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JP2718459B2 - 既存コンクリート躯体の補強構造 - Google Patents

既存コンクリート躯体の補強構造

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JP2718459B2
JP2718459B2 JP31591090A JP31591090A JP2718459B2 JP 2718459 B2 JP2718459 B2 JP 2718459B2 JP 31591090 A JP31591090 A JP 31591090A JP 31591090 A JP31591090 A JP 31591090A JP 2718459 B2 JP2718459 B2 JP 2718459B2
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JP
Japan
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long
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謙介 谷木
克朗 小畠
耕三 木村
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Obayashi Corp
Mitsubishi Chemical Corp
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Obayashi Corp
Mitsubishi Chemical Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本発明は既存コンクリート躯体の補強構造に係わり、
特に全長が短い既存コンクリート躯体にも適用可能な既
存コンクリート躯体の補強構造に関する。
《従来の技術》 既存コンクリート躯体(以下、既存RC躯体と称す
る。)を補強するにあたっては、各種の方法が実施され
ているが、近年、炭素繊維、アラミド繊維などの高強度
長繊維の急速な開発、実用化に伴い、このような繊維を
その配向性を揃えてシート状またはテープ状もしくはス
トランド状等に加工した高強度長繊維補強材を既存RC躯
体のコンクリート表面に貼り付けて補強する方法が種々
検討実施されている。
すなわち、特開昭64-83768号公報においては、第5図
に示すように、RC煙突などの柱状の既存RC躯体30の外周
に、その長手方向に高強度長繊維の配向方向を合わせて
テープ状またはシート状の高強度長繊維補強材31を接着
剤を介して貼り付け、さらにその上にストランド状の高
強度長繊維補強材32を捲回固着してコンクリートとの一
体性を高めるようにしたものが提案されている。
また、特開平1-105871号公報においては、第6図
(a)、(b)に示すように、梁材としての既存RC躯体
40の下面にシート状の高強度長繊維補強材41を、その高
強度長繊維の配向を長手方向に沿わせて接着剤で貼り付
け、これに重ねてさらにシート状の高強度長繊維補強材
42をその配向を周方向に沿わせて貼着して既存RC躯体40
を補強する方法が提案されている。
そして、これらの補強方法にあっては、既存RC躯体3
0、40の長手方向に配設される高強度長繊維補強材31、4
1は、その既存RC躯体30、40に対して両端部のみで接着
剤により貼着されてその一体化が図られているのが一般
的である。
《発明が解決しようとする課題》 しかしながら、このような補強方法では、接着剤の引
張剪断強度は高強度長繊維補強材31、41の引張強度より
も小さいため、この接着剤の引張剪断耐力を高強度長繊
維補強材31、41の引張強度に対応させて高強度長繊維補
強材31、41と既存RC躯体30、40とを一体化させるには、
高強度長繊維補強材31、41の両端部と既存RC躯体30、40
との接着長さを充分長く確保して、接着剤に作用する剪
断応力を低下させる必要がある。すなわち、既存RC躯体
30、40の全長が短く、前述の接着長さが十分に確保でき
ない場合には、高強度長繊維補強材31、41の引張強度に
対応した接着剤の引張剪断耐力が得られないため、既存
RC躯体30、40を所望の強度に補強することが困難である
という問題点がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであ
り、その目的は、補強材と補強しようとする既存RC躯体
