JP2796895B2 - 高速度鋼系焼結合金 - Google Patents
高速度鋼系焼結合金Info
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Description
うに、耐摩耗性、耐肌荒性、耐焼付性等が要求される部
材の構成材料として有用な高速度鋼系焼結合金に関す
る。
の胴部表面は、耐摩耗性の良いこと、肌荒れ(亀裂、凸
凹、欠け等)を生じ難いこと、被圧延材との焼き付きを
生じ難いこと等が必要である。従来より、熱間圧延用ロ
ールとして鋳鉄ロールが、冷間圧延用ロールとしては鍛
鋼ロールがそれぞれ使用されてきた。近時は、圧延条件
の苛酷化対策・ロール耐用寿命向上策として、熱間等方
圧加圧焼結等により胴部表面に高速度鋼系化学組成を有
する焼結合金層を形成したロールの使用も試みられてい
る(特開昭58−213856号、特開昭63−297
510号等)。
入れ・焼もどしの調質熱処理が施されてマルテンサイト
またはベイナイト相の硬質の基地に微細な炭化物粒子が
析出分散した金属組織となる。その硬質の基地と、炭化
物粒子の分散強化作用とにより、良好な耐摩耗性や耐肌
荒れ性等を帯有し、これを圧延用ロールに適用すること
によりロール寿命の向上を期待することが可能となる。
本発明は高速度鋼系焼結合金の材料特性を更に改良する
ことを目的としてなされたものである。
度鋼系焼結合金は、C:1.7 %を越え,3.5%以下、S
i:0.6 %以下、Mn:0.6 %以下、Cr:3〜8%、
Mo:3〜9%、W:5〜14%、Co:7〜14%、V,
Ti,Nbの1種ないし2種以上:8%以下(合計量)
、およびB: 2%以下,Ni: 3%以下の1種または
2種、残部実質的にFeからなる化学組成を有してい
る。以下、本発明に係る焼結合金の成分限定理由を説明
する。元素含有量を示す%はすべて重量%である。
o,Cr等と結合して、MC型、M6 C型、M2 C型等
の炭化物を形成し、合金の硬度を高める。この効果を十
分ならしめるため、含有量を1.7 %超とする。しかし、
Cの増量は反面において、炭化物の過剰析出や粗大化等
による合金の靱性劣化および加工性の低下等の原因とな
る。このため、3.5 %を上限とした。
である。この効果は0.6%までの添加により十分に得
ることができ、それを越える添加の必要はない。また、
Siの増量は炭化物の過剰析出とそれに伴う合金の脆化
を招く原因となる。このため0.6%以下とする。好ま
しくは、0.2〜0.4%である。
る。この効果を得るための添加量は0.6%までで十分
であり、多量の添加は高温におけるオーステナイト粒の
粗大化を招き、合金の脆化の原因となる。このため、
0.6%を上限とした。好ましくは、0.2〜0.4%
である。
に寄与する。この効果を得るには少なくとも3%を必要
とする。添加増量に伴って効果を増すが、焼入れ性改善
効果は約5%までの添加で十分に得られる。耐食性改善
効果は5%を越える添加により顕著となり、特に耐孔食
性の強化に奏効する。しかし、多量添加に伴って衝撃特
性の低下や高温での軟化抵抗性の低下を生じるので、8
%を上限とする。
抵抗性の向上に寄与する。また、M2C型炭化物として
微細析出し二次硬化をもたらす。これらの効果は3%以
上の添加により確保される。しかし、9%を越えると効
果はほぼ飽和する。
入れ性を高める効果を有する。またWは強力な炭化物形
成元素であり、焼もどし処理により、M6C型炭化物と
して微細析出し顕著な二次硬化をもたらす。また、焼も
どし軟化抵抗性を示す。添加量の下限を5%としたの
は、その炭化物の析出による十分な二次硬化を得るため
である。添加増量により、その効果を増すが、反面析出
炭化物の粗大化による靭性等の低下をみるので、14%
を上限とした。
より、微細なMC型炭化物として析出し顕著な二次硬化
をもたらす。添加増量により、その効果を増すが、あま
り多く添加すると炭化物の過剰析出により、合金の靭性
低下を伴い、また加工性が悪くなるので、8%を上限と
する。
高め、高温強度の改善に寄与する。これらの効果は7%
以上の添加により得られる。しかし、約14%をこえる
と効果はほぼ飽和するので、14%を上限とする。
2%以下のB、および3%以下のNiの1種または2種
の元素を含有している。
向上に寄与する。2%のBは1%のCに等価である。ま
た基地中に固溶して基地を強化する。しかし、多量の添
加は、合金の融点を下げ、強度の低下の原因となるの
で、2%を上限とする。好ましくは、0.5 〜1%であ
る。
ステナイト量の増加による靭性の改善に奏効する。しか
し、オーステナイト量の増加は、反面において機械加工
の困難化を招くので、3%を越えてはならない。好まし
くは0.1〜2.5%とする。
法は任意であるが、好ましくは熱間等方圧加圧焼結法
(HIP焼結法)が適用される。HIP焼結法によれ
