JP2844756B2 - 脂肪乳剤 - Google Patents
脂肪乳剤Info
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Description
本発明は、消炎鎮痛活性を有する非ステロイド系化合
物の改良された製剤に関する。さらに詳しくは、少なく
とも1つの非ステロイド系消炎鎮痛作用物質、単純脂
質、リン脂質および水を含有してなる改良された脂肪乳
剤に関する。
物の改良された製剤に関する。さらに詳しくは、少なく
とも1つの非ステロイド系消炎鎮痛作用物質、単純脂
質、リン脂質および水を含有してなる改良された脂肪乳
剤に関する。
各種非ステロイド系消炎鎮痛剤は優れた抗炎症鎮痛作
用を有し、広く臨床で用いられている。 薬物の血液中又は適用部位から病変組織への移行性を
改善するための薬剤学的工夫に関する研究は、これまで
種々行われてきていた。例えば、リン脂質で調製したリ
ポソームに薬物を包含させて利用する方法が知られてい
る(「Drug Carriers in Biology and Medicine」(197
9),Ed.By G.Gregoriadis,Academic Press)。 しかしながら、この方法では、水層を脂質二重層で
包含するリポソームには保存時の安定性に問題が多いこ
と、血液中に投与した場合に、ほとんどが肝臓及び脾
臓等の細網内皮系(RES)の発達した組織に取り込まれ
てその他の細胞や組織に分配されにくいこと、等の欠点
を有していた。 これは、リポソームがリン脂質二分子膜によって内外
の水層を隔てる構造を有しているため種々の力に対して
安定ではないためであると考えられ、凝集による粒子径
の増大もまた、保存時の欠点として知られていた。 近年の研究によれば、従来より高カロリー輸液として
栄養補給のために臨床的に用いられている大豆油と少量
の卵黄レシチンからなる粒子径0.2〜0.4μmの脂肪乳剤
に種々の薬物を溶解して用いる技術があり、上記目的の
ために良好な結果をえている(最新医学、40、1806〜18
13(1980))。 このものは、内部に水層を持たずリポソームに比べて
極めて安定に保存することができる特徴を有している。 この大豆油と少量の卵黄レシチンからなる粒子径0.2
〜0.4μmの脂肪乳剤に種々の薬物を溶解して用いる技
術は種々の非ステロイド性消炎鎮痛剤及びその脂溶性誘
導体(メチル、エチル、その他高級脂肪酸等のエステ
ル)に応用されている(特開昭58−59912号公報、特開
昭58−201712号公報、特開昭59−13720号公報、特開昭6
1−44809号公報)。 しかしながら、これらものは、上述した肝臓等の細網
内皮系に非特異的に速やかに取り込まれる性質を有して
いる。このように代謝が速やかであることは、高カロリ
ー輸液としては望ましいものであっても、上記目的に適
う製剤としては、投与した薬物の大半が細網内皮系組織
に移行し、他の組織(炎症部位等)への薬物の分配が相
対的に低下することなどの問題点を有し、必ずしも望ま
しいものではなく改善が望まれていた。
用を有し、広く臨床で用いられている。 薬物の血液中又は適用部位から病変組織への移行性を
改善するための薬剤学的工夫に関する研究は、これまで
種々行われてきていた。例えば、リン脂質で調製したリ
ポソームに薬物を包含させて利用する方法が知られてい
る(「Drug Carriers in Biology and Medicine」(197
9),Ed.By G.Gregoriadis,Academic Press)。 しかしながら、この方法では、水層を脂質二重層で
包含するリポソームには保存時の安定性に問題が多いこ
と、血液中に投与した場合に、ほとんどが肝臓及び脾
臓等の細網内皮系(RES)の発達した組織に取り込まれ
てその他の細胞や組織に分配されにくいこと、等の欠点
を有していた。 これは、リポソームがリン脂質二分子膜によって内外
の水層を隔てる構造を有しているため種々の力に対して
安定ではないためであると考えられ、凝集による粒子径
の増大もまた、保存時の欠点として知られていた。 近年の研究によれば、従来より高カロリー輸液として
栄養補給のために臨床的に用いられている大豆油と少量
の卵黄レシチンからなる粒子径0.2〜0.4μmの脂肪乳剤
に種々の薬物を溶解して用いる技術があり、上記目的の
ために良好な結果をえている(最新医学、40、1806〜18
13(1980))。 このものは、内部に水層を持たずリポソームに比べて
極めて安定に保存することができる特徴を有している。 この大豆油と少量の卵黄レシチンからなる粒子径0.2
〜0.4μmの脂肪乳剤に種々の薬物を溶解して用いる技
術は種々の非ステロイド性消炎鎮痛剤及びその脂溶性誘
導体(メチル、エチル、その他高級脂肪酸等のエステ
ル)に応用されている(特開昭58−59912号公報、特開
昭58−201712号公報、特開昭59−13720号公報、特開昭6
1−44809号公報)。 しかしながら、これらものは、上述した肝臓等の細網
内皮系に非特異的に速やかに取り込まれる性質を有して
いる。このように代謝が速やかであることは、高カロリ
ー輸液としては望ましいものであっても、上記目的に適
う製剤としては、投与した薬物の大半が細網内皮系組織
に移行し、他の組織(炎症部位等)への薬物の分配が相
対的に低下することなどの問題点を有し、必ずしも望ま
しいものではなく改善が望まれていた。
通常、投与された薬物は、その薬物分子の持つ固有の
性質により生体内を移動分布する。そして作用部位に到
達し薬効を発現する。このとき薬効発現に必要な部位に
のみ薬物が集中することが好ましいが、一般には身体全
体に薬物は分布し、不要な部位にも薬物が移動する。時
にこれが副作用の原因となる。そこで、薬物の体内動態
を改善することの重要性及び必要性が生じる。 本発明者らは、上記の事情に鑑み、薬物の薬理作用
そのものに影響を与えることなく、薬物の効率的な病
巣組織内への選択的移行を可能ならしめ、しかも細網
内皮系による取り込みを低下させ、薬物の血中濃度を
持続させ、必要とされる薬物投与量を減じることがで
きる、安全で一層有効な非ステロイド系消炎鎮痛作用物
