている。
作動圧調整弁88は、スプール881と、スプール881の一
端部側に形成されたパイロット室882と、このパイロッ
ト室882に介在されたスプリング883と、ライン105に接
続された第1調圧ポート884と、ライン107に接続された
第2調圧ポート885と、ドレンポート886とを有してい
る。パイロット室882は、パイロット通路103aを介して
第1デューティソレノイドバルブ91に接続されている。
このため、パイロット室882には、第1デューティソレ
ノイドバルブ91で調圧された作動油がパイロット圧とし
て導入されるようになっている。そして、このパイロッ
ト圧が上記スプリング883の付勢力と同方向に作用する
一方、その付勢力及びパイロット圧に対抗するようにス
プール881の他端部にライン105内の油圧が作用し、これ
らの力関係によってスプール881が移動して第1及び第
2調圧ポート884,885とドレンポート886との間が連通又
は遮断することにより、前進用クラッチ36及び後進用ブ
レーキ37の作動圧が第1デューティソレノイドバルブ91
で調圧されるパイロット圧に応じた値に制御されるよう
になっている。
上記ライン106に供給された作動油は、シフト弁87が
D,2,1のシフト位置にあるときには、ライン109を介して
前後進切換機構3の前進用クラッチ36の油圧室36aに供
給され、シフト弁87がRのシフト位置にある時にはライ
ン108を介して前後進切換機構3の後退用ブレーキ37の
油圧室37aに供給されるとともにライン104を介して変速
比制御弁85のリバースポート855に供給されるようにな
っている。一方、前後進切換機構3の前進用クラッチ36
及び後退用ブレーキ37の各油圧室36a,37a内の作動油
は、シフト弁87がR,N,Pのシフト位置にある時にライン1
09,108を通って排出されるようになっている。従って、
前後進切換機構3の前進用クラッチ36及び後退用ブレー
キ37がシフト弁87のシフト位置に応じて締結又は解放さ
れるようになるとともに、上述したようにR,N,Pのシフ
ト位置で無段変速機構4の変速比が最大変速比の状態で
固定保持される。
また、上記ライン107に供給された作動油は、ロック
アップコントロール弁89を介してトルクコンバータ2の
ロックアップ締結室29aあるいはロックアップ解放室29b
に供給されるようになっている。ロックアップコントロ
ール弁89は、スプール891の動作が第3デューティソレ
ノイドバルブ93で調圧されたパイロット圧によって制御
されるようになっている。そして、上記パイロット圧が
低くなると、スプール891が図中右側に移動して、ライ
ン107からロックアップ締結室29aに作動油が供給される
ようになるとともに、ロックアップ解放室29b内の作動
油がドレンされるようになり、一方、上記パイロット圧
が高くなると、スプール891が図中左側に移動して、ラ
イン107からロックアップ解放室29bに作動油が供給され
るようになるとともに、ロックアップ締結室29a内の作
動油がドレンされるようになる。
なお、94は第1デューティソレノイドバルブ91がON・
OFFしたときにパイロット通路103aのパイロット圧が脈
動しないようにするためのアキュームバルブ、95,96は
それぞれ前進用クラッチ36及び後進用ブレーキ37の締結
時のショックを緩和するアキュームレータ、97はリリー
フバルブである。また、98は保圧バルブであって、該保
圧バルブ98は、プライマリプーリ41の油圧シリンダ414
内の圧油をドレンする場合に、その圧油を全て排出せず
に、押付力が発生しない程度に油圧シリンダ414内に油
を残し、その次の油供給時での油圧の上昇の応答性を確
保する機能を果たすものである。
第3図は、上記の無段変速機の電気制御回路を示して
いる。この図において、マイクロコンピュータ等を内蔵
するコントロールユニット110には、運転者の操作によ
るシフト位置(D,1,2,R,N,P)を検出するシフト位置セ
ンサ111からのシフト位置信号と、プライマリ軸411の回
転数npを検出するプライマリ回転数センサ112からのプ
ライマリプーリ回転数信号と、セカンダリ軸421の回転
数nsを検出するセカンダリ回転数センサ113からのセカ
ンダルプーリ回転数信号と、エンジン1のスロットル弁
開度TVOを検出するスロットル開度センサ114からのスロ
ットル弁開度信号と、エンジン1の回転数Neを検出する
エンジン回転数センサ115からのエンジン回転数信号
と、トルクコンバータ2のタービン軸25の回転数Ntを検
出するタービン回転数センサ116からのタービン回転数