ば、高加圧力の均一な作用下に高緻密質の焼結合金を得
ることができるからである。
が、耐摩耗性や耐肌荒れ性等は部材の表面の問題である
ので、例えば圧延用ロールの胴部に本発明の焼結合金を
適用する場合には、適当な金属材料(例えば、JIS
G 4105 のCr−Mo系合金鋼、同4103のC
r−Ni−Mo系合金鋼等)からなる中空もしくは中実
形状の円柱体を基材とし、その外周を本発明の焼結合金
で被覆した積層構造を有するロール胴部を形成するとよ
い。
被覆した複合部材(例えば圧延用ロール)の製造工程に
ついて説明すると、まず金属基材の周囲を適当なカプセ
ル材(例えば、炭素鋼製円筒体)で囲包し、これに焼結
原料として所定の化学組成を有する合金粉末(ガスアト
マイズ粉等、粒径 例えば500μm以下)を充填し、
その粉末充填層を脱気し、密封したうえ、熱間等方圧加
圧焼結に付して焼結合金層を形成する。焼結合金粉末が
比較的多量の酸化皮膜を付随するものである場合は、粉
末充填層内に水素含有ガス等の還元ガスを導入し加熱下
に酸化皮膜を還元除去したのち、脱気密封して焼結処理
を行えばよい。焼結処理は、温度:900〜1200
℃、加圧力:約500〜1500kgf/cm2に適当
時間(約2〜4Hr)保持することにより好適に達成さ
れる。その焼結過程において焼結合金層と金属基材との
界面には強固な密着結合関係が形成される。焼結完了
後、機械加工によりカプセル材の除去および必要な形状
修正を行う。
を形成した後、焼結合金層に調質熱処理(焼入れ・焼も
どし)を行う。その焼入れ・焼もどし処理は常法に従っ
て行えばよく、焼入れ温度は約1050〜1250℃、
好ましくは1100〜1200℃であり、同温度からの
冷却は、油浴、塩浴等を使用することも可能ではある
が、熱応力に起因する焼結合金層の亀裂・割れ等の防止
のために、ガス(N2ガス等)を冷媒とし、略常圧、ま
たは加圧(例えば3〜7kgf/cm2)雰囲気中にお
いて制御された冷却速度(例えば5〜20℃/分)で冷
却するとよい。
〜600℃好ましくは520〜580℃に加熱保持した
のち、徐冷(例えば空冷)する操作を1回、または複数
回(例えば2〜4回)実施することにより達成される。
理により、マルテンサイトもしくはベイナイト相、また
はこれらの相を主相とし少量の残留オーステナイト相が
混在しているマトリックスに、炭化物が微細に析出分散
した金属組織が与えられる。その析出炭化物は面積率で
約25〜45%を占め、一般の溶製材における炭化物量
(通常、約10〜15%)に比し豊富であり、かつ均一
に分散している。本発明の焼結合金は、前記化学組成と
金属組成とによって、圧延用ロールの胴部構成材料等と
して望まれる改良された耐摩耗性、耐肌荒性、耐焼付
性、耐腐食性等を備えている。
例として、円筒形状の金属基材(11)の外周面に焼結
合金層(12)を形成した積層構造を有する円筒体の断
面構造を模式的に示している。この複合部材(10)
は、例えばその中空孔内に別途用意したアーバー(2
0)を嵌着して圧延用ロールとして使用される。図の例
では、一定の層厚を有する焼結合金層(12)を基材
(11)の外周面の全体に亘って形成しているが、必ず
しもそうである必要はなく、例えば丸鋼仕上圧延ロール
等のカリバーを有するロールでは、その円周溝面にのみ
焼結合金層を形成し、他の部分は基材の表面が露出した
ままの部分複合構造としてよいことはいうまでもない。
焼結合金層(12)の層厚は特に限定されないが、圧延
用ロールの場合は、あまり薄いと、圧延荷重による剪断
応力の作用で焼結合金層の剥離を生じ易くなるので、約
3mm以上の層厚であるので好ましい。もっとも、あま
り厚くすると、熱応力による亀裂を生じ易くなるので、
約25mmまでとするのが適当である。
粒径:200μm)を焼結原料とし、熱間等方圧加圧焼
結を行い、ついでその焼結合金ブロックに焼入れ・焼も
どし処理を行って供試焼結合金を得た。但し、焼結処理
は、温度:1150℃、加圧力:1000kgf/cm
2、保持時間:3Hrの条件で行い、焼入れ処理は、真
空焼入れチャンバー内で、1200℃に1時間保持後、
N2ガス(常温・常圧)を導入してガス冷却することに
より行い、焼きもどし処理は540℃に5時間加熱保持
して放冷するヒートパターンを3回反復した。
供試焼結合金について、硬度(Hs)測定、および摩耗
試験、耐食試験、焼付性試験、熱衝撃試験、曲げ試験を
行って表2に示す結果を得た。供試No.1〜6 は発明例、
No.101〜105 は比較例である。
f)を測定 (i)回転輪:SUJ2:硬度(HRC)60、回転輪
幅3.0mm (ii)摩耗速度:3.4m/sec (iii)摩耗距離:200m (iv)最終荷重:16.8kg・f
cc+NaCl69.5g,濃度8%)に24時間浸漬
し、大気中で24時間放置乾燥する処理を、5回反復実