質の新規の剤形を検討し続けた結果、ようやく本発明を
完成させることに成功したものである。
性質により生体内を移動分布する。そして作用部位に到
達し薬効を発現する。このとき薬効発現に必要な部位に
のみ薬物が集中することが好ましいが、一般には身体全
体に薬物は分布し、不要な部位にも薬物が移動する。時
にこれが副作用の原因となる。そこで、薬物の体内動態
を改善することの重要性及び必要性が生じる。 本発明者らは、上記の事情に鑑み、薬物の薬理作用
そのものに影響を与えることなく、薬物の効率的な病
巣組織内への選択的移行を可能ならしめ、しかも細網
内皮系による取り込みを低下させ、薬物の血中濃度を
持続させ、必要とされる薬物投与量を減じることがで
きる、安全で一層有効な非ステロイド系消炎鎮痛作用物
質の新規の剤形を検討し続けた結果、ようやく本発明を
完成させることに成功したものである。
本発明の要旨は、非ステロイド系消炎鎮痛作用物質を
主成分とする脂肪乳剤の製造にあたって、単純脂質、リ
ン脂質および水のそれぞれの構成成分の組成比を限定し
たところにある。 本発明においては、非ステロイド系消炎鎮痛作用物質
は、その有効量を勘案した組成比を定めて含有するよう
にする。 本発明においては、単純脂質は全体の脂肪乳剤に対し
て0.5〜30%(w/v)含有するようにする。 本発明においては、リン脂質は上記の単純脂質に対し
て重量比にして0.15〜2倍量含有するようにする。 本発明の構成成分である水は、適当量含有するように
する。 これらの成分構成により、安定な微粒子化乳剤が得ら
れ、このものがきわめて優れた特徴を有する脂肪乳剤で
あり、新規の非ステロイド系消炎鎮痛作用物質の製剤と
して利用できることが本発明により初めて明かとなっ
た。 本発明の脂肪乳剤は、極めて安定な脂肪乳剤としての
形態を有する。その平均粒子径は200nm未満である。本
発明の脂肪乳剤は、1μ以上の乳剤粒子を含まない。本
発明の脂肪乳剤は極めて微細で安定な脂肪乳剤である。 その平均粒子径が5nm以上200nm未満であるときは、炎
症反応により血管透過性の亢進した部位で血管内から病
巣組織内に容易に漏出することができる。 血管には種々のポアシステム(pore systems,直径9nm
までの小さなポアシステムと直径25〜70nmの大きなポア
システムとが存在するといわれ、病変部位では更に透過
性が増すことが知られている。)と呼ばれる部位や、そ
の他の細胞間隙が存在し、炎症部位では、血管透過性が
亢進していることが知られ、このような部位では、血管
より多くの本発明の脂肪乳剤が選択的に漏出し、病変組
織内に移行する。これと同時に、この本発明の脂肪乳剤
に包含されている非ステロイド系消炎鎮痛作用物質も病
巣内に移行する。このことにより、非ステロイド系消炎
鎮痛作用物質が容易に効率よくそして選択的に病変部に
移行するから、病変部位での薬物濃度が高まりその効果
を増大させることができる。平均粒子径が100nm以下で
あるときは、0.2μm〜0.4μm程度の直径を有する従来
の脂肪乳剤に比べ薬物の血中濃度が著しく高く維持でき
る。細網内皮系による乳剤粒子の非特異的な取り込みが
回避され、より多くの乳剤粒子が血中に保持されるから
である。このことは上述の乳剤粒子の病巣部位への移行
効率を大きく改善する結果となる。またこれと同時に、
薬物性肝障害等の改善効果も得られる。 本発明の脂肪乳剤においては、従来技術である大豆油
と卵黄レシチンからなる高カロリー輸液を応用したもの
に比べ、脂肪乳剤の核(例えば大豆油)となる成分に対
してその核を覆い安定化する役割を持つ表層(例えば卵
黄レシチン)をその比率において多量に使用することに
より、安定な超微粒子化を実現することができる。 本発明の脂肪乳剤の超微粒子化のためには、表層(例
えばリン脂質)の含量比率が単純脂質に対する重量比と
して0.15〜2倍の量であることが必要である。超微粒子
化により、脂肪乳剤粒子の核の表面積が増大するため、
表層として核を覆い安定化するためにリン脂質の量を増
加させることが必要となるからである。 これより少ない量のリン脂質を用いた場合は、平均粒
子径200nm未満の安定な脂肪乳剤とすることが不可能で
あり、粗大粒子の混入が避けられない。これより多いリ
ン脂質を用いた場合は、リポソーム粒子の混入が避けら
れない。 本発明の脂肪乳剤における非ステロイド系消炎鎮痛作
用物質の含量は、それぞれの非ステロイド系消炎鎮痛作
用物質の薬理学的活性により変化させることができる。
いずれの場合も有効量の薬物を含有することができる。
しかし、一般に5%(w/v)以下とすることが望まし
い。 本発明によれば、非ステロイド系消炎鎮痛作用物質は
脂質の油滴中にあるため、周囲の環境から遮断された状
態で存在するので、酵素的又は非酵素的な分解を抑制す
ることができ、投与後においても薬物の安定性を改善す
ることができる。 この成分構成により、安定な超微粒子化脂肪乳剤が得
られ、このものが極めて優れた脂肪乳剤として利用でき
ることが本発明により初めて明かとなった。 本発明に係る非ステロイド系消炎鎮痛作用物質として
は、従来から0.2μm〜0.4μm程度の粒子径をもつ従来
型脂肪乳剤に用いられてきた化合物をはじめとし、脂溶
性の非ステロイド系消炎鎮痛作用物質や脂溶性誘導体を
そのまま適用することができる。 例えば、インドメタシン、フルルビプロフェン、4−
ビフェニリル酢酸化合物、アスピリン、サリチル酸、サ
リチル酸メチル、イブプロフェン、フルフェナム酸、ケ
トプロフェン、及びこれらのメチル、エチル、イソプロ
ピル、ブチル、ゲラニル、ファルネシル、パルミチン
酸、セチル、トコフェロール、グリセロール、コレステ
ロール等の種々の脂溶性誘導体の群の中から選ばれた少
なくとも一つ以上であり、これらはいずれも安定に本発
明の乳剤粒子に保持されるが、一般に上記の脂溶性誘導
体が望ましい。誘導体化により薬物の脂溶性が増大し、
多量の薬物が容易に乳剤粒子中に保持されるようになる
からである。 本発明に係る単純脂質としては、例えば、精製大豆
油、綿実油、菜種油、胡麻油、コーン油、落花生油、サ
フラワー油、トリオレイン、トリリノレイン、トリパル