のコンクリートとの接着部分の長さを可及的に短縮して
それらを強固に一体化させることができ、もって全長が
短い既存RC躯体にも適用可能な既存RC躯体の補強構造を
提供することにある。
《課題を解決するための手段》 本発明は、上記の目的を達成するために、煙突や柱お
よび梁などの既存コンクリート躯体の外側に、その長手
方向に沿わせて高強度長繊維補強材を配設し、該高強度
長繊維補強材の両端部を接着剤でコンクリート躯体に固
着して一体化させる既存コンクリート躯体の補強構造に
おいて、前記長手方向の高強度長繊維補強材を固着させ
る部位のコンクリート躯体の外側面に段差部を形成し、
該段差部に、前記長手方向の高強度長繊維補強材の外側
に重ねて周方向に高強度長繊維補強材を配設して、該長
手方向の高強度長繊維補強材を湾曲させて前記段差部に
係止した。
また、前記段差部は、コンクリート躯体外側面の周方
向に高強度長繊維補強材を配設して形成するとよい。
また、前記段差部は、コンクリート躯体外側面の周方
向にモルタル、硬化後、所要硬度を有する樹脂、ステン
レス鋼板などの高弾性材料を配設して凸部として形成し
てもよい。
さらに、前記段差部は、コンクリート躯体外側面を周
方向に削製して凹部として形成してもよい。
《作用》 本発明の作用について述べると、長手方向の高強度長
繊維補強材を固着させる部位の既存RC躯体の外側面に形
成した段差部に、その長手方向の高強度長繊維補強材の
外側に重ねて周方向にさらに高強度長繊維補強材を配設
して、前記長手方向の高強度長繊維補強材を湾曲させて
段差部に係止したので、長手方向の高強度長繊維補強材
に作用する張力は、この長手方向の高強度長繊維補強材
を既存RC躯体に固着している接着剤の剪断耐力に加え
て、長手方向の高強度長繊維補強材とその外側に重ねて
周方向に配設されている高強度長繊維補強材とが係合す
る段差部に作用する係止力によって負担される。したが
って、接着剤が負担する張力は、前記係止力の分だけ軽
減され、接着剤のみを使用して長手方向の高強度長繊維
補強材を固着する場合に比して、長手方向の高強度長繊
維補強材の既存RC躯体に対する接着長さを短縮すること
ができ、全長が短い既存RC躯体でも所望の補強強度が得
られるようになる。
また、長手方向の高強度長繊維補強材を接着する範囲
が狭くて済むので、施工が容易になり、工期の短縮およ
び施工費用の低減が図れるようになる。
《実施例》 以下、添付図面を参照して本発明の好適実施例につい
て説明する。
第1図(a)は、本発明をRC煙突などの柱状の既存RC
躯体10に適用した場合の部分斜視図、同図(b)は、そ
の要部を示す一部破断断面図である。第1図(a)、
(b)は、それぞれ既存RC躯体10の一端側のみを示して
おり、かつ第1図(a)においては周方向の高強度長繊
維補強材3および4と長手方向の高強度長繊維補強材2
の一部を省略して図示している。
第1図(a)、(b)に示すように、既存RC躯体10の
端部表面には高強度長繊維補強材4が周方向に捲回固着
されており、この高強度長繊維補強材4によって既存RC
躯体10のコンクリート表面に段差部1を形成している。
そしてその上から重ねて既存RC躯体10の長手方向に配向
を揃えて高強度長繊維補強材2が貼着されている。さら
にこの高強度長繊維補強材2の上から、前記の段差部1
に隣接して周方向に配向を揃えて高強度長繊維補強材3
が上下2か所に捲回固着されている。
周方向の高強度長繊維補強材3および4としては、炭
素繊維、アラミド繊維などの高強度長繊維をストランド
状あるいはテープ状に形成したものが適している。ま
た、長手方向の高強度長繊維補強材2としては、炭素繊
維、アラミド繊維などの高強度長繊維をテープ状あるい
はシート状に形成したものが適している。
次に、本実施例の作用について述べると、既存RC躯体
10表面の長手方向の高強度長繊維補強材2を固着させる
部位の外側面に段差部1を形成し、この段差部1に、前
記長手方向の高強度長繊維補強材2の外側に重ねて周方
向に高強度長繊維補強材3を配設して、前記長手方向の
高強度長繊維補強材2を湾曲させて前記の段差部1に係
止させたので、高強度長繊維補強材2に張力Tが作用す
る際、高強度長繊維補強材2と既存RC躯体10とを接着す
る接着剤の剪断耐力に加えて、高強度長繊維補強材2
が、補強しようとする既存RC躯体10のコンクリート表面
に形成された段差部1に湾曲して係合する部位に作用す
る係止力が、高強度長繊維補強材2に作用する張力Tを
負担する。したがって、接着剤が負担する張力が軽減さ
れ、従来の接着剤のみを用いて長手方向の高強度長繊維