施し、試験片の孔食発生状況を肉眼観察する。表2中
「孔食数」欄の数値は、試験片表面に発生した孔食によ
る微小凹孔の個数を示している。
り、試験片表面に相手材(SUS304ステンレス鋼)
を押付けて回転トルクを測定し、トルクの異常変動の有
無により試験片と相手材との摺接面間の焼付の有無を判
定する(試験時間:5分)。表1中、「耐焼付性」欄の
「○」は焼付き無し(トルク低位安定)、「×」は焼付
き発生(トルク異常変動)を意味している。
したのち、水中に投入する加熱・急冷のヒートサイクル
を反復。試験片表面のクラック発生の有無をダイチェッ
クにより判定。表2中、「熱衝撃性」欄の数値は、割れ
発生までのヒートサイクル反復回数を示し、○マーク
は、20回の反復経過時点で割れ発生がなかったことを
表している。
試験片サイズ:3×4×50,mm、スパン距離30m
m。
金は、従来の高速度鋼系焼結合金を凌ぐ改良された耐摩
耗性、強度、耐食性、耐肌荒れ性、耐熱衝撃性等を備え
ていることを示している。
属組織とにより、すぐれて安定した耐摩耗性、強度、耐
食性、耐肌荒れ性、耐焼付性等を具備しているので、例
えば、金属円筒体の表面を本発明の焼結合金で被覆して
圧延用ロールの胴部材として使用することにより、ロー
ル寿命の向上、ロールメンテナンスの軽減等の効果が得
られ、またその胴部表面状態が安定していることによ
り、被圧延材の品質改善にも大きな効果が得られる。な
お、本発明焼結合金は、そのほか軸受、シリンダ等の耐
摩耗性等を必要とする構造部材の表面改質材料等として
も有用である。
例を示す断面説明図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 C:1.7 %を越え,3.5%以下、Si:0.
6 %以下、Mn:0.6 %以下、Cr:3〜8%、Mo:
3〜9%、W:5〜14%、Co:7〜14%、V, Ti,
Nbの1種ないし2種以上:8%以下、B:2%以下、
残部実質的にFeからなる高速度鋼系焼結合金。 - 【請求項2】 C:1.7 %を越え,3.5%以下、Si:0.
6 %以下、Mn:0.6 %以下、Cr:3〜8%、Mo:
3〜9%、W:5〜14%、Co:7〜14%、V, Ti,
Nbの1種ないし2種以上:8%以下、Ni:3%以
下、残部実質的にFeからなる高速度鋼系焼結合金。 - 【請求項3】 C:1.7 %を越え,3.5%以下、Si:0.
6 %以下、Mn:0.6 %以下、Cr:3〜8%、Mo:
3〜9%、W:5〜14%、Co:7〜14%、V, Ti,
Nbの1種ないし2種以上:8%以下、Ni:3%以
下、B:2%以下、残部実質的にFeからなる高速度鋼
系焼結合金。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2418061A JP2796895B2 (ja) | 1990-12-19 | 1990-12-19 | 高速度鋼系焼結合金 |
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---|---|---|---|
JP2418061A JP2796895B2 (ja) | 1990-12-19 | 1990-12-19 | 高速度鋼系焼結合金 |
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JPH04221043A JPH04221043A (ja) | 1992-08-11 |
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JPS63195250A (ja) * | 1987-02-10 | 1988-08-12 | Daido Steel Co Ltd | 圧延機用ロ−ル |
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JPH01152242A (ja) * | 1987-12-10 | 1989-06-14 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 粉末冶金法による高靭性高速度鋼 |
JPH02270944A (ja) * | 1989-04-13 | 1990-11-06 | Hitachi Metals Ltd | 耐摩耗,耐肌荒性ロール材及びその製造方法 |
-
1990
- 1990-12-19 JP JP2418061A patent/JP2796895B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH04221043A (ja) | 1992-08-11 |
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