ミチン、トリステアリン、トリミリスチン、トリアラキ
ドニン等の中性脂質を挙げることができる。更に、コレ
ステリルオレート、コレステリルリノレート、コレステ
リルミリステート、コレステリルパルミテート、コレス
テリルアラキデート等のステロール誘導体を挙げること
ができる。 血管内皮等に存在する種々のリパーゼ類により中性脂
質は比較的容易に分解されるのに対し、コレステロール
誘導体はこれらの酵素による分解を受けにくいため、体
内での安定性が更に増すから、本発明の構成成分として
好ましい。 本発明に係るリン脂質としては、例えば、卵黄、大
豆、牛、豚等由来のリン脂質または、純合成的又は半合
成的に得られるリン脂質を挙げることができる。即ち、
ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミ
ン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトー
ル、ホスファチジルグリセロール等である。また、例え
ば、卵黄ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコ
リン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリス
トイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファ
チジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジ
パルミトイルホスファチジルグリセロール等を挙げるこ
とができる。これらの水素添加物も用いることができ
る。なかでも好ましい代表例として、精製卵黄レシチン
を挙げることができる。 また、乳剤粒子に表面荷電を賦与するためにステアリ
ルアミン、ジセチルホスフェート、ホスファチジン酸、
ホスファチジルグリセロール等の荷電を有する脂質をも
用いることができる。 本発明の脂肪乳剤製造にあたっては、従来から行われ
てきた種々の乳剤製造法をそのまま応用することができ
る。例えば、薬物を含めた全構成成分をマントン−ガウ
リン型等の加圧噴射式ホモジナイザー、ミクロフルイダ
イザー、超音波ホモジナイザー等により充分に微細化し
て形成せしめる方法が一般的である。 このとき、一般に知られる乳化補助剤または安定化剤
として生理的に受け入れられるステロール類、脂肪酸あ
るいはそれらの誘導体等を加えることもできる。これら
の代表例としては、コレステロール、オレイン酸等があ
げられる。 本発明の脂肪乳剤の形状や粒子径は、電子顕微鏡、光
散乱方式の粒子径分析装置、メンブレンフィルターによ
る濾過等により容易に確認することができる。 本発明の脂肪乳剤において、本発明の主成分のほか
に、例えば、一般に注射型に用いられる添加剤及び補助
物質などを含有させることができる。これらの適当な例
として、酸化防止剤、防腐剤、安定化剤、等張化剤、緩
衝剤等を挙げることができる。これらの添加剤、補助物
質等の要求量及び最適量は、その目的に応じて変化させ
ることができる。 上記のようにして得られる本発明の脂肪乳剤は、必要
に応じて滅菌(例えば濾過滅菌や高圧蒸気滅菌等)し、
窒素ガスとともにアンプル中に封入することができる。
また、必要に応じて凍結乾燥することができる。凍結乾
燥された本発明の脂肪乳剤は、適当な溶液の添加によっ
て復元することができる。 本発明の脂肪乳剤よりなる製剤は、リウマチをはじめ
とする各種炎症等の治療または予防および、術後や各種
疾患等の鎮痛効果等を目的としてヒトまたは種々の動物
の静脈内に投与するのが一般的である。 この場合、乳剤粒子の粒子径等の管理を十分に行う必
要がある。なぜならば、一般に1μ以上の粒子が混在す
ると、種々の毒性発現が知られるからである。 また本発明の脂肪乳剤よりなる製剤は、必要に応じて
従来品同様、静脈内、筋肉内、髄腔内及び皮下等に注射
剤として投与することもできる。また、本発明の脂肪乳
剤は、点眼剤、点鼻剤、経口投与剤、吸入剤、膀胱注入
剤、坐剤又は軟膏等としても製剤化し使用することがで
きる。この場合においても、医薬上許容される基剤、賦
形剤等の添加剤等を、本発明に係る主成分のほかに本発
明の脂肪乳剤に含有させることができる。 本発明の脂肪乳剤よりなる製剤の投与量は、投与ルー
ト、剤形、症状、目的によって異なるが、乳剤として一
般に、1〜1000ml/回がよい。
主成分とする脂肪乳剤の製造にあたって、単純脂質、リ
ン脂質および水のそれぞれの構成成分の組成比を限定し
たところにある。 本発明においては、非ステロイド系消炎鎮痛作用物質
は、その有効量を勘案した組成比を定めて含有するよう
にする。 本発明においては、単純脂質は全体の脂肪乳剤に対し
て0.5〜30%(w/v)含有するようにする。 本発明においては、リン脂質は上記の単純脂質に対し
て重量比にして0.15〜2倍量含有するようにする。 本発明の構成成分である水は、適当量含有するように
する。 これらの成分構成により、安定な微粒子化乳剤が得ら
れ、このものがきわめて優れた特徴を有する脂肪乳剤で
あり、新規の非ステロイド系消炎鎮痛作用物質の製剤と
して利用できることが本発明により初めて明かとなっ
た。 本発明の脂肪乳剤は、極めて安定な脂肪乳剤としての
形態を有する。その平均粒子径は200nm未満である。本
発明の脂肪乳剤は、1μ以上の乳剤粒子を含まない。本
発明の脂肪乳剤は極めて微細で安定な脂肪乳剤である。 その平均粒子径が5nm以上200nm未満であるときは、炎
症反応により血管透過性の亢進した部位で血管内から病
巣組織内に容易に漏出することができる。 血管には種々のポアシステム(pore systems,直径9nm
までの小さなポアシステムと直径25〜70nmの大きなポア
システムとが存在するといわれ、病変部位では更に透過
性が増すことが知られている。)と呼ばれる部位や、そ
の他の細胞間隙が存在し、炎症部位では、血管透過性が
亢進していることが知られ、このような部位では、血管
より多くの本発明の脂肪乳剤が選択的に漏出し、病変組
織内に移行する。これと同時に、この本発明の脂肪乳剤
