JP2728675B2 - 変電機器の異常検出システム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、変電機器の異常検出システムに関するもの
であり、特に、異常・不具合発生時の対応、表示方法に
係る。

（従来の技術） 変電所には、ガス絶縁開閉器などの高電圧主回路を入
切するための電力用開閉器や、変圧器、リアクトルなど
の油入機器が設置されている。近年、このような電力用
機器の信頼性の向上、保守の低減および事故の未然防止
などの目的から、機器の異常検出システムに対する要求
が高まっている。

ここで、変電機器の異常検出システムは、第５図に示
すように、機器の各種物理量や化学量を検出手段１にて
検出し、この検出手段１の出力を測定手段２にて測定し
た後、この測定結果である測定値を測定結果収集手段３
にて収集し、さらに、表示操作手段４にて測定結果の表
示および操作を行うものである。

このような異常検出システムの期待される効果につい
て、第６図を参照して説明する。即ち、第６図は、縦軸
を供試品の潜在的特性Ｌ、横軸を経過時間ｔとした時の
潜在的劣化故障モデル図である。事故として現象化する
過程において、ｆ点に至ると加速度的に進展し、時間的
な余裕もなく事故現象に至るので、ａ点〜ｅ点の警告領
域Ｂで異常を発見することが望ましい。

その理由は、種々の異常は物理現象的に長時間かけて
進展するので、たとえ異常が発生確認されても緊急停止
などの直接緊急処置が不要で、自発的停止による修復余
裕時間が得られることと、事故現象時の１次〜２次被害
といった事故拡大現象がなく、修復箇所も必要最小限の
部位に限定できることである。

また、異常検出システムの監視項目としては、ガス絶
縁開閉装置の場合、その計測値自体が急激に変化しない
コロナ量、ガス水分量、ガス成分、ガス圧力、ガス温
度、ガス密度、油圧、分解ガス量などの準定常的である
項目と、遮断器、断路器などの動作時間のように、短い
時間内での処理を必要とする項目とがある。

一方、変圧器については、油中水素ガス量、油圧やLT
C部の発生トルク量および動作時間などの項目がある。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、上記のような従来の異常監視システム
による異常診断においては、異常発生後、個々の監視デ
ータを検討し、その後、必要な計測値を計算機に入力
し、異常診断を行うといった方法が採られており、異常
が発生してから異常診断の結果が出るまでに長時間を要
していた。即ち、監視と診断を２段階に分けて断続的に
行うため、それぞれに要する時間およびその間に生ずる
ロスタイムなどから単純に時間がかかることに加えて、
さらに、情報の整合性の確認や、不具合状況の把握など
に時間がかかり、迅速な対応が困難であるという欠点が
あった。

本発明は、以上のような従来技術の欠点を解決するた
めに提案されたものであり、異常・不具合の診断を効率
的に行い、早急な対応が可能であるような、優れた変電
機器の異常検出システムを提供することを目的としてい
る。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） 本発明の変電機器の異常検出システムは、次のような
特徴を持つものである。まず、データ処理部には、検出
手段データを読み込み、読み込んだデータを使用して機
器の運転状態を監視するプログラムが設けられると共
に、異常発生信号により起動され、異常発生と判定され
た部位に応じて検出手段データのうちの必要なデータを
選定して読み込み、読み込んだデータを使用して該当す
る部位における機器の異常内容とその原因を診断し、診
断結果に応じた適切な対応支援内容を決定するプログラ
ムが設けられる。さらに、データ処理部は、機器の運転
状態を示す監視画面のデータと、診断結果および対応支
援内容を示す診断画面のデータを作成し、これらのデー
タをデータ表示手段に送ることによってこのデータ表示
手段により監視画面と診断画面を同時並行的に表示させ
るように構成される。

（作用） 以上のような構成を有する変電機器の異常検出システ
ムにおいては、異常・不具合が発生した場合、異常発生
信号によりプログラムが起動し、必要なデータのみを自
動的に選定して容易に異常・不具合の診断および対応支
援を行うことができる。即ち、本発明では、監視と同時
並行的に、効率的な異常診断および対応支援を行えるた
め、変電機器に発生した異常・不具合に対して迅速な対
応が可能であり、事故拡大を効果的に防止できる。

（実施例） 以下に、本発明による変電機器の異常検出システムの
一実施例を、第１図乃至第４図に基づいて具体的に説明
する。

第１図は、本発明におけるデータ処理部の処理フロー
を示したものである。

即ち、通常は、「Ａ→（１）機器制御情報の入力→
（２）監視項目の測定→（３）計測値の比較・判定→
（４）異常フラグリセット→（５）アラーム・ファイル
から当該データを削除→（６）計測データの表示→（1
1）計測データの記憶・出力→Ａ」のルーチンが連続的
に繰り返されるが、「（３）計測値の比較・判定」にお
いて計測データに異常がある場合、即ち、計測データが
第６図の機能不十分レベルにある場合には、異常処理ル
ーチン：「（７）異常有？→（８）異常フラグセット→
（９）アラーム・ファイルへ当該データを書き込む→
（10）監視状態の画面表示」に入る。