補強材2を固着させる構造と比較して、高強度長繊維補
強材2と既存RC躯体10との接着長さを可及的に短縮し
て、それらを強固に一体化させることができる。このた
め、従来の接着剤のみを使用して補強材を貼着する補強
構造を適用すると、充分な接着長さが確保できずに所望
の補強強度を得ることが困難であった、全長が短い既存
RC躯体でも所望の補強強度を充分に得ることが可能とな
る。また、接着作業を行なう範囲が狭くて済むので、接
着作業が容易になり、工期の短縮および施工費用の低減
を可及的に図れるようになる。
また、本実施例による長手方向の高強度長繊維補強材
2の固着部位を、補強しようとする既存RC躯体10の複数
の箇所に設ければ、高強度長繊維補強材2と既存RC躯体
10との一体性をさらに高めることができ、より効果的に
既存RC躯体10を補強することができる。
また、前述のように、本実施例による長手方向の高強
度長繊維補強材2の固着部位は、長手方向の高強度長繊
維補強材2と既存RC躯体10とを固着する接着剤の剪断耐
力と共に、高強度長繊維補強材2が既存RC躯体10のコン
クリート表面に形成された段差部1に湾曲して係合する
部位に作用する係止力が張力Tを負担するので、従来、
補強しようとする既存RC躯体10の長手方向の高強度長繊
維補強材2の上に適宜間隔をもって固着している周方向
の高強度長繊維補強材3の配設ピッチを広げることがで
き、接着作業の工期短縮および施工費用の低減を図るこ
とができる。
高強度長繊維補強材4の代わりに、第2図に示すよう
に、モルタル、硬化後、所要硬度を有する樹脂、ステン
レス鋼板などの高弾性材料6を既存RC躯体10のコンクリ
ート表面に周方向に配設して段差部1を形成するように
してもよい。
また、第3図に示すように、既存RC躯体10の外周面
を、周方向に浅く削製して溝状の段差部1を形成し、こ
の段差部1の上に既存RC躯体10の長手方向に配向を揃え
て高強度長繊維補強材2を貼着し、さらにこの高強度長
繊維補強材2の上から段差部1の部分に高強度長繊維補
強材3を周方向に配向を揃えて捲回固着するように構成
してもよい。
なお、これらの段差部1は、その補強しようとする既
存RC躯体10の長手方向に見た両端部において、極端な段
差や長手方向に貼着する高強度長繊維補強材2に損傷を
与えるような鋭角を有しないように形成する。
次に、本発明の他の実施例について、第4図を参照し
て説明する。
第4図は、本発明による補強構造を既存RC躯体として
のRC梁20に適用した例を示す部分側面図である。
同図に示すように、柱22に直交して設けられているRC
梁20は、床スラブ21を支持しており、このRC梁20の下面
には、RC梁20の長手方向に直交して配向を揃えて、スト
ランド状あるいはテープ状に形成された高強度長繊維補
強材4が貼着されて、補強しようとするRC梁20の端部下
面に段差部1を形成している。この段差部1の上に重ね
てRC梁20の長手方向に沿って配向を揃えてRC梁20の下面
にテープ状あるいはシート状に形成された高強度長繊維
補強材2が固着されている。さらに、高強度長繊維補強
材2の上から前記の段差部1のRC梁20の長手方向中央側
に隣接して、ストランド状あるいはテープ状に形成され
た高強度長繊維補強材3が、RC梁20の両側面および下面
を囲繞するように、RC梁20の周方向に配向を揃えて貼着
されている。
次に、本実施例の作用について説明する。
本実施例にあっても、RC梁20の端部下面の長手方向の
高強度長繊維補強材2を固着させる部位のコンクリート
表面に形成した段差部1が、第1実施例で述べたのと同
様の作用をなし、従来の接着剤のみを用いて長手方向の
高強度長繊維補強材2を固着させる構造と比較して、高
強度長繊維補強材2とRC梁20との接着長さを可及的に短
縮して、それらを強固に一体化させることができる。こ
のため、従来の接着剤のみを使用して補強材を貼着する
補強構造を適用すると充分な接着長さが確保できずに所
望の補強強度を得ることが困難であった、全長が短いRC
梁でも所望の補強強度を充分に得ることが可能となる。
また、接着作業を行なう範囲が狭くて済むので、接着作
業が容易になり、工期の短縮および施工費用の低減を可
及的に図れるようになる。
また、梁の中央部分を補強して曲げ耐力を増大させる
と、相対的に梁部材両端部における剪断耐力が不足する
虞があると考えられるが、このような場合に対して、本
実施例の補強構造では高強度長繊維補強材3が、梁部材
両端部の剪断耐力を高める効果も得ることができる。
なお、第1実施例で説明したように、高強度長繊維補