に包含されている非ステロイド系消炎鎮痛作用物質も病
巣内に移行する。このことにより、非ステロイド系消炎
鎮痛作用物質が容易に効率よくそして選択的に病変部に
移行するから、病変部位での薬物濃度が高まりその効果
を増大させることができる。平均粒子径が100nm以下で
あるときは、0.2μm〜0.4μm程度の直径を有する従来
の脂肪乳剤に比べ薬物の血中濃度が著しく高く維持でき
る。細網内皮系による乳剤粒子の非特異的な取り込みが
回避され、より多くの乳剤粒子が血中に保持されるから
である。このことは上述の乳剤粒子の病巣部位への移行
効率を大きく改善する結果となる。またこれと同時に、
薬物性肝障害等の改善効果も得られる。 本発明の脂肪乳剤においては、従来技術である大豆油
と卵黄レシチンからなる高カロリー輸液を応用したもの
に比べ、脂肪乳剤の核(例えば大豆油)となる成分に対
してその核を覆い安定化する役割を持つ表層(例えば卵
黄レシチン)をその比率において多量に使用することに
より、安定な超微粒子化を実現することができる。 本発明の脂肪乳剤の超微粒子化のためには、表層(例
えばリン脂質)の含量比率が単純脂質に対する重量比と
して0.15〜2倍の量であることが必要である。超微粒子
化により、脂肪乳剤粒子の核の表面積が増大するため、
表層として核を覆い安定化するためにリン脂質の量を増
加させることが必要となるからである。 これより少ない量のリン脂質を用いた場合は、平均粒
子径200nm未満の安定な脂肪乳剤とすることが不可能で
あり、粗大粒子の混入が避けられない。これより多いリ
ン脂質を用いた場合は、リポソーム粒子の混入が避けら
れない。 本発明の脂肪乳剤における非ステロイド系消炎鎮痛作
用物質の含量は、それぞれの非ステロイド系消炎鎮痛作
用物質の薬理学的活性により変化させることができる。
いずれの場合も有効量の薬物を含有することができる。
しかし、一般に5%(w/v)以下とすることが望まし
い。 本発明によれば、非ステロイド系消炎鎮痛作用物質は
脂質の油滴中にあるため、周囲の環境から遮断された状
態で存在するので、酵素的又は非酵素的な分解を抑制す
ることができ、投与後においても薬物の安定性を改善す
ることができる。 この成分構成により、安定な超微粒子化脂肪乳剤が得
られ、このものが極めて優れた脂肪乳剤として利用でき
ることが本発明により初めて明かとなった。 本発明に係る非ステロイド系消炎鎮痛作用物質として
は、従来から0.2μm〜0.4μm程度の粒子径をもつ従来
型脂肪乳剤に用いられてきた化合物をはじめとし、脂溶
性の非ステロイド系消炎鎮痛作用物質や脂溶性誘導体を
そのまま適用することができる。 例えば、インドメタシン、フルルビプロフェン、4−
ビフェニリル酢酸化合物、アスピリン、サリチル酸、サ
リチル酸メチル、イブプロフェン、フルフェナム酸、ケ
トプロフェン、及びこれらのメチル、エチル、イソプロ
ピル、ブチル、ゲラニル、ファルネシル、パルミチン
酸、セチル、トコフェロール、グリセロール、コレステ
ロール等の種々の脂溶性誘導体の群の中から選ばれた少
なくとも一つ以上であり、これらはいずれも安定に本発
明の乳剤粒子に保持されるが、一般に上記の脂溶性誘導
体が望ましい。誘導体化により薬物の脂溶性が増大し、
多量の薬物が容易に乳剤粒子中に保持されるようになる
からである。 本発明に係る単純脂質としては、例えば、精製大豆
油、綿実油、菜種油、胡麻油、コーン油、落花生油、サ
フラワー油、トリオレイン、トリリノレイン、トリパル
ミチン、トリステアリン、トリミリスチン、トリアラキ
ドニン等の中性脂質を挙げることができる。更に、コレ
ステリルオレート、コレステリルリノレート、コレステ
リルミリステート、コレステリルパルミテート、コレス
テリルアラキデート等のステロール誘導体を挙げること
ができる。 血管内皮等に存在する種々のリパーゼ類により中性脂
質は比較的容易に分解されるのに対し、コレステロール
誘導体はこれらの酵素による分解を受けにくいため、体
内での安定性が更に増すから、本発明の構成成分として
好ましい。 本発明に係るリン脂質としては、例えば、卵黄、大
豆、牛、豚等由来のリン脂質または、純合成的又は半合
成的に得られるリン脂質を挙げることができる。即ち、
ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミ
ン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトー
ル、ホスファチジルグリセロール等である。また、例え
ば、卵黄ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコ
リン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリス
トイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファ
チジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジ
パルミトイルホスファチジルグリセロール等を挙げるこ
とができる。これらの水素添加物も用いることができ
る。なかでも好ましい代表例として、精製卵黄レシチン
を挙げることができる。 また、乳剤粒子に表面荷電を賦与するためにステアリ
ルアミン、ジセチルホスフェート、ホスファチジン酸、
ホスファチジルグリセロール等の荷電を有する脂質をも
用いることができる。 本発明の脂肪乳剤製造にあたっては、従来から行われ
てきた種々の乳剤製造法をそのまま応用することができ
る。例えば、薬物を含めた全構成成分をマントン−ガウ
リン型等の加圧噴射式ホモジナイザー、ミクロフルイダ
イザー、超音波ホモジナイザー等により充分に微細化し
て形成せしめる方法が一般的である。 このとき、一般に知られる乳化補助剤または安定化剤
として生理的に受け入れられるステロール類、脂肪酸あ
るいはそれらの誘導体等を加えることもできる。これら
の代表例としては、コレステロール、オレイン酸等があ
げられる。 本発明の脂肪乳剤の形状や粒子径は、電子顕微鏡、光