この異常処理ルーチンの、「（８）異常フラグセッ
ト」がなされると、自動的に「Ｂ→診断プログラムの起
動」がなされるようになっている。この自動起動は、デ
ータ処理部として、マルチタスク処理が可能なパソコン
またはミニコンを使用することにより、容易に実現でき
る。

そして、診断プログラムが起動されると、該当する機
器または部位の異常診断ルーチンに移り、アラームファ
イルから異常データを読み込むと共に、他の監視ファイ
ルから診断に必要な監視データを読み込み、さらに主器
制御系から取込んでいる機器動作などに関する制御デー
タを読み込み異常診断を行うと共に対応支援内容を決定
するようになっている。この後、得られた診断結果およ
び対応支援を表示・出力する。

第２図は、診断プログラムが起動した場合の、データ
処理部表示画面10の構成例を示したものである。

第２図中11および12は、監視画面であり、主器の運転
状況や運転経緯、機器動作経緯および計測内容の経緯な
どを表示するものである。また、13は診断画面であり、
異常・不具合の内容やその要因などの推論結果および不
具合対応策などにつき示している。

監視画面および診断画面の具体例を第３図および第４
図に示す。第３図はガス絶縁開閉装置の運転状況を示す
監視画面の一例であり、これにより、主器の状況を明確
に把握することができ、この画面例の各項目に対する経
緯表示やトレンド表示を容易に行うことができる。第４
図は、遮断器不具合時の診断画面例を示したものであ
る。この第４図においては、推論結果を表示する画面例
とそれに続く診断結果を表示する画面例が示されてお
り、診断結果の表示画面においては、診断結果が表示さ
れているだけでなく、その下部に、「早い機会に停止し
て精密点検を実施して下さい。」という対応支援が合わ
せて表示されているため、これにより、変電機器に発生
した異常・不具合に対して迅速な対応を行うことができ
る。

このように、本実施例では、異常・不具合発生時に、
診断プログラムが自動的に起動し、必要なデータも自動
的に読み込まれるため、監視と診断とを２段階に行って
いた従来技術に比べ、監視と同時並行的に、効率的な異
常診断および対応支援を行える。そのため、時間の無駄
がなく、対応の迅速化を図れる。即ち、第４図に示すよ
うに、診断結果と共に対応支援を表示することにより、
この対応支援によって適切な対応内容を明確かつ迅速に
決定できるため、できる限り適切な対応をできる限り迅
速に行うことができる。また、操作の煩わしさや、誤操
作に起因する対応の遅れなどの問題もない。特に本実施
例においては、監視画面11,12と診断画面13とを対比し
て設けていため、異常・不具合の確認および状況判断を
迅速、容易かつ的確に行うことができ、より優れた効果
を得られる。さらに、必要な主器の制御側データを選定
して読み込んでいるため、この点からも、より詳細な状
況判断が可能となっている。

［発明の効果］ 以上説明したように、本発明による変電機器の異常検
出システムにおいては、異常・不具合が発生した場合
に、異常発生信号によりプログラムを起動し、検出デー
タのうちの必要なデータのみを自動的に選定して読み込
み、監視と同時並行的に、効率的な異常診断および対応
支援を行えるため、監視と診断を時間的に２段階で行っ
ていた従来技術に比べ、発生した異常・不具合への対応
を大幅に迅速化でき、変電機器の信頼性の向上、保守の
低減、および事故拡大の防止などに大いに貢献できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による変電機器の異常検出システムの処
理フローの一例を示すフローチャート、第２図は本発明
に使用するデータ処理部表示画面の一例を示すブロック
図、第３図および第４図はそれぞれ第２図の監視画面と
診断画面の一例を示す正面図である。 第５図は変電機器の異常検出システムの一般的な構成の
概略を示すブロック図、第６図は変電機器の潜在的劣化
故障モデルを示すグラフである。 １…検出手段、２…測定手段、３…測定結果収集手段、
４…表示操作手段、10…データ処理部表示画面、11,12
…監視画面、13…診断画面。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】高電圧機器に取付けられた各種検出手段
   と、検出手段データを監視して異常発生の有無とその部
   位を判定し、異常発生を判定した際に異常発生信号を出
   力するデータ処理部と、データ処理部に接続されたデー
   タ表示手段とを備えた変電機器の異常検出システムにお
   いて、 前記データ処理部には、 検出手段データを読み込み、読み込んだデータを使用し
   て機器の運転状態を監視するプログラムと、 異常発生信号により起動され、異常発生と判定された部
   位に応じて検出手段データのうちの必要なデータを選定
   して読み込み、読み込んだデータを使用して該当する部
   位における機器の異常内容とその原因を診断し、診断結
   果に応じた適切な対応支援内容を決定するプログラムと
   が設けられ、 前記データ処理部は、前記機器の運転状態を示す監視画
   面のデータと、前記診断結果および対応支援内容を示す
   診断画面のデータを作成し、これらのデータを前記デー
   タ表示手段に送ることによってこのデータ表示手段によ
   り監視画面と診断画面を同時並行的に表示させるように
   構成された ことを特徴とする変電機器の異常検出システム。
2. 【請求項２】対応支援内容を決定するプログラムとし
   て、検出手段データと共に、前記機器を制御するための
   制御側データを選定して読み込むプログラムを使用する
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の変電機器
   の異常検出システム。