信号とが入力されるようになっている。
上記コントロールユニット110は、これらの入力信号
に基づいて、第1ないし第3デューティソレノイドバル
ブ91,92,93をデューティ制御し、これによりライン圧調
整弁82、作動圧調整弁88、変速比制御弁85及びロックア
ップコントロール弁89に導入される各パイロット圧を調
整するようになっている。
次に、コントロールユニット110によるライン圧制御
を第4図の制御フローに基いて説明する。スタートし
て、ステップS1でエンジン回転数Ne、プライマリ回転数
np、セカンダリ回転数ns及びスロットル弁開度TVOを入
力し、この入力信号に基いて無段変速機構4の入力トル
ク及び目標変速比を演算して、この双方の値に基いてセ
カンダリプーリ42からベルト43に作用させる必要押付力
を演算して、この必要押付力を得るに必要な目標ライン
圧Poをセカンダリプーリ42の油圧シリンダ424の受圧面
積等に基いて演算する(目標ライン圧演算手段)。
その後、ステップS2で運転席周りに配置したセレクト
レバー(図示せず)やシフト弁87の位置に基いて前後進
切換機構3によりリバースレンジが選択されたか否かを
判別する。そして、リバースレンジが選択されている場
合には、ステップS3で、プライマリプーリ41に作用する
遠心油圧による押付力に等しい押付力をセカンダリプー
リ42に作用させるための最低ライン圧Pcをプライマリ回
転数npに基いて式 Pc=np2×k(kは定数) にて演算する(最低ライン圧演算手段)。その後、ステ
ップS4において、実際に制御するライン圧の値として、
上記目標ライン圧Poとこの最低ライン圧Pcとのうち大き
い方の値を選択する(選択手段)。
そして、このように選択したライン圧になるようステ
ップS5でライン圧調整弁82用の第1デューティソレノイ
ドバルブ91をデューティ制御して、終了する。
よって、上記第4図の制御フローにおいて、ステップ
S2により、前後進切換機構3によりリバースレンジが選
択されたときを検出するリバースレンジ検出手段150を
構成している。また、ステップS3〜S5により、上記リバ
ースレンジ検出手段150により検出したリバースレンジ
の選択時に、セカンダリプーリ42の油圧シリンダ424の
第1油室15a及び第2油室15dに供給するライン圧を、プ
ライマリ回転数npに基づいてプライマリプーリ41に作用
する遠心油圧による押付力に等いし押付力をセカンダリ
プーリ42に作用させる、つまりプライマリ回転数npの2
乗に比例した値に増大させるようにしたライン圧制御手
段151を構成している。
したがって、上記実施例においては、エンジン1の運
転時に、前後進切換機構3によってリバースレンジが選
択された場合には、プライマリプーリ41の油圧シリンダ
414の油は変速比制御弁85により保圧バルブ98を経てド
レンされる。一方、セカンダリプーリ42の油圧シリンダ
424には、ライン圧調整弁82からのライン圧が作用して
いる。このため、プライマリプーリ41の有効半径は最小
となり、且つセカンダリプーリ42の有効半径は最大とな
って、最大変速比が形成される。
その際、前後進切換機構3がシングルピニオン形式
で、このリバースレンジの選択時には該機構3での変速
比が「1.0」から「0.6」になる関係上、上記のように無
段変速機構4にて最大変速比が形成されていても、無段
変速機全体の変速比は増速側に設定されることになる。
また、上記プライマリプーリ41の油圧シリンダ414内に
は、保圧バルブ98の作用により押付力が発生しない程度
の油が残存している。
このような状況においては、上記プライマリプーリ41
の回転数は前進レンジでの最大変速機の場合よりも高回
転となるので、上記プライマイプーリ41の油圧シリンダ
414内の油には、大きな遠心力が作用してプライマリ回
転数npの2乗に比例した遠心油圧が発生し、更にこの遠
心油圧がセカンダリプーリ42の油圧シリンダ424の第1
及び第2油室15a,15bの2倍の受圧面積の第1及び第2
油室14a,14bに作用するため、プライマリプーリ41に
は、第5図に実線で示すようにエンジン回転数の上昇に
応じて極めて大きくなる押付力が作用する。一方、セカ
ンダリプーリ42の油圧シリンダ424にも遠心油圧が発生
するが、その油圧値は、最大変速比の状況の下でセカン
ダリンプーリ42の回転数が低いので低い値に止まるた
め、その油圧シリンダ424に作用する押付力は同図に破
線で示すように目標ライン圧Po相当の押付力よりも若干
増大する程度に止まる。その結果、プライマリプーリ41