散乱方式の粒子径分析装置、メンブレンフィルターによ
る濾過等により容易に確認することができる。 本発明の脂肪乳剤において、本発明の主成分のほか
に、例えば、一般に注射型に用いられる添加剤及び補助
物質などを含有させることができる。これらの適当な例
として、酸化防止剤、防腐剤、安定化剤、等張化剤、緩
衝剤等を挙げることができる。これらの添加剤、補助物
質等の要求量及び最適量は、その目的に応じて変化させ
ることができる。 上記のようにして得られる本発明の脂肪乳剤は、必要
に応じて滅菌(例えば濾過滅菌や高圧蒸気滅菌等)し、
窒素ガスとともにアンプル中に封入することができる。
また、必要に応じて凍結乾燥することができる。凍結乾
燥された本発明の脂肪乳剤は、適当な溶液の添加によっ
て復元することができる。 本発明の脂肪乳剤よりなる製剤は、リウマチをはじめ
とする各種炎症等の治療または予防および、術後や各種
疾患等の鎮痛効果等を目的としてヒトまたは種々の動物
の静脈内に投与するのが一般的である。 この場合、乳剤粒子の粒子径等の管理を十分に行う必
要がある。なぜならば、一般に1μ以上の粒子が混在す
ると、種々の毒性発現が知られるからである。 また本発明の脂肪乳剤よりなる製剤は、必要に応じて
従来品同様、静脈内、筋肉内、髄腔内及び皮下等に注射
剤として投与することもできる。また、本発明の脂肪乳
剤は、点眼剤、点鼻剤、経口投与剤、吸入剤、膀胱注入
剤、坐剤又は軟膏等としても製剤化し使用することがで
きる。この場合においても、医薬上許容される基剤、賦
形剤等の添加剤等を、本発明に係る主成分のほかに本発
明の脂肪乳剤に含有させることができる。 本発明の脂肪乳剤よりなる製剤の投与量は、投与ルー
ト、剤形、症状、目的によって異なるが、乳剤として一
般に、1〜1000ml/回がよい。
本発明によれば、非ステロイド系消炎鎮痛作用物質の
臨床上の利用価値を著しく高めることができる。本発明
の効果は、従来の問題点を克服し、薬物の薬理作用そ
のものに悪影響を与えることなく、薬物の効率的な病
巣組織内への選択的移行を可能たらしめ、薬物の血中
濃度を持続させ、必要とされる薬物投与量を減じるこ
とができ、有害な添加物を用いない、安全で一層有効
な非ステロイド系消炎鎮痛作用物質の新規な製剤化を達
成したこと等に集約することができる。これらの効果
は、本発明により初めて成されたものである。 本発明の脂肪乳剤の構成成分は、従来から医療現場に
おいて医療用として用いられてきた医療上許容される脂
質を主とするため、極めて安全に使用することができ
る。このことも本発明の重要な効果の一つである。
臨床上の利用価値を著しく高めることができる。本発明
の効果は、従来の問題点を克服し、薬物の薬理作用そ
のものに悪影響を与えることなく、薬物の効率的な病
巣組織内への選択的移行を可能たらしめ、薬物の血中
濃度を持続させ、必要とされる薬物投与量を減じるこ
とができ、有害な添加物を用いない、安全で一層有効
な非ステロイド系消炎鎮痛作用物質の新規な製剤化を達
成したこと等に集約することができる。これらの効果
は、本発明により初めて成されたものである。 本発明の脂肪乳剤の構成成分は、従来から医療現場に
おいて医療用として用いられてきた医療上許容される脂
質を主とするため、極めて安全に使用することができ
る。このことも本発明の重要な効果の一つである。
以下に本発明の脂肪乳剤の製造に関する実施例をあげ
て本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこれらの
みに限定される物ではないことは明白である。 製造例1 サリチル酸メチルのパルミチン酸エステル0.1g、精製
大豆油2.5g、及び、精製卵黄レシチン1.5gを40〜70℃で
加温混合した後、これに0.24Mグリセリン水溶液を50ml
加えホモジナイザーで撹拌し粗乳化液とする。氷冷下、
超音波ホモジナイザー(ブランソン モデル185)で60
分間乳化し、平均粒子径73nmの極めて微細な脂肪乳剤を
得た。 製造例2 フルルビプロフェン1g、精製大豆油50g、及び精製卵
黄レシチン50gを約60℃で加温混合し、これに、0.24Mグ
リセリン水溶液を500ml加えホモミキサーで撹拌し粗乳
化液とする。粗乳化液を高圧マントン−ガウリン型ホモ
ジナイザーにより高圧(800〜1200kg/cm2)乳化し、平
均粒子径43nmの極めて微細な脂肪乳剤を得た。 製造例3 イブプロフェン0.1g、精製大豆油2g、及び精製卵黄レ
シチン3gをクロロホルム/メタノール(1/1、v/v)混液
100mlで混合溶解した後、ロータリーエバポレーターで
減圧下溶媒を完全に除去する。これに、等張リン酸緩衝
液8mlを加えホモジナイザーで撹拌し粗乳化液とする。
等張リン酸緩衝液を加えて50mlに定容した後、氷冷下、
超音波ホモジナイザー(ブランソン モデル185)で60
分間乳化し、平均粒子径36nmの極めて微細な脂肪乳剤を
得た。 製造例4 インドメタシンファルネシルエステル2g、精製大豆油
20g、及び精製卵黄レシチン18gを約60℃で加温混合し、
これに0.24Mグリセリン水溶液を100ml加えホモミキサー
で撹拌し粗乳化液とする。粗乳化液をマイクロフルイダ
イザーにより高圧乳化し、平均粒子径38nmの極めて微細
な脂肪乳剤を得た。 製造例5 イブプロフェンメチルエステル0.1g、コレステリルオ
レート0.5g、及び、精製卵黄レシチン0.5gをクロロホル
ム/メタノール(1/1、v/v)混液100mlで混合溶解した
後、ロータリーエバポレーターで減圧下溶媒を完全に除
去する。これに、0.24Mグリセリン水溶液8mlを加えホモ
ジナイザーで撹拌し粗乳化液とする。0.24Mグリセリン
水溶液を加えて10mlに定容した後、超音波ホモジナイザ
ー(ブランソン モデル185)で60分間乳化、平均粒子
径49nmの極めて微細な脂肪乳剤を得た。 製造例6 4−ビフェニリル酢酸エチルエステル50mg、精製大豆
油0.5g、及び精製卵黄レシチン0.4g、ジミリストイルホ
スファチジルグリセロール0.1gをクロロホルム/メタノ
ール(1/1、v/v)混液100ml中で混合溶解した後、ロー