強材4の代わりに、モルタル、硬化後、所要硬度を有す
る樹脂、ステンレス鋼板などの高弾性材料を塗布してRC
梁20の端部下面に段差部1を形成するようにしてもよ
い。また、RC梁20の下面を、周方向に浅く削製して段差
部1を形成し、この段差部1の上に、RC梁20の長手方向
に配向を揃えて高強度長繊維補強材2を貼着し、さらに
高強度長繊維補強材2の上から段差部1の部分に高強度
長繊維補強材3を周方向に配向を揃えて捲回固着するよ
うに構成してもよい。
《効果》 以上、実施例で詳細に説明したように、本発明によれ
ば次の如き優れた効果を発揮する。
(1)既存RC躯体の長手方向の高強度長繊維補強材接着
部位にあらかじめ段差部を形成して、その上から既存RC
躯体の長手方向に配向を揃えて高強度長繊維補強材を貼
着し、さらに、前記段差部に、長手方向の高強度長繊維
補強材の上から、既存RC躯体の周方向に配向を揃えて高
強度長繊維補強材を捲回固着したので、長手方向の高強
度長繊維補強材に張力が作用する際、長手方向の高強度
長繊維補強材と既存RC躯体とを接着する接着剤の剪断耐
力に加えて、長手方向の高強度長繊維補強材が段差部と
湾曲して係合する部位に作用する係止力が前記の張力を
負担することとなり、接着剤が負担する張力は、前記の
係止力の分だけ軽減され、接着剤のみを使用して長手方
向の高強度長繊維補強材を固着する場合に比して、長手
方向の高強度長繊維補強材のコンクリートに対する接着
長さを可及的に短縮することができ、全長が短い既存RC
躯体でも充分な補強強度を得ることが可能となる。
(2)補強しようとする既存RC躯体とその長手方向に貼
着する高強度長繊維補強材との接着部分の範囲を狭くで
きるので、接着作業が容易になり、工期の短縮および施
工費用の低減を可及的に図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本発明の一実施例を示す部分斜視図、第
1図(b)、第2図、第3図はそれぞれ本発明の一実施
例を示す一部破断断面図、第4図は本発明の他の実施例
を示す部分側面図、第5図は従来技術を示す斜視図、第
6図(a)は従来技術を示す部分側面図、第6図(b)
は第6図(a)の断面II-IIによる断面図である。 1……段差部 2……長手方向の高強度長繊維補強材 3、4……周方向の高強度長繊維補強材 6……高弾性材料 10……RC煙突(既存RC躯体) 20……RC梁(既存RC躯体) 21……床スラブ 22……柱
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 耕三 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株 式会社大林組技術研究所内 (56)参考文献 特公 昭52−37295(JP,B2) 実公 昭57−7726(JP,Y2)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】煙突や柱および梁などの既存コンクリート
    躯体の外側に、その長手方向に沿わせて高強度長繊維補
    強材を配設し、該高強度長繊維補強材の両端部を接着剤
    でコンクリート躯体に固着して一体化させる既存コンク
    リート躯体の補強構造において、前記長手方向の高強度
    長繊維補強材を固着させる部位のコンクリート躯体の外
    側面に段差部を形成し、該段差部に、前記長手方向の高
    強度長繊維補強材の外側に重ねて周方向に高強度長繊維
    補強材を配設して、該長手方向の高強度長繊維補強材を
    湾曲させて前記段差部に係止したことを特徴とする既存
    コンクリート躯体の補強構造。
  2. 【請求項2】前記段差部が、コンクリート躯体外側面の
    周方向に配設した高強度長繊維補強材によって形成され
    ることを特徴とする請求項1に記載の既存コンクリート
    躯体の補強構造。
  3. 【請求項3】前記段差部が、コンクリート躯体外側面の
    周方向に配設したモルタル、硬化後、所要硬度を有する
    樹脂、ステンレス鋼板などの高弾性材料によって形成さ
    れることを特徴とする請求項1に記載の既存コンクリー
    ト躯体の補強構造。
  4. 【請求項4】前記段差部が、コンクリート躯体外側面を
    周方向に削製して形成されることを特徴とする請求項1
    に記載の既存コンクリート躯体の補強構造。
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