に作用している押付力と、セカンダリプーリ42に作用し
ている押付力との間には、同図に記号Fで示す大きな差
が生じて、プライマリプーリ41は有効半径を大きくする
側に作動しようとする状況となるが、ライン圧制御手段
151により最低ライン圧Pcがプライマリ回転数npの2乗
に比例して演算され、この値は目標ライン圧Poよりも大
きいのでこの最低ライン圧Pcが選択されて、実際のライ
ン圧がライン圧調整弁82によりこの最低ライン圧Pcに制
御されるので、セカンダリプーリ42の油圧シリンダ424
にはこの最低ライン圧Pcが作用して、セカンダリプーリ
42には上記プライマリプーリ41に作用する遠心油圧によ
る押付力に等しい押付力が作用する。その結果、プライ
マリプーリ41の有効半径は小さくならずその半径に固定
されるので、遠心油圧に起因する変速が確実に防止され
ることになる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示し、第1図は無段変速機の具
体的構成図、第2図は油圧制御回路図、第3図は電気制
御系統を示すブロック図、第4図はライン圧制御を示す
フローチャート図、第5図はリバースレンジの選択時で
のエンジン回転数に対するプライマリプーリ及びセカン
ダリプーリの押付力特性を示す図である。 3……前後進切換機構、32……ピニオンギヤ、41……プ
ライマリプーリ(駆動プーリ)、414……油圧シリン
ダ、42……セカンダリプーリ(従動プーリ)、424……
油圧シリンダ、43……ベルト、82……ライン圧調整弁、
85……変速比制御弁、150……リバースレンジ検出手
段、151……ライン圧制御手段。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油圧シリンダへの油圧の給排により有効半
    径が変化するよう構成された駆動プーリ及び従動プーリ
    と、該両プーリ間に巻掛けられるベルトと、上記駆動プ
    ーリの油圧シリンダに作用する作動圧を制御して変速比
    を可変に調整する変速比制御弁と、上記駆動プーリより
    もエンジン側に設けられた前後進切換機構とを備えると
    ともに、該前後進切換機構においてリバースレンジでの
    変速比が前進レンジでの最大変速比よりも増速側に設定
    される無段変速機において、上記前後進切換機構により
    リバースレンジが選択されたことを検出するリバースレ
    ンジ検出手段と、駆動プーリの回転数に基づいて駆動プ
    ーリに作用する遠心油圧による押付力に等しい押付力を
    従動プーリに作用させるための最低ライン圧を演算する
    最低ライン圧演算手段と、リバースレンジの選択時に上
    記最低ライン圧になるように従動プーリの油圧シリンダ
    に供給するライン圧を調整制御するライン圧制御手段と
    を備えたことを特徴とする無段変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】油圧シリンダへの油圧の給排により有効半
    径が変化するよう構成された駆動プーリ及び従動プーリ
    と、該両プーリ間に巻掛けられるベルトと、上記駆動プ
    ーリの油圧シリンダに作用する作動圧を制御して変速比
    を可変に調整する変速比制御弁と、上記駆動プーリより
    もエンジン側に設けられた前後進切換機構とを備えると
    ともに、該前後進切換機構においてリバースレンジでの
    変速比が前進レンジでの最大変速比よりも増速側に設定
    される無段変速機の制御装置において、リバースレンジ
    が選択されたことを検出するリバースレンジ検出手段
    と、上記駆動プーリへの入力トルク及び無段変速機の目
    標変速比に基づいて従動ブーリからベルトに作用させる
    必要押付力を得るための目標ライン圧を演算する目標ラ
    イン圧演算手段と、駆動プーリの回転数に基づいて駆動
    プーリに作用する遠心油圧による押付力に等しい押付力
    を従動プーリに作用させるための最低ライン圧を演算す
    る最低ライン圧演算手段と、リバースレンジの選択時に
    上記目標ライン圧と上記最低ライン圧とのうち大きい方
    を選択する選択手段と、該選択手段により選択されたラ
    イン圧になるように従動プーリの油圧シリンダに供給す
    るライン圧を調整制御するライン圧制御手段とを備えた
    ことを特徴とする無段変速機の制御装置。
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