タリーエバポレーターで減圧下溶媒を完全に除去する。
これに、9%ラクトース水溶液8mlを加えホモジナイザ
ーで撹拌し粗乳化液とする。9%ラクトース水溶液を加
えて10mlに定容した後、超音波ホモジナイザー(ブラン
ソン モデル185)で60分間乳化し、平均粒子径41nmの
極めて微細な脂肪乳剤を得た。 製造例7 イブプロフェンゲラニルエステル50mg、精製大豆油0.
5g、及び水素添加卵黄レシチン0.4g、コレステロール0.
1gをクロロホルム/メタノール(1/1、v/v)混液100ml
中で混合溶解した後、ロータリーエバポレーターで減圧
下溶媒を完全に除去する。これに、9%ラクトース水溶
液8mlを加えホモジナイザーで撹拌し粗乳化液とする。
9%ラクトース水溶液を加えて10mlに定容した後、超音
波ホモジナイザー(ブランソン モデル185)で60分間
乳化し、平均粒子径39nmの極めて微細な脂肪乳剤を得
た。 製造例8 アセチルサリチル酸コレステリルエステル50mg、精製
大豆油0.5g、及び精製卵黄レシチン0.4gをクロロホルム
/メタノール(1/1、v/v)混液100ml中で混合溶解した
後、ロータリーエバポレーターで減圧下溶媒を完全に除
去する。これに、9%ラクトース水溶液8mlを加えホモ
ジナイザーで撹拌し粗乳化液とする。9%ラクトース水
溶液を加えて10mlに定容した後、超音波ホモジナイザー
(ブランソン モデル185)で60分間乳化し、平均粒子
径44nmの極めて微細な脂肪乳剤を得た。 製造例9 グリセリルトリビフェニリル酢酸エステル0.1g、コレ
ステリルオレート0.5g、及び、精製卵黄レシチン0.5gを
クロロホルム/メタノール(1/1、v/v)混液100ml中で
混合溶解した後、ロータリーエバポレーターで減圧下溶
媒を完全に除去する。これに、0.24Mグリセリン水溶液8
mlを加えホモジナイザーで撹拌し粗乳化液とする。 0.24Mグリセリン水溶液を加えて10mlに定容した後、
超音波ホモジナイザー(ブランソン モデル185)で60
分間乳化し、平均粒子径31nmの極めて微細な脂肪乳剤を
得た。 製造例10 製造例1、5及び6で得られた非ステロイド系消炎鎮
痛作用物質含有脂肪乳剤にアルブミン0.5gを加え、その
後凍結乾燥処理を行い、乾燥製剤を得た。 粒子径の測定 製造例2及び製造例5の脂肪乳剤の粒子径について、
レーザー光による動的光散乱粒子径測定装置を用いその
粒子径について評価した。 その結果、粒子径は約15〜約150nmであった。また、
1μ以上の粒子を含まなかった。 本発明の脂肪乳剤は、極めて微細で、均一な乳剤粒子
よりなることが明らかである。また、静脈内に投与する
際、毒性上問題となる1μ以上の粒子を含まないので、
有効で安全な薬物療法が達成されること明白である。
て本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこれらの
みに限定される物ではないことは明白である。 製造例1 サリチル酸メチルのパルミチン酸エステル0.1g、精製
大豆油2.5g、及び、精製卵黄レシチン1.5gを40〜70℃で
加温混合した後、これに0.24Mグリセリン水溶液を50ml
加えホモジナイザーで撹拌し粗乳化液とする。氷冷下、
超音波ホモジナイザー(ブランソン モデル185)で60
分間乳化し、平均粒子径73nmの極めて微細な脂肪乳剤を
得た。 製造例2 フルルビプロフェン1g、精製大豆油50g、及び精製卵
黄レシチン50gを約60℃で加温混合し、これに、0.24Mグ
リセリン水溶液を500ml加えホモミキサーで撹拌し粗乳
化液とする。粗乳化液を高圧マントン−ガウリン型ホモ
ジナイザーにより高圧(800〜1200kg/cm2)乳化し、平
均粒子径43nmの極めて微細な脂肪乳剤を得た。 製造例3 イブプロフェン0.1g、精製大豆油2g、及び精製卵黄レ
シチン3gをクロロホルム/メタノール(1/1、v/v)混液
100mlで混合溶解した後、ロータリーエバポレーターで
減圧下溶媒を完全に除去する。これに、等張リン酸緩衝
液8mlを加えホモジナイザーで撹拌し粗乳化液とする。
等張リン酸緩衝液を加えて50mlに定容した後、氷冷下、
超音波ホモジナイザー(ブランソン モデル185)で60
分間乳化し、平均粒子径36nmの極めて微細な脂肪乳剤を
得た。 製造例4 インドメタシンファルネシルエステル2g、精製大豆油
20g、及び精製卵黄レシチン18gを約60℃で加温混合し、
これに0.24Mグリセリン水溶液を100ml加えホモミキサー
で撹拌し粗乳化液とする。粗乳化液をマイクロフルイダ
イザーにより高圧乳化し、平均粒子径38nmの極めて微細
な脂肪乳剤を得た。 製造例5 イブプロフェンメチルエステル0.1g、コレステリルオ
レート0.5g、及び、精製卵黄レシチン0.5gをクロロホル
ム/メタノール(1/1、v/v)混液100mlで混合溶解した
後、ロータリーエバポレーターで減圧下溶媒を完全に除
去する。これに、0.24Mグリセリン水溶液8mlを加えホモ
ジナイザーで撹拌し粗乳化液とする。0.24Mグリセリン
水溶液を加えて10mlに定容した後、超音波ホモジナイザ
ー(ブランソン モデル185)で60分間乳化、平均粒子
径49nmの極めて微細な脂肪乳剤を得た。 製造例6 4−ビフェニリル酢酸エチルエステル50mg、精製大豆
油0.5g、及び精製卵黄レシチン0.4g、ジミリストイルホ
スファチジルグリセロール0.1gをクロロホルム/メタノ
ール(1/1、v/v)混液100ml中で混合溶解した後、ロー
タリーエバポレーターで減圧下溶媒を完全に除去する。
これに、9%ラクトース水溶液8mlを加えホモジナイザ
ーで撹拌し粗乳化液とする。9%ラクトース水溶液を加
えて10mlに定容した後、超音波ホモジナイザー(ブラン
ソン モデル185)で60分間乳化し、平均粒子径41nmの
極めて微細な脂肪乳剤を得た。 製造例7 イブプロフェンゲラニルエステル50mg、精製大豆油0.
5g、及び水素添加卵黄レシチン0.4g、コレステロール0.
1gをクロロホルム/メタノール(1/1、v/v)混液100ml
中で混合溶解した後、ロータリーエバポレーターで減圧
下溶媒を完全に除去する。これに、9%ラクトース水溶
液8mlを加えホモジナイザーで撹拌し粗乳化液とする。
9%ラクトース水溶液を加えて10mlに定容した後、超音
波ホモジナイザー(ブランソン モデル185)で60分間
乳化し、平均粒子径39nmの極めて微細な脂肪乳剤を得
た。 製造例8 アセチルサリチル酸コレステリルエステル50mg、精製
大豆油0.5g、及び精製卵黄レシチン0.4gをクロロホルム
/メタノール(1/1、v/v)混液100ml中で混合溶解した
後、ロータリーエバポレーターで減圧下溶媒を完全に除
去する。これに、9%ラクトース水溶液8mlを加えホモ
ジナイザーで撹拌し粗乳化液とする。9%ラクトース水
溶液を加えて10mlに定容した後、超音波ホモジナイザー
(ブランソン モデル185)で60分間乳化し、平均粒子
径44nmの極めて微細な脂肪乳剤を得た。 製造例9 グリセリルトリビフェニリル酢酸エステル0.1g、コレ
ステリルオレート0.5g、及び、精製卵黄レシチン0.5gを
クロロホルム/メタノール(1/1、v/v)混液100ml中で
混合溶解した後、ロータリーエバポレーターで減圧下溶
媒を完全に除去する。これに、0.24Mグリセリン水溶液8
mlを加えホモジナイザーで撹拌し粗乳化液とする。 0.24Mグリセリン水溶液を加えて10mlに定容した後、
超音波ホモジナイザー(ブランソン モデル185)で60
分間乳化し、平均粒子径31nmの極めて微細な脂肪乳剤を
得た。 製造例10 製造例1、5及び6で得られた非ステロイド系消炎鎮
痛作用物質含有脂肪乳剤にアルブミン0.5gを加え、その
後凍結乾燥処理を行い、乾燥製剤を得た。 粒子径の測定 製造例2及び製造例5の脂肪乳剤の粒子径について、
レーザー光による動的光散乱粒子径測定装置を用いその
粒子径について評価した。 その結果、粒子径は約15〜約150nmであった。また、
1μ以上の粒子を含まなかった。 本発明の脂肪乳剤は、極めて微細で、均一な乳剤粒子
よりなることが明らかである。また、静脈内に投与する
際、毒性上問題となる1μ以上の粒子を含まないので、
有効で安全な薬物療法が達成されること明白である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 31/19 AAH A61K 31/405 31/215 ABE 31/60 31/405 47/24 H 31/60 9/14 L 47/24 F (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 9/10,9/107,9/14 A61K 47/24 CA(STN)
Claims (11)
- 【請求項1】(a)有効量の非ステロイド系消炎鎮痛作
用物質、(b)全体の0.5〜30%(w/v)の単純脂質、
(c)単純脂質に対して0.15〜2倍(重量比)のリン脂
質、及び、(d)適当量の水 の上記(a)、(b)、(c)、及び(d)を含有し、
脂肪乳剤粒子の平均粒子径が5nm〜100nmであることを特
徴とする脂肪乳剤、又はその凍結乾燥製剤。 - 【請求項2】単純脂質が、中性脂質又はステロール誘導
体であり、リン脂質が、ホスファチジルコリン、ホスフ
ァチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホ
スファチジルイノシトール、又はホスファチジルグリセ
ロールである請求項1記載の脂肪乳剤、又はその凍結乾
燥製剤。 - 【請求項3】中性脂質が、精製大豆油、綿実油、菜種
油、胡麻油、コーン油、落花生油、サフラワー油、トリ
オレイン、トリリノレイン、トリパルミチン、トリステ
アリン、トリミリスチン、又はトリアラキドニンである
請求項2記載の脂肪乳剤、又はその凍結乾燥製剤。 - 【請求項4】ステロール誘導体が、コレステリルオレー
ト、コレステリルリノレート、コレステリルミリステー
ト、コレステリルパルミテート、又はコレステリルアラ
キデートである請求項2記載の脂肪乳剤、又はその凍結
乾燥製剤。 - 【請求項5】ホスファチジルコリンが、卵黄ホスファチ
ジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、ジパルミトイ
ルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジ
ルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、若し
くはジオレオイルホスファチジルコリン、又はそれらの
水素添加物である請求項2記載の脂肪乳剤、又はその凍
結乾燥製剤。 - 【請求項6】ホスファチジルグリセロールが、ジパルミ
トイルホスファチジルグリセロール又はその水素添加物
である請求項2記載の脂肪乳剤、又はその凍結乾燥製
剤。 - 【請求項7】リン脂質が、精製卵黄レシチンである請求
項1乃至3記載の脂肪乳剤、又はその凍結乾燥製剤。 - 【請求項8】非ステロイド系消炎鎮痛作用物質が、イン
ドメタシン、フルルドプロフェン、4−ビフェニリル酢
酸化合物、アセチルサリチル酸、サリチル酸、サリチル
酸メチル、イブプロフェン、フルフェナム酸、若しくは
ケトプロフェン、又はそれらの脂溶性誘導体である請求
項1乃至7記載の脂肪乳剤、又はその凍結乾燥製剤。 - 【請求項9】脂溶性誘導体が、サリチル酸メチルのパル
ミチン酸エステル、インドメタシンファルネシルエステ
ル、イブプロフェンメチルエステル、4−ビフェニリル
酢酸エチルエステル、イブプロフェンゲラニルエステ
ル、アセチルサリチル酸コレステリルエステル、又はグ
リセリルトリビフェニリル酢酸エステルである請求項8
記載の脂肪乳剤、又はその凍結乾燥製剤。 - 【請求項10】さらにステアリルアミン、ジセチルホス
フェート、ホスファチジン酸、コレステロール、及び脂
肪酸からなる群から選択される少なくとも一つを含有す
る請求項1乃至9記載の脂肪乳剤、又はその凍結乾燥製
剤。 - 【請求項11】請求項1乃至10記載の脂肪乳剤、又はそ
の凍結乾燥製剤から導かれる注射剤、点眼剤、点鼻剤、
経口投与剤、吸入剤、膀胱注入剤、坐剤、又は軟膏。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1313884A JP2844756B2 (ja) | 1989-12-01 | 1989-12-01 | 脂肪乳剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1313884A JP2844756B2 (ja) | 1989-12-01 | 1989-12-01 | 脂肪乳剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03176425A JPH03176425A (ja) | 1991-07-31 |
JP2844756B2 true JP2844756B2 (ja) | 1999-01-06 |
Family
ID=18046674
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1313884A Expired - Lifetime JP2844756B2 (ja) | 1989-12-01 | 1989-12-01 | 脂肪乳剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2844756B2 (ja) |
Families Citing this family (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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TW203010B (ja) * | 1990-10-31 | 1993-04-01 | Otsuka Pharma Co Ltd | |
EP1214940B1 (en) * | 1995-01-27 | 2009-03-11 | Board of Regents, The University of Texas System | Methods of enhancing the therapeutic activity of NSAIDs and compositions of zwitterionic phospholipids useful therein |
US5763422A (en) * | 1995-01-27 | 1998-06-09 | Board Of Regents, The University Of Texas System | Methods of enhancing the therapeutic activity of NSAIDS and compositions of zwitterionic phospholipids useful therein |
US5955451A (en) * | 1995-05-12 | 1999-09-21 | The University Of Texas System Board Of Regents | Methods of enhancing the therapeutic activity of NSAIDS and compositions of zwitterionic phospholipids useful therein |
GB9625589D0 (en) | 1996-12-10 | 1997-01-29 | Boots Co Plc | Therapeutic agents |
US6410777B1 (en) * | 1997-04-04 | 2002-06-25 | Teijin Limited | Salicylic acid ester derivative and its production |
US20040077604A1 (en) | 2001-12-19 | 2004-04-22 | Lenard Lichtenberger | Method and compositions employing formulations of lecithin oils and nsaids for protecting the gastrointestinal tract and providingenhanced therapeutic activity |
WO2003013513A1 (en) * | 2001-08-03 | 2003-02-20 | Takeda Chemical Industries, Ltd. | Stable emulsion composition |
CN101926757B (zh) * | 2010-09-01 | 2013-01-02 | 北京大学 | 一种难溶性药物的液体组合物及其制备方法 |
CA2850187C (en) | 2011-09-29 | 2021-12-07 | Plx Pharma Inc. | Ph dependent carriers for targeted release of pharmaceuticals along the gastrointestinal tract, compositions therefrom, and making and using same |
JP7456599B2 (ja) * | 2017-01-12 | 2024-03-27 | テクノガード株式会社 | 薬物含有脂肪乳剤およびその製造方法 |
CN108079310A (zh) * | 2018-02-09 | 2018-05-29 | 广东嘉博制药有限公司 | 一种双效麻醉药物脂肪乳注射液及其制备方法 |
CN114191390A (zh) * | 2021-12-17 | 2022-03-18 | 西南医科大学 | 一种基于响应面法优化的氟比洛芬酯长循环脂微球及其制备工艺和应用 |
-
1989
- 1989-12-01 JP JP1313884A patent/JP2844756B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03176425A (ja) | 1991-07-31 |
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